ハジケリスト世代だろ! (完結)   作:零課

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 お気に入り増加が止まらない。高評価がもらえるのが嬉しいこの頃です。仕事やら諸々の都合で早く出せないのが申し訳ないです。菊花賞までは早く出しておきたいんですがねえ。


 あ、それとケイジのウェストを72に変更しておきました


 最近ニコニコでウイポ淫夢動画を見ているんですが、妖精さんVS変態さん の名勝負とか、98世代がキングヘイローがエル、グラ、スペ、スカイ同格の強者になって、更にライバルがもう一頭増えての6強時代を結成していて全員集合した場所がやばすぎて爆笑したり、タマモクロスと同期のライバルが出てきて平成四天王になったりとやたらドラマチックな作品で燃えます。


 別作品ではオグリキャップがアメリカトリプルクラウンを狙っていたりでなんで淫夢作品はハイレベルかつドラマが多いんだ。


 ケイジ(ウマ娘)の一口メモ 東日本大震災が起きた時はすぐさま休学。停学でもいいからと届け出を出してから学校を抜け出す。知り合いのスイーパー、シンジュクタネウマと特殊刑事課の皆さんと協力。実家の前田ホテルの協力と自身の資産を投げ打って人命救助と炊き出し、もろもろの活動に2か月近く尽力。


 チームシリウス、ゴルシ、ジャスタも合流して全員で炊き出し、慰労ライブ、ボランティア活動をしていき、デビュー前に「ここにいるアタシらで必ずおもしれえことを。日本を盛り上げてやるさ! だからアタシらがいなくなっても元気でいてくれよな!」 と言って帰り、後日ケイジはマツクニローテを無敗で達成。


ケイジの夏休み

 『いい湯だなあ・・・・あはぁーん』

 

 

 『そうねー・・・温泉って最初は熱いだけの水かと思ったけど、悪くないじゃん』

 

 

 どうも皆さんおはこんばんちは。無事に変則三冠馬となれたケイジでごわす。

 

 

 菊花賞への優先出走権ももぎ取って、マツクニローテをこなした疲労抜きと夏&秋休みということでまたまたちょいと広くなった上に石油じゃなくて温泉を掘り当てたことで温泉施設までできた前田牧場に戻ってきたでござる。

 

 

 で、今はこうして湯の心地よさに身を委ね、ししおどしがないことにちょっと残念がりつつ楽しんでいる。ニーアと。・・・いやいや。おやっさんに女将さん。ニーア牝馬よ? 牡馬の俺と混浴させていいのかよ。

 

 

 ちなみに湯の効能は疲労回復、リュウマチ、むち打ち、関節痛に聞くとかで近所の猟師、もといマタギのおっちゃんと幸太郎もちょこちょこ浸かっていく。

 

 

 『温泉はいいぞー伝説の名馬オグリキャップも大好きだったしな。で、ニーア。俺にくっつきすぎじゃねえか?』

 

 

 『ウチら馬って温泉やっぱ好きなんだね。いいじゃんいいジャンこれくらい。それにもうウチ、ニーアじゃありませーん。新しい名前をもらいましたっ♪』

 

 

 『え? マジで? 幼名卒業かあ。大人への第一歩おめでとう。じゃ、えーと・・・あ、これでいいか』

 

 

 擦りついてくるニーアをよいしょと離しているとまさかの情報・・・でもないか。なんやかんやぼちぼち1歳と半年。なら幼名卒業していってもおかしくないわなあ。じゃ、一つ聞くために近くにあった柄杓を柱の端にこんこん叩きながら

 

 

 『今のニーアのおっ名前おーしえて?』

 

 

 『プッ、何なのその話し方。受けるんですけど~ウチの新しい名前はナギコだよ~よろぴく♪』

 

 

 『うーん、やっぱそろばんじゃないと駄目かな? そしてもう一度おめでとうナギコ。これからもハッピーうれピーよろぴくねーん♪』

 

 

 ナギコかあ、いい名前。そしてネタが受けてくれたのは嬉しいけど、知られてなかったのはショック。あ、ちなみにだがナギコもすっかりマンガを読めるようになりアニメ好きに。マキバオーではチュウ兵衛親分の最後に号泣して、ドラゴンボールではピッコロさんがファンだそうで。うんうん、そのうち最近俺が読んでいる金田一耕助・・・は刺激が強いかもだし、ホームズの本でも貸そうかな?

