吸血王と魔法と異世界   作:マスラヲ

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8話

「……ん?…朝か……」

 

俺は眠りから覚め、ここ一カ月ほど見続けている宿の天井を仰ぐ。

これだけ同じ場所に留まったのもそうないな。

 

「……んっ」

「……ああ……そうだった」

 

これもいつも通り、俺の隣にはエヴァが眠っている。

何度かベットを別にして眠ることを推奨したのだが、そのたびにエヴァに猛反対され、結局いつも同じベットで寝てきた。

なので目を開けた時、隣にエヴァがいるのは不思議でもなんでもないのだ。

ないのだが。今日は別の意味を持つ。

 

「ふぁれ? 兄様おはよ~」

 

そう朝の挨拶をまだ眠たそうに目をトロンとさせたまま言ってくるエヴァ。

 

素っ裸で。

 

……綺麗だな。

 

まぁなにが言いたいかと言うと、つまり『そういう』ことだ。

大丈夫、彼女はもう19歳になろうという娘だ。手を出しても何も問題ない。見た目はどうあれ。

 

というか俺は基本的に女の子の年齢は気にしないタイプだ。

上だろうが下だろうが、俺が気に入った、あるいは俺を好いてくれる女性なら俺は受け入れる。

もちろん限界はあるが。俺にだって好みのタイプぐらいある。男だし。

 

「えへへ~。にいさまぁ~。ギュッ」

「……」

 

まぁ色々言ったが。

後悔などあろうはずもない。

エヴァを守りたいという気持ちは変わらずあり、そして愛おしいとも思っている。

それを彼女も俺に対し抱いてくれていたと言うなら。

 

体を重ねたいと願うのは男女の間では当然のことだ。

 

「あらためて。おはようエヴァ」

「おはよう兄様!」

 

そうこれは。俺のこの世界での生に。

初めてのパートナーができたという。

ただそれだけの話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様が『紅蓮の殲滅者』とか呼ばれている傭兵か」

「はい陛下。その通りでございます」

 

あれからまたエヴァの裸身に興奮してしまい我慢などするはずもなく、朝の第二ラウンドに突入してスッキリした後、二人して魔法でシャワー的なのを浴びていると、部屋に宿の主が来客を知らせに来た。

 

「ついに来たか」と思った。

 

そして案の定俺を訊ねてきたのは護衛騎士を二人従えた王国の文官。

まぁこの時代にありがちな傭兵風情がと偉そうに上から目線の文官のなにが言いたいのかよく分からない文句をまとめると。

 

「王が呼んでるから来いや」

 

ということだ。

 

最初からそう言えと。

あやうくキレて、うっかり細切れにしちゃうところだっただろうが。エヴァが涙目になりながら、小さいからだを精一杯使って押さえてくれなければ本気で危なかった。

 

そんなことがあり、迎えの馬車(ちなみに俺はボロ馬車で文官は豪華な馬車)に乗せられて王城へ参内し。

今モラヴィア王国国王と向かい合っている。

 

「ふんっ。傭兵ごときが生意気な」

 

会う前から文官の態度で絶対国王も嫌な奴だと思っていたが、やはり傲慢な王だった。

そもそも噂じゃこの国の第一王子が隣の国の王女様を手に入れたいなどとという我がままを言ったことが、この戦争のはじまりだという。

チラリと目線だけ、ばれないように王の隣に座る王子に向けると。

 

そこには豚がいた。

 

確か事前に確認した情報によると、この国の第一王子は18歳だとのことだが。

どう見ても30歳越えのおっさんにしか見えない。

これでもかと肥え太った腹。脂ぎった肌。顔に至ってはもう鼻とか目が脂肪の奥に潰されて、臭いをかいだり、前を見たりできるのかと逆に心配になってくるぐらいだ。

 

……噂が真実っぽいな。

なんか見た目からしてやらかしそうな顔をしている。

まぁ愚かな親からは愚かな子供しか生まれないし育たないということだろう。

俺には関係のない話だ。

金さえもらえれば文句はない。多少のことには目をつぶろう。

 

エヴァを連れてこなくて良かったな。あの色ボケ王子に目をつけられたら厄介だった。

最悪この国を消滅させなければならなくなっただろう。

 

俺の女に手を出したら殺す。

 

それは当然の報いだからな。

 

俺は自分のモノが害されるのが心底嫌いだ。

それが人であれ物であれ、一度俺の手の中に入れたものは、なにがあろうと渡さないし、万が一それを奪おうとしたり、壊そうとしたら。

 

生き地獄を見せた後。

惨たらしく殺してやる。

 

「まあよいわ。貴様に命ずる。我がモラヴィア王国のために戦え。報酬は金でも女でも好きなだけやろう。ただし勝利せよ。噂がただの噂でないことを祈っておるわ」

「はい陛下。御意にございます。報酬は純金でお願いします。貨幣では―――――」

「黙れ! そんなことは文官に言え傭兵! これ以上お主と話などしとうないわっ! 穢れる! 下がれ!」

「……御意」

 

この糞ジジイ。俺はただ自分の魔法という力を存分に使えればいいんだよ。ついでに金と伝説になるぐらいな名声を得たいというのもあるがな。

 

最近俺は魔法を使うにしても、ただ使うだけではもったいない気がしてきていた。

もちろん魔法を使うことが一番大切だし楽しいのだが。

どうせなら、この魔法で幾多の伝説を残してみたい。

それができるのが吸血王たる俺だ。

歴史に名を刻むのも一興だろう。

 

でもまぁそう考えると魔法世界の方が住みやすそうな気がしてくるな。考えておくか。

あっちなら魔法を使っても不自然ではないし、なにか案を考えれば色々とおもしろい生活が送れそうだ。

永住も視野に入れて本気で考えてみるか。

もちろんエヴァの意志も確認してからだが。

 

だから覚えておけ愚かなる人間の王よ。

搾り取るだけ搾り取った後。

肉塊にしてやる。

せいぜいこの戦争に勝った後の輝かしい未来予想図でも妄想しているがいい。

まぁ大丈夫さ。俺が勝たせてやるから。

 

でもな。

 

最後に笑うのは俺一人だ。

 

 

 

 

 

 

 

 




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