ハジケリスト世代だろ! (完結)   作:零課

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 お気に入り人数3000人到達ありがとうございます! こつこつこれからもやっていきます。いつも感想、誤字報告、高評価ありがとうございます!


 キンチェム直系にして英国二冠馬のアルトリアのモデルの馬も確かゴルシたちと同世代で当時のイギリスでもその血統で話題になったとか。ほんとこの世代周辺って世界中でニュースを持ってきてくれる子たちが多いのなんの

 あ、あとケンタウロスではなくケンタウルスでした。ホイミの名前ミス申し訳ないです。


三度目の正直? ジャパンカップ(GⅠ)

 『今日の東京競馬場で行われるジャパンカップ。その熱狂は昨年のクラシックを思い起こさせるほどの満員御礼。入場制限すらも入るほどの人数と熱気。此方まで伝わりそうなほどです』

 

 

 やってきました11月末に行われる秋古馬三冠のうちの一つにして賞金も高く、数々の名勝負や名馬たちの足跡を追い、あるいは超えるために挑む大レースジャパンカップ。昔は海外の有名馬も多くが出稼ぎ、もとい挑みに来てくれたこともあってそりゃあいくつもの国の代表馬がぶつかる場所だった。

 

 

 でも日本馬もどんどんレベルアップしてテイオー時代ではそうやすやすと海外馬たちに勝ちを与えず、サンデーサイレンスによってさらに日本馬たちが強くなってからというもの検疫の面倒さに輸送の手間、ここらへんからも最近は出走馬も日本馬がほとんどだった。ここ最近の海外馬で印象に残ったのってあの五本足で走ったお馬さんくらいじゃない?

 

 

 『それもそうでしょう。今年のジャパンカップに集まったメンバーの豪華さ、そして話題性は今までのジャパンカップを見返してもそうそうないほど! さあ、まずはやってきました1番ヴィルシーナ! 前走ではエリザベス女王杯を征して気合十分! ライバルのジェンティルドンナへのトリプルティアラでのリベンジを果たそうと燃えております!』

 

 

 しかし今回はちょいと違う。来てくれた二頭の海外馬も強豪。迎え撃つ俺らも一部を除いて同世代のメンバーが集結。楽しくなってきたってもんだ。あれ? それとヴィルシーナちゃん今年のエリザベス女王杯勝ったんだ? ジェンティルちゃんの走りでも学んでレベルアップしているのかねえ。

 

 

 『3番にやってきましたアルトリア! 2012年クラシック世代と同期にして英国二冠馬! かつてこのレースでスペシャルウィークと激闘を繰り広げたブロワイエの産駒にして母方からはあのキンチェムの血をひくまさしく欧州の宝! 陣営からも自信ありとのコメントあり、父の取れなかったここジャパンカップの勝利を持ち帰れるか!?

 

 

 さらに続けて4番エイシンフラッシュ! ダービー馬の意地を、古馬の経験を生かしたベテランの意地と誇りを見せつけ、勝利をつかめるでしょうか! 5番トーセンジョーダンも参戦! 天皇賞(秋)で見せたあのスーパーレコードの走りをもう一度ここで見せつけるか!』

 

 

 まさしく迎え撃つメンバーも、挑みに行くメンバーも誰もかれもが大レースを制したやつら。しかも全員中距離も、このクラシックディスタンスは問題ない。いやーうずうずするなぁ。わちゃわちゃ暴れたくなるぜ。

 

 

 『やってきたぞ7番ジェンティルドンナ! 最強の皇女! ドバイシーマクラシックを征し、宝塚記念でも三着と好走をしている三冠馬の一頭がここにも来てくれました! 連覇のかかったこのレース! ひしめく強豪たちを押しのけられるか期待がかかります!』

 

 

 さあーお披露目だい。皆の衆! 思いきり盛り上がろうぜ!!

 

 

 『そして、今日このレースでだれもが彼の姿を見たいと! その走りを見たいと望んでいた日本の誇る侍が相棒ともに来てくれました! 日本の悲願を手にしてくれたターフの傾奇者ケイジ! 堂々参戦だぁ!!』

 

 

 「ヒヒーン!!」

 

 

 『おうよぉ! 待っていたかーい!! このレースでも勝ってやるからなあ!?』

 

 

 俺が姿を見せて歩けば会場の皆の熱気がさらに増す。イヤーこいつはすげえなあ。わははは! そうでなくっちゃ面白くねえ。せっかくの大レース。楽しんで、盛り上がってなんぼよ!