 

 

 『ウェーイよろぴく♪ でさーこっちに来てもいいのよ? ここの方が湯が近くて熱いのがいいし』

 

 

 『う、うん・・・ありがとうございますナギコ姉さま・・・ケイジ、さん』

 

 

 『ああー俺がお邪魔ならどくぜー? 幸太郎と一緒に遊ぶ約束もあるし』

 

 

 で、実はこの馬温泉。俺とナギコ以外にも入浴している馬がいて、黒鹿毛のまだ0歳。今年の4月に生まれた牝馬でおやっさんがアメリカの知り合いの牧場であるロック&ヘリントンファームで幼駒を互いに同じ値段で取引して来た馬らしい。ちなみにそのファームはあのサンデーサイレンスを生んだ牧場。今は子供さんが運営しているとかなんとか? この世界ちょこちょこ俺の知る世界とは微妙にズレあんな。

 

 

 そんなこんなである意味帰国子女なこの馬。取引でおやっさんが渡した母父オグリキャップ、父父イナリワンの子どもを渡しただけ欲しがるのも血統を見て分かった。

 

 

 父父がミスターシービーで、母父がイージーゴアというまたなんだこれはと言わんばかりの日米浪漫配合でしたとさ。なんだよこれ。ナギコの血筋も大概だがこの子もやべえ。しかも母父イージーゴアってことはアメリカでの大牝系とも言えるラトロワンヌ牝系の中でも優秀、エクリプス賞最優秀古馬牝馬を手にしたリラクシング。アメリカでは言わずと知れた名馬アリダーの血も引いているわけで、文字通りアメリカの歴史的名馬の血を持ってくれている。

 

 

 もっと言えば母母がこれまたサンデーサイレンスの高祖ステイミーのライバルにして三冠馬、両親何方も優秀な血を持つアソールトの子孫だし・・・この血筋だけで欲しがる馬主いるぞおい。

 

 

 そして日本側の血も父父にあの三冠を達成したミスターシービー、父母には日本の牝系が生んだ至宝ニホンピロウイナーの娘が入っているしで・・・なんだこれはたまげたなあ。日米牝系の至宝の血が集結。牡系も日米三冠馬二頭の詰め合わせセットでございまーす♪

 

 

 こんなとんでも名馬の血を引く馬を譲ってくれたアメリカのロック&ヘリントンファームのビリー牧場長はなんでも父とサンデーサイレンスの激闘。そして日本に渡ってからの文字通り歴史を動かしたサンデーの活躍を喜ぶと同時に、日本の競馬界により興味を持って歴史や血統を調べていくのが趣味になったそうだが、欧州は愚かアメリカでも早々見ない、知らないようなガラパゴス状態の血統だらけ。そしてその強さ、何よりそのダートと芝の落差に驚いて同時に興味を持ったとか。

 

 

 日本の芝は世界でも有数の固さと高速馬場。そしてダートは高温多湿かつ雨が多い日本なので土ではなく砂。つまりはアメリカのダートと比べると別物だ。そりゃ土と砂だから違うけどさ。要は固い芝に柔らかい砂と落差も何もかもが別物。

 

 

 だというのにそこの二刀流で結果を出したオグリキャップにイナリワン、アグネスデジタル、クロフネなどなどの優駿たち。それを見て思ったのは真逆もいいところな馬場のレースをこなせる脚使いを変えられる器用さ、パワー、スピードを持つ日本馬たちはアメリカの血統の偏りを薄めつつかつてのサンデーサイレンスが日本競馬界を変えたように日本馬の血がアメリカ競馬のレベルをより上げる可能性があると踏んでそういう芝砂二刀流をこなした名馬の血を集めているとからしい。

 

 

 後はまあ・・・言っちゃ悪いがウマ目線から見ても美人さんになる素質はあるけど、後ろ脚がちょい曲がっているし、馬体が貧相。加えて気の弱さが勝負で足を引っ張りそう&外貌主義のアメリカで下手に買い叩かれるよりはうちのおやっさんにいい値段で売りたかったってのもあるんだろうね。

 

 

 『い、いえ。大丈夫です。そ、その・・・』

 

 

 『あーケイジは確かにでかいけどいいやつだよ? ふふふーうちがマンガを読んで人の言葉覚えたのもケイジのおかげだしね。ジーナちゃんも気楽に気楽に♪』

 

 

 『んまーそういうわけだ。ただまあ、俺はしばらくいるし焦らずにここに馴染んでくれや。んじゃーな』

 

 

 『あれ? ケイジもう行くの? もちょっとナギコさんの感触味合わないの~?』

 

 

 『言い方ぁ~幸太郎と遊ぶ約束しているし、蓮君も来るっていうからな。色々今日はお客さん多いんだわ。お前さんも平野さんと仲良くしておけよ。ぼちぼちお前さんの入厩も近いからかよく顔出しているし』

