ハジケリスト世代だろ! (完結)   作:零課

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 皆様あけましておめでとうございます。どうか皆様いい新年を迎えられますよう



 ケイジの珍道中


 ~一部抜粋~

 アメリカでのトリプルティアラを制覇し、僕のGⅠの勝ち数は騎手人生がようやく10年いくかどうかというのに早20勝目を越えた。日本の牡馬クラシック無敗のクアトロクラウン、アメリカ牝馬クラシック無敗のトリプルティアラ。欧州二冠三連奪取。世界が認める名騎手だと。あの傾奇者の相棒だとほめたたえてくれる。


 その言葉に笑顔を浮かべるが同時にその賞賛を受けるべき僕の一番の相棒がいない。ケイジが僕よりも賞賛を受け、いつもの自信に満ちて命がけのレースさえも楽しみ倒すあの魔性の美貌と色気を振りまくべきなのだ。そのことに悲しみとケイジがもらうべき分の賞賛を受けていることへのうしろめたさ、そして僕を称賛してくれるファンの気持ちも裏切っているということでは僕は宙ぶらりんの情けないやつだ。


 なにより、一緒にアメリカトリプルティアラを制覇したケイジの娘ミコト。馬主さんはケイジのファンであり同じドリフターズ所属の志村ヘンさん。ケイジの娘を預けるのなら君しかないと言って頭を下げてくれて、同時にミコトは文字通りケイジの娘というにふさわしい天才だった。


 日本にアメリカダートクラシック三冠を持ち帰り無敗のまま伝説を作ったナギコ、そしてケイジの娘はあの二頭の才能を余すことなく受け継いでいた。太もも越しに感じる脈動。頭を撫でて、一緒に扇風機に当たるときの顔、鞭を使わずとも仕草ですぐに加速してくれる頭の良さ。温度も体温もケイジの血を引いているからこそ感じられる命のリズムと引き継がれる意思と才能。


 それに僕はケイジの面影を感じつつも彼女の個性と強さに魅了された。キタサンブラックとダービーを獲った時よりも、二度目の凱旋門賞をサトノダイヤモンドと獲った時よりもミコトの素晴らしさとどこまでもいけるだろうと胸を高鳴らせる。


 しかしその恋のような感情は、最高の相棒だと感じるのはケイジという最高の相棒と、ケイジがつなげてくれた真由美ちゃんへの不義理だと言える。あの高鳴りとこのステージにこれたのはまさしく彼らの助けがあってこそだというのに、まさしく最高の一番で夢中になる。寝ても覚めても夢か現実かわからないほどのあの日々をくれた彼らがいるのに僕はケイジの娘に魅了されてメロメロになっていた。



 君という最高の相棒のために、支えてくれる伴侶に、皆に応えたいという気持ち以外にもミコトちゃんへの愛と信頼と期待を強く持ち、騎乗するときは文字通り彼女しか見ていなかった。勝利への賞賛と、感謝も本物だが、しかしケイジがいないと、ケイジと味わいたいという気持ちと後ろめたさがある。


 本来はケイジと一緒に受け取るべき栄光をその娘と一緒にもらい、娘にもケイジにも夢中になって最高の時間を味わう。親子そろって僕を支えて愛してくれる。こんな破廉恥でスケベな僕に。しかし騎手という仕事とケイジの血を残したいという気持ちも本物だ。ケイジ、今度会う時はこの煮え切らない情けない男を怒ってくれ。


 そして吹っ切れた僕と一緒に温泉に入り、アニメを見て、ご飯を食べよう。好きなリンゴと、牧場の皆の好きなものを持ってくるよ。怒ってくれ、詰ってくれ。その上で僕はまたケイジの子や、ライバルたちの血を残し、ずっと君たちを忘れさせないと気持ちを固めるためにまた語らおう。


 こう思っていたはずなのに、前田牧場にご挨拶に伺えば僕を我が子のように出迎えて労ってくれる前田牧場長夫妻に僕を見るに心底嬉しそうな顔で迎えてくれるケイジ。僕は君の娘に君を感じて夢中になっているというのに、こんなに思って優しくしてくれることに涙が出た。


 「泣くんじゃないよ松風。胸張って笑えや」


 そういうように慰めてくれるケイジに、ミコトの方を見て嬉し気に僕の胸に鼻先を押し当ててくれるケイジに僕は思わず抱き着いて色んな感情を吐き出した。僕の始まりの相棒。君の大きさとやさしさ、素敵すぎる。


ウマ娘エピソード 34 出向

 「新しい派出所ですか?」

 

 

 「ああ、警視庁と国からの要請でトレセン学園の近く、主に正門と裏門前に二か所配置するそうだ」

 

 

 昼前、わしと中川、部長で昼飯のカツ丼をつつき合いつつ署から来た連絡事項を聞いてた。しかしまあ、新しい派出所とは。好景気で人も増えたが、近年のウマ娘レースブームの需要とそれから来る税収を踏まえてだろうかねえ。

 

 

 「しかしなんでまた今更。既に周辺にも派出所があったりで中々あそこは人が多いと思いますが」

 

 

 「まあ、そこに関してはだがケイジ君、およびチームシリウス、スピカのゴールドシップ君とジャスタウェイ君、その後輩の皆さんの躍進が大きい。なんでも各国の要人との会食であのアスリート、アイドルが集まる学園だけど警備は大丈夫かという声が出たそうでな」

 

 

 「あと、マヤノトップガンのトレーナーアンチの行き過ぎた行動やナカヤマフェスタの賭けの行為をトレーナーもしていたことで騒ぎになったりとでそもそも最近色々と怖い話も出ていますから」

 

 

 「まあ、本命はケイジらへの警護でしょうけど。あいつの功績は真面目に滅茶苦茶ですからねえ。あ、部長七味使います?」

 

 

