まあ、こち亀とかなんですがね。
「だーかーらーよ・・・しばらく休学にしてここを出させてくれって言ってんだよルナ姉!」
「駄目だケイジ! 抜け出していく先は危険が過ぎる! 君のキャリアどころか命も危ないのだぞ!」
東日本大震災。この星を揺らすほどのまさしく天災。その震災があった直後、余震さえもまだ気を抜けないとき、ケイジは生徒会室へと入ってきて休学届を叩きつけた。
理由は単純明快、津波が来たという現場へ赴き、救助活動をしてくるというのだ。今年の7月にはデビューを控え、その時点ですら私は愚かマルゼンスキーさえも認めるほどの才能の持ち主がこの学園を離れ、真冬の、しかも泥やあらゆるものがごたまぜになり危険極まる場所へ。
「知るかアタシのキャリアなんぞ! こういう時にアタシらウマ娘のパワーと体力、嗅覚に聴覚を持って救助をするべきだろう!? ルナ姉の言うウマ娘の幸せってんなら! あそこで巻き込まれた子らのためにも行くべきなんだよ!!」
「それはプロに任せるべきだと言っている。君は確かに軍の研修をこの歳で吸収し、あらゆる意味で規格外だ。だが、あくまで民間人であるケイジを救助現場へ出向かせるわけにはいかない。それをするのなら・・・・」
正直言って、私も行きたい。ケイジの言う通りだ。人類史とウマ娘の歴史を紐解けば私たちウマ娘はその美貌と優れた力を使い人を助け、代わりに食事や社会的立場を用意してもらい、共存してきた。
災害の時もそうだ。そしてこの災害大国と言われるほどに多くの災害が起こる日本ではウマ娘が身体を張って人々を助けた記録も多々見受けられる。
しかし、しかしそれを見たうえでもケイジを行かせるのは先達としても、生徒会としても、個人として、アスリートとしても抑えておきたくなるものだ。彼女の才能を潰したくない、万が一があってほしくない。無性に甘やかしたくなる。親しみを感じる。自分とは別のベクトルで大器を見せる彼女をここで磨くのを止めてはならない。そう思いが強くなる。
だからこそだろう。強く言ってしまったのは。同時に、そこで測り間違えていた。ケイジという女の、ウマ娘としての器を。
「休学では済まない・・・停学でよければいい。退学だってあり得る。此方が認められないのに無理に出ていくというのなら、それをしないといけなくなる」
「っ・・・・・・・・」
しばらくの沈黙。この時、私はケイジも思い留まったと考えた。何せ、日本最高峰の財閥、ホテルチェーンを持ち、資産も世界有数の前田家の令嬢。ウマ娘日本最強格が一族である名家中の名家。その家に泥を塗ることへの重さ、スキャンダル扱いされての株価の下落や被害。なんやかんやふざけ倒しつつも頭の切れるケイジならわかるはずだ。
いつもの学園内外での少しの騒ぎならまだしも、退学となれば、しかもそれが学園側からのとなれば流石に問題となる。有名人。富裕層であるが故に起こりうる問題だ。一度落ち着いたか。その間に期間を置いてのボランティアの募集でならいいと条件を出そうとしたのだが・・・
「ならいいぜ。退学にでもしてくれ。むしろそっちの方が好きにやれるし、海外のトレセン学園ででもやり直す。ビリーさんにでも相談すっか。ブライアン。窓開けてくれ」
「わかったよ。相変わらず、ケイジさんは決めれば一直線だね」
「ま・・・っ! ケイジ! 今すぐでなくてもいいだろう!? もう少し待ってくれ! そうすればこちらの方でも物品回収やあれこれのボランティアへの便宜を図れる!! 焦る必要はないはずだ!」
「何言っているんだよ、この冬だぞ? 凍傷での怪我もあれば、心身病んでしまう人も多い。一人でも今は人手が欲しいんだ。今すぐ行かねえという選択肢はねえ。ほれ、アタシの文は書いたし、後はルナ姉で好きな処遇を書いて出しておいてくれ。お礼はあとで言う」
さらさらと便箋に何かを書き込み、封筒にしまい机に置いて生徒会の窓から出ていこうとするケイジ。それを抑えようと私も立つがそこにブライアンが壁となって止める。
「ケイジ! 君の才能は間違いなく私を超える! 世界へも名を馳せるはずだ! それの一歩を躓いて、そして君の活躍で日本を、多くの後発への刺激や、あらゆる可能性を潰しかねないのだぞ! やめてくれ! 私は君の輝かしい成長と未来を捨ててほしくないのだ!」
「あのなぁルナ姉、ここで躓いてもアタシならやり直せらぁ! でもよ。今あそこで失われそうなものには、無限の未来や可能性、アタシを超える器だっているかもしれねえんだ。こういう時に動けなければ女でも廃る! アタシのウマソウルが許さん! じゃぁな。あっちで頑張ってくるわ」
そう言ってケイジは生徒会室の窓から飛び降りた。私は、しばらく呆然としつつ、地面に降りて走っていくケイジを見送る他なかった。
