いよいよGⅠ初舞台。
『さあ。今日もこの日がやってまいりました2歳限定GⅠにして2歳馬チャンピオンの一角の決定戦。来年のクラシックへ向けての格付けでもあります朝日杯フューチュリティーステークス』
いよいよやってきました朝日杯。2歳限定の年末に行われるGⅠレース。ある意味じゃークラシック、ティアラの三冠ではないけど、そんな感じなのかねえ。今はホープフル、ジュベナイル、朝日と多いけども*1。
『ここに来るまでに既にいくつかの戦いを潜り抜けた若駒たち。その新鋭たちが初めて挑むGⅠのこの大舞台。東日本大震災の後ではありますがここ阪神競馬場は満員御礼となりました』
『今年は有望株がかなりいますし、何より話題性のある子たちが多いですからねえ』
やっぱそうだよなあ。昨年はなんやかんやオルフェーヴルが話題をかっさらったのもあるけど、なんやかんや影が薄いかもと・・・いや、三冠馬が出る年は基本周りが弱いと言われがちだけどさあ。
むしろなんやかんやと強豪ぞろいのルドルフ世代前後がおかしいのかもだけど。ニホンピロウイナーとか今でも覚えているぞ。短距離から中距離の強さはほんと凄かった。ルドルフとシービーがいたのが本当にねえ。三冠馬が二頭いる時代とかやばいわぁん。
『そんな中でもひときわ注目を浴びていますはケイジ。ここまでの戦績3戦3勝。新馬戦2000メートルでは大差。初のGⅢ函館2歳ステークスでは2馬身、小倉2歳ステークスでは4馬身をつけての快勝。まさしく期待の新星です』
『伝説の名馬サイレンススズカ、ツインターボ、ミホノブルボン、サイレントハンター、メジロパーマー、ダイタクヘリオスなどなどの個性派を彷彿とさせるその大逃げがもう一度ここ阪神競馬場で炸裂するか。期待が集まりますねえ』
俺そんな評価なの? サイボーグとか競馬界のエガちゃんとか爆逃げコンビなの? コンビいないんだけど。ま、戻って来たぞ皆の衆! ケイジのお通りヨってね!
「今日は大人しいなあケイ・・・ぶふぅ! こ、こら。お前ってやつは」
「ははは。全くお前は。ここでは二度目のお披露目だからこそなのかい?」
「あ、ケイジだ! ケイジー!」
「おお。ばあさん。ケイジが来たぞ。元気そうだなあ」
「そうですねえ。今日は少しお金がありますし、ケイジに賭けます?」
おお。新馬戦で応援してくれた親子に老夫婦。あ、写真撮るの? ほい止まって。ウィンクとポーズ。
テキのおやっさんと松風も前みたいに暴れていないから緩く流してくれるから楽でいいぜー。今日は大事な初GⅠ。顔芸しながら少しステップ踏みながら歩きますかー
「ケイジちゃーん! 頑張ってー!!」
「マイルなら貴方の一族の距離! 完勝しちゃってきなさーい!」
「初GⅠ。最高のプレゼントをアタシにちょうだぁーい!」
『あ、あれがムランルージュのママさん達か。濃厚すぎるだろ。一発で分かったぞ』
そんで聞こえて来た声に顔を向けばスーザン小雪ママとオカマの一団が俺に向かって声援を飛ばして鉢巻までしているほど。筋骨隆々の着物姿のオカマに何でかバレエ衣装で来ているオカマ。某美少女戦士のコスプレのオカマ。うーんすげえ。ぶっちゃけ俺らのレース以上に注目浴びてねえだろうな? どうやってここに入れたよ特に後半の連中。
「おお。マカオとジョマさん。そして西郷さんにスーザンさん。ケイジの馬主さんらが集まっているなあ」
「あ、ムランルージュの人達ですか。あの人たちテイオーのファンだって言っていましたしねえ。馬も人も愛する人たちで競馬場に近いですから僕ら騎手もよく飲みに行きますよ。食べ過ぎないようにするのが大変ですが」
「ヒィン」
『まさかのスポーツバー的な立ち位置だったかオカマバー。レース終わった後にここで一杯ひっかけるんだろうなあ。そしてまあ、頑張るぜい』
「キャァアア!! ケイジちゃんが私のためにポーズしてくれたわ!」
「何言っているのよあずみ! 私のためよ! 今日はばっちりデジカメ用意したのよ!」
「あらぁん、私のためよ。一口とはいえ馬主になって」
「今日は単勝一点買い。もうケイジちゃんしか勝たん☆」
「それを言えば私もよ! 頑張れムランルージュの希望の星ケイジちゃーぁーん!!」
黄色い声援どころか野太いド紫色の声援が阪神競馬場に響くという愉快なことに。でも実際、俺の応援のためにわざわざ東京から大阪に来ているんだもんなあ。しかも店のメンバー総出で。今どきネットで馬券を買って府中のレース後のお客さんのために店にいてもいいだろうに。全くもう。ますますやる気になるじゃねえの・・・!
