ハジケリスト世代だろ! (完結)   作:零課

56 / 121
 この時代、大真面目に常に怪物が出てくるというか、ほんと世界中で前代未聞が生まれ過ぎというか。どの国からでも話題の馬が出てくるってほんとどうなっているんだ。


 ケイジとメロディちゃんが一緒に歩いたら面白い絵面になりそうですよねえ。いつぞやの宝塚みたいに。ステゴ一族ってのは強さとバラエティーの充実に振り切った子しかいないのかといいたいほど。


フランス旅行

 『おぉん? この程度の重馬場と! 追い込みで俺を追いこせると思うなよぉ!!』

 

 

 『ケイジの脚が鈍らない! 周りの追い込みが止まって見えるほどだ! 昨年とは違う大逃げでの戦いをまさかこのアスコット競馬場で大逃げで勝ち切ってしまうというのかあ!?』

 

 

 『ジャスタやゴルシ、フェノーメノの追い込みがもっとやべえ! あいつらのワープやニトロじみた加速に比べりゃあ・・・重馬場のハンデなんてないんだよぉお!!』

 

 

 『ケイジ大逃げをもって! 10馬身差をつけてのゴォオール!! 昨年の大竹騎手とのコンビも強かったが! 今年の、松風騎手との戦国コンビはさらに差をつけての大勝利! 欧州に傾奇者の本気を見せつける! タイムは2分19秒7!! 自身のレコードにコンマ2秒迫る快速ぶり! 誰も捕まえることが出来なあぁい!!』

 

 

 『イヤッホー♪ これでGⅠ12勝目! そんで松ちゃんも晴れてGⅠ勝利10勝目の大台へ到達だぜ!』

 

 

 『おおっとケイジ興奮しながらスタンドでのケイジダンスを披露! そして会場も大揺れの大歓声で応えます!! このレースを連覇した競走馬は今まで2頭のみ! そして3頭目として名を連ねるのは日本が誇る傾奇者ケイジ! 日本競馬の皇帝と最強の血筋の名を確かにここイギリスに刻みました!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『うわーお。こっちの新聞でも大盛り上がりだなあ。欧州二冠連覇なるか。傾奇ホース、サムライホースケイジ。フランスへ殴り込み!』

 

 

 「やれやれ・・・本当に、やりたいと思い挑戦したが、いざ達成すると震えが来るし実感がわかないものだなあ」

 

 

 テキのおやっさん。それ現実逃避入っていないか? 一緒にスマホを見ながら和訳された現地のニュースを見ながら首をかしげる。

 

 

 「いやあ、現地でも傾奇ホース、サムライホース、日本総大将。どれがいいかって競馬ファンのみなさんが議論していたり、ケイジの人気がわかるなあ。嬉しいのなんの」

 

 

 「で、ですが私たちまで写真や取材が多いのはなんででしょうか・・・あう・・・その、変な答え方していないか心配で心配で・・・」

 

 

 いやあーなんやかんやKGⅥ&QESは勝利。欧州の怪物的、歴史的名馬たちにもGⅠ勝利数が少しは並んだかねえ? になって。またまたドバイの皆様の用意してくれている馬房とスタッフの皆さん。そしていつもの葛城厩舎メンバーでフランスでござーい。

 

 

 そして、真由美ちゃん。真面目にうちの厩舎知名度高いし、テキのおやっさんもいろいろ古風な調教をするし、真由美ちゃんは俺が目隠しされていた時に興奮してスケッチ描くし、この前の宝塚でも描くし、美人でグラマラス。久保さんもいい男だし、優しいし、確かイラスト投稿サイトで正体がわかって、いろんな意味で注目されるようになったしでしょうがないよ。

 

 

 「に、してもゴールドシップやジャスタウェイ、ジェンティルちゃん、ミルキースターちゃんたちは遠征疲れが大丈夫かねえ・・・まさか空港がストライキを起こして輸送路線変更になるとは」

 

 

 「急遽フランス政府やドバイの皆さんの連携で輸送車や個人所有機を使えてよかったっすよ」

 

 

 『ねー、にしても、日本のニュースでも、札幌記念はスミオの勝利かあ。で、ゴルシが3位、ミルキースターが2位。GⅡとはいえGⅠレベルのバトルでの勝利と、ゴルシへの勝利、良い箔付けをしての引退になったなあスミオ。よかったよかった』

 

 

