破壊神ゴジラvs鬼神エヴァンゲリオン~最終戦争~   作:井上ああああ

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死にネタ注意



第4話:ゴジラvsエヴァ初号機

 ゴジラの香港襲撃から30時間後。

 

 中国で起きた大破壊は瞬く間に全世界に放送された。

 世界で一番大きな超高層のお披露目とともに、おきた世界最悪の最悪。

 ユーラシア大陸の南半分が文字通り消えてしまったのだ。

 中国大陸も南部はそのほとんどが欠けた状態となった。

 

 香港からインドシナ半島までは熱風と衝撃波で壊滅的状況となった。

 台湾とフィリピンではその余波のせいで500mの津波が襲い、さらに被害を及ぼした。

 

 

 何億というヒトが一瞬で消えた。

 死ぬことすら認識できず。

 

 

 一時はアメリカの核攻撃ともささやかれたが、その全体像はようやくわかった。

 

 

 シンジはその光景を第一発令所でみてしまった。

 震えた。

 これが次の敵。

 ゴジラ、怪獣の王であり破壊神。

 

 

 

 映画の世界の中の存在であったゴジラが上陸をしたのだ。

 ゴジラ、2004年に映画製作が終了した日本を代表する怪獣映画シリーズ。

 虚構の存在だったはず。

 

 ミサトに発令所に呼び出されたシンジは大画面でその光景をみた。

 黒い岩肌の怪獣は様々な怪獣を呼び寄せていた。

 以降、映画の怪獣名に基づき名称がなされた。

 

 ゴジラの放った熱線は太陽系のほかの惑星にも降り注いだ。

 本来ならばとんでもない超新星爆発級のエネルギーが降り注ぐはずだが、ゴジラはそれを吸収したのだ。

 

 

 他の職員は顔を青ざめていた。

 恐怖、混沌…。

 それらが混ざっていた。

 誰もが同じことを考えていた。

 こいつは使徒以上だ。

 

 

 第三新東京のみを狙った使徒と違う。

 ヤツは明確に、無目的に破壊を行う。

 

 

 

 第一作戦室ではミサトが腕を組んでいた。

 

 

「ヤツは強すぎる。」

 

 

 エヴァで勝てるのか…。

 だが、今ヤツに敵う戦力はエヴァしか存在していない。

 恐らくは初号機だけ。

 

 

 会議室では冷静なリツコや冬月も顔を青ざめていた。

 もしも、碇ゲンドウが生きていれば顔を同じく恐怖で青ざめていただろうと冬月は思っていた。

 軽薄なミドリも明らかに恐れていた。

 

 

 だが、一人だけ違う人間がいた。

 日向だった。

 日向は正直、胸の高鳴りがとまらなかった。

 ミサトへの愛ではない。

 

 

 怪獣!?いるんだ!!!

 ゴジラ‥‥。

 子供のころ、親父がよく連れてってくれた。

 しかも、脇にはデストロイアがいるじゃないか!!!

 メルトダウン起こしてたゴジラに挑んでたやつ。

 

 

 モニターの中でゴジラに頭下げてるよ。

 嘘だろ?!

 宿敵じゃないのかよ。

 

 

 あ、もしかして・・・ゴジラに負けて完全降伏したとか。

 

 

 

 マジかよ…。

 でもなんで…。

 実はゴジラ大好きだったんだよ。

 映画の世界だけの存在だろ!?

 

 

 

 これってもしかして…ラドンもいる!?

 

 

 あっそうだ。

 確か世の中には「多元宇宙論」ってのがあるんだっけ。

 その中には「虚構実在論」ってのがあるらしい。

 マジ!?マジ!?マジ?!マジ!?

 

 

 

 やばいやばい、俺テンション上がってるかも。

 なんていえばいいんだろう。

 うわー葛城さんすげーカッコいい顔してるよ。

 

 

 

 やばいやばい、こういう時は深呼吸して…。

 

 

 

「そ、その赤いやつはで、デストロイアっていうんですよ!!!」

 

 

 

 会議室にいる全員は日向をにらんだ。

 

 

 

「あ、すんません。」

 

 

「じゃあ、赤いやつはデストロイアで。」

 

 

 ミサトは冷静に言った。

 冬月は尋ねた。

 

 

 

「脇にいるトンボはなんだね。」

 

 

 

「メガギラスです・・・えーそいつはメガヌロンってヤゴから成長するんですよ。でもこいつがいるとしたら厄介ですよ。こいつ人食うから。」

 

 

「なにっ!!!」

 

 

 冬月は日向をみた。

 なんで俺が怒られてるんだよ。

 

 

「ちなみに、その横にいる腕がでかいのはオルガです。こいつは超能力が使えるんですよ。」

 

 

「厄介だな…。」

 

 

 みんな真剣だよ!!!

 ちょっと・・・なんなんだよ!!!

