ケイジをイラストにしてみたいけど絵心がない自分が悲しい。
ケイジの一口メモ 文学、歴史、武術全般関連はケイジ。数学、物理学、重機関連はゴルシ。パソコン、電子機器、演出はジャスタウェイがそれぞれ秀でている。共通で得意なのは料理。裁縫。屋台もよく出しては料理や小物を売っている。
「うぅーん・・・」
「毎度! そんじゃあ気をつけて帰ってなー! っし。完売! さーて・・・帰りますかねえライス。どうした?」
ライスの日本ダービーが終わり、しばらくは休養に入ったので黄金屋の出張屋台。土方のおっちゃんらや園芸の兄ちゃんらに弁当を売り歩いて無事完売。いやー夏ってことでいわしのハンバーグに大根おろしと柚子ポン酢ソース。さらっといけちゃうぶっかけうどんのメニューで攻めたがこいつは行けるぜ。
今度は山芋を入れたやつとか、チリソースと竜田揚げでも・・・と思っていたらライスは何やら顔がうかねえ。どうしたんだ?
「う、うん・・・その、シリウスの皆に応援してもらったのに、ライスずっと二位で・・・」
「なーに言ってんだ。二位、しかも周りがミホノブルボンに振り回されてへばる中食らいついて体半分まで迫っているんだ。大したもんだぜ! 新聞も菊花賞は先が読めない! サイボーグの精密なレースプランを黒い弾丸がひっくり返すか! で大盛り上がりだもんよ」
そう、ライスシャワー。アタシらのもとで鍛えてシリウス期待の新星と言われていたけども同時期にミホノブルボン、多くのライバルがいることもあってヴィルシーナもびっくりな5回連続の2位を乱発。まーさかアタシとゴルシのような状況が起こるってほんと分かんねえな?
ただまあ、そのなかでも基本アタシの練習に食らいつく、大逃げはスピカともよく練習するから大逃げ、逃げのスタイルをよく見ている分食らいついているのがライスだけなんだよなあ。他はみんなへとへと、もしくは足が痺れて力が落ちるのが多い中、だ。
「でも、そうなったら・・・ケイジさんとゴルシさんみたいに同着じゃなくて・・・勝ちたいけど、勝ってしまったら怒られないかなって。周りを不幸にしないかなって・・・」
「・・・なら回避するか? そのまま天皇賞秋に行ってもいい。あそこに行けるだけの実績はあるしなあ。ライスは中距離もそのスタミナで走り切って周りを引きずり回せるし」
「う・・・・ううん、いや。一生に一度の大舞台・・・・・行きたい・・・そして、け、ケイジさんに並ぶようなウマ娘に、シリウスの一員だって誇りたい・・・応援に来てくれたみんなを笑顔に、ライスも幸せになりたい!」
「ははは、その意気よ。それになライス、お前さんはもう不幸にするだのを気にしないでいいんだ。お前さんが歩む道をみんな祝福している。うちのひいばあちゃんも言っていただろ?」
屋台車を片付け、引きながらのんびりライスと話ながらにっこり笑えば落ち込んでいたライスも笑顔を見せてくれた。そして、ああ、この目がいい。青い炎。冷たそうでその実赤よりも熱い炎の色。気合は入っているな。
「ヒサトモさんも・・・うん。頑張るよケイジさん! ライス、菊花賞で勝つ!!」
「おうさ! そのために残していた弁当食べてから今日は寮に帰っか! でねえと怖ーい副会長にどやされちまうぜ。今までの二位が何だ、ライス。菊花賞で勝って、お前が一番強いウマ娘だって証明しようぜ!」
「おー!!」
にしし、いい感じに元気が出た。寮に帰る前に軽食として用意していたアタシら分の弁当を近くの公園でお茶と一緒に食べてこの後戻る。ライスの方は明日も練習は軽めで済ませるよう言われているし、図書館で作戦を考えるとかなんとか。
「・・・もしもし? じい? おうよ。アタシの盆栽と、刺繍した帯、腰当。そうそう、それと刀も・・・ああ? もったいない? いいんだよ。それと、明日ちょいと学校抜けっから車まわしておいてくれ。はははは、ばあやはノリノリか。そうじゃなくっちゃ♪ 明日は大脱走だぜ~☆」
