ハジケリスト世代だろ! (完結)   作:零課

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ここを終えれば一度ウマ娘エピソード挟みたいですねえ。ある意味一つの区切りです。


俺の名は 凱旋門賞(GⅠ)

 「ふー・・・ここにきてしばらく経つけど、まだ緊張・・・いや、むしろ酷くなるな」

 

 

 『気負ってんねえ松ちゃん。キングジョージでもおもしれえくらいにどもりに噛みまくって現地のコメディアンにネタにされ、動画サイトでも素材にされちまっているのに』

 

 

 今日はのんびり一緒に練習。そんでまあ、松ちゃんもいい感じに肉体は仕上がっているんだけど・・・なあ? 気負過ぎだぞー目標の場所についたとはいえ、既に日本の凱旋門ジョッキー第一号はいるんだし、軽く軽く。

 

 

 「お疲れ様。松風君。ケイジ。いやー流石フランス。オーガニック、低カロリーでいい飯が作れる。ケイジの方は・・・お前、ほんと不慣れとか、気負いとかないのなあ。ちゃんとレースに合わせて自分でも馬体重調整はするけど」

 

 

 「ありがとうございます。いや・・・ほんとサラダとか、色々な味を楽しみながらも体重制限が楽で助かりますよ久保さん」

 

 

 『久保さんも確かジョッキーの遠征負担を減らせるよう低カロリーで栄養のある食事の技術磨いているんだよな。いやー大したもんだ。まあ、俺のせいであちこち遠征いくからしょうがないかもだけど』

 

 

 久保さんも真由美ちゃんもほんと松風君や葛城厩舎でかかわるジョッキーのためにあれこれできるようになっていくんだよな。ハードな仕事の後だってのに、頭が下がる思いだね。

 

 

 松ちゃんもサラダとサンドイッチをほおばり、小休憩。おなかが空いているときは一度飯を食べて気持ちを落ち着かせたほうがいいよ。

 

 

 「ありがとうございます久保さん。いやはや、やっぱり緊張しますよ。あの舞台に僕が挑めるのと、行っていいのかって」

 

 

 「気にしないでいいさ。君もGⅠ10勝の立派な一流ジョッキーの仲間入り。その経験は必ず通じるよ」

 

 

 「それもケイジがいてこそですよ。それ以外では重賞を幾つか。そんな僕が本当にケイジの力を引き出せるか。大竹さんの心意気に応えられるか・・・・・」

 

 

 『それにこたえるためにお前さんがリラックスというか、良い感じに元気にならないと。でないと、俺のコーナリングで吹っ飛びかねないぞ?』

 

 

 真面目に、怪我しかねないからなあ俺のコーナリング。追い込みだろうと大逃げだろうと逃げて差すか、差して逃げる。そして早仕掛けだから基本コーナー手前から加速していくし。

 

 

 頭をゴスゴス小突いてからニッコリ笑顔。余計な心配する心は気にすんな。必ず俺が暴れて不安もしないくらいに走ってやるからよ。

 

 

 「おぐっ! うぐっ! げふ・・・ケイジ、やめ・・・ぶうふっ! お、お前なア。変顔したらイケメンな分刺激が強いぞ。・・・・ありがとう。助けられてばっかりだなあ。僕はみんなに」

 

 

 「いやいや、俺らは君のように馬と心を通じ合わせて命がけのレースで戦えることが出来ないし、技量も無い。全てを背負って戦える心も無い。松風君。俺も助けられているんだ。レースでの勝利と、ケイジとの人馬一体での戦いに集中して構わないよ」

 

 

 「そうですよ。それ以外の事は全部私たちが支えます。ですから松風さんは、勝てる。勝つと考えて挑んでくれれば」

 

 

 「そうそう。それに、来年もケイジは走る。ローテの組み具合ではまた挑めるし、気楽に構えなさい。むしろ、大竹さんみたいにベテランや、実力がはっきりわかる分落胆も少ない、失うものが少ないと考えて思いきりだ!」

 

 

