長い期間投稿出来ずに申し訳ありませんでした。本当にすいません。
なんか最初の更新目標とかぶっちぎりで破ってしまいました。
何が最低月一で更新するだよ。出来ないじぇねえか!自分の馬鹿!
色々言い訳はあります……ありますが……見苦しいのでやめます。
こんな情けない作者でも許していただけるのでしたら、どうかこれからも本作品をよろしくお願いします。
ではなかなか話が進まない本編をどうぞ(自分の文才に絶望中)。
なんだか最近ふと思った。
俺の思考がだんだん黒い方向へ向かっていやしないか、と。
そう思ったきっかけは琴音がはぐれてしまったという父親に国の管理する宿の一室で会った時だ。
彼は琴音が嘆かざる負えないほど、確かに少しばかり知恵の足りない大人だった。
俺に協力すると決め、そのために力を貸すと約束したことを父親に告げる娘に、「そんなことを言うもんじゃない!」と頭ごなしにどなりつけたのだ。
もちろん俺に対しても罵倒を浴びせてきたが、そのことについてはなんとも思っていない。当然の反応だ。
なにせ少し目を離したすきに変な男に娘が掠め取られたようなものだろうからな。父親目線では。
問題は実の娘である琴音の必死の説得にそれ以後もまったく耳を貸さず、「父のいうことが聞けないのか」「人間に逆らうな」「育て方を間違えた」などとしか言わず、あまつさえ最後には「お前は偽物だ」言い始める始末。
さすがの琴音もそこまで言われた段階で涙目になった。彼女は言っていた。「敬愛している父」を見ているのが辛いと。彼女は彼女なりに父を愛していたがゆえに、まさかここまで人間と事を構えることに過剰な反応を父親がするとは思っていなかったのだろう。
俺も話に聞く限り娘には甘いのではないかという印象を持っていたので完全に予想外だ。
「もういいわかった! どうやらお前を自由にし過ぎたようだ。 金輪際、里からは出さん!」
「ち、父上……?」
「なぜわからんのだ。人の下に付くことが最善の道であると! そう教えたつもりなのだがな!」
……正直琴音は本当にこの父親の血を引いているのかと疑問を抱かざるを得なかった。
はっきり本音が出たのだ。『下』と。
ということは父親はわかっていて契約を結んだということだ。
それを里の同族達や娘に黙ったままに。
この様子ではなにか後ろめたい特別なやり取りもした可能性があるな。
「ち、ちちうえ……私は……」
「うるさい! もう話しかけるな! 私の言うことに従え!」
俺もたいがい自分勝手だが、里の総意を族長だからと言って勝手にきめてしまうのはいただけない。俺だって一応相談くらいするぞ。うん。たぶんな。
いっこうに話は進まないし琴音はどんどん顔が蒼白になっていくしでそろそろ俺はイライラがたまって来た。そしてこの時だ。すぐにあらぬ方向に思考が飛んだのが。
黙らせてやろうか……。
琴音の前で殺すわけにはいかないが、痛めつけていうことを聞かせるぐらいやってやろうかという考えがなぜかすぐに出てきた。
そして同時に気付いた。
こんな思考にすぐいきつくのはまずいのでは?
