今回は、いつもと書き方を変えてみました。今後の書き方を如何するかは読者様方の意見とか反応次第で決めるつもりです。どうかよろしくお願いします!それでは、どうぞ!
野比家
空は曇っていて昼間だというのに外は薄暗く、そのためか少し肌寒く感じるそんなある日。
一階の居間には、のび太とドラえもんが揃ってテレビのニュース番組を見ていた。
「次のニュースです。先日、○○で男性が失踪するという事件がありました。男性は自宅付近の工場に勤めており、仕事から帰る際に行方を眩ましたとのことです。男性の所持品である財布などは見つかったものの、手掛かりは一切見当たらなかったとのこと。これについて、警察は…」
「謎の失踪事件か、物騒だな〜。ねぇ、ドラえもん」
「うん…」
のび太に話しかけられたドラえもんだったが、ドラえもんは考え事でもしているのか、うわの空だった。
その様子を怪訝に思ったのび太はドラえもんの方を揺すりながら声をかける。
「ドラえもん?…ドラえもん!」
「うわっ!な、なんだい、のび太くん。急に大きな声出さないでよ、ビックリするじゃないか」
「ドラえもんがボーッとしてて、人の話を聞いてないからじゃないか。何か、あったの?」
驚いているドラえもんの抗議を真っ向から切って捨てると、のび太は心配そうに問いかける。
それにドラえもんは目を伏せると、黙り込んでしまう。
だが、少しすると目をあげて、のび太の方を向く。
「のび太くん。もしかしてなんだけど…僕に何か隠し事とかしてないかい?」
「何だよ藪から棒に。隠しておいたどら焼きでも無くなったの?だったら、僕じゃないよ」
「そういうことじゃないんだ。もっと…重大な事を隠してないかい?」
あまりに真剣な言うドラえもんの言葉に一瞬固まるのび太だったが、直ぐに元の調子に戻ると笑いながら誤魔化す。
「…気のせいじゃないの?大体、僕が隠し事してるっていう根拠でもあるの?」
「無いけど…何だかそんな気がしたんだ」
「も〜、ドラえもんは考え過ぎなんだよ」
のび太は表面上は苦笑しながら言っているように見えるが、内心はそうはいかなかった。
「(隠し事って…いや、まさかね。こんなに隠してるんだ、バレる訳ないじゃないか)」
ドラえもんには何とか誤魔化したものの、なんだか変な雰囲気になってしまい、お互いに押し黙る。
のび太がどうしようかと頭を悩ませていると、台所から玉子がのび太たちを呼ぶ声が聞こえた。
「のびちゃん、ドラちゃん。悪いけどおつかいに行ってきてちょうだい」
「「は〜い!」」
玉子の声に半ば反射的に返事をした2人は、お使いのメモと買い物カバンを持って家を出た。
しかし、先ほどの事が尾を引いているのか何となく気まずい空気で、お互いに会話が思うように進まない。
その時、2人の後ろから自転車のベルの音が聞こえてくる。
「よお、のび太にドラえもん」
「あ、ジャイアン」
「何してるんだ、お前ら?」
声をかけた後、自転車に乗ったジャイアンが2人の横に止まる。
ジャイアンは2人を見て、何をしてるのかと尋ねる。
それにドラえもんが答える。
「ママにお使い頼まれてね。そういうジャイアンは配達かい?」
「おうよ。今日は母ちゃんと父ちゃんが温泉旅行に行っててよ。だから、俺が配達してるって訳だ」
「へぇ〜、えらいじゃない!」
「へへっ、まあな!って、訳だからじゃあな!」
配達している理由を聞いてドラえもんがジャイアンを褒めると、ジャイアンは鼻の下を擦りながら若干照れくさそうにしながらも得意げに胸を張る。
そして、残りの配達を終わらせるため、ジャイアンは再び自転車を漕ぎ出した。
