破壊神ゴジラvs鬼神エヴァンゲリオン~最終戦争~   作:井上ああああ

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本作に出てくるゴジラは神そのものなので、人間以上の知能を有しております。


第2話:神々の侵略

ミサトと初号機が大阪で反社グループ征伐を行った数週間ほどたった後だった。

いつものようにシンジは事務上の作業をしていた。

 

ネルフでの彼の役割は戦術作戦部作戦局第一課幹部補佐というミサトの部下だった。

しかし、やることはシンクロ率のテストと各種訓練ぐらいのもの。

それが終われば彼がやることは専業主夫であった。

 

これだけでは味足りないシンジは時々チェロの講師のバイトをして食いつないでいた。

 

とはいえ、最近はミサトもほとんど仕事がないため早く帰ってくることがしばしばあった。

二人はネルフ本部で事務作業を行いながら、息子のケントをあやしていた。

彼らがネルフ本部にもいない時は冬月がもっぱら面倒を見る流れになっていた。

 

 

「あーあ…。」

 

彼のデスクはミサトの執務室内に置かれていた。

シンジはふと、自分の座椅子を倒して外の景色をみていた。

 

 

退屈だなあ。

使徒がいる時には信じられなかった。

ふと、そんなシンジをみてミサトは尋ねた。

 

 

「どうしたの?」

 

「なんか、あんなロボットばかりじゃつまらないなって思って。」

 

 

 ロボット。

 最近、様々な組織や国がエヴァのまがい物のようなロボットを生み出している。

 ミサトが加持に教えてもらった情報によれば、中国ではエヴァ以上に巨大なロボットがいるという話である。

 さらにアメリカではとんでもないものができていると…。

 

 

 

 

 

「まさか、アンタ…使徒が恋しいとでも?」

 

「そんなわけじゃないけどさ。」

 

 

ミサトは微笑むと、デスクから立ち上がった。

そして、シンジの体を包み込むように後ろから抱きしめた。

 

 

「また、そうやって面倒な事務仕事降ろうって考えてる?」

 

「いいえ、あなたを抱きしめたいから抱きしめに来ただけ。」

 

 

シンジは整った前髪をデコのあたりに少したらしていた。

雑誌でみた髪型らしい。

ふとミサトは気が付いた。

シンジはまだ、細身であるが少しだけ筋肉がついてきている。

まだ、これについてはミサトの方が勝っているが…。

 

 

「もうすっかり、大人のいい男。」

 

 

 でも声は昔の高いまま。

 それがたまらない。

 中世的な見た目も相変わらず。

 

 

 

 

「あなたは相変わらず奇麗なお姉さん。」

 

 

 シンジはミサトの顎に優しく振れた。

 今はシンジも大人、以前はミサトにされっ放しだったがもう違う。

 それにしてもやはりミサトさんは今でも美人だ。

 

 

 

「今なら冬月さんもいない、誰もいない。」

 

「邪魔者はいないわね、私とあなただけ。たっぷり時間が許す限りあなたを私だけの物にできる。」

 

 

 ミサトは微笑んだ。

 そして、いたずらにシンジの膝の上に飛び乗った。

 

 

 

「その笑顔も、すてきな目も私だけの物。」

 

 

 

 ミサトさん、まだ僕を少年扱いしてる。

 でも違う。

 

 

「もう僕は子供じゃないんだよ、ミサトさん。」

 

「だったら、大人らしいとこみせてくれる?ボーヤ。」

 

「みせてあげるよ。」

 

 

 そういい、シンジはミサトの頬にふれ口づけをしようとした矢先だった。

 

 

 

 プシュンッ

 

 

 ドアが開いた。

 その先には赤木リツコがたっていた。

 

 

 

「あら、二人とも。」

 

 

 ミサトは舌打ちをしてリツコを少し睨んだ。

 シンジは咳ばらいをして、顔を少し赤くした。

 

 

「リツコさん、お帰りなさい。」

 

「何しにきたのよ。」

 

「まあ、まあそんな怖い顔しないでよ。ああ、ミサト頼まれていたエヴァ各機のステルスモードだけどもうできたから。あとはクレーム処理よろしくね。」

 

「あっそ。」

 

 

