破壊神ゴジラvs鬼神エヴァンゲリオン~最終戦争~ 作:井上ああああ
ネルフ本部、誰も使わない広場。
青葉はここでギターを弾くのが趣味だった。
観客は誰もいない。
ここは自分だけの空間。
そのはずだった。
ギターを弾いていた青葉シゲルは誰かの視線に気が付いた。
青葉は手をとめて侵入者に目をやった。
「ああ、例の子じゃんか。」
使徒サキエルとシャムシエルが出てきて以降、ここもあわただしくなった。
と同時に来たのがこの少年だ。
「それ、ギターですか?」
シンジは青葉に話しかけた。
「あれ?君も興味があるの?」
「音楽には昔から、ボクはチェロですけど。」
「チェロか、かっこいいな。」
ふと青葉は言ってしまった。
「え?そうですか?」
「マジで、カッコイイよ。だって、チェロってすげえ高級そうじゃん。俺そんなのできねーよ。本当すげえよ!」
シンジは少し頬を染めていた。
ヒトにこうやって褒められるのなんだかあんまり経験ないや。
でもなんだかうれしいな。
「そうかな?」
「あ、そうだ…俺は青葉シゲル。」
「僕は碇シンジ。」
二人は握手寸前になった。
そこで、青葉は気が付いた。
碇、この組織の司令官の苗字と同じ。
「え?もしかして…君って…碇司令の?」
「はい!」
「そうなのか…。まぁいいや、仲良くしようぜ。で、ギターやってみる?」
改めて、青葉とシンジは握手をした。
夢か。
目が覚めた。
病室。
ということは負けたのか。
なんでこんな時に青葉さんと初めて会った時のことを思い出したんだろう。
脇にはリツコがいた。
「よかった、生きてたのね。」
「こういう時、いつもミサトさんだけど。」
「ミサトはあなたを助けるために無茶なことして入院したの、ミサトは無事よ。でも…。」
リツコは目を伏せていた。
「どうしたの?」
リツコは重い口を開いた。
「初号機は奴らに奪われたまま、コアも破壊されて復帰は絶望的。あなたを助けにいった青葉くんも重傷を負ってしまった、それが今の状況。」
「そんな…。」
青葉さんがやられた。
僕のせいで重い傷を負った。
震える声をなんとか安定させながらシンジは聞いた。
「青葉さんは…?」
「まだ死んではいない、でも虫型怪獣に刺されて中々意識が戻らない。彼の体にあいつらの世界独自の病原体が移っているから手の施しようがない。現在、医療班とアメリカのハーバードから生物学者を呼び寄せて研究している最中。でもおまけに傷もひどい。正直言って絶望的よ。」
「青葉さんは僕を助けに行ったの?」
「…そうよ。」
初号機もやられた。
あのコアの中には僕の母さんが‥。
「負けたの?」
「残念だけど、そうよ。」
負けた、初号機が。
こんな状況は中々ない。
シンジはベッドをかきむしった。
ボクのせいだ。
僕が慢心した、そのせいで母さんや青葉さんは…。
大事な人を失ってしまった。
「ボクのせいだ。」
「いいえ、違う。」
「でもそうじゃないか…。」
「シンジ君、違うの。だれのせいでもない。ヤツが強すぎたってだけなの。」
強すぎた。
『お前は弱いままだなァ、シンジちゃん…哀れだぜ。お前は誰一人守ることもできねぇガキのまんまなのよ』
声だ。
宿敵コンラッド。
ヤツの魂は僕の1部になったのか。
あるいは幻影として、永遠にボクが死ぬまで残る気か。
「ボクが弱いまま…弱い男だから。」
「違うのよ、シンジ君。」
リツコは諭した。
何年も一緒にいた、もうシンジはリツコにとって大事な家族の一人でもあった。
母からも父からも捨てられた少年。
ミサトは母になり切れなかった、なので女として彼を愛した。
私は彼の母になろうとした。
でも…それは思い上がりだったのかも。
「いい、シンジ君。あなたは弱くないわ。」
「リツコさん、あなたらしくないよ。気休めは。ありがたいけど…もうやめてください。初号機を失ったのは事実でしょ。」
リツコは考えなおした。
確かに初号機を失ったのは事実だ。
「そうね…。」
「ボクが弱くて情けないガキのままだから…勝てなかったんだ!」
「それは違うわ、あいつは強すぎたのよ。シンジ君、お願い…。」
その時、ドアが開く音がした。
「碇君、違うわ。」
綾波レイ。
ファーストチルドレン。
「あなたは間違っている。あなたは弱くない。そして初号機は失っていない。」
レイは冷たく言った。
そこに笑顔はなかった。
あった当初の冷たい綾波がいた。
「でも‥。」
「それに青葉さんはまだ死んでいない。もしも死んだと思うなら、彼に失礼よ。」
「それはそうかもしれない。」
突き放した。
あの綾波が。
感情をみせている。
リツコは目を驚かせた。
「レイ?」
「赤木博士、お願いがあります…。私のわがままを聞いてください。」
この子も長い間い続けたせいで人間そのものになっている。
魂はリリス。
リリス?
