ドラえもん のび太の仮面冒険記   作:Δデルタ

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Δデルタ「投稿完了!」
ドラえもん「作者元気だね〜」
のび太「まあ、仕方が無いんじゃない?バトライド・ウォーⅡが予想以上に楽しいらしいから。あと、テストの結果が良かったらしいよ」
郎夜「浮かれ過ぎじゃねぇか?」
奈々「あれ?セワシさんは?」
Δデルタ「ああ〜、切り捨てた」
Δデルタ以外「‼︎」
Δデルタ「いや、感想欄には出るけど前書き、後書きには出さないつもり」
ドラえもん「何で!」
Δデルタ「いや、セワシまで書くの大変だし…面倒いし」
のび太「絶対、最後のが本音だろ!」
Δデルタ「兎に角、彼奴はもう出ないから宜しくお願いします〜」
郎夜「作者の気紛れが発動したか…」
奈々「みたいですね…」
Δデルタ「よし!じゃあ、始めるか!第四話を…」←無視
皆「どうぞ‼︎」


第四話

 

まだ、日が出きっておらず外は薄暗い早朝。そんな時間にランニングをしている少年がいた。黄色いシャツに紺色の半ズボンを履いて首にマゼンタのポラロイドカメラをかけたのび太だ。何故のび太がこんな時間に起きているのかと言うと、のび太は旅が終わり、この世界に帰ってきた後も訓練を続けているからだ。のび太は旅をしている間、この時間に訓練をすることは日課だった。なので、それがのび太にとって当たり前になっていた。まあ、のび太自身この訓練を辞めるつもりなど毛頭無いのだが。因みに先程ランニングと言ったが、それはあくまでのび太にとってのランニングであり、他の人から見るとほぼダッシュと変わらない位の速さで走っていた。

 

のび太「ふぅ、無事到着っと。さて、体もあったまってきたし早速始めるか」

 

のび太は訓練の場である裏山に着いた。そして、今日の訓練を開始した。どうやら、先程までのランニングは訓練の為のウォーミングアップらしい。のび太は、ポラロイドカメラを首から外し少し開けた場所に着くと、拳を構えて目を閉じて集中する。

 

のび太「はあっ!」

 

のび太は目を開けて鋭い眼光で目の前を睨みつけると、そんな掛け声と共にパンチを繰り出す。更にミドルキックを放ち、そこから肘打ち、前蹴り、ハイキック、右ストレート、後ろ回し蹴りと次々と連続で技を放ち続ける。その技は全て、スピードもキレも素人目から見ても桁違いだと分かる程である。そのまま暫く、パンチやキックなどを休みなく打ち続け、最後にパンチを放つと動きを止める。そして、パンチを戻し構えを解くと深く深呼吸する。

 

のび太「はぁ〜、前回よりは良くなってるみたいだけどまだ少し動きに無駄があるな…。まあ、そこら辺はやってく内に何とかなるか」

 

そう言い終わると、のび太はライドブッカーをソードモードにして取り出す。すると、先程と同じ様に鋭い眼光で前を睨みつけるとライドブッカー(ソード)の刀身を撫でる様な仕草をして、一気に振り下ろす。その後も斬り上げ、袈裟斬り、左薙ぎとその場で動きながら斬撃を繰り出す。そして、最後に後ろに下がりながらの逆風からの刺突と繰り出し構えを解いた。

 

のび太「良し、次は射撃だな」

 

のび太は辺りに落ちている葉っぱを集め、ある程度集まった処で、それを上へ放り投げる。そして、ポケットからエアガンを取り出し、落ちてくる葉っぱに向けて連続で発射する。落ちてくる葉っぱの動きは不規則な筈だが、のび太はその全てを撃ち抜いていく。途中、弾切れになるが空の弾倉を排出し、予め用意していた弾倉を取り出し素早く装填し再び撃ち続ける。そして、最後は正面を向いたまま後ろに落ちてくる葉っぱを自身の横にあった小石に跳弾させて撃ち抜いた。

 

のび太「問題無しっと。いつも通りだね。さて弾を拾わないと、ん?」

 

すると、近くの茂みが揺れだしそこから一匹の子狐が出て来た。

 

のび太「あっ、葛葉(くずは)!おはよう」

葛葉「キューン」

 

葛葉はのび太が訓練をする様になってからのび太が見つけたのだ。最初はのび太を警戒して近寄って来なかったが、のび太が餌をあげて、早朝に通い続ける様になってから次第に懐いていって今では甘えてくる様になったのだ。葛葉はのび太に駆け寄り、身を擦り寄せる。のび太は、くすぐったいよと言いながら屈んで葛葉を撫でる。それに葛葉は気持ち良さそうに目を細める。やがて撫でるのを止めるとのび太は弾を拾いに行こうとする。それに葛葉はのび太の服を咥えて、もっと撫でてと言う様に鳴く。

 

のび太「ごめんね。今からこの弾を拾わなくちゃいてないからさ、その後ね」

 

のび太はそう言うと弾を拾い始める。すると葛葉はのび太の後ろ姿を見つめて、茂みの奥へ走り去って行った。その後のび太は周辺の弾拾いを終え、遠くへ飛んで行った弾を拾いに行こうとする。

 

のび太「あれっ?何で弾が集めてあるんだ?」

 

後ろを見ると、遠くにある筈の弾が一箇所に集められていた。のび太が疑問に思っていると、葛葉が弾を咥えて戻って来た。

 

のび太「もしかして、葛葉が集めてくれたの?」

葛葉「キュン」

のび太「そうか、ありがとね。助かったよ、葛葉」

葛葉「キューン」

 

のび太は葛葉を抱っこして、撫でる。葛葉はのび太の腕の中で気持ち良さそうにしながら撫でられる。そして、葛葉を下ろして何時もの様に食べ物をあげ、それを葛葉は食べる。

 

のび太「それじゃあ、僕は帰るね。またね」

葛葉「キュン」

 

のび太がそう言うと葛葉は一鳴きした後、山の奥に帰って行った。それを見届けたのび太も自宅へ帰る。勿論、異常な速度のランニングをしながら。

 

 

数分後

 

のび太が家の前に到着した時には空は若干明るくなり始めていた。のび太は昨日、借りておいたタケコプターを装着し二階の屋根に上がる。因みに、充電はちゃんとされている。そして、予め開けておいた窓から部屋に入る。

