あ。ちなみにケイジの方のパワーはしっかりジェンティル以上です。
それと時間軸が滅茶苦茶なのはこち亀、コナン時空的ノリで許してちょうだい。
夏合宿。それは私たちトレセン学園に所属するウマ娘たちにとっては海で水着姿ではしゃいだり、ちょっと外食や海の家のご飯を味わえる自由を味わいながらいつもと違う空気と環境に触れながら過ごせる。国内のレースの方もGⅠレースが一つを除いてないので一部を除けば半分は休み気分。
とはいえ夏休みの宿題もそれなりには出るのだけど、まあそれはそれ。普段の課題と考えれば軽いもの。
「ふぅ・・・ゆったり出来るわ」
そのゆったりとできるメンバーには私、ヴィルシーナも入っている。冬ごろからサウジ、ドバイミーティング、そして日本、香港と飛び回ってはチームシリウス全員でのGⅠ、GⅡ問わずの参戦しての大暴れ。賞金も栄誉も勝利ももぎ取れるだけもぎ取って国内でも春天、安田記念、大阪杯、宝塚記念と出走の連続。
ケイジ記念にも参戦はするがまずはレースに備えてずっとレースをし続けた体を癒すための自由時間多め、トレーニングも身体をなまらせない程度にしてスタミナをつけつつの休暇日和。夏休みの宿題もあらかた終わってまさしく最高の時間。
「皆さんが練習に励む間休むというのは落ち着かない部分もありますがこの休暇もまた戦いであり次への備え。ですものね」
「ええ。ジェンティルもお疲れ様」
「ケイジ記念。チームシリウスはケイジ、ライトニング、ナギコ、タルマエ以外は参戦しての25名での大出走レース。ふふふ・・・この日差しに負けないほど燃え上がるというものですわ」
「全く、昔のレースの形態に直して、賞金額も総合で上乗せってのもみんな合意で決めた。その後の大レースへの優先権利も決めたりで、相変わらず派手なこと」
冷えたトロピカルジュースを持ってきて側に黒のビキニ姿で腰掛ける私のライバル、ジェンティルドンナからジュースをもらい、飲みながら話をするのは当然次の目標ケイジ記念。今回から出走枠を25枠まで増やし、10着まで賞金は高いししかも次のレースへの優先権利も付与。アラブ、サウジに至っては来年の冬、春の大レースへの出走権利も優先するという大盤振る舞い。
ケイジのコネとこのレースの実績、人気が相まってできたことだがそれでもこの枠を争うのは大変なこと。私と彼女も休憩をしているがその実身体がうずうずしてしかたがない。互いにビキニとチューブブラと泳ぐというよりも遊ぶ、軽く海辺で戯れるくらいの水着だからそれでも遠泳して、鍛えて目の前のライバルに負けないほど鍛えたくなるのは仕方がないはず。
「でも、その中での勝利を決めて、次のレースへとまた挑む。宝塚記念から秋の大レースまでのステップレースも悪くないですがこういうお祭りがあってこそ年がら年中レースで盛り上がる我が国にとっては好ましく私も悪くないですわ。貴女もそうでしょう? ヴィルシーナ・・・♪」
「もちろん。貴女より先に凱旋門賞を取らせてもらうわ。それにKGⅥ&QESもね?」
「あら・・・それは許せないわね。欧州二冠をもらうのは私。貴女に譲るつもりなんてありませんことよ?」
目を細めてジュースを味わっていたジェンティルの目が細いまま戦意を宿したものにギラリと変わる。互いに負けるつもりはない。思いきり叩きつぶし合う。欧州だろうと変わりない。頂点は私。日本国内では負け越しでも欧州のレースでは負けない。勝つのだ。
バチバチと火花が散る中、その炎を消すように大きな波が近くの岩に当たってそのしぶきに目をやれば同時に目に映るのはサーフボードで軽快に波に乗りながら鎧甲冑に身を包んで「天下無双」「天下一品」ののぼりを背負うケイジが。
「歌手になりてぇえ~~~!!!!!」
謎の叫びをしてそのまま波にのまれてしまうケイジ。いや貴女世界の歌姫かつアイドルじゃない・・・
「ぐふっ・・けぷっ・・・! ぶふっ・・・桑田さん! トータスさん・・・ぶはっ!!
