ハジケリスト世代だろ! (完結)   作:零課

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 活動報告を一つの作品でここまで出せるってほんと不思議に思えます。皆様の感想、評価、誤字報告、いつもありがとうございます。愉快な感想が多くて私も活力になっております。活動報告でもコメント待ってまーす。


 この世界でのウイポ、ケイジらと前田牧場の扱いってどうなるのでしょうかね。主人公らのお助けキャラ、珍しいというか、受けの広い牝馬や牡馬を都合してくれるお助け牧場。若しくはのほほんとした先輩ライバルポジなのか。



やべえの来たなあ ジャパンカップ(GⅠ)

 『さあ、美しき国鳥が翼を広げた! ゴールめがけて一直線! これが姫の走り! これが翼を持つものの速さだ!』

 

 

 『お兄様へのバトンタッチ、梅沢さん、的矢さんへの恩返しのためにも負けるわけにはまいりませんのよぉおお!!』

 

 

 「うぉぉぉおお! お、落ち・・・・ぐぅう! 頑張れヒメ! もう少しだ!」

 

 

 『欧州を震撼させたマイルの女王! 見事凱旋帰国と勝利、その強さを見せつけた! キジノヒメミコゴーォーール!!! 二着のモーメンズに2馬身、二着以下に5馬身を叩きつける圧倒的強さ! 欧州で磨かれたその速さと美しさに誰も追いつけない! ここマイルチャンピオンシップを獲得し見事無敗のGⅠ5勝をゲットしました!!』

 

 

 『やりました梅沢さん、的矢さん! これで晴れて2歳限定以外の国内GⅠもプレゼントですわー!』

 

 

 「はぁ・・・はぁ・・・さ、流石ケイジの妹分・・・ありがとうヒメ、僕も・・・最高の気分だ」

 

 

 『えへへ。ありがとうございます梅沢さん。さて・・・・後はお兄様ですね。なんでも凄いのが来たと的矢さんが言っていましたが・・・お兄様ですもの。勝ってくださいませ!』

 

 

 『キジノヒメミコと梅沢騎手の仲良くじゃれ合う光景。同じ前田牧場のケイジ、そして若き天才松風騎手を思い起こさせるような光景に思わず頬が緩みます。そして・・・・おお!? まさか、これはまさかしてしまうのかぁあ!!』

 

 

 『お兄様の勝利と、的矢さんたちへの祝いも兼ねて、真似させてもらいますよ♪ 右へぴょーん』

 

 

 『ケイジダンス! ケイジダンスをまさかのキジノヒメミコも披露! これには会場も応えて大合唱! ヒメコールが会場を埋め尽くします! 傾奇者と同じ牧場の名牝。彼女もまた場を沸かせるエンターテイナーでした!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ここまで国際色豊かかつ、最強がそろうレースがここまであったでしょうか!! 日本を含めアメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、オーストラリア、七か国の重賞、GⅠ、ダービー、クラシックいずれかを手にした名馬たち18頭が一堂に会する大舞台、ジャパンカップが幕を開けました!

 

 

 お聞きくださいこの熱狂! 観客は満員御礼どころか制限されるほど! 世界の視線も集まって今か今かとレースを待ちわびております!!』

 

 

 いやーヒメがまさか俺と同じパフォーマンスをするとはねえ。今度会った時はしっかり色々感想とか聞きたいなあ。梅沢君最初落とされそうになっていたのが爆笑だったぜ。不意打ちだったみたいだしなあ。

 

 

 で、アナウンサーさんも盛り上がってんねえ。まあ、実際に海外のメディアもいればなんと参加国全てに衛星放送されているというからすげえ話だ。

 

 

 それほどに俺らの首が欲しい、倒した名誉が欲しいってんだから、嬉しいねえ、燃えるねえ♬

 

 

 『海外のホースマン、陣営いずれも同じことを言っていました。前代未聞、欧州二冠連覇を成し遂げたケイジ、そのケイジを何度も下しているゴールドシップ。その二頭を倒すためにここに来た! 日本最強のサムライホースたちに挑戦しに来たのだと!!