『いよいよこの日がやってきました! 一番強いウマ娘が勝つレースクラシック最後の一冠菊花賞! ここまで無敗で来た機械仕掛けと思えるほど正確なラップで逃げを放つミホノブルボンが勝利を手にするのか! いやいや! このウマ娘もいるぞチームシリウス期待の黒いステイヤー! シリウスのリーダーケイジとスピカの不沈艦ゴールドシップのようにミホノブルボンに猛追し最後の一冠を手にするかライスシャワー! ほかにもマチカネタンホイザや多くのメンバーが勢ぞろい! この淀の坂、未知の距離でぶつかります!!』
い、いよいよ来た・・・菊花賞・・・うぅ・・・ケイジさんたちは応援してくれたけど、やっぱり・・・こ、怖いし・・・緊張しちゃう・・・ケイジさんの訓練や、お師匠さん達と地獄の・・・・・・地獄の・・・あ、頭まで痛くなってきた・・・オカマの魔女に変態警察・・・爆竜大佐・・・
ああ、でも、でも訓練が終わった後に皆で食べたごはんと目標を語るのは・・・凄く楽しかった。面白かったなあ・・・もう一度、今度は勝ったうえでみんなと・・・
「ライスシャワーさんを確認。今日はいいレースにしましょう」
「は、はい・・・」
『パドックから今回参加するウマ娘すべてが出そろい我々の前でその勇姿を見せつけます! おおっと!? 観客席からひときわ大きな声が上がります!』
「「「ライスー!! ファイトだー!!」」」
「「「ライスちゃーん!! 頑張れよー!!」」」
『そこにいたのはチームシリウスリーダーにして無敗の四冠! 海外でのレースすべてで大暴れをしています傾奇ウマ娘ケイジ! ジェンティルドンナをはじめとしたシリウスメンバーそろい踏み! ゴールドシップにジャスタウェイ! そして何やら周りにもへ・・・ちん・・・独特なファッションで身を包んだ方々や多くの人達が声援を上げております!』
「ケイジさん・・・おじさん達まで」
今まではなかったほどの応援が聞こえる。ライスの名前を呼んで勝ってくれと言ってくれている・・・うん、負けない。ミホノブルボンさんでも、負けるわけにはいかない!
「ミホノブルボンさん・・・ライスは、今日は勝ちます!!」
「挑戦を受け取ります。その上で私はマスターの指示通りに勝ちます」
『互いにライバル同士! かつての傾奇者と不沈艦を思わせるような宣言をしてからのそれぞれがゲートに入ります』
ゲートに入るまでの短い時間。息を整えつつ心を高める。勝てるんだ・・・この作戦なら・・・ここまで逃げないでこれたライスなら・・・みんなが信じてくれたライスなら・・・!
『全員がゲートに入りました・・・・スタートしました! 菊花しょ・・・・おぉ!!? どうしたことだライスシャワー!! まさかのロケットスタートからのミホノブルボンを追い越しての逃げ、いやこれは大逃げだぁああ!!?』
いつもミホノブルボンさんの走りはじっと見ていた・・・それと同じくらいにほかのウマ娘のレースも・・・全部比較した。いつものびのびと後ろや好きな位置につけていたみんながミホノブルボンさんの逃げで引きずり回されるとやりたいスタイルが出来なくて、焦れたり、怖くてすぐに疲れちゃっていた。
だから、まずはそれをする・・・! サイボーグが相手なら、読めないことをすればいいっていうケイジさん、ゴルシさんのやり方を!!
「っ・・・!!」
『しかしそれでも逃げのスタイルは私が一番だと猛追を仕掛けるのはミホノブルボン! 淀の坂でライスシャワーをすぐにとらえて抜き去る! いやライスシャワーも続く形で離されない!! 先頭の二人のたたき合いのハイスペースなレースとなります! ほかのウマ娘たちは既に4バ身差をつける形! さあそのまま叩き合いを続けてコーナーに入っていきます』
「ふっふっ・・・ふ・・・・・ふー・・・」
(ケイジの怖い所ですか? ・・・皆が速度ばかりを言いますが、何より私はコーナリングですね。緩かろうが、きつかろうがどんなコーナーでも自身は息を入れつつも加速をして、何時もいい位置を取る。出来なくても回復してロスを少なく仕掛ける脚を溜める。これが私は恐ろしいです・・・ケイジより小柄なライス。貴女ならそれをすぐにものにできるでしょう)
まずは・・・まずは坂を一度越えた。そしてそのまま坂の無い直線で・・・少し加速!