ここにいます~!!! ぁあぁ~~ん~!!」
滂沱の涙を流しながらなおも続けるバカなケイジの魂の叫びを黙らせるようにもう一発強い波が押し寄せてケイジを押し流す様を見て
「「エンジョイしているわねえ・・・」」
と同時には持った声を出してしまい二人で苦笑。さっきまでの空気も消えてしまった。前まではこんなことはなかったがチームシリウスに入り、ケイジ達と出会ってからはどうにもライバル関係は熱く燃えるが同時に友達という感じになってしまう。
負けた時はライブの後一晩中泣くほど悔しいが、同時に勝者への敬意もいだく。勝っても負けても基本相手をたたえつつ全力でライブも盛り上げるケイジとゴルシ、ジャスタの関係にあてられたかもしれない。
ゴボゴポゴポ・・・と暫くした後に
「ヴィーナスの誕生出てきたー!!」
「鎧はどこ行ったのよ!?」
いつの間にやら水着姿で大きな貝殻の上に乗って出てきたケイジ。とその貝殻にガシッと何かの触手が絡みついて
「このホタテは私のものよー!!」
「何よこれは渡さないわ!」
小さなタコが出てきてケイジと喧嘩を開始。
「グフゥ・・・・」
「「負けてる!! 小だこ程度に!」」
ぷかーと顔をアンパンマンみたいにされて波打ち際に浮かぶケイジ。何がどうしてこうなったかは分からないがとにかくいつの間にか負けていた。
「しゃーねーあれを次回の出し物に使うのはあきらめるかあ・・・ケイジ記念に使えそうだったのにぃ・・・ふぃー・・・」
そしてボコボコだったのがすぐさま何事もなかったように復活して鎧甲冑をひとまとめに紐でまとめてサーフボードと一緒にもって海から出てくるケイジ。はぁー・・・水着やスタイル、戦績にと・・・私をおかしくしたのに、普段のこれが無かったらなあ・・・
(でもこのおかしさが笑いと愉快さ、今のレース界隈を作っているのにもほれているんでしょう私?)
(そうだけど・・・でもこの美貌を知っているとそれを崩すのがもったいないのよ。目に入れてもいたくないくらいの美貌。妹たちに負けない程なのよ?)
(なら早くアタックしなさいよ私。今のケイジをフォローしつつうまいことお菓子でもおごったりすればいいわ。ライバルは多い。アプローチは欠かさずよ?)
(うぐ・・・確かに。でも、うーん・・・)
思わず脳内会議をしてしまうほどにはケイジを意識するようになってしまうのはいつのころからか。ほんと、同性には興味がなかったはずなのに・・・はずなのに・・・!!
「ふぃーいい波だった。いやータコは強敵だった」
「全く、目を放せばすぐこれ。ほら。口の中リフレッシュしなさいな」
「お、サンキュージェンティルちゃん♬ んーおいし♡ ふはー・・・あ、お代り買うけど、何がいい?」
「あら。ではエスコートしてくださるかしら?」
「おう。ヴィルシーナもついでに奢るぜ。こういう時じゃないと海の家の飯なんてありつけないしなー」
「っ・・・あ、あ・・・ええ! いや、むしろ奢るわよ? こういう時くらいね。奢られるだけじゃあれだし、チームリーダーも癒されないとね?」
ケイジのそばに寄ってカバンをもってついついそういうとジェンティルもバチッ・・・とまた火花が散った気がした。普段見せない水着と海でのひと時・・・こういう思い出とかを作れる時間だし、私だってスタイルはジェンティルに負けるけど、細さとか・・・色気でなら勝負よ!
「あら・・・それなら私も奢りましょうか? 次回のレースの主催の一人ですものねえ。ふふふ・・・」
「む・・・・ぬぐ・・・!」
あのデカパイを容赦なくケイジの腕に絡めて挑発的にほほ笑むジェンティル。あ、あんなに・・・!!
