お気に入りが200人突破! 急いでかいちゃいました。いやー予防接種の副反応きついっす。
ようやく始まる12年クラシック時代。の序章。やりたいことを頑張ります。
今年も早くも二月。鬼退治に豆をまき、競馬もぼちぼち大きなレースが控える今日この頃。
「うーん、ゴールドシップは無事に共同通信杯を勝利か。勝ち方もそうだが、戦績が凄まじいな。ケイジ、かち合わなくてよかったかもなあ」
『だよなー今の時点だと掲示板どころか馬券も二連単? を外していないしレースの距離も俺とは違って全レースを1800~2000で走ってこの成績。クラシックの距離を走れるとわかっている分ファンはゴルシを有力候補に挙げているだろ。後、どうせやるならもっと大舞台でやりたいぜ』
「それ以外にもグランデッツァにディープブリランテ、ワールドエースと有力候補が多いからな。いずれもレースを勝利、もしくは掲示板入りすれば皐月賞に直行だろうし、怖いものだ」
春のクラシック戦線に向けて人馬共に調整中の真っただ中でござる。俺もかれこれここ葛城厩舎に戻ってからはジャスタウェイやジェンティルドンナと併せをして、厩舎の皆と走って、筋トレして、ご飯ウマーな日々を謳歌中。
今は練習の休憩の合間に皆で競馬新聞を読んでのんびりしていたでござる。
「まあ、うちのケイジも負けていないんだ。改めて、ローテの説明をしていこうか」
「ウッス、テキ。俺らもそれに合わせてケイジの調整をやっていかないとっすからね」
「ひん」
『よっしゃよっしゃ』
で、まあ改めてローテの説明。一応新年に決めてはいたけどちゃんと調教して俺の具合みないとテキ、もとい葛城のおっちゃんらも馬主の皆と一緒にローテ見極めきれないしね。仕方ないね。
「まずありがたいことにケイジの頑張りもあって弥生賞への優先出走権は手に入れているのでまずは弥生賞。そこからクラシックへと挑んでいく流れになるな。テイオーにミホシンザンの血統。加えてケイジのスタミナと馬体は規格外。距離もダービーまでは問題ないだろう」
「ほうほう・・・なら、その後は神戸新聞杯も行きます? ダービーの距離も走れるのならそこも行っていいと思うんすけど」
「いや、それが王道なのだろうが・・・掲示板に残れた時はダービーから菊花賞に直行。それまでは休養を挟み、調教をしっかりしたい。今後のためにも淀の坂を問題なく走れる力が欲しいし、ケイジの場合はどうしても馬体がな」
『あー600キロ越えだもんね。あとどうしたって日本の大レースが行われる場所は坂がある場所多いし、どれほど行けるか、問題なくいけるように仕上げたいと』
テキのおやっさんの話を聞きながらなるほどと思う。俺の体重は現在635キロ。年末から正月の休養で650キロまで太ったところをすぐさま動きまくって肉に変えて脂肪燃焼完了したら前より5キロ肉がついた。
パワーは問題ない、足元不安もない。ただまあ、あのエッグい坂を走るレースが今後は増えていく。それは古馬になってからも変わらないし、いつも俺坂路走って、プール入っているがそれでもそうそうないレベルの馬体重。気になるよな。
「体を鍛えつつも余計な肉をしぼって行きたいって感じですか」
「そうだ。それに菊花賞を終えれば嫌でも歴戦の古馬たちと戦う分感じるプレッシャーも増すだろう。それに負けない肝の座りようだができればある程度気おされても力を出せるような感じにしていきたい」
「ヒヒン」
『俺既にトーセンジョーダンに絡まれたり、なんでか厩舎のボスになっているし、ある程度は信頼していいんでない?』
あ、ちなみにトーセンジョーダンとは仲良くなった。ちょこちょこ併せの練習で会う際にやたら絡まれるから対応していたら仲良くなっちった。
んでさー・・・まあ俺のことを大事にしてくれるのはいいけどよ、ここも出してほしいんだよなーテキのおやっさん。
「どうしたケイジ・・・ってお前はいつの間に鍵を開けて・・・」
『クラシックに出るのはいい。俺も目指す舞台だ。だけど、なんか足りないよなぁ~?』
トングを使って2012年のレース表をぶら下げている看板の一つをぱしぱしと叩く。おう。やるんならここも出せや。
「む・・・NHKマイルカップ・・・? ケイジ、まさかそこにお前出たいのか?」
「ヒィン! ムフー!」
『おうよ! やるならとことんやるべきだ! マイルでも戦えるのはテキのおやっさんも見ただろう?』
「だ、ダメだケイジ。流石にそれは危険すぎるし、達成できたキンカメもその後に菊花賞へ行けずに身体を壊しただろう?」
あの伝説かつ、やばいダービーの事は知っていらあ。でもよ、どうせやるなら思いきりやりてえし、俺の体力と距離適性を買ってほしい。やろうぜおやっさん、久保さん! 伝説を作るんぜよ!!
