ハジケリスト世代だろ! (完結)   作:零課

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 ハーメルンで生まれたウマ娘たちによる夢の第12レース。見てみたいけど大真面目にキャラたちが大渋滞で理子ちゃんとエアグルーヴの胃に穴が空きそうっすね。


 最近の推しはチワワなプイちゃんと仲良しなクリムゾンフィア―ちゃんが気に入っています。ケイジと波長が合うかどうか。


 あと真面目に基本ヒャッハーの前田家と名門の誇りと色気むんむんだらけのメジロ家。この世界で名家の気質のいい対比として出されていそうだなあ。ハジケリストなケイジが前田家のまとめ役。メジロ家はラモーヌさんな時点で。どちらも和服は似合うんですがねえ。


 全話で追加したケイジとファル子のライブでケイジがチョイスしたブロマイド。この話もあとでまたイラストを依頼しているので追加したいと思います。


 
【挿絵表示】



ウマ娘エピソード 32 OBどぇす

 「チームシリウスメンバー募集してまーす! 芝、クレー、距離は問わずにどんな子も募集中!」

 

 

 「選抜レースはするっすけど、リギル、真珠星部屋よりは受け付けるっすよ~さあ乗った乗った~!」

 

 

 「中央トレセンに来たんだ! 大きな夢を持つってんならここに来いや! アメリカでもドバイでも世界中で戦えるぞ!」

 

 

 今日は私達シリウスチームのメンバー募集のためにビラ撒きと勧誘。お姉さまたちはとっくに引退してケイジお姉さまはオリンピックに参加とかで話題になっているチームだけどだからと言ってそれに胡坐をかくのは駄目。常に挑戦者であれ。触れ合える距離を持つのが私たちの方針。

 

 

 ということで朝一番でオルフェ先輩とラニさんと一緒にビラ配りしているんですが、あれ? 朝の時間にしてはどうにも人が少ないような?

 

 

 「――!! ・・・さあ、お集まりいただいたお客様!」

 

 

 あの声は、ケイジお姉さま!

 

 

 「あっ! ヒメちゃんがケイジ先輩を嗅ぎつけたようっす!」

 

 

 「姉御が!? 久しぶりだ! オリンピック前に会いたかったから行くぞ皆!」

 

 

 この前来てくれると言っていたけど、本当に来てくれるなんて! ああ! お姉さまたちとこうして学園で会えるなんて! しばらく北海道で山籠もりをしていたのがどれほど色気を・・・?

 

 

 「こいつ! こいつはですね! 天六で半年前にひろってみっちり調教したトレーナーとしてはまだ初心者のT!」

 

 

 「そして~その弟で同じくトレーナーの初心者K! まだウマ娘との二人三脚は初めてのイケメン兄弟!」

 

 

 「調教次第では好みの男に! 一緒に夢をかなえたりデートしたり、甘々なプレイも青春も過ごせるかもしれませんよ! というわけで早速競りたいと思うんですよ! まず30から!」

 

 

 「50!」

 

 

 「60!」

 

 

 「60! 渋いなあ~もう少し欲しい! さあもう一声! こいつは中もしっかりして最高の素材! お客さんのプレイ次第では芝もダートもスプリントもウルトラソンも走れるようにさせてくれるかもしれませんよ!」

 

 

 「70!」

 

 

 「75!」

 

 

 「「「えええ・・・・」」」

 

 

 久しぶりに出会ったお姉さまは、いきなりナギコお姉さまと一緒に新入りのトレーナーの契約権でオークションを開始していた・・・というかあの二人今年シリウスに入る新入りトレーナーじゃないですか!? どうやって捕まえたんですかお姉さま! 流石ですけど!

 

 

 「80!」

 

 

 「う~んもう一声! こいつはこう見えても身体ががっちりして中々の筋肉質よ! さあもう一声!」

 

 

 「これ、アタシらで買い戻したほうがいいんじゃないすか? 値段の単位は知らないっすけど」

 

 

 「ケイジの姉御だしそれは・・・い、一応参加するか?」

 

 

 「とりあえずそうしましょうか」

 

 

 周りに既に爆竜大佐と特殊刑事課、ビリートレーナーさんとヴァントレーナーさんがいる時点で怖すぎる。どこかに連れていかれる前にこっちでやらないと。あと買った後でお姉さまにお説教ついでに甘えたい!