「あーあー喧嘩すんな。それだけ元気があるんならビーチバレーで勝負しようぜ。ジェンティルちゃんとシーナちゃん負けたほうが奢らせるとか」
「「勝ったほうよ!!」」
「仲いいなお前ら。じゃーゴルシ―! ちょいと手ぇ貸せ!」
「おーう! その前にちょっと待ってくれよ! ちくわは誰にも渡さねえ!!」
「こっちはイカと戦っているー!!?」
腕をにゅーんとのばしてスポンと外れたと思えば腕を回すケイジ。いつの間に義手にすり替えたの!? と思えばゴルシはゴルシで何やら金色のちくわをめぐって巨大イカと戦いを繰り広げている様子。この後ジェンティルに「あほなことしているんじゃないですわこの沈没船!」としばかれてしまった。
「んじゃーアタシとジェンティルちゃん。ゴルシとヴィルシーナでビーチバレーするかあ。とりあえず勝ったほうが負けた相手にも飯を奢るってことで」
「全くよー飯はいいけどこんな喧嘩犬も食わねえぞ~?」
「黙って倒されなさい泥船。審判を用意してくれたのは感謝するけど」
とりあえず、また張り合い始めたこの二人を大人しくしつつ飯を食べたいので始めるビーチバレー。審判はさっき仲良くなった巨大イカさん。
「そぉー・・・・れっ!!」
とりあえずと軽めのジャンプサーブ。これをゴルシが軽々レシーブでふわりと優しく受け止めて、それはそのまま綺麗にトスになってヴィルシーナが走ってきてそのままクイックアタック。
「セイッ! ケイジ!」
「あいよっ。ほい」
「はぁああああああ!!!!」
鋭いスパイクをうまい具合に拾い上げてこっちもそのままクイックアタックになるけどジェンティルちゃん助走をつけてのガチの顔と気合。あ、これやばいわ。
「あ、ゴルシちゃんパース」
「は、え!? ちょっ、ちょっとま・・・・」
ブロックに入ろうとしていたゴルシもなんか気が乗らないというか変にスイッチ切れたかで逃げてヴィルシーナが蒼い顔するも既に遅い。渾身の一撃で放つジェンティルちゃんのスパイクが地面に当たり、爆弾が爆発したか地雷でもぶっ飛んだかと言わんばかりの衝撃と舞い上がる砂、そして出来上がるクレーター。
ピーとイカさんが手回しの笛? っぽいもので音を鳴らして点数が入ったのを教えてとりあえずこっちの方に点数が入る。あ、ボール破裂しちゃった・・・予備あるかなあ。
で、ゴルシの方は雪だるまならぬ砂だるまになっていてヴィルシーナは青い顔して冷や汗だらだら。あらやだ髪色と水着も相まってまるでラムネのキャラクターみたいねって思ったのは内緒☆
「し、死ぬかと思った・・・一瞬妹たちの顔が脳裏に・・・」
「私のライバルがこれくらいでなるわけないでしょう? さ、もう一度食らわせてあげましょう」
「ん?」
皇女のスパイクをもう一発ぶち込もうとアタシにサーブを促している中、目の前でバスが止まった。む? この声と匂いは。
「ケイジ。やっぱりお前らか」
「おー! 両さん~あれ? 派出所と署の皆もいる。纏ねえも。どったのこんなとこで」
やっぱり派出所の皆。男女バスが違うけど何かの旅行?