 

 

 「こら! わちゃわちゃするんじゃないケイジ! 久しぶりの東京競馬場とはいえ全く・・・ぬぉ! 立ち上がるな!」

 

 

 『出るや否や立ち上がり、動き回り、最早暴れているようとしか言えない動きをしますケイジ。会場もこれには大盛り上がり! そして笑い声と声援が飛んでいきます。しかし、ライバルはまだまだいるぞ! GⅠ勝利こそありませんが欧州のあらゆるレースで優勝馬と競り合い2着を6回。伝統あるGⅡレースでの勝利数も多く油断できない伏兵ケンタウルスホイミ。ここが引退レースと決めているが果たして有終の美を飾ることが出来るでしょうか!

 

 

 ・・・そして、やってきました! 凱旋門賞も手にしたケイジに唯一敗北を与え、ケイジ相手に実に現在二連勝! ここでもケイジのリベンジをねじ伏せて勝利できるか13番ゴールドシップ! 黄金の不沈艦の輝きは今日も素晴らしい光を放ちます!』

 

 

 馬鹿野郎俺はリベンジするぞお前。しっかしまー見事にメンツが濃い。何度も思うが本当に濃い。つーかよぉ。本命ほとんど俺らの世代じゃねーか!! アルトリアも同期だしよお。世界中でこの世代やばいのか? もしかして。

 

 

 『久しぶりねケイジ。まずは凱旋門賞優勝おめでとう。お父様も手にできなかった栄冠。貴方なら当然ね』

 

 

 『おおージェンティルちゃん。ありがとうよ。いやー勝ててよかったぜ。あっちの芝は重いからなあ。砂浜で走ってなかったらしんどかったぜ』

 

 

 『ああ、前に言っていましたものね。ドバイや日本以上にあちらの芝は重いと。でも経験で補ったと。大したものですが・・・ここの勝ちは譲りませんわ。連覇がかかっていますもの』

 

 

 『それを言えば俺もちょいと負けるわけにはいかないんでな、レディーファーストはしてやれん。悪いがエスコートされてくれや』

 

 

 『ふん、そういわないと蹴っていたところですわ。本気のケイジと戦い、勝利してこそここでの連覇はふさわしいのですもの』

 

 

 おうおう、燃えてんなあジェンティルちゃん。ほんと、厩務員にはデレデレだけど、いざ勝負となればほんと目に炎がともっているというレベルだわ。ライスのあのCMレベルで。死ぬ気の炎みたいな?

 

 

 『あ、ケイジさん。初めまして。ヴィルシーナです。はぁー・・・おっきいですねえー・・・本当に。ジェンティルドンナさんから聞いていた通り、それ以上です』

 

 

 『お、ヴィルシーナちゃん。そうかい? むしろ絞ったほうだけどねえ。というか、ジェンティルちゃんから聞いていたの? 俺のこと』

 

 

 のんびりパドックを歩きながら騎手が乗る前の時間を過ごしていたらいやーまさかヴィルシーナちゃんからも声がかかってきたわ。うーん、確かにすげえレベル高いなあ。肉付きも脚使いから見るなんとなくの力量も。頂点だっけか、名前の意味。それを冠するだけはあるんだよなあ。

 

 

 ほんとこの世代の牝馬だったのが苦労しているわ。後半もっとやべーのくるとはいえ。あれだなヴィルシーナちゃんがはじめの一歩の伊達のおっさんで、ジェンティルちゃんがリカルドみたいな? あれより力量差は埋まっているとはいえ。

 

 

 『はい。私に会うたびにケイジさんとの練習の事や、レースの結果、そして牧場の温泉の事とかをもう細かに・・・』

 

 

 『ヴィルシーナさん!? それ以上は言いすぎですわよ!?』

 

 

 『あら、ふふ。これ以上は怒られそうですね。・・・・・・シルコレだとか、ジェンティルドンナさんに一度も勝てていない私ですが、それでも負けません。凱旋門賞馬、無敗の四冠だろうと、全力で行きますよケイジさん』

 

 

 『ありがとう、俺もそれがいい。そして油断もしない。勝つために全力でやってやろう。いいバトルをな』

 