 

 

 日本総大将! そして副将たちの地で倒して見せるという熱気が世界からこの日本に集結。まさしく名将、怪物同士のぶつかり合いとなることでしょう!!』

 

 

 まあ、ここで俺らを倒せばまず評価は爆上がりだよなあ。日本芝という独特のカチカチ具合の馬場で、クラシックディスタンス。2400メートルという国際的にもいい距離で俺らを倒せば引退後の産駒や種付け料金爆上げ。

 

 

 何より、名誉がでかい。俺らを倒すというのはそれくらいの価値があるんだろうなあ。なんか俺とゴルシ国際レート1位と5位だったし。ジャスタの次に俺も世界一だぜ。わーい。

 

 

 『さあ、まずは昨年アルトリアも送り込んできたイギリスからダービー馬が再び参戦! ランスロットがここに見参! 続きましては・・・・』

 

 

 まあ、色々来ているが、空気もある程度なれている、感じる強さもまあ大丈夫・・・が、明確にやばいと俺が感じるのが三頭。一頭は言わずもがなゴルシ。

 

 

 『そしてそして! サンデーサイレンスの孫がアメリカで二冠! ケンタッキーダービーを制覇し、ここ日本にも来てくれました! 母はケイジと同じくミホミサト! 大いなる劇場をここでも開演なるか! ドリームシアターここに参上!』

 

 

 そしてもう一頭が俺の弟分であり、短い間だったが弟子でもあるドリームシアター。何が怖いって? こいつ自身も才能をステゴとおふくろから引き継ぎつつレースは大好き。で、ナギコがアメリカにいる間は併せとかで技術を叩き込んでいる。俺とナギコの技とコーナリングを手にしているサンデーの孫って時点でなあ。

 

 

 『いよいよやってきましたオーストラリアが生んだ怪物牝馬! 母国ではあのキャビアプラットを超えるとも評価される名牝が殴り込みだ! その美しい瞳が見据えるのは日本総大将とジャパンカップの勝利のみ! ウィンクガールがやってきた!』

 

 

 で、この子よ。将来のGⅠレース25勝の超天才。真面目に次元が違う現代のキンチェムといってもいいやべーのがやってきた。もうオーラがみえるのよ。俺も燃えているがこの子はすげえ。ブロリー見ている気分。あ、一応いうと超美人よウィンクちゃん。

 

 

 んー? でも、距離適性2000くらいまでだったような?? まさか、鍛えて伸ばせたとかじゃないよな・・・でも、そうじゃないとここに来ないし、うーむ。わからん。ここにジャスタがいたらなあ。それこそオーストラリアで二頭の決戦見たかったぜ。

 

 

 

 『そして、それらを迎え撃つのはわれら日本が誇る最強世代! その二枚看板が登場だぁああ!! まずは6番ゴールドシップ! 阪神大賞典、宝塚記念三連覇を達成し、春古馬二冠も獲得したまさしく黄金の不沈艦! 国内ではケイジに一番多く勝ちを奪っている葦毛の怪物が堂々見参! 今日も気合・・・十分すぎてロデオのような暴れっぷりを早速して調教師を振り回しております!』

 

 

 『放せ茄子ー!! お前を蹴らせろやおらああ!! ケイジとの舞台にはジャマ! 伊馬波さん寄越せー!!』

 

 

 「やめろゴルシ―!! きょ、今日は文字通り世界も見ているんだから大人し・・・・ぬぉおおお! 蹴らないでくれ!!」

 

 

 『あ~~~っははははははははははは!!! あははははは!!!!』

 

 

 相変わらずすぎておもしれえなあおい。パドックですらこれかい! 全く、日本の副将がこれだと思いやられるぜ。なら俺が手本を見せないと。

 

 

 『さあ、そして世界が倒したいと願い! 日本が信頼を託す最強の名馬! ターフの傾奇者がやってきます! 7番ケイジ! 欧州二冠連覇! ワールドレコードを幾つも持ち、それは欧州の重い馬場ですら成し遂げた怪物! 海外戦績においてはジャスタウェイ以外には一切負け無しの豪傑! かつてのスペシャルウィークのように日本総大将の名を背負い、今日も桜のメンコをつけて参上!