 蜆の味噌汁とかつ丼のセットに麦茶をすすりつつ、なんやかんや騒ぎは起これども本命はそれだろうと目星を付ければ部長も中川も同じ意見だったようで頷きつつ飯を食う。うん。期間限定のデカ盛りだがこれはいいな。

 

 

 「まあ、モロダシ共和国のオマタ国王をクーデターから救い出してその後も国王特別警護、救出部隊と臨時任命されて大暴れ。シャーガー誘拐事件も防いで誘拐を計画した組織ごと壊滅。かと思えばドバイミレニアム、イージーゴアにカラムーンの世界中が匙を投げた難病を治療できる医者を引っ張り出してきて完治させるとこれだけでもすごいのに世界史上初の欧州二冠三連覇。海外勢には一切負け無しですからねえ。英雄ですよアイツは」

 

 

 「普段の問題行動を差し置いてもあらゆる意味で暴れまわり、そしていい影響の方が大きいからな。もっと大事にしているというアピール。VIPとして対応していますというアピールもあるのだろう。かといって、ケイジ君はそういうのは面倒くさがりそうだからなあ」

 

 

 「ならせめて派出所を多く設置して学園全体の安全への配慮と気配りが出来ているようにすると。まあ、僕の会社の方でもケイジ君には助けられているので嬉しい話ですけど」

 

 

 問題行動というくだりでも笑顔がにじむあたり部長もケイジに甘いなあ。まあ、爺ちゃんみたいなものだと公言したり、孫の趣味やプレゼントのために奔走してくれるからなあ。わしから見てもいい関係だよ。中川の方でも会社のCMや商品開発。カレンチャンやメロディーレーンのインスタグラマーたちにも呼び掛けてアンケートを取ったり宣伝してもらったりとでまあやれることが多い。

 

 

 「そういうわけで、2週間後に私たちの方もトレセン学園正門前派出所に交代制で勤務することになった」

 

 

 「「え?」」

 

 

 兎にも角にも夢を追いかけて苛烈極まる勝負の世界に挑むウマ娘たちが学園の安全、治安が良くなるのはいいこと。そう思っていたらまさかのわしらも出向。これには思わず麦茶を吹き出しそうになる。

 

 

 「部長。わしらよくケイジと犯人逮捕はしていますが、府中は管轄外ですよ」

 

 

 「いやあ、それがトレセン学園は良くも悪くも濃いメンツが多いのとケイジ君、ゴールドシップ君らの行動へのある程度の耐性と経験を積んでいる人が欲しいと言われて。それで一番ケイジ君らと関わっている私達にぜひ出向してほしいとのことだ」

 

 

 「人事に関しても細かいですね・・・」

 

 

 「その分手当は弾むということと、派出所からもケイジ君らと関わりのあるメンバーを複数人出向して交代制で回していくそうだ。そういうわけだから2週間後にはトレセン学園前派出所へ持っていく荷物の用意とここの派出所に代理で来る人達への引継ぎの用意をするぞ」

 

 

 「了解しましたよ。そんじゃあ、とりあえずどうやろうか」

 

 

 金が出るというのはありがたいことだし、まあ電車を使えばトレセン学園も問題なく行ける。さてさて。超神田寿司以外では会うのは久しぶりだが元気しているかねえ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よいしょっと・・・さすがに大荷物になったなあ。中川の車だと往復してようやくか」

 

 

 「僕の車だと一般乗用車と目的も違いますし」

 

 

 あれから引き継ぎや交代のローテーションを決めてから備品、書類諸々を中川のスポーツカーでピストン輸送で数回送ってようやく段ボールだらけだがトレセン学園前派出所についた。

 

 

 そこから見る学園はやはり大きく豪華。わしの青春を過ごした学校とも警察学校すらも小さく見えるほどの荘厳さと豪華さがある。

 

 

 「何度も足を運んでいるが、やはりすごいなあここは」

 

 

 「2000名以上の全国から門を叩く選りすぐりの競争ウマ娘たち。そこから更に国トップのアスリート兼アイドル養成学園ですからね。編入や推薦、特別枠などはあれども日本に一つしかないと言えば東大などの名門大学よりも狭き門ですよ」

 

 

 そう考えるとやはりここに来れる時点で学力、或いは走る才能などは折り紙付き。最近ではオグリキャップを支えたベルノライト、変態勇者アグネスデジタルの将来の目標の公表からもトレーナー志望、スタッフ志望のウマ娘なども育てる方向も伸ばしているがやはりそこも狭き門。

 

 

 さらにその中から鎬を削って1勝。リステッド、OP、重賞、ましてやGⅠに行けるとなると一握りの一つまみ。そこでいくつも勝利を重ねるメンバーの才能は文字通り日本の宝といえるものだろう。

 

 

 思わず感嘆の息も出る。そんな上澄みの上澄みたちと触れ合えていた。ましてやその子たちの安全に配慮した派出所に勤務できると考えるとなんだか身が引き締まる思いだ。

 

 

 「そう考えると天才は変人というがGⅠで戦うウマ娘たちが個性豊かすぎるのは当然なのかね」

 

 

 「そうかもしれませんね。まあ、その中でもケイジとゴールドシップは特に変人で刺激的だと思いますが」

 

 

 「お前も人のこと言えないがなあ。よいしょっと・・・」

 

 

 あの二人を変人という中川だがこいつも大概だ。今は丸くなったが既定の制服にそでを通さずオーダーメイドの制服を今も着ていてタクシー通勤した際には署にタクシー代を付けてそこら辺の車にマグナムをぶっ放す。わしなんかに負けないほどの破天荒だよ。

 

 

 「昔は友達と一緒にどこでも銃をぶっ放しては皇居のお堀に暴走族をレッカー車で放り込んだりとか」

 

 

 「そ、それは先輩もしていたじゃないですか! まあ、ケイジも不良集団相手に似たようなことをしたので本田先輩と僕と麗子さんと先輩みんなで叩き潰して豚箱にツッコんだのでいいですが。無期懲役で」