 

 『ヨッ、ケイジ。モテモテだなアーお前』

 

 

 正統派ヒロインだなああの子。きっと厩舎でも牡馬たちにモテモテだろうねえ。顔立ちもかわいいし、そして、今年でGⅠを2勝している。勢いに乗られると怖いし油断は出来ん。

 

 

 で、今度はジョーダンか。マジで今日はいろんな馬たちから声掛けられるなあ。嬉しいけど。

 

 

 『ジョーダンにゃ負けるぜ。それに、お前さん引退した後多分モテモテだぜー? あの天皇賞の走りと血統からしてもお父さんとして期待されているだろうし』

 

 

 『なはは、そいつは嬉しいねえ。なら一つ、ここでお前さんにも勝ってその期待と格を一つ上げてやろうか?』

 

 

 『いやあ? 俺は負けんよ。ああ、それと離れたほうがいいぞジョーダン。ゴルシが来ている』

 

 

 『こんにちはジョーダン! そしてくら・・・ぬぐぇ!? 伊馬波さん止めるんじゃねえ! ケイジも教えるんじゃねーよチキショー!!』

 

 

 のんびり歩きながら会話していたら今度はゴルシが伊馬波さんごと引っ張りながらジョーダンに恐らく蹴りかかろうとしたので止めておく。馬鹿野郎。馬だけどさあ、レースでケリをつけんかいお前ら。あ、俺今いい事言ったかも?

 

 

 『またかゴルシぃ!! オメー、ケイジと話している時ですら茶々入れようとするんじゃねえよ!!』

 

 

 『今日はいい天気だからジョーダンを蹴りたいんだよぉ!』

 

 

 『お前ら餅つけ。じゃねえ、落ち着け。ほれほれー』

 

 

 『おおっとゴールドシップがトーセンジョーダンに張り込んでいくが、ケイジが間に入ることで止まる。そしてここでケイジ変顔を披露! 顔芸百面相は健在のようです』

 

 

 ほーれ目玉をグルグル回しております。多めに回しておりまーす? 耳もグルングルン。エレキングみたいだろー?

 

 

 はーいそのままグルングルン。回して目を内側下向きに寄せて、耳をピーンと立てながら舌をぴょーん!

 

 

 『ブフス! ケイジ! それいいな! 面白い! よし、ジョーダンに喧嘩売るの今度にしよ』

 

 

 『あははははは!! なんだその顔!?』

 

 

 『なんだとぉ!? これが俺のイケメンフェイスだぁー~!! ・・・・ああー目が回るうう・・・』

 

 

 「ケイジー! 自分で目を回すんじゃない! 大丈夫か!?」

 

 

 『おおっとケイジ何やら変顔の際に目を回していたせいで立ちくらんでいるようです。そのまま寝転んでいく。こんな凱旋門賞馬見たことがありません!』

 

 

 おうふ、眼を回しすぎた。ダメジャーじゃああるまいにまさかパドックでこうなるとは・・・おおー世界が回るよぉ~・・・あーもう10秒待ってテキのおやっさん。んふぅ・・・ふ・・・あ、よいしょ。大丈夫大丈夫。

 

 

 さてさて、パドックの再会再開。もう少しで松ちゃん乗せるしねー足の感触を再チェックだーお客さんもダメジャーかお前と言ってくるが、いやーあれほどじゃないでしょ。名馬だし、復活劇もかっこいいけどもね。

 

 

 

 『・・・凱旋門賞馬だけど、ここまでフリーダムなのはちょっと聞いたことがないなあ・・・』

 

 

 『おおーん? アルトリアか? いいんだよこれくらいー。日本でもこういう癖馬は常にいるんだぜー?』

 

 

 ソロバックドロップしたり逸走したり、ゴルシに関しては疾走一本背負いしたりとか。うん、ほんと日本は癖馬だらけだなあ。流石古代でも気候の影響があるとはいえ気性難を抑え込む騙馬の技術を使わずに気性難大好き民族と共に過ごしていただけあるぜ。

 

 

 そしてまあ、そんな顔しなさんなアルトリア。お前の親父さんがここで戦った馬たちも終身名誉阿寒湖とか、日本総大将も愉快な個性派だったんだし。

 

 

 暫しパドックを過ごし、ようやく騎手の騎乗。いよいよだぜ松ちゃん。

 