 ミサトは真剣な表情で日向をみた。

 

 

「日向君、もし詳しいならこいつらの能力とかまとめて書類にしてくれない?それ参考にするから。」

 

 

「えっ!あっ!はい!!あっそうだ‥ゴジラは確か…強いけど色々弱点もあったりします。確か寒さが苦手だったり…。」

 

 

「日向君、そういうことをまとめて書類にしてくれる。大至急。頼りにしてるわよ。」

 

 

「は、はいっ!」

 

 

「ミドリさんも彼の手伝いお願い。」

 

 

「了解!」

 

 

 日向とミドリはそろって、作戦室から出ていった。

 冬月は苦笑した。

 

 

「君もなんだかんだで彼らをうまく扱う方法がわかってきたみたいだな。」

 

 

「え?」

 

 

「それを成長というんだよ、流石だ葛城くん。」

 

 

 冬月司令に褒めてもらえた。

 ミサトはちょっと照れ笑いをした。

 そんな時だった。

 

 

 シンジが入ってきた。

 プラグスーツを着ていた。

 

 

「やるんだよね、ミサトさん。」

 

 

「シンジ君。」

 

 

 やる気満々だ。

 目は闘志に燃えて赤くなっていた。

 

 

「待って、シンジ君。今情報を集めているから…。」

 

 

「今ヤツは香港からでて、上海近くにいる、でも日本に来るのは時間の問題だ。それに移動を開始した。知らない!?」

 

 

 シンジはスマホをみせた。

 そこにはゴジラがゆっくりと動き始めているのがみえた。

 スピードが遅いのはヤツの弱点か。

 

 

 

 

「僕はあいつより大きい相手を倒したことがある。やれるよ。今の僕は経験を積んだ。14歳の時よりはるかに強い。やるよ。」

 

 

 

 日本に来る。

 ということは、息子のケントもペンペンも餌食になる・・・。

 僕は僕の家族を守るためにやる。

 

 

「葛城一佐、ヤツを倒すんだ。今すぐに。エヴァ初号機でしかヤツは倒せん。」

 

 

 冬月は真剣な表情で言った。

 それしかないか‥。

 

 

「では、発信準備を!」

 

 

 ミサトは決断した。

 シンジは向かおうとした。

 その矢先だった。

 

 

「待って。」

 

 

 シンジは立ち止った。

 そして、振り向いた。

 ミサトはシンジに近寄り、無言でキスをした。

 

 

「生きて帰ってきて。」

 

 

「うん。」

 

 

 冬月はみていた。

 こういう時は止めないほうがいい。

 死を覚悟しているのだから。

 

 

「死ぬなよ、サード。いいやシンジくん。」

 

 

 冬月は言った。

 シンジも無言でうなづいた。

 

 

 そんなシンジをとめる男がいた。

 青葉シゲル。

 シンジの兄貴分。

 

 

「いくのか?」

 

 

 顔が心配そうだ。

 

 

「うん。」

 

 

「あいつは強いぜ。勝てるのか。」

 

 

「ボクがやらなきゃ誰がやらない、だから僕がやる。心配しないで。」

 

 

 シンジはそういい、背を向けた。

 若いスタッフの多くはシンジに敬礼をしていた。

 

 

 ありがとう青葉さん。

 心配しているんだ。

 でも、ボク以外にできる人はいない。

 

 

 シンジはケイジに向かっていった。

 

 

「シンジくん…。」

 

 

 その時、青葉は気が付いた。

 シンジは勝てない。

 恐らく、桁が違いすぎる。

 もしも俺が、彼なら泣いて逃げている。

 そうしてもいいのに、あの子は…。

 

 

 シンジは初号機に乗り込んだ。

 やがて、紫色の初号機は起動を開始した。

 エントリープラグの中でシンジは母を思い出した。

 

 

 初号機の中には母さんがいる。

 碇ユイ。

 使徒がいなくなった今でも、動いてくれるのはこのことをわかっていたからなのかな。

 

 

「母さん…。」

 

 

 シンジは初号機のプラグを優しくなでた。

 この初号機は母そのもの。

 ボクの戦いは母さんとの思い出。

 

 

「ボクは初号機パイロットだ。」

 

 

 シンジは決意した。

 この世界はボクが守る。

 

 

 S2機関を取り入れ、F型装備となった初号機。

 そして、その初号機はさらに増強した。

 身長500m以上に。

 ATフィールドも何万枚とはれる。

 腕力も600万トン以上の物を持ち上げられるようになった。

 

 

 

 ヤツに負けるはずがない。

 

 

 

 

 シンジの決断から数時間後。

 13号機の破壊で大きな傷をおった上海は2年のスピードで第三新東京を模した要塞都市に変貌した。

 しかし、相手が悪かった。

 

 

 まずはメガギラス率いる空中部隊が先陣を切った。

 100万以上あるメガニューラの群れは上海の人々を次々と食い殺した。

 また、中国軍の勇敢な兵士たちも次から次に食い殺されていった。

 彼女のフェロモンで誘惑されたカマキラスの群れは無慈悲な虐殺を楽しみ、次から次に血祭にあげていった。

 メガギラスの音速を越えたスピードは要塞都市の砲撃を翻弄、300mの巨体と鋭い爪によるショックウェーブで次々に破壊した。

 

 

 

 その後、デストロイアがきた。

 800mの剛力と巨体は、上海守護にきた巨大ロボット「金剛」の複製品を造作もなく破壊した。

 それはオリジナルより小柄で貧弱であったが、確かな強さがあった。

 そして、口から破壊光線を振るうとその猛威ですべてを破壊しつくした。

 

 

 都市部に対するハッキングをオルガは行い、電気・水道・熱をとめた。

 コレで補給はできなくなった。

 ガイガンはあとにつづくとその鋭いカマで上海の建造物を切り刻んでいった。

 