 

 

 ったく妙に色気づきやがって。美人ならぬ美馬にはなっているけどなー。ま、ジーナちゃんと仲良くしていて欲しいし、そんで湯あたりはしないように。身体拭いてほしいし、ベルをからんからん鳴らす。トモゾウを呼ぶ合図だ。

 

 

 「お、ケイジ。出るのか。よしよし、身体拭いてやるからなー」

 

 

 『ああー湯であったまった体が扇風機と風で冷やされるのが気持ちいいぜ。夏前のこの暑さを乗り切るには汗を流す風呂だよなあ』

 

 

 「いやー俺も昼休憩に軽く入るけど、人と馬用のスペースがあるから最高だよ。ケイジも春の戦いの疲れをしっかり抜くんだぞ」

 

 

 『おうよ。そんでうまい飯を食うんだぜー。今日の気分はバナナ!』

 

 

 あふぅ。はぁー・・・この風呂の心地よさがたまらねえぜ。馬って牛乳飲めたっけなあ。飲めたのなら湯上りに一杯したいのだが。今は水で我慢。うん、おいしい!

 

 

 「・・・マジで馬がベル鳴らしてトモゾウさん呼んでいましたよ・・・」

 

 

 「ナギコもアニメ見て一緒に鳴いたり笑ったり・・・ケイジが教えたんだろあれ?」

 

 

 「・・・メジロでもあんなのいなかったし・・・これがテイオーの最後の最高傑作なのかねえ・・・」

 

 

 何やら遠巻きに作業しつつ呟いているのはメジロの厩務員だった人らね。いや、むしろそこら辺はマックイーンも凄かったんじゃねえの? 人参よこせ。持ってんだろ? と身体検査したり、噛む振りして知らんぷりとかの悪戯していたそうだし、あっちも頭いいだろ。しかも馬付き合いも上手でオンオフ切り替えていたってんだから。

 

 

 「よし、綺麗になった。じゃ、水を飲んだら後でバナナと昼ご飯。幸太郎と蓮君に渡すおやつ持ってくるから仲良くするんだぞ」

 

 

 「ヒィン」

 

 

 『へーい。あ、幸太郎は水もね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ヒゥフン!」

 

 

 『早めのゴロ!』

 

 

 「よっしとった!」

 

 

 「わふわふ・・・」

 

 

 『今度はこっち』

 

 

 今日は蓮君も遊びに来たので幸太郎と俺で一緒に軽く遊べる場所でノック。俺がノックを打ち。蓮君がボールを取ればそれを投げ返す。ただしその場所は幸太郎が常に場所や距離を変えるのでそこに向かって投げてもらい、飛んできたボールを幸太郎がキャッチ。それを俺がもらって土台にセットしてまた打ち返すという練習をしている。

 

 

 『ほーい今度は高めのフライ~』

 

 

 「おっ・・・おっ・・・? おっし! よーしケイジ、返すよー」

 

 

 低め、ある程度の弾道のボールで打った時は幸太郎に。高めで打った時は俺に返すようにと相談して決めていて、俺の場合は背中の鞍に即席で段ボールを置いているのでそれで高めのボールで投げ返されたボールをキャッチして遊んでいる。何でも幸太郎君曰く「速いボールの勢いがすぐ殺される、軽いボールな分ぶれてしまうからしっかり見極めて動く、ボールを見るからいい練習になる」とのことで幸太郎もボール遊びもできるし、俺も息抜きになって万々歳。

 

 

 馬になって走るの大好きになったけどやっぱそこは元人間。いろんな娯楽で息抜きも大切よねん。

 

 

 『ほいキャッチ。そんじゃ、水飲もうかー北海道もなんやかんや暑いしねー』

 

 

 「ありがとう、ケイジ。幸太郎君は、ほらプール」

 

 

 『ありがとう蓮君! ワオォーン!』

 

 

 そのノックも幸太郎が汗をかき、蓮君が息を切らしたところで一息。木陰に入って休む俺と蓮君。幸太郎は金タライに水を入れた場所に飛び込んで時折飲み水を入れた皿をぴちゃぴちゃして水分補給。

 

 

 ああー・・・・蝉の声がもうじき聞こえる季節なんだなあとしみじみ思うぜ。青々とした草木に熱い日差し。昨年の新馬戦、2歳限定戦を思い出すなア。

 

 

 「ケイジ。僕ね、今年もレギュラーでセカンド、2番バッターで行けそうなんだ。全国もいけそうだし、小学校最後の年、優勝してくるよ!」

 

 

