Reborn in ポケットモンスター 作:カチドキホッパー
カイナシティまで戻ってきた綱吉たち。
そこにはハギが待っていた。
「おー綱吉くんはやかったのぅ。
もう一週間はかかるかと思ってたがなぁ。
わしなら近くに別荘みたいなもんがあるから気にせんでもよかったのに、たまにはデートでもしたらどうじゃ?ん?」
「待たせて申し訳ないなと思ってましたので、ジム戦だけしてきました!
そ、そんな、で、で、で、デートだなんて…」
2人とも顔真っ赤です。
「んじゃいじりも終わったし帰るとするかい、っと。
あぶねえあぶねぇ、ジジイは忘れっぽくていけねえや。」
「何かあったんですか?」
「なに、ちょっと用事を頼まれて欲しいのよ。
昔ワシが乗ってた船にな、置き忘れてきたものがあってな。
それをとってきて欲しいんじゃよ。
これはツワブキの社長とワシからの頼みじゃ。」
ハギを待たせていたこともあるし、何より送り迎えをしてもらう恩もある。
「分かりました。
その船はどこに泊まってるんですか?」
「海の真ん中じゃ」
「はぁ⁈まさか沈没船…」
「違う違う、まだ沈んではおらんよ。
放置されてから長すぎて野生のポケモンの住処になっとってな。
ワシみたいな弱いのだと入り口にも辿り着けんのじゃ。
ちなみに奥にあるのはな、海図と古びた瓶というかツボというか、そんな感じなもんじゃ。
んじゃ今から向かうから頼んじゃぞ?」
キョウコの話では綱吉の手持ちのアル、ヴェルももう一段階上の進化が存在する。
センリとの戦いでは今のままではかてないだろうというのがキョウコの見込みだ。
ついでに修行だと思えば悪くない提案だった。
いざ着いてみると
「…ハギさん、これ沈ん」
「ええ角度で浮いとるだろう!」
どうやらこのタイタニックの二の舞になりかけている船を沈みかけとは認めたくないのが船乗りとしてのプライドのようだ。
船についていた救命艇でどうにかなれそうなところを見つけた綱吉たちは恐る恐る船の甲板を目指した。
時刻は夕暮れ、ヤミカラスたちが飛び交うので、元の世界のゲームのバイオでハザードなのを思い出してしまう。
船頭までたどり着くとそこには…
鮮やかな夕焼けが輝いていた。
「ツナくん、ちょっと上で見てくる!」
「え、ちょ⁈」
慌てて追いかけるとキョウコは船頭の鉄板で両手を広げて立っていた。
夕陽が彼女の茶髪に映え、異国の姫君のように見えた。
それは一瞬で微妙にフラフラしているように見えて危なっかしくてしょうがないので綱吉はキョウコを後ろから抱きしめる形で支えた。
「やばいこれ、なんか恥ずかしいね。」
綱吉は高鳴る鼓動を誤魔化すように冗談めかしてみる。
しかしキョウコは
「…もうちょっとだけ、このまま…」
夕陽のせいだろうか、彼女の顔が赤く見えたのは。
そして日が暮れ、夜には満点の星空が広がる。
「遅いし、ここで野宿にして明日から本格的に探そうか。
ハギさんも二日後に様子を見に来るって言ってたし。」
気をきかしたつもりのハギは近くのムロタウンで時間潰すそうだ。
「ちょっと怖いけど大丈夫だよ、ツナくんがきっと守ってくれるからね。」
寝る前にキョウコはそう呟いた。やっぱり廃墟同然の場所にいるというのは当然不安なのだろう。
「キョウコ、前にも言ったけど君だけは守ってみせるよ。
おれの命に変えても。」
「もぅ〜、ツナくんずるい!
もう寝る!」
顔を真っ赤にしながら反対側を向いて寝袋で寝るキョウコ。
自分の言ったことの恥ずかしさを今更ながら思い出して赤面する綱吉。
その夜みた夢は最悪だった。
10年後に飛ばされて最初に10年後の京子に会う夢だった。
「怖いよ、ツッくん」
守らなければ、どんなことになっても彼女だけは!
そして死ぬ気モードになって過去からきた京子を助けて目が覚めた。
「…なんで今更あんな夢…」
あたりを見回すとちょうど夜明けの時間帯だった。
日の出を見たら喜ぶかなとキョウコを起こそうとした。
出来なかった。
なぜなら横にいたはずのキョウコは寝袋から姿を消していた。
もしかしてトイレとか…そんな期待を裏切るのは超直感だ。
さっきから頭の中で鳴り響く。
この船にいる何かに連れ去られたと。
キョウコの3匹の手持ちはボールに入ったままベルトにセットされていた。
「やばい、やばいやばいやばい!
おれは武器もない、もし何かあってもおれ自身が戦えない!
もしもの時は…みんな!力を貸してくれ!」
自分の手持ちが頷くのを感じた。
「ここ…どこ?
なんで私、縛られてる⁈
ズーちゃんたちは…いないよね。」
目を覚ましたキョウコ。
そこはどこまでも広がる暗闇の中だった。