 

のび太「よし、ばれて無いな。さて、じゃあ僕はもう一眠りするか」

 

そう言うとのび太は、布団に入り一瞬で眠りについてしまった。恐ろしい程の寝つきの良さである。

 

 

数時間後

 

ドラえもん「ふぁ〜、よく寝た。あ、のび太くんまだ寝てる。もう、のび太くん!朝だよ!」

 

ドラえもんはのび太の体を揺すって起こそうとする。しかし、のび太はそんな程度では起きない。現に揺すられているにも関わらず、まるで気付いていないかの様に…否、本当に気付かずに惰眠を貪っている。のび太は一応わざと起きない様にしているが、起こされている事自体は本当に気づいていないのだ。

 

ドラえもん「のび太ーーーーーーー‼︎起きろーーーーーーー‼︎」

のび太「zzz…、うん?何?」

ドラえもん「何じゃ無い!起きてのび太くん、また遅刻するよ!」

のび太「ん〜、分かったよ〜。(遅刻なんて何時ものことじゃないか。まあ、目も覚めたし良い加減起きるか)」

 

のび太はノロノロと布団から這い出て、大きな欠伸を一つする。そして、眠たそうに目を擦りながらパジャマから普段着に着替える。

 

ドラえもん「も〜、早く早く!」

のび太「分かってるって。てか、危ないから押さないでよ」

 

ドラえもんはのび太を急かす。それでもマイペースを崩さないのび太の背中を押して階段を降りさせる。洗面所で顔を洗い、歯を磨く。そして、のび太がドラえもんに背中を押されながら台所に辿り着くと玉子がテーブルに朝食のトーストを並べていた。

 

のび太「おはよう」

ドラえもん「ママ、おはよう」

玉子「あら、のびちゃんドラちゃん。おはよう。今日は珍しく早起きじゃない」

のび太「うん、まあね」

玉子「朝ご飯、出来てるから食べなさい」

のび太・ドラえもん「はーい」

 

のび太とドラえもんは自分の席につくと、トーストにそれぞれジャムとバターを塗って食べ始める。すると、今起きたのか台所にのび太の父であるのび助が現れる。

 

のび助「やあ、おはよう」

のび太・ドラえもん「おはよう」

玉子「あら、あなた、おはよう。朝ご飯出来てるわよ」

のび助「うん、ありがとう。それにしても、のび太。今日は、早いんだな」

玉子「そうなのよ。だから、今日はコッチが慌てなくて助かったわ。ドラちゃんのお陰ね」

ドラえもん「いやいや、そんな〜」

のび助「そうか、ありがとうドラえもん。これからものび太を頼むよ」

ドラえもん「はい!」

のび助「ははっ、頼もしいな」

玉子「そうね、うふふ」

のび太「(今更だけど、よくドラえもん受け入れられたな)」

 

のび太は両親とドラえもんの会話を聞きながら、そんな今更ながらの疑問を浮かべる。ドラえもんは野比家に来た日、のび太が色々疲れながら家に帰ると普通に家族の一員として迎えられていたのだ。なので、どうやって両親を説得したのかを聞こうとしたのだが、玉子に買い物を忘れた事がバレて説教を受けとてもそんな気力も起きず、寝てしまったのだ。いつもだったら、玉子の説教など別に何とも無いのだが、あの日は色々と蹴り飛ばしたり驚いたり死にかけたり戦ったりしたので、流石ののび太でも堪えたのだ。

 

のび太「ふう、ご馳走様」

ドラえもん「ご馳走様、のび太くん学校の準備」

のび太「分かってる」

 

のび太は朝食を食べ終わると自分の部屋に戻る。それにドラえもんも着いて行く。のび太はランドセルに教科書、ノート類を入れると、それを背負い玄関に行く。

 

ドラえもん「のび太くん、ハンカチとティッシュ持った?」

のび太「うん、大丈夫。持ったよ」

ドラえもん「忘れ物は?」

のび太「多分、無い」

ドラえもん「そう。気を付けてね」

のび太「うん、ありがとう。じゃあ、行って来ます」

ドラえもん「行ってらっしゃい」

 

のび太はドラえもんに見送られながら家を出る。それを見届けたドラえもんはのび太の部屋に戻る。

 

ドラえもん「さて、漫画でも読むか。今日はオシシ仮面の3巻からだな」

 

 

通学路

 

のび太が学校への道を歩いていると、後ろから声をかけられた。

 

?「のび太さ〜ん」

のび太「ん?ああ、しずかちゃんか。おはよう」

 

その人物は黒髪で短く揃えた二つ結びのお下げの少女。のび太のクラスメートである源 静香であった。静香はのび太の隣に来ると並んで歩く。

 

静香「のび太さん、今日は随分と早いのね」

のび太「それママやパパにも言われたよ」

静香「あら、そうなの」

のび太「そうなんだよ。そんなに珍しいかな?」

静香「うふふっ、でも悪い事じゃ無いんだから良いじゃない」

のび太「それもそうか」

 

その後、のび太と静香は最近の事などを話しながら歩いていた。すると、急に静香がある話題を話し始めた。

 

静香「 あ、そう言えばのび太さん。また出たらしいわよ?」

 

のび太はその話に内心、動揺する。しかし、それを表情に出すこと無く話を聞く。

 

のび太「?出たって、例の怪人?」

静香「ええ、そのマゼンタ色の怪人が出たって話よ。また、怪物を倒したんですって」

のび太「そう、良かったじゃない。怪物と違って、人を襲ってる訳じゃ無いし皆を助けてくれてるんだから」

静香「そんな事、分からないじゃ。ただ仲間割れしてるだけかも知れないし、それに…」

のび太「それに?」

静香「私、怖いの。どれ位って聞かれると分からないけど、想像もつかない様な怪物を全部倒してるって思うと、分からない筈なのに凄く恐ろしく感じるの」

のび太「…そう、なんだ」

 