「首をぶんぶん振ってもだめだ! それに俺だけで決められるわけではないし、無理が過ぎる。キンカメのローテ以上に厳しいんだぞ?」
「ワンワンワン! ビヒィ!」
『その無理やタブーを越えてきたのが俺たち競走馬、ホースマンじゃろがい! それにここでGⅠとって引退だとしても早くから種牡馬としていけるかもだしそれはそれで問題ねえよ! やらせやがれー!!』
「うぉおお!? 暴れるなケイジ! 周りの馬がびっくりしているだろ!」
そんなら外でやるぞ外で! 少なくてもローテに組みやがれ! 浪漫や夢を見せてこその俺たちサラブレッド、引かねえからなおやっさん、久保さん!!
この後滅茶苦茶暴れまわって、調教をしなかった分放馬してしこたま走り回ってやったぜ。
「て、テキー・・・ケイジ君。ぜんっぜん馬房から出てくれません~・・・マンガを読んだり、わちゃわちゃ動いたり、首のチューブトレーニングをしてはいるんですが・・・」
「うーむ・・・困ったなあ・・・」
あの日以降。ケイジからまさかのマツクニローテのレース提案を断ったら大いに暴れられ、それから数日調教にも出てくれず、軽く運動をこなすだけで終わる時間が続いている。
真由美ちゃんがお願いしても動いてくれない辺り頑なだ。ケイジの頭の良さは普通じゃない。人の言葉、恐らくは文字さえも理解しているだろう知能。新聞で自分と併走をしている、仲の良い競走馬の文字を見つけると嬉しそうに記事を見ようとしたり、写真を見てウキウキしていたりと馬の中で頭一つ二つは抜けているレベルだ。
それゆえにクラシックでNHKマイルカップをローテで入れなかったことに不服でケイジなりの意思表示。サボタージュなのだろうが・・・真面目に困った。
「ケイジ君の運動量は・・・ほ、ほかの子よりも多いですし、その分運動しない反動が不安で不安で・・・」
「ああ。それに太りすぎてもいただけない。弥生賞もだがクラシックのなかでも皐月賞は一番自信があるレースだし、ぜひベストにしたい・・・」
「むふ・・・ひん」
真由美ちゃんの心配する通り、ケイジの運動量は並じゃない。他の馬が根を上げるレベルの調教をこなし、600キロ越え、650キロにも届くかもな成長ぶりを見せても尚足元不安がない。むしろその太さは従来のサラブレッドを超える。間違いなく稀代の素質馬。最高の宝石と言って過言じゃない。
しかし今年はそれでさえも勝てるかどうかの才能が集まる時代であり、それを差し引いてもこの才能の光をくすませてしまうのが嫌だが、だからと言ってこのローテは危険すぎる。けれども頭のいいケイジに嘘やその場しのぎをしてもすぐにばれてしまうし、そうなればいよいよもって何が起こるのやら・・・
今もちょっとこっちを見てそっぽ向くケイジを見て困り、しょうがないと電話を取って前田馬主代表にテレビ電話で連絡を始める。
『もしもし、前田牧場です』
「もしもし? 葛城です。ケイジ君のことについて相談が」
『ケイジです? 何か不調でも・・・・』
「いやいや、実はですね・・・」
松風君も来て真由美ちゃんと説得しているがそれでもケイジは動かず、眠り始めさえしていく。此方はこちらでケイジとの出来事を話し、どうするべきかを相談する。皐月賞、NHKマイル、日本ダービーは恐らくケイジの適正距離にがっちりと噛み合い、その体力、回復力ならこなせるかもしれないが如何せん負担が大きい。
本当にキンカメ、タキオンのように数戦だけしかこなせずに引退となりうる可能性がある。競走馬はイチゴのような物。明日がどうなるか分からないとはアメリカの伝説、サンデーサイレンスやグッバイヘイローのトレーナーが言っていたが、それでもこのイチゴ、ケイジは長く戦える素質がある。それを今使いつぶすローテを本人、もとい本馬が望んでいるとはいえやっていいのか。