 バガンは中国軍の戦車隊をまとめて踏みつぶした。

 やがて、600mあった上海中心タワーをみると、まるで細い木を折るようにその腕力でへし折った。

 

 

 かくして、ゴジラの玉座はできた。

 

 一番遅くゴジラはたどり着いた。

 ゴジラの下僕たちは、ガレキの山と化した上海を彼らの支配者に献上した。

 

 

 だが、彼にもわかっていた。

 この地球で一番強い存在が来る。

 

 先ほどの金色の物とは倍以上の力を持った本当のこの世界での最強の存在。

 格が違う。

 

 ゴジラの中にながれるゴジラ細胞の数々は、強い存在にあわせて自己進化・強化ができる。

 来る。

 ゴジラの筋肉はより太く細かく強くなっていった。

 

 

 

 怪獣たちの支配者は雄たけびをあげた。

 

 

 

 貴様らはそこでみておけ。

 

 

 

 

 部下たちは動きをとめた。

 そして、ゴジラから離れあるものは山へあるものは海へと避難した。

 そこへ初号機は降り立った。

 

 

 

 紫色の鬼神。

 人類の守護者、そして地球最大の力をもつもの。

 エヴァ初号機は上空3㎞から降りると、片腕をついた。

 

 

 大きな地割れと地鳴りが起きた。

 ゴジラはその地鳴りに反応せず、ただ淡々と静かに初号機をみていた。

 

 

 その様子を人工衛星と撮影用のドローンでみていたネルフスタッフは誰もが感じていた。

 発令所には青葉・マヤ・日向はいなかった。

 今や管理職。

 彼らのほとんどはデスクワークになっていた。

 

 

 代わりにいるのは阿賀野カエデ・大井サツキ・最上アオイの3人。

 彼女らもかつてのオペレーターたちから技術は受け継いでいた。

 そんな彼女たちも震えあがっていた。

 

 

 ミサトは思わずつぶやいた。

 

 

 

「まるで王みたい。」

 

 

 

 土煙は消えた。

 初号機の目は赤く光輝いた。

 辺りはすっかり夜だ。

 

 

 

「お前が元凶か。」

 

 

 

 シンジはつぶやいた。

 そして、その手にはビザンオオフネが輝いていた。

 エヴァと同様に、それも強化されていた。

 1000mほどある。

 ゴジラの黒い岩肌、そして瞳孔のない白目は怪しく輝いていた。

 その大きさは初号機の3倍以上ある。

 

 

 

 その時だった。

 

 

 シンジは背後に気配を感じた。

 

 

 

 ぐぎゃあああああああああああああ!!!!

 

 

 

 赤い怪物が迫ってきた。

 その大きさは初号機の2倍はあった。

 

 

「デストロイアだわ!」

 

 

 ミサトの悲鳴が聞こえた。

 

 だが、シンジは冷静だった。

 デストロイアの攻撃を避けると、ビザンオオフネで首を切り落とした。

 

 

 

 黄色い血がデストロイアから噴き出た。

 胴体はそのまま動かなくなっていった。

 

 

 シンジはそのままゴジラをにらんだ。

 

 

 次はお前だ。

 そういわんばかりに、デストロイアの生首を蹴りとばした。

 

 

 ゴジラはその様子を黙ってみていた。

 まるで知ったことではないように。

 そして、足元に転がったデストロイアの生首を踏みつぶした。

 

 

 

「覚悟しろ!」

 

 

 

 

 やがて、ゴジラと初号機の両者の間に緊張が走った。

 沈黙が数分支配したのち、シンジは駆け出した。

 

 

 

「いくぞおおおおおおお!!!」

 

 

 そして、空中に向かく高く飛んだ。

 ヤツは生物。

 だったら目と頭が弱点のはず!!!

 

 初号機はビザンオオフネを構えると、ゴジラの頭と目めがけて切りかかった。

 

 

 ざくっ。

 

 

 音が聞こえた。

 ゴジラの目と脳味噌にビザンオオフネはあたった。

 そして、切り刻み初号機は地面に着地した。

 手ごたえはあった。

 

 

 

「やったか!」

 

 

 誰もが思った次の瞬間だった。

 シンジは気が付いた。

 そして、ようやくわかった。

 

 

 

 ビザンオオフネは割れていた。

 かけていたのだ。

 

 

 

 

「そんな!」

 

 

 ふとみると、ゴジラの頭と目にはダメージすらついていなかった。

 無傷だ。

 バカな…。

 

 

 ビザンオオフネがゴジラの目と皮膚の固さに耐えられなかったのだ。

 

 

 

 

「13号機だって傷つけたこれが…まさか…。」

 

 

 

 

 ゴジラは初号機をじっとみていた。

 まるで獲物をみる暴君竜のように。

 

 

 

「シンジ君、落ち着いて肩のパッドからインパクトボルトを出すのよ。」

 

 

 

 リツコの声だ。

 

 

 

 初号機はゴジラから距離を置いた。

 そして、肩からインパクトボルトは放たれた。

 ATフィールドを使った巨大なエネルギー兵器。

 これを実験した時、東アジア全体で停電したことがあった。

 ミサトから文句を散々言われたことがあった。

 

 

 勝てる。

 

 

 インパクトボルトの大電流光線はゴジラに降り注いだ。

 はずだった。

 

 

 