 

 

 「暴走族だの半グレだの知らんが世界の要人、軍人、日本の二大伝説の暴走族のヘッドと親友で、本人も化け物スペック。『星の一族』の末裔のケイジに喧嘩売るとはな。皇族に喧嘩を売るようなものだ。あの後に色々と青ざめて土下座するやつらの顔は見ものだった」

 

 

 そのぶち込んだ刑務所でもケイジ、蓮、国光、ユタカの大ファンのヤのつく自営業の連中たちにもこの情報は入っているようであの暴走族らは例え出所してももう悪さはしないだろう。

 

 

 「失礼します。新しくここに出向される警察の方でしょうか」

 

 

 「あ、はい。今日からここで・・・って、シンボリルドルフさん!?」

 

 

 段ボールから荷物を出しては整理しているとふと声がかかり中川が応えるとそこにいたのはシンボリルドルフとエアグルーヴ。トレセン学園の生徒会長と副会長にして何方も日本有数の実力と戦績を持つ怪物がわしらの前にいた。

 

 

 レース、ライブで何度も見ているが、近くで見れば見るほどその美貌と威厳はなるほどウマ娘の中でも頭一つも二つも抜けている。

 

 

 「ふふ。中川さんもお久しぶりです。そして両津さんもお久しぶりです。トレセン学園前に派出所が出来る理由などは私の耳にも入っていたので挨拶をと」

 

 

 「学園周辺の治安が良くなれば外でのランニングをする生徒も多いので安心できるでしょうし、ありがとうございます」

 

 

 「いやいや、わしらの仕事だしそうかしこまらずに。中川。茶を淹れてきてくれ」

 

 

 「はい」

 

 

 「いえいえ。そこまでもてなさずとも。私達もすぐ戻りますので。その前に、一つ私達からも個人的なのですが頼みたいことがありまして」

 

 

 作業の合間と昼飯にでも茶をすすろうと先にセットしていた電気ケトルで茶を中川に用意させようとしたらルドルフが手を振って大丈夫と拒否しつつ苦笑して頼みたいと一歩踏み込んできた。なんだろうか。基本わしらではトレーナーまがいのことは・・・地方ではわしはしていたけどさあ。一応資格あるし。

 

 ただ中央でも怪物であり、あのおハナさんの元での指導に不足はないはずだがそうなると・・・まあ、予想はつく。

 

 

 「その・・・ケイジとゴールドシップの暴走や何かあった時はぜひ抑えるのを手伝ってくれれば・・・と」

 

 

 「あいつの暴走はまあ、最近はある程度流せますがそれでも気がついたら何をしでかしているのかわからないときがありまして。その際はぜひお二人はケイジとの普段でも親交がある分対処できるかと思いまして・・・」

 

 

 「あ、お二人とも少し冷ましているので飲みやすいですよ。どうぞ。先輩も」

 

 

 「おう中川。そしてやっぱりケイジかあ。まあ、何度もわしらも振り回されている側だがなあ」

 

 

 皇帝と女帝がわしらのような一公務員にケイジの暴走を抑えてほしいと頼み込む絵面がシュールなのと、苦笑してケイジの暴走もいとおしそうに思っているであろうルドルフと、ケイジを心配と、過去の暴走からも整った顔だが眉間にしわを寄せているエアグルーヴの対比が面白い。ダイナカールさんは現役時も愉快な人だったが、優しさは受け継いでいるけど性格は本当に正反対の生真面目さだなあ。

 

 

 4人で少しぬるめですぐ飲める茶を結局ルドルフたちも受け取って飲みつつ今までそれぞれがケイジに振り回された過去を思い出す。戦闘機をかけてジョディーたちと空母の上でサッカーをしたり、ケイジの武芸を披露したり、ひったくり犯にケイジがロープをワッパに絡めてから犯人の両手に投げ飛ばしてから引っ張ってぶん投げたり、暴走車に飛び乗って犯人を捕まえたりと。いろいろしたなあ・・・

 

 

 「さあさあ! オカマ喫茶「食べ残し」の開店だー!」

 

 

 そうそう。ちょうどあんな感じで何をしているかわからんことを・・・・お?

 

 

 「さあさあ今日は開店サービス! いろんな限定品まであんなことやこんなこともやっているぞー!」

 

 

 学園の入り口ではケイジとゴールドシップが何やら屋台喫茶を開いて客を呼び込んでいる。いつの間にこいつらは。そして何をやっているんだ?

 

 

 「ケイジー!! 貴様は何をやっているのだ! また知り合いのオカマたちを呼んだのか!」

 

 

 「おわ? おお。エアちゃん。オッハー! そして両さんに中川の兄ちゃんにルドルフ会長! ハロー!」

 

 

 「タロウ~」

 

 

 「「岡本太郎~♪」」

 

 

 ゴルシと息の合った挨拶をして微笑むケイジ。うーん。学園の制服を着てるケイジは新鮮だなあ。いや、よく見ているはずなんだかその時は大体犯人逮捕だったり騒ぎに巻き込まれている時だし。しかし、ゴルシもわしより背が高いのに小さく見える。

 

 

 「タロウも何もないわ! 一体どんな喫茶を・・・?」

 

 

 エアグルーヴが起こりながら屋台喫茶を見ればそこには和風メイドの衣装に身を包んだジャスタウェイにヴィルシーナ、ナギコたち。そして周りにずらりとあるのは業物の鎌に飯炊き釜に窯。

 

 

 「「カマ違いだー!!」」

 

 

 「ほぉ・・・あの蹄鉄師の一品・・・」

 

 

 「いやあ、懐かしい。この味と匂いは何十年ぶりか」

 

 

 「しかも繁盛していますよ」

 

 

 「名うての鍛冶師の業物に世界の鉄人シェフたちが欲しがる逸品だからなあ。目端が利く人にはいいし」

 

 

