ハジケリスト世代だろ! (完結)   作:零課

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~出発前~


 利褌「うーん。ミスキュービーは良い名前だと思ったけどなあ」


 ケイジ『淫獣扱いされそうだって。ミス・QBだしよお』
 (〇×クイズのようにいい名前なら〇の看板。だめなら×の看板を出していたりした)


 女将さん「まあまああなた。ミスにこだわらずに縁起のいい名前にしてもいいんじゃないかしら?」


 利褌「ふーむ。そうなると・・・日米の名馬、大牝系の血を何方も引いているから姫、巫女ということでヒメミコ」


 ケイジ「ヒンヒン『いい名前。もう一声』」


 女将さん「日米の名門お嬢様で日本育ち・・・なら、これはどうでしょう? もう一度羽ばたいてほしいということで」
 (鳥の図鑑を見せる)


 利褌「キジ・・・よし。そうだな。ジーナの名前はキジノヒメミコにしよう」


 ケイジ『いい名前じゃん。俺もいいと思うし、日本の国鳥で姫様がどれほど頑張るか。的矢さん頼むぜー』


世界の大舞台へ ドバイDF(GⅠ)

 「いやはや、まさかここまで愛されているとはなあ。ケイジ君もう世界の大スターじゃないかあ?」

 

 

 『かねえ? 久保さんもよかったじゃねえの』

 

 

 どうも、無事にドバイ、王族の方々、そしてドバイミーティングのレース主催者らの運営する厩舎に無事これたケイジだよん。ゲスト用の厩舎だけどさーうん。豪華さが何もかも違う。ドーピング対策用の検査道具や、馬の体調を気遣うための空調。必要なら外部を遮断して馬房に冷房や暖房を使って温度調整もできるとかこれマジ?

 

 

 いやはや、流石王族、世界でも指折りの賞金額を持ち文字通り世界最強決定戦の一つのレースを同じ日に開催する国は違うなあ。

 

 

 「まさか一緒にあんなことをして、しかも本人が超ノリノリでSNSに動画をあげるもんだからなあ。俺もサイン色紙を渡すことになったし・・・真由美ちゃんも呼ぶべきだったかなあ」

 

 

 『だなあ。お礼にとあちらからもサイン貰えたし、俺らのサインコレクション増えたし』

 

 

 俺らが入厩して、あれこれの準備を済ませていたら王族の方が来て、あれこれ会話をテキのおやっさん、松ちゃんらと開始。俺も顔を出してそばで聞いているとグッドルッキングホースという単語が聞こえたのですかさず変顔。それで噴出した王族のおっちゃんのリアクションを見て今度は笑い返してからのハリセンでペチンと緩くツッコミを入れた。

 

 

 そんな様子を動画で取っていたおちゃめな秘書さんはあの名作ドラマ「お〇ん」のファンで、その時代あたりの日本のテレビ番組を調べていくことにはまり、アニメ作品とドリフのファンだったらしく、これが志村さんのサイン入り特製ハリセンだとわかればぜひ欲しいと言われてのじゃあと志村さんにメール打ってからの許可を得ての交換成立。

 

 

 後日すんごいのをくれるとかなんとか言って。互いにハグ。俺はほおずりして別れるという一連の流れというか騒ぎがあった。これを聞いた利褌のおやっさんとジェンティルちゃんらの陣営どんな顔するんだろな。王族の皆さんのフランクさとフットワークの軽さに。

 

 

 「ま、とりあえず不安だった飛行機遠征によるストレスも無さそうだし、今日は軽くレース場の芝を歩いてから休もうか。本格的な最終仕上げは明日以降。ケイジもゆったりしておくんだぞ。読書用のクラシック音楽メドレーかけておくから」

 

 

 『へーい。久保さんも買い物とか出費気を付けてなー』

 

 

 「ケイジも今日は流石に脱走するんじゃないぞ。我慢したら面白いお土産あげるから」

 

 

 流石にしねえよ。正直飛行機酔いするからってアニメや漫画読めていなかったからそれを読み返すぜ。あふぁー・・・あと、ここ居心地いいから眠くなるわぁー・・・馬房のカギも良し、奥の方でゆったりするかあ。

 

 

 

 

 ~2013年 3月9日~

 

 

 メイダン競馬場 ジェベルハッタ(GⅠ)

 

 

 芝1800メートル

 

 