「ケイジさんは今行かせないと、必ず後で滅茶苦茶をしてでも行く。見送る他ないよ会長」
「そ、うかもだが・・・だがやはり心配で・・・」
「問題ないよ。ケイジさんの回りには支える人たちも多い。必ず面白いことをしてくれるさ。それより、今は生徒会の仕事と、増える仕事をするべきなんじゃないのか?」
ブライアンの言葉にそうする他ないと自分に言い聞かせ、席に座り直す。ああ。こういう時に性根が出てしまうのが悔しく、同時に思いきりやり切れるケイジが羨ましく思える。
「私も手伝うよ。書類をくれ」
「ふふ・・ありがとう」
「おーい爺や、ばあや。アタシの貯金とこの前超神田寿司で捨てられそうになっていた骨董品。片っ端から開いて現金に回すのと、支援物資、食料品に全部回して。それと、月光刑事にも連絡頼む。アタシの方も既に両さんに連絡取って・・・お」
さてさて、学園の方は抜け出せたし、通帳と判子。回せる分の金とコネでトラックやらあれこれを用意出来た・・・そんで。後はあっちに移動するだけなんだけど・・・。
そう思っていたら、何やら見覚えのある車。いやはや、流石だねえ両さん。
「ケイジ! どうせ震災現場に行くんだろう? 乗れ! 中川から車を借りてきた!」
「さっすが両さん! ゴムボートにあれこれ詰まっているじゃないの! 大原部長は大丈夫だったの?」
「はん。ケイジのやることを支えなきゃ。若い子だけに無理させるのを見ないふりは無理だし、それやるのなら警察官やる意味がねえ。啖呵切ってきたぜ」
「もし首になってもうちで雇ってやるさ。さ、行こうぜ! 震災現場で寒さや怖さで震えているやつらにやけどしそうなスープとミノムシになりそうなくらいの分厚い毛布を配るんだ!」
いやはや、中川さんの所のトラックを運転してきた両さんと一緒に東北へいざ鎌倉。とりあえず、これで最低限の救助活動と、荷台に詰め込まれたテントや寝袋、食料の一覧表に目を通していると電話が。あ、爺やじゃん。
「もしもし? どうだったよ」
『用立て出来た金額全て資金に回したのと、冴羽殿に2000万現金で渡してドライバーと補助を受け持ってもらえました。お嬢様の護衛も。とりあえず、1万人分の食事数日分と、寝袋やヒーターをあるだけ。発電機も用意しました。
旦那様達の方は即金で30億下ろしまして、追加でどんどん使えというのと、現地の前田ホテルグループでも空き部屋は全て家を失った被災者へ回していいそうです。今できるのはこれくらい、現場に一緒に行けなくて申し訳ないと謝っておられましたのと・・・私でもこれがせいぜいです。申し訳ありません』
「十分! なら、爺やたちは被災現場での炊き出しや前田グループとの打ち合わせを頼む。アタシと両さん、月光刑事、冴羽にいで救助活動をしていく。その救助者たちの受け入れを頼みたい。時間との勝負だ。年の功と、アタシに普段付き合っている度量で癒してやってくれや」
『もちろんですぞお嬢様。ばあやとの連携で驚かせて見せましょう』
まったく老いてますます盛んとはよく言うねえ。頼もしい。とりあえず、現場で動ける連中にドライバーとして雇ってホテルか宿を物資の中継地点にして各所に分配、それをしていくための資金は爺やと現地のトップに回すか。爺やに簡単な指示の相談をしておいてから電話を切る
で、家が流れた、職を失った人たちにそれらの仕事をやらせたいし、あっちで求職の応募も出しておくか・・・さすがに震災が起きたその日にすぐできるとは思わないが・・・一応。な。
「ケイジ。今回わしがこうしてお前さんに手を貸すのは、どうせ止めても何らかの手段で向かうのを分かってのボディーガードに近い。だから、無理はするな。何かあればわしらを頼れ。ケイジより年上なんだ。頭で負けても、経験では負けんぞ」
「はっははは! ある意味での信頼ゆえだねえ。ああ。頼むよ両さん。それに、まだ頼もしい大人が来ているようだしな」
高速道路を走る中、聞こえてきた飛行機のエンジン音。民間のそれではない。夜間戦闘機月光。そして、うちのヘリ。多分ヘリはばあやの方だなあ。たしか見習いの時にヒサトモばあさんと一緒に上空からホテルのイベントビラ巻くために免許取ったんだっけ。
『こちら月光刑事。両津、ケイジ。借りを返すのと、警察として、個人として手を貸そう。いつぞやの怪盗団逮捕の時には助かった。今度はこちらの番だ』
「こちらケイジと両津。感謝するよ月光刑事。避難場所や受け入れでの警備や指示とかも混乱しているだろうし、警視庁の幹部の発言は混乱している現場を抑えるのにいいし、うちのホテルでも受け入れを始める。その際の指示に助かるよ」
