復刻ダムロックイベと質問箱に殺された者の末路です。
会議なんてタイトルしときながら二人しか出てきません。タイトル詐欺です。 

1 / 1
不死者会議(欠員アリ)

 

 

 

 

月だけが闇夜を照らす。

寝静まる夜中に、酒飲みと猫だけが騒ぐ。

 

 

 

ー…ったく、何で俺が世話係なんだよ…

オイ、起きろよパイモン。じゃねえと身ぐるみかっさぱらうぞ

 

 

ー…ん。ああ…他の皆は?

 

 

ー呆れて先に行っちまったよ。

三バカだけは強制送還だけどな。

 

 

ーハハ、相変わらずだな…

 

 

ーあいつらはともかく、オマエはどうしたんだよ。いつもこうなる前に止めてるだろうが。

 

 

ー今日だけはいいんだよ。

 

 

ーへえ?そりゃまたなんで。

 

 

 

ぐむと、口を紡ぐ。言いたくない、というよりは、もっと様々な思い。

 

 

 

ー……なあ、もう一軒だけ寄ってかないか?

 

 

ーハァ!?お前さっきの話聞いてたか!?脳液まで酒でバカになったんじゃねえの!?

 

 

ーオイオイ、いいだろ?同じ不死者のよしみじゃないか。もし何かあっても、『調停者』のオマエが何とかしてくれるだろうし、な。

 

 

ーこんな時だけその名前使うんじゃねえっての!……テコでも動かなそうだな。わーったよ、マジで一杯だけだからな。

 

 

ーハハ、サンキュー。

 

 

 

夜が、更けていく。

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

ーほら、乾杯だ。

 

 

ーハイハイ…うわ、またキツいの呑むねえ。

今度ぶっ倒れたらマジで置いてくぜ?

 

 

ー薄情だな、おい。

まあ、今日くらいはいいんだよ。

 

 

ーそれさっきも言ってたぜ?やだやだ、酔っ払いは同じ事ばっか繰り返すね。

…んで、何で『今日くらい』なんだ。

 

 

ーアイツの命日らしいんだ。

 

 

ーあー……

あの、馬鹿丸出しだった、アイツのか。

 

 

ーククッ、そうそう。

 

 

ーあれ、ここはキレるとこじゃねえの?人のダチをこき下ろしてくれるなんざ〜ってよ。

 

 

ー…まあ実際馬鹿だったし、馬鹿丸出しでもあったからな。それに今更キレてもアイツが戻ってくるわけでも無い。

 

 

ーへぇ…つまんねえの。

もっと色々なると思ったのによ。

 

 

 

 

 

カラン。

しばしの沈黙にグラスが音をたてる。

 

 

 

ーアイツの…

ダムロックの死に様はどんなんだった。

 

 

ー…どうした、急に。

 

 

ーただの好奇心だよ。答えたかねえならイイぜ。

 

 

ー語りたくないって事は無いな。

…というか、語れないんだよ。俺も知らないからな。

 

 

ー知らねえ?いやいや、そんな訳ないだろ。

 

 

ー…いや、な。どうもあいつにも色々思う所があったみたいでな。ほら、ソロモンも俺の事知らなかったろ?話す事もしてなかったのさ。

 

 

ー…へえ。だからさっきも、命日『らしい』なんて言ってたのか。

 

 

ーそうだな。だから何で死んだのかもわからないし、本当に今日が命日なのかもわからないんだ。だけど、俺は今日だって事にしてるんだ。

 

ー…それくらいじゃないと、やるせないだろ。

 

 

ーオマエ、ずいぶん入れ込んでたもんなあ。

…つーか、いつか聞こうと思ってたけどさ、オマエってダムロックの孫だから召喚者を守ろうとしてんの?

 

 

ーまさか!

…いいや、たしかに最初はそうだったかもしれない。けど今は彼自身を俺が助けてやりたいと思ってる。ソロモン自身を、ちゃんとな。

 

 

ーならお前は隙あらばナンパを教え込もうとすんのやめろ。守るどころか命の危険に晒してんじゃねえよ。

 

 

ーオイオイ失礼だな!それに命の危機なんて大袈裟……

…じゃないか。ティアマトとかな。

 

 

ーそうそう。それ以外にもちょくちょく怖い目で見てる奴とか居るぜ?

 

 

ーマジかよ。…例えば?

 

 

ーははっ、秘密だ。調停者として札はとっとかないとな。

 

 

ーくそっ、この役立たずが!

 

 

ーんだと!?…くく。

 

 

ー…ははは!

 

 

 

 

再びの沈黙。

酩酊の中に、ただ杯を傾ける音が響く。

 

 

 

 

ー死、か。アイツは…

 

 

ーうん?