あと、喧嘩の騒ぎのせいで追い出されんなよ? あ、警備員さん注意しようかどうかいろいろ目を白黒させながら見てら。ちゃんと写真は撮れたっぽいしいいかな? 歩くか。
「しかし、今回のレースはGⅠだが・・・ある程度安心はある。松風君、頼むよ」
「え、ええ。ケイジならマイルは先のレースよりも距離が長い分脚が乗って気持ちよく走れるでしょう。2000メートルに近い分身体もエンジンがかかるでしょうから」
松風、なんだか嫌に返事が固いな。GⅠと聞いて改めて緊張しちゃったか? まったくよーほれほれーミニロデオタイムじゃ。
『おっとケイジ突如ロデオを開始。635キロの馬体が右に左に上に下にと揺れております』
「うわっととと!!? ケイジ! どうしたんだいきなり」
「むふん」
『どうせこっからもGⅠに当たるかもなんだし今更緊張すんなよ。大舞台だ。盛り上がって、楽しんでいこーぜ。松風と俺のコンビなんだしな?』
「・・・っふふ。だな。僕とケイジだ。今日も楽しもう。あーただし今日は仕掛けるのはこの前より気持ち一つ後にするからな?」
少しロデオで揺すってから鼻息を鳴らせば俺の意図を呼んでくれたかいつものノリになった。そうそう。これがベスト。でけえ舞台だからこそ笑おうや。こんなにみんなが注目して応援されるってすげえことだぜ。
『あいよ。400メートル増えているからなあ。逆に早仕掛けが過ぎれば最後に差す脚が残るかもわからんし』
マイルは問題なく最後まで逃げ切れる自信がある。が問題はどこで仕掛けるかだな。俺のコーナリングを使うベストスピードがまーだ今ひとつ。もっと上手くできそうなんだが掴み切れていないんだよなあ。俺の特技と松風の鞭の入れるタイミングを研究して理解している奴らは潰しにかかるだろうからそうならんようやるのが課題か。
ロケットスタートして、最内よりややスペース開けて外にも逃げれるような感じで気持ち行くかねえ。
「ヒヒン。ヒゥフ」
「よし。・・・っし! 行こうケイジ。今年のチャンピオンの一人になるぞ」
コクコクと首を下げると松風も小さく頬を叩いて気合を入れて空気が変わった。いいぜ。行こうじゃないの。まずは最優秀2歳牡馬。手柄の一つ持ち帰ってやろうぜ!!
