破壊神ゴジラvs鬼神エヴァンゲリオン~最終戦争~   作:井上ああああ

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第10話:ゴジラvsエヴァ 最終決戦 パート2

 北京。

 初号機に乗ったシンジとゴジラは睨み合った。

 

 

 

「いくぞ。」

 

 

 シンジはそういうと、それまで晴天であった天気を曇り空に変えた。

 初号機は天気すらも操れるようになったのだ。

 リリスと一体化したことで、初号機は最終形態に変化し全知全能の力を得た。

 天気を操る能力もその一つだ。

 彼は全身の力を掌の中に集中すると電撃を解き放った。

 

 黒い怨敵、ゴジラは口を開けてその電撃を吸収しまるでコーラを飲む子供の用に飲み干した。

 エネルギー攻撃は効かない。

 

 

「くそっ…。」

 

 

 このままでは以前と同じか。

 

 

「ならっ!!!」

 

 

 シンジは空中に飛び上がった。

 そして、先ほどと同じく高さ3000mほどある竜巻を起こした。

 

 

「これならどうだ!!!」

 

 

 ゴジラはすると再び雄たけびをあげた。

 その衝撃音で竜巻は吹き飛んでいった。

 エヴァ初号機も一瞬大きくよろめいた。

 

 

 

「こいつっ…。」

 

 

 なんだってできるのか。

 仕方ない。

 奥の手を使うか。

 

 シンジは背中に構えていた武器に目をやった。

 カヲル君がみつけた、ゴジラの背びれが混じった槍。

 これなら、ヤツを傷つけることができる! 

 

 

「いくぞ。」

 

 

 陸上選手のやるクラウチングスタートを真似た動きをすると、シンジは走り始めた。

 時間は静止したようにみえた。

 だが、違う。

 リリスと一体化した初号機は光の速度以上に素早く動けることができたのだ。

 シンジの体は電流を帯びると、一歩一歩と光以上の速度で動いた。

 

 

 あいつは動きがのろまだ。

 僕の動きに気が付くわけないだろ。

 シンジは高をくくっていた。

 そして、背中のパッドにつけていた槍を取り出しゴジラに飛び掛かろうとしたその時だった。

 

 

 ゴジラの目が動いていた。

 眉間がじわりとまるで、スロー再生するように動いた。 

 そして、じっくりじっくりと初号機を睨みつけていくのがみえた。

 

 

「まさか……。」

 

 

 こいつ、気が付いている!? 

 光の速度で動く自分がみえているんだ!! 

 やがて、ゴジラの尾が動くのがみえた。

 

 

『碇君逃げて!』

 

 

 綾波の声。

 次の瞬間、時間が元に戻ったように動きはじめた。

 そして、光の速度以上に素早く動けるはずの初号機の腕にゴジラの尾は蛇のように絡みついた。

 

 

「うわっ!」

 

 

 そして、ゴジラは力を入れた。

 シンジは右腕を抑えながら痛みに苦しんだ。

 やがて、シンジはゴジラ討伐の手がかりになるはずだった槍を地面に落としてしまった。

 

 

 

「うわああああああああああっ!!!!」

 

 

 

 ボキッ。

 

 

 折れた。

 初号機の腕が。

 シンジは腕を抑えると、地面に倒れもだえ苦しんだ。

 

 

 その様子をゴジラは冷たくみつめた。

 そして、初号機の顔面をその足でけりとばした。

 

 

 

「あぐっ!!!!!」

 

 

 紫色の守護神はまるでサッカーボールのように地面に転がっていった。

 人民大会堂を破壊し、周囲の建物を巻き込みながら初号機は地面に倒れた。

 

 

「……バカな……。」

 

 

 初号機は強くなった。

 そのはずなのに…………負ける!? 

 また!? 

 シンジの心が揺らぎ始めた。

 圧倒的な自信が。

 

 

 

「あ、ああ…………。」

 

 

 さっきのはただの蹴り。

 なのに、もう立ち上がれない。

 シンジは天を仰いだ。

 すると、ゴジラは地面に倒れた初号機の腹部軽く踏みにじった。

 

 メリメリ…。

 

 地面が割れている。

 クレーターができている。

 

 

「あ……あが……あが……。」

 

 

 シンジは初号機の手を使い必死でもがいた。

 激痛と絶望が広がっていく。

 

 

 そんな時だった。

 ゴジラの顔に何かが当たるのがみえた。

 光線。

 

 

 ゴジラはふと、後部をみつめた。

 すると地平線のかなたに数万ともいえる巨人がせまってくるのがみえた。

 シンジはようやくゴジラから解放された。

 

 

 

「初号機パイロット。」

 

 

 この声、フリッツのものだ。

 音声回路を使っている。

 

 

「実にご苦労だった。だが、下がれ。お前の出番ではない。」

 

 

「なに!?」

 

 

「わしとエヴァインフィニティが…こやつを倒す!!! ネルフ本部を襲撃するとわかってたわしは、先に逃げていた。そしてこのエヴァインフィニティどもの準備をしていたのさ!」

 

 

 エヴァインフィニティ? 