「それ以外にも教えたいことあるの。聞かない?」

 

 

 リツコはジェラルミンケースを開けた。

 そこにはファイルがあった。

 

 

「南太平洋にいった出張、実りはあったわ。使徒ではなかったけど、それに準ずるパワーはあるわ。」

 

 

 そうか、こいつは出張にいっていたんだ。

 ミサトは思い出すと、ファイルを開いた。

 ミサトの横に立つと、シンジものぞいていた。

 そこにはオルメクやマヤ文明を彷彿とさせる遺跡があった。

 次のページを開くと、海の近い洞窟があった。

 その周囲には繭あるいは蛹らしきものがあった。

 大きさは30mほどだ。

 

 

「これは…。」

 

 

「レイ曰く、何かの蛹じゃないかって。」

 

 

「蛹?何の…。」

 

 

「一つだけいえることは、それからはパターン青は反応しなかった。その代わりに微量の放射能・電気があったってことは言えたわね。それに次の写真をみて。」

 

 

 次の写真では周囲が夜に包まれているのがみえた。

 その中を蛹は光輝いていた。

 その色は水色で美しくみえた。

 

 

 

「まるで、蛍のよう…。」

 

 

「そう、蛍…でも蛹の近くにある皮膚の1部を採取して検査してみたところ、驚くことにこれらはアダムやリリスとは違うものだったの。」

 

 

 アダム、使徒たちの父。

 リリス、我々地球生命体の母。

 

 

 

「じゃあ…これは…別の惑星の存在?」

 

 

「あるいは私たちに似た世界からきたのかも。」

 

 

 

 ミサトはファイルをみた。

 そこには壁画があった。

 大きなトカゲの怪物が数体の巨人を押さえつけ、蝶々らしきものがそれに対峙している。

 それを人々が天を仰いでいる。

 

 

 これだけならまだいい。

 

 

 そこに映る巨人はエヴァ初号機に似ていた。

 

 

 

「なにこれ、これってまさか…エヴァ!?」

 

「わからない…ただ一ついえるのはここの住民の神話の中である言葉が流れていた。」

 

 

 

 リツコはふとコーヒーを飲んだ。

 

 

『黒き王が海のなかから来る時、白き女王が立ち上がる、それに続いて巨人も立ち上がるが、黒き王に負けるであろう。やがて天から金の悪魔がやってきて、黒き王との最終戦争がおきる。かくして宇宙は再び無になる。黒き王のみが生き残る。』

 

 

 

 シンジとミサトは真剣に聞いていた。

 そんな二人をリツコは微笑みで返した。

 

 

「ただの迷信よ。」

 

 

「そうかしら。」

 

 

 シンジは考えた。

 

 大阪でのあの時、何か海の底に何か嫌なものがあるように感じた。

 遠い海の底、何かが蠢ているように感じた。

 

 

 それが何なのかわからない。

 

 

 

 

「どうしたの、シンジ君。」

 

 

「ボク…感じたんです。海の中で何かがいるって…とてつもない巨大な何かが迫ってくるんじゃないかって…。」

 

 

 

 黒き王。

 海から来る黒き王。

 もしも、それが実在してこの壁画が未来を予知するものであったのなら…。

 世界はどうなるのだろう。

 

 

 

 

「シンジ君、それは鯨か何かじゃないの?」

 

 

「いいえ、何かエヴァより大きな…使徒でもない。それより大きな何かが来そうな気がしたんです。」

 

 

 

 ふと、シンジのPCの画面にカヲルがうつるのがみえた。

 シンジは画面に駆け寄った。

 

 

「カヲル君?」

 

 

「ああ、シンジ君。今宇宙から帰ってきたところなんだ。結構すごかったよ。」

 

 

 リツコとミサトもシンジのモニターに顔を近づけた。

 カヲルはファイルを開くと、写真をみせた。

 

 

「まずはこれ。」

 

 

 そこには大きなピラミッドがあった。

 ピラミッド、なぜ火星なのにピラミッドがあるのか。

 

 

「僕たちはこのピラミッドの中に入った、すると…何があったと思う。」

 

 

 カヲルは別の写真をみせた。

 そこにはエヴァを彷彿とさせる壁画があった。

 

 

 

