タイトルで大体、わかるよね。
ざあざあと降る雨が、タクシーのフロントガラスを打ちつけ音を鳴らす。
時折道路の水溜りを跳ね、ばしゃんばしゃんと水飛沫が上がる。
暗いタクシーに流れるのは、ラジオから聞こえてくる音声と、外の雨の奏で。
甘ったるい雨の匂いと、少し寂しさを感じる雨音に、僕はうつらうつらと頭を揺らした。
かさり、と手から零れ落ちた一枚のチラシ。
濡れては敵わないと、意識を起こして床からチラシを拾い上げる。
手紙を拾って顔を起こすと、たまたまバックミラー越しに運転手の女性と目が合った。
「雨、止みませんね」
そうですね。
運転はさぞ大変でしょう。
「お気遣いありがとうございます。でも慣れてますので。乗り心地は大丈夫ですか?」
とても心地良くて眠っちゃいそうでした。
運転お上手ですね。
「まあ♪ それは良かったです! 今回、一人暮らしは始めてですか?」
はい。母から『男は旅をせよ』と追い出されてしまいました。
それで丁度、村民募集の貼り紙を見かけてここに引っ越そうと思ったんです。
そう言って、僕は先程拾い上げたチラシに視線を落とした。
『おいでよ! トレセン村へ』
大きくそう書かれ、下の方に小さく電話番号の載ったシンプルなこのチラシ。
地元の街の駅の、広告掲示板の片隅に追いやられ草臥れて剥がれ落ちそうだったこのチラシをたまたま見かけた時、何故か僕は凄く惹かれたんだ。
気付けば僕はそのチラシを剥がし、すぐ近くにあった公衆電話でその番号に掛けた。
村長と名乗る快活な少女の声がしたと思えば、書類審査や適性検査などのやり取りがあれよあれよと進み、今朝の夜明けと共に、地元の駅でこのタクシーに迎えられた。
そうして、今、このタクシーに揺られている。
にしても、女性のタクシードライバーって珍しいですね?
「ああ、いえ。私はトレセン村の役場で事務をしているんですけど、村に移住希望の方の迎えも仰せつかってまして。このタクシーは昔村で使っていた車の名残りなんです」
そうなんですか?
ということは、これからもお世話になるんですね。
「はい! 申し遅れましたが、私はたづなと言います。どうぞこれからよろしくお願いしますね、トレナさん♪」
たづなさんはそう言って、バックミラー越しにウインクをした。
可愛らしい人だ。
そういえば、トレセン村ってどんな所ですか?
「そうですねぇ、とても長閑で自然豊かな村ですね。川も海もあり、花も沢山咲いていて、住民たちも穏やかな
ほうほう、それはとても暮らしやすそうです。
自然豊かな場所は大好きですよ。
「あと、そう! 村の特産は『木に実るにんじん』なんですよ!」
へぇ……木に実るにんじん。
そんなにんじんがあるなんて初めて聞きました。
「果物のようにすっごく甘くて美味しいんです! 村に自生しているものは全て自由に採って大丈夫なので、ぜひ食べてみて下さいね!」
にんじんを語るたづなさんは、一際楽しそうだ。
きっと、にんじんが好物なんだろうな。
たづなさんと村のことや生活のことについて色々と話していると、ふと外の雨音が小さくなっていることに気付いた。
それと同時に、たづなさんもフロントガラスから空を見上げた。
「さて、そろそろトレセン村に着きますよ!
ーーーあら? 雨も上がってきましたね。まるで、トレナさんを歓迎してるようです♪」
たづなさんはそう言って、アクセルを踏んで少し速度を上げた。
僕の座っているシートの隣の窓を見ると、一条の光が差し込む。
外の景色は窓に滴る雨粒でよく見えないが、それが寧ろよりワクワクとしてくる。
新しい生活。きっと大変だろうけれど。
不思議と不安はそれ程なくて。
なんだか楽しくやっていけそうだなと。
僕はこの胸の高鳴りに、頬を緩めた。
何故どうぶつの森が出てきたのかは不明。
DSのおい森が一番遊んだどうぶつの森だから、タクシーだったんだろうなぁ。