「いやー実はなあ、署の方で野球対決をすることになってな。今警察で全国野球大会を催すことになってまずは署内で代表チームを作ってその決定戦をするんだ」
「ほーん? ・・・・・・・・もしかして武藤警視総監の提案じゃねえだろうな?」
「おお、ケイジ君。その・・・水着は過激すぎないかな? それとよくわかったね。その通り警視庁で決まった催しで。私達もその試合のためにちょっとバカンスも兼ねてということさ」
「多分孫の国ちゃん(国光)と蓮のやつがゴジラーズで安打とホームラン記録を出したからそのテンション上がったまま企画書出したオチだろ。MVPインタビューで武藤の爺様の事に感謝していたし」
「んぁーそういえばマックちゃんからも聞いたなあ。『ビクトリーズ最大のライバルですわ! 本当にユタカと同じチームにいてくれれば最高なほどに素晴らしい選手ですのに・・・・ムキー!』って」
「あーそういえばお父さんもこの前そんな話をしていたかも?」
いつの間にやらバレーの話はうやむやになってみんなで談笑。夏の海ということでアタシら水着姿だけど野郎も女も鼻の下のばしているが大丈夫かこいつら。ボルボは鼻血出してんじゃねーべ。ジョディー姉さんとマリリンだけにしておけーほれほれー
「ちょ、ケイジ! 溶けてる! 溶けているわ!」
「コーンな熱い所じゃ溶けちゃうしぃ~海の家で休もうぜェ~先に1点取ったジェンティルちゃんの勝ちってことでさ」
とりあえずまあバスは問題ない場所に駐車しているし、ハジケたいけど何かこのノリでうやむやになったから海の家で一休み。ヴィルシーナはちょっとごねていたけど、とりあえずアタシとジェンティルちゃんで全員に軽い飯を配りバスの方にいる面々も小休憩に。
「さっすがゴルシのイカ焼きそば。うんめぇ~♡」
「特製秘伝のタレとこのイカの肉がいいなあ。黄金のちくわと交換した甲斐がある!」
「そのイカも一緒に自分の足の入った焼きそば食べているけどいいのかしら?」
「ん? あー一応タコも自分の足を食べる時あるし、案外慣れているのかもな。ワシはむしろこの光景を慣れている君らが怖いぞ」
「このバカリーダーとゴルシが一緒にいれば嫌でも慣れるというものですわ。しかし・・・ふふふ。シーフード焼きそば。いいですわね」
「うちでもやってみたいが、こういうのは匂いが着いちゃったりすると寿司に影響出るからねえ。出張屋台とかでやるくらいしか無理かなあ。おばあちゃんに相談してみよ。うん、イケる」
結局食材費用をアタシらが出すことで屋台をすることになったから焼きそばをみんなで海の家でむしゃむしゃ。審判をしてくれたイカさんにも振る舞って仲良くなって海に見送りつつ署の代表決定野球大会について聞いてみることに。
「で、結局今海の家と近くの喫茶店で飯食っているやつらも含めて署の代表だとして、男女別で出すの? それとも混成チーム?」
「男女別になる。だがまあ、かなり早い段階でチームを組んでいた経験があったのでそのスタメンたちと他で試合をして、せっかくだからということで軽い旅行がてら近くの広場を借りることになったのだ」
大原部長の言葉になるほどとなる。まあ、この署そもそもサンバチームとかバレエとか野球とか色々な催しをする際に率先して参加しているしその分野球チームを作ってからの動きも早いし備品もあると。
で、まあ周りではウマ娘も婦警も野郎もそろってアタシらを取り囲むようにキャイキャイ言っていたり写メの嵐。ふ~ん?
「ちょっとだけよぉ~ん♡」
「「「キャァアアあああああ!!! ケイジ様ぁあああ!!」」」
「「「うぉぉおおぉおおおおお!!」」」
試しにと肩紐を横にずらして艶めかしく笑みを浮かべれば大歓声。ニシシ。水着のモデル撮影をしたばっかだからいろいろできるね。マルゼンと一緒に楽しんだし。
「あんたも好きね・・・おぶちッ!?」
「やめなさいおバカ!」
「「「「ワハハハハハハハ!!!!」」」」
ゆっくりと海の家から出てきて次のポーズをしようとしたらヴィルシーナちゃんのハリセンでのツッコミで砂場にどしゃーんと派手に突っ伏して大笑い。あっるぇーおかしいなあ。アタシのショーになっていたはずなのに。
「ハロホロヒレハレェ~・・・・~んにゃあーで、さあ。その練習試合? は今から? ちょうど昼くらいだし」
「む、ああそうなるな。あそこの草野球用に使われている球場で試合となる。まあ、男女別にメンバーは決まっているから合同強化試合みたいなものだ」
「つまりはちょうど今夏合宿中のケイジらみたいなもんだな。合宿の邪魔しちゃ悪いし警察職員だからといられるこいつらも戻しておく」
「おう、流石にこの情報が漏れたりして余計なやじ馬が増えたらちょっと面倒だし生徒会に絞められかねん。それとアタシも見に行っていいか? ちょっとこの合宿も休みが多くてなあ。海だけじゃあふやけちまうし野球を見せてくれよ。いいだろ?」
「ワシは構わないが。部長。どうします?」
「んーむ・・・まあ、ドームとかでやるものでもないし観戦くらい問題ないだろう。来ていいよケイジ君。ただし、ちゃんとチームの許可とかは取ること」
「なら私が保護者ってことでいるからちょうどいいだろ? おばあちゃんの時代から家族ぐるみの付き合いだもんね」
部長らの許可も出て、纏ねえが保護者をやってくれるってんなら問題ねえか。警察官の草野球大会への参加だし知った顔ばかりだ。えーと親父と松ちゃんに電話をしてと・・・
「胸の谷間からなんでも出すんじゃないわよはしたない!!」
「じゃあ口から出したほうがいいのか?」
「体の一部から出すなって言っているのよ、この変態奇術師が!」
めっちゃジェンティルちゃんに怒られちゃった。ケイジショック!