 「さあー超特大ピザ焼くっすよ~本場イタリア仕込みをご覧あれ」

 

 

 目の前でマンホールのふたの倍の大きさにピザ生地がメジロライトニングの手の上で広がり、隣ではキジノヒメミコがあらゆる具材をまるで早送りのような包丁さばきでさばいては広がった生地に盛り付け。そして超特大のピザ窯に入れていく。

 

 

 隣では釜で出来上がった白米にしゃけの塩焼きに味噌汁と定食をほおばる爺さん。

 

 

 「昔のごちゃまぜ喫茶の香りがするなあ・・・」

 

 

 「どれ・・・ちょうどいい。お昼の弁当もあるのか。なら、Aランチの弁当を一つ」

 

 

 「会長。しれっとなじまないでください。む・・・意外と商品もあるのか・・・ふんどし?」

 

 

 ケイジ達の暴走になれているのかルドルフは弁当を頼み、頭を抱えつつエアグルーヴはしょうがないからと商品を見て、わしらも見ていたらあらゆる色のふんどしが。

 

 

 「そう! 男女共用でもつけられる! 前はしっかり隠しつつもお尻のラインを見せたい貞淑とセクシーを狙いたい方にお勧めの下着!」

 

 

 「時代を越えても愛される素晴らしい日本の簡単下着! ふんどし最高!」

 

 

 「ふんどし最高! ふんどし祭り! ふんどし祭り!」

 

 

 「「ふんどし祭りだワッショイワッショイ! ふんどし祭りだワッショイワッショイ!!」」

 

 

 「わけわからん祭りが始まったー!!?」

 

 

 いつの間にか法被に着込んだゴルシとケイジがふんどしを頭に巻いて懐から褌を投げつつ踊っている珍妙な光景が繰り広げられている。なんだこれは。

 

 

 「甘えるなゴルシぃ!!」

 

 

 「「「えええー!!?」」」

 

 

 かと思えばケイジのハリセンがゴルシに炸裂。突然の変貌に皆が驚いている。

 

 

 「おしゃれも下着も温故知新! ふんどしを超える貞淑セクシー下着を開発してこそよ! さあ、おいきなさい! 新たな時代を作るのよ!」

 

 

 「分かったわお母さま! 私! エルドラドに行って世界一の宝を持って帰るから!」

 

 

 その勢いのまま釣り竿とサングラスを付けてどこかへジャスタウェイを攫って走っていくゴルシ。いつものケイジワールドの一幕に巻き込まれたがほんとこいつらの脳みそはどうなっているのか見てみたいもんだ。

 

 

 あ、それと食事は普通においしかった。薪の釜めしと料理の数々。懐かしさを覚えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「これで全部ですね。明日には纏さんと左近寺さん、本田先輩が来るのでその引継ぎをすればいいかと」

 

 

 「だな。理事長への挨拶もすんだし、学園裏門前の派出所の方も特殊刑事課が来てくれるということで打ち合わせも済んだ。これでようやく形になるということか」

 

 

 昼前、両津先輩と一緒にトレセン学園前派出所の備品の整理や周辺の警察官への挨拶、学園関係者への挨拶を済ませてようやくしっかりとした派出所運営が出来そうになってきた。

 

 

 朝もケイジ君とゴルシ君(あの後エルドラド? からタコとイカを釣ってきたらしい)の海鮮さっぱり塩焼きそばを食べて仕事をこなしていたがやはり昼前になると腹の虫がなる。

 

 

 「お腹がすいてきたなあ中川。ワシはカップ麺を食べるがお前はどうする?」

 

 

 「うーん。そうですねえ。一応近場の商店街にあった喫茶店にもいってみようかとは思っています・・・おや」

 

 

 食事はどうするかと考えていると聞こえてくるどこか懐かしさを感じるラッパの音にタイヤの音。

 

 

 「出張黄金屋でござーい。そこの伊達男お二人さん、昼めし食っていかねえかい?」

 

 

 「代金は取るが味は保証するぜ黄金屋! ゴルシちゃん印とケイジお手製ラーメン&チャーハンセットがおすすめだぜぇ!」

 

 

 ケイジ君とゴルシ君が屋台車を引いて学園前に置き、座椅子と机をセットしていく。ケイジの料理は僕も知っているが世界の高名なシェフに引けを取らない。あと基本こういう屋台以外では気まぐれなので味わえるチャンスは少ない。

 

 

 「よし。食べに行くか。おーい二人とも。ラーメンとチャーハンセットを頼む!」

 

 

 「お願いします。おや。デザートもあるんですか?」

 

 

 先輩もカップ麺よりは二人の料理がいいということで意気揚々と屋台車の備え付けの椅子に座り、僕もそれに続いてメニュー表を見ると「気まぐれデザート」というものに目がつく。

 

 

 「あいよ。麺の固さは? それと中川の兄ちゃん。デザートはアタシらの気分で作るもんだが、味は保証するよ」

 

 

 「固めで。それとデザートはわしも」

 

 

 「へえ。なら尚更楽しみですよ」

 

 

 「おう! あ、それとだけどよ。二人とも辛いのは大丈夫か?」

 

 

 香ばしい鶏がらと具材の匂いが漂うことから鶏がら系のラーメンかと予想を付けつつ、チャーハンを作るケイジ君とゴルシ君の質問に首をかしげる。チャーハンが辛いのだろうか?