 シンジはみつめると、髑髏状の顔をした無数のエヴァたちが地平線を覆いつくしていた。

 その姿はゴジラに並ぶほど大きかった。 

 その数は観た感じ数千万はくだらない。

 エヴァインフィニティと名乗るものと並んで戦艦が6隻ほど浮かんでいるのもみえた。

 これもアスカの祖父の技術力か。

 

 

 アスカの祖父フリッツは名古屋のとある廃墟にいた。

 注文していたひつまぶしを食べながら、パソコンを使いエヴァインフィニティを操作していた。

 

 

「まあ、わしがいれば全部解決じゃ。」

 

 

 

 フリッツはボタンを押した。

 そこで、エヴァインフィニティと空中に浮かぶ戦艦から無数の光線と砲弾を放った。

 

 

 

「死ね!!!!! ゴジラ!!!!!! わしこそ多元世界の支配者になるのだああああああああ!!!」

 

 

 

 すると数千万のエヴァインフィニティから放たれた光線と砲弾の雨はゴジラを包んだ。

 シンジはATフィールドを覆って身を隠した……はずだった。

 ゴジラは光線の雨を飲み込んでいた。

 当然砲弾はゴジラに通じるわけもなかった。

 

 

 

「バカな!!!」

 

 

 フリッツは驚愕した。

 すると、ゴジラは口から光を放つと周囲に軽く熱線を放った。

 数千万ほどあったエヴァインフィニティと空中戦艦は一気に吹き飛び消し飛んでいった。

 すると、地平線は再びもぬけのからになった。

 

 

「……あ……。」

 

 

 シンジはあまりの光景に目を白黒させた。

 あんなにいたエヴァの群れが一瞬で消し飛んだ。

 

 

「ちくしょう!!!!!!!!! このためにどれぐらいの金と年数をつぎ込んだとおもっている!!!!!!!」

 

 

 

 フリッツの声が聞こえた。

 シンジはその隙に腕を治した。 

 不死身のS2機関のたまもの。

 そして、槍を再び手にした。

 ゴジラは自分の功績に酔いしれるように隙ができている。

 

 

 今がチャンス。

 

 

 

 

「くらええええええ!!」

 

 

 

 シンジは大きく飛び上がると槍を抱えゴジラの首に飛び込んだ。

 だが、ゴジラは鞭のように尾をひねりそれをはねとばした。

 

 

「ぐわああああああああああああ!!!!」

 

 

 

 シンジの胸に激しい激痛が走っていった。

 彼は再び目にした。

 コアがむき出しになっている。

 勝てない。

 あいつは強すぎる。

 

 

 

 

「あ……ああ……。」

 

 

 シンジは地面にまた倒れた。

 このままだと殺される。

 僕だけじゃない。

 ヤツに綾波を殺される。

 

 

 

「綾波は……せめて綾波は……。」

 

 

 

 シンジはまるで命乞いをするように呻き声をあげた。

 

 

 

 圧倒的な絶望感がシンジを襲う中、アメリカ西海岸では四号機がデストロイアに苦戦していた。

 デストロイアの尾の先についた鋏は四号機の首をギリギリと締め上げた。

 そして、渚カヲルはデストロイアに呑み込まれた。

 

 

 胃の中、カヲルは目を覚ました。

 ヤツに食われた。

 胃液がずきずきと僕の体を溶かしていく…。

 このまま負けるのか…。

 

 

 自分たちを産んだ第一始祖民族。

 それは怪獣たちに滅ぼされた。

 アダムとリリス、それを産んだ理由は生命に生きてほしいからだったんだ。

 今ならわかる。

 

 

「もうおしまいか……。」

 

 

 いや、まだある。

 僕はタブリス。

 最後の使徒。

 そして、すべての始まりだったアダムでもある。

 今こそ戻ろう。

 シンの自分に…・。

 

 

 カヲルは全ての力を込めて、指に力をいれた。

 そして鳴らした。

 

 

 パチン…。

 

 

 デストロイアの胃の中でそれは響いた。

 

 

 

 赤い怪獣の将軍は自分の胃の中で何かが膨らんでいくのに気が付いた。

 これはなんだ。

 よくない。

 そして、激痛が広がった。

 

 

 やがて、デストロイアは気が付いた。

 自分の肉が…飲まれて行く!!! 何かに!!! 