「さーて。負けねえぞ纏に婦警の皆にもな」
「こっちこそ。県大会の前の弾みにしてやる」
「お前らも付いてこなくていいのに。海で泳いでいたほうがいいんじゃねえの?」
シャワーで海水を流して着替えてから両さんたちと大真面目に歩いてすぐだった浜辺から歩いて2分の球場。というよりは学校のグラウンド? に近い感じの場所での男女野球対決。早速リーダーらしい両さんと纏ねえがバチバチ火花散らして、婦警連中はいつぞやに両さんをバカにしまくっていた時にアタシとカレンチャンが切れていたのもあってか煽り言葉も抑えている。
で、なんでかついてきたのがヴィルシーナとジェンティルちゃん。ゴルシはジャスタと遊んでマックちゃんに焼きそばとスイーツ食べさせると言ってどっか行ったので沖野ちゃんに監視頼んでアタシら三名と葛城のおやっさんも一応観戦。既に案山子に徹しつつアタシらの後ろに。
「どうせ海にいても合宿に励む皆さんの様子で火が着いちゃうのでここでのんびり休みつつスポーツ観戦の方がいいですもの」
「そうそう。妹たちもナギコと松風さんたちに頼んだし、勉強も練習もしっかりするでしょ」
すでに日傘と日焼け止めを塗り直している貴婦人モードのジェンティルちゃんはまあ分かる。けどあのシスコンのヴィルシーナも来るとはねえ。
「まあいいけど。にしても、すげえなあやっぱ」
なんとなく意図は分かるけどそこに踏み込んだらやばそうなのでほっておくとして、ウォームアップの中で肩慣らしの投球練習を見れば両さんと纏ねえのその投球技術の高さがわかる。マックス145キロの球速だけどそのパワーは本気を出せば木製バットを砕きながらキャッチャーミットの中に入るパワー、変化球もお手の物な両さん。
マックスは140キロだけどソフトボールでの下手投げでも130キロ。下から浮いてくるボールやらも出せるので球種の引き出しの多さは上の纏ねえとピッチャー対決のなるのが私でもわかる。ここマックちゃん連れてくるべきだったかねー後ライアン。
「へぇ・・・・! すごいのねあの二人。高校まで野球していたの?」
「いや? 二人とも草野球とか、ソフトボールチームに入っていたくらいだぞ?」
で、まあ意外とハイレベルな内容になりそうな草野球に食いつくのはヴィルシーナ。親父さんの影響と妹のシュヴァルちゃんも野球が得意だったりとかで野球への理解は流石。
んー・・・せっかくだしなあ。どれ。
「おーい両さん。纏ねえ。この試合。いわゆる強化合宿みたいなものなんだろ?」
「まあな。既に男女別で勝ち抜き戦をして残ったのがワシらのチームだ」
「そうなるね。でもどうしたの急に?」
「いやーアタシらもただ見るだけじゃあれだしさ。ピッチャーとか、代打させてくれないかね? 打撃練習と思って。いい球放るよ~? な、ヴィルシーナ」
「え、ええ。それはもちろん。バッティングセンターやストラックアウトもしているし、自信はあるわ」
「そういうわけでどうよ? いつも見慣れた顔とチームだろうし刺激を入れる意味でもさ~リリーフにでもどう?」
ニヤニヤしながらのアタシの提案と案外乗り気。というか体を休めつつも周りの練習に励む姿とかにうずうずしていただろうヴィルシーナは乗り気。で、派出所の皆さんも所長も部長も面白いと許可。
「私は構わないよ。どうせカンキチ達なんてソフトボールでも当てられないんだ。ケイジのお手並み拝見といこう」