『コーナーを越えたところでミホノブルボン、ライスシャワーを引き離して2バ身! しかしライスシャワーと後方の位置は既に6バ身! ホームストレッチでは例年まれに見れる最初からのたたき合いにこのハイペースの試合に湧いております!!』
「「「ライスー!! いいぞー!!」」」
「「「負けるなミホノブルボン!! 勝ってくれー!!」」」
「いいぞライス! あーっははははははは!!! アタシの大逃げを使うとは! っくく! まだまだ先は長い! 気ぃつけろよー!!」
「面白いもん見せてくれるじゃねえか! 頑張れライス! 勝ったら焼きそば奢ってやるぞー!!」
「ライスちゃーん! 頑張ってくれぇ―!!」
あ、芝の整備をしていたおじさん達・・ケイジさんにゴルシさん! あんなに手を振って、は、鉢巻きに専用の法被・・・・! うん・・・ライスのこと、応援してくれるんだ!
『ライスシャワーが再び息を吹き返すようにミホノブルボンに迫る! 彼女とここまでのたたき合いを演じるのはやはり黒き弾丸ライスシャワーだけか!? 1000メートルタイムはなんと58秒7! こ、ここまでハイペースな菊花賞になるとは!? これはかつてのケイジとゴールドシップの激闘の舞台となった伝説の菊花賞のレコードに迫るタイムも期待されます!!』
まだまだ・・・! もっと追い込む! 仕掛ける! ここのコーナーで一気に・・・!
『さあここでライスシャワーがいよいよミホノブルボンを捉えて先頭! そのまま第一コーナーから第二コーナーへと入ります! そして見えてくるのは二度目の淀の坂! 心臓破りの坂がかわいく見える二度目の試練! この高き壁を前に全員の脚が鈍らずに超えられるか!!』
もっともっと伸びないと・・・仕掛けないと・・・出ないと勝てない・・・! ミホノブルボンさんに・・・!
「ターゲットのスタミナ疲労を確認。直線での仕掛けが有効・・・今です」
『ここでミホノブルボンがペースを上げてもう一度ライスシャワーを追い抜いたあ! やはり菊花賞の勝者はサイボーグミホノブルボンになるのか! ライスシャワー! 明らかに足色が落ちて後方集団に飲み込まれかけています!!』
あ、ああ・・・ミホノブルボンさんが行った。ここまではいいのに・・・あ、足が予想以上に・・・慣れない逃げで消耗しちゃった・・・スタイルも叩き込んで、スタミナを伸ばしての自信作だったのに・・・ライスがついてこれないなんて・・・やっぱり私は・・・
「・・・・・・・・よーし・・・皆ぁ!! 旗ぁ上げろおおお!!!」
「「「オォオッ!!」」」
『何でしょうかこれは!! 京都レース場にはためく大量の旗!! これは全てがライスシャワーの、シリウスの応援旗!! 観客席の一部を埋めるほどの大量の旗! そして歓声がひときわ大きく、熱くなっていきます!!』
「へばるなライス!! そんなところでへばるような女じゃあ! ウマ娘じゃねえってのはアタシが一番よく知っているんだ!!」
「負けねえでくれライスちゃん! 捲れ! 捲れぇええええ!! もう少し、あともう半分を過ぎているんだ!!」
「そうよライスちゃん!! 貴女の笑顔を、歌をまたセンターで聞かせて頂戴! 欲しかった優勝トロフィーを抱えた姿を撮影させてぇええ!!」
「うぐぉっ・・・! そうだライスちゃん! 君の目指したGⅠの勝利は、話してくれた夢はもう少しなんだ!!」
皆・・そうだ・・・まだ終わっていない! 頑張ってシリウスに入ったのも、中央トレセン学園に来たのも、ここに挑んでいるのも・・・全部全部・・・弱いライスを変えるためなんだ!! ここで負けて終わるような自分を変えたくて、不幸を潰したくて来たんだ!!!
