ハジケリスト世代だろ! (完結)   作:零課

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ウマ娘のネット配信とかもそうですが、アグネスデジタルあたり引退した後トレーナーになりながら推しのウマ娘たちの本とか、珍行動、名場面集みたいな本作ったりして一大ブーム起こしてそう。カンムリワシの名前を関する元世界ボクサーとか、ガッツなあのボクサーさんの本みたいに。


俺の名前は。

 俺の同期があのやたら濃いメンバー勢揃い。そうじゃなくても上を見ても下を見ても濃い奴らしかいない。ほんと笑うしかないのと同時に楽しみである。

 

 

 ゲームがリリースされる前に転生しちったがウマ娘プリティーダービーという時代を彩ってきた名馬たちを擬人化したあのゲームの中でも本当に濃いメンツが多いのだ。ゲームでも史実でも問題児かつネタ筆頭のゴールドシップがいるし、2015年には砂にもゴルシみたいなやつが出てくるのだ。

 

 

 例え中央に俺が行けずとも、地方でダート馬になったとしても是非一度は馬の彼らに会って話をしてみたい。とはいえ、まあー今は無理だけどね。年齢的にも。生まれてから早1年。春に生まれた俺もすくすく成長。無事に馬体重が600キロ超えました。でも足元もかなりがっちりしていて多分サラブレッドの平均をそこでも大きく超えるくらいには身体も足も太い。

 

 

 うん。・・・俺の体重重すぎぃ!! トモゾウも驚いていたし、おやっさんに至っては『お前いつの間にかすり替わったんじゃないよな?』と言われたわ。ふざけんなよおやっさん。俺みてえな流星早々ねえっての。罰として俺のボロを牧草にくるんでシュート!してやった。

 

 

 これ以外にも雪の中に身を突っ込んでラッセル車よろしくひたすら走り回ったり、雪を食べようとしたり、スシウォークを練習しようとしたり、いろいろ楽しい時間だったと思うわ。

 

 

 「ビヒィ・・・ブフゥー・・・」

 

 

 そして今は筋トレの最中。無論自主トレである。調教とか、馬具をつけるのは面倒臭いので早めに済ませ、空いた時間を使っておやっさんとか女将さんのいる大きな部屋にこっそり移動。何回か脱走して牧場内をグルグル散歩したり、鹿を追いかけたりしつつ見つけたこれ。

 

 

 「ブフゥウ・・・」

 

 

 「・・・なんでクロス、チューブトレーニングしているんだ? しかも首を鍛えているみたいだし」

 

 

 「さあ・・・・・止めようとしたら追い払おうとするわ噛みつこうとしてきたので相当楽しいんでしょうね。一応見ていますが激しく動かさずゆっくり戻していますし、痛めた様子もないので問題はないかと」

 

 

 自転車の空気を入れるゴムと、チューブトレーニング用のゴム。女将さんの使わなくなったダイエット器具であったのでそれをもらって柵にくくってから自分は前歯と奥歯の間にゴムを噛んでから引っ張って、ゆっくり戻るのを繰り返す。

 

 

 首のパワーも競馬とか見ているとぶんぶん首を振る馬多いし、風の抵抗を減らしたほうがいいのかねえって。スーパークリークとか、すげえ首していたしさー邪魔しようとしてきたトモゾウにはガンギマリな目を演出しつつ噛みつくふりをしたら逃げて遠巻きに観察。そうそう。今日は首のトレーニングの気分なんだ。馬装練習も終わらせたし好きにさせろい。

 

 

 「テレビ見ているうちに覚えたかねえ。ああ。そうだクロス。お前の名前が正式に決まったぞ」

 

 

 お? 幼名クロス卒業か? どんな名前だ、おやっさん。

 

 

 「本当賢いな・・・ま、祝いにリンゴでも齧りつつ聞け。お前の名前はケイジだ。名前の通りでっかく育ったし、これからも目出たいことをどんどん見せてくれ」

 

 

 リンゴうまーそして俺の名前はケイジか。あれだなー由来は多分『慶事』出産とか結婚の目出度いことにも使うがそれ以外でも祝い事に使う。この牧場に、一口馬主さんらに目出てえことを運んでほしいという意味。

 

 

 後は多分おやっさんとトモゾウが読んでた漫画『花の慶次』の前田慶次だろ。俺がガタイいいからあっているけど、父親のテイオーに似た小柄だったら名前負けするところだったわ。にしても良い名前でよかった。「オマワリサン」ならぬ「リョウツカンキチ」とか「オオハラブチョー」とかつけられたら俺レース出る度に後ろから追いかけてくる馬たちに『部長~勘弁してくださーい』とか追いかける馬に『両津の馬鹿はどこ行ったあ!!』なリアクション取らないけないのかと思ったし。

 

 

 ある意味じゃ、赤子の時期は卒業。進学・・・もとい、いよいよ競走馬として鍛えて次に進むため、新しい俺の誕生日の代わりのリンゴってことか。味わい深いぜ・・・まあ、いつか大勝ちしまくって山のようにリンゴを俺に渡してもらうけどな!

