ハジケリスト世代だろ! (完結)   作:零課

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 いつか支援絵をもらえるほどの腕前、話を作れればなあと思う今日この頃。三流の癖に何言ってんだって思いますが。


 私の作品だからこんなキャラが出るのは当然だよなあ? 今回は短め。朝日杯までの息抜きです。


あぁん? 馬主さぁん!?

 「ワンワンワンッ!」

 

 

 「ん~? 犬? ありゃー・・・野犬か・・? もしくは近所の犬が逃げて遊びに来たか・・・うちの馬は大丈夫かなあ・・・」

 

 

 朝、厩務員の朝は早い。最近は真由美ちゃんが来てくれたので俺も休みが増えたがやはり馬の管理というのは大変だ。生物だし不調好調はあるし、ちょっとの手違いで骨折や大けがなどは常について回る。

 

 

 今管理している葛城厩舎は比較的穏やかな・・・一頭を除いて基本大人しめの子たちばかりで今は楽だが本当によその話を聞けば苦労がわかる。ステイゴールドやドリームジャーニー、エアシャカールなどなどの気性難代表格の苦労など馬を愛している俺たち厩務員、調教師でもひやひや物だろう。

 

 

 そんな馬たちだが根っこはやはり臆病だし、大きな音はびっくりしてしまう。犬の声や暴れるのに驚いて身体をぶつけたりして怪我をしたり、噛まれて病気やけがをしても困る。事務作業も落ち着いてケイジの擬人化の見せあいっこのために描いていたスケッチブックを閉じていく。

 

 

 うちの厩舎からだが、大丈夫だろうか。

 

 

 「ワンワン。ワオーン」

 

 

 「・・・・・・・・・・・」

 

 

 うん。確かに犬の声はここから聞こえていた。ただ、ワンワン吠えていたのは犬じゃなくてケイジだった。

 

 

 「ケイジ、お前どうしたんだ??」

 

 

 「ヒヒン。わん!」

 

 

 『お。久保さん。すげえだろ? 昨日から練習して出来るようになったんだぜー』

 

 

 「いや、そんなどや顔されてもなあー・・・見ろ周りの唖然としているぞ」

 

 

 馬に近い種類のシマウマがワンワン鳴くのは動物番組で見たけどもケイジ、お前は一体どうしてそんな声を・・・もう周りの馬の反応も変なものを見ている目じゃないか。

 

 

 「ワフ。ぶふん」

 

 

 「てへぺろじゃないよ。もー喉の病気かもわからないし、テキが来たら一度ドクターに診てもらったりしてもらうからな?」

 

 

 舌を出しておちゃめな顔をしてごまかそうとするケイジ。こいつは本当に人の言葉を理解しているしその上でこの反応をしている。幼駒のころからアニメを見て人の反応や言葉を学んだせいなのか?

 

 

 馬と思わず人と思って付き合えが葛城厩舎のモットーだが、こいつはマジで人としか思えなくなってきた。シマウマの声帯模写する馬とか引退した後でも生物学的価値から大事にされたり引く手数多なんじゃないかなあ。

 

 

 そんなケイジだからこそ可愛いし、仲間だと思えるしいい子なんだがなあ・・・どうしよ。テキこの前運営からケイジの奇行はほどほどにと言われていたしなあ。でも、あいつの奇行も人気の秘訣だし。うーん。

 

 

 俺の悩みも知らずにアニメの時間だから出してくれとヘドバンするケイジを見ながら思う。喉鳴りじゃなさそうだけどもなあ・・・この後アニメの途中でドクターの診察でテレビのある場所から離そうとしたら暴れたのでしょうがなくここである程度診察してもらい、改めて別の場所でほかの検査も。だからお前のアニメに対する情熱は何なんだ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いやー何の病気でもなくてよかった。よかったが・・・この結果を報じても信じてくれるのかねえ?」

 

 

 「こればかりはケイジが突然変異ってことで」

 

 

 「ヒヒンヒン。むぅふ」

 

 

 『何言ってんだよ。人間だって昔の映画の始まりでは弁士がいたり声帯模写出来たり、鳥にも機械の音さえも真似するやつがいるじゃねーか。今更だよ今更』

 