しかし、すぐにまた自転車を止めて振り返る。
「あ、そうだ。なあ?」
「どうかしたの、ジャイアン?」
「いや…お前ら、なんかあったのか?」
「っ!何もないけど、どうして?」
ジャイアンの質問に2人はギョッとなるものの、瞬時に再起動したのび太が誤魔化す。
それを聞いたジャイアンは、その反応に頭に疑問符を浮かべながらも、そうかと返す。
「なんか、お前らの様子がちょっと変な気がしたからよ。でも、何にもないってんならいいや。じゃあな!」
そう言うとジャイアンは前を向き今度こそ自転車を漕ぎ進める。
それを見送った2人はお互いに顔を見合わせると揃ってため息をついた。
「そんなに分かりやすかったかな、僕たち」
「多分ね。ジャイアンが意外と鋭かったってのもあるかもしれないけど」
「…ドラえもん、あのさ」
「…うん、そうだね。何時までも、こんな状態でいるわけにもいかないしね!」
「うん!そうだね」
のび太の言わんとしてることを全て言わずとも察したドラえもんはいつも通りの状態に戻ろうという意で言葉を返す。
それを聞いたのび太も嬉しそうに笑いながらそれに肯定する。
無事にいつも通りの仲に戻った2人は色々な事を話しながら歩く。
学校の事、友人の事、今日の晩御飯の事、近所の猫の事…さっきまでのことが嘘のように、不思議と話題は尽きなかった。
商店街に着いて頼まれていたものを買っている時、またもや不意に声をかけられた。
「のび太くん!」
「ああ、奈々ちゃん。どうしたの、こんなところで?郎夜さんは?」
「師匠は今、別の場所にいるの。それで、私は折角だからここら辺の色々なもの見ておこうと思って。もしかしたら、お買い物に来るかもしれないから」
「へぇ、そうなんだ」
「のび太くん、その娘誰だい?」
奈々は自分が商店街にいる理由を話す。
その時、とても嬉しそうな様子の奈々を見て、のび太は何だか自分まで嬉しいような気持ちになっていた。
その仲の良さそうな様子を見て不思議に思ったドラえもんは、のび太に奈々の事を聞く。
それを聞いてのび太は、ドラえもんに奈々を紹介する。
「紹介するね。僕の友達の奈々ちゃん。で、こっちはドラえもんだよ」
「どうも。僕、ドラえもんです」
「よ、よろしくお願いします」
のび太の紹介を聞いてもう一度自己紹介しながら手を差し出すドラえもん。
それに対し、奈々は若干人見知りの気があるのか、戸惑いながらも手を差し出して、握手をする。
特に何事もなく自己紹介を終える2人を見て安心したのび太は、奈々に話しかける。
「そうだ。もし良かったら奈々ちゃんも一緒に来る?今、お使い頼まれてるから、ここら辺のお店色々見て回れると思うし」
「え…い、一緒に⁉︎い、いいの?」
「僕は全然いいけど。ねぇ、ドラえもん?」
「うん。僕も構わないよ」
「だから、どうかな…って、どうしたの?」
「(こ、これはデート!いや、でもドラちゃんもいるから違うよね。そ、それでも、これは…)はわわわっ⁉︎」
突然ののび太の申し出に、奈々は内心の動揺を隠しきれず、顔を真っ赤にしながら訳のわからない言葉が出てしまう。
それを見たのび太は不思議そうな顔で首を傾げるも、隣のドラえもんは1つの推測を立てる。
「(もしかして、奈々ちゃんって…のび太くんのこと…)」
「どうかしたの?もしかして、なんか一緒に行けない訳があるt」
「はっ!…ないないない‼︎だから、一緒に行かせて!」
「う、うん。じゃあ、行こうか?」
「うんっ!」
奈々の様子を勘違いしたのび太の言葉を途中で遮って、食い気味に言葉を被せて否定する。
その必死な姿に少し驚きながらも、のび太は歩き出す。