 『(現場ドバイのアナウンサーさんの実況です)ケイジの大逃げで先頭から最後尾までおよそ30馬身! こんなハイペースなレースは見たことがないぞ! 終始好き放題に引きずり回すケイジの滅茶苦茶なレース運びに名の知れた名馬たちも足が重い!』

 

 

 『ミルキーホワイティー、アストラゼネック追いかけるが最早馬身差が圧倒的! これがケイジか! ジャパニーズサムライホースか! 全く鞭を使わない! それでも誰も追いつけない!! 影すらも踏ませやしないのか!?』

 

 

 『鹿毛の怪物はここでも魅せてくれた! ケイジそのままゴール!! 二着との馬身差なんと13馬身! タイムはなんと1分43秒2!! なんということだ! 1991年から更新されていない1800メートルのワールドレコードをコンマ2秒更新! これは強いぞケイジ! ドバイミーティングにもぜひ出走してくれ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ってことがあってなあ。久保さんも金の自販機に興奮ついでに今まで俺が獲得した賞金の一部からでた厩務員らの担当馬の賞金ボーナスでなんか買い物したんだってさー』

 

 

 『色々ありますのねえ・・・さすがは世界でも指折りの大都市、富豪が集う場所ですわ。お父様もここで戦ってみたかったでしょうねえ』

 

 

 ドバイのレースもまた格式高い、凄いレースが多いしねえ。日本近代競馬の結晶がここでも・・・・・・あれ? でもディープインパクトの血って確か日本っつーか両親とも海外の・・・・やめよう。まあ、引退が早くなければここにも来たかもだけど、確か蹄が薄いと聞いたし、消耗をして病気になるよりは元気に引退してゆったりしたほうがよかったかもね。実際種牡馬としても凄いし、普段はのんびり優しい性格だそうだし。

 

 

 『んまーその戦えなかった分はジェンティルちゃんが頑張ればいいんだよ。日本最強の天馬はここでも戦える。勝利できる器なんだって見せつけちゃえばいい』

 

 

 『ですわね。それにしても、ここはいい場所ですわねえ。そちらの新しい馬房よりもずっとすごいですわ』

 

 

 『そりゃあ一国の、大レースを開催するすげえ人らの所有する馬房だ。俺らみたいな小さな牧場と比べちゃあ困る。お風呂まであるとはなあ』

 

 

 ああ、そうそう。俺が出たレース、ジェベルハッタの勝利から数日後にジェンティルちゃんも無事にここへ入厩。その後やっぱりドバイの王族が来てくだすってジャパニーズダブル三冠馬と写真を撮ったりで愉快に過ごしてから差し入れにリンゴとにんじんをバケツ一杯くれた。有難い有難い。

 

 

 ジェンティルちゃんも飛行機遠征で少し疲れているようだし、ここで疲れを抜いてほしいわねん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よし・・・いよいよだなケイジ。この日が来たぞ」

 

 

 「ヒヒン」

 

 

 いよいよやってきたはドバイミーティング。国際招待の大レースが一日でなんと9つも行われる。世界中の芝もダートも問わずに名馬たちがやってきて一日中その戦いを見れるという馬好き、釣りキチならぬ馬キチにはたまらねえぜな一日。

 

 

 そしてホースマンたちからすれば間違いなく世界最高峰の騎手、馬の名誉と規格外の賞金を手にできるチャンスをめぐって戦う一日だ。

 

 

 ここで戦って勝利をした馬たちは、騎手たちは後にも大きな結果を残していることからも縁起がいい。俺にとっても世界へ二回目の顔見せってな。待ってたぜ!

 

 

 『松ちゃんも調子は良さそうだなあ? 俺も毎日の検査で不調は無し、ドーピングも食材には毎日皆がすげえ気遣ってくれて問題なし。行こうぜ』

 

 

 舌をぺろぺろしながらコクコク頷いて微笑む。一緒に馬鹿しに行こうや。

 

 

 『・・・・・・そうよ、私はジェンティルドンナ・・・天馬の娘、凱旋門賞馬も三冠馬も倒したの・・・行ける。行けるのよ・・・ああ! 邪魔しないでテキ! 今集中しているの!!』

 

 

 「うーん・・・ジェンティルちゃんカリカリしているね。気負い過ぎていないかな?」

 

 

 『だなあ。ここしばらく馬の面白エピソードや歴史を寝る前の読み聞かせみたいにして緊張ほぐしていたけど、まあ当日はこうなるよなあ』

 

 