地下にいるリリス。
まさか…。
「レイ、あなたがなにを考えているかわかるけど反対しておくわ。」
そんなことがあっていいわけない。
レイも私の家族の一人。
そんなことは許さない。
「初号機を戻す方法はこれしかありません、あれはリリスの分身。私がリリスと一つになってあれを取り返します。」
「ダメよ!できるかもしれない、でも‥そんなことをすればあなたはあなたじゃなくなるのよ!」
「方法はそれしかありません。」
リツコはため息をついた。
方法はそれしかない。
それならば…従うまで。
「わかったわ、レイ。」
シンジは呆然としていた。
「碇君、ありがとう。」
「綾波?」
その時だった。
レイはシンジの頬を優しく触れると、唇を奪った。
「ずっと、あなたのことが好きだった。」
シンジは頬が赤くなった。
え?え???
どういうこと?
確かに綾波はすごくきれいで美人で可愛いと思う。
でも僕にはミサトさんがいるんだよ。
「な、なにを…するんだよ。」
レイも少し頬を染めていた。
「これは私がずっとやりたかったこと。もうこの姿で会えるのは最後だから許して。」
やがて、彼女は冷静に言った。
「別れはいわない、また会えるもの。きっと、また会える。約束するわ。また会える。だから悲しまないで。」
リツコは気が付いた。
後生の別れになるかもしれない。
レイは覚悟している。
「綾波、君のいってることがわからないよ。」
「またね、碇くん。」
病室を後にしたレイは微笑んでいた。
「シンジ君、お願い。あの娘の決意をわかってあげて。事情は後で教えるから。」
リツコは静かに言った。
そして、立ち上がるとレイの後を追いかけた。
シンジは何かがわかった。
レイはレイじゃなくなる。
病室から出ようとしたが、それもできなかった。
レイが進むと、そこにはヒカリがいた。
手元にはシンジの息子、ケントがいた。
「綾波さん、どうしたの?」
「洞木さん、ありがとう。私はいかなきゃいけないところあるのよ」
ヒカリはレイのいっていることがわからなかった。
近頃のレイはやけにおしゃべりだ。
レイはケントに優しく振れた。
そして、抱き寄せた。
「れいれい。」
「さようならケント。」
知っている、私はこの子が私の血をわけていることを。
この子のために私は戦う。
レイはヒカリにケントを渡した。
「人は愛を紡いで歴史を作る、なら私は愛になる。」
「綾波さん?」
「恐らくこれが最後のお別れになると思う。ありがとう洞木さん。私の本棚あなたにあげるから元気でね。」
ヒカリは気が付いた。
彼女は死ぬ気だ。
「綾波さん…。」
レイは目から涙が出ていることに気が付いた。
しょっぱい、これが涙。
「レイ、怖ければやめたほうがあなたのためなのよ。」
「いいえ、やります。」
レイはもくもくと進んでいった。
リツコとレイの決意は固かった。
同病院の別室。
そこにはマヤがいた。
もう、青葉と結婚したことで青葉マヤに名前がかわっていた。
彼女も話では初号機が負けたことは聞いていた。
シゲルも今、手術中だ。
異次元の怪獣に刺されたことで病原体が入っているリスクが高いらしい。
シゲルもそして、このお腹にいる子の未来もまた…。
世界はどうなるかわからない。
ふと医師の一人が言った。
「我々はどうなるのでしょう。」
心配、確かにそうだ。
私も心配だし、怖い。
でも、彼女は信じていた。
シンジ君なら世界を守れる。
きっと、何があってもあきらめない。
どこかに希望はある、絶対に。
現に倒れたはずの初号機が戻ってきた。
希望はある。
「私は、初号機パイロットを信じます。」
マヤは言った。
その数時間後だった。
第三新東京上空には500mほどの巨大物体が降り立った。
極悪怪獣ガイガン。
戦自からの連絡は受けていたが、まさかここまで早くくるとは。