……俺は前世の人間としてよりも既に吸血王しての目線で物事を考えることに染まっている。
それが良いか悪いかで言えば、おそらく悪い……のだろう。
いかんな。一回それこそ冷静にならなくては。あまり極端な思考をしていると次第に視野が狭まり、暴君のような存在になっていってしまいかねない。既に手遅れとかいう考えは断固として受け入れない。認めないぞこの野郎。
まぁ今気付けたということで良しとしよう。そしてそれに気付くきっかけを作ってくれた琴音の父親には一応感謝して、なるべく穏便に眠ってもらうことにしよう。琴音が父にかわり族長の後を継ぐくらいできるはずだ。母親は既に数年前に病気で亡くなっているという話なので、現族長が『納得』してくれれば引き継ぎはスムーズにいくはず。
そう考えをまとめ喚き続ける父親と俯いてそれを聞いている琴音に話しかけようとした。
その時。
ヒュッ。
「ん?」
俺の高性能な耳はなにか小さな物体が風を切る音を感知した。
それはとても早く飛来したようで、それがどこに着弾したのかまではさすがにすぐには分からない。
だがそれはすぐに判明した。
「いいかげんにしろと!……あぁ?」
バタンッ。
それまで元気に琴音を怒鳴り散らしていた父親が急に呆けた表情になり、急に膝から崩れ落ちた。
「ち、父上? ど、どうなされたのですか? 父上?」
実の父親から辛辣な言葉を投げかけられて意気消沈していた琴音も、急変した父の様子に心配そうに声を掛けている。
しかし俺は前のめりに倒れた父親の背に視線を向けていた。
「兄様。あれ」
「ああ。吹き矢だな。おそらく毒」
今の今まで黙って俺の背に隠れていたエヴァも気付いたようだ。
視線を上げれば父親のすぐ後ろには窓があり、そこは開かれていた。
外からは丸見え。狙おうと思えばどこからでも狙える。そんな位置に父親は立っていた。
「父上! 父上?! しっかりしてください!」
再び矢が飛んで来るかと警戒していた俺のすぐ目の前では、倒れた父にすがりつく琴音がいた。
さっきとは違う意味で涙を目に溜めている。
そんな父親はいっこうに動く気配がなく。倒れる直前の呆けた表情のまま血の気を失って。
息を引き取っていた。
「……毒矢による暗殺?しかしなぜ?」
それ以降琴音や俺を狙って第二矢が放たれることもなく、警戒が無駄に終わったかと思った直後。
ドタドタと複数の人の足音が、宿の2階にある俺達のいる部屋に向かって来るのが分かった。
バンッ!
そして勢いよく部屋のドアが開いたと思ったら、中年の小太りな男を真ん中に4人の屈強そうな騎士風の男たちがズカズカと押し入ってきた。
真ん中の中年男はそこそこ豪勢な服装を着ているので、おそらくこの中で一番地位の高い人間なのだろう。
守るような陣形をとっているし。
「……ふん。上手く仕留めたか。しかし手間が増えたな。まさか部外者がいたとは」
ちょうど位置的にはドアが部屋の中心にあり、男から見ると右に琴音達。左に俺達という具合。
入ってきた瞬間にチラリと右に目を向けた男はどうやら琴音の父親の死を確認して御満悦の様子。
「ん?……よく見たら娘ではないか。なるほどなるほど。後で探しに行かせようと思っていたがこちらの手間は省けたな。ならば良し」
今の発言で父親を殺したのはこいつだということが分かる。つまりこいつはメガロ側の人間?
「この男も哀れな男よ。妻を殺され、次に自分も死に。そして娘も同じ末路を辿るのだから」
「……なに?」
おそらくつい口にしてしまったのだろう。上機嫌な男が俺の訝しげな視線に苦い顔をした。
「なんだ貴様は。こいつが雇った傭兵か? ククッ。もろとも始末すれば問題ないな」
……なんとも嫌な笑い方をする。
この豚野郎め。
「ど、どういうことですかファウス議員! は、母を殺したって!」
父親の亡骸にすがりついていた琴音も、どうやらこの豚の一言を聞き逃さなかったらしい。
俺から琴音へと視線を移した豚、ファウス議員とやらは、ニヤリと先ほどよりもさらに嫌悪感を誘う笑い方をした。
「ふんっ。まぁどちらにしろそこの雌は始末するのだから特別に教えてやっても良いぞ?」
……ああん?