 

 シマウマの声? 犬の声? が出来るようになって久保さんにお披露目していたら病気扱いされて精密検査されたあげくに競走馬研究所に飛ばされてさらに検査されましたケイジです。んまー健康体だけどね。見本にしたいくらいの優良健康馬だって言われましたわ。

 

 

 朝日杯の方も出走回避はなし。ただ流石に俺が今後この声を出してもお客さんが不安がらないように一応運営はこの件を報告するようで。「ケイジの声はケイジの声帯が変わっているだけで喉鳴り、病気の類ではないです」という感じで。返し馬や世間では「ケイジダンス」と呼ばれている勝利後のパフォーマンスの際に鳴いてみようなかなあ?

 

 

 あ、あと俺の心肺機能。普通の馬よりいい意味でやばいらしくて心臓に関しては普通の馬の2,5倍のでかさだってさ。やばいね♪ だからへばらねえのか。牧場でやたら柵越えしまくって障害物競走みたいなことしたり、雪の中を走り回っていたのも成長につながったのかね。

 

 

 「とりあえずケイジの健康が証明されたのと、初GⅠ挑戦が消えなくてよかったよ。同時に和製セクレタリアト扱いされたのは驚いたが」

 

 

 「そっすねえ。ケイジ。その声はパドックでは出しちゃ駄目からな?」

 

 

 『フリか? フリなのか?』

 

 

 笑いを誘いつつ俺のオッズで儲かりやすくするにはいいと思うんだがなあ。笑いもあってこそだろ。

 

 

 「あらー調教師さんに厩務員さんお待たせー♪ いやあ道が混んでいましてえ」

 

 

 「ヒヒン!?」

 

 

 『何だこのお・・・オカマ!?』

 

 

 俺たちの目の前に現れたのはピンクを基調にした服に黒の水玉模様という派手な服に金髪ヘアーを肩まで伸ばした。ごついオカマがきゃぴきゃぴと走ってきた。このインパクトに俺も思わず食べていた飼い葉がポロリと落ちて餌箱に入っちゃう。

 

 

 「おお。お疲れ様です玄武元社長。いやーケイジのチェックに来てくれて感謝します」

 

 

 「んもう。それじゃなくてスーザンと呼んでほしいわ。それにいいのよいいのよ。改めて間近でケイジちゃんをみたかったしね。うーん。やっぱりいい馬。それにお父さんはイケメンだったけど、貴方はナイスガイね♪」

 

 

 『玄武元社長? ・・・・GENBUグループの元社長だあ!? 日本最大手の車会社の社長じゃねーか! しかも敏腕かつ経歴がぶっ飛んでいるというあの。マジかよ?』

 

 

 この目の前のオカマ。一代で日本最高の自動車会社を生み出した玄武巌元社長だった。確か若い頃は伝説の暴走族の初代ヘッド。若いころにアメリカで特殊部隊の精鋭。で、たしか日本でGENBUグループを生み出して世界に名だたる敏腕・・・になって会社が軌道に乗ったところを嫁さんと息子に任せて本人は電撃引退をするという兎にも角にも話題に事欠かない人だ。

 

 

 マジかよ。誰もがおったまげな経歴の持ち主は急に姿を消したと思えば今は府中のオカマバーの雇われママ。そりゃあ記者の皆さんも探したってわからんわ。

 

 

 そんで俺の一口馬主で10%の権利持ちかあ・・・あ、ちなみにおやっさんは40%でトモゾウが20%くらい。俺の募集価格って確か1500万ちょいだったかな。つまりこのスーパーマンな功績を持つオカマさんは俺にそれほどの大金をぶっこんでいるということ。嬉しいけどもねえ。

 

 

 「私以外にもあなたの一口馬主になった知り合いの子たちがいるけど、その子たちは朝日杯で応援に来るようだし、頑張ってねケイジちゃん♪」

 

 

 「・・・ちなみに、お前の生まれの牧場長、担当厩務員が60%出していて、残り40%は全員玄武・・・げふん。スーザンさんたちオカマバーの皆さんだぞケイジ」

 

 

 『マジかー俺の馬主権利でいいのか? の4割はオカマさんかあ。というか、オカマバーの皆が応援するって何かあったのかねえ??』

 