それと同時にドラえもんと奈々も歩き出す。
「ところで、今日は何買うの?」
「えっと、メモには…じゃがも、玉ねぎ、醤油にアジ。あとは、来客用の饅頭、おやつのどら焼きだね」
「どら焼き!やったぁぁぁ!のび太くん、奈々ちゃん。そうと分かれば早く行こう‼︎」
「あ、ちょ、ちょっとドラえもん!」
のび太はお使いで頼まれているものが書かれているメモを取り出すと、順番に読みあげていく。
その中の最後に書かれていたどら焼きという言葉をのび太が読んだ瞬間、テンションが最大まで高まったドラえもんは2人を置いて駆け出してしまう。
それをのび太が止めようとするものの、そんな静止の言葉が聞こえていないドラえもんは走り出そうとするが、間一髪で首輪を引っ掴んだのび太が止める。
「落ち着けよ、ドラえもん。君が先走ったって意味ないだろ」
「止めるな、のび太くん!どら焼きが、どら焼きが僕を待ってるんだぁ!」
「全く、ドラえもんは…」
「のび太くん。ドラちゃんってそんなにどら焼き好きなの?」
「大好物なんだよ。三度の飯よりどら焼きって位に」
「そ、それは凄いね…」
のび太に掴まれていても尚駆け出そうとするドラえもんを見て奈々が不思議に思う。
それにのび太は呆れながらも、ありのままに事実を伝える。
それを聞いた奈々は思わず苦笑してしまう。
そんなことをしている間にのび太の拘束を振り切ったドラえもんは走って行ってしまう。
「うおおおお、どら焼きィィ‼︎」
「あ!おい、ドラえもん!…行っちゃったよ。財布持ってるの僕なのに…」
「もう見えなくなっちゃった…」
「仕方がないなぁ〜。僕らも急ごっか」
「ふぇっ⁉︎の、のび太くん⁉︎(そ、そんな急にて、手を⁉︎恥ずかしいような、嬉しいような…)」
既に姿が見えなくなってしまったドラえもんを追うためにのび太は、呆然とする奈々の手を取って走り出す。
奈々はあまりに突然のことで顔が先程よりも更に顔が真っ赤になっていき、まるでトマトのようだった。
そして、表情は戸惑いもあるがやはり嬉しいのか、照れていながらも幸せそうだった。
キクチ屋
和菓子屋であるキクチ屋に到着した2人は、店の前で立っているドラえもんを見つける。
ドラえもんものび太たちを見つけて、駆け寄っていく。
のび太「やっぱり、ここにいたのか」
ドラえもん「ごめん、のび太くん。よくよく考えたら財布持ってるののび太くんだったって気付いたんだけど、その時はもうキクチ屋に着いてて…」
のび太「もう良いよ。けど、次からは気を付けてよ」
ドラえもん「うん。奈々ちゃんもごめんね」
奈々「私も気にしてないからいいよ」
申し訳なさそうに謝るドラえもんを、2人はあっさりと許す。
そして、3人は店に入りメモに書かれていた饅頭とどら焼きを買うと外に出る。
ドラえもんの顔はとても満足気なものであった。それを見た奈々はふふっ、と小さく笑いながらドラえもんに話しかける。
「ドラちゃんって本当にどら焼きが好きなんだね」
「うん!どら焼きなら幾らでも食べられちゃうよ!」
「何言ってんのさ。この前、どら焼きの食べ過ぎでお腹痛めてたじゃない」
「ちょ、のび太くん⁉︎それは、その〜…」
ドラえもんは奈々にどら焼き大好きアピールをするものの、横からののび太の言葉によって台無しになってしまう。
それにドラえもんは動揺して、恥ずかしそうにする。
それを見た奈々は仲の良い2人の微笑ましいやり取りに思わず暖かい気持ちになる。
その時、不意に上を向いたのび太が声を漏らす。
「ん?」
「どうかしたの、のび太くん?」
「いや、空で何か動いててさ」
「鳥とかじゃないのかな?」