 

 

 「90!」

 

 

 「100!!」

 

 

 「いいねいいね~お客さん見る目あるよ~さあ、こいつらを自分色で染めて、あわよくばお持ち帰りをしてみませんか!」

 

 

 「120!」

 

 

 「120いい! 120いい! 売ったあ!!」

 

 

 「何のオークションをしているんだこのバカ姉妹共がー!!」

 

 

 「「おわぁー!!」」

 

 

 あ、おばあ様・・・じゃなくてキズナちゃんが止めてくれた。相変わらず見事なドロップキックで。

 

 

 「久しぶりに出会ったらこれとかなに考えているんだ~!!」

 

 

 「のわぁああ~~~~!!? レンタルトレーナーだよぉ! 今はやりの人材派遣みたいなもんだっぐぅああ!! そういう題材の漫画もあったろ!?」

 

 

 「こんなややこしいオークションにするバカがいるか! ナギコも乗っているんじゃないよ!」

 

 

 「え~だってシリウスの宣伝にちょうどいいじゃーん。ほれ、ゴルシのやつもあっちでトレーナーと一緒にスぺの実家の人参とジャガイモを売りつつおまけでスピカ入りの権利を売っているし」

 

 

 キズナちゃんにキャメルクラッチをもらって明らかにおかしいほどに身体が曲がりつつも慣れてきたのか苦しい声も出さずに指を刺せば人参とジャガイモをたたき売りしているゴルシさんとトレーナーさんにマックイーンさん。

 

 

 ええ・・・あ、しかも私達も目を付けていた子が入っていった。あー残念。あの子はきっとダービーを狙えるのに。

 

 

 「まったく・・・で、落札したのは? えーと。二人とも共同でえーと、一緒にシリウスに入るのかい?」

 

 

 「おおぉ~ようこそチームシリウスに。ウチはもういないけど天才だらけだし優しいから歓迎するよ。エフフォーリアっち、タイトルホルダーっち、メロディレーンっち。タケシ、カズオーそのままこの子らの面倒見れる? あ、それとパラガスっちはどこ?」

 

 

 「あ、パラガスさんは久保さんとか松ちゃんと一緒に今研修中っすね」

 

 

 「おじさんだからちゃんとメモしたいって。真面目だよなあ~」

 

 

 「さあー落札した二人は大人しく三人を案内して差し上げろ!」

 

 

 「威張ってんじゃないや!」

 

 

 相変わらずなやり取りをしつつこのノリに慣れているビリートレーナーさんとヴァントレーナーさんはやれやれと思いつつもそのまま学園内に。何かの話し合いだったのでしょうかね?

 

 

 そしてケイジお姉さまはキズナちゃんにキャメルクラッチからそのままぬるんと上空に打ち上げられて・・・・ビラの塊になってビラが空を舞うビラ吹雪に!?

 

 

 「はぁ!?」

 

 

 「ケイジ―!」

 

 

 「いや、ケイジはあんたじゃーん!」

 

 

 と思ったらナギコお姉さまのそばにいました。変わり身の術でも使いましたか?

 

 

 「ったく。おや、新しいビラかい?」

 

 

 「そうそう。ちょうどいいかなーと。ほれ、皆の分な」

 

 

 このノリが戻ってきたのに嬉しく感じつつビラは・・・おぉう。いいセンスです。あとでラミネート加工を何枚かしておいてライトニングにも渡しましょうか。今は海外に行っていますし。

 

 

 「はぁー・・・で、ナギコにケイジはどうしてここに?」

 

 

 「ルドルフとエアグルーヴに会いにな。それと、ぼちぼち選抜レースやチームの勧誘の時期だろ? OBとして顔を見せようと思って。ほれ、ということで顔を」

 

 

 「しれっと頭を外しているんじゃないよ! そういう意味で顔見せも間違ってんよ」

 

 

 「あ、中身はお菓子箱っすね」

 

 

 「うーん・・・芋菓子がうまい」

 

 

 「あ、こら私にも頂戴よ。スイートポテトにかぼちゃのきんつばもいい味だねえ。うーむ」

 

 

 お姉さまはしれっと自分の頭を外して首無し状態になったと思ったらポンと頭が出てきた。で、オルフェとラニは髪の毛をつかんで蓋を外せば中に入っていたお菓子をポリポリ。あ、わたしにもくださいな。