 シンジは気が付いた。

 ゴジラはそのインパクトボルトを浴びると、吸収している。

 

 

 

「効いていない。」

 

 

 

 逆にゴジラは当たったエネルギーをため込んでいる。

 白い目は冷たく輝いていた。

 

 

 

「肉弾戦しかないか。」

 

 

 シンジはつぶやいた。

 

 

「シンジ君、ステルス機能があるわ。プラグ内にある赤いボタンを押して。それを押せば五分間、あなたの姿はみえなくなる。周囲の景色と同化できる。その間にあいつをやって!」

 

 リツコはいった。

 シンジはボタンの存在に気が付くと押した。

 

 すると、文字通りシンジの姿は消えた。

 

 

 

 やがて、ゴジラから距離を置くと大きく飛び上がった。

 そして、背後を取った。

 ジャンプしてゴジラの背中にとびつこう・・・そうした時だった。

 

 

 ゴジラの尾が素早く動いた。

 目も細くなっていた。

 そして、ゴジラの初号機の5倍以上のでかさがある尾は紫色の初号機の近くまでのびた。

 

 

「気づいてる!」

 

 

 

 まずい。

 シンジは尾の一撃を紙一重でよけ着地した。

 動きが鈍いけど、カンは鋭い。

 

 

「ステルスしても意味がないわ!気づかれている!」

 

 

 リツコの声が響いた。

 

 シンジは地面に着地した。

 そして、再び赤いボタンを押すとステルス機能を排除した。

 

 

 

「嘘だろ、嘘だ。」

 

 

 

 こいつ、何なんだよ。

 シンジは困惑し始めた。

 余裕がなくなっていった。

 14歳の彼に戻っていきつつあった。

 

 

 ミサトは感じた。

 まずい。

 空気が変わっていった。

 

 

 

「シンジ君…。」

 

 

 そんな時だった。

 ゴジラが歩みを始めた。

 その動きはまるでゆっくりと、勝つことをわかっているかのような重い動きだった。

 攻撃を始める気だ。

 

 

 

「なめるなよ!!!!」

 

 

 

 

 シンジはATフィールドを全開にした。

 何万枚にも張り巡らされたATフィールドは衝撃波を起こし初号機を守った。

 

 

 その衝撃波は怪獣たちが隠れていた山に響いていった。

 発令所にいるミサトたちはやがてカマキラスの数名がその衝撃波で吹き飛んでバラバラに吹き飛ぶのがみえた。

 将軍であるバガンですら吹き飛ばされまいと必死の様子だった。

 

 

 

 だが、ゴジラは微動だにしていない。

 それどころか、その衝撃波の中を黙々と歩いている。

 まるで涼しい風のように。

 

 

 

「ちっ!!!」

 

 

 やがて、シンジはATフィールドを使い、ドーム状に囲った。

 これなら壊れないだろう。

 ドームの周囲は相変わらず衝撃波が走っている。

 初号機の周りの地面はさらに深く、クレーターになっていった。

 

 

 勝てる。

 

 そう、シンジが思い込んだ矢先だった。

 

 

 ゴジラの動きが止まった。

 

 

 

「止まった!」

 

 

 リツコは叫んだ。

 ミサトは黙っていた。

 何かある。

 

 

 

 

 ゴジラは大きな口を開いた。

 そして、咆哮をだした。

 

 

 

 グォおオオオオオおおおおおおおおおおおおんンンン!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 周囲の怪獣は我さきに逃げだしていた。

 バガンもメガギラスもオルガもガイガンも。

 先ほどシンジが倒したデストロイアは複数の個体に分裂し散っていった。

 これは合図。

 今から攻撃するので、お前ら生きたいなら消えろという合図だった。

 

 

 

「まさか熱線!?」

 

 

 シンジは思い込んだ。

 だが、ちがった。

 

 

 咆哮は次第に大きくなった。

 そして、巨大な音と風のうねりを生み出すと巨大なショックウェーブがあたりをつつんだ。

 

 

 

 

 グオオオオオおおおおおおおおおおおおおおおおうンン!!!!!!!!

 

 

 

 

 それは初号機の物以上の衝撃波を起こしていった。

 シンジを守っていた何万体というATフィールドは窓ガラスのように壊れていった。

 

 

 

「うそだろ!?」

 

 

 

 初号機は両腕を前にして無力にカバーするしかなかった。

 ゴジラの咆哮は強すぎたのだ。

 一気に装甲を溶かすと、初号機の両腕を吹き飛ばした。

 

 

 

「う、うわああああああああああっっ!!!!」

 

 

 

 シンジの体は吹き飛ぶと海の中へと沈んでいった。

 彼は海の中で上体を起こすと頭痛に苦しんだ。

 やがて,周囲は霞んでいくのがみえた。

 

 

 強い。

 強すぎる。

 アイツは何もしていない。

 さわってもいない。

 声を出しただけ。

 

 それだけで吹き飛ぶ!?