「ちょっと待ってこれって!」

 

 

さっきみた南太平洋の遺跡と同じもの。

 

 

 

「エヴァみたいだろ。」

 

「そのものだよ。」

 

「この宇宙には別の生命体がいるんだ、恐らくは…。」

 

 

 リツコはピンときた。

 

 

 

「第一始祖民族。」

 

 

 

ゼーレは彼らが書いた死海文書をもとに計画を進めた。

エヴァンゲリオンもその中にあったと言われている。

人類の進化のための補完計画。

本当の目的は別にあったのかもしれない。

 

 

「シンジ君、この宇宙には僕たちの知らないことが山ほどある。きっとボクたちを産んだ起源である第一始祖民族もどこかにいる。」

 

 

 カヲルはそういった。

 それにシンジは返した。

 

 

「でも、なぜそこまで大きな文明を持った彼らが滅んだんだろう…。」

 

 

 ミサトはふと気が付いた。

 

 

「滅んだのじゃなくて、滅ぼされたのじゃないの。」

 

 

 この壁画と予言はおそらく‥‥第一始祖民族が経験したこと。

 彼らの魂の1部が地球にいるのか。

 

 

 

「誰に滅ぼされたんだろう。」

 

 

 シンジは聞いてみた。

 ミサトとリツコはファイルの中にうつっていた大きなトカゲの壁画をみた。

 

 

「黒き王…。」

 

 

 考えられるのはそれだけしかない。

 4人の考えは同じだった。

 

 ミサトはふと考えた。

 私たちがようやくつかんだ情報、これらはすでにアメリカ政府や中国政府が手に入れているのではないだろうか。

 もしも、そうであるなら…私たちネルフは彼らの手で踊らされているということになる。

 エヴァと同等以上のスペックを持ったロボット兵器、これが実在するというならすべてはこの『黒き王』に対する予防策だったのだろうか。

 あるいはエヴァの建造を第一始祖民族たちが模索していた理由は、人類補完計画を行おうとしていた本当の目的はこの『黒き王』を倒してほしいからなのか。

 ミサトは腕を組んで考えた。

 

 

 

 

 一方、託児所。

 そこではシンジとミサトの子供、葛城ケントがいた。

 ケントの名前の由来はシンジがみていたアメリカンコミック原作の映画からきたもの。

 綾波レイはそこでケントの面倒をみていた。

 

 

「れいれい。」

 

 

 2歳児になったケントは歩きまわるが言葉を完全にまだ発する事ができない。

 レイはしゃがむとケントを抱き寄せた。

 ペンペンをいつも抱いているやり方でケントの尻と背中を優しくつつみこんだ。

 

 

 

「暖かい、これが生きているということ。」

 

 

 レイはシンジのことが好きだった。

 だが、シンジはミサトのことが好き。

 恐らく崩すことはできないだろう。

 このレイの胸元にいる幼児は未来をつなぐ大事な物。

 ふとレイは考えた。

 

 かつて碇司令は自分を育ててくれた。

 そこには何かしらの野心があったのかもしれない。

 だが、彼女は知っていた。

 

 碇司令は自分を娘のように思っていた。

 それが、なんであれ自分を娘のように愛してくれていた。

 

 それには今でも感謝している。

 

 

「あら、綾波さん。」

 

 

 声がした。

 洞木ヒカリ。

 今でも一緒に住んでいる、家族。

 

 

「洞木さん。」

 

「ふふ、今でも苗字で読んじゃうわよね。」

 

 

 洞木ヒカリ。

 今はネルフの託児所で先生をしている。

 本当であれば今は亡き鈴原トウジと付き合っていた、あるいは結婚していたのかもしれない。

 

 ヒカリはレイが赤ん坊を抱っこしているのをみて微笑んだ。

 

 

「抱き方が様になってきたわね。」

 

 

 ヒカリの家で何度も親戚の娘を抱っこさせてもらったその影響、それが綾波レイには出ていた。

 

 

「この子、碇君の子供。」

 

 

「そうよ。」

 

 

「碇くん、苗字は変わったけど私の中では碇くんのまま。」

 

 

「私もついついそう呼んじゃうわね。馴れって怖いわね。」

 

 