『相変わらず年に不相応な手際の良さだな。よろしい。此方特殊刑事課でも可能な限り動かせる人員を回してサポートに回る。両津。この宝を守るのだぞ』
「了解、そっちこそ救助活動の際に操縦テクを披露してくださいよ。わしらで可能な限り救える命を救いに行くんですから。それじゃ」
トラックの無線にどうやったかは不明だけど月光刑事からの通信が着て、両さんが答えたところで通信を終了。ばあやからも懐中電灯を使った信号で協力すると言ってくれていたのでこちらも懐中電灯で返しておいておく。
幸子からも協力が出来ないか連絡しておくか・・・あの子の嗅覚とパワーは真面目に欲しいし、料理上手だし。まさかこの世界では人間になっているとはなあ。しかもマタギのおっちゃんの娘。
あれこれ両さんと話しつつやるべきことの手順をメモに書き記しておくうちに震災現場に到着。さ・・・一肌脱ぎましょうかねえ。
「ふっ・・・ん・・・! いよっし・・・! 嬢ちゃんにばあちゃん。大丈夫か? 怪我してねえな?」
「は、はい・・・!」
「おお・・・お嬢さんウマ娘かい・・・最近はこんなに若いのに自衛隊にいるんだねえ」
目の前でがれきの山を自分の腕力だけで持ち上げ、すぐさまおばあさんと、その孫娘と思えるウマ娘を呼び出していくケイジのすさまじさをわしは改めて見せつけられていた。
ウマ娘のパワーの中でも群を抜いて高く、それでいて繊細なコントロールや加減もできる。ゆえに陶磁器、茶器の製作や魔法のようなマジックも見せていける。そんなケイジの力を振るい、地震で倒壊した地域でがれきの中で出られなくなっている人たちの救出に全力を振るう。
「よし。お二人さん。わしの車に乗ってくれ。避難場所と、受け入れ先に前田ホテルが旅館やホテルを開放している。そこに連れて行って自衛隊や出張してきた医者たちの手当てを受けてくれ。ほれほれ。乗って乗って」
「ありがとうございます・・・! ありがとうございます・・・!」
「ありがとう・・・! もう助からないかと思っていた・・・私も腕が折れていて・・・もう・・・」
「気にすんねえ! 生きてその笑顔みれりゃあアタシも儲けもんよ! お、月光刑事の飛行機が来たな。おーい! こっちだこっち!」
わしは軽トラでおばあさんと孫娘を運び、ゴムボートには先に救助してきた人を乗せ、それを月光刑事の戦闘機から降りてくるロープで固定し、低速で避難場所へ運ぶ。
「んー・・・あっちから生きている人の匂いがするわ」
「奇遇だな。アタシも怯えてパニくりそうな声が聞こえる。そっちの方へ行くか」
被災者の発見はケイジのウマ娘としての聴覚、そして、ケイジの幼馴染であり、人でありながら警察犬以上の嗅覚を持つ幸子ちゃんが次から次へと見つけてはこの3月の東北地方という凍死もあり得る、寒さと暗さ、怖さのなかから助け出し、二人の美貌で微笑んでは癒しを与えていく。
明るい、本当に明るく強い、健気な子たちだ。急いで警察特別協力者というワッペンをつけさせて余計なことをしようとする輩をけん制し、こうして救助活動を続けて早3日。
泥の中にいた人たちもヘリや戦闘機で救助し、ボートを使って助けに行き、飯を用意し、金銭を与え、まだ活力の残っている人達にはボランティアや職を与えて少しだが避難先の体制もできつつある。
その避難先に大きく力を注ぎ、助けているのはやはり前田ホテルの存在が大きい。あの震災から数時間後には記者会見を開いて被害にあった地域周辺の前田ホテル、関連の宿は全て被災者の受け入れ場所として無料開放。
もし職を求めるのであれば県外になるがそこも紹介していくし、家族で住み込める場所も都合するほど。その手際の速さには中川や麗子も電話で聞くほどであり、同時に、シンザンやヒサトモ。大災害を経験した経験者たちがいたからこその対応の早さだろう。
「あらー・・・ちょいと傷が深いな・・・消毒するぞ」
「はいはい。あとは・・・えーと、あったあった。大分消耗しているわね・・・眠れるようにも栄養剤を肌から・・・」
「戻ったぞー・・・次の人は傷がいくつかあるな・・・」
「そうなんだよ両さん。しかもまあ、時間がたって化膿し始めている。知り合いのドクターで腕の立つやつ何名か呼んでいるからそっちで見てもらう方がいいなあ」
「消耗も大きいし、栄養も点滴しながらじゃないと怖いなあ・・・出血量は傷口に異物が入っているせいで抑えられていたけど。ふぅ・・・」
そして、その孫とその親友の動きの速さ。けが人の消毒を済ませ、医療用接着剤で傷を塞ぎ、栄養剤のパッチを貼り付けての見事な応急処置。常に現場に張り付いているのが少女なのがわしのふがいなさを感じさせるが、同時にその手際の良さで助かった命も多いと医者たちも言っていた。
