シン・メフィラスとケイジとゴルシが出会ったら多分仲良くなる。一緒にグルメ巡りをしたりケイジが鍋を振るっては愉快にもてなすでしょう。
見てみたいという気持ちは、ありますかねえ?
~葛飾区亀有公園前派出所~
「馬鹿もぉーん!! 両津! 有休がないのに休みをこれ以上寄越せ、しかもウマ娘のライブのためとは何事だ!! しかも私にも無理やり来いとは何事だ!」
昼前、ある意味風物詩となっている交番から響き渡る大音量での声。それに派出所の扉が吹き飛びそうになりつつもこらえ、そして怒られている本人もその声に思わず耳を抑えている始末だ。
「お、落ち付いてください部長」
「あつつ。わかっていますよ部長。でも今回のレースに関しては行きたいんですよ」
「私も個人としてある程度の都合は用意してやりたい。だが、アイドルのライブのために休みをするのは町の平和を守る警察官として何事だ! 中川君もなぜかばうのだ? どうせこれを理由にどこかでうまく逃げてパチンコを打つのが関の山だぞ」
「ケイジちゃんのレースが行われるのよ。しかも、GⅠの一大レースで。ほら」
大原部長。超も付く問題児だが有能な警察官として動き、刑事課でも地域課でも検挙率トップを誇る両津勘吉を怒っていたのだが部下の麗子に見せられる新聞に目を通す。
「ふむ・・・ケイジ記念。GⅠ2600メートル芝のレース・・・おお! あのケイジ君の名前を冠したレースとは!」
「しかも日本に名を刻んだウマ娘、ディープインパクトなどもGⅡのレースまでなのに新設でおまけにGⅠ、海外のウマ娘たちも多くが参加して行われる第一回目なのでケイジから来てほしいと言われていたんですよ」
「部長もケイジの事を気に入っていたじゃないですか。ケイジの方も部長たちを気に入っていて、今回のレースに出走はしないけど第一回目だしどうだと。ほら。学園ブログにも」
そういって両津の見せるトレセン学園のブログ。ケイジの記事には『亀有公園前の派出所の皆は大好きだぜ。大原部長には世話焼いてもらって第三の爺さんだねえ』と書かれた記事を見て思わず頬が緩む。
ちょび髭にややいかつい顔、両津のせいでよく怒るので怖い印象を持つ人も多いのだがなんやかんや孫もいるおじいちゃん。アスリートとして今のウマ娘のアイドル事情を知らずとも耳に入るほどの活躍をして、犯人逮捕にも協力するケイジの事を大原部長も目に入れていたくないほどの孫娘のように気に入っており、そしてこの部長。かなり孫に甘いのでこれを見れば心にクリティカルヒットだ。
「う、うーん・・・しかしなあ・・・夏の季節で花火などでのボヤも怖い。人はいるべきだし・・・でもケイジ君の名前を冠した新GⅠレースか・・・」
「あの前田家きって最強のケイジのレースですし、キタサンブラックも出るんですし生でみなかったら後悔しますよ部長。あの北島サンちゃんの孫娘でケイジの弟子であり後継者も来るんですよ」
「なに!! あのサンちゃんの孫娘がウマ娘なのか!? ぉおお・・・しかもそれが前田家のケイジの弟子で後継者・・・昔を思い出すなあ・・・」
思わず新聞を見直しつつ昔に思いを募らせる部長。それをしり目に中川、麗子、両津で会話を始める。
「サンちゃんの孫娘っていえばクリーンヒットね」
「そりゃあ、中川や麗子には分かりづらいだろうがわしらの時代の大スターだからな。映画に色々関りもあるし、あそこら辺の時代でも前田家とメジロ家のライブ内容も相まって演歌とアイドルの二つにドはまりしていた人も多いんだ」
「メジロティターンさんにミホシンザンさんあたりです?」
「そうそう。そしてその前はメジロアサマとシンザン。真面目に日本のウマ娘と言えばこの二枚看板が常だったんだ。で、ライブも前田家は演歌も歌うし、メジロ家は欧州の歌劇を取り入れた演出。