「それにしては大きすぎるような…」
のび太の言葉を聞いたドラえもんと奈々も上を向く。
のび太の言葉通り、確かに空で動いている何かは鳥にしては大きすぎる。
3人がその正体を見極めようと更に目を凝らしていると、突如その何かが大きくなっていく。
否、大きくなっていくように見えた。
「ねぇ、のび太くん。アレだんだん近づいてきてない?」
「うん、そうみたいだね。ドラえもん、あれ何?」
「さ、さあ?あっ、そんなことよりお使いの続きしなきゃ」
ドラえもんの言葉を受けて奈々はその場から動こうとしたものの、どうしても気になったのび太は見上げ続ける。
そうしていると、その何かがこちらを向いた。
そして、その何かと目があった。
その瞬間、のび太は叫ぶように言葉を発した。
「2人とも、急いで逃げて!」
「えっ?」
「のび太くん?」
その時、上空の何かが突如、のび太に向かって急降下してきた。
凄まじい速度のそれをのび太は間一髪で横に転がり、躱す。
急降下してきたそれは地面と激突し、あたりは激しい砂埃で覆われる。
ドラえもんと奈々は、何が起こったのか分からず、困惑する。
「のび太くん!」
「一体、何が…!」
「奈々ちゃん、気を抜かないようにね」
「まさか…」
のび太の言葉に奈々が何が起こったのかを大体察した所で、砂埃が晴れてくる。
しかし、そこにいたのは人なんかではなかった。
灰色の身体に鋭い眼と嘴、背中に大きな翼を持ったカラスのような怪人、クロウオルフェノクだった。
「か、怪物!」
「ドラえもん、早く逃げて‼︎」
地面に降り立ったクロウオルフェノクは、自身を見て驚愕し、狼狽えているドラえもんに目をつけると、その両手に刃の周りに刺々しい刃が付いているクナイを出現させると投擲する。
咄嗟のことに反応できないドラえもんだったが、奈々が倒れこむように押しのけた事で、クナイはギリギリの所で当たりはしなかった。
だが、そこへクロウオルフェノクは更にクナイを投げこむ。
しかし、それは自分の後ろから飛来してきたエネルギーの銃弾に全て撃ち落とされる。
クロウオルフェノクは銃弾の飛んできた方向に顔を向ける。
「お前の相手はこっちだ!」
「…面白い」
クロウオルフェノクはショックブレードガンを構えたのび太に対して、両手の指を使いクナイを2本ずつ構える。
そして、クロウオルフェノクが計4本のクナイを投げると、のび太は後ろに下がりながら全て撃墜する。
それでも尚、間髪入れずにクナイが投げ込まれるが、のび太はブレード部分も使い捌く。
そこへ、クロウオルフェノクが背中の翼を広げ、それを大きく羽ばたかせる。
すると、とてつもない風量の突風が巻き起こり、のび太のその身体を吹き飛ばす。
「うわぁっ!」
「のび太くーん‼︎」
「のび太くん!」
吹き飛ばされたのび太を心配する2人をよそに、クロウオルフェノクはそのままかなり遠くまで飛ばされたのび太の方へ飛んで行った。
2人はのび太が飛ばされてしまった方へ走っていった。
一方その頃、のび太の方もドラえもんから離れたところでディケイドライバーを出現させると、巻きつける。
「変身!」
《KAMENRIDE DECADE》
のび太はディケイドへと変身すると、受け身を取りながら上手く着地する。
そこに自分を追ってきたクロウオルフェノクも現れる。
「お前のような子供が…マゼンタの怪人だったのか」
「まあね。さあ、始めようか」
ディケイドはライドブッカーをソードモードにして、構える。
クロウオルフェノクもクナイを両手に3本ずつ持ち、構える。
両者とも、そこから一歩も動かなくなった。