 ヒカリはレイに微笑んだ。 

 だが、レイは笑っていなかった。

 

 碇司令の息子、碇シンジ…。

 彼に優しく接された時、自分を心配してエントリープラグまで来た時胸が熱くなった。

 その時、これが恋なのだとわかった。

 だから、今でも彼のことを碇くんといってしまう。

 自分の中では、葛城一佐のことは、上司として尊敬・信頼している。

 だけど、碇くんは永遠に自分の中では碇くんなのだ。

 

 やはり、自分は今でも彼を愛している。

 

 だが、なんとなくだが、曖昧にわかってしまう。

 自分と碇くんは恋人になることはできない。

 

 

 彼女はまだ漠然とわからなかったが、どこかでシンジと自分には何かの絆がある。

 それはよくわからないが、愛し合ってはいけない絆。

 それがシンジと自分の中にある。

 もしかしたら、自分と碇くんは兄妹に近いのかも。

 だったらこの子のおばさんになる。

 

 碇司令との絆はまだ消えていない。

 私の心が尽きるまで、その絆は消えることはない。

 

 それを守ることができるなら・・・私はエヴァに乗り続ける。

 

 

「人は子供を産み、未来をつなぐ。その架け橋に私はなる。」

 

 

 レイは言った。

 ヒカリは驚いた。

 こんなにおしゃべりな綾波レイをみるのは初めてであったからだ。

 

 

 

 

 

 

 ベルリン、ネルフEU支部。

 支部長である加持リョウジはコンピューターを開いていた。

 ふと、彼のアカウントにある男からメールが届いているのがみえた。

 疎遠となったダニエル・ソーンバーグに代わる協力者のものだ。

 

 

『中国で作られている巨大ロボットの件。』

 

 

 加持はマウスを動かし画像リンクを開いた。

 そこには『金剛』と書かれた巨大な金色の鎧をつけた巨人の如き姿をしたロボットがあった。

 両腕や肩はまるで重量挙げ選手のように太く逆三角形の体をしていた。

 身長は555m 体重100万トン。

 とんでもないでかさをしているようだ。

 そして、加持はリンク付けされていた動画ファイルをクリックした。

 

 

 そこにはあのゼルエルがより巨大化したものがうつっていた。

 それの前方に金剛がいた。

 

 

「中国は使徒のクローン化まで成功していたのか。」

 

 

 加持は舌を噛んだ。

 あれほど苦労した使徒。

 なぜクローン化するんだ。

 人の欲望は尽きない。

 その欲望はいい方に行けば成功につながるが、悪い方に行けばとんでもないことになる。

 これは後者だ。

 

 

 ゼルエルは光線を放った。

 だが、金剛はびた一文ときかなかった。

 

 そしてゼルエルはすぐさま何百枚となるATフィールドを放つと、金剛を押しのけた。

 金剛は両腕をクロスするとその衝撃波に耐えた。

 やがて、金剛は信じられないスピードでゼルエルにとびかかるとその腕を振るいATフィールドを簡単に突き破った。

 やがて金剛の剛腕はゼルエルの腹部を突き刺し、バラバラに引き千切り始めた。

 

 巨体・それに似合わない異常なスピード…。

 何よりも素手でATフィールドを破れる怪力。

 

 これがもしも、実用化になればエヴァは勝てるのだろうか。

 否、最初からエヴァなど相手にしていないのかも。

 使徒でも倒せるのだから…。

 

 

 だとすれば、もっとそれ以上の敵を想定したもの。

 

 

「連中は一体何を考えているんだ。」

 

 

 ふと、加持の執務室にアスカが入ってきた。

 

 

「エヴァ二号機のステルス化成功したわ。」

 

 

 アスカは白衣を着ていた。

 元々14歳で理工学系の大学を首席で卒業した知能の持ち主、リツコのちょっとした指示があればアップグレードはアスカにも可能なようだ。

 

 

「お疲れアスカ。」

 

 

「それ、いわゆる中国の対エヴァンゲリオン兵器?」

 

 

「一応はそうだが、目的は別だろうな。」

 

 

「っていうと?」

 

 

「エヴァ・使徒…あるいはそれ以上の存在を見越してのものかも。」

 

 

「それって?」

 

 

「俺にもまだよくわからん。」

 