のび太はその言葉を聞きながら考える。先程の意見は別に静香だけのものでは無いだろう。寧ろ、大衆の殆どが抱いている事だ。勿論、その怪人と言うのはディケイドの事である。何故、その様に呼ばれ出したかと言うと、少し前からこの町で怪人が現れ出したのである。のび太はそれに常々、疑問に思いながらも戦っていた。ある時、怪人を倒して襲われていた男性に声をかけようとした時、その男性が酷く怯えながら悲鳴をあげて逃げてしまったのである。それを呆然と見ながら、のび太は本当の意味で理解した。仮面ライダーと怪人は紙一重と言う事を。薄々とだが、のび太は気付いていた。怪人と戦っている自分を見る町の人の瞳の中が期待でも安心でも無い、恐怖で染まっているいることに。元々、自分を味方と見ることが出来る人間なんてごく稀でしか無い事は分かっていた。その他の人間から見れば自分だって、怪人と変わらない事ぐらい分かってはいた。何せ、どちらも人間の理解を超えた化け物なのだから。結果、ディケイドは市民から怪人と言う扱いとされた。だが、のび太はそれに対して思う所はなかった。何故なら、自分も仮面ライダーの事を知らなかったら同じ様な反応をしたと思ったからだ。だから、仕方が無いと分かっていた、分かってはいたがただそれでも…

 

のび太「(辛いな、やっぱり。分かってても…)」

 

のび太は空に浮かぶ雲を見ながら、心の中でそう呟いた。

 

 

学校

 

学校に着いたのび太と静香は教室のドアを開けた。すると、一人の少年から声をかけられた。

 

?「やあ、野比くん静香くん。おはよう」

のび太「出木杉か、おはよう」

静香「おはよう、出木杉さん」

 

整った顔立ち、明らかに優等生オーラを持つ少年、出木杉 英才がいた。机の上にノートが広がっている所を見るあたり恐らく自主勉強をしていたのだろう。

 

のび太「(朝早くから頑張る物だね、素直に感心するよ)」

 

のび太は出木杉の事を嫌ってはいなかった。寧ろ、良い奴だと思っている。学業優秀、スポーツ万能、誠実で容姿端麗な優等生。更に、それらを鼻にかけずに努力を怠ることはない。しかも、勉強だけで無く漫画やゲームやテレビを楽しんだりもするのでクラスでも一番の人気者だ。そのお陰かクラスの学級委員を務めている。今ののび太には嫌う要素は無かった。

 

出木杉「それにしても、野比くん今日は早いんだね。どうしたんだい」

のび太「君までそれを言うのか…」

出木杉「どうしたんだい?」

のび太「何でも無いよ、何でも…」

出木杉「そ、そうかい。そうだ、一緒に勉強しないかな?折角、時間があるんだ。どうだろう?」

静香「良いわね、やりましょう。ねぇ、のび太さんはどうするの?」

のび太「んっ?僕は…」

 

考え込むのび太。そして、一瞬だけ出木杉と静香を見て…

 

のび太「いや、僕はいいよ。二人でやりなよ」

出木杉「えっ、でも…」

のび太「良いんだよ、僕は朝早くから自主勉強なんて柄じゃ無いし。それに、やる気も無いからね」

出木杉「野比く…」

のび太「じゃあ、僕は外に出てるよ」

静香「えっ、のび太さん。どうして?」

のび太「僕が居たら集中出来ないだろ。それにやる気の無い奴が居ても邪魔になるだけだしね。それじゃあ」

 

そう言うと、のび太は教室から出て行った。静香と出木杉は、その背中を悲しそうに見ていた。

 

出木杉「野比くん、何があったんだろう?」

静香「分からないわ。のび太さん、去年から何だか様子が変で…」

出木杉「やっぱり、そう思うかい?僕もおかしいと思ってたんだ。それまで、参加していた野球やサッカーにも顔を出さないし」

静香「私達を避けてるのかしら…」

出木杉「いや、と言うより人付き合い自体を避けてる様に感じられるんだ。どっちにしろ、何かあったのは確実だろうね」

静香「…何で私達に一言も話してくれないのかしら」

出木杉「彼、変に一人で抱え込むからね。それだけ僕達が思っている以上に深刻な事なんだと思う」

静香「のび太さん…」

 

 

屋上

 

教室から出たのび太は屋上のフェンスにもたれながら、ボンヤリと青空を眺めていた。

 

のび太「はぁ〜、何であんな事言っちゃったのかな。でも、まぁ、これで良かったのか…」

 

のび太は先程の出来事を思い出しながら、そんな事を呟いた。本当はのび太は出木杉と静香と一緒に勉強も良いと思っていた。だが、今ののび太には出来なかった。のび太は旅の中で沢山の人と出会った。しかし、旅の中で死別した者もいた。クウガの世界やファイズの世界などだ。更に龍騎の世界では共に戦っていた仮面ライダーライア 手塚海之を失った。その為、のび太は自身の周囲の人間が傷付く事や失うことを恐れて、無意識の内に人との関わりを少なくしていたのだ。

 

のび太「それにしても、屋上に来たは良いけど何にもやること無いや。…うん?これは…、どうやらやるべき事は見つかったみたいだね。居るんだろ?出て来い!」

 

のび太がそう言うと、屋上の物陰から一つの人影が現れた。それは、ワインレッドのスーツ姿の壮年の男性だった。

 

?「いや〜、まさか気付かれるとは思いませんでしたね。出来れば気付いた理由を聞きたいのですがね」

のび太「わざと気付かせた癖に何を…あんだけ気配を隠さないでいたら普通は気付く」

?「いえいえ、普通は気付かない物ですよ?」

のび太「そう。で、お前は誰だ?」

?「おやおや、初対面の相手に対して随分な言葉遣いですね。聞いた話とは全然違っていますね」

のび太「こんなに堂々と殺気を放って来る様な奴に礼儀なんて必要無いよ」

?「駄目ですよ?人間、最初が肝心何ですから」

のび太「肝に銘じておくよ。で、お前は誰だ?」

 

のび太の問いに男性は不気味な笑みを浮かべると、一呼吸置いて口を開いた。

 

キョウ「私の名前はキョウです。以後、お見知り置きを」

のび太「キョウね…で、キョウ。お前は何をしに来た?場合によっては…」

《RIDEBOOKER》

 

のび太はDフォンでライドブッカー(ガン)を出現させ、構える。

 

キョウ「おっかないですね〜、そんな物を出さないで下さいよ?じゃないと……叩き潰したくなるじゃ無いですか」

 