 おおう。葛城厩舎ケイジ陣営の皆での激励だ。わはは。こいつは松風君。おいおい。涙を流すの早いぞ? 勝ってから男泣きをしてやろうや。

 

 

 あ、真由美ちゃん俺にも牧草くれー。ありがとナス! んー・・・さすが農業大国で、競馬の本場フランス。牧草もいい味しているねえ。

 

 

 「ありがとうございます。テキ、真由美ちゃん。久保さん。ケイジ・・・そうですね。思いきり、やれるだけやります! あ、そういえば、今回は蓮君もフランスに来たと聞いていますが」

 

 

 「うんうん。また素質馬が来れば君に頼めないかも頼むし、今はケイジと一緒にどこまで行けるかを考えなさい。ああ。蓮は今私の嫁さんと一緒にフランス旅行だよ。この前のキングジョージで稼いだ分。家族サービスをね。この職業だ。休みがなかなかない分こういう時にサービスを」

 

 

 「やっぱ、馬たちの方に意識いきますし、なかなか難しいっすよねえ。まあ、それくらい馬が愛おしい馬キチだからこそここまでのサービスもできているわけですが」

 

 

 「違いない。ははは。そしてそのチャンスをくれたケイジ。やれるだけやって来い。私にとってはお前があとにも先にも最高の馬だ」

 

 

 もちろんよテキのおやっさん。そんで、ここでも勝ってもう超えることが出来ないほどの最高の馬になってやろうじゃねえの。時代を作った馬だって言えるくらいには頑張るぜ。

 

 

 さ、松ちゃん。走ろう。凱旋門賞も重馬場。アスコット競馬場に負けねえほど直線長いし、色々やっておかないとだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『今までこんなことがあったでしょうか。今年の凱旋門賞。挑む日本馬たちは実に5頭! そして、そのうち4頭全員が前代未聞の記録、ワールドレコードを持ち、更にはこの4頭すべてが同じ時代、クラシックを戦い抜いた同期! そして残る一頭もまた次の時代を作る天才! 日本艦隊が凱旋門賞に到着。いざ挑戦となります!

 

 

 そして、そのうちの一頭は昨年ここを制覇した日本初の凱旋門賞馬! 日本総大将ケイジも参戦している! 連覇なるか! 同期が奪うか! 欧州の精鋭たちが取り返すか! 世界が注目する一戦が幕を開けようとしています!』

 

 

 始まったなあ。世界でも指折りの格を誇るGⅠレース凱旋門賞。昨年タケちゃんと一緒に行った時よりも熱気がすごい。

 

 

 そりゃあそうか。ここ数年の日本馬たちは誰もかれもが凱旋門賞に指をかけたような才能ばかり。欧州のレベルに、真逆のレース運びや芝の整理をしたうえでもここの場所に適応して追いついてきた。日本の競馬ファンからすれば長く悲願であった欧州のレベルへ追いついたことの証明。

 

 

 欧州の競馬ファンからすれば欧州最高格のレースを日本に取られることへの悔しさもあるだろうが、同時に知らなかった血統たち、その血を引いた戦士たちとの出会い、その血筋を自分の知る名馬と組み合わせたらとロマンを妄想し、想起する。

 

 

 世間じゃあ、俺たちが出した結果をまぐれという声も多くあったが・・・見せつけるためにはいいチャンスだ。そして、俺自身がしょい込んだ想いのためにも、やるっきゃねえ。俺ら競走馬にとっての勝負服もつけて気合ばっちりよ!