『いよいよパドックも終わり本場馬入場です。マイルの中にあるのはクラシックへの試金石と最終2歳馬の称号を得るための切符。そして初のGⅠの栄光。暮れの阪神競馬場で栄光を掴むのはどの馬か。勝負の1マイル。1分半と少しの勝負』
『ケイジ。蟹歩きをしながら器用にゲートへ入ります。毎度ながら会場を笑わせております』
足の動きは良し。そして1番1枠かあ。 うーん。3枠くらいがよかったけどなあ。んまー最初に経済コース取りやすいし、そっからちょい内ラチから離しつつやれればいいか。
「・・・改めて、あんまりゲートを嫌がらないんだなあ。他の馬たちを待つ分じれたり怪我する子もいるのに」
ああ。そういう馬も多いよねえ。名馬にふさわしい実績を持つ馬でもそうなんだし、俺は落ち着くけども。気持ちの整理がしやすいし、おふざけスイッチから戦うモードに切り替わる。
『そして最後に17番ダローメカが入り準備整いました』
さてさて暮れの阪神競馬場で行われますは俺を含む17頭の若駒たちが挑む一大合戦。賞金も名誉も。自分のプライドもかけた勝負の開幕でござい。
『スタートしました! やはりスタートからハナを切るのはケイジ。外から追い上げて追いつこうとするのはカクレンジャー、さらにハチサンムーン、アルフルートが喰らいつく形となっていきました』
む。やっぱりというか食らいつく奴らがいるか。逃げも確かいたはずだし、俺を追い越そうと必死・・・いや、ジョッキーの指示もあるなあ。んならもう少しひきつけつつ・・
『第二コーナー回って、依然先頭はケイジ。差は3馬身と少し。その後ろにアルフルート、カクレンジャー、マイネルロブスターが追い付く形に。先頭集団は変わらず中団にトウケイキングにサドンデスストーム、ヒシマイケル、続いて2馬身後ろにローレルカント、ダガーネが続く形に』
第二コーナーも半ばを過ぎて佳境。第三コーナーになるか・・・? ふむ。俺の先頭は変わらず。何でかかんでか内枠は少し開けているけどもそこからこじ開けて先頭を取ろうとする奴はいない。
『おっとアルフルートとカクレンジャー、ケイジに追いついていきます』
ははーん? 俺をこのまま内ラチに押し込んでコーナリング潰しつつ自分もちょい経済コース走ろうとしてやがるぜ。おう。いい動きだ。
「っし・・・行くぞケイジ!」
その動きのキレをもっと早く素早くできていたらな! ナイスタイミングだ松風。イクゾー!!
『しかしここでケイジ引き離す! 必殺のコーナリングを見せつけるがごとく第三コーナーに入りぐんぐん差を広げます! 食らいつくはアルフルートとカクレンジャー! マイネルロブスターとトウケイキングが内から追いあがってきます!』
甘い甘い! 坂路毎日やりまくって、プールでほぐして鍛えたこの肉体。もっと過激に攻めてやるわぁー!!
『しかし追いつけない! 差が広がって5馬身! 6馬身! まだ広がる! ケイジ独走状態で一頭だけ第四コーナーをカーブ。最後の直線に入りました』
っしゃ! まだまだ! 脚はこっから第二のエンジン追加よぉ! ギアチェンジ。思いっきり走るぜ!
『アクティブシグマ、アルフルートが追いすがろうと走るが追いつけない! ケイジ、先に200メートルを切ってゴール前! セーフティーリードどころではない! 完全に決まった大逃げからの差し!!』
来てたまるか! 来るとしたらあの終身名誉阿寒湖総大将かその一族くらいだろうがよ!ゴルシとか! 脚はもう使い切る勢いでやってやる。首を低くして風の抵抗を減らして気持ちもう一つ加速じゃぁあい!!
『強い強い! これは手が付けられないかケイジ一人ゴール!! 7馬身もの差をつけての独走状態! 2着にアルフルート、3着にマイネルロブスター』
っしゃぁあい! どんなもんじゃい!1200以上ならエンジンもかかる分ロングスパートもお手のものだってなあ!