 ただ、ジェンティルちゃんはかなり緊張している。まあ、厩舎の皆さんも世界一、とかすごい賞金とか、期待を感じていたりレースが近いのを感じてイライラしていたもんなあ。こればかりはしょうがないが、うーん。もったいないし。

 

 

 『松ちゃんちょいたんま。降りて降りて』

 

 

 「おっ、どうしたケイジ、ふちょ・・・ではないな。降りろ? そんでここに立て? 分かったから引っ張らないでくれ」

 

 

 少し今日の調子を確かめるために乗っていた松ちゃんを下ろしてジェンティルちゃんのいる方に立たせる。

 

 

 ほいほい耳をすごい勢いで上下にピコピコピコ高速で動かしまーす。

 

 

 『おーいジェンティルちゃーん』

 

 

 『なんですのよ・・・』

 

 

 『あ、カトちゃんっペっ』

 

 

 『ぶふぅっ!? ぶふ・・・、な、何をしていますのよケイジ!?』

 

 

 「ぷふ。相変わらずいい顔をするよお前は」

 

 

 耳を動かす勢いを増しながら目を真ん中に寄せながら舌を鼻先に上にあげてぺちょんと着けながらの顔芸を見せればジェンティルちゃんも松ちゃんも周りも吹き出してくれた。よっしゃよっしゃ。受けたわ。

 

 

 『まあー落ち着きなさってジェンティルちゃん。ジェンティルちゃんは来年もここに行ける強さを持っているし、お前さんほど強い馬はぶっちゃけ出るレースの牡馬たちにも引けを取らん』

 

 

 『わかっていますわよそんなの・・・でも、でもどうしても』

 

 

 『気持ちは分かるぜ。だからこそリラックスして頑張ろうや。この一戦で終わりじゃねえ。ジェンティルちゃんの道はまだ続くんだ。その中でいかに美しく生き飾ることが肝要。この浮世での生こそ一世一代の大博打! 元気ならあとでミスは取り返せるんだ。俺も手伝うし、な。笑っていこうや』

 

 

 なあにジェンティルちゃんのネームバリューはこの戦いの結果だけで落ちるもんじゃあねえ。そもそも牝馬でありながら牡馬も騙馬も関係なくちぎる時点で規格外。そしてJCからのこのドバイに行けるほどに自身を持たせる馬だってのはみんなが知っていらあ。

 

 

 だからこそ怒る顔もかわいいが、笑顔と気合の入った顔の方がいいぜー?

 

 

 『・・・ふん。なら、しっかり私の前のレースで勝ちなさい。でないと承知しないわよ?』

 

 

 『おーおー怖い怖い。そんならいざ出陣しましょうかねえ。行こうぜ松ちゃん。世界を取りに行こうか』

 

 

 「お、よしよし。行こう。ドバイでの、ドバイまで来てくれたファンの皆さん。そしてライバルたちに見せつけに行こう。お前の強さをな」

 

 

 話すこと話したんで松ちゃんの袖を引っ張ってそのまま移動。ジェンティルちゃん陣営もジェンティルちゃんがカリカリしなくなったので安心して馬具や諸々の用意をしていく。

 

 

 「ありがとうケイジ君。後でリンゴとバナナ奢らせてくれ」

 

 

 『それは気持ちだけ受け取ろう。リンゴとバナナは貰ったうえでそちらの貴婦人殿に労いと勝利祝いに渡すんで』

 

 

 「・・・松風君。ケイジはなんと?」

 

 

 「うーん・・・多分。それはジェンティルちゃんにあげるよ。じゃないですかね? きっとケイジは確信していますよ。ジェンティルドンナの勝利を」

 

 

 あたぼうよ。間違いなく世界最強牝馬の一角に立てるぜあの子は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『皆様、いよいよこのドバイミーティングも大詰めに差し掛かってきました! しかし興奮は冷めやらぬ! それもそのはずだ! 今年のDFとシーマクラシックはなんと日本から来た同世代のトリプルクラウン、ティアラを手にした三冠馬ホース、ジャパニーズサムライボーイとナデシコガールが参戦だ!』

 

 

 さあ、始まったぜドバイDF、1800メートルというマイルと中距離の間くらいの距離のこのレース。その分マイル、中距離何方でも問題なく戦える強さ、要は器用さとこの珍しい距離でいかにして馬の力を出し切れるかが求められるこのレース。タイキシャトルとか、トウカイテイオーとか、ダイタクヘリオスあたりなら結構相性いいんじゃないかなここ。

