ハジケリスト世代だろ! (完結)   作:零課

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この作品は先に私が書いているウマ娘の作品を終えてから本格的にやっていく感じです。その後に二つの作品を頑張ってちょこちょこできればなあと。


身体はでかいが安心してください

 『ほいほいほい。・・・・・ほいほいほいほい』

 

 

 うんうん。脚の不安もないし横も問題ないし、やっぱ体格的にも問題ないわ。これなら色々やりたいこともできるだろ。

 

 

 「お前どんだけ元気なんだケイジ。すでに過密トレーニングしているってのに・・・」

 

 

 『牧場で柵越えをやりまくって夜も走り回っていたりしていたからなあ。テキの鍛えでより効率よく体動かす方法覚えたからそのせいかも?』

 

 

 調教センターに来てかれこれ一か月。もう夏真っ盛り。ゲームのイベントもビールの売り上げも学生たちも盛り上がる暑い季節。すっかり厩舎の藁に馴染んで毎日グースカ爆睡とテキのトレーニングをしている俺。

 

 

 でまあ今はテキのメニューを全部終わらせてサイドステップの練習と間食中。横の脚の筋肉も鍛えないとねー。ボディバランスって大事よ。後楽しい。クロスステップでルンルンルーン。ギンシャリ先輩バリの強さを手にしないとなあ。テキのおっちゃんの練習も面白いからどんどん覚えていけているしね。

 

 

 「うーん・・・これ以上走らせても関節とか怖いが・・・プール行くか? ケイジ」

 

 

 んっぐんぐ・・・水ウマー。で、テキ。プールか? よっしゃ! 行くぜ!! こんなクッソあちいなか俺の馬体じゃ扇風機一つなんぞでは全っ然冷えないし俺もまだまだいけるからもう一つ行こうぜ。馬になっての本能もあってか走る楽しさと色々やってみるのが面白い。

 

 

 待ってろよテキ。ハグハグもぐんぐ・・・・ゴッゴッゴッゴ・・・・・ぶはー・・・よっしゃごっそさん久保さん。行ってくるぜ!

 

 

 「うおっ・・・マジか飼料も水ももうな・・・ああ! 待てケイジ! 手綱テキに持たせてやれー!!」

 

 

 「ぬぉ! ほんとお前プール好き・・・場所覚えているなこいつ!」

 

 

 ふははははは! 夏場のプール程心地いいのはそうそうねえぜ! 坂路も5本かまして飯食ってひとっ風呂の前にクールダウンとアイシング代わり。夏の醍醐味よぉ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ヒヒィーン~♪」

 

 

 「おうおう。気持ち良さそうに泳ぎやがって。1歳半とは思えないほどの肉体の仕上がりと落ち着き。練習も密度高めでこなして飯を食う。ほんと元気だし前田慶次の愛馬になれそうな奴だなあ」

 

 

 ああ”ー肉がほぐれて冷やされるのが気持ちいいんじゃぁー最高なのは温泉の中で泳ぐのが一番だけど馬の俺じゃあ出来ないなあ。はぁー頭も冷やしたいし潜水するかあ。鼻先と耳を器用に出しつつ潜水じゃー。

 

 

 うーん。やっぱプールトレーニングは俺にあっているな。どうしたって体格がでかすぎるし、タフな肉体に柔軟性あるから疲れづらいけど骨とかは別。関節とか痛めずに程よく骨と筋肉を鍛えるこれがありがたい。

 

 

 テキ。もとい葛城のおっちゃんもそう思っているらしく二日に一回。多いときは三日連続で入れてくれたりもする。ある意味第二のお風呂だしほんと助かるぜ。

 

 

 「ケルピーみたいなことするなあ。お前の親父さんもプールトレーニングで鍛えたそうだし、今後ライバルになりそうなステゴ産駒たちの父親(ステイゴールド)も泳ぎが上手かったと聞くしな。名馬たちの肉体を鍛えるのにいいもんだし、こんだけ頑張るのならどんどんやるか?」

 

 