キョウは殺気を更に放ち、胸ポケットからPの文字が書かれた端子の部分が透明な深緑色のUSBメモリの様な物を取り出す。

 

のび太「!ガイアメモリ…お前、ドーパントか⁉︎」

キョウ「如何にも。だが、このメモリは特製品でね。そんじゃそこらの有象無象とは性能も格も何もかもが違う」

《プレディション》

 

キョウがプレディションメモリのスタートアップスイッチを押すと、ガイアウィスパーが発声し起動する。そして、腰にベルト“ガイアドライバー”を巻き、そのバックル部分にプレディションメモリを挿入する。すると、プレディションメモリが吸い込まれ挿入口に金色の球体が現れる。と、同時にキョウの身体に変化が現れる。身体は迷彩柄の深緑色になり、紅い目は細く、頭部はマスクの様で、手には鋭い爪があり、胸には鋭い牙が付いた口の様な物があった。

 

プレディション「さあ、変身しなさい。そして、私と戦いなさい!」

のび太「じゃあ、そうさせて貰うかな」

《DECADRIVER》

 

のび太は腰にディケイドライバーを巻く。そして、ライドブッカーからディケイドの顔が描かれたカードを取り出す。そして、それを前に掲げる。

 

のび太「変身!」

《KAMENRIDE DECADE》

 

カードをディケイドライバーに装填し、ディケイドライバーを閉じる。すると、のび太の周りに14の半透明の影が現れ、それがのび太に重なり仮面ライダーディケイドに変身した。

 

プレディション「さて、じゃあ行きますよ!」

 

そう言うと、プレディション・ドーパントはディケイドに向かって駆け出す。そして、その鋭い爪をディケイドに振り下ろす。しかし、ディケイドは後ろに下がることで回避し、カウンター気味にパンチを繰り出す。それを喰らったプレディション・ドーパントはよろけ、その隙にディケイドは更に追撃を仕掛ける。ミドルキック、パンチ、前蹴り、回し蹴りと放ち、最後に蹴りで吹き飛ばす。

 

プレディション「はあはあ、やはり一筋縄ではいきませんね。これは鳴滝も苦戦する訳だ」

ディケイド「っ⁉︎お前、鳴滝を知ってるのか!」

プレディション「ええ、彼は私の古い知人ですからね。ついこの間も話したばかりですよ」

ディケイド「…やっぱり生きてたのか…」

プレディション「ん?ええ。鳴滝はそう簡単にやられる様な男では無いですよ。それは貴方もよく分かっていると思いますが?」

ディケイド「…そうだな。それより、そろそろ続きといこうか」

プレディション「やはり、休ませてはくれませんか」

ディケイド「当たり前だ。それと、そう言う時間稼ぎはもっとさりげなくする物だよ」

 

ディケイドはプレディション・ドーパントにライドブッカー(ソード)を振り下ろす。プレディション・ドーパントは爪で受け止めるが、ディケイドはそこから腹に蹴りを入れ距離を取り、一気に詰め寄りライドブッカー(ソード)で切り裂く。更に連続で切り裂いていく。そして、ディケイドは締めに刺突を放ち、それを喰らったプレディション・ドーパントは大きく吹き飛ぶ。

 

プレディション「そろそろ頃合いですね」

ディケイド「何だと?」

プレディション「では、私はこの辺で退散するとします」

 

そう言うと、プレディション・ドーパントの後ろに次元の壁が出現する。ディケイドは逃がすまいと近づくがその前にプレディション・ドーパントを飲み込み消えた。

 

ディケイド「逃がしたか…」

 

ディケイドはそう言うと変身を解き、のび太に戻る。

 

のび太「それにしても、態度の割りに随分と呆気なかったな。でも、あの余裕…一体何が目的で……駄目だ、さっぱりだ。あのメモリの能力さえ分かればはっきりするんだけどな〜」

 

のび太は暫くプレディションメモリについて考えていたが結局、分からず仕舞いだった。その後、時間が時間なのでのび太は教室へと戻って行った。尚、教室に戻った際、のび太が既に来ていたと言う事実にクラスメイトが面喰らったのは言うまでも無い。

 

 

空き地

 

奥に土管が三つ山状に積まれた空き地ではキョウが脇腹を苦しそうに押さえながら、土管にもたれ掛かっていた。

 

キョウ「くっ!流石はディケイド…少し甘く見ていたか。あれ程とは…」

?「だから言った筈だ。今のお前ではディケイドは倒せないと」

 

突然、聞こえてきた声にキョウが正面に目を向けると、そこにはベージュ色のコートにフェルト帽を被った眼鏡の男が居た。

 

キョウ「その様ですね。ですが、先程の戦いでかなりの力が溜まりました。これからも順調に力を蓄え続ければディケイドも倒せます。そうでは無いですか?鳴滝」

鳴滝「だと良いがな。だが、ディケイドもそう甘くは無いぞ?」

キョウ「大丈夫ですよ。僕は貴方の様に失敗はしないですから」

 

そう言うとキョウは空き地から出て行った。それを見届けた鳴滝は空を仰ぎ見る。

 

鳴滝「待っていろ、ディケイドっ!。貴様だけはこの手で…」

 

鳴滝は空を睨みつけながら手を握り締め、忌々しそうに呟いた。

 

 

学校

 

出木杉「起立、礼」

皆「さようなら」

先生「はい、さようなら。気を付けて帰るんだぞ」

 

学校では今日の授業が終わり、生徒が帰り出していた。のび太も帰ろうとするが…

 

嬢子「野比くん」

のび太「ん?どうしたの?」

 

黒髪の少女嬢子がのび太に声をかけて来た。のび太はそれに対し、返事をするがその内容などのび太にはわかっていた。

 

嬢子「あのね、今日私日直でプリントとかを運ばなくちゃいけないんだけど、一人だと重いから手伝ってくれない?」

のび太「分かった。良いよ」

 

口調こそ丁寧でお願いしている様だが、その目は言外に手伝えと告げていた。まあ、ここで断ると後が面倒なのでのび太は引き受ける。

 

嬢子「ありがとう!じゃあ、早速お願いね」

 

嬢子はのび太に重い教材類を持たせ、自分はさりげなく軽いプリント類を持つ。のび太には全て分かっているのだが、別に指摘してもメリットがある訳では無いのでスルーする。そして、二人は教室を出る。すると、ひと気の少ない場所に出た途端…