「なにおぉ? ワシも上等だ! じゃー・・・そこの三人で誰が参加するんだ?」
「あ、私はケイジを希望」
「な、ずるいぞ纏!」
「あ、それならポジションはピッチャーだけにしてね。キャッチャーはヴィルシーナに任せるわ」
「私もそれで」
リーダーの許可も得たのでとりあえずアタシは婦警チームに。で、ヴィルシーナはそのまま男性警官チームに。かね? ジェンティルちゃんは・・・・
「私は観戦をさせてもらいますわ。流石に経験のないスポーツ。しかもハイレベルな野球ですもの。力だけで張り合って怪我をさせては申し訳ないですもの。あ、代わりと言っては何ですが撮影をさせていただいても? 私たちのチームのチャンネルでこの試合を放送したいのですが」
「もちろん構わないとも。私達も反省会のために撮影機器を用意しているのでそっちも使ってくだされ」
「サンキュー大原部長~♪」
とりあえずジェンティルちゃんはのんびり観戦。と。よかった。真面目にちょっと力んでボールぶん投げるだけでとりあえずけが人続出する事態になるのはないな。
うちのチームの撮影器具と署内の撮影器具をもってのカメラ数台。ジェンティルちゃんの方は桂木のおやっさんがカウントと得点板、ピッチャーたちをちゃんと収められる場所にセットして木陰と即席のキャンプ用品で影を作って準備OK
ジャージ姿のままとりあえずそれぞれのチームに入って試合前の挨拶。よろしくお願いします。
先攻は・・・・男性チーム。アタシがいきなりピッチャーかあ。ふぅー・・・どーれ・・・・軽ーく・・・しょっ!
「ストライーク!」
「ひゃ、175キロ・・・」
「しかも綺麗なフォームとコントロールだったぞ!」
にひひ。胸と美貌に目が行って~競争種目とアイドル養成学校のトレセンだけど、結構ほかのスポーツに触れる機会はあるんだよ。アタシの場合は特にね。さあ、加減を加えてもういっちょ!
「ストライーク! バッターアウト!」
「あっという間に2アウト! カーブもチェンジアップも使っているぞ!!」
「甲子園は愚かプロでもそうそう見れない球威だった・・・!」
「ったく・・・さすが葛城蓮の幼馴染で昔は自主練にも付き合っていたというだけある。あの安打生産機が生まれるわけだ」
「なんだと両津! あの葛城蓮! ゴジラーズの二枚看板の一人。オリンピックでMVP、MLBとの試合で大暴れもしたあの選手の幼馴染!? なぜそれを言わない! サインをもらえないものか。孫も私もファンなんだ」
あ、ベンチで大原部長が両津になんか怒っているのかおどろいているのかわからん反応している。サインくらいなら今度試合の際に東京でやる際に頼めばすぐだから気にしないのに~
次のバッターは中川。と。おぉう。後ろから婦警の黄色い声が飛ぶ。おいこらボールをこっちに飛ばしてとかアタシが打たれろって味方の言うことか! まーチームじゃ日常だけどさあこういうの!
よーし。一つ見せてやるかあ。アタシの切り札。
「シーナ。ミットもう一丁!」
「! ええ。いいわよ!」
ヴィルシーナ。もといシーナも本気と分かったようですぐにもう一つミットを持ってきて両手にキャッチャーミットをつけてきて再度キャッチャーポジションへ。
銃やらいろんなことで鍛えているエリートの中川の兄ちゃんや両さんだろうとな・・・こいつはちょっと怖いぞ!