 

 

 ・・・・こ、こちらも何やらワチャワチャ動き回ったあげくに厩務員を手綱でグルグル巻き、独楽のように回しております! 何をこの期間中に覚えて来たんだケイジ!?』

 

 

 『これが日本の元気さ、ガッツ、ハッスル、情熱じゃい! いつもより多めに回っておりまーす♬ よいではないかよいではないか』

 

 

 「のわぁああああ!!? ケイジぃぃいい!!わめ、目が・・目がぁああ!!・・・・おぉおお」

 

 

 『バルス! じゃないわ。ほれほれ。くらくらしないのん久保さん。バレリーナ、フィギュアスケート選手のようにしゃっきり。よいしょ』

 

 

 ふらつく久保さんを俺が支えつつ一緒にポコポコ。いやーいいねいいね。盛り上がっているねえ。観客なんて大爆笑・・・あ、国光君に蓮君。老夫婦にマタギのおっちゃん。遠くで幸太郎の声も聞こえるし、うんうん。ほとんど顔なじみ・・・・・・おい、ムランルージュの今日の格好ヴィレッジピープルじゃんかよ。

 

 

 『『『なんだこいつら・・・・・』』』

 

 

 『なんだってチミは? そうですわたすが日本総大将です』

 

 

 『おっひさ―♪ ってわけでもねえか。ケイジ、今日も調子良さそうだねえ』

 

 

 『おうさゴルシ、待ちに待った、さらに盛り上がっている大舞台なんだ。やる気が出るよなあ!』

 

 

 『茄子のおっちゃんのせいで嫌だったが、ああ、この会場の声と、お前見たら元気でた! うっひょーかわいこちゃんもいるし、へいへいーお茶しなーい?』

 

 

 俺らがお茶飲んだら駄目だぞーせめて引退後だ。お? ドリームシアターにウィンクガールが。

 

 

 『ケイジの兄貴。お久しぶりです! このドリームシアター再び会えたのが感激だ!』

 

 

 『お久、ドリーム。聞いているよー? アメリカでも超人気なんだってなあ。ナギコも言ってたぜ。必ずアメリカの時代最強になるって』

 

 

 『今来ているアメリカンアテムとはいいライバルで、いやあ、危ういところだけど、ナギコの姐さんの期待に応えるためにも負けないです。あ、それと、シゲル先輩からケイジの兄貴に頑張ってねってコールが』

 

 

 これマジ? ってあーそうか。同じビリー牧場長の牧場で過ごしているから、友達になっているのね。納得納得。そして、アメリカの地で種牡馬として頑張っている友からの声援もあるか・・・いいぜえ!

 

 

 『なら、見せてやろうじゃないの。日本総大将。HENTAI民族ニホンジンの生み出した皇帝と最強の血を引くものとしても愉快な強さを見せてスミオのライバルとしてもふさわしい戦いをな!』

 

 

 『相変わらずですな兄貴。ですが・・・今日は勝たしてもらいやす。兄貴に姐さん、そしてビリー牧場長への恩義と技の継承者として、師匠越え、恩人へのお返しはそれが一番。勝負だ! ケイジの兄・・・いや、ケイジさん!』

 

 

 『上等。叩きつぶしに来いルーキー、ねじ伏せてやる』

 

 

 互いに不敵に笑ってから会話を切るドリームシアター。集中しに入ったか。こいつの場合は差し気味の先行策からの俺のコーナリングで優位な場所をキープ。からの血統と才能から来るスタミナで残した足をナギコ譲りの追い込みの技術でまくっていく戦法を使う。

 

 

 高速レース、お祭り騒ぎのアメリカらしい戦法だな。さて。あれを使う以上はまるとは思うから相性は良さげだが・・・どうなるかねえ。

 

 

 『・・・・・・・大物ですのね。日本には凄いやつがいるとオーナーも、厩務員さんも言っていましたが、凄く強く、かっこいい殿方ですこと。お初お目にかかりますケイジさん。ウィンクガールと申します』

 

 

 『ん・・・? おお。ウィンクちゃん。こいつは丁寧に。俺はケイジ。ま、日本総大将を張らせてもらっているぜ。世界の女王様』

 

 

 『世界などと。オーストラリアで頑張っていますが国外戦など今回が初。まだまだオーストラリアでもキャビアさんという女傑がいる以上遠い遠い』

 

 

 『未来では間違いなくお前さんが記録を抜くよ。断言するさ。俺を超える傑物になるよ。まあ、とはいえ、まだ俺が強い。勝利は譲らんよ。美人さん』

 