 

 

 『いよいよ彼の入場です! 5番ケイジ! 一番人気を持って堂々入場! 馬体重は前回から増減なしの650キロ! 傾奇者が再び欧州の頂点のレースを奪いにいざ参上! 今日は桜吹雪が舞うメンコもつけて気合じゅう・・・おおっと? 何でしょうか、6番黄金の不沈艦ゴールドシップと一緒に暴れだしました』

 

 

 『うっひょーすげえすげえ! 日本のとなんか違う。お客さんが一杯だー! ウェーイゴルシダヨーン。よろしくぅ!』

 

 

 『どーもどもケイジでぇございます。おい。俺の馬券買わねえか?』

 

 

 というわけで、早速ファンサービス開始。バックで移動しながら客席の近くで変顔と決め顔の百面相。どうよ。これが顔芸百面相。馬の表情も豊かなんだぜ? で、ゴルシも俺に続いて欽ちゃん走りでヘドバンしながらの変顔もお披露目。舌ペロまでしちゃって。なら俺もベローン。

 

 

 観客も受けてくれるしいいね良いね。世界最高格のレースだ。盛り上がってなんぼよ!

 

 

 あれ? 見た顔がちらほら・・・おおー

 

 

 「ケイジ! ぶふ・・・頑張れよー連覇! 昨年の猪一頭分の売り上げをお前に託したぞ!」

 

 

 「がんばってーケイジちゃん。シンザンもルドルフも、テイオーもミホシンザンも越えていくのよ」

 

 

 「頑張れよぉケイジ。天国でルドルフたちと再会する前に最高の土産話をわしに持ってきてくれ」

 

 

 「「「「ケイジちゃぁーん!! ファイトォー!! 日本総大将! 勝利をつかむのよぉ!」」」」

 

 

 「「ケイジくーん! 頑張れー!!」」

 

 

 おぉう。マタギのおっちゃんに、あの老夫婦。そんで、ムランルージュの皆さんはまた現地のオカマさんたちと今度は戦国ものコスプレで来たかあ。しっかり横断幕にも俺の刺繡までして、日本総大将と書かれているでやんの。日本人も昨年に比べると多いなあ。応援有難いぜ。

 

 

 頑張るぞー! ほれゴルシもぴょーん! するんだよぉ!

 

 

 『フランスの皆お元気ぃ? ほれほれもっと盛り上がって盛り上がって。年に一度のお祭り騒ぎ! 盛り上がらなきゃあ損よ損! 俺のメンコも今日が初使用なんだぜ? これが日本の桜。あ、写真撮る? ほいほい。じゃ、松ちゃんも一緒に移るよう下がりながら・・・チーズ』

 

 

 『俺たち最強メンバーで暴れちゃうからなあ? 後で人参くれよそこの姉ちゃん。顔芸するからさーおおーゴルシーボクゥ♪ 俺のぬいぐるみじゃーん』

 

 

 『『『知らんふり・・・知らんふり・・・・・』』』

 

 

 『おっとケイジとゴールドシップ。軽く跳ね回るような動きまで披露。その元気さに会場は大盛り上がり。笑いと同時にあっちだよーと誘導する声も聞こえます』

 

 

 あれ? ジャスタもジェンティルちゃんもスターちゃんもそっぽ向いて首下げてもったいないなあ。せっかくの大舞台。楽しもうぜ?

 

 

 さあ、二度目のお披露目かな? テイオーステップからのー・・・・・

 

 

 『あ、ゴルシ! 俺ら大分遅れているわ。足もあったまったし、そのまま前に行こうぜ!』

 

 

 『了解! いやー面白いわフランス。そのままウイニングランだ!』

 

 

 『まだレース始まっていねえよ! ここからばてるんじゃねえぞ?』

 

 

 ふと後ろを見れば思ったよりみなさん本場馬入場していたので急いで列に戻ることに。ゴルシと一緒にそのまま客席近くを一緒にダッシュ! 急げ急げ。

 

 

 『『『え!? 今走るの!? 急がないと!!』』』

 

 

 『あっとケイジとゴールドシップ走り出して列に戻ります。そしてそれにつられて後続の馬たちも走っていきます。ここまでハイペースかつ笑いの起きる凱旋門賞での本場馬入場は初めて見ました』

 

 

 あれ? 返し馬じゃないのにほかの馬も走って来ているね。まーいいか。よっしよっし。無事に列に戻りましてと・・・あー愉快愉快。昨年よりも客入り多いみたいだし、笑えたしでとりあえずウォーミングアップは十分だぜー

 

 