間違いなく早く、無理やりにでも来てくれたことで救われた人は多い。年齢がわしより2回りくらいは下の子どもだと思えないほどに素晴らしい。
ただ、同時に働きすぎであり、休ませるべきでもある。すでに自衛隊や警察、志望者による救助活動は始まっている上に、指定されたエリアで救える人は全て救い出した。6名でプロの何倍もの働きをしたのだ。休んだって誰も怒るいわれはないだろう。
「よし・・・これでこのエリアは全て回ったかね。ケイジ、幸子ちゃん」
「だな。次いって助けに行こうぜ両さん」
「ええ・・・私の鼻でももう人の匂いはしないですし。行きましょうか」
「いやいや、ここ以外は全部警察や自衛隊が回ってくれている。わしらは休もう。・・・と言っても聞かないだろうしな。せめて炊き出しの用意をしよう。力仕事だし、二人の力が欲しいと言っていたぞ」
二人とも首をかしげるもそれもいいかと言って笑顔で歩いていく。本当に強い。だからこそ大事にしたい。わしの先輩や、檸檬のような、芯が強いからこそ弱さを隠す、見せない人らは思わぬところで折れかねない。せめてそこをわしが支えたり、かくして癒してあげられるくらいしかできないが、それでも助けになれば。
今日のご飯は雑炊と魚の塩焼き。そして漬物。いくつかは前田ホテル御用達のメーカーから回してもらったものも多く絶品だったのだが・・・ケイジに心無い言葉を投げてくる輩に殴りに行きそうになり、飯の味が台無しになった。気にしなさんなと言って笑い飛ばすケイジがいたからこそ耐えられたが・・・令嬢のポイント稼ぎだの、普段の素行の悪さの埋め合わせだの言うのは怒りが爆発しそうになった。
大金を惜しみなく放るだけでも感謝されるだろうに、進んで常にきつい仕事をこなし、炊事もこなし、自身は少しでも多くの食料を回すためにと普段の半分以下もいいと思えるほどの量の食事だけ、睡眠もいい場所ではなく作業場に近い場所にテントを張って、中に新聞紙を敷いての寝袋だけ。自衛隊と同じ過ごし方をしつつも重機と警察犬張りの働きを同時にこなす。そんな彼女への罵倒などされるいわれも無いはずなのに。
一人憤るわしにもらってきたという酒と一握りの豆菓子を渡し、ケイジも幸子ちゃんも『両さんが怒ってくれるからこそアタシ(私)たちは怒らないで済んでいる。だから、今は心をほぐして』と言ってくれて、渡された酒の味はわしは一生忘れないだろう。
「ふっぐ・・・あー・・・身体がバキバキだ・・・ストレッチ毎日しているのになあ・・・」
かれこれボランティアを始めて1週間がたつ。あの震災の衝撃や、兎にも角にもどう過ごせばいいのかと迷う人らの受け入れや衣食住は対応も進んでいる。中川、麗子さんらの会社も動いてくれたことに加えて前田ホテルグループでの連携。GENBUグループもバスやトラック、多くの車を回して世界規模の企業での連携を持ってひとまずの対処と先を見通せるための余裕は持てた。
「ケイジちゃん。今日のご飯もらってきたわ。せめて朝と晩御飯だけでもいいもの食べないと・・・」
「おお? 悪いね幸子ちゃん。あーその出汁巻き卵少し苦手だし、幸子ちゃん貰って」
「嘘言わないの。ケイジちゃん私の料理でたまご大好きだと言っていたじゃない」
「いいからいいから」
ただ、同時に少し余裕が出来る、安心していけば同時に感じるのはなんで自分はこうなったという感情。悲しさ、失ったものの事を強く想起する時間が増える分落ち込んでしまう人も増えているのが事実だ。せめて賃金やお金の面では余裕を持てるようにと職の紹介も早くから始めているが、それでもやはり心に刻まれた傷のせいでそれも手につかず、でも心は弱っていく人も多い。
「それに・・・今日は自衛隊の人達がいるし、もう少し寝ていいって言っているし休もう? 目元・・・クマがべっとり・・・」
「泥が落ちていなかったかな? はははは。顔も洗うから勘弁してくれ。せっかく早起きしたのに眠りなおすのは休日くらいで結構だ」
その人達を少しでも助けたい。立ち直らせる助けになりてえ。だがそれの厳しさもある。それに付き合ってくれている幸子ちゃんに両さんには頭が上がらねえ。せめて戻った時に何か礼をしたい。アタシ用にと頑張ったのだろう。山盛りの料理を持って心配そうに目を潤ませるのにアタシも心が安らぐし、だからこそ幸子ちゃんには腹いっぱい食べてほしい。
「・・・もう! 頑張りすぎなのケイジちゃん! 休もうよ! 貯金もコネも使い続けて! 3時間しか寝ないで動いているの知っているのよ!? 1週間もまだ寒いこの場所で! せめて休める時に休まないと・・・」