「シーサーボール!!」
あたしの得意な変化球。高速ナックルで6~8個に見えるほどにぶれながら飛んできて、そこからさらに
「クッ・・・!」
「ストラ―イク!」
カーブで落ちてくる。けど、今度はどうかな?
「ッっ!」
「今度はシュート!?」
「なるほど両手をグローブにするのはそれで。」
そゆこと。高速ナックルからのカーブかシュートどちらかの動きで落ちながら曲がる変化球。東京のド田舎で知り合ったやつに教えてもらったけど、いやーいいねこれ。まあ、だから左右どちらかに落ちていくボールを片手で取るのは難しいから両手グローブになるんだけど。じゃ、最後はシンプルにストレートの速球で三者凡退ってね!
これでチェンジってことで今度は婦警チームの攻撃。あ、一応纏ねえも両さんも4番打者か。それなら変化球を見せたのは早かったかね?
さて、こっちもとりあえず最初はヴィルシーナから。ってことでアタシはキャッチャーへ。あっちの変化球もアタシじゃないとまず取れないのが多いからなあ~
「さぁて・・・それじゃあ、行くわよ・・・っ!」
それにまあ、何よりあのフォーム。プロ野球を少しでも知っている人ならまず驚くであろう投球フォーム。現役で既に怪物。大魔神の名を冠するメジャーリーガーだもんね。飛んでくるボールもまた親譲りのもの。んーいいボール!
「な、な・・・なぁ・・・・あ、あのフォーム、球威はまさしく!」
「私の家では軽くたしなむからね。さあ、次はこっち・・・・よ!」
「きゃっ!!?」
おお、来ました落差30センチ以上の高速フォーク。140キロからこの落差だからボールが消えたと思えるほどのものなんだよねえ。だからアタシとかボールを見慣れている人じゃないと無理無理。
婦警の皆も目を白黒。男性陣はまさか大魔神のフォームと得意球を見れるとは思わず野球ファンたちが大騒ぎ。あ、両さんと中川の兄ちゃんがシーナの親父が大魔神だってばらしやがった。なんかもう部長は情緒がおかしくなって野球小僧の目になってキラキラしているし。
でもここで終わらないのがうちのシーナ。頂点の名前を持つ彼女は親の技を持つだけじゃないんだなあ。
「いいぞシーナ。球場に猛獣を放ってやれ!」
「いいわ! ふっ!」
そういうやシーナもグローブの中で握り方を変えて投げる変化球。一見普通の速球に見えるけど違うのはここから。怒った蛇がとびかかるようにゴンゴンゴンと三段ホップしてくる様は当たるわけないのに自分に襲い掛かってくるような迫力。
「ヒッ!」
いつも両さんを小バカにしていた婦警さんもビビッてしまいつつアタシは身体をあげて浮かんできたボールをグローブに収める。
「ストライク!」
「アンダースローでも、サイドスローでもないのに・・・ライズボール!?」
「しかも2、3・・・か? くらいのホップをしたぞ・・・!」
「ナイスピッチン! シーナ! そらそら。もっとビビらせちゃえよ!」
「ふふん。さあ、婦警さん達も鍛えているんでしょうしガンガン行くわ!」
この後は結局ハブボールと高速フォーク、ストレートとチェンジアップを織り交ぜた投球術で婦警さんらも手も足も出ずに三者凡退。打撃練習になるの? という不安も出てくるほどだったけど。
「こなくそっ!!」
「そらぁっ!!」
両さんと纏ねえはなんとアタシらのボールを加減しているとはいえ捉えてホームラン。どっちもなんとヤマ勘でボールが来る方向にバットを振って当てればそのパワーで無理やり持っていくというとんでもない方法を選んできた。
加減しているとはいえ140キロ当たりでぶん投げる変化球をとらえるってのは動体視力や反射神経もだけどそれだけパワーも捉え方も抜群。最悪変化球を捨てて速球の実に絞ったりと実にクレバーなこともしてきたりとでまさしく熱い勝負。
そうなればアタシらも火がつくわけで。
「代打で出してもらうぞ! せっかくだしとことんやり切ってやらぁ!」