 

 

 

 

 格が違う。

 

 

 ミサトは信じられなかった。

 初号機は最強のエヴァンゲリオン。

 さらにその強さに磨きをかけた状態。

 身長も体重も増加した、ATフィールド増加・反復・強化にも成功した。

 F型装備という特殊な装備をつけている。

 

 

 なのに・・・・それがまるでお人形扱い。

 

 

 

 

「シンジ君っ!!!」

 

 

 

 ミサトの悲鳴が聞こえた。

 シンジはようやくかすんでいった周囲が戻っていくのがみえた。

 

 

 

 

「ミサトさん?」

 

 

 

 シンジはその時気が付いた

 

 

「うおっ!!」

 

 

 腕が痛い。

 ようやくみえた。

 初号機の腕がなくなっていた。

 そんな馬鹿な・・・。

 

 

「うおおおおおおおおお!!!あああああああああああ!!」

 

 

 シンジは激痛にもだえ苦しんだ。

 

 

「嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ!!!!」

 

 

「現実よ!受け止めなさい!」

 

 

 ミサトは叫んだ。

 いいから気づいて。

 このままじゃ殺される。

 

 

「こんなのあり得ない…。」

 

 

「逃げて!!!!このままだと殺される!!!」

 

 

 ミサトはまた悲鳴を上げた。

 だが、遅かった。

 ゴジラの黒い腕がのびていた。

 そして、初号機の角のような頭部をつかみ軽々と持ち上げた。

 一瞬だが、シンジは雲の上まできているようにみえた。

 

 

 

 

「うわああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

「シンジくん!?シンジ君!!!シンジくうんん!!!!!」

 

 

 ミサトは何度も悲鳴を上げた。

 

 

 

 それに耳を貸したかさなかったか。

 ゴジラは初号機の角を持ち上げたまま、地面に叩きつけた。

 2000m以上の高さから。

 

 

 ぐおおおおおおおおおおおおんん!!!!

 

 

 轟音と地鳴りを響かせ初号機は陸上に着地した。

 地面に初号機は倒れた。

 その装甲はひび割れていた。

 F型装備の特殊合金はまるで古い段ボールのようにボロボロだった。

 

 

 

 

「もう、装甲が持たない逃げなさい!!!!あなたが死んだらここで終わりよ!!シンジ君!!しっかりして!!!早く逃げて!!!!」

 

 

 

 リツコさんの声だ。

 あの冷静なリツコさんが焦っている。

 

 

 

「サード!繰り返す逃げろ!逃げるんだ!!!死ぬぞ!!!」

 

 

 冬月さんの声。

 冬月さんですらも焦っている。

 

 

 足を起こそうとした。

 だが動かない。

 もう限界なんだ。

 ボク自身も。

 

 

 

 

 もうダメだ。

 勝てない。

 シンジの精神も肉体ももう限界だった。

 

 

 

 やがて、ゴジラその長い尾を使い初号機の胴と首を縛り上げた。

 そして、その怪力で締め上げていった。

 

 

 

 

「あ・・・あああ・・・・あああ・・・」

 

  

 

 

 もう、シンジは悲鳴を上げる体力もなかった。

 激痛が胴体と首に広がった。

 首も締まっていった。

 

 

 

 勝てない、負ける。

 殺される。

 死にたくない。

 助けて、父さん。助けて母さん。

 母さん、母さん。

 

 

「ミサトさん。」

 

 

 まだ、死にたくない・・・。

 気が付いた口から血がでていた。

 エヴァじゃないのに。

 

 

「ごめんね。」

 

 

 苦しさのあまり意識が薄れていった。

 思いつく言葉はそれだけだった。

 シンジはそのまま気を失っていった。

 

 

 

「シンジくん!!!!シンジくん!!!シンジくん!!!」

 

 

 

 ミサトの声が響いた。

 このままだとシンジ君は殺される。

 何もできない。

 私は…。

 ミサトの目に涙が出ていた。

 

 

 

「お願い、死なないで!!!」

 

 

 

 

 

 その瞬間だった。

 初号機の背にあったエントリープラグが放たれた。

 まるでミサトの声を聞き入れたように。

 

 

 

 

「シンジくんっ・・・。」

 

 

 やがて、エントリープラグは太平洋へと渡っていった。

 母の意志が子を守ろうとした。

 

 

 ゴジラはそれに気が付き、尾の力を緩めた。

 長年の戦いの経験か、闘争本能か。

 だが、わかった。

 あれが本体かもしれん。

 だから、ヤツは捨てたのだ。

 

 

 

 軽く叫んだ。

 

 

 

『追え、逃がすな』

 

 

 

 その声に応じるように、メガギラスは部下に命じた。

 するとメガニューラの群れは動き始め、エントリープラグを追いかけた。

 それをみていたミサトは舌打ちをした。

 

 

「リツコ、冬月司令・・・あとは任せました。」

 

 

「あんたも死んだら許さないから。」

 

 

 リツコの声を背にミサトはかけはじめた。

 シンジ君のプラグスーツについてる発信装置をたどればおいつける。

 彼だけは助ける。

 命にかけてでも・・・。

 

 

 

 

 

 発令所にいた冬月は気が付いた。

 

 

「彼女が目覚めた。」

 

 

 中にいるユイが目覚めた。

 

 

 リツコはモニターの数字に驚いた。

 パイロットは放たれた。

 だれもいない。

 そのはずなのに・・・・。

 シンクロ率は400%になっていた。

 

 

 覚醒した。

 勝てるかも…。

 

 

 ゼルエルの時と同じ、だがあの時とは違う。

 より強化されている。

 だから、勝てる。

 

 だけどなんだろう、何かまずいものが残ってるきがする。

 

 

「もしかして…。」

 

 

