ハジケリスト世代だろ! (完結)   作:零課

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 ゴルシが猫や犬の降参のポーズを横向きでしている写真がすごく面白かったです。


 一応検索には出ていないのにこの評価にお気に入りをしてくれると皆様豪気すぎぃ!! 本当にありがとナス。 これからもどうかよろしくお願いします。


次の目標

 『おどきなさい! そのでかい体が邪魔ですわ!』

 

 

 『いやーだね! 後ろ走るか横から抜くかするんだな!』

 

 

 ただいま絶賛併せ馬中。今回はどうもまず普通に走る。で、今度はジェンティルが俺を追う。その後に俺がジェンティルを追う形をしていくとか。

 

 

 あちらさんのテキ、騎手さん、厩務員曰く『この子は牡馬だろうと怯まない強さと爆発力がある。ウオッカの再来。それ以上も目指せる』ということで牡馬の体格差、威圧感に負けないために選ばれたのが俺。ちなみに他の子たちともしたそうだけど。

 

 

 ゴルシ→おっとりしすぎて覇気をあんまり感じない。強いから経験は貰えた。

 

 

 ジャスタウェイ→優等生過ぎて練習だとわかって気を遣いすぎ、ジェンティルの方は手を抜いていると思って怒った。

 

 

 

 こんな感じだったそうで今度はやたら人間臭いとここ最近噂の俺になったとか。そして今は内ラチ求めてコーナリング中。手を抜いているけどコーナリングには定評があるんだ。ちょいと速度を上げていくか。

 

 

 『待ちな・・・さいっ!』

 

 

 『む・・・! 甘いな! ほいさ!』

 

 

 『なっ・・・ええ? ええ~~!?』

 

 

 そんで普通なコーナーで速度は落ちるもんだけど落ちないどころか加速していく俺にタックルかましてくるジェンティル。だけどまあ。うん、遠心力で外に膨れるのに無理くり内ラチの俺にタックルしたって効かんよ。せめて俺と同じコーナリング技術磨きなって。

 

 

 「うおっ・・おっ、おっとと・・・よし。行くぞケイジ!」

 

 

 直線に入って一呼吸遅れちゃうのは俺の相棒となった松風君。鞭を振るうけど弱いし仕掛けるタイミングが遅い。コーナリングで体の制御し辛かったのと俺の体格が大きい分いつもとは姿勢も違う&経験したことない速度でのカーブに振り回されているかあ。

 

 

 頑張れ松風君。あと数年くらいすれば俺の半分くらいの体重で走るややステイヤー気味の子が出てくるし良い経験だぞ。

 

 

 そして結局俺のゴール。ジェンティルは無理なコーナーでのタックルと驚きで加速が鈍っていたのに思った以上に差がついていない。あの勝負強さと場を選ばない脚質。加速力はこの時点からついていたんだなあ。

 

 

 「ありがとうケイジ。落とさないでくれたんだな、悪かったよ」

 

 

 「ヒヒン」

 

 

 『おうよ。本気で走って脚の故障は怖いし練習ならんし、あんたも慣れてもらわにゃね』

 

 

 とりあえず小休憩がてら松風君は降りて俺に礼を言い、水を飲みに行く。俺もてこてこ扇風機のそばに。あー涼しいー・・・後でもういっちょ松風君に練習させなければなあ。

 

 

 お、ジェンティルもど・・・おーおー騎手と折り合いついてねえな? 荒れてやがる。うん、涼んだし場所開けて扇風機の当たる場所にジェンティルが来るように、と。

 

 

 『はぁー・・・涼しい・・・もう! 何ですの!? 何なんですのよあの騎手! あの程度の揺らぎから仕掛けが鈍ってしまうなんてダメダメよ!』

 

 

 『コーナーでタックルしたお前さんも悪い。あんな場所で普通仕掛けねえよ』

 

 

 『そういうあなたこそなんでコーナーで加速できるんですの!? 私の後ろにいたはずなのに気が付いたら内ラチで私の先にいるんですのよ!? 止めたくもなりますわ!!』

 

 

 その手段がタックルな時点でマジで脳筋お嬢様代表格じゃねーかこの子。姫〇亜弓とかお蝶〇人かよ。でも、ほんとコーナーで俺に食らいつきつつタックル仕掛けるくらいには身体の使い方が上手いし強いんだよなあー。

 

 