 

嬢子「はぁ〜、良い子ぶるのも疲れるわ」

のび太「…(相変わらず表裏が激しいな。てか、ここまでの演技出来るなら役者に向いてるんじゃ無いのか?)」

 

嬢子の態度が一変した。これが素の状態であり本性でもある。本来はひと気の無い場所と言っても横に誰かがいる時に演技を解くことは無い。だが、のび太は別で馬鹿だからと言って油断しているのか演技を解くのである。

 

嬢子「ん?何?なんか用?」

のび太「いや、別に」

嬢子「そう。のび太、分かってると思うけどこの事は絶対に他の奴に喋らないでね」

のび太「分かってるよ」

嬢子「それなら良いのよ。じゃあ、さっさと運んでよ」

のび太「うん」

 

それから無言で二人は歩いて行き、職員室の前に着いた。

 

嬢子「じゃあ、それ頂戴」

のび太「はい」

 

のび太は嬢子に持っていた教材類を渡す。嬢子はそれを持つと職員室に入って行く。それを確認したのび太は職員室から離れる。

 

のび太「ああ、面倒な作業だったな〜。早く帰ろっと」

 

のび太は下駄箱で靴に履き替えて昇降口を出る。そして、校舎の陰に隠れて周りを確認するとタケコプターを頭に装着し飛び立つ。

 

のび太「ん〜、タケコプター何気に便利だな。と、それより早く帰らなくちゃ」

 

のび太はスピードを上げて、家に向かって飛んで行った。そして、数分後。のび太は家の前に降り立つと、タケコプターをポケットに仕舞い、家に入る。

 

のび太「ただいま〜」

玉子「お帰り。おやつ、台所にあるから手を洗ってからドラちゃんと食べなさい」

のび太「は〜い」

 

のび太は洗面所で手を洗うと、おやつのどら焼きを持って自分の部屋に向かって行った。

 

のび太「ドラえも〜ん、おやつあるよ。って、何これ⁉︎」

ドラえもん「あ、のび太くん。お帰り。ごめんごめん、今ちょっと道具の整理しててさ」

のび太「整理?」

 

のび太の部屋には様々な秘密道具が無造作に散らかっていた。それらは団扇の様な物やピンク色のドア等、実に多くの種類があった。その中でのび太は顔の鼻の部分に赤いボタンが付いた手持ちサイズの人形を手に取った。

 

のび太「ドラえもん、これは?」

ドラえもん「ん?ああ、それはコピーロボットだよ」

のび太「コピーロボット?」

ドラえもん「うん、そこに赤いボタンがあるだろ?」

のび太「うん、あるよ」

ドラえもん「ちょっと押してみて」

のび太「う、うん」

 

のび太はコピーロボットの赤いボタンを押した。すると、コピーロボットはのび太と同じ位まで大きくなり、容姿はのび太と瓜二つになった。

 

のび太「僕そっくりに…なった…」

のび太(コピー)「やあ、僕」

のび太「喋った…」

ドラえもん「そうだよ。この道具はそのボタンを押した人そっくりに変わるんだよ。

のび太「これ、戻す時はどうするの?」

ドラえもん「簡単だよ、鼻の部分を押せばいいんだよ」

のび太「?こう?」

 

のび太はのび太(コピー)の鼻を押す。すると、縮み出して先程の人形の姿になった。のび太はそれを手にとって興味深そうに眺める。

 

のび太「ヘぇ〜、不思議な道具だな〜。ん?ドラえもん、この鏡は何?」

ドラえもん「それはフエルミラーだよ」

のび太「どうゆう道具なの?」

ドラえもん「ん〜と、そうだな〜。ん?そうだ!のび太くん、そのどら焼き一個取って」

のび太「あ、ああ」

 

のび太は不思議に思いながらもおやつのどら焼きを一つ渡す。ドラえもんはそれを、ありがとう、と言って受け取るとフエルミラーの前に翳し、どら焼きを映す。そして、ドラえもんはフエルミラーの下の台に付いているボタンを押す。

 

のび太「ドラえもん、何してるの?」

ドラえもん「まあまあ、見てなって」

 

ドラえもんはフエルミラーに手を突っ込む。ドラえもんの手がフエルミラーに入り込み、鏡面が水の様に波打つ。そして、ドラえもんが鏡面から手を抜き出すと手にはどら焼きが握られていた。

 

のび太「はぁ?…これはどうゆう…」

ドラえもん「つまり、簡単に言うと増やしたい物を二つに増やす事も出来るんだ。はむはむ、ん〜美味しい〜!」

のび太「成る程。じゃあ、お金とかは?」

ドラえもん「はむはむ。あ〜、無理無理。この道具で増やした物は鏡映しの状態になるんだ。だから、お金とか左右非対称の物は増やしても使えない事もあるんだ。はむはむ」

のび太「ふ〜ん。ん?(コピーロボットとフエルミラーか…)」

ドラえもん「さて、そろそろ整理を始めないと」

 

ドラえもんは再び道具の整理を開始する。それを見たのび太はドラえもんの注意が他の道具にいったのを確認して、フエルミラーでコピーロボットをコピーし、本物を元の場所に戻し、コピーした方を持つ。そして、部屋を出る。

 

のび太「じゃあ、僕遊びに行ってくる」

ドラえもん「のび太くん、おやつは…」

のび太「ドラえもんにあげるよ。行ってきまーす」

ドラえもん「本当!行ってらっしゃーい。さて、整理を早く終わらせてどら焼き食べよっと」

 

そう言うと、ドラえもんは整理に取り掛かった。一方、のび太は家を出ると、暫くした所で立ち止まる。

 

のび太「ごめんね、ドラえもん。でも、今はこれが必要なんだ」

 

そう、のび太がコピーロボットを盗んだのには理由があった。今まで、のび太は変身する時に周りにバレない様に気を配る必要があった。だが、それでも怪人が出る度に一々その場を離れていたらバレる可能性がある。そこで、この道具だ。これがあれば、多少人目は気にする必要はあるが、今までよりも大分変わる筈だ。つまり、正体を隠すのに丁度いいのだ。

 

のび太「だけど、やっぱ気が引けるな」

 