「なあに。これはアタシにとってはレースへ向けてのトレーニングでもある。だから気にすんねえ。ほれ、飯を食おう。せっかく熱々で持ってきてくれたのに冷めちゃあもったいない」
「うん・・・いただきます。それで・・・練習って?」
怒り始めると怖い幸子ちゃんを怒らせるわけにゃいかないので一緒に段ボールを地面に敷いてから食べていく。朝は豚の生姜焼きかあ。うん。いけるいける。でもゆっくり食べないとアタシ胃袋縮んでいるだろうしなあ。
幸子ちゃんも食事にほほを緩ませていきつつ聞いてきたのでちょうどいいやと話すことに。真面目にアタシの嘘はすぐ見抜くから誤魔化せないだけだけど。
「アタシがこれから挑むウマ娘のレースは・・・正直言って理不尽のぶつかり合いだ。誰より練習しても才能に潰される。そもそもどんなに願っても入りたいチームに入れるかさえもテストの結果次第で落される。ひたすらに、純粋に強いものが勝って、栄光の舞台に上がってもまたライブで力量を見られていく。華やかで輝かしいが、その戦いは命がけで、心身全てを全力でぶつけて尚結果を数字でたたき出していく世界だ」
ルナ姉にうちのばあちゃんたちがそうだが、まさしく才能、上に立つものが周囲をねじ伏せてその器を見せていく場でもあるレース、ライブ。どんなに努力しようが、最終的には才能と努力、あらゆるものの総合値がレースで見せられる。
たとえ才能が20で、努力を100積んで底上げしたウマ娘が1位を狙おうとも、才能は100で努力は50程度しかしていない怪物には敵わない。努力が報われない場面が多数出てくる。それがウマ娘のレースだ。しかもおまけとしてファンたちの評価や言葉までもが飛んでくるという始末。
「そこじゃあどんなに厳しい結果でも挑んだ以上受け止めなきゃいけねえ。その上で次にいかないといけねえ。努力は報われる。それを潰す事実を学生の身で受けなきゃいけねえ。これはその訓練でもある。理不尽を受け止めて、艱難辛苦を乗り越えて前に進めなきゃいけねえ」
「・・・でも、あんまりにも厳しすぎるわ・・・せめて癒しの時間くらいは」
「なあに、あるんだぜ? 助けたみんなが微笑んでくれてさ、軽口叩きながら配膳したり、一緒に掃除したり、洗濯したりしてよ。おばあちゃんやウマ娘たちとこの前なんてお菓子の交換をしてさー。癒しもある、鍛えられる。アタシにとっては人助けをしながらトレーニングになる。だからよ、気にしすぎんな幸子ちゃん」
そう、これくらいの厳しさは耐えなきゃあいけない。正直少し心がきついが・・・戻るまで少しでも多くの手伝いをしたい。ウマ娘として三度目の生を受けたんだ。ここで力を振るわにゃあ女が廃る。
食事をかき込み、茶で流し込んでから腰を上げる。さて・・・今日は何をしたものか。
「おいおい、こんなに楽しそうなトレーニングをしていたなんてずるいぞケイジ~ゴルシちゃんも混ぜてくれよ♪」
「まったく・・・リーダーになって早々にこれですもの・・・私の家の方でも多くの力を支援に回せるようにしましたわ。楽をしなさい」
聞えて来た声に思わず振り向けば、嘘かと思うような光景を見て目をこすってしまう。
「すまんケイジ。ちょっと戻っていてな。代わりに人手を集めてきたぞ!」
「ケイジ・・・いや、ケイジさん! あんたの心意気に感動した! そして、それに応えるためにちょいと古巣のやつらと知り合いを集めてきた!」
「ケイジちゃーん。もう、乙女がしていい顔じゃないわよ? 私の方でも人を集めてきたし、楽しなさいよ」
ゴルシ、ジャスタ、ジェンティル、ヴィルシーナ、ナギコ、オルフェーヴル、ヒメ、両さん、おそらく手の部分にバイクのハンドルを固定されている本田さん、スーザンママ、ヒサトモひいばあに、後ろには男どもが大量にずらり。
「関東男連合600人、本田ヘッドの声、そしてケイジの姐御の心意気に感服し参上しやした!! どうぞこき使ってくだせえ!」
「16号の黒豹1000人初代総長とケイジさんの姿に惚れて参上しました!! ケイジさん、ここからは俺らにも手伝わせてください!」
「なんじゃこりゃあ・・・・」
「カレンチャンがケイジや幸子、両さんのボランティアの光景の動画を拡散していてな。それも相まっていま日本中がおもしれえことになっているぜ? 見て見な」
ゴルシから投げられたスマホのニュースとウマスタのページを覗けばその動画の発信元はアタシが助けた人らのもの。そして、ニュースで警察、企業、果てには自衛隊までもがボランティア募集の数を限界突破し、無理やりにでも来てくれる人が多くいることや、復興支援金が世界中からも来ているというニュースばかり。
「この動画や書き込みが来てから数時間後には一気にこの具合でな、ケイジ、あとはわしら大人に任せろ。少しくらい寄りかかれ」