 いやーほんと、俺らの場合真面目に欧州に行く際はコネもあるからこそ快適に移動できているよなあ。馬運車で俺のためにテレビやラジオをつけてくれるってありがたい有難い。そんで、スミオも、同期が引退したが、勝利を飾っての勇退だし、ほんと安心だぜ。

 

 

 「一応、明日くらいにはゴールドシップやジャスタウェイたちも入厩する予定だ。此方の方で調教のプランの再確認と、寝藁の予備をチェックしておこう。今回は日本勢皆で戦い勝利を狙うということで、色々と物には困らない」

 

 

 「GENBUグループが大々的に支援を申し出てくれましたからねえ。いやはや、まさかうちの厩舎の馬運車も新車になるとは」

 

 

 「ホテルまでばっちり完備ですものね・・・泊まるのが少し怖いくらいのいい場所を」

 

 

 『甘えとけばいいと思うよ。俺らでその出してくれた資金分暴れてやればいいのさ。にしても、楽しみだなーみんなとまた遊べそうだ』

 

 

 ちゃんと俺が欧州で勝ったし、皆の実力もそれで尚更にわかってくれると思うし、さあさ、来てくれないかなーここでの調教や覚えることも少しは教えられるし、激闘のためにレベルアップさせてやりたいぜ。

 

 

 ・・・松ちゃんへの勲章を与えたいけど、同時にそれも願うあたり俺変わり種かねえ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 『あ”ー・・・大変だったあ・・・ふーしかし、フランスの空気、なんだかいいな! いつもと違う雰囲気に、面白いぜ!』

 

 

 『ドバイとはまた違う感じだなあ・・・ここが、欧州、イギリスと並ぶ競馬の本場、先進国かあ・・・』

 

 

 『お父様もかつて挑んだ場所・・・そこにわたくしもこれた・・・感無量ですわね』

 

 

 『うーん・・・だるい・・・眠い・・・疲れが抜けないよー休まない?』

 

 

 『お疲れさんお前さんら。流石に疲れは抜けたかあ?』

 

 

 さてさて、やってきました俺ら同期組と天才少女ミルキースター。無事入厩でござーい。ま、実際は先日について、休憩してからだけどね。

 

 

 で、まあ皆慣れない空気や場所にソワソワ。楽しんでいるのもあるが、ま、元気そうだわ。

 

 

 

 『いいなあ。なんか人の感じが違うぞ? 髪の色や目の色も色とりどりで綺麗だなあ。面白いな。で、なんで俺ら人気なんだろうね? ここ来るの初めてだぞ?』

 

 

 『そりゃ、ジャスタやジェンティルちゃんらの活躍が世界にとどろいているからなあ。その同期でお前さんも強いんだ。名は知れているし、人気もあるよ』

 

 

 『まあ、その先駆けは間違いなくケイジだよね。ジェンティルドンナちゃんと一緒にドバイに行って以降、この中じゃあ一番海外で戦っているもの』

 

 

 『世界でも指折りの強さ。ですものね。しかし、調教で林や森に入ることはありましたが・・・本当に欧州は森も凄いのですのねえ』

 

 

 で、今は森の中を歩いて移動しながらの調教。まあ、言ってしまえば自然をそのまま多く残すことの多い欧州の競馬場。芝も深ければ地面も柔らかい。それになれるための調教だわな。

 

 

 『うおーなんか日本との香りが全く違う。行こうぜジャスタ!』

 

 

 『うん! ボクも楽しみだよ。行こう!』

 

 

 『あ、先輩たち先行きまーす』

 

 

 で、まずは先発組の3頭が出発。あまり横に広く広がりすぎてもあれだし、俺とゴルシの場合、そのままレース始めそうだと言われて分けられちゃった。失礼な。精々変顔対決くらいだわ。

 

 

 それにまあ、森だしね。細い場所とかもあるだろうし傍で手綱を引く人やガイドも含めれば歩く場所やあれこれあるだろうししょうがないない。

 

 

 『いってらっさーい。いやはや、日本馬三頭立てでの凱旋門賞は参加したことはあるが、今回は5頭かぁ・・・・それだけ強いメンバーがそろったということだし、日本競馬の強さが高くなっているというのを感じるね』

 

 

 『確か、日本のレースは元は欧州を目指して、追いつくように頑張ったのでしたっけ?』

 

 

 『そうそう。んで、そこにアメリカ化の影響で高速馬場、距離とかあれこれあって今は欧州とアメリカの中間的な感じで、同時にそのころの名残なのかね。凱旋門賞を狙う。そのために多くの素質馬が狙い、届かなかった』

 

 

 ジェンティルちゃんの親父さんに、俺だとルドルフ爺様だな。真面目に何度か夢枕で会うけど、ウマ娘になっているせいで爺様呼びの違和感がすげえのなんの。神様いくら助言したいとルドルフが言うとはいえ週2回は多いんじゃない?