 

 

 「まあまあ~シリウスの空気とかを味合わせるにもちょうどいいじゃん? とりあえず今来てくれた子たちの練習はウチが見るし、ケイジは午後から見てくれるってさ。だからみんなも授業なり自分の練習に打ち込んでね~ウチ芝もウッドチップでも走れるし」

 

 

 ありがたいことです。ナギコお姉さまならアメリカでも伝説。日本の芝でも問題なく戦えるのと今でも衰えていないですから。

 

 

 「ケイジさん。お代わりないっすか?」

 

 

 「うーん。おやつにはちと足りない」

 

 

 「わがままだなあ。じゃあ、フェイスオープーン」

 

 

 先にお菓子を4人で食べていたオルフェたちがケイジお姉さまの頭の玩具のお菓子を食べ尽くしたようでおかわりを欲しがっている様子。ケイジお姉さまも顔を取って畳みつつ今の頭をぱかりと開いてみればお菓子に群がる妖精さん (・ワ・)  が。あ・・・私の分。まだスイートポテト2つだけなのに。

 

 

 (・ワ・)「あ・・・つまみ食いです?」

 

 

 (・ワ・)「ばれてしまってはしょうがない」

 

 

 (・ワ・)「「「にげろー!!」」」

 

 

 「待たんかあぁ! あ、その弁当は勘弁! アタシの昼飯―!!」

 

 

 逃げ出した妖精さんと自前の弁当をもって学園に爆走するケイジお姉さまを見送り、この騒ぎの心地よさを感じる。ああ、日常です。

 

 

 「さーて、ビラ配りの再開と今来てくれたタイホちゃんたちを・・・ありゃ?」

 

 

 「みんな泡吹いて倒れていたり茫然自失だったり気絶しているけど大丈夫? 熱中症ではなさそうだけど」

 

 

 「あのハジケにあてられたかねえ。おら起きろ! これくらいシリウスじゃあ常識なんだよ!」

 

 

 「全く。シリウスに来たのならあれをしばきまわせるか慣れるくらいのハジケは欲しいもんだ。どれ、バケツに水組んでくるからラニ。あんたも手伝いなさい」

 

 

 「了解っすキズナの姉御!」

 

 

 全くもう。ここから超シビアな世界に足を踏み入れるのにこれくらいで驚いていては駄目ですのに。お姉さまとゴルシさんが来た時は文字通り嵐だというのを教えたほうがいいでしょうか?

 

 

 青空の下でキズナちゃんとラニさんの持ってきたバケツの水が新入生、チーム参加希望生たちにぶっかかる心地よい音を感じつつジェネレーションギャップを感じます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ルドルフさん。ケイジが来たようです」

 

 

 「む。ありがとう。ぜひ通してくれ」

 

 

 「では紅茶もお出ししましょうか」

 

 

 「ああ・・・ってケイジ!?」

 

 

 エアグルーヴと仕事も早く一区切りがつき、昼前、オリンピックへ向けての調整中だというのに顔を出してくれたケイジへ久しぶりに心からワクワクする。既に相当に騒いできたようだがその騒ぎの声さえも心地よい。童心に帰るというのはこういうことか。

 

 

 そしてエアグルーヴがドアを開ける前にすでに入り込んでいたケイジが紅茶を入れ始め、慌ててエアグルーヴがドアを開けるとアイスのあたり棒と野菜と果物で作られた人形が。

 

 

 「わはは。ますます美人になったねえ~ルナねえ。色つやもよければまあたわわに実っちゃって~女帝も皇帝も魔性の青鹿毛もほんと色気がやばいぜ♪」

 

 

 「たわけぇ! こちらがもてなす側だというのに相変わらずのハジケぶりで振り回すな! 全く・・・まあ、久しぶりにケイジの紅茶が飲みたいからいいが・・・」

 

 

 「ふふふ。懐かしいやり取りだ。そしてケイジこそ、衰えている兆しはないな。むしろより肉を付けて競技に向けて余分のない仕上げ。質実剛健。再びここで生徒に混じっても負けないだろう」

 

 