 『おお!? 野球はあんま詳しくねえが、クリーンナップへの起点づくりの2番バッターに、一番難しい守備ポジションのセカンドを任されるとは・・・有望株だな!』

 

 

 「鼻息がくすぐったいよケイジー。ふふ・・・ケイジも秋には菊花賞? でしょ。一番強い3歳になってきてね。僕、応援しているよ」

 

 

 たーしかテキのおやっさん遅めの子どもってのもあってかなり子煩悩なんだが、それを差し引いても全国を狙えて、いぶし銀のポジションを担えるとは大した器だぜ。これは未来のプロ野球選手か? テキのおやっさんの話が確かならバント技術高めの堅牢な守備を持ち味にしている小学生とかなかなかいないだろ。

 

 

 そんで、おうさ! 蓮君に先を越されてしまうかもだが俺と蓮君で日本一の称号を狙っていこうぜ! そして来年は蓮君は中学生デビュー、俺は古馬デビュー。良い来年の出だしのために今年も思いきり気張ろうか! 頑張れよという意味合いを込めて鼻先で腕とほほをすりすりして優しく微笑んでおく。アスリート同士、一緒に高みを目指そうや。

 

 

 『僕はー・・・狩猟犬だから、立派な猟犬になることかな?』

 

 

 『立派よ立派。農家の皆さんのためにも、害獣に困っている皆様の役に立つんだ。お前さんしかできねえ道だ』

 

 

 『えへへー』

 

 

 「ああー・・心地いい。ふふ。あ、そうだケイジ。実は今日夏には少し早いけどここの近くで祭りがあってね僕そこに行ってくるから、そこで何かケイジが食べられそうなものあったら持ってくるね?」

 

 

 『ああーそういえば一度近くが騒がしい時期があったけどそれかー祭り・・・いいなあ。俺ら動物は行けないもんなあ幸太郎』

 

 

 『え? 僕ご主人様と行くよ? お祭り』

 

 

 『裏切ったな幸太郎!?』

 

 

 この後、後ろ髪をひかれるような気持ちで幸太郎と蓮君を見送ることに。ああーこういう時は馬はつらいぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いよいよ夕方。太陽も寝るために沈んでお月さんが夜勤勤めにこんにちは。する当たりの時間。祭囃子と音が馬の俺の耳に入ってくる。

 

 

 蓮君と幸太郎君が祭りに行くので、今日は俺の脱走記念日。というわけで脱走しましょうかね。藁に隠しておいたテグスで扉を開けてと・・・あ、抜き足差し足馬の脚。ナギコとジーナには俺流ぐっすり睡眠法で普通の馬のように何度も起きることなくぐっすりすやすや。温泉に浸かって二人ともトモゾウと馬具の装着訓練で疲れているので尚更起きないだろう。

 

 

 さあさあ。お祭りを楽しみに行っきましょうかね~♪ 祭り会場まで600メートル。そこの神社にいざ鎌倉。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おおー賑わっているなあここも」

 

 

 今日はケイジ君の軽い取材。の前にその周辺地域の取材。前田牧場長から聞いたがここの早い夏に始まる祭り。そこにある神社は由緒がありご利益は仕事運、無病息災。そして馬の神様を奉る神社だとか。

 

 

 ケイジも何度か一緒にお参りしているらしく、由来に関しても北海道開拓時代。馬と共に大地を耕して根を下ろそうとした先祖たち。互いにパートナーであり不慣れな土地、そこで共に過ごし、働き、そして死んだ後は働いた分神様と共に安らかに過ごしてほしいという想いから作られたそうだがなるほど中々。

 

 

 ましてや今は競馬ブームがディープ、98世代を超えるレベルで賑わっていることもあって北海道に旅行しつつ牧場に見学しようとしている人が多いのやろうなあ。

 

 

 「ほーん、ケイジのぬいぐるみにストラップ・・・お、ケイジの好物りんご飴って。わはは、ケイジ様様やなあ」

 

 

 その中でも次代を盛り上げているのは主にこの5頭だろう。ケイジのライバルにして黄金の不沈艦の名を持つ、オルフェーヴルと同じステマ配合で産まれた馬であり名優の血をひくゴールドシップ。

 

 

 ゴールドシップの親友であり、あの大人気漫画『銀魂』にも登場している、ある意味世界一のネタ馬にしてなんやかんやNHKマイルカップと日本ダービーでも好走しているジャスタウェイ。

 

 

 牝馬三冠に王手をかけ、ますます気力も実力も着けている貴婦人ジェンティルドンナ。

 

 