 

 うーん。言葉遣いはジェンティルちゃんやヒメに近いが、ノリはヴィルシーナに近いねこれ。だけど、纏う空気は既にこの時点でオルフェや昨年の有馬で戦ったジェンティルちゃんに匹敵するわ。

 

 

 ・・・・まったく。ドリームにゴルシ、ランスロットにシャルルマーニュ、アテムと海外の怪物ぞろいだってのに、これに並ぶかやばいのがこの子かあ。性格からして俺がやりたい策にもはまるかどうか。

 

 

 

 『随分と私を買うのですのね。そしてありがとうございます。ですが、この日のために2400以上を戦えるように鍛えました。オーストラリアに日本のG1の勝利と、何よりあなたからの勝利を奪います。侮らないでくださいね?』

 

 

 『そっちこそ。俺だって油断はしねえ。全員まとめて叩きのめす、勝利するためにここにきている。もう老兵と呼ばれる年齢の俺だが、油断すりゃあ経験で翻弄してやるさ』

 

 

 『衰えの見える顔でもなければ、かっこいいのですがねぇ? 老兵っていう年齢ですの?』

 

 

 『俺6歳だぞ?』

 

 

 『ウッソでしょう!!? ・・・・・・・ま、まあではお手柔らかに。どうかいい勝負を』

 

 

 ウィンクちゃんも大人しくパドックの中に入ってグルグル周回。なんで俺の実年齢聞いたら驚いたんだろう? 同い年に見えたとか? いやーそれはねえよなあ。なんじゃろ。

 

 

 ま今はそれを終えて、松ちゃんを乗せてのグルグル。大人しくカメラを見つけたら変顔と決め顔交互にしながら大人しく体をほぐしますか。ゴルシは相変わらず周りに喧嘩を売るかナンパするかの元気具合だし、あれ? 騎手池沼さんなんだ。ほんとゴルシ陣営は騎手がよく変わるなあ。いや、俺も今までの経歴からすると騎手三人乗せているけどさ。

 

 

 『さあ、いよいよ本場馬入場となります世界各国の名馬、この時代の頂点の多くがここにきていると言っても過言ではないこのレース。文字通り勝てばホースマンとしての名誉の多くを手にできる偉大なる一戦。天もこれを祝福しているように快晴となっております』

 

 

 さてさて。芝の上で軽い返しとゴルシと遊んでいたらー・・・・あ、神様。それにテイオーにルドルフの親父に爺様、シンザンのひい爺様もいるじゃねえの。まあ、間違いなく世界中の神様と話題にしているんだろうなあ。そんで観戦しに来たと。真面目にどこぞの最聖コンビのお兄さんらみたいに気軽に降りてきてんねー。

 

 

 じゃ、見せつけてみますか、俺と松ちゃん、テキのおやっさんでやれるだけやってみた技術の一つを。

 

 

 『伝統的距離クラシックディスタンス2400メートル。この距離の戦いで、まさしく世界最強の名馬は誰か、それと共に戦う騎手の強さも見せつける。人馬一体の戦いを見せてくれるでしょうジャパンカップ。いま、続々と名馬たちがゲートに入っていきます』

 

 

 

 さてと、俺もゲートの中にガチャンとな。

 

 

 「さて・・・やろうかケイジ。うまくいけばきっとマジシャンといわれるよ」

 

 

 『松ちゃんこそナー見せつけてやるさ』

 

 

 『今最後にドイツダービー馬、アドンが入りました・・・・・スタートしました! いよいよ始まりましたジャパンカップ! まずはケイジが先頭に躍り出る! あっという間にハナを奪い前に前に! 今回は大逃げか逃げか! そこについていくのは凱旋門賞馬シャルルマーニュ、アメリカのコンビアメリカンアテム、ドリームシアターが続く。その真横にウィンクガール、後ろにイタリア代表ニッチェ、ドイツ代表アドン、イギリス代表ランスロット、そしてゴールドシップと続いていきます。

 

 

 先頭ケイジと後続の差はおよそ3馬身。今回は逃げで行くようです戦国コンビ。相当な脚の回転を持って前に前にと出てそのまま第1コーナーに』

 

 

 さてさて。まずは順調。そして、早い脚の回転で相当前に出ていると思えるよな? 周りもせっついてくらあ。

 

 

 さあ、まずはココで脚の回転を緩めて脚幅は広く。ストライドの変化を加えつつ、加速を鈍らせてコーナーに。

 

 

 ・・・・・・・で、このカーブで・・・変化! 加速をして一気に第一コーナーを抜ける!