『シリウス、ライス応援団の涙も交じるほど熱いエールがライスシャワーの背中を押す! 旗がちぎれんばかりに振られて輝く! そして淀の坂でミホノブルボン失速!! 黒き弾丸が再びサイボーグの走りを壊していく! そうだ!! この舞台はミホノブルボンのだけではない! ライスシャワーもまた彼女に食らいついてきた一人! クラシック三冠を求め未知の舞台へ乗り込んできた挑戦者だ!!』
(ケイジのやべーところか? そうだなあー・・・飯がうまいし喧嘩もつぇえ。そして、うん。あいつはさ、笑顔で期待も夢もしょい込んで、その上で心底嬉しそうに戦うんだ。その上でレースで戦う皆を尊敬している。だからだろーなぁ・・・あいつとのレースはいつだって待ち遠しくてしょうがねえ。ひたすらに楽しそうに、タブーも非常識も蹴り砕いて走りぬく姿に皆惚れこんじまうんだろうぜ)
淀の坂・・・こんなの! こんなものでライスは止まっちゃだめだ! ここを超える! ほかの皆が焦るほどの大逃げ! ついてきてスタミナを使ったところでこっちは直線で脚を残して・・・ここをもう一度加速するんだ!! ミスターシービーさんが、ゴルシさんがしたように!
『な、なんていうことだ!! ライスシャワー淀の坂でさらに加速! そして坂を更にもう一度加速を仕掛けていく!! これはまさかのタブー破り!! ミスターシービー! ゴールドシップ!! そしてケイジに続いてこの淀の坂を自らの武器として利用!! いよいよミホノブルボンと距離を広げていく!!』
ここからは脚を残すために坂の加速のままだけ! コーナーを使うために少し内枠を広げて負担を・・・・・・・ッッ!!?
「システムイエロー・・・ですが・・・・勝利のための許容範囲と見て加速を続行します・・・!!」
『し、しかしここでミホノブルボンまさかの坂を直下降!! まさかのケイジのあの峠攻めをしてくるのか! あっという間にライスシャワーに迫り! 空いていた最内に飛び込んできた!!』
まだ、まだ・・・これをしても食らいついてくるの!? 息は切れているし、汗だくで苦しそうだけど・・・それでもこの速度を・・・! い、いやだ! ここで負けるのは嫌だ! あともう少し、もう少しでGⅠに、クラシックに手が届くのに!!
「負けません・・・マスターが・・・お父様が・・・皆が私を応援してくれている・・・!! その期待に! 三冠ウマ娘になって見せます・・・!!!」
「う・・・ぅう・・・!」
普段の無表情・・・静かな雰囲気、顔つきじゃない。鬼気迫る、この人が見せる気迫に、声に押されそうになる。これがミホノブルボン。わかっていた。あれほどの正確なラップ。キレが鈍らない脚は本当に鍛錬の積み重ねだって。サイボーグ・・・それを超えるほどの力を持つほどに鍛えたんだって。だからライスも、ほかの皆も届かなかった。
けれど今は負けない。そのための策を用意したのに、鍛えたのに、技を覚えたのにまだ届かないの! 一番の仕上がりなのに、一番今脚が動いているのに、それでも勝利がするりと・・・・
「ライスゥウー!!! そのまま走ってこーい!!!」
ケイジさん!?
(ケイジが強い理由? そんなの簡単。夢追い人だからっしょ。どこまでも力強く、どんなに強いライバルや相手がいても見えている目標のためなら戦う。夢に恋した乙女だからこそ。ああもやり切れるんだろうなあー熱いけど、こういう香ばしさは嫌いじゃないよね)
『互いに並んだまま伸びない! させないまま最後の直線に入る! 抜いては抜かれてのこの勝負もいよいよクライマックスを迎えました!! 互いにギリギリまで攻めたコーナーで叩き合い!! そうだ! これが菊花賞! もっとも強いウマ娘が勝つ!! このたたき合いを征していける強さを見せてこそ栄冠を手にするにふさわしいのだ!!
互いにまるで固定されたかのようにピタリと差が広がらない! 意地と根性と! 最後の一冠をかける執念のぶつかり合い! にらみ合いながらもゴールを見据える二人!』
「勝てッ!! ここまで頑張って!! 泣きながら、苦しみながらでも来た時が報われるときなんだライス!! 勝って本当のヒーローになってしまえよライスシャワー!!!!」
「勝ちなさいライスシャワー!! 祝福の名を持つ最強ステイヤーは貴女だけ!! 私たちチームシリウスが認める幸運の証なのよ!!」
「「「「差し返せライスシャワー!!!」」」」
ケイジさん、ジェンティルドンナさん・・・オルフェーヴルさん。皆・・・!!! うん・・・うん!! 負けない! ライスは! ライスシャワーは・・・・・・
『祝福』の名前を持つ・・・『ヒーロー』なんだっ・・・!!!!!