 そしてテキも久保さんも俺によく話しかける。ここ最近は特にそうだ。多分だけど俺が人間の言葉をなんとなく理解していると思っていて。それでまあ色々話してくれるんだろうな。有名なのだとメイショウドトウかな。基本おっとり優しく人懐っこい彼だけど。オペラオーの名前を出すと拗ねちゃう。その理由が厩務員とかテキが落ち込んだりしながら話す様子を覚えているから気を遣うのと申し訳ないからって説が出てくるくらい。……なお、ドトウは実際に引退式も込みでテイエムオペラオーと顔を合わせたことが何度かあるらしいが、目の前にいる馬と「オペラオー」という単語が何故か繋がらなかったらしい。そのせいなのか、オペラオーとドトウは実は仲が良かったという。……うーん、知らぬが仏とはこういうことかもしれん?*1

 

 

 でまあ、この世界での俺の親父になるテイオーも滅茶苦茶人付き合い選んだり、怒った牧場スタッフにはしばらく無視決め込んだりしたらしく、公の場ではキリッと決めるけどプライベートは我儘。祖父に当たるルドルフに至っては厩務員とかスタッフからライオンと呼ばれるくらいだとか。それの子どもで孫だからわかっているってのと、信頼を築くために努力する。本当におやっさんやトモゾウ、女将さんもそうだがすげえなあ。

 

 

 「ブルルッ・・・・・」

 

 

 テキの提案にも顔を出してコクコクと頷いておく。それにちゃんと絞るところ絞らないと俺の場合は体重がなあ。親が親な分、見た目は頑丈だけど脆さを受け継いでいるかもだし。

 

 

 あとそろそろ上がるわあ。風呂とプールはマナーを守ってこそ。大衆浴場ならぬプールだしなあ。エチケットよ。江戸っ子も道産子も傾奇者だって場を弁えらぁ。

 

 

 綱を噛んで軽くグイグイ引っ張り終了の合図。テキと俺で決めた合図を出せばテキも察してくれるからありがたい。この後は一緒にプールトレーニングを出て久保さんに洗ってもらって飯を食う。さっき飯食ったろって? 動いたら腹減るのとぶっちゃけ他の馬基準で、大型馬基準で出されても足りないんだよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなでかれこれもう冬。時間過ぎるの早いわ。そして夏は汗かく分腹減るが、冬は冬で過ごしやすいけど寒さに対抗するためにカロリー使うから腹が減る。久保さーんおかわりー!! 飼い葉大盛り水もくれー! 飼料を入れる容器を咥えてガンガン鳴らして飲み終わった容器を合わせておく。

 

 

 「まだ食うのか!? お前腹とか弛んで・・・ないなあ・・・まあ、あんだけ走っていたら腹も減るか・・・でもなあー・・・」

 

 

 「ヒヒン」

 

 

 馬鹿野郎、俺の爺さんは人間年齢で80後半代でも現役張りの肉体していたルドルフだぞ? そんで先祖にヒサトモ。体質的遺伝もあるのならそう易々弛むかっての。ちゃんと高密度のトレーニングしまくって。他がへばる中走っているわい。ただなあー・・・なんやかんや暇なのよ。飯ぐらいしか娯楽ねえわ。テレビのある場所分からないのもそうだけど馬を使っての併せ練習がない分練習がどうしても減るんだよな。

 

 

 ねぇ、久保さんよお。何で俺だけ併せしないの?? 割とマジで。他の馬の会話聞いてみてももうみんな……場合によっては俺より後の子たちでもみんな併走とかしているみたいなんだけど?

 

 

 首を傾げると久保さんも何となく気付いたのか飯のおかわりをくれつつ話してくれる。

 

 

 「あー・・・練習の件ねえ。それテキとも話しているんだけどさ。お前とのパートナーで難航しているんだわ」

 

 

 ええ~? なんだって1歳ちょい。もうじき2歳とはいえレースすら出ていねえガキ相手に練習相手探すだけで何苦労してんだよ。ここ中央だろ?