 後は思いきりやり切るだけ、勝負の方でケリつけないとなあ。

 

 

 ゲートが見えてきて、いよいよ勝負の時。ささ、俺らの方もゲートに・・・・あ、番号的に俺が先に入るべきか。ほいほい。ガシャンとな。

 

 

 『最後にゴールドシップ。葦毛の馬体が入り、全頭ゲートに収まりました・・・・激しく、長い2400メートルの戦いが今スタートしました! 20頭による大レースが幕を開け、第3コーナーを目指して直線を駆け抜けていきます』

 

 

 『さてさて・・・今回はわざと追い込みで行くかね・・・松ちゃんやテキもそのほうがいいと言っていたし』

 

 

 いいスタートを切ったけど、50メートル飛ばした後にすぐに後ろに下がってと・・・おいゴルシなんかやる気失せていねえか? あ、違うな。芝の感覚再度確かめている感じだわ。まーいいや、いつも通りのポジションだし、俺もそのほうがありがたい。

 

 

 今回は日本どころか世界でもやべーやつら勢揃いのレース。俺のいつもの武器を見せないのと、日本メンバー多数。しかもオルフェを倒しているジェンティルちゃんもいるしジャスタもいる。斤量ハンデなしのミルキースターちゃんもいるしでどれをマークすればいいかばらける分、俺らもわざと後ろに下がってかく乱したほうが戦いやすいってね。

 

 

 『今回ケイジとゴールドシップは最後尾から2、3番目につけ、ジェンティルドンナは前から2番目の内側。ジャスタウェイは5番目の外、ミルキースターは7番目につけるという位置取り。この位置をどう見ますか岡崎さん』

 

 

 『ケイジが場をコントロールしながら自分も楽にしていますね。ジェンティルドンナ、ジャスタウェイ、ミルキースターばかりを気にすれば後ろからケイジとゴールドシップが飛んできます。かといって、あの二頭を塞ごうとすればジャスタウェイ、ジェンティルドンナのあのとんでもない末脚とパワーを好きにさせて欧州のスローペースな試合運びを壊されます。しかもケイジは追い込みも得意。正直、私も相手すればどうするか迷っているうちにまけそうです』

 

 

 ふーむ・・・馬群が団子みてえに広くなっているな。俺らを塞ぎつつも、何時でも前に行けるようにしている感じかねえ? ジェンティルちゃんは抜け出しやすそうだが、ジャスタとスターちゃん大変そうだなあー

 

 

 さてさて。気持ち的にもう少しで1000メートルを超える感じかね? 少しギア上げるか。そんで・・・ゴルシの道を作るほうが俺への注意もそれて楽だし、外から攻めるぜ松ちゃん。

 

 

 『ありがとうございます岡崎さん。さて、今回のレースのペースメーカーはモンマロン。そして続くキングロッカー、ジェンティルドンナが続いてレースを引っ張る形に。今回もまたダービー馬、二着にほか重賞を手にした怪物たちとまさしく欧州競馬の祭典にふさわしいメンツで争います。

 

 

 ケイジ、ゴールドシップやや外からギアを上げて馬群へと追いつこうとしていきます』

 

 

 『どちらも大型馬ですし、馬群に飲まれるよりはそのほうがやりやすいでしょう。そして、最後の直線でどちらも光る末脚がある。悪くないと思います』

 

 

 『今回は本当に追い込みで行くようですね。さあ3、4コーナーの中間へと入り、もう少し走ればフォルスストレート。偽りの直線へと入ってい行きます。日本競馬ではそうそうみられない長い直線での戦い。昨年ここを征したケイジは追い込みでどう攻略するのか』

 

 

 ほんと、ここのストレートすげえよな。真面目にコーナーとコーナーの中間なの? ってくらい。む・・・ジャスタ、更に内に入って、スターちゃんも内側か。確か今日は内側の方が馬場がいいんだっけ? 消耗避けるためとはいえかなり中に入って攻めるなー

 

 

 さて・・・見えてきたぜ第4コーナー・・・早仕掛けで一気にまくるぞ松ちゃん!