両さん・・・ああ・・・すげえなあ、こんなに人が来てくれたのかよ。まったく。嬉しいばかりだ。
「前田家の方でもさらに金を追加でつぎ込むし人も回す。ミサトが会議でもうまくやって4000億即金で回せるそうだ。それに、知り合いの老人をシンザンと回って用意した。炊事や雑用で回すし、ケイジ・・・アタシのひ孫だからこそ強さは分かるが、それでも休みな。一度休んでこそ、より強く、早く動けるってもんだよ」
バスから降りてくる老人たち。それも何台ものバスからだ。本当にうれしいことだ、本当に、アタシなんぞの行動でそうなったというのなら、報われるという想いじゃ足りない程だ。
思わず目頭が熱くなる。くそう・・・泣くのはこういう時じゃねえしキャラじゃねえってのになあ・・・幸子ちゃんに至っては泣きすぎて顔面崩壊しているじゃねえか・・・あはは。
「すまねえ。ちょっとの間でいい。みんな、頼らせてもらうわ・・・ありがとう」
「気にすんな! ゴルシちゃんはいつも頼っているしな!」
「そうそう。それに大切な友達だもの。笑顔でいてほしいし」
「リーダーが頑張ったからこその成果。私達が繋いでみせますよ」
「ええ。ケイジだからこそ見せたこの成果、より大きくして見せますよ」
「ふん。久しぶりに燃えるのを見せてくれたんだ。応えなきゃ女じゃないね」
「ぃよおーし!! お前ら! 早速作業を始めるぞ! 両津の旦那に半分付け! 残りは俺と作業の指示を貰いに行くぞ! ケイジさんの繋いだバトンを俺たちが落としちゃいけねえ!」
「それじゃあ、やるわよ皆。ルールを守る暴走族。ここでも丁寧に早くやり切っていくわ!」
「やり切るぞみんな! ケイジに負けるな! 大人の意地を見せてやろうぜ!!」
両さんの号令で老若男女みんなが声をあげるのを見てから、私らは背を押される形でバスの中で仮眠をとらされることに。久しぶりに泥のように眠って、起きたころには夕方。その中でも汗水たらして働くみんなを見て、アタシも手伝ってからみんなで食べる飯は、そりゃあもう美味かった。ただの豚汁やみそ汁のはずだけど、どこのレストランで出される料理よりもおいしかった。
『いよっしゃー! ライブは一度休憩! とついでのトークタイムだ! みんな腰かけて茶あしばきながら今度はアタシの話を聞け―!』
東日本大震災。その復興に日本が躍起になる中、ひときわ大きな波を起こした一人のウマ娘。ケイジ。そして彼女が所属するチームシリウスや周辺のメンバー。
今日はそんな彼女たちの急遽行われたライブの取材にボクは来ていた。震災が起きるやその日のうちに現場に出向き、特殊刑事課たちを動かしての人命救助。幼馴染とともに何十人も救出し、その後は現場での作業に炊事洗濯とこなして、更には被災地に一番最初に届いた救援物資およそ何十億円相当の物資も彼女から。
前田ホテルグループの令嬢でありながら誰よりも泥にまみれて汚れ、粉骨砕身働き、その思いが日本有数の巨大暴走族グループを二つも心酔させて動かし、その動きに呼応するように誰もが復興への助力を大なり小なりしてくれた。
おおよそ1か月近くにわたるボランティア、娯楽提供のためのマジック、歌、踊り、コントを披露しては各地を回り続けた。リギルがいずれ自分たちに匹敵、超えるとさえも言っていた器だが、デビュー前でここまでの事をできるのかと何度も何度も驚かされるばかり。
そして、そんな愉快なライブはケイジが来た場所で開かれ、その様子を各地に設置されたモニターで見れるようにしていた。伝えたいことがある。そう言ってケイジが頭を下げ、暴走族たちが二つ返事で各地を駆けずり回って出来たイベント。ボクも聞き逃すまいと耳に神経をとがらせ、ペンに力を籠める。
『まずはみんな。こうしてライブで出会えてありがとう。あの震災があってなお気力を持ち、生きてくれてありがとう。あの津波であらゆるものが流されて、潰されても尚耐えてくれたのに感謝だ』
ライブでのはっちゃけ具合はどこへやら。きりりとした顔でマイクを握り、和服が明かりに照らされる。
『だがよ、正直もう何もしたくねえ、何をしたいかわからない人もいると思う。当然だ。地球さえも揺らすほどの巨大な災害と波は意志も、何もかもを流して、何時もあったはずの景色さえも泥水で汚して潰して、変えてしまった・・・
みんなが落ち込んで、悲しむほどに合った日常も、隣にいたはずの人も、ウマ娘も、ペットも、なじみ深い、愛しい風景さえもなくなってしまっただろうさ。あんまりに急すぎて、凄まじすぎて訳が分からねえという声も、怒る声も納得する』
ケイジの言葉にどこからともなくすすり泣く声が出て来たり、目頭を押さえる人も出てきた。当然だ。想像しろと言っても難しい、映画の表現すらも生ぬるい地獄が起きたのだ。そうなるのも仕方がない。