 まさか、体の中から何かが自分を飲み込んでいく…・。

 

 

 

 四号機の魂は気が付いた。

 

 

 これはディラックの海。

 だが、その大きさは尋常ではない。

 強さも…。

 そして、これを使えるのはたった一人。

 

 四号機はデストロイアの尾を力づくとへし折った。

 

 

 

『フィフス!』

 

 

 

 次の瞬間だった

 デストロイアの腹部から白い光がのびていくのがみえた。

 そして、大きく破裂した。

 巨大なATフィールドが爆発を起こしたのだ。

 

 

 それは…彼の目に見覚えがあるものだった。

 渚カヲル。

 

 

 それだった。

 

 

 

「この地上は僕たちのものだ。」

 

 

 カヲルはそういった。

 

 

 デストロイアの肉片はやがて、自身の腹部から開いたディラックの海へと吸い込まれて行った。

 その時、彼は自身の敗北を感じるとそのまま虚数空間の中へと溺れていったのだった。

 

 

 四号機はその掌に主を迎え入れた。

 カヲルも疲労のあまり、四号機の掌の上で眠っていったのだった。

 

 

 

 日本、第三新東京市。

 オルガは目の前にやってきた零号機に驚いていた。

 

 

『貴様一体何者だ』

 

 

 すると零号機の単眼は光輝いた。

 そして、オルガに向かってとびかかった。

 やがて、オルガの顔につかみかかるとその剛腕を振るい一気に叩きのめし始めた。

 その時だった。

 

 オルガの意識は二つに割れた。

 戸惑いが生まれた。

 と、同時にオルガの驚異的なテレパス能力に揺らぎが生じた。

 

 

 ネルフ本部、EU支部…それぞれにいる人間たちはようやく激しい頭痛と脳内に入る不快な声から解放されたことに気が付いた。

 

「なにがおきた。」

 

「今のはなんだ?」

 

 人々の心に浮かんだのは疑問だった。

 

 

 時田はリツコを探し、セントラルドグマの中を探し回っていた。  

 やがて、マギ端末近くにいることを知ると彼女を抱き起していた。

 そして、彼女を縛っていたコードを引きちぎるとリツコをその膝の上で寝かさていた。

 目を覚ましたリツコは上体を起こすと、そこには時田とペンペンがいた。

 

 

 

「なにがおきたの?」

 

 

 

「時田さん?」

 

 

「君は縛られていたんだ。」

 

 

「そういえばそうだったわね。」

 

 

 

 リツコはふとペンペンをみた。

 パソコンをみている。

 その液晶状には零号機が暴れているのがみえた。

 

 

 

「まさか…。」

 

 

 あれはただの起動スイッチではない。

 中にいる魂のコアを目覚めさせるもの。

 その中にいるのは…それは…。

 

 

「母さん!?」

 

 

 零号機の中にはずっと赤木ナオコの魂がいた。

 マギシステムの前でリツコは告白をされた。

 幸が薄そうだが、真面目そうな何よりも地味で娘のいうことをきくおっさん。

 時田シロウに。

 

 ようやく、私たち親子が幸せを勝ち取れそうなのに…………邪魔をする!? 

 

 

『許せない!!! 許せない!!! 許せない!!! 許せない!!! 許せない!!! 許せない!!! 許せない!!! 許せない!!! 許せない!!! 許せない!!! 許せない!!! 許せない!!! 許せない!!! 許せない!!!』

 

 

 オルガはたじろいた。 

 彼のハッキングを邪魔したのはこいつ。

 そして、あまりにも力強い。

 気が付けばオルガは押し倒され、顔を何度も何度も殴られていた。

 彼はようやく念力を使い、零号機をなんとか押さえつけた。

 

 

『なんてヤツだ! だが、それももうおしまいだ。死ね!』

 

 

 だが、止まらない。

 零号機の拳はまだふりかかっていた。

 ナオコの怒りはオルガの念力をはねのけたのだ。

 

 

 

『も、もうやめてくれ……やめてくれええええええええええ!!!』

 