 そのジェンティルドンナに常に食らいつき2位を連発。牝馬のメイショウドトウ、シルコレとなるか秋華賞を取るかと注目されるヴィルシーナ。

 

 

 最後に競馬ブーム再燃の火付け役。皇帝の直系筋にして最強の血をひくターフの傾奇者。出れば笑いを誘うケイジ。彼らの時代はオルフェーヴルの一強時代と言われた世代から一転強者ひしめく強豪らの戦国時代。それを引っ張るケイジの地元で馬の神社となれば祭りに興味を持つ人もあってかそこそこの田舎だというのに人が多い。

 

 

 ま、ボクもそれを狙ってきたんやけどね。ケイジの地元の神社の取材と夏祭り。こういうのも競馬雑誌、新聞のコラムやミニコーナーで出していけるかもだし、ついでに前田牧場に予約は入れて許可も貰えたんでケイジ君から元気をもらいつつ最近湧き出たという温泉で湯治と洒落込みたいもんだ。

 

 

 「おっちゃん。ケイジ君のストラップ一つ。お? なんや?」

 

 

 お土産とコレクションの意味でストラップを数個買ってカメラを回していると何やらざわめきが聞こえてきた。なんやろ。取材のネタになるか?

 

 

 「ほいほい。ちょっと失礼。しつれーい。・・・・・はぁ!?」

 

 

 人ごみをかき分けて、ちょい足場を見つけてそこに立ってみると・・・

 

 

 「ケイジ君!? なんでおるんや!? そんでその柴犬どちらさん!!?」

 

 

 何でかケイジ君がいた。この規格外のでかさ。そして十字架を思わせる流星。ファンサービスをしつつ変顔をしたりカメラの前でポーズを取るのはまさしくケイジ君。何でかリードを咥えて柴犬の散歩としゃれこんでいるけど、ホンマ何してん? 奇行はレース以外でもしていたけどここまでするか・・・というかもしかしてカギを外してきたんか?

 

 

 

 「ヒン? ひひーん・・・ぶるる」

 

 

 「お、おお久しぶりやなあケイジ君。どうしたん?」

 

 

 ボクを見つけるやすぐさま寄ってきて首をかしげるケイジ君。うん、何でここにいるって顔しているしそういう仕草だろうけど、それはボクが言いたいわ。ダービー馬で変則二冠達成かつクラシック三冠馬にリーチかけた有名人ならぬ有名馬がこんなところに誰も着けずに来たら駄目でしょ。

 

 

 「いやいや、牧場で休まなあかんでしょケイジ君。休養中でしょ?」

 

 

 「ヒィン、むふっ、フムー・・・ブルル、ワン」

 

 

 「いや、ここに遊びついでに羽休めってあんたなあ・・・」

 

 

 俺だってここに来たいんだと言わんばかりのジャスチャーをするケイジ君の、何度も取材とコミュニケーションをとっているからわかるかもな反応に頭を痛める。

 

 

 もう周りもケイジ君だって気付いているし、写真もSNSに載せたとかなんとかいうギャルや学生がちらほら。あかんわ。これ大丈夫かいな?

 

 

 とりあえず牧場長に連絡入れて早いところ連れ帰って病院と変なもの食べていないか翌日の検便、検尿させてもらわな・・・そう思っていたらケイジ君が何やら真剣な顔になって走っていった。

 

 

 その先で・・・ええ・・・!?

 

 

 「おいそこのおっちゃん! これ置いておくで! こらアカン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『だってよー俺だって祭りの空気を味わいたいんだぜ? いいじゃんよ藤井の兄ちゃんよー』

 

 

 『ケイジ~・・・お土産はあったらもらってくるって言ったのに・・・』

 

 

 『祭りの空気も味わっての祭りなの~! 幸太郎こそおいしそうな匂いに涎だらだらだったくせに!』

 

 

 いやーやっぱ祭囃子の空気はいいもんだわー。途中柱にリード付けられていた幸太郎を見つけてリードをほどいてから俺が咥えてファンサービスしながら神社目指してポコポコ。俺もお参りして感謝と報告したいし、ついでにこういう空気を味わいたいし。

 

 

 おんもしれえ人の反応見つつ歩いて、ファンサしたり写真撮って、でも飲み物や食べ物のサービスは断りつつ過ごしていたら藤井の兄ちゃんに遭遇。いやーそうは言ってもこういう空気に触れたくなるのはあるあるじゃない? 感じるだけでもサー。

 

 

 藤井の兄ちゃんもどうせうちに来るんならそのまま一緒に帰って・・・・あ・・・? 何だこの声? そんで悲鳴? まじいなあ。行くぞ幸太郎!