 

 「はぁー・・・なんというか、最初の頃を思い出すなぁ」

 

 

 「ある意味ケイジらしいと言えますがね。道中も馬たちと愉快に会話していたようですし、元気そうで安心です」

 

 

 流石松ちゃん。わかってんね。そうそう、今日も俺は絶好調。欧州のまさしく頂点の血統であり天才も、日本のライバルたちも千切っちゃおうぜ。

 

 

 「よし・・・さて、今日はどうするケイジ。大逃げ? 追い込み? もう一つの方いくか?」

 

 

 「ワンワンワン。むふぅー」

 

 

 「・・・ふむふむ。んーあれでいいのかな? ま、それなら加減のために細かに指示を出すからよろしく」

 

 

 『アイアイサー。さて、俺のやり方も今までぶつかっていなかったメンバーは研究しているだろうし、ここらで一つやりますか』

 

 

 

 『えーパドックではある意味恒例とも言える騒ぎに更にもう一波乱ありましたが、無事に全頭本場馬入場です。天気は快晴。馬場は良。まさしく強豪たち全員が思う存分ぶつかり合うに相応しい日となりましたここ東京競馬場。

 

 

 ここジャパンカップの舞台で日本の優駿たちが揃い、そしてあのブロワイエの子が来てくれる。かのスペシャルウィークたちが戦ったあの日を思い浮かべる人も多いでしょう。そこに挑むのはステイゴールドの子どもゴールドシップ。そして時代は違いますが親子三代制覇がかかっていますケイジ。いやいや連覇を手にしてやると燃えておりますジェンティルドンナ。あの時代、レースに負けないほどのドラマと夢、そして思いを乗せて優駿たちが今か今かとゲート入りをしていきます』

 

 

 そういえばそうだよな。そういう意味でもますます98世代を思い浮かべる人は多いか。血を繋いだ子がまた来てくれる、ブラッドスポーツここにありってね。まあ、それならそれで今回だからと勝ちは譲らん!

 

 

 今日はゴルシもすんなりゲート入り。そんじゃあ俺もゲート入りしまして。あー・・・松ちゃんの首ポンポンが心地いいわあー狭いし、日差しも暖かい分眠りそ・・・。

 

 

 「落ち着きすぎてもスタートで遅れるぞケイジー。まあ、お前がそうして落ち着いたり、騒いでくれる分僕も落ち着くけどね。ありがとう」

 

 

 『いいのいいのーゆったりと、まったりと行こうぜ。どうせ爆発させる力を残さにゃいかん。そのための今は緩急のうちの緩よ・・・・・・・』

 

 

 『さあ、最後に10番ケンタウルスホイミが入りまして・・・・スタートしました! ジェンティルドンナとケイジ、好スタート! すぐさまハナを奪います。凱旋門賞で見せたあの大逃げを、サイレンススズカのような逃げを見せるのでしょうかケイジ。13番ゴールドシップは追わない。一気に後ろに下がって最後尾から狙うようです。

 

 

 一方、3番アルトリアは馬群の中ほどにつける様子。外側からケイジ達先行集団を伺う様子』

 

 

 よっしゃスタート。うんうん。やっぱというか、二頭はこんな形になるよね。ゴルシの場合は真面目に俺の大逃げとか追い込みを気にしない。好きなタイミングで好きにしてくるから消耗させようとかスタミナも相まって無理。ジェンティルちゃんもあの闘争心では消耗を多少しようとも問題ないレベルで飛んでくるし、うーん。ま、やっぱ周りの馬たちを早くへばらせて、ゴルシには壁を。ジェンティルちゃんらと余計な力使わず行くのが王道か。

 

 

 ・・・・あん?

