俺の幼馴染は転生者らしい   作:平凡

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なんか昔の女が忘れられない男と思われているらしい

 

 幼馴染は死んだ。しかし、時間は不条理に過ぎ去っていくものだ。

 今回の事件で殉職した隊士達の地位には穴埋めする形で藍染副隊長や市丸銀などが推薦された。そして俺も幼馴染が就いていた五番隊四席の地位を打診された。

 まあ、断ったが。

 なぜかと言えば時間が欲しかったからだ。今回の事件の首謀者である浦原喜助は現世に逃亡した。またこちらに攻め入ってくる可能性を考えれば、俺は強くならなくてはならない。修行の時間を確保したかったのだ。

 というわけで断ることを伝えると気の毒そうな人を見る目を向けられた。

 あれ? もしかして俺、まだ幼馴染の死を受け入れられてない女々しいやつって誤解されてる?

 あのアマ、死してなお俺の邪魔をするのか。絶対に許さん。

 

 

 □

 

 

 数年後、事件の傷がだいぶ癒えてきた頃、浮竹隊長から呼び出しを受けた。

 何で呼び出されたんだ? 鍛錬している時誤って浮竹隊長の盆栽を破壊したことか? それとも伊場さんと遊んでる時に総隊長の屋敷に赤火砲ぶち込んだことか? それとも海燕と都さんの仲を揶揄いまくったことかな? ちょっと思い当たることがありすぎて困るンゴ。

 とりあえず謝るが勝ちと部屋に入った瞬間に全部白状して土下座した。

 

「お前そんなことしていたのか……」

 

 どうやらまったく違ったようである。謝り損だ。

 浮竹隊長は頭を抱えながらぶつぶつと唱えていた。たぶん総隊長への言い訳を考えているのだろう。あの人ブチ切れてたらしいし。

 

「それで、本日はどのような要件で?」

「ああ、先代の副隊長が勇退を申し入れた。それに伴い新しい副隊長を任命する必要があるんだが、俺はお前に任せたいと思っている」

 

 十三隊の副隊長は前々から勇退を考えていると噂されていた。年々霊力が少なくなっていたからな、無理もない。これといった後任がいなかったから保留になっていたのだが、ようやく決心したらしい。

 

「……海燕でいいのでは? あいつは隊士からの人望も厚いですし、何より隊長の器があります」

 

 暗に自分は器じゃない、やりたくないと言っている。

 

「やはりやりたくないか?」

「……そうですね。今のところ俺は副隊長になろうとは思いません」

「わかった」

 

 今の俺は三席。副隊長になるのは順当に行けば俺だろう。しかし、やりたくない、鍛錬の時間が減るから。

 本音を言えば三席も渋ったのだ。上位の席が空位なのは問題があると言われ仕方なく受けた。だが、今回は俺の他に適性がある人間がいるのだ。少しわがままを言っても許されるだろう。

 浮竹隊長もダメ元で言ってきたようだし。

 

 その後正式に隊長から海燕が副隊長になることが発表された。

 本人もやる気に満ちていて、何なら隊長と呼んでくれとまで言っている。まあ、海燕が副隊長なら俺の仕事も減るだろう。前の副隊長は歳もあって三席の俺が中心になるなんてこともしょっちゅうだった。隊長は安定で寝込んでいるし。

 何はともあれ、いい方向に向いてくれればいいか。

 

 

 □

 

 

 それからまた数年、俺はまたもや浮竹隊長に呼び出された。

 今回は何だ。最近大きな問題を起こした記憶はない。なんなら卍解の修行が大詰めなので、飲みにも行っていないほど修行三昧だ。 

 部屋に入ると、あぐらをかいた海燕がいた。

 

「何サボってるんだ海燕。仕事しろ」

「サボってねえよ。俺は隊長に呼ばれたんだよ。つうかお前もそうじゃねえのか?」

「当たり前だろ。なんの用もなしに隊長の部屋になんて来れるか。そのくらい想像できないのか、馬鹿まつげ」

「殺すっ! とりあえず殺す!」

 