サンちゃんは演歌で男らしさを見せてとほんとわしらも子供のころに親父たちが鼻の下伸ばしていたり興奮していたアイドルはそんなんだった。その前田家と北島サンちゃんの孫娘、娘が関わるレースとなればまあ・・・」
女性のあこがれと男性のあこがれを持ったアイドル一族に昔を思い返していた大原部長だが、ふと戻り。
「おほん・・・ま、まあ確かに日本のレースにGⅠが増えていき、あのケイジ君の名を冠したいいレースではある・・・しかし・・・前田家か。シンザン、ミホシンザンが私の青春だったなあ」
「え? でも親子ですよね?」
「ああ。学生のころに私たちのあこがれのお姉さんだったのがシンザンでね。あの強さと女傑然とした振る舞いに負けないようになろうと頑張り、社会に出てからは母親シンザンに負けないと頑張って可愛い顔で笑顔と覇気を見せていたミホシンザンに頑張れと応援していたものだよ。
ケイジ君もその前田家の親族だっけ? いやあ、本当にあの一族はすごいと思うよ」
大原部長の言葉に大原部長以外の全員が首をかしげる。同時に察するのはアイドル一族とはいえここまで疎いのかということへの半ば呆れも含んだものだった。
「まさか部長。ケイジが分家筋だと思っています?」
「違うのか? キジノヒメミコ君が本家筋だと思っていたが」
「部長。ケイジが直系筋でヒメちゃんとナギコちゃんが分家筋です。ミホシンザンの一人娘ですよ」
「何!? し、しかしあの体格でミホシンザンさんのとは・・・てっきりマイシンザンあたりの娘かと・・・」
「確かにケイジちゃんは背丈が大きすぎますしね。でも、実際にそうなんですよ部長」
「流石に親子四代日本のアイドルであり続けてクラシックを最低一冠以上手にして盛り上げ続けた一族の家族関係くらいは分かっておくべきですよ。しかもミホシンザンもシンザンもケイジの事ことあるごとに自慢しちゃうくらいでれでれなんですから」
ケイジと公私ともに関わる両津と必然その上司故に良くかかわる大原部長の無知さに流石に両津もあきれ顔。孫娘のようなケイジの事をまさかこう捉えているとはと流石に驚かざるを得ない。
「そ、そうだったのか・・・申し訳ないことをした」
「まーともかく。お願いします部長。ケイジとキタサンブラック。そしてそのライバルで幼馴染のサトノダイヤモンドも来ますし、休みをもらえないですか?」
「うむ。ではケイジ記念にはみんなで行こう。所長にも私から相談しておくのと、両津。お前に関してはどうしても欠勤になるのでその分の給料は私が払う」
「え!? いいんですか部長」
「ケイジ君のことを教えてくれた礼と思えばいい。で・・・チケットはどうすればいいのだろうか。久しぶりなもんでどこで買えばいいのか」
その発言をよそに電話を何処かにかける両津と、少し申し訳なさそうな顔になる中川と麗子。
「部長。実はすでにケイジ記念のチケットは既に完売で。転売も禁止なのです」
「世界各国の要人も注目しているレースなので私達の方でどうこうすることも・・・」
「お。つながった。もしもし? わしだ。そうそう。部長が無事いけそうでなあ。そうそう。お。いいのか!? ありがとうよ! そこまでするのか!? はははは。そうだな。わしとケイジの仲だ。今度美味い飯屋紹介するぜ」
大原部長がライブに行けるかどうかと思った矢先。両津の電話での会話に混じるケイジという言葉を聞いて一同振り返る中両津がスマホの通話ボタンを切って微笑む。
「問題ないっすよ部長。プラチナチケット、しかも関係者エリアにも入れる関係者関連のパスも用意。そして前田ホテルで休めるように宿泊券と飛行機チケットもタダでくれるそうです」
「い、いいのかね!?」
「爺さんと姉貴分兄貴分らがこうして頼んでくれるんなら応えなきゃウマ娘が廃ると言っていたんで甘えておきましょう。どうせケイジは引かないです。前もただでライスの菊花賞応援に来てくれと頼んだみんなから代金分のものを渡す渡さないで喧嘩していましたし。
