ハジケリスト世代だろ! (完結)   作:零課

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 のんびりとしたい。あ、あと競馬知識やあれこれが間違っていたら申し訳ナイス! ウイポっぽい要素もありますあります。あと、馬券云々は最悪この世界特有だと思ってくれると嬉しいです。


さようなら2011年。そしてよろしく2012年

 『ケイジ2歳最優秀、最強牡馬として表彰! 弥生賞優先出走権獲得。既に1億円獲得ホースへ』

 

 

 『トウカイテイオー最後の子どもケイジ、傾奇者はクラシックでも輝くか』

 

 

 『父の果たせなかった三冠へ。ケイジ来年の弥生賞出走確定』

 

 

 「ムフー」

 

 

 『嬉しい見出しなのもだけど、弥生賞優先出走権を運営からもらえたのが嬉しいねえ』

 

 

 どうもおはこんばんちは、ケイジだぜ。年末の有馬記念、東京大賞典も終えて日本競馬界の年度優秀馬発表&表彰。それとそんな名馬たちを支えたホースマンたちの表彰式とパーティーも無事終了。俺は無事2歳最優秀牡馬を表彰。獲得賞金も1億と4000万くらいになったぜ。

 

 

 朝日杯の賞金がGⅢ2つ分だったもんなー。いやー儲け儲け。牧場のおやっさんもテキのおやっさんも久保さんももう大号泣。俺がどうにも二人の担当した馬で初のGⅠホースになったらしく、もう拝み倒されるという経験を初めて味わった。

 

 

 そんでまあ、表彰式のために慣れねえ燕尾服引っ張り出そうとしたらここしばらく牧場拡張や仕事ではりきっていたせいで痩せていたらしくサイズが合わねえから急ぎで新調したりとでわたわたしていた。んで、藤井の兄ちゃんは俺の馬券で年末に儲けて、記事の売り上げもいいしで金一封&冬のボーナス&俺の当たり馬券のトリプルハッピーパンチでウハウハらしい。

 

 

 真面目な記事だし優しいしで今後もテキやおやっさんは優先的に対応するという約束も取り付けたりで今後も顔をみそうだ。

 

 

 んまあ、そんな新聞とかテレビの情報を見つつ久しぶりに、ちょっとでかくなった牧場に帰宅。休養となった。何でも一月ちょいは放牧と休養で休んで、1月の2週くらいから再始動。弥生賞を狙うそうな。

 

 

 オカマバーの皆も正月の騒ぎが落ち着いてからうちの牧場に顔を出すと言ってくれたし楽しみだわぁ。トモゾウらの驚いた顔とその後のあれこれに。

 

 

 『おおー勝った勝った。やっぱつええなあージェンティルちゃん』

 

 

 「うーむ。次世代の牝馬たちもまたすごい子たちが出てきたなあ」

 

 

 「ですねえ。ケイジの言うとおりに賭けて勝てましたがここまでとは。牝馬のレベルが上がるのは嬉しい限りですよ」

 

 

 そんでいまはみんなで正月も一息ついてのシンザン記念に出走していたジェンティルちゃんをみんなで応援。トモゾウとおやっさんは俺がこいつに賭けろ! って鼻でゴスゴス小突いてからそれぞれ3000円かけてもらって無事儲け。お年玉だな。

 

 

 いやー馬主も馬券買えるってのを知ってよかったぜ。この子は今後も化けていくからできれば応援してほしいね。

 

 

 「俺の若い時代はとにかく種牡馬が優先されていたが今や質のいい肌馬の重要性が重視されているからなあ。より日本競馬のレベルが上がっていけばいずれは凱旋門賞、海外の三冠を手にできる怪物が出るかもだ」

 

 

 「そういう意味ではナカヤマフェスタ惜しかったですねえ。オルフェーヴルがどうなるか期待です」

 

 

 肌馬、母系の血ははほんと大事だからなあ。日本の在来牝系の根幹になる20頭くらいの牝馬は超大国時代のイギリスから厳選に厳選を重ねた精鋭中の精鋭。しかも、馬は軍が所有する『兵器』であり、乗せるのはこれまた大量の金と時間をつぎ込んだ『将官』あるいは『華族』らを乗せるための軍馬を生み出すためのもので国の威信をかけたものばかり。