『だがよ、今を生きている皆には、つらい言葉かもしれないがもう一度立ち上がってほしい。先に天国へと旅立ったみんなの分まで生きて、そしていつの日か皆が愛して、過ごしたこの地を、地震なんぞに負けねえと復興を・・・いや、それ以上の輝きを手にしてほしい』
若造が何を言うか。という声もあっただろう、だが、それは少数だ。ボクは録音とペンで記録しているが反論すらここに浮かびすらしなかった。まだ10代半ばの娘の言葉だというのに、惹きつけられる。反論できない重みを感じさせるのだ。
『何をバカなというだろうな。だけどさ、人はそれをできる力があるんだ。東京タワーよりも、どんな建物よりも大きく強いものが人には、ウマ娘にはある。そいつは・・・アタシたちの意思だ』
すとんと心に落ちて染みる言葉に反論の言葉さえも無くなっていく。ボクもペンを走らせる手を鈍らせないようにしつつも聞き入りすぎないようにと意識を走らせていかないとそのまま聞いたままになりそうなほど。
『どんな巨大な建築物も、すげえ技術のものも、それは人が、ウマ娘が造ろうと思わないとできなかった。ああ、あの場所にこれを造りたいという想いがその場の景色を変え、それは自然の姿も変え、そしてこの星のあらゆる場所にその意思が基礎となり、土台となって多くの建物が、技術が、今の世界を造った。ここにいる皆も間違いなくその意思を持つ一人で、そして進んできて誰かの助けになり世界を動かしていた一人なんだ。
だけど、それも今は意志が折れたり、くたびれたり、疲れているかもしれねえ。火が消えているかもしれねえ。だからよ。その火を付けたくてアタシは今日ここで宣言する。
アタシは、シンボリルドルフを超える。超える伝説を作る! そして、その始まりの場所はこの場所、このライブからだ!!』
驚きのあまり、ペンを落としてしまった。声が出ない。瞬きを忘れてしまった。シンボリルドルフ。ケイジの祖母シンザンを越え、永遠なる皇帝と言われるまさしく日本最強のウマ娘。自身の立ち振る舞いに美貌、人格も学業も完璧どころか既に社会人としての振る舞いもウマ娘のレースを運営する関係者からも太鼓判を押されるほど。
そんな彼女に並ぶ、近づくというウマ娘は多くいた。が、超えると公言。しかもデビューさえもしていないウマ娘がそんなビッグマウスを叩く。これに会場も静まり返り、そして笑い声が出てくる。ジョークだと、あるいはそこまで言ってくれるのかという声が多い。既にこのライブ会場ではケイジに心をつかまれた人が多い。ケイジの発言もこちらを励ますためと感じているのだろう。
励ますためというのは正解だろう。だが、その瞳に感じる熱は、ボクもなんとなくそれだけではない。自分のためでもあると語っているように思える。
『おいおい。まさか笑ってくれるとはなあ。座布団貰えるの? 座っていいのか? まあなールドルフを超えるのは無理と思う人もいるだろうさ。けどよ、あんな大スターが出た後にもうあんな大物は出ないと思っていただろ? でも、出たじゃねえの。オグリキャップという葦毛の怪物がライバルたちとまたすげえ時代を作り、その記録はまさしく偉業さ。
その記録は、旅路はオグリキャップが進みたいと思ったから、その意思が作ったものだ。不可能なんてない。それを今度はアタシが見せる番だ・・・! アタシの意思で新しい伝説を作る!! その始まりの場所はここだ!』
語る声に熱が入る。その熱に誰もが燃え上がる。もはや武将の飛ばす檄のようだ。びりびりと肌が震え、腹の底から熱がこみあげていく。これが少女の言う言葉か? これがまだレースさえも経験していないウマ娘の言葉の力か? もう既に場を握っているのはケイジ一人だ。
『アタシは、この災害でも立ち直れる人の力を信じている! その意志の火をつけるためにアタシが出来ることで何度だって挑む! そのためならルドルフ越えだってやってやる!! だからよ・・・皆で頑張って前に進もうぜ!!!』
この感じる圧に、熱に、言葉に全て魅入られる。そして、直観と経験でわかる。間違いなくルドルフやオグリに並ぶ、いや超えるほどの器だと。前田家一の傾奇者。かつての巨星シリウス復活を成せるだろうと言われていた言葉が今ならわかる。もう、目が離せない。この先の時代を作るのは間違いなく彼女、ケイジだ。
「そうだ! ここで立ち上がらなきゃあもったいねえ!! お前らも声出せ! 元気を出せ! この年の子どもですらここまでの心意気を持っているんだ!! 俺たち大人が応えなくちゃあいけねえ!!」
「頑張って立て直すわよ皆! ケイジちゃんたちがまた来てくれた時に今度こそここのきれいな姿と笑顔で迎えるためにもう一度踏ん張るときよ!!」