『なんとライスシャワーここでさらに二段加速を見せた! ミホノブルボン粘るが届かない! これが黒き弾丸! これこそがシリウスの一員!! これこそがライスシャワー!!! 無敗の二冠ウマ娘ミホノブルボンを破って今ゴールイン!! 長かった・・・そして欲しかったGⅠの栄冠を手にしましたライスシャワー! 京都レース場から祝福の声が彼女を包み込みます! 無敗の二冠に届く強さを、最強は一人だけじゃないんだと己が足をもって見せました!! タイムは・・・2分59秒6!!? まさかまさかの! ケイジ、ゴールドシップのコンビが手にした菊花賞同着にしてワールドレコードを更に0コンマ2秒更新!! もうこれは刺客じゃない! シルバーコレクターでもない! まさにヒーローの誕生です!!』
やった・・・! やったよみんな!! ライスは・・・ようやく一冠を、菊花賞を取れたんだ!!
『秋の京都レース場に色とりどりの旗が力強く天を突いてはためきます!! それは祝福のための旗! 欲しかった栄冠を手にしたウマ娘がいることを示すもの!! この時代はまだ分からない! 紙吹雪舞う中シリウスのメンバーがレース場に飛び込んでいきます!』
「やったじゃねえかライス! しかもアタシとゴルシのレコードまで超えやがって! 最高だぜ!」
「流石ですよライス・・・ああ。ようやくほしかったものが手に入りましたね。ふふ・・・初GⅠの気分はどうです?」
「わははは! あの大逃げからの差し。じゃなくて差して逃げるへのシフトチェンジってやべえよお前。楽しく勝負できそうだし、今度はしろーぜ!」
「う”ん・・・うぅ”う”・・・ありがとう・・・ありがとうぅ・・・皆ありがとう・・・嬉しい・・・ライス、本当にうれしいよぉ・・・」
シリウスと知り合いのおじさん達、おばちゃんたち。そしてスピカのゴルシさんとジャスタウェイの皆。アタシを祝福して、そして観客席の皆がライスの名前をコールしてくれている・・・ああ・・・やったよ・・・ライスが頑張って、見たかったのは、目指したのはこれなんだ・・・!
もう。しっかり見たいのに、全部聞き逃したくないのに、自分の涙とそれを聞き取っちゃうせいでかすんで、潤んで見れないよ・・・聞こえないよ・・・
「ミホノブルボン、そしてみんなの戦いあってこそのこの菊花賞! 無敗は途切れたがまだ終わりじゃねえ!! アジアマイル三冠! 欧州マイル三冠! 秋三大レース三冠!! 春三大レース三冠!! ステイヤーズミリオン! 三冠はこれだけじゃねえ!! ミホノブルボンも! ライスシャワーもまだまだ目指せる三冠は! 大舞台はこれからもある!! だから今はみんなから歓声を受けて、ファンサービスの時間でい!! ほい失礼!!」
「きゃあっ!?」
「っ!? な、なにを・・・」
『おっとケイジ! ライスシャワーとミホノブルボンを両者肩に乗せてスタンド前の中央に立つ! 今年のクラシック三冠を大いに盛り上げた二人! 精密な逃げは誰もが届かない! 無敗の二冠ミホノブルボン! もうシルコレとは言わせない! 菊花賞を手にした黒い弾丸ライスシャワー! その二人をケイジが! シリウスが祝福するように囲み、今右手を構えた! これはあれか! あれをするのか! 観客の皆さんもそれを察してか拳を構える!!』
「・・・む・・・足を怪我してんなブルボンちゃん・・・すぐに手当てするようにするからちょいと我慢してな・・・ さぁー皆! 無敗の二冠に最後の一冠! 互いに冠を分け合った二人の王者! だがまだ終わりじゃねえ! これからの二人! そしてここで未知の距離を戦い抜いたウマ娘全員の更なる飛躍! そしてこの勝負の健闘をたたえてお手を拝借!! ジェンティルちゃん。アタシ両手ふさがっているからよろしく♬」
「もちろんよ。じゃあ・・・皆さん準備はオッケー?」
「「「もちろんでーす!!」」」
ジェンティルドンナさんが拳を構え、ライスも、ミホノブルボンさんも拳を構える。あのパフォーマンスをできるなんて。ああ・・・今日は最高だ