第三新東京近くに来ると聞いた冬月は部下を呼び、ミサトのペンギンを呼び寄せた。
冬月は顔をしかめた。
「あれは何だ?」
冬月はモニター上に移るガイガンをみつめた。
赤い目と人工的なフック状の腕、そして腹部にあるノコギリ。
「あれは生物か?兵器か?」
傍にいた日向はつぶやいた。
「あれはガイガンです。サイボーグ怪獣ですよ。」
日向は冷静だった。
青葉は倒れた。
あのまま死ぬかもしれない。
「日向くん、もういいのか。」
「青葉のところにはマヤちゃんがついてます。仕事をサボったとあったらあいつに笑われる。」
日向は久々にモニター室に座った。
ガイガンは赤い目を輝かせていた。
そして、赤い目を輝かせるとレーザー光線を街中にはなった。
「まだ、市民の避難は完璧にすんでいない!!!」
冬月は悲鳴を上げた。
第三新東京市は炎に包まれた。
機械音のかすれた声をあげガイガンは高笑いをした。
「ヤツめ、ここを狙ってきたのか…クソ…。」
ビルの一つに近寄ると、フック状の腕を使いビルを破壊した。
まるで、これは全ての序章といわんばかりだ。
その動きはまるで素早かった。
迎撃システムは起動していたが、全くガイガンのスピードに通用しなかった。
「こういう時、初号機があればな…。」
冬月はため息をついた。
彼はリツコに事前にいわれていた。
初号機の復活、そのためにリリスが必要。
零号機は地下でロンギヌスの槍を抜く作業に順次している。
リリスの力を解放するため…。
まずいな。
零号機が戻ってくる前にここはやられる。
冬月は天を仰いだ。
病室にいたミサトにも伝わった。
「敵襲…。」
恐らく怪獣の一体、遅すぎたか。
連中はここの存在を把握している。
ただの獣じゃない、知能を持ち行動する。
恐らくは使徒以上の…強敵。
「ウッ…。」
体が動かない。
無理をしすぎたか。
いや、少しだけなら動く。
常人であれば数日間は動かないらしい。
「あんなパワードスーツもう二度ときない。」
そんな時だった。
何か気配を感じた。
地下に何か大きなものがくる。
怪獣とは違う。
ミサトのカンは正しかった。
セントラルドグマ地下、リツコの立ち合いのもと綾波レイはリリスのもとにいった。
地鳴りはそこにも響いていた。
白い巨人リリス。
ロンギヌスの槍は零号機により抜かれていた。
全ての地球生命体の母。
恐らく怪獣たちは別次元の物なのでリリスとは違う始祖がいるのだろう。
「まずいわね…。早くしないとここは破壊しつくされる。」
リツコは焦っていた。
レイもその焦りは承知の上だった。
「赤木博士、付き合ってくださってありがとうございます。」
「早くしなさい。」
レイは空中に浮かんだ。
リリスの腹部は大きな穴があくと彼女を迎え入れた。
私は人間ではないかもしれない。
それでも愛を学んだ。
絆を学んだ。
だから私は強い。
今、これの元に戻っても私の力は勝つ。
私の意志は私だけのもの。
もう、ヒトではなくなるかもしれない。
でも、それが碇くんのためになるなら私はヒトじゃなくなってもいい。
『おかえりなさい』
そんな声がレイには響いた。
リリスは完全によみがえったのだった。
補完計画とは違う。
全く違う用途で。
オペレーターが叫んだ。
「地下から巨大なアンチATフィールドがきます!!!」
冬月は微笑んだ。
「いけるな。」
綾波レイ、リリスの魂を持つもの。
それが同化した。
全てのリリスの複製は今、一つになる。
それは初号機も。
ふと、ネルフ本部に巨大な幻影がみえた。
それは通り過ぎた。
まるで、幽霊のように。
それは冬月もみていた。
白い人。
「なんだあれは…レイ?」
日向は声を漏らした。
それは巨大な綾波レイだ。
シンジもそれに気が付いた。
「綾波だ…。綾波の臭いがする。」
もしかして、綾波は…神様だったのか?