 

 きょとんと首をかしげつつ草をもしゃもしゃしていたらいわ・・・スーザンさんが何かじっと俺を見ている。うん? 顔汚れている? 朝シャワーは浴びたけど。

 

 

 「ケイジちゃんってほんと賢いのねえ。私たちの会話に見せる反応がほんと人みたい」

 

 

 「そこらへんはテイオー、ルドルフに似たのかもしれないですね。後はアニメで覚えたとしか・・・」

 

 

 「ふふ。なるほどねえ。ケイジちゃん。私も色々世間から超人だとか敏腕だと言われたときがあるけど会社を興す際にいろいろ苦労もあって落ち込む日もあったわ。自分を隠したり殺しての日々に億劫で懊悩する日が続いていた時に貴方のお父さんの不屈ぶりと、時代を彩る名馬たちの熱い戦い、その裏の因縁やドラマを知って勇気づけられたの

 

 

 ・・・そして今のバーでも夕方の開店に合わせて準備をする傍らラジオとかテレビで競馬を流して応援したりして、ライトな競馬ファンが多いわ。そこで休日に試しにとクラブに行けばケイジちゃんの一口馬主の募集があってもうひとめぼれ。私に元気をくれたテイオーの子どもだってみんなで貯金出して即買いよ~頑張ってねケイジちゃん。私達ムランルージュの皆が応援しているわ。チュッ♡」

 

 

 「わふん。ンムフ」

 

 

 『ヴォウ! 投げキッスの迫力あんなア。ま、ありがとよ。応援に応えるよう頑張るぜ。はぁー濃いなあこの人。おかげで草の味がしねえぜ』

 

 

 投げキッスをもらい、何かゾワゾワしながらも嬉しいエールをもらって元気もゲットだぜ。しかしまーあれか? 朝日杯にはオカマバーの皆が来て応援するのか? 声援の中におもしれえ声が入っているかもなあ。ぜひ見てみたいわ。

 

 

 「それじゃ、冬の競馬場でまた会いましょうね。期待しているわ。チャオー」

 

 

 その後はすぐさま手を振ってどこで用意したのか男物のハイヒール・・・? らしきものをカツカツ鳴らしながら出ていくスーザン。濃い人だったなあ。全く俺のような常識人にはちょい刺激的だった。

 

 

 「っ・・・! あ、おはようございますテキ。久保先輩。ケイジ君。藤井記者さんも来ていますよ」

 

 

 「こんにちわっす。いやーいよいよ朝日杯も近づいてきましたし、今回は出走が決まった陣営へのインタビューしているんですわ」

 

 

 「お、藤井君おはよう。そうかあ。疲れるだろうしまま、休憩室で話そうじゃないか」

 

 

 「あ、じゃ俺茶淹れてきます。真由美ちゃん。えーと、冷蔵庫に羊羹入っていたから出してもらえない?」

 

 

 「は、はい! あと久保先輩。あのお、オカマさんは一体・・・? 厩務員さんです?」

 

 

 「『ケイジ(俺)の一口馬主だぞ(みたい)』」

 

 

 うーん。また一気ににぎやかになったなあ。そんでインタビューかあ。クラシックでもねえのにそこまでするのねえ。競馬新聞とか、そういうチャンネルテレビ? もしくははやりの何とかチャンネルみたいなところで出すのかね。

 

 

 そんで真由美ちゃん。スーザンが俺の一口馬主ってことにそこまで驚かんでも。ふわー・・・今日の調教は少し後だし、軽く眠るかね。ああーやっぱ秋は寝やすいわー




 今回のエピソードがケイジがウマ娘になっても山ちゃんボイスと麻沙美ボイスを使える七色の声の持ち主に。


 スーザンはクレしんのまたずれ荘に住むあのオカマさんモデル。ここでは東京在住の東京競馬場の近くのオカマバーのママさん。


 ケイジの馬主の4割はオカマ。残りの30%のうち10%はマドマーゼル西郷。割と競馬新聞があったり競馬チャンネルがあったり平成三強や98世代の馬のぬいぐるみがあったりで競馬場からも近いことがあったりで色々有名なオカマバー。
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