 

 きっと、何か使徒以上の者が迫ってきているのだ。

 今度こそ、生き残れないかもしれない。

 加持はパソコンを睨みつけた。

 

 

 

 ベルリン郊外。

 相田ケンスケとエヴァ8号機パイロットのマリが同棲している部屋。

 マリは目を覚ました。

 同じベッドの横には恋人のケンスケがいた。

 彼女はそっと恋人を起こさないようにベッドから抜けると、そのまま服を着始めた。

 そして、アイスココアをいれてバルコニーに立った。

 

 

「来る。」

 

 

 マリは思わず言った。

 何が来るかわからない。

 だが、オリジナルのマリの血が流れている自分の中で何かが蠢いていた。

 自分は所詮オリジナルではない、クローン。

 だが、わかることがあった。

 

 

 

「何かが来る。」

 

 

 終焉がやってくる。

 それは大きく巨大でとてつもなく強いもの。

 エヴァではかなわないかもしれない。

 

 

 マリの手は徐々に震えが始まっていた。

 

 

 ふと、同じくバルコニーにケンスケがやってきた。

 

 

「マリ、どうしたんだよ…。」

 

 

「わからない、でも…私の中にあるオリジナルのマリの記憶がざわざわとさわいでるの。」

 

 

「君はクローンなんだっけ?でも俺そういうの気にしないよ、マリはマリ。それ以外の何物でもないよ。」

 

 

「ありがとうケンケン。」

 

 

「そんなことより、写真撮って売っていい?」

 

 

 

 ケンスケは道化じみた顔で言った。

 だが、マリは笑わなかった。

 真剣そのもの。

 ケンスケは微笑むと、マリの手からココアを盗んだ。

 

 

「あっ!!!それ私の!!!」

 

「へへーん、いただき!!」

 

 

 マリはわかっていた、ケンスケはこうやって私を戦いから遠ざけようとしてる。

 その優しさがマリにはありがたかった。

 だが、なんなのだろう。

 この嫌な予感は。

 何かとんでもないものがせまってきているその寒さをマリは感じていた。

 

 

 

 

 

 

 彼らの答えを知る物は海の底の先にいた。

 

 

 

 

 

 マリアナ海溝。

 地下深く、誰にも見つからないそこには次元間の亀裂が徐々に深まっていった。

 最初は数m、しだいに100m、やがて6㎞まで達していた。

 その先には別の世界があった。

 

 それは現実と虚構が混じった世界であった。

 

 かつて文明があったその世界は青白い炎を吐く龍の王が昼夜問わず支配していた。

 その青白い炎の持ち主はその世界の支配者であった。

 

 

 第一始祖民族は彼らを「怪獣」と呼んだ。

 そして、彼らには支配者であり王がいた。

 

 第一始祖民族はその存在を破壊の神として恐れた。

 

 

 彼の名前はゴジラ。

 

 

 かつて彼に対抗する怪獣も多くいた。

 だがその恐怖と暴力で支配し、配下に加えた。

 長い間天敵であったギドラも殺してその死体を宇宙の果てに放り投げた。

 公害物質を吸うへドラは焼き殺して処分した。

 誰も彼に逆らうものはいない。

 

 彼は文明を嫌っていた。

 文明、その力さえなければ今ごろ自分はただの恐竜だったはず。

 それがある日違うようになった。

 

 やがて、それが知能を持つ文明を持った生命体によるものと知った。

 そして、世界中を滅ぼした。

 それ以来、彼は文明の力を嫌悪し憎悪し破壊した。

 

 

 第一始祖民族たちはそれを恐れ、彼らに対抗すべく白い虫を生み出した。

 

 

 空を飛ぶ白い虫のような怪獣がその命をかけたエネルギーを発し、ゴジラたちをこの別世界に誘い込んだ。

 罠にはまったゴジラたちが気づいた時には遅かった。

 別世界に送られていた。

 そして、のなかで46億年以上の時を過ごした。

 

 

 そして、今…天敵であった白い虫の魂は消えた。

 それは生まれ変わりを意味するものであった。

 だが、力は衰えた。

 

 

 

 

 こざかしいことに第一始祖民族もまた、自分たちが滅びる間際に二つの種を放った。

 