 

 

 『わわ! どうしたのケイジ!?』

 

 

 『蓮君と、知っている声が聞こえた! 失礼、ちょい失礼!』

 

 

 何やら引き攣った声が聞こえた方向に走り出せば見えました光景に絶句もんだぜ。

 

 

 何やら超馬鹿でけえヒグマが、蓮君と新馬戦から俺のファンである子供に襲い掛かろうとしてる。テキのおやっさん何していやがった!! そんで、蓮君は俺のファン君を庇いつつ立っているが腰が震えているし、周りの人の悲鳴を聞いたり大声を聞いてもこの熊怯まねえ。ましてや屋台の調理場の炎を見てもビビらん。人慣れしているやべえ奴だわこいつ。

 

 

 『蓮君!?』

 

 

 『あと俺のファンだ! 幸太郎! この糞グマはっ倒すぞ!』

 

 

 『・・・わかった!』

 

 

 おいゴラァ! どけや! ここは人とペット、経済動物専用道路だ! 勢いをつけての前蹴りでヒグマの前足を蹴っ飛ばして首に頭突き、幸太郎が目にタックルをしてくれて吹っ飛ばす。

 

 

 「グルルゥ・・・ガぁっ!!」

 

 

 「ビヒィ!! グルゥウォオ! ギュォッ!!」

 

 

 『この熊公! よくも楽しい祭りを台無しにしやがって!』(←一番先に祭りに騒ぎを持ち込んだウマ)

 

 

 『ケイジがそれを言っちゃう・・・?』

 

 

 『この俺が月に代わって臨界点を見せて(おしおきして)やる!!』

 

 

 「フグッ、フッフッ・・・!」

 

 

 む・・・? 動物の声がわかるがこいつ半狂乱・・・腹減っているのか、怒りで我を忘れているか・・・傷もちらほらあるし・・・んーかなり歳食った上で今が脂の乗った全盛期。そんでブチギレているか。こいつは腹くくらんとなア。

 

 

 襲い掛かってくる熊に俺がジャンプで避けようとしたらヒグマの目と舌に何やら当たってびっくり。

 

 

 「ガフッ!?」

 

 

 「ビヒィ!」

 

 

 『おらぁ!』

 

 

 「ガフッ、ワンワン! ワグッ!」

 

 

 『この!? ご主人様!?』

 

 

 その間にタックル気味で来ていた熊の上をジャンプしつつ首と背中目掛けて飛び越えながらのキックで木に目掛けて吹っ飛ばすがそれは肩に当たって不発。幸太郎もヒグマのケツに噛みついてしっかりダメージ与えたし、グッド。

 

 

 しかし正確な射撃だ。獣の敏感な部分を的確に狙ったのを音からしてエアガンでこなすとは、やっぱいい腕しているぜ。マタギのおっちゃん。

 

 

 「幸太郎にケイジ!?!!? お前ら何しているんだ! 理由は後で誰かから聞くがそいつは知り合いの猟友会の言っていたやばいやつだ! ケイジはさっさと逃げてくれ! お前さんに死なれちゃ俺は利褌さんに死んでも合わせる顔がない!」

 

 

 『馬鹿野郎! 無限の未来を、国の宝の子どもを熊の前において、ダチと知り合い置いてケツむけて逃げられっか!! この場で張り倒すんだよぉ!! おっちゃん、幸太郎。ちょい時間かせ・・・いや、その前にそこの二人連れてってくんない!?』

 

 

 猟師でも仕留めきれんかったやつね。もしかしてちらほら見れる傷跡はライフルや散弾銃のやつか。ますますここで仕留めんと駄目だわ。ここで逃がして都市部に行ったらさらにやべえ。

 

 

 「ケイジ君! ワンちゃんにおっちゃん。ほれ坊主らもここに来い!」

 

 

 「ヒン? ワフッ! ムフゥ」

 

 

 『おお、藤井の兄ちゃん! ナイスゥ! 子供らそのまま庇ってくれや!』

 

 

 「だからお前さんも来るんや・・・念のためにと車に持ち込んでいた熊撃退スプレーで今は追い払うで・・・!」

 

 

 俺の馬具を引っ張るな藤井の兄ちゃん! その子らを・・・ってあのヒグマあんな強かに木に肩をぶつけて、俺の前蹴り前足に喰らってまだやるの!? ほんと気が狂ったか、ますます怒ったなこいつ!

 

 

 あーもー! よし、いいもの見つけたし、ちょっと失礼屋台のこれ借りるぜ!

 

 

 「グォオオ!!」

 

 

 また懲りずにタックルしやがったな!