 

 

 『その先陣を切り抜き、ナデシコガール、ジェンティルドンナにいいバトンを渡せるかサムライボーイケイジが先鋒を務める。馬体重は654キロでプラス1キロ。何というでかさ! これはジャイアントホース。そしてぐっと・・・ぶふぅ!!? な、ナイスるっきんぐホースではないでしょうか・・・くく』

 

 

 「ケイジー!! またお前はわちゃわちゃして変顔を・・・二本足で立つんじゃない!!」

 

 

 『いいじゃねえの。花舞台、大舞台! しかもジェベルハッタとは違って一日中世界の猛者たちでの祭りだぜ!! 楽しんで、楽しませてなんぼよぉ! というわけでケイジでございまーす(サザ〇さん風)』

 

 

 今回は利褌のおやっさんとテキは馬主席っつーか来賓席に。そんでパドックでの手綱を握るのは久保さんだ。俺はおれでみんなに改めてのお披露目ってことで顔芸をしたりグイングイン頭を動かしたりでお客さんにアピール。

 

 

 ついでに一日中レースを見て少し疲れているかもなのでちょいと刺激をね?

 

 

 『さ、さあ日本の戦士たちは侮れない。ナカヤマフェスタに続いてオルフェーヴルの昨年の凱旋門賞2位。そしてこの次のレースであるドバイシーマクラシックではステイゴールドが時の最強馬ファンタスティックキングを下すなどここ最近の日本の馬は侮れない。その中でもいろいろな意味ででかいこの一頭。今日も大逃げを見せてくれるのか。いよいよ本場馬入場に入ります』

 

 

 「よ、ようやく落ち着いたか・・・ふ、ふぅ・・・あ、松風君。先ほどぶり。今日はまた改めて頼むよ」

 

 

 「ええ、ケイジも海外のお客さんにサービスは終えたようですし落ち着いています。勝ってきますよ」

 

 

 「頼もしいねえ。よろしくお願いします」

 

 

 松ちゃんを無事に乗せていよいよ本番前。いやあー楽しみだぜ。斤量ちょい載せられたけど、むしろこれくらいがいい重さってね。

 

 

 ゆったり移動してゲートへ移動移動。さあー大逃げで、2000以下でマイルまでならちょうどスタミナも全部ぶち込むにはちょうどいいんだよなあ。1800の逃げ方も経験したし、頑張るぞい。

 

 

 今回は俺は1番人気。1番1枠とは嬉しいね。今回は世界でも見られているというのを感じられるんでこの人気はにっこり。

 

 

 『さあ全頭ゲート入りしまして・・・・スタートしました! ケイジ速い! 早速ハナを奪って先頭! 大逃げを以って戦いに行くようです!』

 

 

 そりゃあ俺なら大逃げよ。追い込みもできるが、それよりは今日はこの気分なんでね。馬群に飲まれるのもごめんだしガンガン引っ掻き回すからよぉ~変に息入れないでもずっとスパートを最後まで掛けられる分お前さんらついてこなきゃ俺の一人旅は止められねえ!

 

 

 『おっと早くもケイジ一人コーナーに入る! そこでもぐんぐん伸びて更に差を伸ばす! ハーバーフリッチュ、モンテスキュー追いかけるも食らいつけずに引き離される! コーナーでの加速はモノが違うぞケイジ! ぐるりと回って一人旅! 直線で今度はダブルクロスが伸びてくるが先団の馬群のハナを取るに過ぎない。ハーバーフリッチュ、モンテスキューと三頭先頭を取りつつケイジをにらむような形になるようです』

 

 

 ほんほん。速度で勝てないなら後方から一度脚を溜めて後半のロングスパートに仕掛けるか、直線での末脚の爆発を使う感じにシフトチェンジしたかな? まあ、欧州あたりの競馬は基本スローペースで逃げはラビット。でいいんだっけか。要はチーム戦みたいに同じ馬主、グループの馬で本命の馬を活かすためにほかの馬のペースを壊しつつ味方の力の温存を助ける。いわば役だったりの側面が強い・・・らしい。

 

 

 そういう意味では俺は大逃げで勝っているけど海外のレースはまだ1度のみ。しかもGⅠとはいえ格上げが最近も最近のレースで賞金もここには及ばないのもあってここでは通用しないだろうと思っているのかもなあ。まあ、賞金についてはここがすごすぎるのと、実際に海外のレース運びに翻弄されたのはメジロマックイーンとかそうだったもんね。しかも日本国内のレースで。