 

 オルガは泣き叫んだ。

 だが、零号機は止まらなかった。

 その中にいる赤木ナオコも。

 

 

『私の娘に手を出すな!!!』

 

 

 ナオコはオルガの胸をその拳で貫いた。

 

 

「ポジトロンライフルをっ!!!」

 

 

 冬月は叫んだ。

 と、同時に零号機の近くにあったビルからライフルが出てきた。

 零号機はそれを取るとオルガめがけてライフルを放った。

 オルガはそのエネルギー量に耐えれずバラバラに吹き飛んでいったのだった。

 

 

 同じころ、フランス

 そこでではバガンの角に刺さった弐号機がもがいていた。

 8号機も同じくバガンの尾で首を締め上げられていた。

 8号機の中にいたマリはわかっていた。

 痛いのも苦しいのも楽しいはず。

 でも、これは違う。

 絶望。

 

 

 

「アスカ……。」

 

 

 私の首も限界。

 あのゴジラ細胞が自分の物になれば…。

 マリがそう思ったその時だった。

 

 そうだ。

 これしかない。

 

 

「裏コードビースト、ウニ。」

 

 

 8号機の体に大きな針ができるとバガンの尾を串刺しにした。

 バガンは獣のような悲鳴をあげると8号機を締め上げていた尾の力を緩めた。

 

 

「裏コードビースト、ティラノサウルス!」

 

 

 そういうと、マリの乗っていた8号機の顔が大きくなっていた。

 やがて、顔に亀裂が生えるとアゴができていった。

 そして、鋭い牙が生え尾も生えていった。

 

 

 ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!! 

 

 

 咆哮をあげると、恐竜モードになった8号機は鋭い牙をはやしてバガンの足の肉を食いちぎった。

 バガンは激痛に足に気がとられてが、瞬時に再生していった。

 不死身のゴジラ細胞が効果的にはたらいたのだ。

 そして、8号機をその強い脚で蹴り飛ばしたのだった。

 

 

「うわあああ!!!」

 

 

 マリは地面に倒れた。

 その時だった。

 マリの顔は笑っていた。

 策だ。

 ヤツの肉を食いちぎり、ゴジラ細胞を手に入れる。

 

 

「裏コードビースト…………ゴジラッ!」

 

 

 

 8号機の体はもりもりを大きくなっていった。

 そして、背中と肩についていた桃色の装甲ははげ落ちると、黒い岩肌がみえていった。

 背びれも生えた。

 

 

 バガンはその様子を見て驚愕した。

 

 

 まさか、こいつ……俺の中にあるゴジラ細胞を得て、父上や私を真似ているのか!! 

 

 

 

 先ほどまでバガンの半分以下程度の大きさしかなかった8号機は大きくなった。

 やがて、バガン並みに。

 そして、大きな咆哮をあげた。

 

 

 ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおんんんんんんんんんん!!!!! 

 

 

 

 角に刺さり、電撃を受けていた弐号機にも聞こえた。

 ゴジラの咆哮。

 8号機はゴジラになったのか。

 

 

「ダメ、マリ…人間をやめないで。」

 

 

「ごめんね。」

 

 

 マリはそれだけいった。

 次第に彼女の精神もゴジラ細胞と同化していった。

 ゴジラ8号機はバガンを睨みつけた。

 そして、咆哮をあげるとバガンの頭につかみかかった。

 

 

「うわああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

 8号機の腕はバガンの角をつかむと怪力とともにつかんだ。

 

 

「アスカヲ……離せ!!!」

 

 

 やがて8号機の怪力は強く強く働いた。

 そして、その勢いのままバガンの角をへし折った。

 バガンは悲鳴を上げ地面に倒れた。

 

 解放された弐号機はなんとか余力を使いたちあがった。

 もう装甲ももたない。

 

 8号機はそのままバガンにつかみかかるとしっかりと押さえつけた。

 そして、 マリはつぶやいた。

 

 

 

 

「アスカ…ディオメンションタイドヲ使って。」

 

 

 

 

「でも、マリ!!!」

 

 

 

 マリの様子がおかしい。

 確かにゴジラ細胞に乗っ取られ本当に怪獣になってしまうのかも。

 そうなれば、私とマリが殺し合うことになる。

 

 

 

「このママだト…ゴジラ細胞に頭ヲノットラレル!!! そうなる前にお願い!!!」

 

 

 

 弐号機には人工衛星の起動スイッチがあった。

 それはブラックホール砲ことディオメンションタイドのもの。

 マリはバガンを押さえつけている間にそれを使えということか。

 