 

 

 『けれど、時代は変わっていった』

 

 

 『そ、特に大きな成果、変化を与えたのはやっぱりルドルフの爺様の周辺世代によるジャパンカップでの海外馬への勝利。そして、海外でも結果を残したエルコンドルパサーにステゴ。日本国内でもスペシャルウィークが今なお欧州最強格候補ブロワイエに勝利をして、日本馬の強さを見せつけた』

 

 

 『そこから時代が流れてナカヤマフェスタにオルフェーヴル、そしてわたくしたちが・・・ですか。なら、尚更に負けられないですわね。更に強くなった日本馬の強さを見せちゃいましょう』

 

 

 『おうよ♪ なにせ今回は三冠馬レベルが4頭。それに食らいつける才能が1頭来てくれているんだ。皆で暴れて勝利しよう。お、進んでいいみたいだぞ?』

 

 

 ポコポコ周りの視線やカメラに応えつつサークル内をグルグル回っていたらようやく森に入っていいっぽいので俺らもいざ突撃。俺もイギリスやフランスで何度かしたし、ここの森はある程度地理も覚えているし、まあ、どうにかなるっしょ。

 

 

 いやー・・・森の香り、落ち着くなあ・・・森林浴ってほんといいもんだよな。アロマな香り・・・でも、これって植物が虫対策で出す香りでもあるってすごいなあ。

 

 

 『落ち着きますわ・・・でも、足元が・・・ドバイの時より重い?』

 

 

 『そりゃあねえ。多分朝霧もあって湿っているせいもあるんだろうさ。だけど、これくらいの重さは平気じゃないと凱旋門賞はきついぞ。真面目に芝が日本とは真逆だからなあ』

 

 

 『問題ありませんわ。ナギコやヒメさんと砂浜で走り倒しましたし、山も幸太郎さんと一緒に歩いたりして鍛えましたもの。これくらいなら』

 

 

 流石はジェンティルちゃん。うちの牧場、静養牧場だけど牝馬とかに脂肪をつけすぎないように砂浜や林、山を歩くための場所、コースがあるんだが、その場所は同時に俺らの練習場所。放牧の最初と最後手前でよく使うんだが、俺の場合シンザンやルドルフ寄りの、あの時代の馬場に対応できる技術とこういう場所を良く歩く分重馬場に強いのかもなあ。

 

 

 日本とは違う香りと空気を味わいながら厩務員さんを連れてのポコポコデコボコ森道を歩いていけば、何やら自分ら以外の人の香り・・・というか、よく嗅いだことのある匂い。

 

 

 「ヒヒーン!」

 

 

 『伊馬波さーん! あんたこんなところで何しているんだ? 流石に鹿とか、猪、熊とか出たらやばいぞ? 前もって駆除や追い払っているとは思うけど』

 

 

 「お、おお・・・いやあ、助かった。久保さんにケイジ君、ジェンティルちゃん。森に迷ってしまって・・・どうやって帰ればいいかと」

 

 

 『ええ? ゴルシはどうしましたのよ。いえ、ジャスタウェイにミルキースターもいたでしょう?』

 

 

 「どうしたんすか伊馬波さん。ゴールドシップたちは?」

 

 

 「い、いやあ・・・ゴールドシップのやつ、テンション上がってしまったのか、私を置いてそのまま行ってしまいまして、追いかけることもできずにこのまま森のなかだったんです」

 

 

 「『『ええ・・・』』」

 

 

 あいつ、多分年下の牝馬とジャスタもいるせいで思わず伊馬波さん忘れやがったな? で、ジャスタもジャスタでテンション上がっているからそのまま。気が付いてもその時は遥か後ろと・・・しょうがねえなー連れて行こう。真面目に気が立った鹿とか人に角を振るって襲いかねないし、危険だ。

 

 

 『ほい。これ持って伊馬波さん。俺は変顔以外は暴れないよ。ここで漫画読めねーし』

 

 

 「ケイジのやつが持っていろって言っていますよ。気にせずどうぞどうぞ」

 

 

 「それでは言葉に甘えて・・・いやはや、ゴルシのライバルで、いつもこいつがいなければと思いますが、同時にやる気にさせてくれる有難い友で、そして、私もファンですよ。こうした機会をくれたのはゴルシに感謝かな」