 

 

 『さあレースも後半! 1000メートルを通過、タイムは・・・57秒1!!? おかしい! あまりにおかしいぞこのタイム! さらにケイジ伸びる! 後方も仕掛けていくがその馬身は埋まらない!』

 

 

 芝質とかよォ~3月のはじめと後半でのレースでの疲労とかヨォ~まあそれもあっての戦術だろうがなあ。それが通じたのは良くて『最初』のジェベルハッタのレースくらいだ。疲労抜きもばっちりで、ドバイの芝もレース経験も積んだ俺にそれは悪手だ!! ヒャッハー!! このコーナリングで俺を抜こうと加速か、こっちも加速できるんだ。そのまま最後までやらせてもらうぞ!

 

 

 『コーナリングの妙技がさえわたる! するすると加速をしながら最終直線へ突入! サムライの末脚が、キレる刃がターフを切り裂く! 黄金の暴君の後に続く三冠馬はブレーキの壊れた暴走機関車か! 止まらない鈍らない! 馬群を抜けたサッシャ、ハーバーフリッチュ、後方の馬たちも仕掛けるが足が届かない! あれだけの大逃げをしても尚回転が違う!! もはや勝負は決まった! この差は覆らない!』

 

 

 やるのなら俺の大逃げに付き合って叩き合って最後の一番に賭けるほかなかったとは思う。日本のカチカチ馬場とはいえあのスタミナお化けども相手に大逃げしたりロングスパートしかけて競り合ってきたんだ。この手合いの勝負の経験値は世界にだって負けねえ!!

 

 

 もらうぞ世界! もらうぞドバイミーティングの一冠! ほかの皆も勝利が欲しいだろうが、俺だってこの勝利を、期待には応えていきたいんでな!

 

 

 『ケイジ終始一人旅のままゴール! 馬身差見事に10馬身をつけての大勝利! 見事自身のペースをもっての大逃げで圧倒! これは面白い! こんな大逃走劇生で見れるもんじゃない!』

 

 

 ぶふぅー・・勝ったかあ。あーちょい疲れた。芝が少し柔らかい分蹴り飛ばす力が必要だったしなあ。でも、これで無事にジェンティルちゃんらにもいい感じでバトン渡せたっしょ。

 

 

 『タイムは・・・これはすごい! 1分43秒1! ジェベルハッタで見せたレコードを更に自身でコンマ1秒更新したぁ! ジャパニーズサムライボーイが今年のドバイを彩り、会場を沸かせました! これはもう本物だ! 大逃げのカブキモノ、ケイジ! その戦法も足も世界に認めさせた!!』

 

 

 おうよ! 大逃げの有名馬多数! ユニークな実力派多数の日本。その代表としてやってやったぜ!!

 

 

 「ははは・・・海外でも大逃げで二連勝。凄いなあ。おめでとうケイジ。多分同期では君が一番乗りだよ。10億円ホースになったのは」

 

 

 ああ、そっか。このレース確か6億円だっけ賞金。はははは、なら既に13億くらいは優に稼いだなあ。やったぜ、海外くんだりまで遠征ご苦労様な皆にしっかりボーナス渡せたなあ。

 

 

 じゃ、おなじみのあれをするためにほらいくどー

 

 

 『サムライボーイの次もやってくるのは凱旋門賞馬を下したナデシコガールのお披露目だ! 観客の皆も目を見開いてまっていよう! さあ、そしてケイジが来た。スタンド中央に悠然と歩く。やってくれるかケイジダンス!』

 

 

 おうさやらないとなあ? ウイニングランの代わりにこれをしちゃだめってルールはないし、さあドバイで二度目の勝利の咆哮イクゾー!

 

 

 右へぴょーん

 

 

 「「「オウ!!」」」

 

 

 左へぴょーん

 

 

 「「「オウッ!!!」」」

 

 

 首を下げてのー? 今日は大きめに立ち上がっております!

 

 

 「ビヒィイィイィイイイイイイインッッッ!!!『イヨッシャァアアアアァアアアア!!!!』」

 

 

 「「「FoooOOOOOOO!!!! ケイジ!! ケイジ!! ケイジ!!」」」

 

 

 またまたやらせていただきましたァンッ!! どうじゃこれが日本の馬、日本の騎手じゃい!