 『あー、俺の持ってる脚使いに加えて坂路頑張ったから出来ているのよあれ。あと、タックル仕掛けるよりは思いきり前に走るよう足使ったほうがいいぞ??』

 

 

 『貴方の技・・・お父様の追い込みみたいなものですか。そして何でです? ヨレた他の馬が後ろの馬のコーナー塞いでくれる間に仕掛けられるではないですか』

 

 

 『お前さんはそれをしないでも強いし、思い切り前に出て自分一人の強さをみんなに見せつけたり、優雅に勝ったほうがらしいんじゃないの』

 

 

 オルフェーヴルや、やる気ノリノリのゴルシ、あの時代の牡馬相手にああも渡り合える時点で怪物だもんよ。タックルに足も体力も使わずに進められたらもっと速く・・・なる・・・かも??

 

 

 『そういうものですの?』

 

 

 『先輩のダイワスカーレットとか、逃げと先行の天才だったぞ』

 

 

 『うーん・・・先行は出来ますし、頑張ってみますわ』

 

 

 まあ、ステイゴールドとか内ラチに身体ぶつけながらブーストしたりとかすんげえ変則戦法を仕掛けるやつもいるがな!! ちなみにその親父はもっとヤバいヨレ具合をかましながらケンタッキーダービー勝利した模様。しかし改めて親友同士の血の繋がりが日本最強格を生み出すとか本当運命だよなあ。負の運命を蹴り殺して掴んだ旅路だよ全く。

 

 

 「うーむ・・・何度見てもあの走りは凄まじい。コーナーでああも内につけながらの加速。そして直線からすぐさま切り替えて走れるとは並じゃないですよ」

 

 

 「ケイジのやつでかい体していますが、今も柵越えするくらいには身体が柔らかいんですよ。その上好き放題暇な時間はわちゃわちゃ動かすので体の使い方も上手いのかと」

 

 

 「それは僕も感じました。ケイジの馬体だと足が広がる分姿勢が変化するのですが、あの速度で落馬せずに最後は持ち直せるくらい安定した走りでした」

 

 

 「・・・コーナーであの速さと脚の切り替えはサンデーサイレンスの戦いぶりでしたし、トウカイテイオーに近い柔らかさであの筋肉の躍動。骨も文句なしに強い・・・なるほど新馬くらいでは相手にならないですな」

 

 

 「しかしそれについてくるジェンティルドンナも並ではない。あれは牝馬三冠はおろか世界でも狙えるのでは?」

 

 

 それな。マジで俺の加速について行きつつタックル仕掛けてのロスを即リカバリーとかどうなってんだ。あと、やっぱみんな気付くか俺の戦闘スタイル。コーナリングで加速できるし、その上で外に膨らみにくい。大逃げ以外にも幅を増やす、息を入れるタイミングを用意できるようにじっくり仕込んでいたけど様になってきたみたいね。

 

 

 陸上選手のアップよろしくサイドステップ。欽ちゃん走りの練習したり二足歩行で歩いたり。左右に旋回しまくって脚の動きや独立した動きをできるよう鍛えていたのよ。やっぱレースに来るお客さんを楽しませる技で楽しませるものを見せるようにしないと傾奇者の名が廃る。大舞台を盛り上げて、笑いも歓声も出してこそよ。

 

 

 『お、ジェンティルちゃん世界取れるかもってよ。お前の親父さんが取れなかった大舞台も狙えるとは流石流石』

 

 

 『ありがとうですわ。ところ、サンデーサイレンスって誰ですの?』

 

 

 『お前のお爺ちゃん。アメリカ最強候補で日本のお馬さんのたくさんのお父さんしていたすげえ馬だよ』

 

 

 98世代がまさしく兄弟というか一族対決多数。今でもお孫さん同士で大激闘しているんだからほんと凄いよねあの馬。本人の血は母方の能力というか潜在能力をブーストさせるような役割になっているのも面白い。・・・・・・・・あれ? そういう意味ではゴルシはステゴからその血を継いでマックイーンに似たし、サイレンススズカはお母さんの血をブーストさせた結果あの気性難代表格のサンデーから人間大好き、人懐っこさがまず特徴に出るあの子が生まれたのかね。

 

 

 「おーい、二人ともーそろそろもう一本走るぞ。今度はケイジが追い込み、ジェンティルドンナは先行、逃げの練習だ」

 

 

 「ヒ~ン」

 

 

 『あーいよー』

 

 

 『今度は私が前ですのね。そのまま逃げ切ってさし上げましょう』

 

 