 

 

 「このっ! いいから逃げなさいってケイジ!!」

 

 

 おっちゃんの電動ガンで放ったBB弾がまたヒグマの、今度は耳と喉に放り込まれていく。弱い場所をこうも連続で喰らえば流石に怯むよな!

 

 

 「ビヒィー!!」

 

 

 喰らえ、マスタードビーム!! アメリカンドッグのトッピングマスタードをたんまりもらえー!!

 

 

 「グルゥ! ワン!!」

 

 

 おやっさんと俺の連携で怯んだヒグマの鼻を目掛けて飛びつく幸太郎。あ・・・

 

 

 「ワグッ!! キャインキャイン!! ピスピス!! キャフン!!?」

 

 

 『うぁわあー!!? 辛いよ! なんだか変だよぉお!!?なんだこれ、つーんてくる!!』

 

 

 マスタードまみれのクマの顔に噛みついた幸太郎。アワレ舌をマスタードにたんまりチョイス! 鼻を噛まれた熊はもんどりうつけど幸太郎もすぐにマタギのおっさんの所に移動しながらのたうち回る。犬に刺激物は、やめようね!

 

 

 『おどれ熊公!! 祭りのみならず幸太郎をやりやがったな!! ゆ”る”ざ”ん”!!』(←マスタード噴射した張本人というか張本馬)

 

 

 そしておのれ熊公! 今がチャンス、俺の最大の技を喰らえー!! まずは勢いよく後ろに向けてダッシュ! してからの反転しながらの加速! さらにそこにジャンプしながら体の向きを変えて

 

 

 『ケイジキックじゃー!!』

 

 

 ライダーキックならぬケイジキックをヒグマの眉間に炸裂! 馬の速度とパワー、そして俺の馬体重現650キロを乗せた飛び蹴りを叩き込めばヒグマが面白いように転がって、ゴロンと地面に転がってビクンビクンと震えて動かなくなった。

 

 

 「ヒィン?」

 

 

 「・・・えー・・・? いや、待てケイジ! そこの兄さん。ケイジの知り合いなんだろう? このワンチャンの、幸太郎の舌をこれで洗ってあげながら待っていてください。あと、私はマタギです。そのスプレーもお貸しいただけると」

 

 

 「あ、はい・・・ま、まじかー・・・」

 

 

 やったか? と思っていたがそこは油断大敵。マタギのおっちゃんがエアガンと藤井の兄ちゃんから借りた熊撃退スプレーを持って熊にそろそろと移動。

 

 

 「・・・うぉ。ライフルで撃ったとしてもこうはならんぞ・・・うん。これは死んでいるな。眉間周辺が陥没していやがる・・・」

 

 

 「子供を守って戦い、熊殺しのケイジ爆誕・・・かあ・・・あ! あのカメラ! ・・・・・・・・・・・・っし! これは特ダネ! の前にまずは牧場長に連絡するぞケイジ君。お手柄だけど、それはそれとして怒られなさい」

 

 

 『えー!!??』

 

 

 この後前田夫妻とテキのおやっさんに滅茶苦茶怒られて、感謝されたりした。雷が何度も落ちて、その後に胴上げされそうなほどに感謝されるのを短時間で味わうって早々ないよなあ。まあ、流石に少し反省。女将さんやナギコ、ジーナに泣かれそうな顔されちゃあな。女の子にゃ勝てねえぜ。熊より手ごわい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「夏祭りを守り、若き命を守り、危険な動物を退治したその勇気と強さ、心で成したこの功績を讃え、これを授与します」

 

 

 「ヒヒン」

 

 

 「ワン!」

 

 

 「はい!」

 

 

 「は、はい」

 

 

 あの夏まつりから後日。俺らで退治したあのヒグマ。やはりというか猟友会でも仕留めきれず、三つ足の猪を襲い、近所の農家さんを怯えさせていたやつだったそうで。その大きさもでかく危険視されていたいわば指名手配犯的な扱いのやつだったそうな。

 

 

 そいつを退治した上に、俺のファンの子ども、国光君。祖父が警視。父が自衛官という家系であり、馬と犬とマタギと記者がヒグマを退治したというだけでも話題になるのに更にこれもあって只今警察署で俺ら二人と二頭が感謝状を賜ることになったで候。

 

 

 警視の爺さんに自衛官の、俺をなんやかんや応援していた? 親父さんに俺のファンの国光君から揃って感謝され、警視、署長直々に感謝状をそれぞれ貰い、メダルと金一封をもらう。

 

 