 

 

 こういういいお母さん馬。肌馬から今でも血統が続くシラオキ系、レイパパレの先祖フロリースカツプ系らが残って続くのを見てもいい牡馬の種を上手に組んで欠点を補う、良い素質を自分からも与える牝馬の質ってのは大事。そういう意味ではほんと女帝エアグルーヴやマルゼンスキーやスペシャルウィークの母方、ステマ配合組や、ステゴの一族はほんといい具合に強みを手に入れて戦っているよねえ。

 

 

 これを上手くつないで行ければ互いの欠点を補ってより強い、世界中で戦える子たちをたくさん出せるかもだし、イヤー競馬会ファイトだぜー社爛、他の大牧場からまたワキアとかサンデーサイレンスとか面白い馬たち来ないかなあ。

 

 

 「そうだなあー・・・ああ、そうだそうだ。ミホミサトの種付けだが、今年はステイゴールド、来年はタイキシャトルで行ってみようかと思う」

 

 

 「社爛の人も太っ腹ですよねえ。まさか初のGⅠ勝利記念にってこの二つの種付け権利をタダでくれたんですから」

 

 

 「ヒンヒン」

 

 

 『だよなあーあの二頭の種付けの権利とか最悪消費税だけで車買えるんじゃね? ってレベルの札束の殴り合いのセリの果てに手に入れるような物。それをPON☆とくれたんだから』

 

 

 「お前もいずれは誰もが欲しがるような種牡馬になれるよう頑張らないとなあ」

 

 

 あ、そうそう。正月の際にいつもの富豪者のおっさんこと社爛のお偉いさんが来て、俺らの優勝記念に先の種付け権を分けてもらったんだわ。

 

 

 俺が年齢制限付きとはいえ重賞三連勝。しかもこの年の朝日杯を快勝したのもあってここの牧場でかばわなくても種牡馬入りは確実。でまあ、そのお値段も依然安くいくつもりなので社爛からしてもサンデー薄め液としての役割を狙った俺の実力や素質を育ててくれた牧場と調教師に感謝の意味を込めてお年玉と称してくれたわけだ。

 

 

 あちらが言うには『まだわからないが早熟気味でありこの馬体重で足元不安もない。賢いようだし人懐っこい。今後の戦績次第ではケイジ産駒がクラブや海外からも声がかかるだろうし、来年も頑張ってください』だとさ。懐が広いぜ。

 

 

 ほぼほぼ独立状態の中小牧場にここまで言ってくれるとは嬉しいものだし、今年はいい正月を迎えられて何よりだわ。

 

 

 はふー俺ももう少し頑張らないとなあ。とはいえ今は流石に休むけど。どれ、ジェンティルちゃんのウイニングランと騎手インタビューもみたし、ひと眠りするかあ。

 

 

 「あら。ケイジちゃん。人参持ってきたけど食べないの?」

 

 

 「ヒィン」

 

 

 『え? マジで? やったーんじゃあ馬房に戻ってからもしゃもしゃして休むわ』

 

 

 女将さんが人参持ってきてくれたんでその先っぽをぱくりんちょと咥えてからポコポコ自分の馬房に戻る。流石に12月の北海道は寒いからねえ。雪も積もって日差しが反射するから昼寝するなら馬房に限るわ。

 

 

 「おっとケイジ。俺が今開けるから待っててくれ。それと、トングを置いておくぞ」

 

 

 「あー漫画は確か・・・この巻数だったか? 読んだら机に置いておくんだぞー」

 

 

 トモゾウがくれた取っ手が木でカバーされているトングを咥え、おやっさんが俺が読んでいた漫画の続きをカバンに入れて渡してくれたんで首にかけて気を取り直して戻る。

 

 

 戦いの合間にはこういう休憩も大事よね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『いやっほー潮風がきんもちぃい~!』

 

 

