メジロマックイーンと俺 作:おれ
次の日、さっそくトレーナーになるためにはどうすれば良いのか探すために図書館へ行って、本を探すことにした。この町にある図書館は家から10分もかからない距離にあって、ここら辺の地域の一番大きい図書館だ。いつもの通り水筒を持って家を出る。歩いて行くつもりだったのに抑えきれない気持ちが現れたのか、いつの間にか早足になり、結局は走っていた。
図書館について中に入ると、外と違って冷房が効いていて涼しい。ベンチに座って少し休憩してからトレーナーになるための本を探すことにした。階段横の表を見ると、どうやらスポーツについての本は3階にあるようで、階段を上っていく。3階についたおれは早速トレーナーについての本を探すことにした。歩き回ってウマ娘のジャンルの本だなを探す。こうして探していたけれど、トレーナーについての本は全く見つからなかった。そこで検索用のコンピューターがあったことを思い出して、そちらの方へ向かう。途中の読書スペースで、山積みの本に囲まれている人がいたので気になって、ちらりと見ると本の題名の中にトレーナーという単語が入っていることに気づいた。ここが図書館の中であることを忘れて駆け足でその人の方へ向かう。
「ねぇ兄ちゃん。それってトレーナーの本?」
そう質問するおれに気がついたのか、手を止めて顔をあげてこちらを見た。そうだよと答えた後、視線を戻しまた本を読み始めた。ここにある本、おれも読んでいい? と聞いたらその兄ちゃんはうなずいたので、一番上にある一冊を手に取り、隣に座って読み始める。読み始めたは良いものの、専門用語や文自体の難しさでなかなかに四苦八苦していたところ、隣で読んでいた人はそれに気づいたのか、ぱたんと本を閉じこちらに向いた。
「君、トレーナーになりたいのかい?」
「そうだよ。兄ちゃんも?」
「僕は、、、そうだね。なりたいというよりも、ならなくてはいけないという感じかな。、、、そんなことよりも、その本を読むのはなかなかに大変だろう。君にはこっちを読んだ方がいいと思うよ』
そう言って山から引っ張り出したのは『猿でもわかる! トレセントレーナー入門!』という本だった。
「これは良い本でね。他の本では解説されていない単語が全て書いてあるから、まずはこちらを読んでみてほしい」
じっくりと読んできてね。と付け加えられた言葉とともに渡された一冊を抱き締め、ありがとうという言葉を置いて本を借りるために受付へと走って行った。
今日はマックイーンに会うために、メジロの家に来ていた。マックイーンの部屋に通されると今日も彼女はベッドの上に寝込んでいた。ベッドのそばに来てマックイーンの体調を聞く。どうやらこの暑い夏の間は病弱な彼女を心配して両親やおばあさんが外での運動を禁止しているらしい。だからこの前も一人で外をずっと眺めていたんだな。
「マックイーン。一人でずっとここにいてつまらなくないのか?」
「ここ数年間、夏は毎日をこのようにして過ごしていたのでほんの少しだけ寂しい日もありましたわ。ですがここ最近は、あなたが来てくれているので退屈しませんわ」
今日こそはオセロで勝たせてもらいますわ、とおれがこの前置いてきてしまっていたオセロ盤を取り出しそう言っておれとマックイーンの間に置く。最初の4枚を置き、順番を決めてゲームがスタートした。
「この前、あなたトレーナーになるとおっしゃられていましたけれど、それはどうなりましたの?」
「今、勉強中だぜ。図書館で優しい兄ちゃんに会ってさ、おれでもわかりやすい本を教えてくれたんだ」
そうですか、と言って角に2つ目になるオセロを置く。思わず口からああっという言葉が漏れ出る。マックイーンが口に手を当ててふふっという笑い声が出る。ていうかいつの間にか強くなったんだよマックイーン。ボードゲームの支配者と言われたおれをいとも簡単にここまで追い詰めるなんて。
「マックイーン、あの後オセロめちゃくちゃしたな?」
「朝昼晩。あなたが帰ってから毎日しましたわ。対戦相手はライアンやじいや、最後にはおばあさまさえ。特にライアンに関してはもうオセロは嫌だと言わせるまでやり続けましたわ」
自慢げに話すマックイーンに対してライアンがかわいそうだなという感想を抱く。これはもう片手間にできるような問題じゃないな。本気を出すしかない。ボードゲームの支配者を舐めるなよ、、、!
結局ギリギリのところでマックイーンに負けてしまったおれは久しぶりに悔しさを感じた。おれに勝ち上機嫌なマックイーンが笑顔でもう一戦とせがんでくる中、本気を出した以上負けてられないと気合を入れてオセロに臨んだ。