『タイムは1分32秒6。素晴らしいタイムが出ましたケイジ。そしてこの時点で4戦4勝で初のGⅠ舞台への連勝を達成! 大差勝ちを除いて尚合計13馬身差をつけているほどの戦績! ここに2歳最優秀牡馬の候補が一頭躍り出ました。ケイジ、これは来年も期待が持てるぞ!』
『ケイジ松風騎手一人と一頭そろっての初GⅠ。見事な大手柄を持ち帰ることに成功しました。走った距離からしても来年のクラシックでも有力候補として盛り上げてくれるでしょう』
「うぉおおおおお! 流石よケイジちゃーん!! ああ! 今すぐ抱きしめてキスをしてあげたいわぁあああ!!」
「ケイジ! ケイジ! やったね!」
「いやあー・・・綺麗な逃げだった。若返る気分じゃなあ」
「ハイペースでの加速。ふふ。どこからでも仕掛けていけるのがかっこいいです」
おおう。観客も盛り上がってらっしゃる。これはやらないといけないよなあ? さあー皆様知っているでしょ? ケイジと松風でございます。おい。コールしねえか? みんなおいでぇ。競馬場を揺らそうぜ~?
「ふふふっ。お祭り男だなあお前は。いいぞ。最後に一つおまけもしてやれ!」
「ヒヒィン!」
『おうさ!』
松風も慣れてきたんでステップを踏みながらスタンド中央あたりに移動。観客の皆も片手を開けてくれた。おお? これはまさか?
右にぴょーん
「「「オウ!」」」
左にぴょーん
「「「オウ!!」」」
おお、俺に合わせて声を出して手を上げてくれる! いいぜいいぜ! そんじゃ、一呼吸おいて首を下げての~?
「びひひぃいぃぃいいい!!!!(ぃいっよっしゃぁああぁあーーーーっっ!!!!)」
「「「ウオォオオォオオオ!!!」」」
ちょっとロデオ気味に体を起こしながらの咆哮をすれば観客の皆も手をあげての歓声! わはははははは!!! 阪神競馬場が震えてやがる! これがララパルーザってやつか?!!?
『ここまで身体がびりびり震えるほどの大歓声が響きます阪神競馬場! ケイジの漢唄、凱歌に応える観客で大盛り上がり。ケイジも楽しそうに首をぶんぶん振りながら笑っております』
『2歳でここまで観客と楽しんで、期待を抱かせる馬はそうはいません。年の締めくくりに良いものを見せてくれました』
後は有馬記念と他の子たちのレースだな。どうなっているかはこうご期待! そんじゃ、俺たちのショータイムはここまで。あーばーよ~ん。あー年末のテレビなに見ようかなあ。気が楽な状態で見れるアニメほどいいものはないぜ。
無事にGⅠ制覇。ケイジの影響と藤井親子記者が新聞やネットニュースでいろいろ情報を(許可もらった範囲で)流したりコラムで書いたので阪神競馬場は満員御礼。
変顔をする。欽ちゃん歩きをしながらゲート入り。オカマの歓声が響いて喧噪もあるという年末の騒ぎに。
ケイジ 初GⅠ制覇。今回のオッズも1,7倍だったので戦績を考えればいいんじゃね? と満足。マイルからは脚が乗りやすいのでレース経験を積んでいるのと走りやすいのもあって多分一番楽しかった。
松風 初のGⅠジョッキーの栄冠に。興奮しすぎて後で思わず恥ずかしがる。でもうれしい。ケイジの距離はマイルからだなあということで葛城さんと後で来年のことを話す。
葛城 初のGⅠゲット。もう泣きそうになった。GⅡまでは届いたけどもなかなか届かなかった栄冠を。年齢限定GⅠで取れたということもあって嬉しさもひとしお。後で息子に語る。来年のローテどうしよう。
前田 まさかまさかの快挙にフリーズしていたがその後狂喜乱舞。後ある血統を見つけられたので後日牧場に入る予定。しばらくは抑えていた馬産も積極的にしていくつもり。
老夫婦 今回もケイジに賭けた。儲かったので二人でご飯を食べにそのままデートに行った。ウマ娘編でも実は出る予定。
子供 ケイジを応援したいと親に頼んでいた。父親が設けた分で帰りにお菓子を買ってもらえて満足。
ムランルージュの皆様 一口馬主マカオとジョマ、マドモマーゼル西郷、スーザン小雪そろって仕事仲間と観戦。全員儲けて祝勝会を開催。