 『ぬわー! ケイジ速すぎるぞ~!』

 

 

 休暇ものんびりと過ごし、1月の半ば。俺は今北海道の砂浜を突っ走っていた。柴犬と一緒に。

 

 

 というのもこれも調教の一種で砂浜という芝以上に柔らかく足を取られる場所で走らせることでパワーとスタミナをつける。そして犬に追いかけさせる。併走させることで馬がわり、追われるのを振り切るための勝負根性をつけるということで芝を主戦とする馬でもするようで。

 

 

 深く積もった雪の上を走るのも調教になるしで冬はいいトレーニングの季節だ。

 

 

 俺と並走ではなく後ろで走っている柴犬はうちの牧場の近所のおっちゃんの犬でまさかの猟犬。おっちゃん猟師と駆除隊を副業でしているようで俺が戻ってきて調教に使う犬でいいものはないかなあとテキのおやっさんは相談していたところに俺を見に来ていたおっちゃんが聞いてならうちの犬使う? ってことでそのまま海へとレッツラゴー。

 

 

 柴犬の幸太郎は普段は大人しく人懐っこい。いうことを聞く賢い子なので俺との併走の意味も理解して頑張ってくれている。俺とは同い年の3歳同士でたびたびあっては昼寝をしている仲だぜ。

 

 

 「ヒヒ。ワォアン」

 

 

 『終わったぞおやっさん。幸太郎もおつかれちゃん』

 

 

 「キュゥン・・・」

 

 

 『は、はやい・・・僕の方が山とかで歩いている分鍛えているのに』

 

 

 『俺狩猟シーズン以外も鍛えているからなあ。とはいえ幸太郎も速いぜ』

 

 

 走るトレーニングも終わったんで段ボールに幸太郎を乗せてついている紐をもって近くへと連れていく。

 

 

 「相変わらずの調子の良さとパワーだな。ただ、やっぱりタイムの具合を見ると芝が主戦。クラシックも問題ないか」

 

 

 「そうっすねえ。休んでいた分太った脂肪をすぐに血肉に変えていい具合に体重を増していますし、ここからまた微調整を続ければこの体重であっても足元不安はない。ヒシアケボノ以上の安定感を狙えると思います」

 

 

 「お疲れだケイジ。幸太郎。ほれほれ。水を飲むといい」

 

 

 俺と幸太郎分の水桶に入った水をごくごく飲みつつ一息。冬は水が自動で冷たくなるから汗かいた後は気持ちがいい。んふー・・・ああーいい水だなあ。ミネラルウォーター? うまいうまい。幸太郎も復活して一緒にぺろぺろ。

 

 

 「ヒヒン! ヒィィン」

 

 

 『ちょっと待つし! ウチの分も水あるんでしょ!?』

 

 

 『あるある。ってか練習どうしたお前』

 

 

 『だるくて調教師? に砂かけて逃げた。あーウマッ☆』

 

 

 『ご主人にそれしたら駄目じゃない・・・?』

 

 

 そこに割り込んできた尾花栗毛の牝馬。何でもおやっさんが見つけてきた。というよりは譲り受けたというのが正しい子だ。。馬主はこれまた一口馬主で前田のおやっさんが50% オカマバーの西郷さんが20%、近所のおっちゃんが30%の配分。ちなみに価格は1000万。今はテキのおやっさんの所に来た調教師助手と調教していたが逃げてきたっぽい。

 

 

 まー見ての通りのギャルできゃぴきゃぴな子なんだが、こいつの血統を見てくれ。こいつをどう思う?