 

 

 『こんな勝利パフォーマンスをする馬見たことない! ケイジ、ドバイの観客の心を鷲掴み! ジャパニーズスーパースターホースがまたもや生まれたぞ! 悠然と去っていくその姿に誰もが虜だ! ナデシコガールジェンティルドンナもこれに続けるか! さあいよいよドバイシーマクラシックが始まるぞ!!』

 

 

 はははは。おうよ! まだまだ終わらねえぜ。後2レース。その一つでまた日本の怪物を見てくれよなー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『さあジェンティルドンナが仕掛けたぞ! 先頭4角を取って引き離しにかかる!』

 

 

 『負けませんわ! ケイジのくれたバトン! あの勝利に負けるような戦いをするのはわたくしのプライドが、意地が許さない!!』

 

 

 『これが牝馬の末脚か! いいや! これが3歳にして世界最強格を倒した女王の実力だ! 速い速い!! まるで周りの時間が歪んだがごとくの足さばきを見せて引き離す! 伸びるところをとどまらない! 貴婦人の道に壁は無し! まるでレッドカーペットを歩くスターのように華やかに、軽やかにターフを進む!』

 

 

 『そうよ! わたくしこそがジェンティルドンナ! ひとたびレースに出れば他は1着ではなく2着を狙うと言わせるほどの強さを見せた天馬ディープお父様の娘! 世界の戦いだろうと、このレースでは絶対に負けるわけにはいきませんのよ!』

 

 

 『ジェンティルドンナ自身以外のすべての牡馬も牝馬も従えての圧勝ゴールイン! やりました! 今年のドバイミーティングでなんと日本からやってきたサムライボーイとナデシコガールの二頭がそれぞれ一冠を手にする大偉業! ケイジはワールドレコードを、ジェンティルドンナは日本初! 牝馬によるドバイシーマクラシック優勝の栄冠という大偉業までもを手にした! 世界が驚き、日本が誇る優駿コンビをこの目で見れたことに私は感動が止まりません!!』

 

 

 『やりましたわ・・・ふふふ。そうよ! わたくしこそ最強! ドバイのこの舞台でも負けることはないのよ!! ・・・ありがとう。ケイジ』

 

 

 

 

 おおー勝ったなあジェンティルちゃん。こいつは良い土産話が出来そうだし、わはは。しばらくは検疫ついでに身体を休めて、次の戦いの予定を聞きましょうかねー。うまくいけばナギコのデビュー戦を電波放送で見れるかもだし。確か6月末くらいだったような。

 

 

 日本の牝馬では初めてのドバイシーマクラシックの優勝おめでとう。いやはや、歴史的瞬間を見れたなあ。




 何気に史上初尽くしのこの世代。その中でも筆頭格は間違いなくジェンティルドンナ。というかほんとこの馬凄すぎる。


 ケイジ ドバイで王族にハリセンツッコミ入れるわ変顔で笑い取るわで脱走以外は基本変わらず好き放題していた。優勝インタビューの際はハリセンを持ってきてくれた王族の方が祝いの言葉をくれる際にぼけたのでツッコミを入れたりで一部なんやこいつ扱いに。海外のファン獲得。


 久保さん あるプレゼントを用意するために観光がてら買い物していた。ケイジの勝利と更なるワールドレコード獲得に感動。そして貰える手当の額に思わす目ん玉飛び出そうになった。ケイジのスタッフということで王族からサインをねだられ、こちらもプレゼントをもらうことに。


 ジェンティルドンナ 実は史実より1年早くドバイシーマクラシック優勝。みんなからちやほやされたり労われ、最後にケイジからリンゴとバナナをお疲れさんと渡されウキウキ。同じく10億円ホースに名乗りを上げる。


 ドバイの王族の方 ケイジの圧勝劇にもうたまらない。秘書はハリセン貰ったり自分はジェベルハッタ、ドバイDF勝利記念のレースで使用していた蹄鉄に利褌直々に文字を彫り込んだものを貰い感激。後日プレゼントをあげるのと、できれば種牡馬になったケイジの子どもくれと頼んだ。


 松風騎手 2013年スタート早々に国際GⅠレース2連勝騎手に。嬉しいのと同時にケイジの起こした行動に相変わらずだと呆れつつもらしいなとほほ笑み、帰りの飛行機は一緒に貨物スペースでアニメを見ていたりした。


 藤井親子 実はこっそり観客席で応援。ついでに記事にしました。この後ケイジとジェンティルドンナどっちが強いかで語り明かした。
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