 

 

 「そんな風に首を傾げてもなあ。ケイジがでかすぎて周りの同期みんなビビるし、3歳でも怖がるやつがいたりで誰にしようかで難航しているんだってよ」

 

 

 「ふぶ・・・」

 

 

 うーん。まさかここにきて俺の馬体と体格が問題になるか。まあ、そりゃあ闘争心とか養う前の子どもたちにこんなデカブツ相手にしたらそりゃ駄目か。俺の体重は現在615キロ。ちゃんと過密トレーニングやしっかりクールダウン代わりのプールトレーニングを週3で追加して尚脂肪を削ぎ落したりしていくよりも肉がつきました。

 

 

 だからみんな敬語なのねー、気にしねえでもいいってのに。傾奇者の名前をもらっちゃーいるがそこかしこで喧嘩売ることはしねえよ? 売られたら買取して蹴りに行くかもだが。

 

 

 「まあ、なんか最近馬体もでかくて大人しい子が見つかったからその子と併せするってさ。追い運動とか、色々練習できるし、お前も次のステップへ行けるぞ」

 

 

 「ヒィン」

 

 

 『要はまあ、俺ひたすら基礎練、筋トレだけしまくっていた感じなのか。はぁーメシウマ』

 

 

 いろいろ理由が分かったので飯の方に意識の比率を傾ける。しかし、2010年冬でデカい馬体かあーショーグンか? それとも別の子? 大人しいって言っていたしなあ。まあ、ようやくいろいろ勉強できるステップに行けた俺。それはいいことだわ。

 

 

 すっかりミホノブルボンみたいだと言われるくらいには鍛えに鍛えたけど実戦で使っていないからねえ。見せ筋になっちまうとこだったよ。あーそれにしても飯がうまいけど・・・やっぱコロッケとかキャベツとか、いろいろほしいなあー・・・あ。馬ってキャベツダメだったっけ? くふぁー今度頼んでみるかリンゴ寄越せよって。もう安く出回っている季節だろう? 蜜のじゅわじゅわなかった良いリンゴくれよ久保さぁん。脱走して他の厩務員にボディチェックしてもらいに行ってもいいんだぞこちとら。

 

 

 「食ってるなあケイジ。久保。お前も食事と休んできたらどうだ? どうせおかわりの用意していたんだろ?」

 

 

 「テキ。ありがとうございます。あーそれと併せの件どうなりました? ケイジもやっぱり周りがしているのに自分がしていないのを気になっているようでして」

 

 

 「あーそれか。それなら無事に相手も決まったぞ。いいガタイしていたし性格ものんびりおっとり。でも賢い目つきをしていたし問題なさそうだ」

 

 

 ほうほう。そいつはよかった。脚質とかもそうだけど、色々一緒に走るの楽しみだったしなあ。

 

 

 「明日のお昼にあっちもちょうど時間が空いていたからやるそうだ。ケイジも今日はゆっくり休めよ」

 

 

 「よかったなケイジ。相性が良ければ今後のパートナーになるかもだ」

 

 

 飯が少なくなってきて容器に頭を深く入れている俺の首を撫でてくれるテキと久保さん。うんうん。それにどうにも聞くように同期っぽいなあ。誰だろ。ジェンティルドンナか? 女の子だし当たるにしても3歳の年末くらいになるだろうし。でもあの強気でタフな娘がおっとりとかちょっと想像できんな。

 

 

 ま、今は休んで明日に備えろってのが正しいわ。その前に飼い葉おかわりくれねえか久保さん?

 

 

 「・・・・・・・うーん。食べ過ぎが怖いんですが・・・」

 

 

 「デザートに別のものあげて抑えさせろ」

 

 

 何だとぅ!? 明日のためのエネルギーくれってことだろうがよお。そいつはねえぞ?

 

 

 「あーこれやるから落ち着けケイジ」

 

 

 これは・・・海パン刑事の必須アイテムバナナ! おおーならいいわ。これデザートにして昼寝するわ。くれくれー。

 

 

 「よしよし。今剥くからなー明日の練習前の英気を養おう」

 

 

 皮を剥いてくれたバナナを唇で器用に咥えて全部口に運んでいただきます。リンゴとはまた違うまろやかな甘味がたまらない。蒸したかぼちゃとかそんなのもないかねえ。あー・・・うまい。うまいけどその分人の食事も恋しいわあぁん。

 

 