同時に感じるのは浪漫。競馬の世界に関わり、歴史を知れば文字通りのモンスターが多く出てくる。セントサイモン、エクリプス、キンチェム、リボー、セクレタリアト、マンノウォー、ダンシングブレーヴ。誰もかれもが創作物ですら出ないような暴れっぷりを見せて伝説を作り、この前、前田牧場に入ってきたニーアも父は43戦39勝の岩手の魔王トウケイニセイ。母母はあの時代にあってダートの本場アメリカで戦えると言われたロジータと日本もまた伝説が多くいた。
その日本、世界の伝説の名馬。一角に食い込もうとしているローテ。こなしてしまえば無敗の4冠、いや、朝日杯も含めれば無敗の5冠をケイジに与えてやれるチャンスが来る。そしてそれに関われた調教師として自分もまた関われる。ロマンと不安、ケイジの能力と馬への愛がせめぎ合ってしょうがない。
どちらへ動くべきか。馬主の意見で押してもらわないとどうしようもないと思う中、どうにも前田さんはほかの馬主の方々へも連絡を取っているようで・・・なかなか時間がかかる。
「ヒヒーン! むふっ、むふわぉん!」
「ぬわーっ! ケイジ! ひっぱるなひっぱるな! そんで縛るな!」
「ま、松風さーん!」
その間もケイジは器用に手綱を引こうとした松風君をグルグル巻きにして馬房の扉に括り付け、自身はその横で新聞をトングで壁に押し付けて読んでいる。
対処の仕方が馬のそれじゃないんだよなあ・・・・
『ああ。もしもし? 馬主一同の意見が決まりました。それと、後で松風騎手には私からも謝りますので』
「お手数かけます・・・それで、結果はどうでした?」
『まあ、それはケイジにも聞いてもらう方がいいでしょう。えーと、机か、パイプ椅子はあります?』
「少々お待ちを。真由美ちゃん。パイプ椅子持ってきて」
「あ、はーい!」
真由美ちゃんも流石にケイジを抑えるにはそっちがいいと理解しているのだろう。すぐさま休憩室へと走り、靴を脱ぐところの横からパイプ椅子を持ってきて立てかけてくれたところの上に置く。
『ケイジ。そして葛城厩舎の皆さん。私達ケイジの馬主一同の意見だけども、ケイジもしっかり聞いてくれ』
「ヒヒン。ヒン」
前田さんの声を聞くや松風騎手の拘束を解いて馬房を出て座り込んでテレビ画面を見るケイジ。拗ねている様子もなく、真面目に聞くように耳を前に向けている。
『マツクニローテはやってもらって構わないです。ケイジが望んだこと。それに、葛城調教師さんも悩む当たりケイジの素質はそのレベルがあるかもと考えているでしょう。私も実際、朝日杯、新馬の勝ち方を見れば皐月、NHKマイルは固いと思います。
ケイジ、お前の選んだ道だ。なら傾奇者らしく戦い、そして皆と喜べる慶事を運んでくるよう頑張るといい』
「ヒン!」
おうよ! と言わんばかりの力強い頷きと目力を見せるケイジ。闘志が燃えているのは分かるが、危険なのには変わりない。NHKマイルに出るからと言って皐月、日本ダービーどちらかを外せば絶対ケイジがすねるし。
『ただし、その期間中ちょっとでも不調、不安点が出ればすぐにNHKマイル、もしくは日本ダービー出走は回避してもらう。葛城さんたちもそうしてもらって結構です。ケイジ、お前の目指す心意気はいいが、ここでお前の道は終わらないはずだ。今後も走るために休むときは休む、無理な時は無理させずに休む。いいな? それが嫌なら、ちゃんとレース後に休んで、回復して、常に絶好調でいなさい。
葛城さん、何かあった際の責任はすべて私にかぶせて構いません。ケイジの、そして日本競馬史の歴史に挑む戦いに進ませてあげてください。私も、くく・・・年甲斐もなく面白いと思っている部分もありますので』
「分かりました。しかし、こちらも責任は負います。その上で全力を尽くして三冠、いや四冠、五冠を狙います。傾奇者の選ぶ過酷で、厳しい道。それを支える供回りとして支えていきます所存です」