そんなシンジを綾波の幻影はすり抜けた。
ガイガンもまた何かに気が付いた。
何かがくる。
身の危険を感じ、都市部から空中に飛びあがると海へと退避した。
彼が先ほど破壊していた都市部の真ん中をゴジラより大きな人間がすり抜けた。
まるで物理法則を無視するように。
彼は気が付いていた。
これは仮初の姿、ヤツは一種のエネルギーのようなもの。
あんなものに近づく気はない。
危ない橋を渡るタイプではないのだ。
しばらく海の中で様子をみよう。
巨大な綾波の幻影は世界中で目撃された。
ドイツにいるアスカやマリたちにもみえた。
「ファースト?」
アスカは思わずつぶやいた。
アメリカにいるカヲルは気が付いた。
「リリスの力を解き放った。」
彼女はヒトじゃなくなる。
もう、ヒトの姿じゃなくてもいいんだ。
彼女は。
確か初号機がゴジラに負けたと聞いた。
コアも破壊された。
恐らくは彼女は初号機のコアになる気でいるのだ。
やがて地球の大気圏外に出た巨大な綾波は地球を包み込んだ。
そして、中国大陸に向けて顔を突き出した。
それはゴジラもみていた。
近くには上半身のみの初号機があった。
ゴジラの息子バガンは悲鳴を上げた。
『父上!』
ゴジラは愚息の声を無視した。
目の前にリリスと一体化した綾波がみえた。
怪獣王は冷静だった。
そして、口を開いた。
物理法則を無視したエネルギー。
そんなものを破壊するのは簡単。
同じものを体内で生成すればよい。
ゴジラもまた、リリスの物と同じようなエネルギーを体内で生み出すと口から放った。
アンチATフィールドのレーザーを。
それはリリスの頭を貫いた。
ぷしゅっ
そんな音がすると、リリスの頭から血が噴き出た。
と同時に彼女の体は溶けていった。
そして、大きなLCLになると中国大陸に降り注いだ。
だが、綾波は笑っていた。
リリスも笑っていた。
それが策なのだ。
LCLの雨は中国大陸に降り注いだ。
ゴジラは一蹴した。
たわいもない。
大きさだけの存在だ。
あのような物は過去に何度も破壊してきた。
大きさだけ…?
ゴジラはピンときた。
手遅れだった。
LCLは初号機に降り注いだ。
そして、瞬時にコアと下半身を蘇らせた。
そして、光輝いた。
背中には12枚の翼があった。
その光の強さに流石のゴジラも一瞬、驚いた。
ただの光ではないポジティブな感情のエントロピーがある。
これはゴジラでは捕食できないものだ。
その隙を初号機は逃さなかった。
光輝く初号機はそのまま、光の速度で進みゴジラたちを置いて天空に舞い上がった。
まるで、シンジを迎えに行くように。
ガイガンはふと、海から起き上がった。
もう大丈夫だろう。
ガイガンは金属音のきしむような咆哮をあげると、起き上がった。
フック状の腕をきしませ、火花を飛ばすと近くにあったビルに向かって攻撃を加え始めた。
その様子をみていた冬月は悲鳴をあげた。
「まずい、あのバケモノが活動再開したぞ!」
ガイガンは赤い目を光らせると、荷粒子砲を起動させた。
ドォゴォーーーーン!!!!!
ゼルエルの襲来、以降大破した街を補強するために作られた金属部分は吹き飛んだ。
「まさか、この威力・・・・ゼルエル並みか!!」
最強の使徒ゼルエル。
それに劣らない威力を持つ。
昔のジオフロントでは大きな穴があった。
今や、N2爆雷にも耐える特殊合金でできている。
大丈夫だと思うが、あれが後数発あれば・・・ここも・・・・。
その時日向の叫ぶ声が聞こえた。
「上空から巨大なエネルギー物体が迫ってきます!!!」
「お次はなんだ…。」
「モニターでうつします!」
発令所の大画面はエネルギー物体の正体をうつした。
そこにはうつっていた『光の巨人』が。
その姿はエヴァ初号機に似ていた。
あるいは、南極のアダムに…。
「まさか…。」
初号機か!?