これがのび太がコピーロボットをわざわざコピーした理由だ。勿論、ドラえもんにバレない様にするのもあるが、実はこの理由の方が大きかったりする。

 

のび太「それよりもどうしようか?外に出たからってアテがある訳でも無いしな〜」

 

のび太は取り敢えず歩いてみることにし歩いて行った。暫くすると、のび太は商店街に着いた。

 

静香「のび太さ〜ん」

のび太「あっ、静香ちゃん」

静香「のび太さん何してたの?」

のび太「いや、特にやる事が無かったから適当にぶらついてただけ。静香ちゃんは買い物?」

静香「ええ、ママに頼まれちゃって。それで今日の晩御飯の買い物に来てたの」

のび太「そうなんだ。多いの?」

静香「ええ、まあ」

のび太「じゃあ、手伝うよ」

静香「えっ、そんな悪いわよ」

のび太「大丈夫、気にしないでよ。コッチはやる事が無くて丁度よかったよ」

静香「そう、分かったわ。じゃあ、お願いするわね」

のび太「任せてよ」

 

その後、二人は一緒にスーパーに向かって行き、その間も学校の事や習い事の事などを話しながら歩いて行った。その時…

 

男「邪魔だ!退けぇ‼︎」

のび太「!危ないっ‼︎」

静香「きゃあっ!」

警官1「待て!」

警官2「逃がすな!」

 

後ろから何やら男が必死の形相で走って来て、それに気付いたのび太は静香をすぐさま自分の方に引き寄せる。そして、ついさっきまで静香が居た場所を男が走り去る。すると、その後ろから数人の警官が走って来て先程の男を追っていた。その中の一人がのび太達に話しかける。

 

警官3「君達、大丈夫だったかい!」

のび太「はい、僕は。静香ちゃんは?」

静香「私も平気です」

警官3「そうか、怪我が無くて安心したよ。本当に良かった」

 

のび太達の答えに警官は取り敢えず怪我が無いと分かると安堵した声で返した。ここでのび太は先程の事について聞き出そうとする。

 

のび太「あの、それでさっきのは…」

警官3「ああ、それはね実は指名手配中の凶悪犯を追っていてね」

静香「凶悪犯って…」

警官3「今のがそうなんだ」

のび太「…。(なんか、この町って妙に空き巣やら強盗やらが多いんだけど気の所為かな…)」

警官3「でも、もうすぐ捕まるだろうね」

静香「えっ?どうしてですか?」

警官3「犯人の逃げた先では仲間の警官達が待機しているからね。だからだよ」

 

と、話していると仲間の警官から無線が入ってきた。

 

警官3「どうした?」

警官1『は、犯人がきゅ、急に化け物に、なって、う、うわぁぁぁ‼︎」

警官3「ど、どうした!どうゆことだ!応答しろ!」

 

警官が必死に呼びかけるも無線からは何も応答は無かった。一方、のび太は先程の無線で言っていた化け物について考えていた。

 

のび太「…。(化け物…まさか…いや、間違いない!)

静香「のび太さん?」

警官3「君達はここから直ぐに離れるんだ!」

のび太「!お巡りさんはっ!」

警官3「僕は大丈夫だから。早く逃げなさい!」

のび太「あ、お巡りさん!」

 

のび太達に、そう言うと警官は仲間のいる所へ応援の為に行ってしまった。焦った表情ののび太の腕を静香が引っ張る。

 

静香「のび太さん。早く逃げましょうよ。ここも危なくなるかも知れないわ」

のび太「くっ、で、でも…。!」

 

のび太はこれからの行動を迷っている時に遠くから高速で飛来する物体を確認した。その後ののび太の行動は速かった。

 

のび太「伏せてっ‼︎」

静香「きゃっ!な、何⁈」

 

のび太達が伏せると、その近くに先程の物体が地面にぶつかり、辺りが砂埃で覆われる。

 

のび太「!ここだ!」

《DECADRIVER》

 

のび太はコピーロボットで自分のコピーを作る。そして、手元にディケイドライバーを出現させ、腰に装着する。

 

のび太「変身!」

《KAMENRIDE DECADE》

 

カードを装填して、のび太は仮面ライダーディケイドに変身した。そして、辺りを覆っていた霧が晴れる。

 

静香「の、のび太さん。大丈…っ!。か、怪人…」

ディケイド「…(ま、こうなるか)ねぇ」

静香「は、はいっ」

ディケイド「怪我とか無い?」

静香「えっ……」

ディケイド「ん?どうした?」

 

突然、黙り込んだ静香をディケイドは不思議に思い、声を掛ける。その言葉に静香は、はっとした様になり慌てた様になる。

 

静香「い、いえ。大丈夫です」

ディケイド「そう、良かった。じゃあ、そこの男の子と速く逃げて」

静香「あ、あの…」

ディケイド「ん?何?」

静香「どうして助けてくれたんですか?」

ディケイド「…人を助けるのに理由なんか要らないよ」

静香「えっ…」

ディケイド「それに…」

静香「…」

ディケイド「僕は仮面ライダーだからね」

静香「仮面…ライダー…」

ディケイド「じゃあ、僕はもう行くね。気を付けて逃げるんだよ」

《MACHINEDECADER》

 

ディケイドはマゼンタ色のバイク“マシンディケイダー”を出現させる。そして、それに跨ると走り去る。静香はその後ろ姿を呆然と見つめていた。

 

 

ディケイドがマシンディケイダーで現場に到着すると、その場所は酷い惨状だった。地面のコンクリートは抉れ、周りの壁は崩れ、辺りには大勢の警官が倒れていた。その中に一体の異形の姿があった。ヘルメットを被った様な頭部に黒い身体、そして手や脚など至る所に丸い小さなタイヤの様な物体が付いている“ホイール・ドーパント”だった。

 

ホイール「何だこんな者か?俺は今までこんな奴らに怯えてたのか。ったく、情けねぇ話だぜ」

警官3「あ、ああ…」

 

愚痴る様に呟くホイール・ドーパントの前に警官はただ腰を抜かして震え怯えるしか無かった。

 

ホイール「何だ、まだ居たのか。まあ、いいや。これで終わりだ、あばよっ」

警官3「ひっ!」

 

ホイール・ドーパントがその手に付いたタイヤを回転させ、一気に振り下ろそうとする。ディケイドはそれを見るとライドブッカー(ガン)でホイール・ドーパントを銃撃する。

 