 

 

 「問題ないぞ。むしろ目が覚めるってもんだ」

 

 

 「僕もある程度なら」

 

 

 「なら食べ方は教えるからこれもつけるか。ケイジ。できたか?」

 

 

 「おうよ。そらおまちどお、お二人さん。ケイジ&ゴルシ特製ラーメンセットだ!」

 

 

 そういって出されるのはキラキラと輝く黄金色のスープに縮れ麺。葱とメンマがあるラーメンと、これまた香ばしい香りを見せる五目チャーハン。一見普通のラーメンセットだが、その横にある出汁につけられている肉団子かカマボコ。白色や普通の肉団子と色とりどりでひなあられを模したのだろうか。気になる。

 

 

 「いただきます。うん・・・うまい!」

 

 

 「いただきます。ほぉ・・・これは・・・」

 

 

 麵をすすれば普通よりも角のあるちぢれ麺。金色のスープに卵麺だろうか。まるで稲妻のような麺は唇に舌に当たる感触が心地よく。そして鶏がらの出汁、いや、メインは塩に。そこに少しのとんこつも入っているけど、どこかとんこつラーメンのそれとは少し違う。

 

 

 最初に鳥の風味に、塩のガツンと来る自己主張にどこか主張をする隠し味のとんこつ、いやそれいがいの味を感じさせる。ちょっと普通のラーメンとは違うがこれはおいしい。

 

 

 「どれ・・・お? 豚の角煮に、おお。野菜ももりもりだな!」

 

 

 「ヘルシーだろぉ? それに食感も大事にしているけど細かく砕いているから歯が弱い人でも食べやすい!」

 

 

 「チャーハンでここまで噛み応えを味わえるのもいいですね。うん・・・スープとも噛み合う」

 

 

 次にチャーハンを食べれば豚の角煮に卵のまろやかかつ濃密な脂と肉のうま味と卵とソースの連携攻撃が口の中に広がっていき、その濃い味を塗り替えていく第二陣がごろりとした噛み応えのある野菜たち。レンコン、大根。そこに人参の甘み、きくらげのコリコリ感触や大粒のごまが風味と食感を添えて口の中で多種多様な味のダンスが始まる。

 

 

 一見五目チャーハンだが、五目どころではない幾つもの食材たちのショーが僕を楽しませてくれるし、野菜の甘みが来るのでラーメンの塩気が欲しくなる。交互に食べるのも、口の中をどれか一色に塗り替えてもいい。素晴らしいコラボレーション。

 

 

 しかし、この二つだけでも完成していると思えるのだが、そうなるときになるのは出汁の入った皿の中にある肉団子? カマボコ? の存在が気になる。さらりとした出汁だがこれはチャーハンにかけるのか、それともラーメンに入れるのか。

 

 

 「ところでケイジ君。この肉団子? はどう食べるの?」

 

 

 「お、そいつはラーメンに出汁ごと入れて団子を割って食べるといい。単品で食べるとむせるかもだから、辛党みたいな人以外にゃお勧めしねえ」

 

 

 「群馬にあるミブ風船っていう変わった風習があるのをイメージしてみた。後あそこらへんは空っ風の寒さに雷がすごいからそれらをイメージしつつも寒さに負けないようなものにした」

 

 

 「ほう。どれどれ・・・おぉ・・・うまい! それと、このスープ・・・沖縄そばに少し近い?」

 

 

 「なるほど。どこか香るとんこつの風味はこれのために。辛いですが・・・おいしい」

 

 

 カマボコ風肉団子を割ると表は白いけど、中身は肉団子。そこからあふれる汁をかき混ぜてラーメン全体になじませて食べてみるとピリッとくる辛みが入り心地よいうま味を増していく。そして塩、鶏がらにそのまま辛みを入れるのは合わないが沖縄そばの味付けを忍ばせていくことでその辛みの追加も心地よい物へと変化している。

 

 

 ましてやその辛みのせいでチャーハンも進むし、メンマや葱の味がいい変化となっていく。これは箸が止まらない。

 

 

 気が付けばあっという間に完食。食事の熱に程よいからさ。スパイスが熱をくれているのか心地よい余韻がある。そしてその後に香ってくるのは心地よい甘い香り。

 

 

 ゴルシ君が鉄板の上に円柱の金型を置いてその上に生地を流し込み、合間合間に何かを振りまいてしばらく。ひっくり返してから蓋をしての蒸し焼き。パンケーキの類だろうけどもこのかぐわしい香りがまた食欲を誘う。甘いものは別腹とよく言ったものだ。

 

 

 「ほいさ。ゴルシちゃん特製パンケーキ。おすすめは最初に切り目を入れてからゆったーりと蜜をかけて食べてくれ!」

 

 

 「「いただきます」」

 

 

 ドカンと出される分厚いパンケーキ。ナイフを入れてみれば蕩けるバターが染みわたるが・・・おや?

 

 

 「パンケーキの甘い香りが複数・・・?」

 

 

 「わしも二種類は分かるな」

 

 

 「あったり~♪ パンケーキを焼く際に生地を入れる合間に塗る用の蜜や生地に練り込んでいるやつとは別の蜜を薄く塗っているんだわ」

 

 

 「ゴルシ特製の熱伝導が高い合金で中にまでしっかりと火が通るからこそできるやつだな。まま、食べてくれよ。これはうんまいぜー♡」

 

 

 蜜を塗って染みわたらせた後に食べてみれば・・・なるほど。いくつもの酸味に甘味、それらを調整していくバターのまろやかさ。これらがふわふわスポンジ状の生地に吸い込まれているせいでまろやかに気泡となって、固形となって、あるいは口の中であふれた液となってのトリプルパンチ。それぞれの個性を感じることもあって幾つものお菓子を食べているような心地。

 

 

 それでいて分厚いために柔らかいのだがしっかりとパンケーキ噛む感触と呑み込む際ののど越しもあって満足が出来るもの。

 

 

 素晴らしい・・・この蜜のブレンドに生地、焼くための金属板。その用意と技量からくる味は僕が今まで味わってきたスイーツのどれにも引けを取らない。シンプルなパンケーキ。その中にいくつもの味を仕込んでくるこの楽しさ。満足するほかない。

 

 

 さりげなく出されていたアイスティーをすすり一息。口の中に残ったわずかな甘みも流して残りは満足感。

 

 

 「ご馳走様です。凄く美味しかったですよ」

 

 