 

 

 『それで遭難、死にかける危険があるのは流石にやばいですわよ?』

 

 

 「それを言えば、私達も前田牧場の皆もゴルシが勝つたびに、ケイジを負かすたびに悔しくなりますが、同時に強いライバルだといつもいつも驚き、笑顔になります。あのマックイーンが帰ってきた。葦毛の怪物伝説が続いているんだって思いますから」

 

 

 だなあ。負けるのは悔しいが、同時にライバルの強い、かっこいいのを見れるのは幸せってもんだぜ。にしても、伊馬波さんにファンと言われるのは嬉しいねえ。俺らもいつもゴルシとの楽しい日々の話は元気をもらえるぜ。

 

 

 そういえば、伊馬波さん専用にシャツを破かれる際の手当てが増えたって噂は本当なのだろうか?

 

 

 この後、もう少し歩いていたらミルキースターの厩務員さんも森の中で迷子になっていたので保護。結局厩務員さん離さなかったのジャスタだけかよぉ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あらー・・・まさかの事態やな・・・これは探索隊を組む流れか?」

 

 

 今年の競馬記者程、海外移動を何度したやつがいるのかホンマ分からんほどにあちこち飛び回る羽目になった。

 

 

 何せまあ、ドバイでは2012年世代がドバイミーティングで大暴れ、ダートでも同世代がGⅠ10勝を目前に。かと思えばその世代筆頭ケイジが天皇賞で大勝利。そしてアメリカでのナギコが無敗のトリプルクラウン。

 

 

 更にはまたケイジがこの前にイギリスでKGⅥ&QESを連覇し、この凱旋門賞。アメリカにはナギコが再度移動してブリーダーズカップへと挑み二年連続無敗と最強を狙うという。まさしく世界中を日本馬が暴れまわっている状況。

 

 

 明るいニュースは本当に日本を元気づけ、世界からも前田牧場の牧場長の声もあり震災復興募金もとんでもない額が集まったりといいことづくめ。そして、日本艦隊による凱旋門賞殴り込み、となっていたのに、まさかの厩務員二名が森の中で迷子になっているという事態。

 

 

 前もってハンター、駆除隊によって道の確認と、害獣の駆除はしているのだが、すべてではない。何かあってはと皆が不安がり、記事の変更もするべきかと考えていると、第二グループのケイジとジェンティルドンナのコンビと・・・伊馬波厩務員さん。ミルキースターの厩務員さんも一緒に来てくれた。

 

 

 これに皆驚き、安堵する。無事だったと。

 

 

 「はぁー・・・安心安心。どうあろうが、この遠征は無事に終わってほしいわ。傾奇者に、あの最強の癖馬たちに悲劇は似合わん」

 

 

 『おおいこらお前さんら。厩務員さん置き去りにしてんじゃねーよ!』

 

 

 『あ、ありがとー先輩。気になっていたんだよねー』

 

 

 『あ、伊馬波さーん! 心配したんでゴルシよーで、ケイジこら! 伊馬波さんはオイラの仲間だぞ! 奪うのは駄目だ!』

 

 

 『お前がおいていったんじゃろがい! これを喰らわせてやる!』

 

 

 安心していると、ゴルシが伊馬波さんとケイジが一緒にいて、手綱を持っていることにイラついたか、怒るとケイジも何でか持ってきているハリセンを咥えて構え、ゴルシもハリセンを伊馬波さんから奪って構える。

 

 

 『そうは問屋が卸さない! お前の頭の音色を聞いてやるからなあ!?』

 

 

 『なにおう!? 俺にハリセン捌きで勝てると思うなよ!』

 

 

 何やら嘶きながらハリセンで互いにツッコミ合戦を入れ合うケイジとゴルシ。とりあえず、厩務員さん達の無事とこの面白い絵面を収めようと動画と写真撮影を始めておく。

 

 

 強さだけじゃない。このカオスさあってこそのこの世代や。欧州の皆さんに忘れられないようにええ写真撮らんとな~

 

 

 バシバシ、スパーン! と小気味よい音を聞きながらシャッターを切る。この後に、ハリセンを構える二頭の絵面と、周りで呆れたような表情で見る三頭の絵面がフランスの新聞に載った。いやー頑張った甲斐があるし、レースも楽しみやわ。




 フランス旅行。真面目にこのメンバーの日常茶飯事を見て欧州のホースマンは何を思うのか。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。