 『おうよ。その可愛いお尻追いついて、俺も差し返すからなあ? 頑張ろうぜ』

 

 

 『も、もう・・・可愛いだなんて』

 

 

 『わはは、今の内に慣れておきな。俺に慣れれば他の女の子の体格や威圧に怯まないだろうよ』

 

 

 休憩時間も終わって練習再開。扇風機に当たって汗も引いたジェンティルちゃんともう一本練習開始。実際有難いよなあ。性別の壁関係ないとばかりに暴れられる女傑と練習できるんだから。お互いに戦線がかみ合ってぶつかるとしても早くて朝日杯。そうじゃなければ一年ちょい後のジャパンカップ、有馬記念辺りになるだろうから互いに手札を見せ合いとか調子云々気にせずに併せられるのが大きいのかもだけど。

 

 

 ゴルシ? あいつとはどうせクラシックまで俺が頑張れば嫌でもずっと戦うし気にしない。もっと言えばその頃には今の面影は人懐っこい部分以外多くが宇宙に放逐されるから・・・

 

 

 さあさ。未来の三冠、世界最高峰のレースも征する天才の走りを、技術を盗めるいい機会。思いきり楽しんでいきまっしょい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ゼー・・・ゼーー・・・い、いい練習・・・でしたわぁ・・・・』

 

 

 『ブフゥー・・・くはぁー・・・きっちぃ。あーでもいい汗かいたわぁ・・・』

 

 

 「二人とも疲れていますねえ。ケイジがここまで疲れるとはゴールドシップとの併せ以来ですよ」

 

 

 「こちらもです。でも、イライラしたりカリカリしていないでいい目をしていますし、やはり相性がいいようですね二頭は」

 

 

 あの後、練習で俺が追い込みを仕掛けたがジェンティルちゃんがガチビビりしてすげえ逃げを披露。俺も負けじと追いかけて勝ったらもう一戦させろやあ!! とゴネられ練習続行。結局プール時間も取れないほどに走り回る結果になったでござる。

 

 

 それにしたって体力の削りがでかいのはやっぱプレッシャーの方がすごい。それもあって久しぶりにヘトヘトだ。今夜はグッスリどころか爆睡だろうなあ。新馬戦以上に感じたってどういうことなの・・・

 

 

 『ふぅ・・・ふ・・・わ、わたくし・・・今年は未勝利戦以外は来年のシンザン記念とやらに出ますのよ・・・』

 

 

 『・・・お、息戻ってきた。おお、日本最強の戦士の記念レースか。いいじゃないの』

 

 

 『ハァ・・・は・・・そこで勝てるようになるまで付き合ってもらいますわよ今後・・・』

 

 

 「うおっと。凄い勢いで眺めていますねジェンティルドンナ。うーん・・・相性もいいみたいですし、互いにぶつかるレースも3歳の年末以外はなさそうですから、どうでしょう。今後も併せどうですか?」

 

 

 「いいですよ。此方としても大抵の馬はケイジの馬体と風格に怖がる子が多いのでこちらとしても彼女ほどの女傑と学べるのは嬉しいです」

 

 

 『だってさ。これからもスパーリングパートナーよろしく』

 

 

 『スパー・・・?? まあ、よろしくお願いしますわ。お父様に負けないほどの力をつけるのに貴方は良さそうですし』

 

 

 『へいへい。ほれ、そろそろ帰るみたいだし早く帰って汗流してご飯食べるんだぞー』

 

 

 『わかっていますわよ。貴方こそお気をつけて。ほら何しているの。汗がベトベト。早くこの背中のもの下ろしてシャワーを浴びさせなさいな』

 

 

 最高のスパーリングパートナーゲットだぜ。そんで楽しそうだねえあっちの陣営も。

 

 

 「ふぅ・・・クタクタだ・・・ケイジ。頑張って慣れていくから僕ともよろしくね?」

 

 

 「ヒヒン・・・ひん?」

 

 

 『おう、よろしくう。けどな・・・それはそれとして』

 

 

 俺の騎手松風君も後半なんやかんや慣れてくれたし、後半は俺もさほど負担を感じずに走れたからいい。けどなあ。一つ問題があるんだよ。

 

 

 松風君が持ってる鞭を奪って取っ手を調整。そんで近くにあった木に思いっきり打ち据える!