ホイール「うわぁぁぁっ!くっ、誰だ!」

警官3「へっ…」

ディケイド「次は僕の相手をしてもらうよ、ドーパントさん?」

ホイール「てめぇ、例の怪人か」

警官3「怪人…」

ディケイド「怪人に怪人なんて言われたく無いね」

 

ディケイドは肩を竦め、おどけた様に言う。それに対してホイール・ドーパントは苛立ちを隠さずにディケイドを睨みつける。

 

ホイール「舐めやがって…ぶっ潰してやらぁ‼︎」

 

ホイール・ドーパントは再び両手のタイヤを回転させるとディケイドに殴りかかる。ホイール・ドーパントの右拳を後ろに下がる事で回避、更に振るわれた左拳も相手の腕に手を当て受け流す。そこへ右の中段蹴りを放ち相手がよろけた所に左フック、右ストレート、膝蹴り、前蹴り、と連続で放つ。

 

ホイール「がぁぁっ!っくそ!」

ディケイド「もう終わり?」

ホイール「!余裕ぶっこきやがって‼︎これならどうだ‼︎」

 

ホイール・ドーパントは脚のタイヤを高速回転させる。そして、その場で蹴りを放ちタイヤをディケイドに飛ばした。

 

ディケイド「何っ⁉︎ぐぁぁっ!」

 

予想外の攻撃に対応し切れず、それを諸に喰らい火花を散らす。ホイール・ドーパントは更にそこへ手脚のタイヤを飛ばして攻撃する。ディケイドは、ライドブッカー(ガン)で全てのタイヤを撃つ。だが、威力が足りず相殺することが出来ずにまたしても全て喰らう。

 

ホイール「はっはっはっ!さっきまでの威勢はどうした!」

ディケイド「…そんな余裕も今の内だ」

《KAMENRIDE W》

 

ディケイドは新たなカードを装填する。すると、ディケイドの姿が変わる。赤い複眼“ホークファインダー”、銀色のW字型の触覚“ダブルフィーラー”、体の中央の銀色の線“セントラルパーテーション"を境に右半身は緑、左半身は黒の『風の切り札』の姿“仮面ライダーW サイクロンジョーカー”だ。

 

ホイール「何だとっ!」

警官3「姿が…変わった」

DW(CJ)「まだまだ行くよ!」

《FORMRIDE W HEATTRIGGER》

 

DW(CJ)の右半身が赤、左半身が青に変わり『熱き銃撃手』の姿“ヒートトリガー”になる。そして、右手には銃身が真ん中で折れた様な青い銃“トリガーマグナム ノーマルモード”が握られていた。

 

警官3「また…」

ホイール「次から次へと…ええい!そんな見掛け倒しが通用するか!」

 

ホイール・ドーパントは再び手脚のタイヤを連続で飛ばす。DW(HT)はそれに動じること無くトリガーマグナム(ノーマル)を構え、高熱を纏った弾丸を連続で放ち全て撃ち落とす。

 

ホイール「な、何だと…」

DW(HT)「これでただの見掛け倒しじゃ無いって分かっただろ」

 

ヒートトリガーはWのフォームの中でも極めて高い攻撃力を誇る形態である。なので、さっきのタイヤも全て一発で撃ち落とすことが出来たのだ。DW(HT)は近づきながら更に連続で弾丸を放つ。ホイール・ドーパントはタイヤを飛ばして応戦するも全て撃ち落とされ逆に弾丸を喰らってしまう。

 

ホイール「うぁぁぁぁ‼︎」

DW(HT)「さあ、これで終わりだ!」

ホイール「ぐっ!くそっ!」

 

ホイール・ドーパントはまたしてもタイヤを飛ばす。DW(HT)はそれを悪足掻きと思い、それらを避けようとする。しかし、ホイール・ドーパントが狙ったのはDW(HT)では無かった。

 

警官3「ひっ、うわぁぁぁ!」

DW(HT)「な、何っ⁉︎ええい‼︎」

 

警官に向かって放たれたタイヤをDW(HT)が驚きながらも撃ち落とす。

 

ホイール「ふっ、今だっ!」

DW(HT)「あっ!くそっ、待て!」

 

ホイール・ドーパントはその隙に足のタイヤを高速回転させ、その場から逃走する。DW(HT)が気付いた時は、もうかなり遠くまで逃げていた。

 

ディケイド「まずい、あっちは皆の家の方…!絶対、逃がすか‼︎」

 

DW(HT)はディケイドに戻るとマシンディケイダーでホイール・ドーパントを追跡する為に走り出す。警官はそれを呆然と見ながらも、ある事に気が付いた。

 

警官3「僕を…助けて、くれた…のか」

 

警官は立ち上がりそう呟くとディケイドが走り去って行った方向を見つめた。

 

 

ディケイドはマシンディケイダーを走らせ、ホイール・ドーパントを追っていた。やがて、ディケイドの視界にホイール・ドーパントの姿が見えてきた。

 

ディケイド「見つけたぞ!」

ホイール「なっ!くっ、これでも喰らっとけ!」

 

ホイール・ドーパントは追ってくるディケイドを確認すると、走りながら身体の向きを変え後ろに走っている様になりながらタイヤを飛ばす。ディケイドはそれを巧みなバイクテクニックで躱していく。暫く、その状態が続いたが、ここでディケイドがホイール・ドーパントと並んだ。

 

ホイール「ええいっ!鬱陶しい‼︎」

ディケイド「ふっ!やあっ‼︎」

 

ホイール・ドーパントはディケイドに向かってパンチを繰り出す。しかし、ディケイドはそれを屈む事で回避する。そして、ライドブッカー(ソード)でホイール・ドーパントの脚を斬りつける。

 

ホイール「ぐあぁぁぁ‼︎」

 

ホイール・ドーパントはそれによってバランスを崩し、物凄い勢いよく転倒する。ディケイドはその間にホイール・ドーパントを追い抜く。そして、ある程度まで来ると、バイクをUターンさせてホイール・ドーパントに向かう。

 

ホイール「しまった!」

ディケイド「これでトドメだ‼︎」

《FINALATACKRIDE DE・DE・DE・DECADE》

 