基本ケイジは筋を通す。あちらから来てほしいと言っていた分、変に遠慮したり金を返すと言えば間違いなく怒りますよ部長。孫の孝行と思って満喫しましょう」
そういって数分後、黒塗りの高級車が目の前に止まり、人数分の航空チケット、ホテルの宿泊券。チケット。関係者立ち入り用のパスまで若い執事見習いが渡してきたところでいつもの業務のリズムに戻ったそうだ。
「おお。大賑わいだな・・・!」
「そりゃ、あのシリウスのリーダーの一人でケイジの名を冠したレースですからね」
あの後、レースの前日に前田家のホテルに泊まり、レース観戦に行くお客のためにこの日限定のシャトルバスに乗ってついた札幌レース場。そこは太陽の日差しに負けないほどの観客の熱狂と興奮のるつぼにあった。
「テレビ局もそうだが・・・海外の人も多くないか?」
「ケイジさんは海外ではジャスタウェイさん以外には一切負けていない。それどころか3、4バ身を平均で突き放して圧倒した上で欧州二冠を三連覇した怪物ですからね」
「欧州どころか世界では倒すべき存在。欧州のウマ娘が出来なかった偉業を持つまさしく伝説として尊敬されています。ケイジちゃんの土俵で倒そうと以前あったジャパンカップがそうですね」
「当時の国の最強、ダービーを手にした各国最強のウマ娘たちがそろっても全員ねじ伏せての勝利のまま勝ち逃げしたのがケイジ。そのケイジの名前を冠した国際GⅠレースにかかる名誉。しかもここのレースの芝は欧州のそれと同じなのも相まって海外組にも優勢。
賞金も高いですし、ちょうど秋の大レースの前に行われるここで勝てれば凱旋門賞や天皇賞。BCシリーズなどそれらに自分の優先枠をもぎ取れたりもできると、うま味が大きすぎるんですよ」
「つまりは各国の強豪たちがケイジの強さをあやかる意味と超える願いを持ち、そしてそのための今後を手にするためのレースという意味でもこのレースは注目も高いのだな」
なるほどと納得する大原部長。なんやかんやある程度レースの格式は知っているのだが、ここのレースの場合はかつてのシンザンやセントライト、クリフジの名を冠したレースでもあると同時にその次のGⅠを狙うもの達が狙う夏の祭典。
ハードな暑さと怪物たちを跳ねのけて手にする勝利を求めるもの達が集まる鉄火場ともいえるのだと理解していく。
「基本クラシックからのメンバーも全員が国を問わずに参加できるようにしているのもそれなんでしょうね。狭いもんですが、この時期に挑めるこの国際GⅠでえるものも大きいですから。お。おーい! ケイジ―!」
「よう! 両さん。大原部長に中川の兄さんに麗子の姉ちゃん。お久。来てくれて何よりだぜ!」
緩い和装姿に下駄で歩いてくるケイジ。両津が声をかけたことでレース場でレースを今か今かと待っていた観客の視線が集まり、ケイジだとわかると一斉に歓声が上がる。「ケイジだ!」「本物!?」「ジャパニーズサムライガール!! oh!!」「イッツクレイジーモンスターガール・・・!」などなど歓声は様々。
同時にそのケイジが親しげに声をかける両津達にも注目が集まり、同時に美男美女の中川と麗子にもいろいろと声が飛ぶ。
「来たぞケイジ。ははは。キタサンブラックを推させてもらう」
「アタシとしてはそこにサトちゃんも勧めておくぜ。プラチナチケットで屋内のいい場所を確保している。チケットの番号に従ってくれ。ああ。それと。係に見せればドリンクとかも貰えるから」
「いやあ、申し訳ないケイジ君。こうも色々都合してくれて。私も今日は久しぶりに色々と楽しませてもらうよ」
「おおー♪ 部長さんも元気に見ていってくれよ。今日は祭りだ♬ あ、そうだそうだ。レースのプログラムパンフある?」
「ああ、もちろん」