その時、突然起こった風に舞い上げられた葉っぱが両者の間を通り過ぎた。
そして、2人は動き出した。
「はあっ!」
クロウオルフェノクの投げたクナイを全て剣で切り払ったディケイドは一直線に突っ込んでいく。
クロウオルフェノクもクナイを一本、逆手持ちに構えると、一直線に走り出す。
互いの得物がぶつかり合い、甲高い音を立てながら火花を散らす。
「…やるな」
「そっちこそ!」
ディケイドがつば競り合いの状態から強引に相手のクナイを押しのけると、そこへ斬りかかる。
横一閃に振るわれた剣を一歩下がることで回避したクロウオルフェノクがクナイをディケイドの肩口に突き刺そうと迫る。
だが、ディケイドは剣を振るった勢いに身を任せ、一回転して再び斬りかかる。
「⁉︎」
慌ててクナイで受け止めるクロウオルフェノクだったが、咄嗟のことであったのと回転して威力が増していたことで横に吹き飛ばされる。
そこへディケイドが追撃しようとするが、クロウオルフェノクが吹き飛ばされながらも放ったクナイを喰らい倒れる。
「あの武器が厄介だな…なら、これで!」
《KAMENRIDE BRADE》
ディケイドライバーにカードを装填するとディケイドの姿が仮面ライダーブレイドの姿へと変わっていく。
更に、Dブレイドはディケイドライバーにカードを装填する。
《ATACKRIDE MACH》
そして、Dブレイドが駆け出すと一瞬にしてクロウオルフェノクの眼前に出現する。
そして、驚きで硬直しているクロウオルフェノクに右手に持ったブレイラウザーでの高速の連撃を浴びせていく。
「ぐうっ⁉︎いつまでも…調子にのるな!」
体を切り裂かれながらもクナイを振るうクロウオルフェノクだったが、Dブレイドは姿勢を低くして躱すと、そのまま流れるような動作で後ろへ回り込む。
《ATACKRIDE BEAT》
振り向こうとするクロウオルフェノクに、Dブレイドは強化された腕力で繰り出された拳撃“ライオンビート”を容赦なく打ち込む。
その威力にかなりの勢いで吹っ飛ぶクロウオルフェノクだっが、そんな中でも背中の翼で何とか勢いを殺そうと試みる。
《ATACKRIDE METAL》
《ATACKRIDE MACH》
その時、再び高速で接近してきたDブレイドが視界に入る。
クロウオルフェノクは、それを迎撃しようと蹴りを放つ。
しかし、蹴りが命中した筈のDブレイドはメタルのカードによって強化された防御力で以って耐え抜く。
そして、カウンターでクロウオルフェノクにマッハでの高速移動の勢いを利用したタックルで更に吹き飛ばす。
「ガハッ‼︎」
これまでの連続攻撃を全て受け続けたクロウオルフェノクは立ち上がるのも困難な様子で、如何にも満身創痍といったふうだった。
トドメを刺そうとライドブッカーに手を伸ばしたDブレイドだったが、後ろから聞こえてきた声に中断させられる。
「のび太くーん‼︎」
「待って、ドラちゃん!一人じゃ危ないよ!」
どうやらのび太を心配して急いで来たようで、その後ろから奈々が追いかけていた。
2人に一瞬注意がいったのを見たクロウオルフェノクは空へと翔びあがりながら、叫ぶ。
「今だ、やれっ!」
「⁉︎」
その時、地面から何かが飛び出しDブレイドに迫る。
それをDブレイドはブレイラウザーで弾くが、ブレイラウザーと自身も吹っ飛び、ディケイドへと戻ってしまう。
だが、弾かれたそれは今度はドラえもんへと迫っていく。
今のドラえもんには避けることは叶わない。
奈々もそれに間に合いそうにはない。
そして、それがドラえもんに届こうとし、ドラえもんは思わず目を瞑る。
しかし、いつまでたっても何も起きない。