 

 

 「よかったなあ。いい名前になって。よろしく。ケイジ」

 

 

 「ぶふ・・・」

 

 

 「おお。いい食いっぷりだ。そしてもう少しでお前も中央に預ける。頑張るんだぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あっという間に時間は流れて2010年梅雨の時期。俺はいよいよもって調教師の所に引っ越す。馬になってからだが尚更に時間の流れが速く感じるわ。

 

 

 「ケイジ! 思いきり頑張って来いよ!」

 

 

 「ただし脱走芸と顔芸は控えめにな」

 

 

 うるせいトモゾウにおやっさん。一緒に笑っていたじゃねえか。そんでありがとよ! 

 

 

 「ケイジを頼みます。久保さん。変なことをするやつですが頭はいいですし、自主トレするようなやつなので名馬になれる資格はあると思います!!」

 

 

 変な事じゃねえぞおやっさん。脱走芸は頭の体操で、横ステップ蟹歩きをひたすらやっていたのは脚の鍛錬よ。ちゃんとリンゴ出したら止まったじゃあないの。そして名馬とか言うねえおやっさん。俺はにっこり久保さんも微笑んでくれてる。

 

 

 「ええ。必ず名馬にして見せます」

 

 

 手綱をひかれずとも馬運車に乗り込んでいく俺。この1年ちょいだが、俺の面倒を見てくれた牧場の皆には返し切れるかわからん恩がある。何かのきっかけで肉になりかねない経済動物に生まれた俺で、しかも血統はたどれば名馬のそれだがテイオーの産駒は走らない。走っても気性がやばかったりでセン馬になったりで血筋を残せていないし、母の方も地方のレースに1,2回勝てた程度ですぐさま乗馬用になっていたのをいいことに安く種付け出来た。

 

 

 今の特定の血統が多いという状況故に一縷の望みと肌馬を選ばなくて済むというのをセールスポイントに引退後もどうにか生き残れるように取り計らってくれたというのは本当にありがたいとしか言いようがねえ。

 

 

 「ケイジちゃ~ん元気でね~!! お腹壊さないでね~!」

 

 

 「うぅ・・・ケイジ~!! 必ず勝って俺にまた世話させてくれよ~!」

 

 

 女将さんが手を振って見送り、ちょっと涙ぐみながら手を振ってくれるトモゾウ。おうよ! 競馬界の皇帝と帝王、神讃、の末裔だってのを見せつけられるように、そんで思いきり競馬を楽しんでくるわ。見る方でも賭ける方でもなく走るほうだがな!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 馬運車に揺られてとことこ。のんびり車の旅を過ごして着いたでござる。俺の出身は北海道なので栗東所属の調教師の下に預けられるんだとさ。おやっさんは下のほうとはいえ社爛グループにはいる方なのでそこ関連の施設で預けてもらえるそうな。

 

 

 運転中わざわざ窓を開けてエアコンの風を追加しつつ久保さんが教えてくれた。やっぱ馬に携わる人っていろいろ話してくれるんだなあ。ラジオも聞けて退屈せんかったし、運転席のエアコンの風追加で涼しかった。

 

 

 そして着いた場所はなかなか奇麗だしいい場所。おやっさん。金大丈夫かねえ? 知ってるんだぞこの前女将さんに内緒で俺の一口馬主代表になれるくらいには貯え使って怒られたっての。夜にこっそり脱走した際聞こえたし、お小遣いしばらく無くなったって俺に零していたし。

 

 

 「久保君お疲れ様。どうだい。ケイジの様子」

 

 

 「お、テキお疲れ様です。大丈夫ですよ。疲れている様子もないですし、運転中も暴れたりする様子もなかったですし」

 

 

 「そうか。にしてもでかいな・・・」

 

 

 調教師のおっちゃんは。ほんほん。のんびりとしていそうな少し細・・・いや、お腹は栄養状況が問題なさげな50になるかどうかのおっちゃんだわ。

 

 

 そしてでかいというがテキ。後から出てくるショーグンというもっとすげーやつもいるぜ? まあ、俺も成長次第でどうなるかわからんが。

 

 

 「よく見ると体重とかの割にかなり足もがっしりしているし、肉体もいい感じだ。長旅も苦にならないのは良いな」

 

 

 「ダイワメジャーとか大変だったみたいですしねえ。なんやかんや父に父父に母父、その上は有名処ですし、素質はあるはずです」

 

 

 「既に1歳馬と思えないほどの体格に筋肉、落ち着きを見せているからなあ・・・俺にもツキが来たか。ケイジ。俺も頑張るからお前も頑張ろうな」

 

 

 ははは! おやっさんらにも恩を返さにゃいかんからな。当然よ。でも、脳みそは一応人なんだ。楽しくやらせてくれよ! でなきゃ俺も飽きちゃうかもだからよ。

 

 

 「表情豊かだなあ・・・ここまで笑ったりする馬初めてだ」

 

 

 「牧場でもよく変顔していたそうですよ」




 このくらいの文字数くらいがちょうどいいのかしらん。
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