 すっかり競技を離れて丸みを帯び、大きくなった胸と尻。おなかの方は必死に維持しているが、やはり一度鍛える日々からはなれ、鍛錬の時間を削った影響は出ているようだ。食が細い故に太ってはいないのだが、目の前で現役最強。怪物たちの中の頂点であったケイジの今も衰えない覇気とその肉体を見れば思わず皇帝と呼ばれて生徒会とリギルで奔走していた日々を思い出す。

 

 

 そんな記憶を思い返しつつケイジとのちょっと気を抜けば変な話が飛んでくるのをBGMに、鼻をくすぐる心地よい紅茶の香り。エアグルーヴの淹れるお茶とはまた違う香りに気がほぐれていく。

 

 

 「ほれ。ケイジちゃん特製ブレンドだ。二人もどうせ社員食堂で飯だったろ? 二人分の昼飯も作ってきたから食え食え。理事長共には例の件の話もあるって言って時間は取っているからゆっくりとな」

 

 

 ドカンとおかれた重箱を分けて割り箸を渡してくれる。中身は・・・ちゃんと野菜多め。お肉もあるがささみとかでカロリー控えめ。フルーツもビニールに入れた保冷剤をそばにおいて美味しい冷たさを確保してくれている。

 

 

 食べればシンプルなうま味にガツンと来る幾重もの味の協奏曲。弁当はどうしても濃いめの味付けになるのだが、私たち引退組にその味付けはカロリーや塩分が辛い。そこを香りづけと隠し味で補ってくれるのが大変ありがたい。

 

 

 「ああ、そうだケイジ。貴様のおかげで無事に開催できそうだ。今年一年の頂点を決定する最強決定戦レース。凱旋門賞で始まるが、それ以降はその年ごとに世界規模で人気の距離のGⅠレースでのぶつかり合い」

 

 

 「ほーん? あれできたのねえ。どうしても芝質とかダートの関係。関係者のあれこれでどうなるかと思っていたけど」

 

 

 「ダービー一族に加えて世界中の名家たち。それに伝説のウマ娘たちの声とケイジ、君の現役時代にやったあのジャパンカップ。あれが刺激になったようでな。世界中で暴れるチームシリウスの存在も後押しをして無事にできた。

 

 

 まずはその年の人気の距離を選定して、そこからはくじ引きでランダムにその開催レースを選ぶ。そして招待状をもらったその距離の現役スペシャリストのウマ娘たちはそのレースでの参加権を手にできる。グランドナショナルや我が国での、ヒサトモさんたちの時代の日本ダービーのような大人数で競う。どんな芝でもバ場でも、レース場でも勝てる真の名バ。本当に規格外の催しに沸き立っているよ」

 

 

 こうもすんなり決まるとは思わなかったが、やはりここ最近の、日本とアメリカ、アラブにサウジが乗り気だからこそできたと言える。 ここ数年は欧州の大レースも日本とアメリカ、ドバイが手にしているし最強という称号と前代未聞の興行。そしてその際の交流で世界各国のレースの情報を調べ、肌で感じる目的もあるだろう。

 

 

 外を知り、世界を知り、刺激を受けて切磋琢磨していく。本当に新時代が幕を開けたと言える。

 

 

 「いやはや、まさしく群雄割拠。世界中の怪物たちが国を問わずに戦い合う。激しいものになるだろうな」

 

 

 「あーだからケイジ記念の際にぜひぜひ来てくれってこの前URAからのお願いが来たのか。世界最強決定戦の舞台ではアタシの名を冠したレースを長距離で出すつもりなのかねえ」

 

 

 「おそらくはな。2400のクラシックディスタンスを走り切れる子たちがどうにか距離を伸ばせるうえにステイヤーたちも挑みやすい。芝質も欧州寄り。海外勢も毎年多く来ている国際レースだ。あそこで世界最強戦をしたいという声も既に多数出ている」

 

 

 「アタシもオリンピックで暴れてから参加しに行こうかなあ? ジョンヘンリーとかマニカトでも誘って」

 

 

 「やめてくれ・・・伝説の怪物たちが来ては現役を潰しかねん・・・」

 

 

 アメリカの勇者とたった一人でオーストラリアをスプリント大国にして、香港にも化け物マイラー、スプリントを多く出している行ける伝説か。ぜひ会いたいが、ケイジの知り合いでそのレベルは下手するとエアグルーヴの指摘通り確かにやりかねないな・・・私ですらかすむ怪物マニカト。ケイジ曰く「ニューカマーな人」らしいのだが。気になる・・