「ほいほいほいのほーい・・・っと♪」
いうが早いか、ケイジは両津達のパンフレットの表紙に自身のサインを書いていき、チケットの半券の裏側にもサインを書いてくれた。
「一着になった子のにもサインねだりな。アタシが都合しておくからよ。じゃ、祭りを楽しんでな。チャオー♪」
指をピッと振りつつウィンクで返し、観客たちに笑顔で手を振りつつマジックを披露しては盛り上げていくケイジの背中を見送りつつサインされたパンフレットを見る。
「ひょっとして、かなりのプレミアものになったのか・・・?」
「チケット倍率数百倍のレースのプラチナチケット、後パンフレットだけでもすごいのにケイジちゃんの直筆サイン入りとか普通に数百万出す人もいるわ」
「世界の要人の多くがファンですからねえ。僕もパーティーでケイジさんのサインをもらえないかと何度か言われました」
「ま、これは大事にしまっておくとして、早いところ行こう。多分あの窓とガラスのある部屋みたいだし」
パンフを眺めてレース場内の客席とチケットの番号を確認してきた両津が誘導して移動を開始。基本ウマ娘、少年少女には真摯に対応するのでケイジのくれた商品を売りさばくというのが出ないことに驚いたり納得したりしつつ後ろから着いてくる中川たち。
ついた場所はそれぞれ席があり、広くレース場を見れるベストポジション。ドリンクを置く場所もあれば机もあり、少し視線を上に向ければ細かくレース場を見れるためのモニターもある。冷房の効いた場所だが会場の熱気はガラス越しにびりびりと伝わる。いい場所に腰を下ろす。
「よし。そんじゃこの前田ブランドの酒を一杯と、あー唐揚げ山盛りを一緒に」
「お・・・おお。専用のドリンクに、お酒もいいのか。かなり自由度が広いんだな。ではこのリンゴ酒を。どうにも緊張して敵わない」
「まあ、国際GⅠの初開催ですしねえ。ケイジの弟子であるキタサンブラック。日本最強ステイヤーの一角メジロマックイーン、ゴールドシップの後継者になりえると言われているサトノダイヤモンドを倒してやると燃え上っていますよ」
「シリウスのメンバーの伝説たちは多くが引退していたりレースには出ないのもあって弟子同士の対決で盛り上がっているのよねえ」
「同時にそのメンバー全員でぶつかり合うとんでもない状態。まさしく乱戦もいいところ。お・・・今回もダービーウマ娘が5人もいるのか」
手慣れた様子で酒をあおりつつ唐揚げをつまむ両津と大原部長に色々と情報を教えていく中川と麗子。大原部長も久しぶりのレース会場でいろいろと昔の記憶と経験を思い出して照らし合わせつつ会場の熱気を楽しんでいる中、スタンド正面に置かれているパドックから続々と出てくるウマ娘たち。いよいよレースが始まる前の勝負服と調子を見せる時間。
オルフェーヴルが先導して出てくるこのレースに出走資格を得た猛者たち。誰もが眉目秀麗かつ個性的な面々の登場に歓声が沸く。
「おお。私もニュースで見たようなメンバーが続々と! しかし、本当にすごいきれいだなあ」
「化粧とかメイクの技術も高まっているんですがほんと凄いですねえ」
「肉体の仕上がりは誰もがいいが・・・キタちゃんとサトちゃんの仕上がりがいいな。これはやはりアメリカンアテムくらいしか相手になるのがいないか?」
今回のレースで戦う18人がそろった後、スタンド前に突如空間が歪んだように見え、そこからケイジが現れた。勝負服を身にまとい、トロフィーを持ち拳を掲げるだけで天が揺れるような大歓声が沸き起こる。
それを笑顔で受け止めてから腰帯からマイクを取り出し、ウマ娘たちに声をかける。
「ようこそ! この暑い真夏のレースによく来たな!! まどろっこしいことは言わない! アタシを超える気でやってきた猛者たち、麗しのウマ娘たちよ、このトロフィーも賞金も名誉も! 次の栄光のためのステップも! 何より勝利を求めて戦え!! この熱さもエンジンかけるものにしちまいな!! 第一回、ケイジ記念開催だぁああ!!」
