ハジケリスト世代だろ! (完結)   作:零課

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 絵師として有名であろう 甘糖連合 さまから頼んでいた絵が完成しました! ケイジの引退ライブのワンシーン。


 
【挿絵表示】



 甘糖連合 さまからのコメントもこのシチュはエモいと言ってくれてすごく嬉しかったです。本当にありがとうございます!


 今回はドリジャもちょい出し。可愛いですよね性格も。裏でやっていたであろう根回しとか計算に関してはいじらしけどブルっちゃうよ。


 あ、それと今回のオルフェは公式の方のキャラですが、実装されてキャラの内実がじっくりわかるまでは全話のマスクキャラのオルフェがでている話の方は直したりはしません。ご了承くださいませ


ウマ娘エピソード 38 旅路の小休憩

 「オル。今日もいい仕上がりですね」

 

 

 「姉上。学園に来るとは、嬉しいが大丈夫か?」

 

 

 「ふふふ。ええ。旅の方も一息つきまして」

 

 

 「そうなると、義兄上の方も戻ってきたか」

 

 

 私の大事な妹オルフェーヴル。今日もその金色の輝きと美貌。威風をまとい過ごすさまはとても絵になる。私の自慢の妹だ。今はチームシリウスのリーダーとなり世界を蹂躙している。

 

 

 私の方もシリウスの新星。ミコトのアメリカトリプルティアラのレースを支えているシリウスのトレーナーの一人。彼と一緒に旅行をしつつ彼女を支えていたけど、オルにはあとで土産話で語りましょう。

 

 

 「ええ。一緒に少し北米の方で旅行を。本場のメープルシロップと、天狗山のジャーキーがありますよ」

 

 

 「ああ、シリウスの怪鳥(エルコンドルパサー)と大型犬(タイキシャトル)がやたらお気に入りという。余も気になっていたし、ぜひ食べたいものだ」

 

 

 柔らかい表情で微笑むオル。ああ、美しい。だけどその強さを引き出して、チームリーダーの座につけているのは私のおかげ。とはいえない。シリウスに入ってからのオルを支え、引っ張り上げたのは彼女。

 

 

 悔しい気持ちもあるが、それは事実だし感謝もある。未だに不慣れな部分もあるが・・・

 

 

 「では、後で。それと・・・今日はあの傾奇者も来ているとか?」

 

 

 「おお、ケイジか。そうそう。昼食を今日は振る舞ってくれるようでな。黄金屋の屋台を一部出すそうだ。

 

 

 ゴルシとジャスは今は海外に飛んでいるようだからケイジのみでな」

 

 

 「そうですか・・・ふむ」

 

 

 そう。ケイジ。私のお気に入りの香水を調香、購入している会社の親会社、創業者の一族の本家本元。あの前田グループの跡取り候補・・・にして、オルの取れなかった凱旋門賞のみならず欧州二冠三連覇を成し遂げた世界最強の名を手にしたターフの傾奇者。

 

 

 当時のレースで名を馳せた世界中のウマ娘が束になっても倒せなかった荒武者。相手になったのはケイジの同世代、そしてオルのみ。オルの思いを、バトンを受け取って偉業を成し遂げ、オルの壁を超えるきっかけを、高みへ登る道筋を示した。

 

 

 私では出来なかったことを容易くしてくれた・・・業腹だが同時に感謝もある、複雑な存在だと言えよう。遠征支援委員会の存在の認知、私の今のトレセン学園での仕事も、私も所属したチームシリウスがサンダーレディ、そして特にケイジの世代によって海外に遠征、挑戦。いや、あの世代は最早蹂躙か。それがあってこそなのもある。

 

 

 「では、私も一緒に伺っても? もう二人揃って引退した身ですが後輩の料理が気になるので」

 

 

 「うむ。ではそろそろクールダウンの時間ゆえ、しばし待っていて欲しい。その後に行こうじゃないか」

 

 

 「ありがとう。じゃあ待っているから」

 

 

 しかし、レディ先輩の料理も美味しかったがそれ以上と言わしめるケイジの料理・・・リクエストはできるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「・・・・・・・・」」

 

 

 ケイジはたしかにいた。黄金屋の引き屋台と組み立て式の木材の机と椅子は古き良き時代を思い起こさせる。ほんわか出汁の香りはおでんだろうか。鰹の出汁だろうか、たいへんかぐわしい。

