ハジケリスト世代だろ! (完結)   作:零課

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 ケイジの持ち歌の一つは「Uptown Funk」これを山ちゃんボイスでカバーした感じでしょうか。後は「Change」です。アメリカでオベイユアマスター、ミシェルマイベイビー、ナギコ、ドリームシアターと一緒にライブしちゃったり。


 ケイジなら歌うというか、まあ本人のイメージならやりそうだよねと。ついでにアメリカウマ娘たちを魅了して帰ってはナギコにやきもち焼かれる。オベイは甘える相手を見つけた目になりそう。


 あ、ドリームシアターの外見のイメージは対魔忍の井河さくらをイメージしています。快活なスポーツ少女という感じで。上下関係はしっかりしている。ケイジ、ナギコの弟子であることを誇りに思っている。


ウマ娘エピソード 20 愉快な時間を

 「ふぅ・・・・」

 

 

 快適な空調に優しい木の香り。寝具も全てが心地よく、食事も文句なし。練習もよかったのだけど、どうにも眠れなかった。

 

 

 シリウスの練習は刺激を受けるし、色々と学べる。でも、何かが足りないと思う。

 

 

 「少し風に当たりましょう」

 

 

 それがわからずにコテージに出るとケイジさんが燻製のチーズと肉をかじりつつ星を眺めていた。

 

 

 「どうしたキングちゃん。夜這いだとしたらあいにくだが気分じゃないぜ」

 

 

 「違いますわ! ケイジさんはどうしたので?」

 

 

 「少し走ってきたのよ。全く。いつもの半分も動けてやしないから不完全燃焼で眠れなかったんでな。そしたら小腹が空いたから夜食食べてんの。松ちゃんには伝えているから気にしねえでくれ。食うか?」

 

 

 席を勧め、冷えた水と燻製を分けてくれたので席に腰かけ、燻製をつまむ。既に沢山食べた後だというのに胃袋にするりと入る味。相変わらずだがいい料理の腕をしている。料理人としても大成する腕だ。

 

 

 「美味しい・・・そして・・・綺麗な星空ですこと」

 

 

 「だろ? いい景色だし、都会じゃあ見えねえ。見落としちまうぜ。あたりも星が多いせいかねえ。なんてな。で・・・どうしたよ? 愚痴くらいなら聞いてやるぜ?」

 

 

 「・・・問題ないです。といいたいのですがね。いえ。この合宿は身になりますが、今一つ何か足りないと思いまして」

 

 

 水で口の中に残るうま味とチーズと肉の味、煙の美味さを流しつつ、思わず口に出してしまう。ケイジさんの場合は何でかわからないが、いやに口が軽くなる。話しやすいというか、普段ふざけまくっているのに相談すると言われると素直に言えるのだ。

 

 

 「なるほどねえー・・・そりゃあ、あれじゃねえの? キングちゃん色々考えすぎているんじゃないの? もしくは目標を分不相応に多く持ちすぎているかよ。だから軽く流したこの練習じゃ足りないと焦るとかな」

 

 

 「・・・そうかも、しれないですわね」

 

 

 「あんたのお母さんはあれだもんな。アタシも欧州で戦うたびにどちらの末脚が強いかと話題にされたぜ。目標にしているんだろ? なら言っておくぜ。追いすぎるのはやめろ。どっかで壊れるぜ」

 

 

 ケイジさんの思わぬ一言にコップを落としそうになる。同時に怒りが出てきそうになる。何がわかるのだ。あの完璧すぎる母親を見返そうとしてうまくいかず、一流の証明が出来ない歯がゆさと悔しさがわかるのか! 

 

 

 無敗の四冠というディープ家でもただ一人。歴史でも数人しかない無敗の三冠すらも越えた功績を持つ怪物がわかるのか!