 

 

 「負けん気というか闘争本能を出してくれたらいいんだがねえ。ま、こればかりはしょうがねえや。むぐ・・・んーそういや、エアグルーヴ。お前さん家ではどういう教育していやがるんだ?」

 

 

 「? どうした急に」

 

 

 「どうしたもこうしたもねえわ。ウチとクリークの託児所でルーラーシップとかイントゥザグルーヴが喧嘩するときでも大人相手でも戯け連呼するわそれが普通ということでクリークが治そうとしても治らないわで苦労しているんだよ。旦那さんを家でもそう言っていやがるのか? ダイナカールさん大爆笑しつつもガチトーンでウチに預けて治してほしいと頭下げていたぞ」

 

 

 「あ・・・な・・・! あ、あの子らは・・・!!」

 

 

 「ルナねえのとこのサードステージはいい子なんだけどねー。流石に人を呼ぶときに誰にもたわけ呼びはまずくねえか? アタシが言うのも何だが」

 

 

 ま、まあエアグルーヴは家事も得意だし問題はない。むしろストレス発散が掃除ゆえに旦那さんに尽くすほうだが家ではかなり態度は尻に敷いている。亭主関白ならぬ女房関白ゆえか。あれこれ指示をしているのを聞いて育てばしょうがないか?

 

 

 しかし、ふふふ。サードステージはいい子か。ケイジがそう言ってくれるのなら将来も伸びるだろうし、鍛えていて欲しいものだ。

 

 

 「アタシも大概やっているが、子供の、しかもちびっこの内からあんなんなったらトレセン学園に行く年頃が問題だぞ? アタシのマジックとハジケ技術を伝承させてギャグやるか、真面目に今からでも話し方は直しておけよ」

 

 

 「うぐぅあ・・・・・わ、分かった・・・後、クリークにも私も頑張ると言っておいてくれ」

 

 

 「ふふふ。私が昔使っていた勉強用の教材や絵本でも渡して教育するかな。ああ、いや、それならライスシャワーの絵本がいいか。ロブロイの本屋さんで買ってくるとしよう」

 

 

 いやはや、彼女も自覚があるのだろう。ケイジの言うことをすんなり受け入れてやけ食いのようにご飯をかき込むさまは。いや、あるいはすぐに旦那であり現役トレーナーに会ってきて夫婦会議でもするのだろうか? ほほえましいし、後で見に行こう。

 

 

 今や成人して久しく、トレセン学園に入るが職員の身。片や奔放に世界をひっかきまわしつつも復帰してオリンピックでも暴れる予定の怪物。だが、この時間の時は本当に互いに学生で、切磋琢磨して、愉快に笑い合っていたあの頃の空気が蘇ってきたように思えるよ。ケイジ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「でー・・・アタシがシリウスの練習に参加するのはいいけど、正気か? アタシのいつもの練習に新加入メンバーも参加するって」

 

 

 「お姉さまがいなくなって学園も久しいですし、あの世代を学園で感じた子も少ないですしね。一度感じたいというのが本音でしょう。・・・・・・・・まあ、回収班とかも用意しているのでそこは大丈夫かと」

 

 

 お昼の練習時間。アタシも軽く練習しようかと思っていたらリギルにスピカに加入した子も交じってアタシと一緒に走り込みたいという子が多数。どうにも周りは止めたようだけど聞かないようで、根性があるのかなんなのか。ヒメもあきらめ気味なのが根負けしたのがわかるなあ。

 

 

 「ふーむ・・・つまりはまあ、アタシが絶好調な時のノリで行くけどいいな?」

 

 

 「はい。問題ないです。参加しない子たちはナギコお姉さまとキタちゃんが面倒を見てくれていますし、おハナさんに奈瀬さんにキタハラさん。沖野さん、六平さんも許可しています」

 

 

 「それなら構いやしねえ。ジャーイクゾー皆。学園出て河川敷で動きまくるから、それとトレーナー陣も手当てのための道具とドリンク頼んだわ」

 

 

 よっし。学園のジャージにそでを通すのも久しぶりだなあ。うーん。腹周りは大丈夫だが、腕、太ももが少しきついな。障害飛越競技のために鍛えている分こうなるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ゲッホ・・・げほ・・・はひ・・・」