ということは・・・レイは成功したのか!!!
ガイガンもそれに気が付いた。
そして、荷粒子砲を放った。
はずだった!
光の巨人はそのエネルギーをまるで液体のようにとかすと、自分の物に変えた。
そして、巨大な電気を帯びた光線をガイガンに向けた。
ガイガンはその光線にぶち当たると、一気に海の方へと吹き飛んでいった。
だが、生きていた。
地面を前に光の巨人は着地した。
そして、光は徐々に消えていくと姿を現した。
紫色に。
「エヴァ初号機!!!」
その場にいるすべてが驚愕した。
ネルフ本部の近くにたった初号機は立ちはだかった。
まるで、その場にいる全てを守ろうとするかのように。
シンジの病室に保安部職員がきた。
「初号機パイロットお運びいたします。避難所へ。」
ボクも避難所に待機か。
ただの一市民になった。
これからは特別な人間じゃない。
ミサトさんも加持さんにとられるのかな。
そんな時だった。
『碇君。』
声がした。
「綾波?」
『外にいるから来て。』
シンジの足元に力が戻った。
綾波に何か超能力でもあるのかも。
彼は気が付くとかけはじめていた。
「綾波ッ!!!」
「どこへいかれるのですか!!」
「ごめんなさい!!綾波が呼んでいる!!!」
ミサトの体にも不思議と力が戻っていった。
彼女にもレイの声が聞こえたのだ。
「シンジ君!」
「ミサトさん!」
「行きなさい、あなた自身の意志で。」
「わかったよ!」
シンジは走り始めた。
そして綾波レイの声に従った。
シンジは外に出た。
そこには白い光に包まれた巨大な物があった。
人型。
やがて、光は抜けおちた。
そこにはいた。
エヴァ初号機が。
エヴァ初号機は戻ってきた。
人類の希望。
守護神。
あるいは鬼神。
『ただいま碇君。』
「綾波…。」
シンジは本能的にわかった。
綾波は初号機と一体化した。
自分を迎えに来たのだ。
「待って、二人とも。」
声がした。
リツコだ。
「エントリープラグ。」
彼女が指さす方向にはエントリープラグがあった。
「なかったら乗れないでしょ。」
「わかった、リツコさん。」
「あの赤い目のヤツボコボコにしちゃって。」
初号機はエントリープラグをつかむと、背中に突き刺した。
リツコにはわかった。
以前より強くなっている。
リリスと同化したのだ。
「さあ、いきなさい。」
リツコは微笑んだ。
初号機はしゃがむと、シンジにその掌を差し出した。
シンジはそれに乗った。
不思議と温かった。
シンジはエントリープラグに入った。
その時、シンジには聞こえた。
『おかえりなさい。』
綾波の声か、リリスか、初号機そのものか。
いずれにせよ、シンジには居心地がよかった。
父と母が生み出したエヴァ。
僕はこの世界最強の力で、悪を討つ。
ガイガンはしばらく海にいた。
何が起きたのかわからない。
だが、みればわかるが、どうやら落ち着いたようだ。
破壊された箇所は自己修復をした。
ケーブルがつながり、装甲も戻っていった。
彼は冷静沈着だった。
元々は第一始祖民族とは別の知能生命体が生み出した生命体。
機械と有機物の混ざった怪獣だった。
だが、運命のあの日。
彼はオルガに拾われた。
その後、オルガとともにゴジラの軍勢の仲間入りをした。
彼に野心も欲望もない。
ただ目の前のミッションをこなすだけ。
それ以上でも以下でもない。
だが、自分より強い存在に敵を売る気もない。
そんな彼は怒りに震えていた。
あんな奴ボコボコにしてやる。
前に帝(ゴジラ)に倒された雑魚のくせに何粋がってるんだ。
羽を動かすと天空近くへ舞い上がった。
そして、先ほど自分を邪魔した忌々しい光の巨人の正体を倒すために。
ビルを切り裂き、街を破壊し…とうとう初号機の前方まで近づいた。
ガイガンは金属音のきしむような声を響かせると、初号機に襲い掛かった。