 

 

ー…召喚者は、どう死ぬだろうな。

 

 

ーさあな。……普通のヴィータとしての死は、もう無いかもしれないな。

 

 

ーま、そうだろうな。普通に死ぬにゃあ、色々背負いすぎだ。

 

 

ー無念の死か、何かを果たして死んでいくか…

いずれにせよ、また置いてかれるんだろうな。

 

 

ーその前に俺たちが死んでるかもしれねえがな。…あー、やだやだヴィータは。貧弱すぎるし寿命も短すぎんだろ、マジで。

 

 

ー『不死者』か…あの時は唯一残った誇りとすら思ってたものが、疎ましくなるとはね。

 

 

ー俺はなっちゃいねえよ。

 

 

ークク、なるさ。多分、な。

 

 

ー……

 

 

 

 

追加のオーダーが入る。

酒瓶が一つ空けられる音。

夜が、更けていく。

 

 

 

 

ー愛なんて呪いだよな。

それも、とびきりタチの悪い。

 

 

ーオイオイ、俺相手にナンパかよ?

目も見えないくらい酔ってんのか。

 

 

ー考えてもみろよ。俺たちが生中に痛めつけられようと酷い目に遭おうと、捨てようとだなんて思わない不死の力。それを、要らなく思わせるなんて、凄いじゃないか。

 

 

ー……

 

 

ー下手な作り話の呪いよりも、よっぽど強い。

最初から、そんなもん育まなきゃよかったのかもしれねえな。特に、ヴィータとは。

 

 

ー……だけど、少なくともお前はその愛で変わってるじゃねえか。少なくとも、いい方向に。

 

 

ーああ。

 

 

ー愛が呪いってのもまあそうなのかもな。けど、その分ソイツを強くしたりもするんじゃねえか。……クソっ、我ながら柄でも無さすぎて気味悪ぃ。

 

 

ー……ククク。露骨にキレるんじゃねえよ。

俺だってそう思ってるさ。

 

 

ー……てめえ…

やっぱわざと言ってやがったな。

 

 

ーそりゃそうさ。正直上手くいかないと思ってたけど、思ったより上手くいったな。

 

 

ーこのクソ酔っ払いが。

 

 

ー…なあ。それがお前の本音さ。

だから明日にでも、言っちまいな。

明日じゃなくてもいいが、早いうちにな。

 

 

ー……チッ、おせっかいすぎるんじゃねえか。やっぱ飲み過ぎなんじゃねえの。

 

 

ーそうだな…ああ、多分そうだ。

酔ってなきゃこんなこっぱずかしい事言えないさ。

だがな、俺たちはいつか皆前に進むんだ。

変わった後に言っても、遅いんだ…

 

 

ーはっ、説教のつもりかよ。

 

 

ー事実を言ってるだけさ。

説教に聞こえたかもしれないがな。

 

 

ー…うっぜえ。

 

 

 

乱暴にグラスが傾けられる音。

ドン、とテーブルが揺れ、氷がコップから浮く。小さな土砂崩れが杯に起こった。

 

 

 

ーそれも事実だろうよ。伝えなきゃなんにもなんねえし、どうせ俺たちは残される事になる。どうせアイツ長生きしねえだろうしな。

 

 

ーだからこそ今のままでいたいんだよ。

あくまで軍団の一人で、たまに色々オレ流を教えてやる、今のくらいでな。

 

 

 

再び、コップがかちわれん程の勢いで机に叩き置かれる。追加の酒のオーダーが出された。

 

 

 

ー成る程な。いい答えじゃないか。

バルバトス辺りが聞いたら詩にしてくれそうだ

 

 

ーるせえな!ここぞとばかりにニヤニヤしやがってこの野郎!

 

 

ーハハ、そりゃあニヤニヤもするさ。あんなにヴィータ嫌いだったお前がこうまで言うようになるとはな!

 

 

ーケッ、『いつか前に進む』んだろ。

進まされて、変わっちまったんだよ、俺も。

 

 

ーへえ。今日は随分素直じゃないか。捻くれ者のお前らしくねえ。

 

 

ーチッ。

飲み過ぎたんだよ、おめえと一緒でな。オラ、今日は徹底的に呑むから付き合え。

 

 

ー…お、オイオイ。流石にそんな量は…

 

 

ー今日くらいは呑んでもいいんだろ?

ほら、遠慮すんなよ。

 

 

ー…か、勘弁してくれ…

 

 

 

 

二人の不死者が杯を傾けていく。

夜が、明けていく。

 

 

 

 

おわり


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。