 「ご馳走様。こいつは美味しかった。また食べたいもんだ。どれ。お代はいくらだ?」

 

 

 「しめて1500円だ」

 

 

 安い。この味と出来の良さなら2000円以上でも普通にいいし、もっと上の値段も取れるというのに。お代を支払いつつ頭を下げて派出所に戻る前に聞こえた盛況の声とウマ娘たちが来てみんなでワイワイやっている光景を見れたときは思わず先輩と一緒に笑みがこぼれた。

 

 

 「先輩。黄金屋の持ち帰りをもらえたら僕の分もお願いしていいです?」

 

 

 「もちろん。中川も頼んだぞ」

 

 

 「勿論です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「うーむ・・・広いものだなあ・・・」

 

 

 「ウッドチップ、芝、ダート、障害レース、直線のみで1200メートルコース。芝が多いですがこの数に加えて野外ライブ練習場に加えて学園の様々な施設・・・海外の大学でもちょっとこれは数が少ないほどですよ」

 

 

 全く。改めてこの学園の広さは驚く。ウマ娘たちなら軽く走るだけでもすぐ行けるがこの距離を歩いていくのはちと骨だ。

 

 

 周りのウマ娘たちに挨拶をしつつ見回りをしつつ軽い見学だが本当にみんな元気に過ごしているなあ。ワシらを見ても驚かないのはケイジの騒ぎや感謝状と金一封を渡すために何度か足を運んでいるせいか。

 

 

 「ふぅー・・・くはぁああ・・・」

 

 

 学園で不審者が入りやすい可能性のある場所をチェックしつつ歩いていけばウッドチップのレース場で走り終えて汗をかいているケイジ。

 

 

 普段はアレだが、やっぱりこうしていると絶世の美女というのがわかる。いや、普段の暴走のギャップでそう見えているのか・・・?

 

 

 「おーすケイジ。精が出るなあ」

 

 

 「お、両さん。中川の兄ちゃん。見回りか?」

 

 

 「そんなところですね。見回りの際にどこを気を付けていくべきかと」

 

 

 「ケイジは練習か?」

 

 

 「練習ついでに技術を教えている。アタシなんやかんや結構海外にもいくからそのノウハウや技術を教えてな」

 

 

 麦茶を飲みつつカラカラと笑いつつ後ろでへばっている後輩ウマ娘たち。よく見ると周辺にもトレーナーや教官らしき人、そしてシリウスメンバーがちらほら見えることから海外遠征の多いチームシリウスでその経験を教えているのだろう。

 

 

 「まったく学生だってのに教師じみたこともやっていて大変だなあ」

 

 

 「ははは。その分内申点も高くなれば自分の技術の見直しにもなる。いい鍛錬よ。ところで両さん。どうよ。今から練習試合しないか?」

 

 

 「わしが?」

 

 

 「おう。人間も鍛えて秘孔、ツボを刺激したらアタシらに近いスピードもパワーも出る。何なら鍛えてアタシらに張り合う人もいるんだ。バクニュー大佐とか。両さんならアタシともいい勝負できると思うがどうだ?」

 

 

 ケイジの声に周りの視線も注目の視線が集まる。確かにまあ、人間の競争レースはある。実際わしならウマ娘にもやり合えるとは思うが、ケイジ相手には分が悪い。しかしまあ、せっかくだし。

 

 

 「うーん。わかった。やろう。距離は?」

 

 

 「マイル。アタシに勝ったら寿司職人の両さんに前田ホテルへの超神田寿司の出張とボーナスの打診を頼んでおくがどうだ・・・?」

 

 

 小声でひそひそという言葉にがぜんやる気が出る。よし。傾奇者がなんぼものだ! 負けるつもりはないぞ!

 

 

 「じゃ、ちょっとクールダウンがてら両さんのシューズ適当に買ってくるわ。待ってろよー!」

 

 

 笑顔で軽く流しつつ走っていくケイジをしり目にわしも準備運動を始める。

 

 

 「ちょっと先輩。流石にこの場での練習試合は・・・」

 

 

 「気にするな中川。ワシも何度かここの近くでケイジとも走っているし、ルドルフやエアグルーヴからケイジの暴走を抑えてほしいと言われている。監視ついでの見回りの一環だ」

 

 

 何の問題もない。実際周りのウマ娘たちも勝てるわけがないとは言いつつもわしのことを知っている子もいるようでどうなるかという声。あと何やら賭けをしている子がいたが個性豊かすぎないか?

 

 

 「うふふ。面白いことをしているわねえお巡りさん」

 

 

 「誰だ?」

 

 

 「私は安心沢刺々美。トレーナー資格もある笹針師よ。はい、トレーナー免許」

 

 

 目の前に現れた金髪ナイスバディの美女。マスクで顔を隠しているがまあ美女だろう。で、うさん臭さ満々の安心沢とやらは一応免許を見せてきている。うむ。中央トレーナーのものだ。

 

 

 「で、そのトレーナーがどうしたんだ。あいにくわしはトレーナー業はやらんぞ」

 

 

 「そうじゃないわ。むしろ、ケイジに勝つためのサポートと、可能性を見せてほしいの」

 

 

 「可能性?」

 

 

 「そう。可能性。人も鍛えればちょっとした原付に近い速度も出せるわ。ただ、今はそれどまり。だけどあなたのがっちりとした体に筋肉。相当鍛えているでしょう? どうかしら。ウマ娘の中でも頂点の頂点たるケイジへどこまでやり合えるか、笹針をブスッとさして、強化してみない?」

 

 

 なるほどそういうことか。たづなさんが言っていた不審者というのはこいつで間違いない。ただ、捕まえる前にして、ケイジに勝つためにも力を借りてもよさそうだ。ササバリシリーズなる人間のレースでもたまに名前を聞くほどの人物。ワシのボーナスのために頼るのもいいか。

 

 

 「よし、なら頼むぞ。お代は?」

 

 

 「先輩!」

 

 「あら、それはいいわよ。しいて言うのなら、このレースの観戦が代金よ。それじゃ、ブスッと♡」

 

 

 「ぐほぉ!」

 

 

 思いきりふっとい針を刺されてしまい痛さに驚く。が、なるほど。これは力がみなぎる・・・行けるぞ!

