クラスメイトKがドジっ娘の世界にて大暴れ!? 作:ちびっこ&ひばりの
「ん……」
兄の呼ぶ声がしたが、もう少し眠りたい。温もりに捕まろう。
「……目が覚めたなら、自分で歩きなよ」
美声が聞こえ、覚醒する。そして、声にならない悲鳴をあげてしまった。なぜ私は雲雀恭弥の背におぶさってるのだ!?
雲雀恭弥は私が完全に起きたと判断したようで、あっさりと手を離した。落ちるだろ!?
「サクラ!?」
しかし、衝撃はなかった。地面に尻を打ちつける前に兄が私をキャッチしたようだ。ナイスである。
「雲雀君、サクラに何があったんだい!?」
「道端に転がってた」
もう少しましな言い方はないだろうか。まぁ咬み殺さずに運んでくれたことを考えれば、かなりラッキーな気もするが。
しかし、なぜ私は道端で転がっていたのだろうか。全く思い出せない。
「サクラ、何か変なところはないかい!?」
「……痛い」
心配させたのはわかるが、ギュウギュウと力強く抱きしめられると文句を言いたくなる。
「はぁ……次はないからね」
「ありがとう! 本当に助かったよ! 雲雀君!」
「悪い、迷惑かけた」
私達の言葉に反応もせずに彼は歩き出した。その後姿を見て、あることを思い出す。
「1日遅くなったが、誕生日おめでとう」
彼は一瞬だけ立ち止ったが、そのまま去っていったのだった。
――――――――――
「戻されたか……」
オレが思っていたより早い。
あいつはこうなることも予測していたのだろう。
そのことに苛立つが、収穫はあった。
「向こうの手駒はあいつか」
オレが手駒を送り込んだ時にあいつも同じことをする可能性が高かった。
だからオレはずっと探していた。
目星はつけていたが、確証はなかった。
オレにはこの世界のことがわからないからな。
……正確にはわからなくなった。
初めて邪魔をした時にその力を奪われた。
あいつは隠したかったんだろう。
だが、オレが動いたことで向こうも使うしかなかった。
おかげで、あいつの手駒がわかった。
「それでも厄介だな」
オレの手駒が消さなければならない。
だが、向こうも対策を立てている。
直接手を出せないことが、やはり面倒だ。
「ふっ」
鼻で笑う。
あいつは本当に正しいことが好きらしい。
いや、優しすぎると言った方がいいだろう。
「まさかオレの手駒も救うつもりだったとは――」
手駒の力を解放した時に違和感があった。
あいつから手を出せるわけがないのだ。
たとえオレの手駒とわかっていても――。
だからあいつは自分の手駒をつかって外部から内部に干渉した。
そのせいでオレの思惑通り進まなかったのだろう。
苛立つが、その結果からわかることもある。
「あれはオレの手駒だ」
力を振るわなくても、これであいつに嫌がらせ出来る。
時間がかかるだろうが、今更だ。
それに待ってる時間も楽しみになった。
「どうせなら、向こうの手駒にも絶望を味わわせよう」
そう考えたが、不可能かもしれないことに気付く。
人間は弱い。
向こうの手駒だとしてもあっさり死ぬかもしれない。
まぁ死ねば、干渉がなくなり、オレの手駒が動く。
つまりオレが考えていた最初の予定に進むだけだ。
「せいぜい……あがけ」
あがけばあがくほど、面白くなる。
オレはあいつの歪む顔が見たい――。
翌日
桂「大変だ! 大変だよ! サクラ!」
サクラ「なに?」
桂「僕が大事に持っていた、サクラの服がないんだ!」
サクラ「…………」
桂「いったい、誰がサクラの服を盗んだんだ!」
サクラ「……1人は私の目の前にいる!(スパーン!)」
桂「我が生涯に一片の悔いなし!(バタッ)」
サクラ「……バカだろ」
まりや「雲雀さん!改めて、誕生日おめでとうございますっ!」
雲雀「ドジっ娘…… なぜ君が僕の誕生日なんて知っているんだい?」
まりや「あれ?そういえば、なんでだろう?きっと沢田さんたちに教えてもらったんですよ」
雲雀「草食動物…?まぁ、いいよ。それでコレはバースデーケーキってワケかい」
まりや「はい!昨日頑張って手作りしてきました!」
雲雀「えっ。………普通に買ってきてくれた方がまだマシだったよ」
まりや「こっ、今回のは腐ってたりしてませんから!!それより蝋燭なんですが、雲雀さんって何歳に……」
雲雀「僕はいつでも好きな年齢だよ」
まりや「………………」