 

 

 そう言おうとしたが、その瞳に、強く、深いその目に言葉が詰まり、代りに肉をかじってかみちぎることでむしゃくしゃごと呑み込もうとしていく。

 

 

 「目標がでかいことはいいことだ。その先を見据えているのはいいこった。だけどよ。あんまりにでかすぎるのを見過ぎていたら足元掬われるか、目の前のレース、今走っているレースですらもそのプレッシャーで焦って無駄に疲れて負けちまうよ。

 

 

 もっと気楽に目の前のレースを楽しめ。キングちゃんは今の目標はでかすぎるからよ。誰かに支えてもらいな。そうすりゃあ、勝てるもんが増えていくし、気が付けば母ちゃん越えているだろうぜ?」

 

 

 「もっと周りを・・・」

 

 

 「そうそう! アタシなんて頼りまくりだぜ? レースもいつも油断もできねえ。心底楽しいからなんも余計なもん考えないで戦い、遊び倒しさ。でも気が付けばここまで来て、愉快に過ごしているんだ。

 

 

 その細い体で重すぎる荷物を背負いなさんな。誰かと歩け。今の日本の中でのレースは間違いなく世界最高峰のメンバーがそろってのものだ。一勝でもそれは母親を超える、近づけた一戦になるはずだからよ。気ままにだ。わはは!」

 

 

 よく言うものだ。あれだけのものを自らしょい込んだというのにやり切って暴れている怪物が。

 

 

 周りを見ろとは何度も言われたが、ケイジさんの言葉で楽になる。これがGⅠを16勝以上している怪物。日本のウマ娘以外には一切負けず勝ちを許さない怪物の言葉と言われるとお母さま以上にすとんと胸に落ちる。

 

 

 「では、そうですね。まずは私の同期。スペさんやスカイさん、グラスさん、エルさんへしっかりと借りを返すことを第一にしましょう」

 

 

 「いいじゃん! 黄金の五人目だって見せつけてきな!」

 

 

 本当に背中を押してくれる子の声が優しい。だからこそ。

 

 

 「ふふ。その切り替えのために今夜はもう少し私の愚痴に付き合う権利をあげるわ」

 

 

 「おおっと。あいあい。そいつは光栄だしご一緒するぜ」

 

 

 ちょっとたまっていたものを吐き出すのに付き合ってもらうわ。それと、ついでに色々海外の事も引き出していくとしましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふっ・・・! ぐっ・・・きつ・・・!」

 

 

 「頑張れ。水流の中でもしっかりと踏ん張って早く体を起こす! 脚を鍛えつつも負担を殺せるいい運動だよ!」

 

 

 「プールの中よりきつい・・・ぐぅうう・・・まだまだ!」

 

 

 「キング先輩、なんか火がついているっすね」

 

 

 「いいことですよ。変に煮え切らずに距離を置くよりもらしいです」

 

 

 ケイジが何かしたんだろうなーとは思いつつ、川の中でスクワットをするキングさんとライトニングの様子を眺めつつオルフェさんと一緒にストレッチをしてフォーム確認。

 

 

 「ヴィルシーナ先輩。ところで私がダートも狙えるって本当っすか?」

 

 

 「実際その才能はあるとナギコとホッコーが言っていましたしね。多分ケイジよりも才能の伸びはありますよ」

 

 

 「実感わかないっすねえー・・・あ、キング先輩。休まないとっすよ」

 

 

 「わ、わかっています・・・は、はぁー・・・はぁあ・・・・い、意外と木々がないと日差しの暑さは変わらないんですね・・・」

 

 

 横で座り込むキングさんに水を渡しつつ自分たちも水を飲む。

 

 

 真面目に北海道が試される大地と言われるのも納得だ。夏は30度以上。冬にはマイナス40度になるときもあるというこの極端な温度差なのだからすさまじい。

 

 

 「ヴぃ・・・ヴィルシーナさん・・・ウララさんやケイジさんは何方に・・・ぜは・・・」

 

 

 「二人は幸子さんと一緒に山道でジョギングです。気分転換ついでに芝も狙うのならということでアップダウンの激しいコースでペースの切り替えを意識させるそうですよ」

 

 

 「なるほど・・・はぁー・・・はふ・・・それにしても、シリウスは重バ場を良く練習しているんですか?」

 

 

 「ええ。欧州は基本芝が重いですし、何でしたらここの獣道くらいはイメージしていいくらいです。ドバイや香港はまだいい方ですが、それでも日本は世界でも見ても芝が固いですし、パワーを鍛えるためにもいつも芝は深い場所で練習です」

 

 

 基本高速レースを支えるのはコーナーを走る際に発生する遠心力によるふくらみやそれを抑えるための減速のロスを抑える技術が大きくかかわると言ってもいい。

 

