海岸の国
「陛下、山側の国との戦闘での
『死者数は今日もゼロ』です。」
「信じられんな、
既に6度も攻め入って居るというのに
『国境』から一歩も攻め返して来ないなんて。」
「はい、
あの『豪将』の策略とは思えません、
代替わりしたのか、
『別な指導者』が居るのか、
間者達も送っては居るのですが、
『誰も帰って来ていません』」
「死んだ、か。」
「恐らく。」
「大臣よ、国庫の使用状況はどうかね。」
「はい、既に『半分を割りました』
このまま続ければ
『もって2年』足らずで底を尽きます。」
「・・・切り詰めてもか。」
「申し訳ございません、
既に『切り詰めて』の状態です、
特に『穀物類』が不足しており、
海風の影響で、塩に強い食物しか育たないわが国では、
腹を満たせる食物が生産できません。」
「・・・軍の士気は。」
「負傷者が増えるに比例して、
下がっております、
これ以上の戦闘は国民の反発を促し、
デモが行われてもおかしくない状態です。」
「西の国はどうかね?穀物の輸入再開の目途は。」
「残念ながら、
輸入は受け入れるが、『輸出は出来ない』と。」
(他の周辺小国も輸入を断られ、
輸出しようにも、海産物は輸出に向かない)
「『御武家殿は?』」
「・・・先日、危篤状態が続き、
『昨夜、お亡くなりになりました』」
「ご高齢だったからな、お悔やみ申し上げる、
葬式は明日、執り行おう。」
「陛下、もはや国は限界です、
山側の国に、『和平』を申し上げては?」
「・・・『白旗と使者を』
頭を下げよう、そして、
『属国化し、民を生きながらえさせよう』」
「陛下、御決断、感謝致します。」
「・・・それと、身柄の保障を和平に入れて置いてくれ、
民には、恨まれてるだろうからな。」
「はい、必ず、
使者は、私が向かいます。」
「・・・すまん。」
「『ばーか、友達だろ?』」
「『あほ、親友だ』」
▽
山側の国と海岸の国 国境付近
「な・・・なんだ、アレは。」
報告に受けてはいたが、あのようなモノが浮いているなんて
にわかに信じられない
「『白旗』を知ってるなんてな、
『転生者』でも居たのか?」
「あ、貴方は?」
「あぁ、俺が山側の国の代表、
陛下の友人ってヤツ、
『答えろ』転生者は居たのか?」
「・・・二週間程前に、
病気で亡くなられた、ご高齢もあって、
治療も追いつかず、申し訳ない。」
「そっ、か、
会えたら話せただろうに、
ま、いいや、『無条件降伏』でも?」
「そっ!?それは!?」
「あのなぁ?そっちから仕掛けて来て
『こっちは反撃だけ』
攻め入って無い、これだけで
『どちらが下か解るだろうに』」
「この命一つでおこがましいのは承知の上、
どうか、我が国の飢えを救っては頂けないだろうか、
そして、我が友人の身柄の保障をどうか。」
(あっさり頭を下げる、か、
その亡くなった転生者の教えが
良い方に残ったんだな)
「はぁ、わかったよ、
詳しい取り決めは事務総監と話してくれ。」
「え?よ、よろしいのですか?」
「なにがだよ?」
「て、停戦、和平の交渉を受けて下さると?」
「あぁ、それの問題があるのか?」
「そちらの将兵を傷つけたのですぞ?」
「戦争だからな、当然だ。」
「国費を使ったのに?」
「国の民を守る為に使うのが国費だろうが。」
「・・・どうして。」
「『同じように殺して返したら』
報復の連鎖は止まらない、
『殺さず、経済で報復する道を陛下は選んだ』
なら、俺も『不殺』を通すまでだ。」
「・・・『どうして、御武家様と同じ事を』」
「なぁ、その転生者、いや、『転移者』は、
『刀』を持っていなかったか?」
「な、なぜその事をっ?!」
「あんた達の『国旗に掛かれている剣がその証拠だ』
『日章旗に刀と剣がクロスした国旗』
俺には解る、『日本から来た武人だったんだろ?』」
「で、では、貴方も?」
「日本人だ、
ま、時代の違う日本人だけどな、
ほれ、とっとと話しを進めろ、
他の環状商業連合との会談も控えてんだ、
ったく、頭つかうの嫌なのに・・・。」
「か、環状商業連合?」
「あぁ、海岸の国の周囲の国同士で結んだ
『輸出入優先貿易連合』の呼び名だ、
ホントは一周するのが環状って言うんだけどな。」
(か、勝てない、
時代が違う日本人とは、こうも知力が違うのか)
「あぁ、そっちの陛下は退任させないからな?」
「え?」
「『国を残すからな』
お前らの国の民まで面倒見れないし、
自力で防衛してくれ、
食糧の無償輸出はするけど、
あくまで『次の作付け』までだ、
それ以降は畑にテコ入れして、
『自国食糧生産能力を底上げして貰う』
冬季は目前、
冬を乗り越えなきゃ『全員飢え死にだ』
それだけは避けてくれよ?」
「・・・もっ、勿体無きお言葉、感謝致します。」
「けっ、戦争に手を出すからこうなるんだよ、
先ずは交渉からやれ、いいな?」