 

 

 「・・・よし! ケイジ! 大外から行くぞ!」

 

 

 『あいよ!』

 

 

 『お? 攻めどき? なら便乗して場を荒らすでゴルシ―』

 

 

 『いよいよフォルスストレートから第4コーナーへと入って行きます! ここからがまさしく正念場。自分の競馬が出来るかどうか。それが大事になってきます! さあケイジとゴールドシップが外から攻める! まくっていく! 早仕掛けを見せていくぞ!』

 

 

 よっし! いい感じにクリアな状態。前に行きや・・・あ? マジかよここまでよれるってサンデーのケンタッキーダービーじゃあるまいに。俺のそばに一気に来たなおい。ゴルシの方は・・・あー問題なさげ? 俺の方をガンマークしていたのね。

 

 

 まあ、問題ない、最後の直線まで足を残せたんだ。ここからおもいき・・・・おぶちっ!!?

 

 

 『『『『ケイジ(先輩)!?』』』』

 

 

 『さあ、最後の直線へと移ります! ゴールドシップが仕掛けるもケイジを気にしてか足が鈍る! しかしそれでも速い速い! ジャスタウェイ、ジェンティルドンナ、ミルキースターも広く横に広がった馬群から抜け出していく!』

 

 

 こんにゃろ。タックルも? 効くかよこんなの! ゴルシやジェンティルちゃんレベルのやつもって来い! ははははは。人気者は辛いねえ。マークされてスキンシップされてしまうわ。・・・・いいねえ。これくらいやってくるのなら、俺も燃えて、思いきりやってやるってもんだ!!

 

 

 『こんにゃろ! おめーよくもケイジに!』

 

 

 『気にすんじゃねえやお前ら!! こんなこともあらあ! それよりゴールに早く着く方に目えむけろ!! これを負けた言い訳にするんじゃねえぞ!』

 

 

 多少のアクシデントくらい問題ねえ! それくらいで松ちゃんもみんなも騒ぐことじゃねえ! 俺にとっちゃあただのスパイス。むしろやる気が出ていいくらいだ!

 

 

 『俺のライバル達がここの直線で衰えるわけがねえよな? 気がつきゃあ俺の尻を追いかける羽目になるぜ! それをされたくなきゃ前を見ろ! 行くぞ日本代表!! もう一度頂点を取ってやるぜ!!』

 

 

 『『『『っ・・・・・ォオオッ!!』』』』

 

 

 『ケイジ足の回転が高まる! ゴールドシップ加速を再度開始! ぐんぐん抜け出してごぼう抜き! 先頭に並んでいく! 追い越していく!』

 

 

 『やっぱお前最高だぜケイジ!』

 

 

 『これが最強世代・・・! なんか熱くなっちゃうわ。キャラじゃないのに!』

 

 

 俺の名はケイジ! 不利な状況でも楽しみ、燃える傾奇者、武将慶次の名を持つものよ!!

 

 

 『ミルキースター加速! ジャスタウェイ! ジェンティルドンナも馬群を振り切ってその末脚を爆発! ケイジ達を猛追! これは・・・! これは昨年の凱旋門賞の再現になったぁ!!』

 

 

 『そうだ! ケイジならその心配すら失礼。負けないよ! 僕だって世界最強! だからこそここまでこれた!』

 

 

 『ああ、そうよケイジ・・・! その燃える戦いに、心があるからこそ倒したいし、戦いたくなる! そばにいたくなるの!!』

 

 

 俺の名はケイジ!! 祝い事である慶事の意味を持つ名を持つもの!!

 

 

 このくらいでへばるような道のりを歩んじゃいねえ! そんな程度で勝てるライバル達じゃねえ! このくらいでよれるような軽い走りをしちゃいねえ!!