 

 シリウスの場合はケイジやオルフェが筆頭にそれが抜群にうまい。その中にはパワーの反動、衝撃を抑えつつ、速度を殺さないパワーにある。ケイジのふざけたパワーもそれがあるからこそ場所を選べずに戦える。高速レースだからこそ加速を鈍らせないパワーを。マックスのスピードは負けようが最高速度の維持時間と技術が勝れば勝てる。

 

 

 ・・・・・・ビリーさんがアメリカの方がこのチームはやばいと言っていた理由がわかる気がします。何せアメリカのレース場の場合は距離が長いのならその分回ればいい。その分コーナリング技術で差を開かせていける。

 

 

 ・・・ウララちゃんとキングさん。お二人ともアメリカでレースの機会を増やしたほうが大成する?

 

 

 「なら、是非ともその練習を! もっと覚えていかないといけません。私もリベンジをするために」

 

 

 「それは駄目です。それに休んでいたほうがいいですよ? 後でナギコ、ヒメ、ジェンティルさん、私と併走するので。もちろん全力で♪」

 

 

 「ジェンティル先輩容赦ないですからね。真面目に相手してあのパワーをあしらえるのケイジ先輩くらいっす」

 

 

 プレッシャーに慣らせるための練習もあるし。多分下手するとオルフェとナギコだけでも大変になるのよねえ・・・何でうちのチームは二刀流できる人が多いのか。私の異名が形無しですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ウッララー♪ 下り坂らくちーん♪」

 

 

 「下り坂は勢い落としてウララちゃん。膝に負担来ちゃうよー」

 

 

 「いやー森林浴しながらの運動は最高だな。はっはは」

 

 

 今日は今日とてのんびりウララちゃんと練習。何でも一応休みを取りつつ最低限の運動に済ませてくれということでアタシにお鉢が回ってきた。

 

 

 ついでに教育にも。はは。アタシがねえ。

 

 

 「よしよし。いい感じだぞウララ。集中力を養って、無理なく、足の動きを意識してな?」

 

 

 「うん。思いきり頑張って。その分思い切り休んで元気に遊ぶ! メリハリ。だよね?」

 

 

 「おう。有マを狙うってんなら。それくらいはやってのけろよ? それと、えーと? また高知でレースだっけ?」

 

 

 「そうそう! 高知一発逆転なんちゃら? に出るみたいよ?」

 

 

 おお、あの面白レースか。いいよなあ。ああいうイベントで地方の方が愉快なイベント用意したり。

 

 

 そういえば・・・・・・いつぞやにアタシが王侯貴族やら各国の要人を出迎えた際に、地方の協賛レースでみんな大暴走して自分の名前を冠したレースや推しのウマ娘のレースを用意しようとして、賞金まで上乗せしようとしたりで騒ぎになった時あったなあ・・・

 

 

 「なら、なおさらがんばれよ? あのレース地方からも中央からも選りすぐりが出る。ある意味レースの読めなさ加減とレベルは中央の重賞に負けないまさしくGⅠレベルだ」

 

 

 「うん! そこで優勝したらね。来年以降のケイジさんのレース、ケイジ記念も優勝するの! ケイジさんから優勝のトロフィーを貰うんだからね?」

 

 

 「ははは!! いいねいいね! 暑い夏を吹き飛ばすくらいの素敵な桜吹雪を吹かせてくれ!」

 

 

 楽しみだねえ。史実じゃあありえなかった。というかできなかったウララちゃんがアタシのレースを勝利するか。海外から毎年やばいメンバーが集うレースでねえ。燃える燃える。

 

 

 「ケイジ―速い速い。少し落として。ウララちゃーん? ここから長い上り坂になるから・・・・・・ウララちゃん?」

 

 

 「あれ? いつの間に? あ、もしかしてあっちの分かれ道で間違えたか?」

 

 

 あらら。なんやかんや30キロくらいで走っていたし、あっという間にはぐれた・・・あ?

 

 

 「なあ。ウララちゃんにクマよけの鈴は?」

 

 

 「邪魔になるって外していた・・・」

 

 

 「熊ってさー・・・」

 

 

 「うん。追い払ったはずだけど、いや。追いかけようか。これやばいわよ!」

 

 

 やべえやべえ。クマよけの鈴と道具はアタシと幸子が持っているけどウララちゃんなんもないぞ!?