 

 

 『おおっと! これはびっくりエイシンフラッシュも逃げ! ケイジの内側に入り込んで得意のコーナリングをさせないまま半馬身差をつける形で2番手に!』

 

 

 『私だってダービー馬・・・その大逃げ、強さの一つを潰させてもらいます!』

 

 

 『マジか』

 

 

 『4番エイシンフラッシュ、ケイジより内側のまま食らいつく逃げのスタイル! これには場内もどよめいています!!さらに後ろには5番トーセンジョーダンが3番手として伺い、その外側から1番ヴィルシーナも付いて先頭集団を形成。ケイジに3馬身しかつけない、ハイペースな試合展開となってきました』

 

 

 俺のコーナリングを潰して加速を封じる。で、ちょいと俺が下がればすぐに左右からすっ飛んできて壁を作るってことかね? 大逃げからの追い込みへのシフトもできないわけじゃないけど、それをしちゃうとスローペースな試合はお手の物なアルトリアにホイミ、そしてゴルシがいるし、ちんたらしていたらすぐに先攻集団とジェンティルちゃんが先にゴールしちゃうと。

 

 

 ・・・・・・結果的にだけど、連携したような大逃げ、逃げに食らいついて俺を焦らせようとしているような形になったなあこれ。

 

 

 「・・・・・・・問題はないかな?」

 

 

 だな。むしろこれくらい食いつきがよければ嬉しいくらいだ。

 

 

 『先頭集団からすぐ後ろにはルージュデンゴン、少し外から7番ジェンティルドンナ、その後ろにケンタウルスホイミ、アルトリアが中ほどから伺う。そしてゴールドシップは・・・いましたいました!最後尾、殿からチャンスを伺います黄金の不沈艦。どの場所にいようとも全く油断できない快速船。

 

 

 まさかのケイジの大逃げに食らいつくエイシンフラッシュに先行集団という読めない展開となりました。一体どれほどのペースになるのか、ただいま1000メートルを通過。タイムは60秒3。遅い! ケイジの大逃げが不発したせいか!? いつもの前に出るケイジのスタイルで出すタイムの中ではぶっちぎりの遅さです!』

 

 

 ほうほう。会場もさすがに騒めきが増してんな。でも馬券は投げない。うんうん。そりゃあねえ。俺とゴルシの菊花賞でかなり馬券を捨ててしまって悔しがった人ら多かったそうだし。何かあると考えて残しているみたいだわ。

 

 

 しかしー・・・うーん。そろそろ仕掛けるかね? このままでもいいけど、もう少し前に出たほうがこの技ははまりそうだし。

 

 

 「前に出るか? よし、なら2馬身くらいのリードで行こう」

 

 

 『おうよ。それに、もう動いてきているぞこいつら』

 

 

 ギアを上げて少し前に。エイシンさん悪いねー。今からちょいと俺に食らいついてきたツケを払ってもらおうか。

 

 

 『おおっとケイジ先頭に、より距離を取りに来た! ここから逃げ差しをしていくのか!? コーナーはいよいよ第三、第四コーナーへ。先頭はケイジ、エイシンフラッシュに1と半馬身をつけてのリード。そこに食らいつきますエイシンフラッシュ、トーセンジョーダン。あーっと上がってきたぞ7番ジェンティルドンナに3番アルトリア! 1番ヴィルシーナも猛追を開始! ルージュデンゴン、ナカヤマノブシを引き離す! ケンタウルスホイミも外から粘り伸びていく! そして来たぞ来たぞ! 13番ゴールドシップ。今ターゲットザシュートを追い抜いていく。

 

 

 ケイジを先頭に第三コーナーで先頭集団一斉に仕掛けていく! コーナーの中でケイジを真ん中に大外がゴールドシップにケンタウルスホイミ、トーセンジョーダン! 内枠からエイシンフラッシュ、ヴィルシーナ、ジェンティルドンナ、アルトリアが追い越して蓋をしようと粘る!』

 

 

 やっぱこいつら俺の早仕掛けを察知して動いてきたか! でもー・・・・コーナーで俺に、松ちゃんに仕掛けるのは愚策だよな? その速度で、2400とはいえ高速馬場で仕掛けちゃあ、外に遠心力で膨らんじゃうぜー

 

 

 『いよいよ第四コーナーを抜けて最後の直線・・・ケイジが一気にまくって最内につけた! そこからそのまま残していた末脚を爆発させる! まさかまさか・・・! いや、このコンビならやってのける! ケイジと松風コンビ! コントロール型の逃げを使いあっという間にレースの主導権を完全に握りしめた!

 

 

 後方も粘るがコーナーで加速が鈍ったか追いつくのが難しい・・・いや! 飛んで来たぞ! 13番ゴールドシップ! 1番ヴィルシーナ、3番アルトリア! 7番ジェンティルドンナがすぐさまコーナーを抜けて加速で猛追! 4馬身つけているケイジにグイグイ追いついてくる!』

 

 

 よっしゃ。先輩勢は軒並み引き剥がしたが・・・大外でコーナーでの膨らみが緩いゴルシと、俺の走りを学んでいるジェンティルちゃん。そしてジェンティルちゃんの走りからある程度学んでいるヴィルシーナちゃん。何より、流石欧州最高格の一頭。食らいついてくるか!