 

 

 『残り300メートル時点で既に勝負は先頭の5頭に早くも絞られた! そのすべてが日本馬! そしてその先頭を切るのはやはりこの馬だ! 日本総大将ケイジ!! スペシャルウィークから引き継いだその名に恥じない走り! 天馬を、黄金を思い起こさせる追い込みですべてを撫で切って道を切り開いたぁあ!!』

 

 

 この走りが偶然か!? この光景が偶然か!? 見せてやるぜ世界! 俺を信じてくれたみんな! そして・・・俺にバトンを託してくれた、ちょっと不器用だけど優しい金色の王に応えるために! いつも俺を信じて悩んでも進んでくれる相棒のために! 背負い込んだ想いのために勝ってやる!

 

 

 日本の想いはもうここに届くんだって! 俺たちの歩みは偶然じゃないんだって! 日本のホースマンと馬の歩みは、追いつきたいというその願いは・・・!

 

 『最後の争い残り200メートル! ケイジが抜けていく! もう誰も追いつけない! 日本馬同士の最後の戦いはこの漢に、コンビに軍配が上がった! グイグイ伸びていく! 喰らいつくジェンティルドンナ、ゴールドシップから2馬身の差をつけて残り100メートル! 言葉はいらない! 目に焼き付けろ! これが・・・これが日本の皇帝、最強の血筋が生んだ最高傑作! その名はケイジ! そして日本の生きる伝説大竹騎手が認めた騎手、松風守の走りだぁあああっ!!』

 

 ここにしっかりと届いているんじゃぁあい!! 偶然じゃねえ! まぐれでもねえ! 俺たちの勝利だ!!

 

 

 『ケイジ3馬身差をつけてゴォオオールッッ!! もう、フロックとは言わせない! 傾奇者ケイジ、史上初欧州二冠連覇達成!! 前代未聞! まさしく歴史的快挙を起こした! そして、日本人二人目の凱旋門賞ジョッキーを誕生させた! そしてそして! タイムはなんと2分19秒3!! レコードをさらにコンマ2秒更新! 着順もまた1着から5着まですべて日本馬!! 2着ジェンティルドンナ 3着ゴールドシップ 4着ジャスタウェイ 5着ミルキースター 掲示板を日本馬で二年連続独占!! 凱旋門賞でこの大快挙!! やりました日本メンバー! これが日本最強! いや、世界最強世代だ!!』

 

 

 

 

 しっかりと。しっかりとゴール板を通過し、しばらく速度を落としつつ走ってからようやく一息。よしよし・・・へっ。一番手柄頂戴仕るってな。

 

 

 『いやあ、掲示板から外れるが、きっと気持ちでは一緒に戦っていたと思うぞ? 6頭目の、優しい暴君様がな。見てくれているかねえ。オルフェ・・・ふぃー・・・・』

 

 

 『おいケイジ! 大丈夫かよ顔! あーら桃色にはれ上がっていらっしゃる。医者―!』

 

 

 『それ俺のメンコ! 桜吹雪じゃぁい! この紋所が目に入らぬか!』

 

 

 『絶対それ別の時代劇! 立場が爆上がりしているよね!?』

 

 

 『ああ、ケイジ! 大丈夫ですの!? 怪我、身体も無事ですのよね!?』

 

 

 『あー先輩たちの走りやばいってー・・・でも、本気で走ったのいつぶりだろう。すっごくだるいけど・・・楽しかったー』

 

 

 あーもーレース終わってすぐこれか! 浸る暇もねえ! ったく。まあ、俺ららしいけどさー。で、どうよ松ちゃん。そこから見える景色、悪くねえだろ?

 

 

 松ちゃん泣きすぎて俺の鬣や体に涙やら鼻水の雨だよ。全くも―後でブラッシングとシャワー、久保さんたちと一緒にしてもらうからな。

 

 

 『レースが終わり、日本馬メンバーがわちゃわちゃと集まって嘶いております。互いにこの激闘を讃えているのでしょうか。この古い歴史、伝統を持つ凱旋門賞。故に集まり、勝利を手にするのは怪物的名馬ばかり。その歴史の中で連覇を成し遂げた名馬は数えるほどしかいない。しかもそこに欧州二冠も含めれば彼一頭のみ! その名はケイジ! 欧州でまた彼は一番手柄を上げ! 日本に持ち帰ることが出来ました!』