そういってまたもや魔法のように消えるケイジを見た直後に歓声が先ほどよりもさらに大きくなって響き渡る。その中には両津達ももちろん混ざり、いよいよ本場バ入場。そしていざレースとなった時。
「あ、ケイジのやつしれっと後ろに並んで待っていやがる」
「オルフェさんもいますね。多分ケイジさんに巻き込まれたんでしょうけど」
『ケイジ! 勝手にレースに混じらないの! わざと勝負服にしたのはそのためか! 確保―!!』
『ちっ! 駄目かオルフェ! 逃げるぞ!』
『だから言ったじゃないっすかぁー!!』
解説のジャスタウェイからの指示が飛び、スタッフがさすまたを持ってきて捕えにかかるのを急いで逃げていく凱旋門コンビ。
そうやってスタッフたちから逃げ回っていたのだが、突如と網が放たれてケイジたちを捕獲。
『いよぉーし! 大漁大漁♪ 大物ゲットだぜ♪』
『ナイスシップ!! えー・・・大変失礼しました。レースに関しては何の問題もないのでそのままレースを始めます』
呆れた声のジャスタウェイと、網の中でもがくオルフェとケイジ。それを引きずっていくゴルシの騒ぎに会場からは爆笑の声があふれ、ゲートの中のウマ娘たちも笑っている始末。
「相変わらずだなあケイジ。多分レースしたら真面目にあの二人で勝っていたぞ」
「ほんとケイジちゃんはやりたい放題するわね」
「本当に変わらないなあケイジ君」
この後のレースも無事に終わり、ライブには前座としてケイジとオルフェのライブとショーが始まり、更にはサンちゃんも飛び入り参戦して曲を披露。ウイニングライブにおまけのケイジとの対談トークショーで今回参加したウマ娘たちの次回のレースの予定と応援を込めた時間を作り、全員に見せ場を作って終了した。
「いやあー・・・童心に帰った気持だった」
「ははは! そいつは良かった。部長もよかったじゃんかーサンちゃんにキタちゃんのサインもパンフに書いてもらって」
「これは私の宝物だ。久しぶりにこういうライブを味わうのもいいものだな。あの一体感は癖になる人が増えるのも納得だ」
「でしょー? ウマ娘のレースとライブで二度おいしいですからね。しかもケイジの場合はちゃんとトークショウで掲示板に入れなかったウマ娘たちの強みや今後を応援して彼女たちとその推しをしっかりフォローするのが人気なんですよ」
「動画にもなっていて、実際にこのトークショウから覚醒したように強くなる子たちも多いですからね」
無事にケイジ記念も終わり両さん達らと合流してのんびりホテルで風呂上がりに打ち上げ前の駄弁りに興じているアタシ達。ゴルシらはお疲れってことでロイヤルスイートにぶち込んでおいたし、後でアタシも遊びに行くか。
で、だ。その前に両さんに頼まれていたことをしておくかね。
「さて、この後はアタシのホテルの選りすぐりの料理人らで食事を用意させてもらう。えーと・・・ああ、ここの部屋に来てほしい。中川の兄ちゃんと麗子の姉ちゃん。両さんはちょいと手伝ってもらいてえことがある。部長さんは先に行って貰っていていいか?」
「いいぞ? 確かトレーナーたちにプレゼントする酒の購入と送付手続きだろ?」
「そうそう。流石に未成年が買うのはねえ。パパラッチどもにあれこれいらねえ話を作られてもめんどくせえ」
「ああ、それでしたらドリームシアターさんやライトニングさんのおかげで僕の会社も儲かったので、その分のお礼をさせてください。奢りますよ」
「あら、それなら私の会社の化粧品会社もケイジちゃんたちのおかげで助かっているし、私もね?」
「そういうわけで部長。一足先に行っていてください」
「ああ、それと、ケイジ君も今日は本当にありがとう」