 

 

 松ちゃんもここで更にもう一押ししないとヤバいと理解しているのか、すぐさま鞭を入れて加速の合図を出す。真面目に直線勝負なら欧州の長いストレートじゃねえ分アルトリアは不利だが、それ以外が怖すぎるんだよ!

 

 

 

 『松風の鞭が飛びケイジさらに加速! 残り200メートル! これが日本初の凱旋門賞馬! これが傾奇者! 松風との戦国コンビの速さに誰も付いていけない! ゴールドシップ1馬身、ジェンティルドンナも粘るがそれ以上伸びない! 追いつけない! アルトリアも追いつこうとするが届かない! 

 

 

 ケイジ見事にゴォオーールッッ!! 2着にジェンティルドンナ、3着にゴールドシップ、4着にアルトリア、5着にエイシンフラッシュ。タイムは2分20秒3! 大変なハイペースでの勝利!!』

 

 

 ぃやっほーい! どうよどうよぉ! これが俺の第三の武器! そしてこれが戦国コンビよぉ! 満足できたかーい? 儲けられたかーい?

 

 

 『そして・・・・そしてケイジ! なんと日本馬初GⅠ10勝目! 二桁の大台に乗りましたぁ!! 更にさらに! シンボリルドルフ! トウカイテイオーと親子三代でのジャパンカップを制覇という大偉業を更に達成! 凱旋門賞制覇からの立て続けにこの大記録! どこまでもこの傾奇者は我々を興奮させてくれます!!! そしてその記録を打ち出す立役者は復帰戦でこれを成した松風騎手! 新たな偉業と復活の狼煙をあげる粋な勝利だ!!』

 

 

 そうだー!! 俺の相棒がいたからこそのこの勝利だ! もっと盛り上がれ皆-!! まだまだこれくらいじゃあ終わらねえぞお!!

 

 

 「ああ・・・よかった。無事にやれて・・・そしてケイジ、僕の拙い指示でもしっかりやってくれてありがとう。助かったよ」

 

 

 『松ちゃんこそ、難しい逃げ、すぐさま飲まれそうな中調整してくれてありがとな。イン突きの時、すげーやりやすかったぞー?』

 

 

 観客の波のような、嵐のような声援の中、静かに男泣きする松ちゃん。やったなあ。復帰後すぐのGⅠ、このジャパンカップ制覇は伝説になるだろうし、いやはや、勲章を一つくれることが出来て俺も安心ってもんだ。

 

 

 『松風騎手静かに男泣きをしながらケイジの首を撫で、ケイジも嬉しそうに応えております。我々が待っていたコンビの復活劇は快晴ながらも声援と嬉しさの雨が降り注ぐことに』

 

 

 『ぐ・・・何なんですのあの走り・・・気が付いたらガクッと足が鈍って・・・』

 

 

 『大外から捲ったけど難しかったでゴルシーなんかグイグイ回りがいつも以上に速かったような?』

 

 

 『・・・大逃げについていたと思っていたのに気が付けば・・・どういう技なんですケイジさん?』

 

 

 『くぅ・・・また、届かなかった・・・』

 

 

 『これが日本の凱旋門賞馬・・・大物が犇めく場所だとテキや厩務員さんが言っていたのも納得・・・・完敗ですケイジ。日本の戦士の強さを教えてもらいました』

 

 

 『ああーお前さんら。今俺がやったのはコントロール型の逃げってやつだな。ツインターボ、セイウンスカイ、ダイワスカーレット辺りがした逃げの一つだな。そしてアルトリアもありがとう。いやー今回は競馬場の場所での相性もあっただろうし、まだわからんよ。じゃ、また今度よろしくぅ』

 

 

 さてさて、勝利を手にできたし、あのパフォーマンスもしないとなあ? みんなも待ち望んでいるだろうし、やっぱりというかムーランルージュの皆さんも・・・・フランスでのオカマさんも来ていない? え? 美人というか、美丈夫も多いけどなに? 新スタッフなの?