一度拳を突き出す
「「「「オウ!!!」」」」
もう一度拳を突き出す
「「「「オウッ!!!!」」」」
そして、乱れていた息を整えつつ思いきり息を吸い込んでいき、嬉しさを、喜びを全部見せつけるように吐き出す。
「「「「ぃいよっしゃぁあああああああああ!!!!!」」」」
「「「「ウォオオォオオッ!!! ラ・イ・ス!! ラ・イ・ス!! ブ・ル・ボン!! ブ・ル・ボン!!」」」」
『鳴りやまないライスとブルボンコール!! そうだ無敗の三冠とはいかずとも同時代の王者が二人誕生した! その二人が、いやこの世代がこれから挑むのはクラシック、ティアラを越えた怪物たち、強者たちのひしめく舞台! その中でも戦えるであろうことを見せた全員への確かな賞賛と声援がレース後の疲労した身体に染み込んでいく! そして観客もウマ娘の皆さんもここで終わりじゃないぞ!? ウイニングライブが待っている! そこまでの体力と喉をしっかり残さないともったいない!!』
ライスは! ライスだって誰かから祝福をもらえる、幸せにできるんだ。ああ・・・今日は最良の一日だよ。ありがとう・・・みんな・・・・ありがとう。ミホノブルボンさん。みんな・・・ライスは、幸せ。
「~♪ ー♬ ~♫♩」
「ほっほっほ。すっかりぐっすりですなあ皆さん。お嬢様の口笛のおかげでしょうか?」
「ライスとブルボンちゃんの走りが・・・いや、あそこで戦った皆、そして、あのレース皆の熱気、ライブだよ。あそこまで盛り上げるなんて傾奇者と言われるアタシが顔負けしちゃうぜ」
ライブも終わり、アタシの家のリムジン、そこにライスとアタシ、ジェンティルドンナを乗せて運転はじいに任せて移動。少し移動時間は休めるように持っていた楽器と口笛でワイルドアームズ の荒野〇果てへを口笛とギターのみのアレンジを演奏していたら二人ともぐっすりすやすや。役得だねえ。
ブルボンちゃんはやっぱあの淀の坂を加速しながら走って、更にはアタシらみたいにコーナリングに長けているわけではないのにあれ程の無茶をしたので足を壊していた。急いで地下で手当てと鎮痛剤を打ち込んでこっそり担架で運んでおいたからすぐ治るとか。
「ふふ。お嬢様ほどのショーガール早々はいませんよ。しかし・・・あの最後の加速。凄まじいものを感じましたな」
「あれはアタシらも勝負したら勝てるかわからない。それに・・・下手すると今回で一皮二皮むけたかもなあ。大化けしたやもしれん」
菊花賞での大逃げ、からのほかをへばらせて再度の逃げと差し。セイウンスカイのそれに近いが、淀の坂まで利用して、そしてアタシのコーナリングまでもをしっかり使ってのあれだ。ステイヤーゆえのスタミナとコーナーで息を入れてのハイスペースレース。あれは覚えれば今後中距離。1800くらいまでなら優に射程圏内を伸ばせる。
ドバイに連れていくのも面白そうだなあーそれとステイヤーズミリオン。
「この年になっても尚滾るものを見せつけられるとは長生きするものですなあ。ばあさんは悔しがりそうですよ。生で見たかったと。ささ、つきましたぞお嬢様。皆様を起こしましょう」
「あいあい。おーい皆起きろー」
「んにゃ・・・どこぉ・・・ほふえ・・・」
「くふぅ・・・ああ・・・ついつい眠ってしまいました・・・あら。お寿司屋さん?」
ついた場所は超神田寿司。アタシにとってはもう一人のひいばあちゃんみてえな人がいて、顔なじみの板前と警察官、子供がいるまあ行きつけのすし屋だ。
「ライスのファンがいて、今日はぜひ菊花賞の祝いをしたいということでな。お邪魔するぜー」
「おおケイジ! ライスシャワーにジェンティルドンナも。待っていたぞ」
「久しいねケイジ。そしてこの子がシャダイの子だね?」
そこにいたのは夏春都ばあちゃんと両津・・・げふん。もとい浅草一郎。通称イチローだ。すでに寿司と吸い物の香りが食欲をそそるってもんだ。
「あ、はい・・・ら、ライスシャワーです・・・あ、あの」