 青筋立てて凄んでくる海燕だが、別に怖くない。数十年間鬼との殺し合いを耐えてきた俺にとっては、小鳥の囀りと変わらん。

 とまあ、海燕はなかなか煽り耐性が低いので揶揄いがいがあって面白い。

 少しして浮竹隊長が入ってきた。いつもより元気そうなので、調子は良さそうだ。

 

 話の内容はというと、今度四大貴族の家系の者がうちの隊に来るらしい。だが、そいつは色々事情持ちらしく気にかけてやってくれとのことだった。

 

「なるほど、任せてください。頑張りますよ、海燕が」

「かっこいいこと言って人任せかよ!」

「まあまあ、そういう面倒そうなやつは海燕の得意分野だろ? 清音とか仙太郎とか」

「そいつらより手間かかる奴が俺の目の前にいるけどな……」

「はて、誰のことやら?」

 

 分からんなぁ(すっとぼけ)。

 

「とにかく任せたぜ副隊長殿」

「普段はわざわざ副隊長なんて呼ばないだろてめぇ」

「何だそんなに呼んで欲しいのか副隊長殿? まつ毛が長いぞ副隊長殿。怒りっぽいぞ副隊長殿」

「殺すっ! やっぱり殺す!」

「うるさいぞ副隊長殿」

「はっはっはっ、2人とも相変わらず仲がいいなー」

 

 平和な隊長が1人的外れなことを言っていた。

 

 

 □

 

 

 それからまた日が経ち、うちの隊に朽木ルキアがやってきた。

 貴族と聞いていたからてっきり高飛車で余がこんな雑用をやれと?とか素で言うのかと思っていたが、会ってみれば平凡な女の子だった。

 話しかけるたびにビクビクとしていて、まるで借りてきた猫のようだった。何というかすべてに戸惑っているというイメージといえば分かりやすいだろうか?

 まあ、隊長に言われていたので気にかけてやるか

 

 

 ……その数日後、ルキアは海燕に懐いていた。俺にはいまだにビクビクしているのに。

 イラついたので、海燕がルキアを口説いていると噂流してやった。

 その後、般若の相をした海燕と鬼ごっこをしたのは言うまでもない。

 

 

 □

 

 

 あくる日、変わった虚がいるから調査してこいと上から命令が来た。

 駆り出されたのは俺と都、他隊員数名。ただの虚一匹に三席と四席を使うなんて異例だ。ただ、他の隊の部隊が全滅したことを考えると妥当と言える。気を引き締めなければな。

 虚の情報について、判明しているのは見た目と住みかだけらしい。能力や強さはまったく不明とのこと。

 

「この辺りです」

 

 とある隊員が小さな声で言う。 

 どうやら、例の虚の住処に着いたようだ。

 

「三席殿、指示をお願いします」

「んー、そうだな……君達は逃げ道を塞いでおいてくれるかな? 都はその補助を頼むよ。あいつとは俺がサシでやる」

「き、危険です!」

「むしろ、能力も分からないのに多人数戦を仕掛ける方が危険だ。人質を取られても面倒だし、それなら俺が1人でやった方がリスクが少ない。都、反対意見は?」

「……ありません。しかし、危険と判断したら助太刀します」

「分かった。そういうことだ、行くぞ」

 

 各々持ち場に向かう。

 俺は住処の前に立つ。

 

「さて、ここが例の場所か」

 

 背後から伸びてきた触手を俺は瞬歩でかわす。触手は木を薙ぎ倒し、持ち主に戻っていった。

 

「いきなり不意打ちとは外道系と見ていいのかな?」

「ほう、よくかわしたの。前来た奴らは今ので3人は死んだんだかな。いひひひひひひひ!」

「死神大量に殺して能力もわれてねぇ奴が、住処だけは変えてないなんて普通はありえねぇだろ」

「ほう。小僧、貴様頭がいいな」

「虚に褒められても嬉しくねえよ」

 