『はははは、既にGⅠの手柄を手にしている調教師がお供なら私も安心です。此方からも差し入れや、うちの牧場でケイジにしていたケアなどを教えるために私かトモゾウが後日行きますし、一緒に頑張りましょう。それでは』
そういって通話が切れて画面も消える。それと同時に俺の腹は決まった。ケイジに取らせる。皐月、NHKマイル、日本ダービー、菊花賞。皇帝シンボリルドルフを超え、不屈の王トウカイテイオーの届かなかった場所を目指す。
そのための道をケイジと歩む。不利な道で、危険極まりないのは分かるが・・・ケイジはきっと不利な戦いこそ燃えるものだ! と言わんばかりに鼻息を荒くしてしきりにハミを噛んでいる。
「フフゥッ、ひん!」
「のわっ!? うおっ! ケイジー! お前はカウボーイみたいなことをし・・あばばばばああっ!!?」
「あ、あわわわわわ・・・ほ、放馬ー!! ケイジ君が松風さんを乗せて放馬しましたー!! て、テキ、ケイジ君を捕まえてきます! ケイジ君~!! 練習するならせめて鞍着けてーー!!」
そして練習をするためだろうが、手綱を松風騎手の身体に引っ掛け、ぐいと引っ張って自分の背中に乗せる。そこから立ち上がり、鞍を持たずにすぐさま爆走開始。
練習好きな分、ケイジもこのサボタージュは鬱憤がたまっていたのだろう。思いきり走り、それに揺られて落ちないように踏ん張っている松風騎手、それを追いかける真由美ちゃん。
いつものノリが戻ってきたのに嬉しく思いつつ、ちゃんと真由美ちゃんの言葉に戻ってきたケイジが鞍をつけたのでとりあえず軽く歩かせてから坂路からスタート。
頑張ろうケイジ。お前がちゃんと戦えるように俺も支えるからな。
目指せマツクニローテ完遂。あらためてキンカメ時代ってスイープトウショウやハーツクライ、コスモバルクにダイワメジャーとメンツが濃い。
そして同時にあのダービーの勝利を越えて、古馬になっても怪我無く現役のキンカメがいたらハーツクライと同じようにディープインパクトに迫る。勝ちを拾える器、可能性を感じるのも納得。もしもの世界線があったら是非見たいですね。
ケイジ やるならとことんやろうぜ! ってことでマツクニローテを提案。無事に受け入れてもらえたのでウハウハで練習開始。目指すは前代未聞の新記録。日本に刺激と元気を与えるんだよぉ!!
久保さん マツクニローテとかキンカメとか創作レベルの話、昭和のローテレベルだぜってことで断固拒否。でも後日承認されたことを知って常にコンディション維持のために出向いてくれた前田牧場長とトモゾウからよりケイジがぐっすり眠れる、心地よい藁の敷き方を学んでノートにまとめた。
葛城調教師 昭和張りの無茶なローテに挑む不安もあるが同時にケイジならこなせる可能性があると踏んでもいるのでドキドキ半分不安半分だった。けれど吹っ切れたので伝説を目指して戦いに行く。ルドルフを越えろ!
真由美厩務員 キンカメ時代あたりはちょうど学生時代に知っていたのでケイジが挑むと聞いて驚くも同時にテイオーの子どもゆえに早熟なのを考えても早めにとれるところを取って早く引退しても種牡馬として評価されたりしたほうがいいのかもと内心思う。ケイジの行動を後日マンガにして描いてみた。
松風騎手 ケイジにグルグル巻きにされて、背中に乗せられて練習に勝手に連れ去られようとしていた。この後練習でくたくたになったけど真由美とほのぼのいい時間を過ごせたり、まさかのローテに驚くも、ケイジなら・・・と内心燃えている。
前田牧場長 ケイジがマツクニローテやらせろと駄々をこねたのを聞いて名は体を表すなあと思い苦笑しつつも、やらせてあげてくださいと背中を押す。他のケイジの一口馬主もケイジのやりたいようにやらせてあげようと一致。後日差し入れにリンゴとバナナを送った。