 

 

 そしてケイジといえばなんでか自分よりも大きなちくわの穴に入ってうなだれていた。

 

 

 「・・・アタシ、わからないんです・・・! 食材の声と気持ちを聞きたくてもちくわの気持ちになれないんです・・・!」

 

 

 「いや、バーガーフェアってのぼりがあるのですけど・・・?」

 

 

 わけがわからない。だが、とりあえず言う他無い。

 

 

 「あ、黄金屋だ! えへへー今日はバーガーフェア。ライスの好きな照焼チキンも・・・あ、ドリジャさん、オル・・・」

 

 

 ライスシャワーは今日はオフの日だろうか。たまさか嗅覚で嗅ぎ当てた屋台の食材の香りに寄せられてきたようだがこちらに手を振るが即座に手錠をかけられた。ケイジに。

 

 

 「不法侵入で逮捕」

 

 

 「「なんで!?」」

 

 

 わけがわからないままに席に座らされ、そして手錠と机からせり上がってきた輪っかにもう片方の手錠が繋がれる。これでライスは机を叩き壊さない限り脱出は出来ない。

 

 

 「まあまあ、荒れているんじゃないよ。君は頑張った」

 

 

 涙を流す割烹着のケイジの肩に手をおいて慰めるのはさっきのちくわではなく、というかちくわがなくなっていてそばにいるのは月見バーガーの頭を持つ謎生物。

 

 

 「・・・・・・・貴方は・・・?」

 

 

 「月見ライスバーガーです」

 

 

 「月見ライスバーガーさーん!!」

 

 

 「君は我々食材界の期待の星だよ」

 

 

 涙を流しながら謎生物の月見ライスバーガーに抱きつくケイジ。

 

 

 「からのおりゃあぁあああ!!」

 

 

 「ぎゃああぁあああああ!!」

 

 

 その直後に月見ライスバーガーの頭がパティ、バンズとバラされてそのまま解体されて終了。

 

 

 「ふぅー・・・イクイノックスのわがままには困ったもんだぜ・・・お? おーお前ら! オルフェにドリジャ! 久しぶりだなー! ライスも悪い悪い。久しぶりに手のかかる子を預かっていてなー」

 

 

 「ケイジお姉様! ライスにハジケた八つ当たりしないでよー!!」

 

 

 「相変わらずだなあケイジ。余と姉上に配膳の機会をくれるのだ。下手な食事を出すなよ?」

 

 

 「ご無沙汰していますケイジ。とりあえず、色々言いたいですがもうとりあえずつかれたので食事をお願いしても?」

 

 

 あまりに意味不明、ハジケとしか形容できない光景に一瞬頭が理解を阻んだがようやくオフモードになった。料理の際はハジケも少ないし、早くシリウスのメンバーで食事と洒落込みたいものです。

 

 

 「おー。そんならちょうどいい駄菓子があるからお前さん等に振る舞おう。茶漬けでいいよな?」

 

 

 「ケイジ、流石に貴様と言えども姉上にその様は粗末な・・・」

 

 

 「私は引退しているのでいいですが現役のオルには栄養の・・・」

 

 

 「黙って待ってなシスコンども。ライスの方も、バーガーと茶漬けでいいな?」

 

 

 「え? あ・・・はい。お願いしますケイジお姉様」

 

 

 「じゃーお前らにいま思いついたが、ドリジャが来たしてつはうでも振る舞うか」

 

 

 そう言ってケイジは手ぬぐいで髪をまとめ、黄金屋の前掛けをつけて準備良しと言わんばかりに料理を始めた。大葉とカリカリ梅の駄菓子・・・を細かく切っていき、それ以外にも色々なものを細かくしている途中で見えなくしていく。

 

 

 なるほど。てつはうの赤い部分、爆薬や炸裂弾ゆえの鉄片などをこれで再現しているのですか。

 

 

 胡麻の香りに、何かを焼いていく音が聞こえることしばらく。

 

 

 「ほれ、筑前煮とおでんの詰め合わせ。そしててつはうの完成だ。ライスには月見バーガーも。飯は柔らかくしているから、安心して食え」

 

 

 眼の前に出される熱々のおでん、ホカホカの筑前煮。しかし何より目の前に茶碗の中に鎮座する。茶漬け出汁に浸された真っ黒なごまの塊。これに導火線でもつけてしまえばまさしく爆弾。もといてつはう。ふむ。茶漬けは好きで色々なものを見ていましたがこれは新しいですね。