 

 

 『感無量であり・・・同時に、日本の血統はここまでやれるんだと見せつけられましたね・・・ルドルフもきっとここに挑めれば取れていたかもしれない。そう思わせてくれるほどに、強い戦いぶりでした』

 

 

 岡崎さん涙声じゃん。あちこちで涙流してんなあおい。

 

 

 ま、いいか。とりあえず。

 

 

 『いよっし。皆。あれやろーぜ? 欧州でこれをやる機会ってないし、日本メンバーでさ』

 

 

 『いいでゴルシよ。あれだけやっても負けたやつらに見せつけてやる意味も含めて』

 

 

 『根に持つねゴルシ・・・いいよ。僕もやってみたかった』

 

 

 『あーあれ・・・? えーと、ジェンティル先輩、一応どうやるか教えてもらっても?』

 

 

 『何でわたくしに・・・いいですわよ? 簡単ですし、まずは・・・・』

 

 

 今回は俺だけじゃねえ。ここにいる日本メンバー、そして、これなかったやつ、信じてくれたやつ。バトンを託してくれたみんなの勝利だ。なら、せめてここにいる俺らだけでもパフォーマンスを見せてやらないとってね。

 

 

 ジェンティルちゃんも説明が終わったみたいなので5頭でスタンド前にポコポコ。

 

 

 みんな拳は構えたな? 喉枯らしていないよな?

 

 

 『さあ、ケイジ達がスタンド前に移動した。これをやるために相談していたのでしょうか? おなじみケイジの勝利パフォーマンス。それを今回はライバルであり戦友たちとやるようです!』

 

 

 よっしゃ。それじゃ、右にぴょーん。

 

 

 「「「オウッ!!」」」

 

 

 左にぴょーん。

 

 

 「「「オウッ!!!」」」

 

 

 首を下げてからのー?

 

 

 「「「「「ビヒヒィイイイィイイィイッっ!!!!『『『『『っいよっしゃああぁあああああああ!!!』』』』』」」」」」

 

 

 

 「「「うおぉおおおおおおっっ!!」」」

 

 

 また見に来ているなあ。神様たち。どうだい? 日本馬の浪漫、世界も含めて面白くなりそうだし、俺を信じてくれた分。しっかりやれたかねえ? そして、オルフェーヴル、竹ちゃん。あんたらの想いも、バトンも、しっかり届いたぜ。




 ケイジ、欧州二冠連覇を達成。欧州での勝率は100%のまま。


 ケイジ 無事大勝利。ドーピング検査もサプリすら食べておらずばっちり。日本競馬界の重鎮や各国のやんごとなき方々もしっかりその結果を見届けてからの万歳三唱を貰ったりした。もう一度国民栄誉賞受賞されることに。

 ゴルシ 顔バチーン回避。代わりにケイジがもらった。お返しと言わんばかりに5着以下に3馬身つけての3着入り。この後なんやかんやケイジを気にしつつご飯を食べていた。


 ジャスタウェイ 4着に入り、その維持をの見せつけていった。国際レートがさらに上がり、種牡馬入りの話がすでに飛んできているほど。


 ジェンティルドンナ 一番ケイジを心配していた。地味に親を超える結果を凱旋門賞で見せつけての勝利。馬房の中で気になる余り旋回して厩務員さんを心配させてしまった。


 ミルキースター ケイジ達に触発されて真面目に走った。陣営の皆も掲示板入りしたことを褒めてくれたのでこれ以降たびたび本気で走ってくれることも。


 松風 泣きまくり。日本人二人目の凱旋門ジョッキーへ。ケイジ達と一緒に国民栄誉賞をもらうことに。


 オルフェ 牧場でスタッフの皆と応援していた。ケイジダンスと、ケイジの言葉を聞いて思わず涙。


 神様 また皆で欧州旅行していました。予想を超えるケイジの大奮戦ににっこり。ナギコのレースも楽しみで仕方ない。
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