それを不思議に思ったドラえもんが目を開けると…
「ぐ、ああ…」
「!」
ディケイドがドラえもんを、その身を挺して庇っていた。ドラえもんはディケイドの身体に刺さっているものを見た。
それは先端が針のようになっている刃の様だった。
やがて、その刃がディケイドから引き抜かれる。
そして、地面から何者かが姿をあらわす。
クロウオルフェノクと同様の灰色の身体、長く鋭い針を持った尾。
そして、たった今ディケイドを突き刺した尾と同じ形状の蛇腹剣を持ったエイのようなレイオルフェノクだった。
「僕に頼るなんて、なっさけな〜い」
「…うるさい」
「あれれ?助けてくれた相手に対して、それはないんじゃない?」
「…チッ」
ふざけたような喋り方で馬鹿にしてくるレイオルフェノクにクロウオルフェノクは言い返すも、そこから更に煽ってくる。
それに苛ついたのか小さく舌打ちをする。
一方、ドラえもんを庇ったディケイドは膝をつく。
それを見たドラえもんはディケイドのもとに駆け寄る。
そして、奈々もそれに続く。
「だ、大丈夫ですか⁉︎」
「あ、ああ。この、くらい…」
ディケイドは大丈夫だとドラえもんに伝えようとするが、身体に走る異様な苦しさのせいで強がることもできない。
そんなディケイドにレイオルフェノクが話し出す。
「大丈夫な訳ないじゃない。僕の毒を諸に喰らったんだよ?」
「毒…!」
「そう、毒だよ。ただの人間が喰らえば一瞬で毒が回って、死んじゃうような強力なやつ。君はいつまで保つのかな〜?」
そういうとレイオルフェノクはゲラゲラ笑いだす。
そして、ふらふらな様子のクロウオルフェノクに話しかける。
「ねぇ、そろそろ帰ろうよ。つまんないし」
「ま、まて。そいつのトドメを…」
「別にいいじゃん?どうせ、死ぬんだから。せいぜい、苦しんで死んで貰いたいしね。あれれ?僕って、鬼畜〜w」
「お、おい!」
クロウオルフェノクの言葉を聞かずに去っていくレイオルフェノクに、それを追うクロウオルフェノク。
2体のオルフェノクが去った後、ディケイドは立ち上がってドラえもんから離れようとする。
「ちょっと、そんな状態でどこに行くんですか⁉︎」
「僕なら大丈夫、だから。はやく、いっ、て…」
「大丈夫じゃないでしょう!そうだ、お医者さんカバンで…」
去ろうとするディケイドを引き止め、ポケットから道具を出そうとするドラえもん。
しかし、既に体力が毒で限界だったディケイドは倒れてしまう。
そして、ドラえもんの前で変身が解かれてしまう。
「え…」
それを見たドラえもんはそれ以上の声が出なかった。
手も道具を出しかけたまま止まってしまう。
呆然としたまま固まってしまうが、それでも目の前の現実が否応なく襲いかかってくる。
何故、如何して。
そんな疑問が次々と湧き上がってくるものの、生憎とその答えは持ち合わせていなかった。
そして、やっと出た声は震えながら、その少年の名前を呼ぶ。
「のび太、くん…」
その時、ポツポツと雨が降り始め、その声は雨の中へと消えていった。
どうでしたかね?初の試みということで少々書きにくかったのですが、これの方が良い、見やすいということならば今後こういった書き方にするつもりですので、よろしくお願いします。あと、次回の話の後に劇場版を予定しています。時間がかかってしまい申し訳ありません。それでは次回予告といきましょう。
毒に倒れてしまったのび太に衝撃の事実を知ってしまったドラえもん。果たして、のび太の運命は、真実を知ったドラえもんの心は。そして、2人の友情は…
次回、第九話
全てを破壊し、全てを守り抜け!