 

 

 急いで追いかけねえといけねえ。アタシと幸太郎はクマはどうにかできるが、ウララちゃんらウマ娘でもクマに追いかけられたらやばい。

 

 

 急いで分かれ道から鼻と耳で追いかけてみれば。あちゃー・・・マジでいたよクマ。

 

 

 ウララちゃんの後ろから襲おうとしているし、どっせい!

 

 

 「あれ? ケイジさん? 幸子さん・・・・熊ぁ!?」

 

 

 「全く、迷子になった直後にクマに会うとか童謡かっての。幸子。預かってろ」

 

 

 「ケイジは?」

 

 

 「いらねえ。で・・・どうする?」

 

 

 吹き飛ばしたクマも臨戦態勢で立ち上がるけど・・・・まじかーアタシよりでかい。うーん。ちょうどどこに逃げても上り坂だからクマの方が早いし、撃退スプレーしてもなあ。このサイズはやばい。

 

 

 何よりウララちゃん抱えてというのが無理あるし。このクマの感じ、スプレーでも逃げてくれなさそうだな。

 

 

 「はぁー・・・ケイジ。ウララちゃんは私が守るから、そのまま仕留めちゃって。必要ならサポートするから」

 

 

 「あいあい。本気出すから。ちょっと暴れるぞ」

 

 

 幸子もウララちゃんを木を背中にして背後から襲われにくいようにしつつコンバットナイフとスプレーを構えて問題ないのでアタシもジャージを脱いで久しぶりの本気で暴れることに。

 

 

 結果から言うと、クマさんのパワーもいい練習になったぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ぐはぁあ・・・・まだ耳と頭が痛いぃぃい・・・・」

 

 

 「当然です。鮫に続いてクマを仕留めて帰ってくるアスリートなんて前代未聞ですよケイジさん」

 

 

 「でもケイジさんかっこよかったー! クマを放り投げたり、とびかかってのビンタを拳で押し返したりとか!!」

 

 

 あの後超特大の雷と説教が雨あられと降り注いでアタシは頭が今も重い状態だ。くっそう・・・しょうがないじゃないか逃げる方が危険だったんだし。

 

 

 熊も無事に飛び蹴りで仕留めて、シリウスの皆にクマ鍋にして振る舞ったりと、肝と右手はまたホテルにただで譲ったりしたのに・・・うぅ・・・何で功労者で美少女のケイジちゃんがこうなるのだ。

 

 

 「まあ、そいつは良かったぜ。とりあえず、ウララもキングもいい顔しているし、最後に模擬レースをしまくって鍛えていこうか。その後は花火大会もするし、派手にやるぞー?」

 

 

 「ふふ。学園主催の合同合宿から離れてきたけど、満足させられるものを用意してくださるのかしら?」

 

 

 「花火? ウララあのシュバーッて大きく火を吹くやつとねずみ花火で遊びたーい!」

 

 

 そこは問題ない。知り合いの花火師にも用意してもらったり卸業から用意してもらったもの。かなりいいものを用意してビーチでやるから必ずいいものになる。

 

 

 「問題ないさ。それよりも、ふふ。頑張って来いよ二人とも。結果を出したらアタシやナギコからの推薦状を書いてレースにも都合していけるよう頼むし、ライバルが増えるのは大歓迎だ」

 

 

 「そういうことでしたら、私たちはすでに目標がありますの」

 

 

 「うん! ウララとキングでね。二人でケイジ記念に出て、勝負するの。ライバルで同じチームで親友だよぉー!」

 

 

 おおう。まさかの発言にアタシもびっくりだわ。ははは。しかし、夏のレースな分秋の大レースの前にやれるのがあってみんな目標にするねえ。

 

 

 「そいつはいい。なら、二人で掛かって来いよ。アタシの記念レースには推薦枠開けておく。そこに優勝すれば年始のレースへの参加も道が開ける。アタシらシリウスとリギルで揉んでやる」

 

 

 強敵が生まれたかねえ。いい目をしているし、ふふふ。友情も見える。これは来年のケイジ記念も楽しみだねえ。




 クラシック期にケイジがやらかした熊退治エピソードもここに追加。この後勿論ニュースになりましたとさ。
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