 

 

 さらに、ここでストライドを短く! でも速いままに!

 

 

 『おっと? ドリームシアター、ケイジに仕掛けていきます。コーナリング技術でケイジに相手しようというのか、しかしシャルルマーニュを抜いたところで止まり先頭は依然ケイジのまま第一コーナーを抜けます。

 

 

 後続もコーナー抜けますが、ケイジとの差は広がる! 4馬身、5馬身と広がる! ケイジを逃がすまいと周りもギアをあげていきます。そうです。大逃げを許してしまえば喰らい付けたのはわずか数頭のみ。逃げから大逃げに変化を許さないと猛追していきます』

 

 

 向こう正面に出た。よし! 減速するがストライドは広く変化! 息を入れつつ、伸びた分、ここであえて餌を巻くぞ。

 

 

 松ちゃんも姿勢がいいね良いねえ。低くして既に加速しようとしているように見えるし、俺が加速するときの脚使いや空気を出しているから周りも俺を研究している分逃がさないと追いつく。

 

 

 でもさー? コーナーで俺レベルのコーナリングと加速をして、一気に前に前にと気持ちを焦らせて、それを馬に伝えていいのかい? ジョッキーの皆さん。俺を捉えたいという焦り。消耗はどれくらいになるのやら。傾奇者は場を沸かせてなんぼ。そのための晴れ舞台に技術は惜しまねえぜ。

 

 

 『おっと! ウィンクガールにドリームシアター! そしてランスロットがケイジに迫りおよそ2馬身、最内と2番手を狙いデッドヒート。その後ろにショウナンノア。ゴールドシップがついていきます。

 

 

 今回はゴールドシップはやや先行気味ですが後ろから様子をうかがう珍しいスタイル。ケイジを狙うも、彼にとっては不気味な位置です。おっと、アメリカンアテム、ケイジに大外から回して鼻差まで迫りました。これは追いつくのか? 1000メートルを通過、タイムは・・・おおっと!? 59秒8!? そこまで速くないぞ!』

 

 

 『いよっし! おい・・・あれ? 思った以上に速くない・・・? でも、足の変化とか、加速が・・・・あ・・・・!』

 

 

 『む・・・この距離で、加速をするのではなく減速!? え? もっと走っていると思っていたのに!』

 

 

 『・・・・ハメられた! ケイジの兄貴に!!』

 

 

 ナハハ。俺の走りで加速をいつするかとかを誤魔化した甲斐があるね。ここで勝負だと思っちゃった分、消耗はするだろう? で、俺に関しては慣れてんだよねえ。こういう後ろからのプレッシャーに!

 

 

 行くぜ松ちゃん! 残り約5ハロン。全部注ぎ込んでいこうぜ!

 

 

 「さあ、ここからが本番だ!」

 

 

 『1400メートルを通過し、残り1000メートル。ケイジ達が更に加速! いや、このタイムを見ても彼らはまた幻惑していた! かつてのジャパンカップのような幻惑の逃げ! トリックスターぶりをまたまた見せつけた! アメリカンアテムを引き離しそのままケイジ向こう正面から第3コーナーへと入っていく!

 

 

 ウィンクガール、ドリームシアター、ショウナンノアが追いますが差が縮まらない! 一気に、一気にケイジが伸びていく! コーナー勝負はケイジの十八番! ここからさらに伸びていきます! アドンにランスロットも仕掛けていきますがケイジ伸びる伸びる! 後続に再び距離をつけて6馬身と伸ばしていく! 第3コーナーを過ぎて早くも第4コーナーに! もう残りは最後の直線が見えてきているぞ!』

 

 

 今回は向こう正面で息を入れているからな! コーナーでもグイグイ息を入れずに加速よ! さあ、俺の速度についてくるかい? ついて来たら・・・・足がヘトヘトになるぞ?