 虚にも色々なタイプがいる。言葉を話す知能がない者、知能を有する者、人間に見た目が近くなるもの……そして知能が高いほど、能力も厄介だ。

 

「こりゃ、出し惜しみしてる暇はないな」

 

 斬魄刀を取り出し。

 

「陰陽反転、『天邪鬼(あまのじゃく)』」

 

 解号を唱えると、刀身は黒、鍔は白という見た目に変わる。

 俺は一つ嘘をついた。たしかに能力が分からない以上多人数戦を仕掛けるべきではないと言うのはあるが、それよりも俺はできるだけこの斬魄刀を人に見られたくなかったのだ。

 なんせ、この刀の能力はあの時の自分をいつも思い出させるから。

 

「いくぞ虚」

「いひひひひ」

 

 虚は触手を伸ばして来るが、俺は紙一重ですべてかわしきり伸びた触手を切り落とした。

 

「馬鹿め、それは囮だ!」

 

 死角から伸びてきた触手が俺の身体を貫いた。

 

「ガハッ」

 

 俺は血を吹き出し、傷痕からも血が流れ出る。

 

「三席殿!? 都四席、助太刀に行くべきでは!?」

「落ち着いて、あれくらい大丈夫です。あの人の斬魄刀にかかれば」

 

 俺に致命傷を与えた虚は勝ったと思ったのか、気持ち悪い笑みを浮かべる。

 

「いひひひひひ、案外あっさりだったのう。さてどう食らってやろうか……」

「おいおい、何を勝手に勝った気になってるんだ?」

 

 虚が油断して近づいてきたところに。

 

「破道の三十一『赤火砲』!」

「があああ!?」

 

 火の球をぶち込んだ。吹き飛ばされた虚は、かなりのダメージを負ったようで身体を引き摺っている。

 

「どういうことだ! 貴様の身体はたしかに貫いたはず!」

「ああ、たしかに俺はお前の攻撃を食らった」

「ならば、なぜ!?」

「俺の斬魄刀の能力だ。天邪鬼の能力は結果の反転。今のはお前の攻撃を受けた結果を反転させたのさ」

「な……」

 

 

 あまり戦い向けの能力とは言えないが、今のように騙し打ちに使うくらいはできる。

 

「さて、そろそろ死んでもらうぞ」

 

 俺は逃さないように触手を掴み、トドメを刺そうとすると。

 

「触ったな?」

 

 追い詰められていたはずの虚がニヤリと笑った。

 そして次の瞬間、俺の斬魄刀が消滅した。

 

「いひひひひははは! わざわざ貴様も教えてくれたからな、儂の力も教えてやろう! 一夜に一度だけ儂の触腕に触れた者は斬魄刀が消滅する! その厄介な斬魄刀さえ封じてしまえば、貴様など恐るるに足らん!」

「これは驚いた。その力、死神にはさぞかしキツいんだろうな、俺以外には」

 

 俺は何事もなかったかのように、斬魄刀を振り下ろす。

 

「な、な、なぜ……斬魄刀が……!?」

「何簡単だ。触手に触る前に触った結果を反転させていただけさ。お前が、ただ触手を伸ばすだけの知能が高い虚なんて思っていない。常に警戒は怠っていなかった結果だ」

 

 もう、後悔はしたくないからな。

 

 

 





 何かぬるっと回避される海燕の死亡フラグ。
 最初は、都死亡→海燕ブチ切れ→ピンチ→お前何しとんねんと主人公ブチ切れ→なんやかんや海燕が考えを変えるみたいな二次創作のテンプレやろうかなって思ったんですけど、BLEACHの世界観と価値観を考えたら浮竹隊長の方が正しいな〜と思ったんで、フラグ自体吹っ飛ばしました。
 だって、昔は赤穂浪士とかあったんやで? 
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