 

 

 「ひゅー・・・ヒュゥー・・・む、むーりぃー・・・」

 

 

 うーん。耐えているほう。やっぱ選抜レースを潜り抜ける。目に留まる才能たちっすね。でもここまでっす。

 

 

 「ほーい休憩しようっす。水を一気に飲まないように。最初の一口はすぐ吐き出して二口目から飲むっす」

 

 

 ケイジさんの鍛錬。それもあの人の最盛期・・・ってどこっすかねえ・・・ま、まあスタミナをつけまくった、ライス先輩を指導している時のメニューをやりたいとはしゃいでいた新入生たちも最初の河川敷までダッシュからの河川敷を降りて、上って、反対側に降りての繰り返しの超ジグザグダッシュ18キロメニューは無理。

 

 

 初日に4キロ出来た時点で既に合格もの。文字通りの斜面を50キロで爆走し続けて、ちゃんと青々草ぼうぼうの欧州の芝以上に伸び放題の草の斜面を走り続けるのにここまでやれるのは才能だ。

 

 

 持ってきた水を飲ませて、酸素吸入器と疲労回復用の蜂蜜レモンを食べさせつつ足のケアをしてケイジさんを見る。ついてこれているのはヒメ先輩とラニは・・・青息吐息っすがくらいついている。

 

 

 「ぐぇほ・・ぷば・・・ぶはー・・・! か・・・い、いぎがえった・・・あ、あれを毎日・・・?」

 

 

 「デアちゃん息整えて。そうっすよ。ライス先輩と一緒に毎日10キロ以上。グランドナショナルに挑むと聞いてからは18キロここで毎日とさらにメニューを追加。おかげで河川敷で二人が走るルートの草が踏まれてはげてルートが出来上がっていたくらいっす」

 

 

 「あ、あれが世界最強ステイヤーの・・・青薔薇の姫騎士の師匠・・・」

 

 

 「シリウスメンバー皆の師匠っス。そしてライバル。あ、ここからは普通に学園に戻るっすよ」

 

 

 「え? 走らないので?」

 

 

 「いや、ケイジ先輩ここから着衣水泳でそのまま学園の近くの所まで泳ぐんすよ。何なら重りもつけて」

 

 

 周りがあり得ないと言わんばかりの顔を見せる。うん。そりゃあそうっすよね。レース場の坂なんぞ屁に思える斜面と深い草をかき分けての猛ダッシュ。カーブする角度もカラーコーン一つ分の切り返しをあの速度で。それを18キロ走って、その上で本人曰く「クールダウンがてら」で泳いで、更に学園でトレーニング。

 

 

 今日は私は新米たちのケアでやらないっすけどほんとよかった。

 

 

 「さ、クールダウンしながら戻るっすよ。ケイジ先輩も35キロとかそれくらいで済むんでうち等でも問題ないっす」

 

 

 文字通り鯨のような迫力とイルカのような軽やかさで泳いでいくケイジさん。あ、ゴルシ先輩の新入生歓迎の屋形船にぶつかったっす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あ、クマ吉さーん。飛び入りのお客さん~」

 

 

 おーいちち。ゴルシの船が来るとはなあ。さてさて、ヒグマの皆さんの結婚式かあ。

 

 

 「おめでとうクマ吉さん。これからも若いウマ娘たちの教育をお願いするよ。はい、ご祝儀。ハジケ学校卒業と結婚。おめでとう!」

 

 

 川魚と鯉の鱗。あとはプルコギと札束。熊殺し道場の師範として頑張れ。

 

 

 「あ、ありがとうございますケイジさん! デアリングタクトがトレセンにいますのでこれからもたまに見てやってください!」

 

 

 「ありがとうございますケイジさん。では、ご祝儀返しを」

 

 

 「そんな香典返しみたいな。悪いなー」

 

 

 クマ美さんから渡されたものは顔一つ覆える鉄仮面。こ、これは・・・・!

