メジロマックイーンと俺 作:おれ
「あっちぃ、、、」
夏の暑さのせいで思わず口からそんな言葉が出てくる。今は8月。夏休みも中ごろに差し迫った時におれは虫取りをしていた。近くにある木陰に入り、水筒を一口。ふと虫かごの中を見てみると、現在の収穫はたったのセミ一匹のみだった。お母さんが買ってくれた麦わら帽子を深く被り、まだ見ぬ虫を追い求めまた走り出した。
意気揚々と走り出して数分、すでにバテてしまっていたおれはだらだらと汗を流し歩いていた。とぼとぼ歩いていると目の前に大きな塀が見える。たしかここは町一番の豪邸だったと覚えていたおれは、もしかしてこの中にはスゴイ虫がいるのではないのか? と中に侵入するために塀をよじ登り始めた。友達のケンちゃんがおれのことを木登り名人と言うほどおれにとって塀ですら登るのは簡単なことで、するすると登っていった。林の中に無事着地したおれは落ち葉を踏みしめるようにして歩いていた。
「だめだぁ、みつかんねぇ、、、」
数十分探し続けた末、ついに見つけることができなかったおれは近くの原っぱの木陰でふて寝することにした。気持ちがいいのでどんどん意識がとろけていっている所に、君、と声をかけられたことでめが覚めた。ばっ、と素早く体を起こし、ファイティングポーズを取ったおれは声の主を見た。
「こんなところで何してるの?」
短い髪や、ジャージを着ていることなど様々な特徴のある中、一際目立つのが耳が自分とは違い、頭についていることだった。そこで少女はいわゆるウマ娘というものと気づいた。とは言っても今のおれは勝手に入ったことに関しての言い訳を考えるのに頭がいっぱいいっぱいだった。
「昼寝をするのに良さそうな原っぱがあったから、、、つい。な?」
「ふーん?」
少女はおれの苦し紛れの言い訳に対して、怪訝そうな顔をしてこちらを見つめてくる。あまりにも見つめてくるものだから、この空気を変えるべくおれは動くことにした。
「き、君の名前はなんていうのかなぁ〜?」
「普通、不法侵入してきたヒトには名前なんて教えないものだよ」
正論を言われてしまったおれは聞こえないフリをして、無理矢理すすめることにした。
「お、おれは! 中田って言うんだ! よろしく!」
「ま、ばかっぽいし、何かに悪用もできそうにないか。私はメジロライアン。よろしくね」
おれが差し出した右手は掴まないで名前だけを教えてくれた。小声でばかといわれたことに少しムッとする。
「おれはばかじゃない。天才だ! ちなみにここに潜入したのは、それそうおうの理由があってのことだ」
「それで、自称天才さんはどうしてここに侵入したんだい?」
おれが腕組みしてそう言っている間にライアンは先に木陰に座り、聞いてきた。
「ここって豪邸だろ。つまり生えている木とかもスゲェはずなんだ。だからここにいる虫もスゴイ!」
それにここの原っぱもつい寝ちゃうぐらい良いし、と得意げにいい加えると、ライアンはきょとんとした顔をした後、あっはっはと、大笑いした。
「君って」
ライアンは息を整えて、
「やっぱりばかだね」
と言った。