歴戦のレシピ   作:ミッター

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イギリス料理じゃ馬肉はタブー

「なぁミッター。このハーブはなんだ?」

 

イヤリク分隊長の質問はみんな気になっていた事だった。ほのかな苦味と食欲を呼ぶ風味。スラヴ系の人間には縁がなかった。

 

「あーこれは日本の「シソ」ですよ。会社の屋上で栽培したの持ってきてたんで。」

 

「なんというか…ミッターが来てから小隊の食生活が向上したよな。うん。いいことだ。」

 

分隊長にお褒め頂いた!あのキリングマシーンに!メイトリ●クス大佐みたいなヤツに!

感嘆していたら小隊長から全員に無線が入った。

 

「さて小隊諸君。本部から通達だ。大隊本隊がポイントαを確保した。我々はポイントαで本体と合流する。1500時をもってポイントαまで前進する。途中、第二中隊と合流、B川を渡って1900時着を目指す。遅れた場合は例によってレーションだ。さぁ行こうか!麗しのディナーへ!」

 

「「ナッシュ ウラー!!」」

 

 

 

言うてました。3~4時間で行けると思っていました。順調なのは第二中隊と合流した辺りまででした。

迫撃砲からシュンシュン飛んでくる砲弾。土嚢の中から覗く黒光りしてるアレどうみてもPKMだ。えぇ。川向こうの兵隊さんRPGも持ってますよ?

さぁお察しの通り古今東西、いつどんな時代も奪い合いになるアソコ。そう。

つまり渡河作戦である。そりゃ激戦ですって。でもここを塞がれているのは想定に無かった。なぜなら合流地点は河の向こうにあるからだ。よくよく地形をみるとなるほど。この橋を失えば川の向こうで戦う敵の皆様は陸路で大きく迂回しなければならない。つまり補給線が大きく伸びる。なるほど必死で戦う訳だ。

 

「小隊諸君悪いお知らせだ。第二中隊の迫撃砲小隊が砲弾を使いきったそうだ。つまり我々は現在、愛しのAKとグレネードランチャー、それぞれのサイドアームを頼るのみとなった。」

 

黄昏近づきグッドニュース!お昼に食べたカツレツと再会しそうだじぇ!

実に素晴らしい!お!装甲車も見えたぞ!

アニメや映画ほどPMCというのは重装備ではない。あっても軽迫撃砲、軽機関銃。旧ソ連の兵器を主体としてだ。ヘリやら装甲車、戦車まで持ってた会社は国に解散させられたからね。

 

「という訳で、夜襲をかけることとなった。詳細は1900時に伝達する。あぁ無論それまでに突破できればいいのだが…飯にしよう。兵士は胃袋で歩くからな。ミッター!時間だ!」

 

それぞれ歓喜の声で叫ぶのは構わないんだけど。

さーてさて。どうしたものか。来る途中の村で小休止している時に偶然、馬を解体している所に出会った。

動物の解体なんて鴨以来久しかった。交渉して幾らかの物資とドルでそこそこの量の馬肉と生鮮食品を交換して貰った。

かつての日本陸軍も大陸で小隊毎に買付をしていたと聞く。小隊という小規模故に出来る事でもあるし、民間だから現金も多目に貰える。

そんな事はさておいて、世界的にみて馬は人の生活に密接な関係を築いてきた。足であり、農耕、運搬エトセトラ。比較的食べるより使役する相手だったわけだ。合衆国は馬と共に発展し、ブリトンでは貴族の象徴。

 

少し前に馬肉が牛肉として出回る事件があった。あれはそう言った民族的な潜在意識が理由だ。

法律や宗教、思想ではなく

「馬を食べてしまった」

その事自体がショックだった訳だ。

 

さて、文化的な事はさておく。最前線でドンドンパチパチしているわけで、火を使って大々的には出来ない。

よし決めた。今宵はフレンチであーる。

 

さてファッキンクック!

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