 

 

 いや・・・ウィンクガール、ドリームシアターは鋭いな。内を開けて直線勝負に賭けていくか。周りは焦ってそこに来て、俺がコーナー技巧者だからそこで息を入れていくっていう情報をもとに少しでもいい位置で最後の底力に賭けるって感じか。

 

 

 『やっぱケイジはそうするでゴルシよー。色気を感じていたからココで勝負でゴルシ』

 

 

 『くっそー! やっぱくるよなあ。来るよなあゴルシぃ!!』

 

 

 『さあ、ケイジ最後の直線に・・・あっと! スーッとゴールドシップが外から出てきたぞ! 馬群が伸びた今がチャンスといわんばかりに一瞬の間に先頭に躍り出た! 黄金の不沈艦ここで抜錨だ! ケイジもさらに足を使い伸びる伸びる! セーフティーリードを保とうとするがゴールドシップグイグイ縮めていく・・・・!?

 

 

 残り500を通過! ここでウィンクガール! ドリームシアター! そして最後尾のニッチェムが飛んでくる! ゴールドシップと競り合うように横に広がりケイジを追いかける! 日本総大将の首を取らんと包囲網が迫ってきたぞ!』

 

 

 「粘れ! 粘るんだケイジ! あともう少し! お前なら逃げ切れる距離だ!」

 

 

 おうさ松ちゃん! 距離は縮まっているが、気迫は感じるが疲労の色も濃い! これならどうにかなるはず!

 

 

 『くぅうう! 体内時計を狂わされていたというの!? どういう逃げですか!! まだ・・・まだまだああ!!』

 

 

 『これで尽きるスタミナしていないぞ! 負けねえケイジの兄貴! アメリカのお祭りレースで鍛えた根性ぅうう!!』

 

 

 『おおー暑いでゴルシーじゃ、ちょっと横に避けて観客の声を聴くでゴルシ』

 

 

 うぉぉおい!? マジか! 距離が詰まってきているぞおお!? 真面目にエイシンフラッシュらを翻弄した時以上の手ごたえだったってのに!? 何のこれしき! まだまだエンジン再点火! ってゴルシファンサに走ってんじゃねえよオラァン! おめえあの阿寒湖かよぉ! 

 

 

 ああそうだこいつその息子だったなあ。おいこら見ているだろ!! お前の息子さんどうにかしてくれよぉおん!! 神様と一緒にチーカマとマグロ串かじってねえでさ! あ、ビール美味しそう。喉乾いてきたし、早く水飲みたい。

 

 

 『残り300を通過! 先頭はケイジ! 二番手争いが熾烈だが二頭に絞られた! ウィンクガールとゴールドシップおよそケイジとの差は3馬身! 凱旋門賞馬もドイツダービー馬もものともせずにこの4頭の勝負に絞られていく!! 日本総大将と副将の意地が光る! 黄金の不沈艦と傾奇者の三振り目の名刀が束を斬り捨て、抜き去っていく! しかしそれに喰らい付くのがオーストラリアのウィンクガール! アメリカのドリームシアター! これは分からない! これはどうなるか!

 

 

 残り100! ケイジとの差は2馬身だが、決まった! これは決まったあぁアアアア!!』

 

 

 悪い実況のおっさん! ゴルシ半分遊んでいるんだわ! 意地どころかエンジョイだよコノヤロー。

 

 

 そんでぇ! 悪いな次世代の皆。まだまだ勝ちは譲れねえんだわ。狙っているもののためにも、期待の分も負けられねえ! もらったぁああ!

 

 

 『ケイジだケイジだ! ケイジがゴールォオオルインッーーーーッッッッ!!!! ケイジが一着で駆け抜け見事勝利! この世界レベルの怪物たちが集うジャパンカップを制覇しました!!見事見事! 世界最強の栄光を見せつける形になりました!

 

 

 二着はウィンクガール! 三着はゴールドシップ、四着はドリームシアター! そして五着はアドン! 6着はショウナンノア! 凱旋門賞馬、KGⅥ&QES馬たちですら掲示板に入れない。超ハイレベルなレースでしたが二着に2馬身と半馬身差をつけての快勝! これが日本総大将! これがターフの傾奇者ケイジ!! まだまだ衰えたとは言わせない! 稀代の幻惑逃げを持って圧倒しました!!!』

 

 

 ふぃいー・・・なんか後半ゴルシのせいで気が抜けかけたけどどうにかなったか。いやー良かった良かった。なんか、快勝したってのに気持ち良さよりも安心感が強いって久しぶり。

 

 

 『ケイジこれでGⅠ15勝! 二度目のジャパンカップ制覇を松風騎手と共に獲得! 文字通り文句なしの強さを見せつけての勝利です!