 リツコはつぶやいた。

 傍にいたミサトはリツコの顔を観た。

 冬月は震えていた。

 

 

「ユイ君は死を覚悟しているんだ…。」

 

 

 

 だからエントリープラグを強制的に射突した。

 息子を死なせないために。

 

 

 ゴジラは気が付いた。

 

 

 あの紫色のやつ、雰囲気が違う。

 気が付けば、腕は再生していた。

 中々面白いことをするじゃないか。

 だが、我に勝つことはない。

 

 

 ゴジラの胸には不動なる自信があった。

 そして、顔以外の装甲はほとんどとれて筋肉はむき出しになっていた。

 

 

 それを観たリツコは自分の言った言葉を思い出した。

 

 

 

「あれは装甲じゃなく拘束具だったはず、あれがとれるということはエヴァ本来の強さに戻る。しかも私はあれを肉体改造した…。もしかしたら勝てるかもしれない。」

 

 

 

 リツコの胸に安心が蘇った。

 それは冬月にも。

 

 

 

「ユイ君…。」

 

 

 勝てるかもしれない。

 恐らくユイ君は死を覚悟している。

 会えて、それを覚悟で挑んでいる。

 その意思の強さに比例してエヴァは強くなる。

 それに、以前より筋肉量は増加した…もっと強いはずだ。

 いける。

 可能性はないとはいえん。

 冬月はそう考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてそれに呼応するがごとく、初号機は雄たけびをあげた。

 

 

 

 

 ウオオオオオオオオおおおおん‥‥!!!!

 

 

 

 

 やがて、ゼルエルにしたように巨大なATフィールドをゴジラに投げつけた。

 衝撃波とともに高さ1000mほどのATフィールドの刃はゴジラに降り注いだ‥‥。

 それは確かだった。

 

 

 ゴジラは先ほどとは様子が違うことに気が付くと大きな口を開けた。

 そして、息を吸い込んだ。

 

 

 やがて、破壊の神は先ほどと同じように口を開き咆哮をとどろかせていた。

 今度は大きめだった。

 

 

 

 

 

 

 

 グおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんんンンゥゥゥゥゥンンンン!!!!!!!

 

 

 

 その咆哮は再び衝撃波となった。

 地面は先ほどと同じように削れていった。

 そして、初号機の放ったATフィールドの衝撃波とぶつかると、それに押し勝った。

 

 

 

 やがて、その勢いのまま初号機を吹き飛ばした。

 

 

 先ほどと全く同じだった。

 ただ違ったのは初号機の腕は吹き飛ばなかった。

 だが、むき出しの体から血が噴き出ていた‥。

 

 だれにもわかった。

 初号機は押し負けた。

 ATフィールドですら、ゴジラの衝撃波には通じない。

 二度も。

 

 

 

「バカな!!!」

 

 冬月は悲鳴を上げた。

 勝てない。

 あそこまでして…。

 

 

 覚醒した初号機ですら負けそうになっていた。

 

 

 

 その様子を見ていたリツコは思わず言ってしまった。

 

 

「どうやったら勝てるの…。」

 

 勝てない。

 強すぎる。

 

 強すぎたのだ。

 

 

 だが、初号機の中にいたユイはあきらめなかった。

 そうは考えていなかったのだ。

 

 シンジの生きる世界、この世界を破滅させない。

 母の愛。

 それは強かった。

 だが、それ以上にゴジラは強い。

 

 だが、諦めるわけにはいかない。

 ユイは決意を決めた。

 

 

 やがて、ユイの魂ごと初号機は獣のような唸り声をあげた。

 そして、ゴリラのようなナックルウォークをするとゴジラにむかってすさまじいスピードでとびかかった。

 ゴジラはそれもよけなかった。

 そして、その勢いのまま怪獣の支配者の首に飛びついた。

 

 

 うおおおおおおおおおンンンン!!!! 

 

 

 雄たけびをあげると何度も何度もゴジラの顔面を殴りつけた。

 1発、2発、3発…。

 殴った後からは重い衝撃波が発生した。

 

 

 だが、モニター越しにわかった。

 

 

 ゴジラは何の感情も抱いていない。

 呆れたようにただ空を見ているだけだ。

 

 

「ダメだわ…。」

 

 

 リツコにはわかった。

 初号機の腕が逆にボロボロになっていってる。

 

 ゴジラの体は初号機本来の実力をむき出しにしても勝てない。

 初号機にもそれはようやくわかったようだった。

 殴るのはあきらめた。

 痛そうに腕を抱えていた。

 

 

 と同時に、初号機の腕についた傷も瞬時に修復した。

 

 

 今度はゴジラの顎をつかむと引き裂こうと全身の力を腕にこめた。

 だが、ゴジラの顎が動くことはなかった。

 

 しばらく相手の出方を観ていたゴジラはとうとうあきてしまったのか、尾を動かした。

 そして、自身の頭部にしがみついていた初号機をまるでハエをたたくようにはたいた。

 

 

 

 がっ!!!