 

 

 この流れ着いた多元世界の先の先ではゴジラは太陽すらも焼き、月すらも破壊した。

 宇宙に並ぶ他の星々も瞬く間に破壊した。

 それらの破壊のエネルギーを捕食した。

 そして、次元間の歪みに向かって何度も何度も熱線を放った。

 

 

 

 

 その結果、彼らとは関係ない世界も複数破壊した。

 

 

 それで構わなかった。

 死んだ魂たちは支配者の胃の中におさまった。

 ガフの扉ではなく。

 

 

 ゴジラの放った死の光線は時空を超え、空間を越えた。

 そして、彼の熱線は戯れに様々な惑星・世界を破壊しその生命体の魂をゴジラに捕食させた。

 彼の胃の中に何百何万何億という魂たちが怒り・恐怖・怨念の声をあげながらこだましていた。

 

 

 

 彼の近くに茶色の肌をした同族の血を分けた部下がきた。

 バガン、ゴジラと天敵の混ざった人工生命体。

 文明を持つ輩はこのような蛭子すら生み出したのだ。

 この醜い存在をゴジラは嫌ったが、忠実であるため傍に置いていた。

 

 

 彼は後部をみつめた。

 そこには三つの怪獣の王たちがいた。

 

 無数の虫の兵士たちを持つ、女王メガギラス。

 破壊本能だけの赤い生命体、デストロイア。

 ゴジラとの血に依存した高度知能生命体の成れの果てであったオルガ。

 

 

 バガンを含めると、彼らはゴジラに使える四つの幹部。

 彼らは別に自分たちの部下がいた。

 ゴジラは王の上にたつ、王…すなわち怪獣たちの皇帝であり神であった。

 

 

 高い知能を持つ半分機械・半分怪獣のガイガンはオルガの補佐であった。

 メガギラスと忠実な子供であるメガヌロン・メガニューラたち、フェロモンに付き従ったカマキラスの群れは何万といた。

 デストロイアの分身たちはいつでも主人の指示を待っていた。

 それだけではなかった、ゴジラの破壊の力に付き従った彼らより小さな魔物・魑魅魍魎が蠢きながら皇帝たるゴジラの指示を待っていた。

 

 

 

 だが、ここにいる彼らは皆ゴジラを恐れている。

 敗北は死を意味している。

 中にはゴジラに変わろうとする野心家もいた。

 

 ゴジラはあえてその野心家たちを利用していた。

 

 

 ゴジラは天を睨んだ。

 そこには空間の歪みがあった。

 ゴジラの体の4倍はある大きさの亀裂。

 

 

 やがて見つけた別の文明を持つ世界をゴジラは滅ぼして乗っ取った。

 この先には別の文明を持った多元世界がある。

 

 

 

 滅ぼそう。

 この多元世界にわたる文明、すべてを滅ぼさない限り…我に平穏などないのだ。

 怒り・憎悪・狂気・憤怒…何億何兆という憎悪のエネルギーが無限にゴジラを満たしていた。

 

 

 ゴジラは雄たけびをあげた。

 その雄たけびは地面を揺らした。

 侵略の合図、狼煙であった。

 

 それにこたえるがごとく、怪獣・魑魅魍魎たちは雄たけびをあげた。

 あるいは殺戮のため、野心のため、忠誠心の照明のため。

 理由はあれど、破壊を求めていた。 

 ゴジラは彼らの皇帝であった。

 

 

 ゴジラの喉は震えると、口から大きな青白い光線を放った。

 光線は次元の裂け目にぶち当たると、大きな穴をひらげた。

 

 やがて、裂け目は彼ら怪獣の軍隊を迎え入れた。

 

 今かれらはシンジたちのいる世界を滅ぼそうと突き進んだ。

 その世界は第一始祖民族が我らと彼奴らの世界を融合させて生み出された世界。

 奴らは滅んだ。

 その世界も1度は滅んだ。

 

 だが、再生されて生み出さている。

 そんなことは許さない。

 あの世界は自分が住んでいた、自分が愛した世界がベースになっている。

 それを土足で踏みにじるのは許さない。

 

 

 

 今、第一始祖民族へ最後の復讐は始まったばかりなのだ。

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