「よく聞け雌。この愚かな男は最初、我等の要求を突っぱねたのだ。対等な立場で交渉をしているはずだ、とか言ってな。だから分からせてやったよ。共に交渉の場に来ていた妻を目の前で殺し「娘まで失いたくはあるまい?」と言ってな。後は楽な仕事だったよ。亜人を飼育していればいいのだからな。だがそれももう不要だ。貴様らの力を解析し、すでにその能力の複製魔法を開発できたのだから。くはははは! 」
「……ほぉ」
「そ、そんな……なんてこと……!」
こいつの話から俺はだいたいの裏事情を把握できた。
そして父親があれほど娘の意向に反対した理由も氷解し、琴音の父に対する認識を改めた。
やはり彼は琴音の立派な父親だったのだ。
つまり。
数年前に琴音の母親が病死したなんてのは真っ赤な嘘で。
父親は琴音と同族の命を守るために、心を鬼にして人間に従っていた、と。
そしてこいつらは今日この日。
その薄っぺらい約定さえ娘の目の前で破ったのだ。奪うだけ奪って。
「そして! ああなんと哀れな羊だ。結局は娘もその命を落とす! またひとつ、亜人共の『群れ』を浄化することができる。これで私も元老院入りだ!」
「……そういうことか」
こいつらはそもそも亜人達を動物かなにかぐらいにしか考えていない。
でなければ『群れ』等と……。
「議員。そろそろお時間が」
「うむ? そうか。では娘の方は生きたまま捕えろ。あの容姿なら高く売れる。傭兵の方は……」
騎士の一人に声を掛けられ高笑いをやめた豚は、琴音を一瞥し、その後に俺とエヴァに視線を再び向けてきた。
「……ほぉ。これはこれは」
そしてエヴァを見ると、舐めまわすように目を動かし始めた。
「予定変更だ。男は殺せ。あの少女は私の所に連れて来い。可愛がってやろうではないか」
「承知しました」
……なんだと?
こいつは今ナンテイッタ?
「愉快愉快。今日はなんとめでたい日だ。面倒な親娘を始末できた上に私好みの女まで手に入るとは。笑いが止まら―――――」
「死ね」
グシャ。
「はへっ?」
「なっ!ぎ、議員!? 貴様何を!」
俺は最後まで豚やろうの言葉を聞いてられず、心臓に手を突き刺して握りつぶした。
「あ、あがっ……ごふっ…」
「苦しんで死ぬがいい。この家畜風情が」
たっぷりと憎悪をこめて殺してやった。俺のエヴァを目で穢しやがった奴に容赦はしない。
「議員をお助けしろ!」
「「おお!」」
一瞬の出来事で、しばらく棒立ちになっていた4人の護衛騎士の男たちは、一斉に俺に飛び掛って来た。
「騒ぐなゴミども。すぐに豚と同じ所に送ってやる」
俺はそんな騒音を発する生ごみを処理すべく、豚から手を引き抜き、魔力を解放したのだった。
「……うう……グスッ……ちちうえぇ……うわあああああ!」
「琴音…」
「琴音さん…」
俺が侵入者たちに鉄槌を下し終えると、部屋の中には琴音の慟哭だけが響き渡る。
無理もない。誤解をして勝手に心のどこかで軽蔑もしていた父が、彼女の信じた父となんら変わっていなかったとやっと気付けたのに、すでに謝ることさえできないのだから。
「ラ、ライ゛ールざん……」
「なんだ?」
しばらく父の体に顔を埋めて泣いていた琴音だが、涙でぐしゃぐしゃにした顔を上げて、意志を強く宿した瞳を俺に向けてきた。
「私たちを……助けてくれますか? 国を……同胞が安心して暮らせる国を……作ってくれますか……!」
「ああ。約束しよう」
「一緒にがんばろう!琴音さん!」
「……はい!」
この日、吸血王とある一人の少女は。
終生まで破られることのなかったひとつの盟約を結んだのだった―――――
琴音の父の暗殺という事件があった日から数日後。
「行け! 同胞を救うのだッ!」
「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」
人間の亜人狩りと呼ばれる『狩り』が行われている、亜人と人間の争いの最前線。
未だ人間の基盤が緩い未開の地。
その近くにある鬱蒼と生い茂る木々の奥の奥。
そこには亜人の持つ技術では到底作りだせない鎧や武器で身を固めた無数の人影があった。
その数は数千にも上る。
その人種は様々だ。
角を生やしている者。体毛に覆われた体躯をしている者。身体の一部分が以上に長い者。そもそも人型とは程遠い姿の者。
そしてその先頭で騎馬に堂々と跨り指揮をとっているのは―――――
「第一班は正面突破! 第二班は側面へ! 第三班は救助を最優先に! 皆奮起せよ! 我らが興廃この一戦にありいいいいいッ!」
「「「「わあああああああああああああああああ!!!」」」」
―――――紅い戦鬼と化した。
吸血王ライールである。
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