ディケイドとマシンディケイダーの前に15枚のホログラム状のカード型エネルギーが縦に並ぶ。そして、ディケイドがマシンディケイダーでそれらを通り抜ける度にマシンディケイダーにエネルギーが溜まる。

 

ホイール「く、来るなー‼︎」

 

ホイール・ドーパントはタイヤを飛ばすが、ディケイドの勢いは止まらない。そして、そのままバイクタックルを喰らわせる“ディメンションブレイク ”を放つ。

 

ホイール「があぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

ディメンションブレイクがホイール・ドーパントを貫くと、ホイール・ドーパントは叫びながら爆発を起こす。ディケイドはマシンディケイダーを止め、それを見つめる。やがて、爆発が収まるとそこには先程の指名手配の男と黒色のHのイニシャルが描かれた“ホイールメモリ”が落ちていた。

 

ディケイド「ん?メモリが壊れていない…」

 

本来ならば、ドーパントが倒されるとそのメモリも壊れる筈なのだがホイールメモリは全く壊れてはいなかった。更によく見ると、ホイールメモリの端子は黒色だった。

 

ディケイド「これは…」

プレディション「いや〜、やっと見つけました。随分、探しましたよ」

 

ディケイドがホイールメモリを拾おうとした時、横から突然プレディション・ドーパントが現れホイールメモリを回収した。

 

ディケイド「‼︎キョウ‼︎」

プレディション「おや、これはのび太くん。いや、今はディケイドと呼んだ方が正しいかな?」

ディケイド「おい!それは何だ!」

プレディション「それ、とは?」

 

プレディション・ドーパントはとぼけた様に返す。

 

ディケイド「そのメモリだ!どうしてメモリブレイクされない!」

プレディション「ふむ、それはそういうものだとしか言えませんね」

ディケイド「取り敢えず、それを渡せ」

プレディション「それは出来ない相談ですね。では、頂きます」

 

そう言うとプレディション・ドーパントはホイールメモリをなんだ胸の口の中に放り込む。胸の口はホイールメモリを噛み砕き、やがて飲み込む。すると、プレディション・ドーパントに変化が訪れる。頭部の耳の辺りから上に向かって角が生え、鋭かった爪は無くなり代わりに手には手甲が付き、身体の至る所に迷彩柄の小さなタイヤが現れる。その姿は、ホイール・ドーパントの特徴を合わせた様な姿だった。

 

ディケイド「これは…!」

プレディション「流石だ…やはりTXガイアメモリは最高だ…!」

ディケイド「TXガイアメモリ?」

プレディション「ええ、財団Xの開発したガイアメモリの最新型です」

ディケイド「財団…Xだと。彼奴らがこの世界に…!」

プレディション「おや?ご存じ無かったのですか?それは喋り過ぎたかも知れませんね。まあ、良いでしょう。その情報はお近づきの印に受け取っておいて下さい。では、私はこれで」

ディケイド「待て!」

 

プレディション・ドーパントは足のタイヤを回転させその場から逃げる。そのスピードはホイール・ドーパントとは段違いで流石のディケイドもマシンディケイダーに乗って追う暇は無かった。ディケイドは変身を解く。

 

のび太「財団X…こんな所にまで…。でも、関係無い。どんな相手でも皆を傷付けるのなら…僕が破壊する!」

 

その後、何とかコピーロボットを回収し、家に帰った。

 

 

次の日

 

のび太「ふぁ〜、眠い。昨日は色々あり過ぎて眠れなかったな。ああ、ヤバイ…」

静香「のび太さ〜ん」

 

のび太が眠たそうに目を擦りながら歩いていると、後ろから静香が走って来た。

 

のび太「ああ、静香ちゃん。おはよう。昨日は大丈夫だった?あんな事があったけど」

静香「ええ、ちょっと怖かったけど…でも、大丈夫!仮面ライダーさんが守ってくれたから」

のび太「…恐いんじゃ無かったの?」

 

のび太がそう尋ねる。

 

静香「確かに恐かったけど…でも、昨日のあの言葉を聞いたら平気になっちゃって」

 

静香はそれに、と言って言葉を続ける。

 

静香「仮面ライダーさんがいると何だか凄く安心したの。あんなに簡単に人を安心させられる様な人だから、きっと悪い人じゃ無いと思うから」

のび太「そう何だ〜」

 

その言葉を聞くと、のび太は立ち止まって小さな声で呟く。

 

のび太「ありがとう…」

静香「ん?何?」

のび太「いや、なんでも無い。それより、早く学校行こうよ」

静香「ええ」

 

のび太は歩きながら思う。

 

のび太「(こんな僕を信じてくれる人がいる…なら、余計にこの平和を奪われる訳にはいかない、絶対に」

 

のび太は改めて戦う事を胸に誓った。

 

 

 

 

 




Δデルタ「後書きの時間〜」
のび太「何だよ、それ」
Δデルタ「ただの気紛れ」
のび太「そうかよ…」
ドラえもん「てか、キョウって何者?」
Δデルタ「ん〜、味方じゃ無い事は断言できる」
郎夜「そりゃ、見てればわかるわ」
奈々「後、何かオリジナルのメモリが出ましたよね」
Δデルタ「TXガイアメモリの事だな」
郎夜「何だよ、それ」
Δデルタ「手っ取り早く言うと、財団X製の最新のガイアメモリだな」
ドラえもん「財団Xまで出すのか…大丈夫か」
Δデルタ「大丈夫だろ、何とかなるわ」
のび太「取り敢えず、今回出たガイアメモリの紹介だね」

ホイールメモリ
回転の記憶を宿したメモリ。メモリの能力は回転による攻撃力、機動力の強化。更に、周囲の物体を回転させて破壊したり、投げる事も可能。しかし、大き過ぎる物体は回転させられない。

のび太「こんな所かな」
ドラえもん「あれ、プレディションメモリは?」
Δデルタ「あれはまだ紹介しない。そうすると、今後のネタバレになるかもだから」
奈々「いや〜、今回ので大体分かっちゃうんじゃ…」
郎夜「作者が話さないって言うなら、一応追及はこれぐらいにしてやろうぜ」
ドラえもん「そうだね」
のび太「それじゃ、今日はこれぐらいかな」
ドラえもん「そだね。じゃあ皆、次は第五話で会おう。次回もヨロシクね」

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