何やら警察官とオカマの声に多くが応え、会場が揺れんばかりの歓声に包まれる。気が付けばボクも声を上げていた。すっかりファンになっていた。そこからケイジ達の声を合図にライブの後半が始まり、すっかり見入って楽しんでしまっていた。
この後、ケイジは文字通りルドルフを、それどころかディープさえも越える戦いを、時代を皆と作っていった。
『ああっとケイジデビュー戦でまさかの大差勝ち! そしてレコードも更新するという功績を見せる! あのライブでの公言は嘘じゃないと言わんばかりの強さ! レースにまた一人傾奇者が乗り込んできたぞお!!』
誰もが弱いわけではなく、間違いなく誰もが時代の頂点になれるほどの怪物たち同士での真っ向勝負。
『ジェンティルドンナ強い強い! 姉、ディープインパクトに負けないと言わんばかりの三冠達成! チームシリウスのサブリーダー! その意地と強さ、美しさを見せつけたぁああ!!』
「ケイジ達に負けてなんかいられない! みんなで盛り上げて、元気を渡すの! そして、お姉さまにも並んで見せる・・・!」
時にそれはあり得ないような光景さえも見せつけていった。
『何ということだ! ゴールドシップがケイジ相手に取ったその一手は三冠ウマ娘ミスターシービーのタブー破り! ケイジが対抗するのは直下降からの祖母シンザンの魅せた超大外回りでのぶっこ抜き! 三冠最後の勝負で三冠ウマ娘たちの時空を超えた勝負! いざ直線! いざ勝負! 最後のスパートをかける!!』
「もう無敗の変則三冠とったんだ! ここは譲ってもらうぞケイジイィイ!!!」
「やだね!! アタシの夢は、背負ったもんはここで止まらねえ!! お前こそ倒すからなゴルシィ!!」
『二人並んでのゴォオールっっっ!!! 結果は写真判定にゆだねられました! ・・・・・・・・・・・・・・・結果は・・・何と同着だぁあ!! 同じ年に菊花賞ウマ娘が二人!! ワールドレコード所持もまた同時!! 三冠ウマ娘の技を見せて、ライバルの最後の一戦は互いに冠を分け合うことに!! 無敗の四冠ケイジ! 彼女に並びくらいつきこの菊花賞を手にしましたゴールドシップ! 傾奇者と黄金の不沈艦の輝きに割れんばかりの拍手が、歓声が響き渡ります!』
「おぉおーーよぉお!! そうだ! こいつがゴールドシップ! アタシの最高のライバルでダチ公だ!! アタシら二人で最も強いウマ娘! まだまだここからも暴れていくからな!! 応援よろしくぅ!」
その戦いは世界ですら関係なかった。
『ジャスタウェイ、スーパーレコード達成! ヴィルシーナスプリントまでもを制覇! 昨年の三冠コンビに続いて今年はトリオでの制覇! そしてまたまた偉業を達成! この世代の強さは日本だけにとどまらないのかぁあ!!』
「負けられないもの! ケイジだけに背負わせない! 私たちみんなで最高の時代を、そして私自身も勝って勝ち続けてみせるの!」
「ジェンティルさんに負けられないもの。私もまた、最強時代の一人だって・・・見せる!」
意志の見せる強さ。その可能性を、とことんまで見せつけていった。
『ケイジ、日本代表を引き連れて今ゴォオオール!! 凱旋門賞に桜吹雪が舞う! 桜の羽織を手にケイジ見事に欧州二冠連覇達成!! もう届かない場所じゃない! 日本ウマ娘のレベルはここまで来たんだと高らかに手を上げて見せつけます! われらが日本総大将! 世界のウマ娘に並んで見せたぁああ!!』
「どうだ! アタシを信じてくれたみんな! その想いは、意志はここにだって届かせることが出来るんだぜええぇっ!!!」
その戦いに誰もがワクワクする。皇帝よりも負けが多く、好きほうだいの奔放さには誰もが手を焼く問題児。絶対といえる強さを持ちつつもライバル達もまた怪物。今回は誰が勝つかと議論は盛り上がり、最強格であるライバルたちと勝ち負けを繰り返す滅茶苦茶な時代。
最高で、あるいは地獄ともいえる熱い熱い時代、その火を起こし、大炎に仕上げたケイジ達の世代。今日もボクはそんな彼女たちを追うためにカメラを持って駆け回る。その記事が、記録が誰かの元気になる。その助けとなるために。
この世界でのケイジのウマ娘としてのスタート、そして藤井記者さんとの出会いですね。ここから始まり、そして隙あらばチンドン屋の格好をしたりキセルを加えて面白煙ぷかぷか浮かせるウマ娘になってしまいましたとさ。
前に書いたかもですが、この世界でのウマ娘、スぺちゃんが授業で聞いたトレセン学園にいる三冠ウマ娘でケイジも並ぶ際はどんな感じになるのやら。とりあえず最低でもあのメンツにディープ、オルフェ、ケイジ、ジェンティルは確定ですよねえ。