「草野球でこんなハイレベルな勝負できる機会はないしね。ケイジのシーサーボールもホームランにしてあげるわ!」
「二人にはありがたいが主役はワシらじゃ! 負けんぞぉお!!」
「いくら世界最強格のウマ娘とは言えど野球の経験は私らが長いんだ。妹分に負けるもんかってね!!」
なんかもうみんな酒も入れて。アタシら学生たちは熱にあてられての大勝負に発展。終わるころには日が傾き始めていた。
「はー・・・ぜー・・・・か、肩が痛い・・・」
「うおぉお・・・耳が痛い」
「結局18回までの大延長線からの日暮れで終わり。私達のチームの動画放送からの貴女たちの家族関係とか蓮選手との関係性までコメントでばれるわ、両津さんや纏さんの野球レベルも分かったりとでえらい騒ぎになりましたわね。
動画再生数1000万越え、高評価、いいねも数百万単位でついていますよ。スパチャは言わずもがな」
あの後結局大暴れしてトレセン学園の方からも見学客が来たりとで大騒ぎになって、酒の入った連中相手に即興ライブとか、ライアンやマックちゃんも交えて後日練習をしたりとの二日間。シーナとジェンティルちゃんのホームラン対決とか、色々しすぎて休みになっていないと大目玉食らって耳が痛いし、頭がガンガンするぜー・・・
「ま、まだまだ休みはたっぷりあるし今以上に疲れを抜いてしまえばいいだろ・・・んあ?」
「おーケイジに皆。悪かったな。ほれ、疲労抜きのためのアイシングや湿布の道具に疲労抜きの効果があるドリンクとかお菓子だ」
合宿上で突っ伏していたら両さんが大量の差し入れを持ってきてはいってきた。ありがてぇ。フルーツ酢とか美味しいしねえ。
「サンキュー、じゃあ楽しませてくれたシーナとジェンティルちゃんにサービスでお菓子作るか。疲労抜きのお菓子でもいいもの作れるしっと・・・・んあ? 両さん。付き添いいるの?」
「確かに誰かの足音が聞こえますわね」
「纏さんじゃないかしら? 私にフォークの投げ方教わりに来たかも・・・」
そんな気配じゃないんだけどなあ。なんだろうかこのデジャヴュ
「両津さん! おお、ケイジさんも! 是非我らがゴジラーズで蓮選手、国光選手と一緒に交流試合を!」
「○○テレビのものですが! とんね〇ずのスポーツ王は俺だ! で是非リアル野球盤に参加を!」
「いえいえこちらの体育会テレビジョンで是非是非プロに勝負を挑んでほしく!」
「月間トゥインクルのものですが! ケイジ選手と蓮選手、ヴィルシーナ選手と大魔神の関係性について是非取材を!」
「MLB職員のジョーンズです。ゼヒ我々アメリカのギドラーズで貴女たち4人とマトイさんを代打やリリーフでお招きしたいデース。あ、学生組は卒業してからでOK!!」
やっぱりか! くっそ昨日の今日で話が早いわ!
「待て待て待て! ワシらは今から県大会なんじゃ! 今からロケなどできん!」
「おあいにく様ですがアポを通さない方との話はお断りでして。改めて日を改めてくださいませんこと?」
「か、勘弁してー! 流石に今はケイジ記念に向けて休ませて!!」
「ええいやめろやめろ! 今はそんな気分じゃねーんだ!」
やっぱりこんなことだろうと思ったよ! 警備は何していやがったんだ後警察は!
「今年のスポーツドリンク、メジロ家と前田家のウマ娘で目白押しになりましたねえ」
「それと警察官の草野球全国大会優勝の商品にプロ野球チーム、ゴジラーズとビクトリーズとの交流戦に決まったそうです」
「ケイジ君とあいつのおかげでしばらくは孫との楽しみには困らなさそうだな」
後日、新聞とニュースを見ながら中川と麗子、大原部長はそんなことをつぶやいていたとか。
ここの世界のヴィルシーナはジェンティルドンナにも数は少ないですが勝利や先着は出来るくらいには成長しております。でもジェンティルが上だとは理解している。だけど勝つために挑み続けるという毎日。後ここだと専属トレーナーではなくチームに所属しているのとケイジに脳を焼かれているので百合パラダイス状態。