そして、フック状の腕を使うと初号機に切りかかった。
どんな物体も切り刻めるガイガンのフックは降り注いだ・・・はずだった。
消えていた。
余りに一瞬のできごとだった。
いない。
「速い!」
冬月は叫んだ。
今の速さはどれぐらいだ…。
オペレーターの一人が驚愕した。
「ひ、光よりも速く動いています…。」
「何っ!」
その時だった。
外は雨は降っていなかった。
だが、天気が徐々に悪くなっていった。
そして、雷がゴロゴロと鳴り響いた。
「大気圏から高濃度のエネルギー反応!!!」
「なんだ!!」
「これは…。」
天は暗くなると一気に雷鳴が鳴り響いた。
それと同時だった。
「消えろ、バケモノ。」
シンジの声がした。
雷光は初号機と一体化していた。
「まさか!!!・・・・まさか!!!!!」
冬月は驚愕した。
初号機は天気すら味方にできるようになっていたのだ。
シンジは羽を使い天に舞い上がっていた。
空も飛べるようになったのだ。
さらにそれに反応するかのように、竜巻のようなものが発生していた。
これらは全てシンジ君の、初号機の力によるもの。
「すごい・・・。」
ガイガンは竜巻に押し飛ばされそうなのを耐えた。
それがやれる全力だった。
耐えること…。
やがて、竜巻が消えると上空に敵がいると感じた。
同じく飛び上がった。
やがて二体の戦いは空中に移行した。
ガイガンは鋭いフックをギラギラと輝かせ、金属音をあげながら切り裂こうとした。
初号機は睨んだ。
巨大な雷光と一体化したシンジは拳を突き出していた。
それには光と凄まじい電気が帯びていた。
ヒュンッ!
ガイガンの聞いた最後の音はそれだった。
空気が切れる音。
次に凄まじいエネルギーがガイガンを襲った。
ガイガンは死すら感じなかった。
敵はその拳から放たれた巨大なエネルギー波でバラバラに砕け散った。
そして、海へと吹き飛んでいったのだった。
次に巨大な地鳴りと振動がネルフ本部を包んだ。
それは勝利の証だった。
まるで雷のような音がした。
一撃、圧勝、粉砕。
光と電気と風の力は初号機に味方をした。
初号機は圧倒的に強くなっていた。
光の翼を収納した初号機はそのまま、本部へと向き直った。
人類の守護神であり、鬼神であるエヴァンゲリオンは戻ってきた。
「すごい…。」
冬月は思わず漏らした。
その力はまさしく今までの初号機をはるかに超えていた。
圧倒的力を有する、完全なる初号機。
鬼神は強くなって帰ってきたのだ。
思わずその場にいた全員は歓声をあげ勝利を喜んだ。
ミサトもようやく発令所にきた。
そこで彼女はみた。
初号機の姿を、もっと大きく強くなっていた。
勝てる。
今の初号機はリリスのエネルギーを取り入れた。
最強の機体になった。
やがて、急ピッチで街の修復は行われた。
そして、初号機の機体の回収も…。
しかし、その場にいる誰もがきずかなかった。
ガイガンの残骸はオルガの念力で回収されていったことを。
その光景を一体のドローンがみつめていた。
オルガはそのドローンを通して戦いをみつめていた。
『ガイガンは負けました。しかし、残骸の修復が終われば・・・いつでも再生させることができます。今度はより強化いたしましょう。より強くより大きくなったガイガンをおみせできるかと。』
その顔はほくそ笑んでいた。
『あやつめ、強くなっておりますな。』
エヴァ初号機のことか。
ゴジラもまた、その報告を聞いて口の先が歪んでいった。
笑顔である。
面白い、そうでなくては面白みがない。
歯ごたえがないというもの。
魂の味は苦労すればするほど旨味がます。
そして、私の養分となる。
その次はこの世界を我が物にしてやる。
闘争はゴジラを強くする。
特に強者との闘争はそうだった。
破壊神の決意は固かった。
次回は少し謎解き回を
バトル要素うすめです。