 あ、そうそう。俺に関してはまた獣医のお世話になり、熊や猪の毛皮にいるヒゼンダニを媒介しての病気、疥癬も無ければ特に足元も異常なし。精々ヒグマにケイジキックをかました際に蹄鉄が壊れたくらいだ。

 

 

 なので俺の検査が終わってからの表彰式。マスコミやらメディアが来るわ来るわ。外がすっげえことになっているぜ。

 

 

 「ではケイジ君、ありがとう。そして、これは私個人の話だが・・・孫を守ってくれてありがとう。菊花賞、私も応援に行くからね」

 

 

 まあ、それはそれとして俺の番になって警視の爺様から表彰状(汚れないようにビニールで包んでいる)を貰い、ありがとさんと代わりに頬に自分のほっぺを当てる。

 

 

 で、この後は写真撮影となり牧場長のおやっさんと俺、幸太郎とマタギのおっちゃん、藤井の兄ちゃん、警視の爺様に国光君、蓮君とテキのおやっさんとみんなで撮影。マタギのおっちゃんが幸太郎の分の表彰状を持ち俺は表彰状を咥えてにっこり。

 

 

 いぇーい。お茶の間の皆見てる~? 夏を楽しく過ごしてくれよなー




 熊殺しのケイジとかいうまず競馬じゃ聞かない二つ名をゲット。オルフェのあの阪神大笑点といいこの時代実力のあるコメディアン多すぎ問題。


 ケイジ 温泉堪能してから脱走してからのまさかのクマとの喧嘩。後日捌いた熊をみんなで食べたがケイジは食べられずに馬房内で食わせてくれーと叫んでた。ナイスネイチャ大先輩に続いてワイドの紙ならぬ感謝状を咥えて写真撮影。


 幸太郎 ケイジと一緒に熊と戦い、マスタードにやられた。ちゃんと舌も無事で後日焼いた熊の肉を堪能。ウマ娘の世界だと女の子で親と一緒に東京で猟師しては前田ホテルのジビエ専門料理、珍味の肉を卸して生計を立てている。外見は白と茶色の髪の毛をした艦これの榛名。


 ナギコ 無事名前をもらう。そろそろ牧場を出てレースの世界へ。ケイジの教育のおかげですっかりマンガとアニメ大好きに。カスケードの戦いぶりにあこがれた。なんやかんや平野調教師とは折り合いがついてきた。


 ジーナ まだ臆病で自身がない内気な牝馬。最終的にはアズレンの赤城みたいな性格になって多分ウマ娘の外見は近い感じで大鳳。ヤンデレの素質マシマシ。地味に祖父世代らの血筋がやばいので血統保護と牝系の血による名牝としての可能性をかけて購入された。


 蓮君 小学生にして防御の上手さとバントの達人、足で勝負して引っ掻き回すという渋すぎる野球少年に。ケイジと夢を語り、夜にはケイジに助けられてとやたら濃い夏を満喫。後日ケイジらとクマの激闘の動画に映っていたせいで学校で根掘り葉掘り質問攻めにあう。


 国光君 ケイジを新馬戦のころに応援していた子供。ケイジに助けられ、護る姿に感銘を受けて後日自身も身体を鍛えてどちらかは未定ながら祖父、父らの歩む道を目指そうと考えている。菊花賞は駄々こねてでも応援に行くつもり。


 藤井泉助 馬関連のコラムを書きつつ温泉とケイジへの取材に来たらさらに熊とケイジ達の激闘を見るという珍事件に遭遇。祭りの様子を撮影していた資料用の映像にばっちりケイジたちの戦いの一部始終が収められていたのでこれを後日利用。会社から賞をもらい、映像もバカ売れしてウハウハ。ちゃんと温泉も味わいました。


 前田夫妻 熊とケイジの激闘を知ってショックで心臓が止まりかけた。無事に戻ってきてくれて嬉しいのとは別にしっかり怒り、そして怪我も病気も一切ないケイジの頑丈に感謝しつつも首をかしげた。熊鍋美味しかったです。


 マタギのおっちゃん まだ名前は未定。祭りで幸太郎と食べるご飯の前にエアガンくじを楽しんでいたら一等の電動ガンをゲットできたのでBB弾も購入していたらまさかのヒグマとケイジ、幸太郎の激闘を目の当たりにしてすぐさま助けを出す。実は一流の猟師。


 世間 ぶっ飛んだニュースに驚いたり爆笑したり肝を冷やしたりと反応様々。ゴルシの伊馬波さんのシャツを破いた連続記録と鹿を蹴散らしたニュースも相まって馬の認識が壊れるわ。


 もう少し夏休みは続くかもしれません。その後くらいにウマ娘エピソード。
 
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