 

 

 ガチャっとな。

 

 

 「特殊刑事課 スケバン刑事Ⅱ! 少女鉄仮面伝説ここに再臨!」

 

 

 「少女ッて年齢じゃねーだろうが!」

 

 

 「ご無体な―!」

 

 

 ゴルシに投げられて無事に水泳再開。鉄仮面はありがたく緑の仮面と一緒に自宅に飾りました。いやー次世代も期待大だわ。




 OBになっても相変わらず。シリウスへ入る新人トレーナーとウマ娘たちは幸か不幸かケイジの普段のノリを味わえましたとさ。


 後シリウスチームのビラもいつかイラストにあげておきたいですねえ。依頼はしているのでゆるりとお待ちくださいませ。





 ~おまけ~


 ケイジ「でー・・・これがディープ?」


 スタッフ君「そうなんです。種牡馬の仕事の際に首を痛めて、処置をしようとしていたところに急にこうなりまして・・・映像でも・・・」


 ディープ「あ、ケイジ~♪ 遊ぼ・・・あれ? 私の身体・・・??」


 ケイジ「いやー見事にウマ娘になってんなあ。K大明神これどう思うのやら」


 スタッフ君「それでその・・・そちらの方で預かるのと、戸籍とかの手続きをできないかと代表やみなさんからの意向で」


 ケイジ「ウチ馬屋であって役所とか託児所じゃないのよ~それとさ。ボリクリもああなっているけど、何だろうねこれ」


 スタッフ君「え? あ・・・ええ・?? これは一体・・・」


 ケイジ「SF(少し不思議)だねえ」


 ディープ「ドラえもんかな? あ、人間に慣れたのならジュースを飲んでみたい! あの泡の出るやつ!」


 ケイジ「まずは舌の上で転がして大丈夫ならなーほれ行くぞ。首の調子はどう?」


 ディープ「大丈夫。おおーケイジ大きい~」





 ~前田牧場~


 大竹「パールちゃんがねえ・・・いやいや、これは寿司を頼むほかないな。どれ持ってきて・・・」


 パール「寿司? 寿司は駄目よ! またお腹いたいいたいになっちゃう! 地獄になっちゃう!」


 スズカ「え? お寿司美味しいわよ? この昆布で取った出汁もラーメンにすごくあって・・・あ、替え玉くださいトモゾウさん」


 ライス「見てみてお兄様! またライス元気に走れるし、調教師助手、厩務員の勉強もしているの。一緒に走ろう! ライスたちみたいに皆を元気に走らせる手伝いするよ!」


 的矢「ああ・・・あぁ・・・! でも、その前に神様にお供えと感謝をしないとね」


 ヒメ「ですねえ~ケイジお兄様は。あ、今はお姉さまですね。は良く近くの神社にお参りして、神様はいるからお祈りの時は感謝をとよく言っていましたし。私がリードしますよ」


 松風「うーん。ゲームの世界からか、天国からか、まさかこうして出会えるとは、ケイジもケイジだし。ほんと凄いなあ」


 真由美「だ、だねえ・・・幼駒を身に来たらなんかさらにウマ娘たちが、こ、コレクションが増えるわ」


 松風「あ、車に積んできた色紙とペンを持ってくるね」


 ケイジ「おろ? 松ちゃんにタケちゃん。的矢さんどったの。たしか5爺となんかの特集で競馬番組出るんじゃなかったっけ?」


 ディープ「あ、大竹さん! 乗ってくれないのにどうしてここに?」


 大竹「え・・・え・・? でぃ、ディープ!? それと今の君にも乗れないよ二重の意味で。ケイジ。これどいう状況・・・?」


 ケイジ「カクカクしかじか」


 平野「おーっほっほ。なるほど。しかしケイジ君の回りは名馬と愉快なことに事欠きませんねえ~厩務員のヘッドハントに来ましたが、これは倍率も減りましたなあ。ディープくん。おじさんと一緒に厩務員をやらないかな?」


 ケイジ「その前にまずは一般教育だよ。あとみんな人が好きだから対処とかを学ばないとだ」


 大竹「残念。弟の厩舎の方でスズカを預かろうとも思っていたのだが。ああ、それとだねえ。競馬の番組の方でケイジと蓮君の再開をやろうという企画があってねえ。どうだろう。来週の方だけど」


 ケイジ「ほんほん。了解。じゃあ面白くやるか」


 ~終わり~



ケイジの新しい勝負服 どんなものがいいでしょうか?

  • ランプの魔神風
  • ビキニ&パレオ
  • バニースーツ
  • ボーボボの服
  • その他
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