 

 

 まーいいや、今度聞けたら聞くとしてスタンドの中央辺りに移動。松ちゃんも涙を拭いて、よしよし。振り落とされるなよー?

 

 

 『ケイジがスタンド中央に移動していきます。そう! 彼が勝ったのならこのパフォーマンスまでがワンセット! 皆様拳を構えて準備万端! さあ、始めましょう!』

 

 

 実況のおっちゃんノリがいいな? 悪くない。はい右にぴょーん

 

 

 「「「オウ!!」」」

 

 

 左にぴょーん

 

 

 「「「オウ!!!」」」

 

 

 首を下げて溜めての~?

 

 

 「ッ・・・ビヒィイィイイイイィイイ!!!!『いぃよっしゃあぁああああああああああっっ!!!!』」

 

 

 「「「ウオォォオオッォオオオオ!!!! ケイジ! ケイジ! ケイジ!!」」」

 

 

 『東京競馬場に響き渡るケイジコール! そうだ! 凱旋門賞馬の、そして皇帝の一族の勝利を讃えるのならこの歓声がふさわしい! 天を揺るがし、会場が震えるほどの大歓声! 帰ってきたケイジの花舞台の祝福は途切れない! おかえりなさいケイジ! 君の帰還と勝利を我々は待っていた!!』

 

 

 ありがとよぉ! この大舞台! 盛り上げてくれて! そして有馬でもよろしくなー!




 無事にゴルシへのリベンジ成功。日本の凱旋門賞馬の力を皆さんにお披露目。


 同時に一つの時代の区切りへも。エイシンフラッシュも、あの名馬もこの年で引退ですし。


 ケイジ 無事GⅠ10勝&親子三代無敗のダービー制覇に続いてジャパンカップ制覇を達成。コントロール型の大逃げでの快勝にご満悦。この後涙が止まらない松ちゃんとハンカチを渡して労う真由美の様子を見て葛城と久保と一緒ににやにやしていた。


 松風 復帰直後に大勝利とケイジへの歴史的偉業を取らせる大勝利を飾る。最後の第4コーナーでは実はコーナー半ばまで内ラチをあえて開けて隙があるように見せる→途中から加速しての一足先にコーナーに入って一気にイン突きで最内に入ることで内からうかがっていたメンバーへの蓋をする→そのまま加速していくという技術を使っていた。


 ジェンティルドンナ 連覇ならず。悔しい。でも同時にケイジの強さを再確認。有馬記念、宝塚記念でリベンジを誓う。


 ヴィルシーナ 正統派ヒロインな性格でやや大人びた感じのお姉さん。大逃げのケイジに食らいついていったらまさかのコントロールの逃げでペースを崩されまくる。強化ジェンティルドンナとクラシックでひたすらやり合っていたせいで自身も地味にレベルアップしていた。


 ゴルシ ゴルシ。実は一番体力消耗していない。ケイジの大逃げに一番慣れているせいで。でもコントロール型の逃げで周りが追い付こうとするせいでハイペースな試合になってしまい仕掛けや場所どりを微妙にミスしてしまった。ジョーダンは今度蹴りに行きたい。


 エイシンフラッシュ 逃げを使ってケイジの最内を取り、コーナリングを潰しながら周りの状況も利用しようとしたが逆にケイジに翻弄されてしまう。なお、ウマ娘世界でも両さんに壊れた中川みたいなシチュがちょこちょこ待ち受けている様子。


 トーセンジョーダン 他厩舎のボス格だけど基本穏やかなケイジは同格として気に入っている。最後の直線で仕掛けようとしたが気が付いたらハイペースな走りでスタミナ潰されていた。ウマ娘世界でも仲は良く、ゴールドシチーと三人仲良くしている。


 アルトリア 高速馬場かつ試合運びに翻弄されるというある意味逆メジロマックイーン状態でジャパンカップで敗北。イギリスではこのニュースに日本やばい。と同時にケイジの子どもやっぱほしいぜーとなった。なお、後にブラウトと交配してキンチェム系の血を強めるために何度かお世話になる様子。


 ケンタウルスホイミ これにて引退&日本で種牡馬生活スタート。ネアルコ御三家も無ければノーザン系も付いてないマイナー血統なので受けの広さとあらゆる距離のレースで好走した実績を売りに今後頑張る様子。
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