 

 

 「おーい両さーん。靴下と運動用シューズ。もう始められるか~?」

 

 

 ケイジが持ってきてくれた靴下とシューズを履いて準備よし。同じスタートラインに立って構える。スターターとゴール板は中川に頼んだ。

 

 

 「さーて・・・賭け勝負をするのは久しぶりだけど、負けねえよ?」

 

 

 「こっちこそ。ボーナスのために負けられん。文句なしだからな?」

 

 

 「位置について。よーい・・・・・・ドン!」

 

 

 そして始まる練習試合。ケイジのやつは最初から逃げ。既にウォームアップに後輩たちへの練習試合。そして今流してきたというのに足のキレが全く衰えていない。やはり凄まじい。だが、わしも負けるつもりはないぞ!

 

 

 「ウソッ!? ケイジ先輩の逃げにくらいついているわ!」

 

 

 「えーと・・・2バ身差。コーナリングでもくらいつくなんて!」

 

 

 「カレンチャンのウマスタで車を自転車で追いかけるお巡りさんがいたって言っていたけど、この人の事だったのかも」

 

 

 周りの声を聴きつつも自分の身体が吹っ飛ばないようにこらえながら力業でくらいつく。全く長い脚をすいすい動かしているというのに体幹がぴたりともずれずに曲がり切る。これを後ろから追いかけつつ見るのは堪えるだろうなあ。

 

 

 無事に最初のコーナーを抜けて長い直線に。この直線を抜けて最後のコーナーを曲がり、直線しばらく後にゴール。どこで仕掛けるか。わしもこらえてがすこし外に膨らんだと思うし、うーむ・・・

 

 

 「お姉さまに追いつきつつも冷静さを失っていないですね両さん。む・・・これは・・・」

 

 

 「大分ギャンブルをするようっすね」

 

 

 「ヒメ先輩、オルフェ先輩。両津さんは何をするんです?」

 

 

 「「おそらく次のコーナーで外から一気にさすようにコーナーを攻めてのイン突き」」

 

 

 流石シリウスチーム、そして多くの練習でもケイジを見てきたメンバーはすぐわかるか。ケイジは常に最内をキープしながらの大逃げ。くらいついてきたが、それでも今気持ち4バ身は離れている。なら、ケイジの十八番の一つをここで切るほかない。

 

 

 先行策からの追い込みの大外ぶっこ抜き。これが今打てる最善手。直線も半ばになってきた、ここだ、ここから加速を仕掛けていく!

 

 

 「ぬぉおおおおおおおおお!!!!」

 

 

 「来やがったな! そら・・・ギアを上げるぞ!」

 

 

 加速を始めていくのをケイジも即座に感じ取ってさらに加速を開始。もうここからは互いに全力をどこまで出せるか。ケイジの武器は他よりは鈍いが、長くキレ味のある脚を使えるのが強み。鉈の切れ味とはよく言ったもの。

 

 

 そこから加速もできるが、わしも負けるわけにはいかん。逃げ足、犯人を追いかけることで鍛えた足腰を見せてやる!

 

 

 「あと300・・・! 200・・・・100・・・!」

 

 

 ケイジにあともう少し、もう少しで追いつくぞ。唸れわしの脚! ボーナスは目の前だ!

 

 

 ゴールについたが、ケイジとは全く差がない。結果は・・・?

 

 

 「中川! 結果は!!」

 

 

 「結果は・・・同着です!」

 

 

 「「なにぃ!?」」

 

 

 ケイジと一緒に声を合わせてしまいつつカメラを見るがその結果はわしからみても確かにまったく差がない。ボーナスの事を差し置いても勝負で煮え切らない結果になるのは気にくわない。

 

 

 「ケイジ! もう一本やるぞ!」

 

 

 「おうよ! じゃあ今度は距離はダイスで決めての三本勝負! まだまだ暴れるぜ!!」

 

 

 「・・・・1400! じゃあ、スタート!」

 

 

 「「うぉぉおおおぉおおお!!!」」

 

 

 「もう完全に止めることが出来ない。二人の勝負の世界だこれは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・で・・・ぐほぉっ!! あのあと1400、2000、3600での三本勝負をやっても引き分けだったと。ぐふっ!」

 

 

 「あつつ・・・そうなんですよ。いやー・・・あつぐ・・・ぐ・・・う、動けない」

 

 

 「いやーいい鍛錬になったよ。ありがとうねえ。で、部長さんは腰とかの疲労がたまっているなあ。ほいさっと」

 

 

 あのあとの三本勝負も結局一勝一敗一引き分けで終わって両さんは無事全身筋肉痛。むしろよくここまでこれたな。なので針とお灸とシップでの治療ついでに大原部長には整体術で普段の身体の疲労を抜きまくりの鳴らしまくり。

 

 

 ベキバキと身体がなるたびにバリ受けの部長の肉体が歓喜の声をあげて老廃物と疲労物質をぶっ飛び放出させていくのを感じさせるのが楽しいのなんの。

 

 

 「ネットニュースにもなっていますね。傾奇者ケイジの新たなライバルは警察官!? と」

 

 

 「3600ではワールドレコードも出したからなあ。楽しかったわ。ほいっ・・・! そら。部長。具合はどうヨ」

 

 

 「うむ・・・生き返った心地、若返ったようだ。いやあ身体が軽い。ありがとうケイジ君」

 

 

 「ほい。水。整体術を受けた後は水をたくさん飲んで老廃物、身体の中の余計なものが尿でたくさん出るから出やすいように水を飲むんだよ。で、両さんもお灸が終わったし。ほいほい・・・」