部長に微笑んでから移動するふりをして影からちゃんと移動したかを見守り、無事に部屋に入ったのを確認。
よし・・・・
「もしもし。もういい感じよ。おう。オッケイ。やっちゃって」
「よしよし。サプライズは上手く行きそうだな」
「両ちゃんもケイジちゃんも悪戯好きよねえ。まさか部長がシンザンとミホシンザンのファンだからって本人らによるもてなしとライブをやっちゃうなんて。しかも部長一人のために」
「いいんだよ。世話になってるし二人もちょうど来てくれる予定だったからな。三人仲良く昔話に花咲かせやがれってんだ」
ま、ちょうどいいので普段のねぎらいとサプライズということで母ちゃんとばあちゃんに頼んでのライブ。母ちゃんは昔の衣装今も普通につけられるしスタイルいいから持たせて。ばあちゃんは若木の色の着物をアタシが仕立ててプレゼント。
二人も超ノリノリで部長へのプレゼントを用意してくれたし、にしし。孝行しないとね♪
買い物も一通り終えて部長たちのいる部屋に入ると感涙している部長とほほ笑んでいる母ちゃんとばあちゃんが。後は両さんらも合流させてアタシは退散ってね。来てくれてありがとよ。皆。
「はぁー・・・これはいいな・・・」
「部長。あれからケイジさんたちの曲とウマ娘の曲を派出所で流したりしてはすっかり楽しんでいますね」
「ケイジの場合男の声も出せるし曲も演歌から洋楽もできる分部長のはまる曲を用意したりカバーも容易だからな。それらをねじ込んで飽きさせないようにしているメドレーだからなおさらだろ」
ケイジ記念から数日後。セミの鳴き声をバックに書類仕事を終わらせ休憩時間にシンザン、ミホシンザン、ケイジ、シリウスのメンバーの曲を詰め込んだCDを流しては子供のような瞳で楽しんでいる大原部長を見てひそひそ話をしている両津と中川。
伝説たちとのまさかの邂逅とライブ。そしてプレゼントに握手にサインと相当に部長の子どものころ、若いころの心を刺激してしまったらしく。暇があればウマ娘のことを勉強したり、両津に聞いてくる始末だ。
「当時の歌とリメイク版の歌声を収録して、サインまで書いたものを渡されたときの笑顔がすごかったですしねえ」
「あの厳つい部長の顔がああなるってわしもそうそう見たことないぞ」
「両ちゃーん。部長いる?」
「麗子。どうしたんだ?」
そうこう話していると麗子がパトカーを駐車して降りてきて部長を呼ぶ。
「いえ。これをシンザンさんから渡しておくって言われて」
「あ、今日発売の前田家のウマ娘の愉快エピソードを詰め込んだ暴露本! 初版本にしっかりシンザンとミホシンザン、ヒサトモまでもサインがかかれているぞ!! すげー! 超プレミアものだ!」
「なに!? 見せてくれ!」
両津の声を聞くやすぐに富んできた大原部長。そしてその本を手に取ると何やらメモ用紙が。そこには「今も応援してくれるファンへのささやかな気持ちですよ。ヒサトモ、シンザン、ミホシンザンより」と書かれていた。
「よかったじゃないですか部長。ずっと覚えていた甲斐がありましたね」
「いやーこういうのはいいもんだね」
「か、感動だ・・・!!」
「さあ両津! 急いでレースを見に行くぞ! 今日は府中でのレースだから電車で行ける!」
「部長! わし今日は夜勤ですよ!」
「私が特別休暇を用意するから色々教えてくれ! さあ行くぞ!」
「部長。ますますウマ娘が大好きになっているわね」
「娘さんとも話が出来るようになったりグッズがうらやましがられたりもあってほんと充実しているようよ」
頭にウマ娘LOVEの鉢巻を付け、暑さ対策のグッズを持ちながら両津を連れていこうとしている大原部長にまさかの状態に戸惑う両津。それを眺める麗子と中川。ちょっと変わっているがいつもの賑やかな派出所であったとさ。
ケイジの一族とメジロ家は大体日本のアイドル一族。実力派しかいないやべーのだらけ。