 

 

 

 初号機は悲鳴を上げた。

 そして、4㎞先の地面に倒れた。

 その衝撃のあまり、地面が再び地鳴りを起こすのが見えた。

 

 

 

 それを観ていた冬月は珍しく悲鳴をあげた。

 

 

 

「ユイ君!!!」

 

 

 

 がああ・・・・。

 

 

 初号機はうめき声をあげた。

 

 

 ゴジラは動いた。

 そして、片腕を使うと初号機の首をつかんだ。

 その力を強めた。

 

 オペレーターたちもあまりの光景に顔が引きつっていた。

 

 

 覚醒した初号機は両腕でゴジラの腕をつかみ、離させようともがいた。

 だが、ゴジラは強かった。

 いくら以前より強化された初号機が本来の力を解除しても・・・・勝つことは無理だった。

 もがけばもがくほど、ゴジラの腕の強さは増した。

 

 

「力負けしてる。」

 

「バカな…。」

 

「あのままだと絞め殺される。」

 

 

 初号機は苦しんだ。

 だが、ゴジラはそのまま手を離さなかった。

 初号機は空中にうかびながら足をわなわなと動かしていた。

 

 

 そして、持ち上げた。

 まるで軽量級のレスラーを重量級のレスラーが持ち上げるように。

 軽々と…。

 やがて、ゴジラは初号機の首を持ち上げるとそのまま地面に力強く叩きつけた。

 轟音と地鳴りがまたとどろいた。

 

 その音を聞いたリツコは絶望した。

 

 

「あそこまで…。」

 

 

 初号機の体重は増量した。

 そのはず。

 それが…。

 全く相手になっていない。

 

 

 

 ゴジラはほくそ笑んだ。

 

 

 

 

 その白い目は怪しく輝いた。

 初号機の赤く輝いた目は徐々に暗くなっていった。

 限界がきている。

 

 

 初号機は天を仰いだ。

 その天にゴジラはいた。

 世界最強の初号機は地面にはいつくばった。

それを冷酷にみつめたゴジラは再び初号機をつかみ持ち上げた。

 

 

 それをみつめると破壊の神は大きな口を開いた。

 そして、空中に垂れ下がっている初号機の右腕に食らいついた。

 

 

 

 

 うおおおおおおおおおお!!!!!!!

 

 

 

 

 初号機はまた悲鳴を上げた。

 だが、負けるわけにはいかない。

 初号機は踏ん張り、装甲を蘇らせた。

 そして、ゴジラの牙に対抗した。

 

 

 ゴジラは嚙み千切るのは造作もないが、それではつまらないと判断し、顎の力だけで初号機を持ち上げた。

 嚙みちぎるためではない。

 持ち上げるために。

 

 

 

「弄んでいる…、初号機を。」

 

 

 ゴジラの歯は甦った初号機の肩の装甲を一瞬で破壊した。

 そして肉を突き刺した。

 初号機のリリスの分身の右腕から噴水のような血を流していた。

 

 すると、そのアゴを振るいなんどもなんども紫色の鬼神を地面に叩きつけた。

 そのたびに発令所に無慈悲な衝撃音が響きまわった。

 

 

「ユイくん・・・もういい、やめろ。やめてくれユイ君。」

 

 

 冬月の悲壮な声が響いた。

 その時ミサトの気持ちが分かった。

 無力。

 圧倒的無力。

 大事な人間がズタズタにされるのに何もできない。

 

 

 これが無力。

 人間の限界だ。

 文明は、秩序は・・・圧倒的な混沌の前に勝つことはできない。

 

 

「ユイ君…やめるんだ!」

 

 

 ゴジラは気がついた。

 初号機の肩は外れていた。

 腕はひきちぎれていた。

 とうとう破壊神は初号機を解放した。

 まるで何かしてみろといわんばかりに。

 

 

 初号機は地面を這いながらなんとかまた再生を始めた。

 だが、いくら不死身で再生してもそのたびにうちのめされるのは目に見ている。

 それはだれもがわかった。

 周囲の怪獣はゴジラの異様さに震えあがっていた。

 

 

 もう初号機はズタズタになっていた。

 何度再生しても意味がない。

 

 そのたびにやられる。

 野生の力でもゴジラに勝てない。

 

 

 初号機のそれからは疲れ・疲労困憊・絶望の荒い息が漏れていた。

 ゴジラはそれをみつめると獣のように唸り声をあげた。

 

 

 

 これが文明に頼らない、野生の力。

 怪獣の力。

 混沌の力。

 

 

 

 それを誇示するかのように唸り声をあげ、弱弱しく息をあげるしかできない初号機をにらんだ。

 そして、腕で初号機の頭部の角を掴んだ。

 

 

 

「もうやめろ…。やめるんだ。もう十分だ!やめろ!!」

 

 

 冬月の泣く声がまた漏れた。

 リツコもゴジラの圧倒的破壊に震えるしかできなかった。

 自分たちは冷静で客観的で合理的な人間だと思っていた。

 

 

 だが、今…ようやく気が付いた。

 

 

 

 勝てない圧倒的力・暴力・破壊が世の中にある。

 それがあのゴジラだ。

 暴力、恐怖、無秩序。

 これがゴジラの強さ。

 破壊神の強さ。

 

 

 

 ゴジラは力なく垂れ下がっている初号機をみた。

 まるで糸の切れた操り人形のように力なく足は垂れていた。

 だらしなく。

 力なく。

 

 

 怪獣王は口を開けた、その先には歯が先ほどよりさらにとがっていた。

 やがて力任せに下半身を食いちぎった。

 赤い血が地面を包み込んだ。

 

 

 

 ぎゃあああああああああああああ!!!!