 

 

 オルのほうはケイジの出すヘンテコ料理も食べ慣れているせいで問題ないと言わんばかりに割り箸を取って食べ始めていく。私の方も・・・いただきます。

 

 

 「! これは・・・茶漬けの鰹出汁の中にカリカリ梅の酸味がまじり、カリカリの食感も柔らかなご飯の味を引き立てる・・・」

 

 

 「そこにごまのプチプチとした感触とゴマを焼いた風味、調理油のほのかな風味が隠し味のように来る・・・うむ・・・これは良い。おこげのようにも感じる」

 

 

 「大葉がすっと入ってくるのもあるから酸味で基本濃い味、飽きない味わいが良いですね! でも・・・すぐに食べ終わっちゃうかも」

 

 

 美味しい。その一言に尽きる。カリカリ、もちもち、シャキシャキ、たった一口でこの3つの食感。ゴマ、米、出汁、カリカリ梅。全部の味が薄れることなくすべて自己主張をしてくれる。お茶漬けの中でもこれは面白い。材料自体はお手軽なのに、味わい深いものだ。

 

 

 ただ、ライスの言うようにすぐに食べ終えてしまう。私の握りこぶしひとつ分のサイズではウマ娘の燃費を考えると物足りない。

 

 

 「はっはっは。そういうと思ってな。ほれ、具材違いのてつはうがある。好きなものを食べていけ。ささみ、シャケ、きんぴら、今のカリカリ梅。全てあるからな。どんどん食え食え♪」

 

 

 このサイズの小ささも料理を味わうためのものだったようで、眼の前にどんと出されるてつはうの数々。見た目から具材は見抜けないが、そういうのも含めて味わうのが乙というもの。ふふふ。これは美味しいだけではなく楽しい食事ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「でー? 何をしに来たドリジャ。アンタみたいな計算高いやつ。オルフェに会いに来るのは勿論だが他の目的もあってわざわざ外食をしに来たんだろ?」

 

 

 「貴女には本当に隠し事が出来ないですね」

 

 

 お昼になり、今日はオフなので自作絵本の打ち合わせをロブロイさんとしにいったライスを見送り、オルの練習を木陰でケイジといっしょに見つつ話す。

 

 

 なんというか、お見通しと言わんばかりだし眠そうにしているケイジに変なことを言ってバカされても困る。素直に言う他無いだろう。何よりケイジらには変な嘘や誤魔化しは意味がない。

 

 

 「ええ。少し貴女の事をじっくり見たくて。引退した後もここに顔を見せてなにか変なことをと思っていたのですが・・・ええ。貴女との出会いはやはり良いものでしたと実感できました。料理というのは人への思いとその策略、計算があってこそその味の深みも良さも増す。

 

 

 あのてつはうお茶漬けで私の警戒も破壊されましたよ」

 

 

 「安心しな。女は好きだがオルは戦友でライバルで親友だ。アンタの大嫌いなコバエにはならねえさねえ~ほわ・・・ぁ・・・」

 

 

 尻尾がうずまきのようにうねり、耳が心地よさそうに左右に揺れるケイジを見つつたしかに杞憂だったと再確認できた。男性よりも女性が好きだったこともあるのでもしオルに手を出そうものなら・・・と考えていたのですがね。

 

 

 はぁー・・・レディ先輩といい。この一族は基本バカをしたり変なことはあれども、そういうところは筋を通すし、気持ちの良いところがある。だから、私も気に入っているのだが・・・

 

 

 今日の天気は快晴。愛しの妹は快調。古巣の元リーダーで妹の戦友は良き友人。旅の帰りに味わうものとしては最上の物でしょう。このてつはうと出汁のレシピもアネゴに今日差し入れしましょう。私のトレーナー・・・ではない。旦那にも。ね。




 ホテル業の娘なので料理もバッチリ。最初は普通の茶漬けをオルフェに振る舞うつもりのケイジでしたが、ドリジャをみてチャカとか爆弾を連想して今回のてつはうを作りました。


 シリウスでチームリーダーをした、している子達はここの世界だと ヒサトモ、サンダーレディ、ケイジ、オルフェたちです。


 最後に改めて、私の絵の依頼に答えてくれた皆さま、最初にあのケイジの立ち絵をくれたファンの方には本当に感謝します!
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