 

 

 しかしアメリカの雄にして二冠馬ドリームシアター、名牝にして怪物ウィンクガールもケイジに迫る怪物ぶり。あともう少し経験を積んでいればどうなるかわからないと思うほどの強さを見せました。ケイジの勝ちですが同時に此処に集った名馬たちのレベルもまたとんでもない。

 

 

 弱くはなく一枚上手だったとしか言えない。そんなジャパンカップ。これを実況できたことを誇りに思うほどです』

 

 

 だなー真面目にちょっと前だったら10着までレコードレベルの速度で走っているというとんでもない速さのレースだし、前半俺が翻弄したのにこれってことは、後半で全員末脚使ってこのレコードレベルの速度を出したってこと。誰が弱いとかじゃなくて誰が一枚上手だったか。底力を出せたか。そんなレースだったわ。

 

 

 『やっほーみんないい声出してんねえ。そんなに嬉しいのか―い?』

 

 

 『そりゃーそうだろ。このレースはたぶん歴史ものだぜ? で、ゴルシおめえ。最後気が抜けたな?』

 

 

 『そんなことないでゴルシよ?』

 

 

 『舌ペロして可愛い顔しても分かるわい! まったく。ウィンクちゃんを超えることだってできただろうに』

 

 

 『いやー可愛いお尻をしていたのでついつい見惚れて』

 

 

 うーんこの。ま、どちらにせよ勝ちは勝ちだ。お前さんもしっかり休めよ。

 

 

 『くっそー!! 届かなかった・・・・!!』

 

 

 『あんな逃げ・・・初めてです。これが日本の怪物、総大将・・・!』

 

 

 『お疲れさんお二人さんよ。ははは。俺にいい逃げ方を教えてくれた人らと、付き合ってくれた人らの分の勝利だからな。今回は引き出しの差で勝ったようなものだ』

 

 

 で、俺に喰らい付いてきたこの2頭にも労うかね。俺らの弟子と、未来の大天才を潰すのは流石に忍びねえ。

 

 

 『お前さんらはまだまだここから戦うだろうし、その分多くの出会いもある。そこから技を盗んでいきな。俺も、ずっとターフでライバルたちと凌ぎ合ってきて、いろんな技を試してものにして、勝って負けてここまで来た。

 

 

 あんたらの才能なら、俺以上に負けることは少なく必ず俺を超える戦績を残せる。頑張れよ。未来の最強候補たち』

 

 

 『兄貴・・・・・オッス! 頑張りやす! ・・・・今日のレースありがとうございました! どうかお元気で!!』

 

 

 『・・・・・・・本当に、かっこいいですね。ええ。なら、今度もまた会えるように、強くなってきますので。そして、勝利おめでとうございます。ケイジさん』

 

 

 ははは。いいねえ。俺も、ルドルフ爺さんや、多くの怪物たちを追いかけて戦って、追い抜こうとしていたらいつの間にか今度は追いかけられる側か。楽しんで過ごしてきた日々がこうして指針になるのなら悪くはねえ。ああ、悪くないねえ♬

 

 

 じゃ、その先輩として、一つまた盛り上げ方を見せつけちゃいますか。行こうぜ。松ちゃん。

 

 

 「いよっし。ケイジ。今日は僕にも少し一緒に盛り上げるのを手伝わせてほしい。本当に、君ばかりに盛り上げをさせてもらっている分ね」

 

 

 おぉ? いいぜー一緒にやろう。なにせ戦国「コンビ」だからな! 一緒にやってなんぼだ!

 

 

 『さあ、これでいよいよ残すは有馬記念! 秋古馬三冠をかけた戦いにしてKG対決最後の舞台! ここまではケイジが盛り返すように二勝していますが、やはりまだまだゴールドシップは油断ならない。

 

 

 そして、ケイジと松風騎手がスタンド前の中央に来ました。さあ、皆さま、いつもの時間です! さあのどを潤し気合を入れましょう!』

 

 

 アナウンサーさんも超ノリノリじゃん。真面目にこれ後で怒られない? 脳破壊されていない?