 

 世界を救うため。

 アスカは決断した。

 

 

 

「マリ、大好きだよ。」

 

「ケンスケニ、ありがとうと言って…。」

 

「アンタのこと、忘れない。」

 

「アリガトウ…トモダチ…。」

 

 

 アスカは人工衛星の起動ボタンを押した。

 そして、やがてそれは動いていった。

 弐号機は大西洋に避難すると、パリの街に落ちてくるブラックホールをみつめた。

 それは8号機とバガンを包むと全てを飲み込んでいったのだった。

 

 

 

「さようならマリ…。」

 

 

 私の相棒。

 友人。

 真希波・マリ・イラストリアス。

 彼女はブラックホールの中でゴジラの息子とともに消えていった。

 アスカは大西洋に倒れた。

 そして、そのまま気を失った。

 

 

 

 中国。

 絶望を感じていた初号機の前に立ちはだかったゴジラはある事を感じた。

 

 なくなった気配が。

 バガン。

 愚かな同族の気配がなくなった。

 

 死んだのだ。

 

 

 だったら、もう世界の支配はやめだ。

 滅ぼそう。

 この多元世界全てを。

 私の炎で、破壊の光で包み無にしてやろう。

 

 

 ゴジラはそう決意し、雄たけびをあげた。

 怒りの雄たけびであった。

 

 

 

『碇くんみて……あいつの怒りが強くなっていく‥‥。』

 

 

 ゴジラの目の周囲が赤くなっていた。

 背びれも…。

 目は白いままだった、だがその周囲は赤く輝いていた。

 赤い血管が浮き出ていた。

 

 

 どくどく…。

 

 血管を赤い光が伝っていた。

 ゴジラの怒りの炎が彼の血を燃やしていた。

 全身に憤怒と憎悪が溜まっていくのをゴジラは感じた。

 

 

 ゴジラの瞳孔のない目は赤くまるで、マグマのように輝く血管がどくどくと動いていた。

 背びれも、そして肉体を走る血管の1部1部もマグマのように赤くはれ上がっていた。

 

 

 

 シンジにもわかるレベルで音が響いてきた。

 血の色じゃない。

 あれはマグマの色。

 こいつは、まるで歩く火山だ。

 いや、それ以上だ。

 

 

「なんであいつキレてんだ…。」

 

『セカンドがあいつの息子を倒したからよ。』

 

「やばい…。」

 

 

 

 シンジは顔を青ざめた。

 やばい。

 こいつはやばい。

 絶対にやばい。

 恐ろしいことが起きる。

 世界を焼き尽くしてしまうぞ。

 

 

 

「なんなんだあいつ…。」

 

 

 

 ようやく心理攻撃から解放された日向は発令所のモニターをみてうめき声をだした。

 

 

「背びれが赤くなってる……それはあいつが怒っているということだ。」

 

 

 そして、ゴジラは大きな咆哮をあげた。

 それは熱波を放った。

 それは巨大なフレアーだった。

 そこから発生する巨大な爆音が響いた。

 

 

 

 

 

『逃げて!!! 碇くん!!!』

 

 

 

 

 

 

 ふと、周囲の建物が朽ち果てていくのがみえた。

 その熱で。

 

 シンジは慌てて逃げ始めた。

 だが、それを追いかけるように熱波は迫ってきた。

 光の速度で動く初号機を熱波は追いかけるように。

 

 

 

 

「クソ!!!クソッ!!!!!!」

 

 

 

 シンジは走って逃げた。

 こんなの知らないぞ。

 なんでこんなに強いんだ。

 勝てない。

 なんで…。

 

 

 

 

 北京の街は一瞬で焼け吹き飛んだ。

 やがて、衝撃波と熱波は初号機の背中近くまでついてきた。

 

 

 初号機の背中が熱くなった。

 

 

「うっ!」

 

 

 

 その衝撃波と熱波は逃げ回る初号機を追い詰めた。

 やがて、その熱は初号機にも襲い掛かった。

 初号機の装甲を、その熱波は一瞬で溶かしてしまったのだった。

 衝撃波は初号機を吹き飛ばした。

 まるで爆風に吹き飛ばされるハリウッド映画の主人公のように、初号機は中国大陸から吹き飛ばされた。

 

 

 

「うわああああああああああああああ!!! うわああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

 

 全身が焼かれる思いに襲われたシンジは悲鳴をあげた。

 衝撃波で全身に激痛が走る想いがした。

 

