メジロマックイーンと俺 作:おれ
がちゃんという音とともに受話器を下ろす。
「マジかよ、、、」
次の日、ケンちゃんと遊ぶ約束をしていたおれはドタキャンの連絡にげんなりしていた。どうやら夏風邪にかかったらしい。昨日ライアンに暇な時に来ていいと言われたことを思い出す。だらだらと行く準備をし始める。リビングにかかっている時計を見ると今は9時。今から歩きで行っても1時間くらいかかるな。でもあっちに行って何するんだ?
「ボードゲームとか持って行ってみよう」
思いったったらすぐ行動する。自分の部屋に駆け込み、お泊まりするときに使う大きめのリュックを引っ張り出す。そこの中にありったけのボードゲームを詰め込む。少し入れすぎたかもしれないけれど、足りないよりはマシだろうと思ってリュックを背負う。
「鍵よし、水筒よし、帽子よし」
忘れ物をしないためには口に出して確認するのが一番とテレビで見たおれは出かける前にこれをするのが習慣になっていた。少し暑くなり始めた外に出て、家の鍵を閉める。よしメジロ家へと出発だ!
結局着いた頃にはおれは汗だくになっていた。昨日もそうだったけれど、今日は大荷物を持っているのでその分汗も多くかいてる気がする。やっとのことで門の前まで着くとどうやって入ろうかと考え始めたところ、どうやらインターフォンがついているようでそのボタン
を押して中に入れてもらうことにした。押してから数秒、インターフォンから声がした。要件を聞かれたのでライアンに呼ばれたので来ました、と正直に答える。そうするとライアンお嬢様は今日は用事でいらっしゃいません、と返ってきた。、、、今日用事があるのにそんなこと言ってきたのかよ。これからどうしようかと迷っていると、この暑い中いらっしゃったのにこのまま帰すのは失礼だ、と中に入れてくれた。
応接室に通された。案内してくれた人に聞いてみればライアンは午後には帰ってくるそうなので帰って来るまで待つことにした。それでも十分もしたらそわそわして落ち着かなくなってきた。よしここを抜け出してマックイーンの部屋に行ってみよう。幸い案内してくれた人はすでに戻っていったので、警備は手薄になっている。けれども建物の中だと迷いそうなので、昨日みたいに外から行こう。リュックを背負い、応接室の窓を開ける。開けた瞬間、外の暑い風が流れ込んでくる。それに少し躊躇するけど、思い切って外に出る。窓をゆっくり閉めて走り出す。記憶頼りにマックイーンの部屋を探す。幸い他の部屋と違い一部屋だけ窓が開けられていたためわかりやすかった。近くの木によじ登り、頂点までいくとマックイーンがベッドの上で本を読んでいるのが見えた。がさがさという音がなってしっまたのでマックイーンがこちらに気づく。わなわなと口が動き、何かを叫ぼうとしたので咄嗟に口に指を持っていって、シーと静かにするためのジェスチャーをする。ゆっくりと部屋の中に入る。
「何をしにきましたんですの?」
「暇だからな、マックイーンも暇だろうなって思って遊びにきた」
リュックを下ろして、中からボードゲームを取り出しながら答える。マックイーンに何やりたい? と聞いたらオセロを指さしてきたので準備をする。どうやらやったことがないらしく、おれが準備をするのを不思議そうに見つめていた。こういうゲームは自分で試行錯誤するのが面白いのでコツなどは教えないでルールだけ教える。おれは友達のカンキチにボードゲームの支配者と言わしめられたほどの実力なので、1勝、2勝と勝利を刻んでいく。マックイーンは負けず嫌いらしく、何度も再戦をせがまれた。他愛のない話をしながら勝負を続けていく。5戦ほどしたところでコツを掴んだらしく、急に強くなった。10戦目にしてマックイーンは1勝を手にした。
オセロに一区切りがついた頃にはもうお昼になっていたらしく、マックイーンのお付き人でのじいやと呼ばれている人が入ってくる。どうやらお昼ご飯の時間らしく、おれもリュックに入れていたおにぎりを取り出す。おにぎりにかぶりつきながら運ばれてきた食事の方を見る。
「いつも食事はここで食べてるのか?」
「体調が良い時は家族と一緒に食べていますが、ここ最近は一人ですわね」
「、、、一人で食べてて寂しくないのか」
「あら、心配してくださるんですの?」
でも、とマックイーンは続けた。
「今日はあなたが一緒にいますから寂しくありませんわ」
そう言って微笑むマックイーンを見て、少し顔が熱くなり、こそばゆい感覚に襲われる。咄嗟に顔を見られないように逸らしたら、照れていますの?とマックイーンがからかってきたので、違いやいと否定する。おにぎりを食べる速度も速くなった気がした。