 

 

 さあ、いくぜえ! 右へぴょーん

 

 

 『『『ォオウ!!』』』

 

 

 左へぴょーん

 

 

 『『『ォオオオオオッ!!』』』

 

 

 はい、首を下げての~? 今日はちょっとためを作って・・・・・大きくナポレオンのあの絵画のように体を起こします!

 

 

 

 「ビヒィィイィィイィイィイィインッッッ『ィィイッヨッシャアアァアアアアアアアアアア!!!!』」

 

 

 「皆さん、応援ありがとうござ―まーす!!」

 

 

 

 『『『ウォオォォオオっっっ!! ケ・イ・ジ!! ケ・イ・ジ!! まーつかぜっ!! まーつかぜっ!!』』

 

 

 

 ははははは!! 松ちゃんも手をあげてのガッツポーズに良く通る声出すじゃん。流石イナイレの円堂監督の声しているだけあるぜ!

 

 

 そして海外の皆さんも一緒にコールサンキュー!! 最後の有馬記念も、よければ来てくれよなー!!!!

 

 

 『会場の皆さんで割れんばかりのケイジ、松風コール! 戦国コンビを祝福するように、天へも届く大合唱! ゴールドシップにドリームシアターも一緒に大きく嘶いてはケイジを祝福しているようです! ありがとうここに来てくれた名馬たち! 名ジョッキーたち!! 今ここに伝説の一幕を刻んでくれた皆様に、応援してくれたファンの皆様に感謝を! それしか、今はそれしか言えません!!』

 

 

 ああーいい空気だなあ。皆で騒ぐこの感じ。これも・・・あと一回のみか。頑張るぜ。皆。




 オーストラリア最強の女王も見事粉砕。世界でも伝説のジャパンカップになりましたとさ。


 そしてケイジの戦いも残すこところ有馬記念のみ。


 ケイジ 脚使いとペースを変えて距離感や速度を狂わせる逃げを覚えたので披露。真面目にゴルシ以外は全員翻弄したので満足。足の負担も問題なくすぐご飯と水寄越せとねだった。


 久保さん 今回の被害者。ケイジに独楽のように回された際にシャツのボタンがちぎれちゃった。久しぶりにパドックで誘導してこれをされてと大変な一日だったけど、ケイジの勝利を生で見れて満足。


 ゴルシ 後半気持ち2割手を抜いていたというかファンサに走った。でもケイジを一番見てきているので幻惑逃げは即座に見抜いて後半仕掛けたりとでやっぱりやべーやつ。伊馬波さんに頑張ったなあと労われてうれしかったがやっぱり茄子は嫌い。


 ドリームシアター、ウィンクガール、ほか海外の名馬の皆様 まとめてケイジの幻惑逃げに翻弄されまくって変な消耗を強いられて敗北。この後みんな前田牧場や周辺の牧場で休養。陣営の皆様はそろってケイジらのいく神社でお参りしてきた。


 世界 ケイジとゴルシやべえと再確認。サンデー血統、特にステゴ系を欲しがる声が多数で日本の中小牧場にいるサンデー血統まで欲しがる凄い事態に。ケイジの子が出てきたときの対抗として手に入りやすいステゴの血を欲しがっているとかなんとか。


 キジノヒメミコ ケイジの前哨戦的なノリだったマイルチャンピオンシップで快勝。ケイジの勝利にはもちろん大喜び。ドリームシアターも大健闘したのには素直に称え、今度は自分ともぶつかるのかなあと想像していたり。


 松風騎手 ケイジの逃げには基本何も邪魔せず、最後の押しと最初の位置取りを助けた。だんだん度胸もついてきているのだが、同時にテンションの高さはケイジとのターフでの別れが近いのを悲しんでいる分もある。


 神様 観戦していた。当然ケイジらの行動は爆笑していたし、馬券も賭けていた。ルドルフとテイオー、シンザンとスズカが即座にケイジの戦い方を見抜いているところにやっぱり血のつながりや同じ戦い方をできる分分かるんだなあとしみじみ思っていた。打ち上げは居酒屋でタコ天と焼酎、マグロ串とポテトサラダで満喫。


 

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