 

 ネルフ本部にいるオペレーターが悲鳴をあげた。

 

「中国から強大なエネルギーが…………1兆度あった13号機の9000万倍以上の熱量あります!!!」

 

 

 冬月は震えた。

 1兆度の9千万倍以上。 

 その熱が解き放たれればどうなる。

 宇宙は滅びる。

 その熱で。

 発生する衝撃波で。

 

 

 

 ビッグバンだ。

 

 

 

 いや、もっとすごいかも。

 これがゴジラのいう多元世界の統一。

 世界を焼け野原にするんだ。

 そこには何も残らない。

 あらゆるものと熱と衝撃波で包み破壊しつくし、無に帰す。

 そして憎悪と憤怒があらゆる魂を焼き尽くす。

 

 

 ゴジラは生き残るだろう。

 それでも…。

 

 

 

 

「世界が終わる…。」

 

 

 

 装甲が溶けた初号機も太平洋に落下した。

 もうおしまいだ……。

 世界は終わる。

 シンジは海の中へと沈んでいった。

 

 

 

 名古屋にいたフリッツにもそれはみえた。

 自分が多元世界の闇の中で隠していた数千万のエヴァインフィニティも倒された。

 まるで一瞬で。

 

 

「もう終わりだ…。」

 

 

 

 どの多元世界に行っても同じ。

 奴は世界を焼き尽くす。

 あの炎は全てを焼く。

 

 

 

 ネルフ本部でオルガの兵士たちと戦っていたミサトにもみえた。

 赤い光がネルフ本部を覆っていた。

 熱い…。

 世界が焼き尽くされて行く。

 

 

「シンジ君…。」

 

 

 オーバー・ザ・レインボウ内で白兵戦をしていた艦長もみえた。

 楽天的な彼でもわかった。

 

 

「負けた。」

 

 

 

 ゴジラの怒りの炎と光はすぐさま地球全体を包み込んだ。

 そして一瞬であらゆる物質を焼き尽くした。

 衝撃波でバラバラに砕いた。 

 憎悪のエネルギーで魂すらも焼き尽くした。

 

 

 宇宙を包んだ。

 あらゆる宇宙を、多元世界をその怒りのフレアーは焼き尽くした。

 ファイナル・インパクトがおきたのだ。

 それはビッグバン以上のものだった。

 

 

 

 そして、無になった。

 

 

 

 

 はずだった。

 

 

 

 その時、世界が逆転した。

 ゴジラの周囲の炎と光は逆行していった。

 時間が逆流していった。

 そして、ゴジラの怒りの炎は何かに吸収されていった。

 

 

 

 

 ゴジラは何事かと目を凝らした。

 

 

 

 

 そこにはいた。

 メガギラスが。

 虫の女王はゴジラに襲い掛かってきたのだ。

 彼女はゴジラの胸にその鋭い尾を突き刺した。

 

 

 

『者ども、かかれ!』

 

 

 

 メガギラスの指示のもと、数万体のメガニューラたちが襲い掛かってきたのだ。

 そして、数万のメガニューラはゴジラに尾の針を突き刺すと怒りと狂気と憎悪の熱エネルギーを吸収していった。

 

 

 

『世界の支配者になるべきなのは私だ! お前は私の兵士を奪った! あれは私の所有物だ!』

 

 

 

 メガギラスは叫んだ。

 ゴジラの怒りは失望に変わった。

 そして、ため息のような咆哮を叫んだ。

 それは巨大な衝撃波になった。

 メガギラスとメガニューラの群れはその衝撃波で吹き飛ばされ、塵になって死んでいった。 

 

 

 

 彼女たちが吸い込んだゴジラのエネルギーはそのまま浄化し、何かに吸い込まれて行った。

 ゴジラはそのエネルギーを浄化した主をみつめた。

 

 

『お前だけではないな、メガギラス。お前に時間を逆行する・停止するという能力はない。何よりも余の怒りの力を浄化させるなどできぬ。』

 

 

 ゴジラは別の気配を感じた。

 

 

 

 その気配の主は時を逆転させて、元に戻した。

 ゴジラが中国大陸を焼き払うその数秒前に。 

 彼に怒りを奪い、失望のエネルギーを飢えこんだ。

 怒りは失望に打ち消された。

 

 

 そこにはいた。

 ゴジラの本当の天敵、モスラが。

 

『なあ、我が天敵よ。』

 

 

 白の女王がとうとうきたのだ。

 

 

 

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