「擬宝珠夏春都だよ。ふぅん・・・・・なるほど。いい子を持ったねリアルシャダイも。ライスちゃん、今までの努力も苦労もあったからこそのあの祝福だ。おめでとう。長い旅だったろうに、本当に頑張ったね・・・今日は是非とも祝わせてもらおうか」
流石長くウマ娘の戦いの歴史を見てきた古老。すぐにライスの目から何かを感じたようで。そんでまあ、アタシもアタシで。
「今夜はアタシのおごりだ。イチローにい、夏春都ばあちゃん。これでありったけ!」
「そんな札束今はいらないよ。アタシが奢ると言っているんだ。ケイジ、さっさとそれをしまいな」
「あぁん? 何言ってんだ! ちゃんと店に金払って飯食うのは筋だろうが! アタシのチームの親友が勝った祝いだ! 奢らせろってんだよ!!」
「今日くらいは甘えてただ飯食いなじゃじゃウマ娘!! 年長者がこういう時に気合入れないでどうするんだい!」
「それを言うのならリーダーがこういう時に振る舞わねえでどうするってんだ!」
「こっちもだよこの破天荒が!! こういうところは本当にヒサトモに似てしまって!!」
ったくほんとこのばあ様元気すぎんだよ!! 店貸し切りにしている分少しくらい払わせろってんだ!! 最初に渡そうとした金も突っぱねやがって!!
「やれやれ、相変わらずあの二人は・・・さて、ライスちゃん。何から食べる?」
「えっと・・・イチローさん? でいいですよね? じゃあ・・・マグロの赤身!」
「私は鯛を」
「わしは卵とイカを。いやあ、久しぶりの寿司ですのお」
しばらく夏春都ばあ様と言い合いからの薙刀を使っての打ち合いしそうになっていたらライスに止められてみんなで改めて寿司を食べての少人数での宴会を開始。
まーライスが食べながら泣くのなんの。こんなに泣いちゃあムラサキなしでも塩味しそうだなあ。ここの醬油もわさびもいいものだし、ぜひぜひ涙を拭いて笑顔で食べてほしいねっと。塩も甘いやつとかあってすげえのなんの。
ともあれ、おめでとうライスシャワー。これからもたくさんの祝福をもらう旅路を進んでくれるように。
この世界のライスはケイジとゴルシ(互いに強化済み)の因子、戦い方をインストールしています。なので体も少し柔らかくなっていたり。後スタミナ、パワー、根性はさらにドン。
ケイジ 自分の持っている小さいころから手入れしていた盆栽(時価数百万)その他もろもろのものを売って資金を用意して知り合いの会社、関係者に声をかけてチケットを用意するからぜひライスシャワーの応援に来てほしいと頭を下げていた。レコードまでも更新されて最高。超神田寿司を夜貸し切りにしてライスの祝いを企画したりと裏でいろいろしていました。
ライスシャワー 完全覚醒。眼に青い炎が宿り、色々インストール完了。ケイジのしごきをもらっているので靴を20足以上潰してしまう。しょうがないのでケイジが自衛隊の方に頼んで靴は特注で頼んでプレゼントされた。超神田寿司でお腹いっぱい寿司を食べ、あまりに一日泣きすぎたせいで後日目もとがすごいことに。ケイジに爆笑され、ジェンティルドンナからサングラスをもらって隠していました。
浅草一郎 あの日本一愛されて有名な警察官。もとい今は板前。ケイジの頼みに自身からも夏春都に頼んで店の貸し切り。もてなす板前として寿司を振る舞う。ちなみにこの後ケイジが夏春都から押し返された札束をもらい、一緒に寿司のネタ仕入れと急な板前登板ありがとうということで臨時ボーナス扱いとしてさらにお金を貰った。
夏春都 超神田寿司のスーパーおばあちゃん。ケイジとは赤子のころから知っていて、最早自分の孫みたいなもの。ヒサトモとは竹馬の友であり、一緒に違う道ながらも支え合い、励まし合いながら進んできた。ライスシャワーの祝勝会を心から喜ぶ一方でちゃっかりと後日超神田寿司のブログにこのことを書いて写真を上げ、店にはシリウスメンバー全員のサインを飾るなどして大儲け。ケイジ曰く「やっぱこのばあ様怪物だわ」