 

 

 初号機は悲鳴を上げた。

 下半身は食いちぎられた。

 ゴジラは初号機を食うことに興味はなかったので、ペっと吐き出した。

 そのまま、下半身は近くの海に吹き飛んでいった。

 上半身からは力なく血が垂れていた。

 

 

 

「初号機があそこまで・・・。」

 

 

 リツコは声が漏れた。

 私たちは神を作ったはずだった。

 神はいた、別世界に。

 私たちの神とは格が違う。

 世界最強の暴力の権化がそこにいたのだ。

 虚構と現実の先にいる破壊の権化、勝つことはできない圧倒的力。

 

 それがゴジラ。

 

 

 

 下半身を失った初号機は地面に倒れた。

 そして、荒く呼吸をした。

 芋虫のように地面を仰いだ。

 ゴジラはそれを追いかけた。

 

 

 その時気が付いた。

 こいつには心臓がある。

 胸のあたりに赤い球体がある。

 それを破壊すれば、死ぬ。

 

 

 

 ゴジラは初号機をにらんだ。

 そして、サッカーボールのように蹴り上げた。

 

 

 うごっ!!!

 

 

 初号機は地面を転がった。

 上半身しか残っていない初号機になにもできなかった。

 そして、天を再び仰ぐこととなった。

 

 胸の装甲はむき出しになっていた。

 コアが丸見えだった。

 

 

 

 碇ユイの魂は死を覚悟した。

 

 

『もう私じゃ勝てない。こいつは強い。』

 

 

 

 また、同じくユイは懇願した。

 シンジへの愛。

 それだけが残った。

 くだらない野心をのぞかせた。

 それが私の負けだったのだ。

 

 

 

『シンジ…お願い、生きて…。生きてさえいればきっといいことはある…。』

 

 

 

 何かできることはないだろうか。

 ヤツは私を殺す。

 次はシンジを…。

 ヤツの支配する世界では人間は生きていくことはできない。

 

 

 そうだ…私の分身。

 あの青い髪の少女。

 

 

 

『私の仇を討って。』

 

 

 

 

 ゴジラはみた。

 地面で蠢く紫色のそれを。

 そして、先ほどとは違う軽め細めでやや弱め、しかし圧倒的破壊力をこめたレーザービーム状の熱線をあびせた。

 それは的確に初号機の装甲を貫き、簡単にコアを撃ち当てた。

 

 

 初号機は腕をとめた。

 やがて、目から光は消えた。

 そして、とうとう動かなくなった。

 

 

 ゴジラは初号機の死を確認すると、大きな口を開けた。

 すると初号機の中から青白い光が輝くと、ゴジラの体内に吸い込まれていった。

 

 中にいるユイの魂はそのまま、ゴジラの体の中へと吸収されていったのだ。

 

 

 

 冬月は呆然としていた。

 勝てなかった。

 ユイ君ですらも…。

 

 

 

「初号機が負けた、完全に。」

 

 

 

 リツコは声を震わせた。

 

 

 零号機の中で待機していたレイは胸を抑えた。

 一瞬であったが、激痛が伝わったのだ。

 

 そして声にきがついた。

 

 

『私の仇を討って。』

 

 

 それは初号機の中にいる魂の声。

 それも吸い取られて行った。

 

 

 つまり、初号機がやられた。

 

 

「もうダメなのね・・・。」

 

 

 

 あの魂は死んだ。

 完全に…。

 私にもなぜかわかった。

 

 

 

「いや、まだほかに手がある…。」

 

 

 レイにはわかっていた。

 そう、私の中にあるリリスの魂。

 そして、地下にあるリリスの体に戻る。

 

 

 

 初号機はリリスをベースにしている。

 融合すれば…そうすれば、初号機は甦る。

 

 

 碇くん、悲しませない。

 決して…。

 初号機の中にいた魂よ。

 あなたを悲しませない。

 あなたの犠牲を無駄にはしない。

 

 

「碇君は私が守る。」

 

 

 レイは決意した。

 

 

 

 

 

 

 

 ゴジラは上半身のみになった初号機をみつめた。

 胸には大きな穴が開いていた。

 コアは消し飛んだ。

 目から色は失せ、黒い塊になっていた。

 もうすでに魂のないものになっている。

 死んだ。

 

 

 そして、怪獣王は満足そうに唸ると上海中心タワーのあった場所に初号機を磔にした。

 エヴァの両手の掌には鉄骨を刺した。

 

 

 見せしめだ。

 文明の力は、いかに混沌の前に弱いかをみせつける。

 世界は私の物だ。

 暴力と破壊ではかなうものはおらん。

 いるなら出てこい。

 

 ふと周囲をみた。

 

 

 下僕たちはさらに恐怖の目でみているのがわかった。

 恐怖が蔓延している。

 恐怖と憎悪はゴジラを強くする。

 負の感情を吸収し、日に日に強くなっていく。

 ゴジラの体はさらに強くなっていくのを感じた。

 

 

 やがて、夜は明け朝日が差し込んでいった。

 紫色の初号機を朝日が包み込んだ。

 

 神々の戦い、鬼神は破壊神に負けたのだった。

 




次回、碇シンジ救出計画

11日に投稿いたします。
今更ですが、一応このゴジラのビジュアルはGMKゴジラと84ポスター版ゴジラが混ざったようなイメージで動いております。
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