 「うまそうに食うなあケイジ。そういや、リンゴが大好きなんだっけな。今度もってくるよ」

 

 

 『モグモグ・・・マジか! っしゃ! これは張り切りが増すぜ!』

 

 

 ただまあ、飯食ってからとりあえずお昼寝タイム。久保さんも俺の飯に付き合わせた分休んでいねえし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日になって葛城のおやっさんと一緒にパカパカ歩いて辿り着いたは調教スタッド。ここで待ち合わせらしいなあー。どんな奴なのやら。この時代、大概キャラ濃いしなあ。トーセンジョーダンとか来たりして。

 

 

 「お。茄子さーん。お疲れ様です。今日はお世話になります」

 

 

 「お待たせしました葛城さん。いえいえ。此方もこちらでまさかこの子以上に大きな子と併せの練習が出来るとは思いませんでしたよ。言うこと聞いて大人しい子ですから改めてそういう子とも練習させたいと思っていたので渡りに船です」

 

 

 そうこう考えていたら歩いてきたおっちゃん。うん・・・大変見覚えがある方が来て。その人が手綱を曳いているのは確かに大きい馬体で、そして芦毛なのだが既に白みがかっているのが特徴で、そんで鼻先がピンク色。

 

 

 「わはは。ゴールドシップだけにですかな? いやしかし、本当に落ち着いていますし大きいですな」

 

 

 「いやいや。こっちのゴールドシップも大きいはずなのにケイジを見ると霞みますよ」

 

 

 やっぱりゴルシじゃねーか!!! ゴルシのテキのおっちゃんあんたぜってえ1年ちょい後にはやべえことになるぞ!!

 

 

 『オイラ、ゴールドシップ。長いしゴルシって呼んでね』

 

 

 『おうよ、よろしくゴルシ。俺はケイジ。楽しくやろーぜ』

 

 

 こうして平成最強の名馬にして迷馬がまだ学級委員長。お母さんに似ていると言われている頃のゴルシに会ったのだった。まあ、3歳になったら突然グラサンつけて、金髪アフロになるほどの変貌を遂げるし、ウマ娘になったら芦毛真拳継承者にしてメジロ真拳マックイーン流の正統継承者になってしまうんだがなあ。かわいそうにテキのおっちゃん。今のうちに手を合わせておくか。馬だから頭下げるしかないけど。

*1
なお、2023年になってからメイショウドトウが「オペラオー」と思い込んでいた相手が騎手だと発覚するが、ケイジはそれを知る前に転生した。




 まだ1歳の仔馬たちにこんなでかぶつ併せたら怖がったりレースを嫌がりそうよねって。スパーリング相手にいきなり2メートル越えのやたら頭いいキン肉マンくるようなものですし。


 神様からのプレゼントの一つは体と胃袋の頑丈さ。大概のものは食べちゃえます。普通の馬の倍以上はご飯をもりもり。


 ケイジ もうすぐ2歳。馬の本能と筋肉もりもりマッチョを目指して坂路走りまくりプールも泳ぎまくる。すでにムッチムチのムキムキ。いつかコロッケときんぴらごぼうを食べたい。後フランスパン。


 久保 ケイジの厩務員。ケイジが人の言葉を理解しているのを察しているのでラジオを置こうか考えていたりいろいろ話してくれる。飯の食べる量がすごいのでちょっと休憩時間が減った。シャワー好きなので念入りに洗っている。でもケイジが何だか息子に思えているので苦にならない。


 葛城 ケイジの担当調教師。頭の良さと泳ぎの上手さからトウカイテイオーやシンボリルドルフを思い出したりしつつも人懐っこさと練習をさぼらないので安心。結構ハードな調教メニューを課しているのだがケイジがどんどん覚えていくのでそれにアイシング替わりの意味も兼ねてプール調教くわえたのだが問題ないのに驚いている。


 茄子 ゴルシの調教師。将来ゴルシに振り回される人筆頭。今はまだ大人しいので安心。ケイジのでかさを見て改めて驚く。


 ゴルシ まだ性格がお母さんに似ているころ。あと一年後にはハジケリストになります。この世界ではケイジの影響で強化入るかも。
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