 

 

 部長に水を渡してから両さんのお灸も終わっているから針を抜いてお灸の燃えカスを片付けてから汗を拭いてから水を渡して自分も一息。

 

 

 「中川の兄ちゃんもやる? 整体術」

 

 

 「うーん。嬉しいけど僕は一応かかりつけの整体院があるからそこで頼みますよ」

 

 

 ま、アタシのパワーで何かされると思えば不安、行きつけへの義理もあるかあ。あん? 何か外がうるさいな。

 

 

 「なんだ? そとがうるさい・・・」

 

 

 「両津さん! 是非私達と一緒にレースで勝利を!」

 

 

 「笹針の素晴らしさと可能性を世界に広めに行きましょう!」

 

 

 「貴方なら必ず世界を目指せます! さあさあ!」

 

 

 「いえ! こちらの人のレースのスペシャルマッチの特別枠で!!」

 

 

 「やめろ! わしはそっちの道には興味ない!」

 

 外からやってきたいろんな人が両さんを引き抜こうとしている。いやーだよなあ。特に海外の人が多いけどアタシに今まで負けどころか引き分けもなく4バ身以上で突き放しているからそれに引き分けできる人は欲しくなるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「先輩、アメリカでウマ娘と一緒に早さの可能性を目指す物語の映画に出ていますね」

 

 

 「あいつは出向早々にどこに行っているんだ」

 

 

 「ははは。ハジケてんねえ両さん。今度差し入れもっていくかあ」 







 『星の一族』はここの独自設定ですが、約100年以上前にイギリスから皇居に招かれて日本に帰化し、日本のウマ娘のレース、農業や関わる産業の発展に尽くしたウマ娘たち。史実ではイギリス等から譲ってもらった星旗、星友などの根幹牝馬たちがモデルですね。なのでメジロ家、前田家、テイオー、ゴルシ、スぺちゃん、ウオッカ、マチカネフクキタルあたりはその血を引く一族という感じです。前田家は自分の血筋を知っていますがだからこそ公言も公表もしません


 これ以外だと高砂(史実でナポレオン三世から譲っていただいた名馬)の一族などもいますよ。






 ~おまけ~


アナウンサー「スポーツ特番、東京オリンピック黄金世代組~!!」


志村「イェ~イ!!」


アナウンサー「今回の番組では東京オリンピックで活躍し今も躍進つづける次世代の選手たち、そしてその中でもスペシャルゲストがいます!」


志村「ボクのミコトちゃんのパパ、今はママで、同じドリフターズの仲間も来てくれるよ~」


蓮「お、おおお・・・そ。それはまさか・・・!!」


志村「この番組のためにあえて1年の期間を開けたのはそのゲストが自分が自分たる証明を用意するためだったからね」


アナウンサー「レースの誘導馬をやっていたところ突如ウマ娘となり、自身の存在を疑われましたが現役時代と同じく自身の剛脚をもって存在を証明! ドバイシーマクラシック、宝塚記念、ケイジ記念! KGⅥ&QES、凱旋門賞を大勝利してまさしくかの傾奇者だと世界に見せつけ、今はキジノヒメミコ、シンボリルドルフ、ライスシャワー、サイレンススズカ、シーキングザパール、シゲルスミオたちの教育をしつつ暴れまわる稀代のアスリート! ケイジさんです!」


ケイジ「ヤッホー♬ お待たせ♬」 
(バニーガール姿で出てくる)


一同「「「「「うぉぉおおぅおぉおおおお!!」」」」


志村「あらーそれはアウト―」
(ボタンを押す)


ケイジ「ほにゃっ!? おわぁー!!」
(発泡スチロールのたらいを頭にもらい落とし穴におとされる)


一同「「「「ワハハハハハハハ!」」」」


ケイジ「ちょっと志村さーん何すんだー!」
(落とし穴の中から声を出す)


志村「テレビでその衣装は駄目よーん。競走馬の時代よりも布面積は多いけどね。ほらお色直ししてきて」


ケイジ「ちょっとだけよー?」



~しばらくして~


ケイジ「ってわけでさ。イヤー驚いたもんだよ。夏祭りに脱走しがてら見に行ったら知り合いが熊に襲われそうになってんだから」
(Tシャツとジーンズに着替えた)


志村「本当に映像で見ても凄いからねえ。ほんとあの時はひやひやしたんだよ?」


ケイジ「もうそれは女将さんに耳にタコができるほどにいわれたから勘弁してくれよ志村さん」


蓮「あ、そういえば聞きたかったんだけど、えーと〇〇先輩も気になっていたけどドバイで首長をハリセンでしばいたってほんとなの?」


ケイジ「ほんとほんと。だから今年のドバイシーマクラシックの前にアタシがハリセンでしばいている映像が出たわけだし」


千堂(ボクシング選手)「あ、それなら女王陛下への挨拶に行ったのもあの茶会やムネシゲとかの縁で?」


ケイジ「そうそう。そのために千代田区のさる御方からも用意してもらったお土産をもって楽しく過ごしたよ。ふふふ」


志村「いやー場もあったまってきたところで、蓮君。ケイジに言いたいことがあるんだろう? ほれほれ。いっておきなさい」


蓮「あ、はい・・・その、ケイジ。競走馬時代はその戦いぶりとカッコよさにあこがれて、今はその美しさと明るさに惚れました! その・・・付き合ってください!」


ケイジ「えー!? いいよ」


アナウンサー「なんと! 日本最強アスリート、東京オリンピックコンビのカップルが誕生しました! 葛城厩舎から排出したアスリート二人。ある意味幼馴染のコンビ。素晴らしい場面です!」


~続くか不明~

ケイジの新しい勝負服 どんなものがいいでしょうか?

  • ランプの魔神風
  • ビキニ&パレオ
  • バニースーツ
  • ボーボボの服
  • その他
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