 

 

 父 トウケイニセイ 父父 トウケイホープ

 

 

 母 ニーアライト  母母 ロジータ

 

 

 すごく・・・(血統が)大きいです・・・

 

 

 なんだよこれ。岩手の魔王。39勝を挙げたダートの怪物トウケイニセイ。母方はダートの女王。アメリカのトリプルクラウン、ないしティアラを取れたと言われるほどの怪物ロジータ。もっと言えばロジータの血筋はイナリワンを輩出していることからも分かるが芝砂どちらも狙えるかもなミルジョージ系だし。

 

 

 そんな名血なんだけどいまや超の付くレベルの零細血統、あの大震災でこの子を牧場で養うのが難しくなったりとあれこれあってうちのおやっさんが提示された価格の3倍の値段を出して購入。トウケイニセイの養育費と牧場への少しの助けもあったらしくその場で現ナマ渡したそうで。

 

 

 まあー後でまた女将さんに怒られたんだけどな! でも理由が『私も行きたかったですよ。岩手の伝説の子に人参あげたかった』らしい。まあ、人情あふれる行動だし女将さんむしろニコニコしていたしなあ。

 

 

 そんなこんなでうちに来たこのギャル牝馬。うちに来たフリーの調教助手に任せる予定だとか。現在砂にまみれているけど。

 

 

 『いいのいいの。ウチに気安く触れようとするなんてありえないし』

 

 

 『俺らの世話する戦友であり親友になれるやつらだし優しくしてやんな。で、なんていっていた?』

 

 

 『えー? なんだか変な人だしあれだけどー? あーウチはダート向きらしくて、才能? ありだってさーどうよケイジ。今年はウチの年になるよ~?』

 

 

 『お前デビューすんの早くても来年くらいだぞ』

 

 

 『ウッソ!? なんでー!?』

 

 

 『まだ1歳だろうがお前』

 

 

 まだまだ小さな若駒。来年以降からデビューでまあしばらくはここの牧場で過ごしてからうちの厩舎に入厩するんだろうなあ。調教師は確か平野さんだったか? に任せるそうだし、俺もしばらくしたらまた東京に戻るから会うのは後だろうなあ。

 

 

 「ゲッホゲホ・・・いやー砂に飲まれるとはこういうのを言うんでしょうなあ・・・」

 

 

 「お疲れ様平野君。どうだね? ニーアの様子は」

 

 

 「かなりいいですね。中央のダートの子たちにも負けていないです。ケイジがまた厩舎に戻る前に何度か軽く併走させておけばかなり化けると思っていますよ」

 

 

 「地方の怪物の血をひく子がまた中央へと来てくれるかもしれないか・・・ケイジなら併せてくれるだろうし、今も仲良く三頭で水を飲んでいる。頼んでみようか」

 

 

 「幸太郎とも仲良さそうですし、調教する年まではこちらも協力しますよ」

 

 

 あっちでは砂まみれになったまだ40代の若手の調教師。平野源五郎のおっちゃんとテキのおやっさん。近所のおっちゃんと話している。俺以上に良い環境で練習できそうだし、頑張れよと内心思っておく。

 

 

 『どうしたのケイジ。飲まないならウチが飲んであげる』

 

 

 『ぬお! そうはさせるか俺のミネラルウォーター! おっちゃんからのプレゼントはやらん!』

 

 

 『僕の飲むー?』

 

 

 『あ、もらうもらうー。ケイジはけちんぼだしー』

 

 

 『うるへー走った後の水は流石に飲ませろい』

 

 

 とりあえず、俺のいる間にアニメ教育とマンガで人の良さについて教えるか。確か俺の馬房にあるのはボーボボとジャガーさんとかマサルさんだっけかなあ。トング貸してやらにゃ。




 ここではお嬢様口調のジェンティルドンナだけどウマ娘ワールドでは規格外の姉がいるのである程度言葉遣いや勝気さはある程度抑えている感じです。ディープの場合は勝ち方がすごすぎて当時は二着を狙うほかないとか、練習大好きだけど優しく人懐っこく食事マナーがいいって史実でこれですからウマ娘だと


 「普段は大人しいお嬢様。だけど練習では兎にも角にも目の色が変わるほどにやり込み、レースになれば規格外の末脚を小柄な身体から繰り出して他を圧倒する」


 強さの魅せ方がすごすぎてジェンティルドンナもある程度控えるのかなあと。


 新仔馬登場。幼名はニーア。トウケイニセイの馬生もまた震災で晩年は大変でした。どうか天国でロジータやダートの名馬たちと楽しく走っていて欲しいものです。
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