 

 

 お前の鞭の指示力が弱すぎるんだよオラア! このくらいで叩けや! 勝ちに行く戦いをするんなら、お前も勝ちたいんならその気持ちを鞭と手綱にしっかり振るうんだよオラァ! 今日の併せ指示がわっかりづらかったぞお。

 

 

 「おわっ!? 何だケイジ!? どうした! どうした急に」

 

 

 お前の鞭打ちの指導じゃい! ほれ、お前もするんだよぉ!!

 

 

 『ペッ! ほれお前もしろ! 勝ちたいって気持ちを出しての指示をするイメトレだ! 声が円堂守ならそれくらいの熱血出しやがれってんだよ!!』

 

 

 ゴスゴス頭突きを松風君にかましてからようやく意図を察した松風君が鞭打ちの練習開始。おう、そうだその意気だ! サンデーとかステゴレベルの癖馬相手だと並の鞭の指示聞いてもらえんなよ? 俺もなよった指示出しやがったら承知しねえからな?

 

 

 「こうかケイジ! こうか!」

 

 

 「ヒヒン!!」

 

 

 『おうよ! 俺と一緒に戦うんだ! 闘魂注入するくらいの鞭かませやオラア!』

 

 

 木に向かって鞭を振るい、馬の反応を聞く松風騎手とそれを応援するように嘶くケイジ。これを見た調教師が一言。

 

 

 「こんな形で騎手に競馬を教えるとは祖父のルドルフも思わなかったろうなあ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ケイジ、お前の出走予定だがなー」

 

 

 「?」

 

 

 あの後ちょこちょこ練習をしながら新馬戦から1週間。テキが俺のとこに来てレースの話をしてきた。くっそーニチアサ見ていたのに。でもレースは大事だししょうがない。よいしょと体を起こしてから手綱を持たせてと。

 

 

 「お、手綱ありがとう。で、だ。次のレースだが三週間後の函館2歳Sに出る。その後に小倉2歳Sに出ていきたい」

 

 

 「ヒンヒン」

 

 

 こくこくと頷きつつ一緒に出走予定の場所と距離を見る。どっちもGⅢ、距離は1200。前の新馬戦が2000メートルだったし短距離か。マイルや短距離での適性を見るためにはちょうどいいね。俺が見せた大逃げの加速やペースが通じるかを見れるにはいい場所かも。

 

 

 「で、目指すは朝日杯フューチュリティーステークス。そこでGⅠを狙い、クラシックまではじっくりと力をつけていくぞケイジ」

 

 

 『おうさ、まずは一冠。2歳の中でしかとれねえ手柄取りに行くか』

 

 

 2歳の〆は1600か。一度1200で走りを見て、そこからマイルで様子見。クラシックに向けての距離適性の下限、中間はどれほどかを見つつ行く感じ。ついでに出走手当と賞金も手に入れば12月から最長で4月の皐月賞まで、最短でも3月の弥生賞までじっくり仕込むことが出来る。

 

 

 ジェンティルちゃんが2歳シーズンは2戦で済ませて3歳はじめから力をつけてティアラを目指すのとこっちは逆で俺らは最初にいくつか重賞を取って2歳最優秀牡馬を手にしてクラシックレース出走優先枠を取る。と。

 

 

 3歳から力をつけていくメンバーの戦いぶりをじっくり見れるし、俺は俺で追い込みと逃げの練習に時間を使えるから武器を一つ二つ隠したまま挑めそうだしいい感じだぜ。

 

 

 「よしよし。それじゃあ、函館の方への入厩はもう少し後になるし、今日と明日はゆっくりしよう。練習は無しな」

 

 

 「ヒヒン」

 

 

 『はいよ。東京から北海道だし旅の疲れもあるだろうしな。で、テキ。この子誰?』

 

 

 とりあえずしばらくは練習抜きで疲労抜き。そこから移動して移動疲れと離れするために少し休憩。そこから練習って感じということだけど俺が気になるのはテキの後ろにいる子供だけど。

 

 

 「お、お父さん・・・この馬大きいね・・・」

 

 

 「おう、こいつは歴代でもかなり大きいぞ。ケイジ、この子は蓮。俺の倅だ。蓮、こいつはケイジと言ってな。優しいが頭が良いから悪戯するんじゃないぞ」

 

 

 まさかの倅か。大体7~9歳くらいか? それなりに背丈あるね。そしていい顔になりそうな空気もっているね。撫でるかい?

 

 

 「撫でてみろ。噛み癖はないからな」

 

 

 「うん。おお・・・暖かい・・・意外と柔らかい?」

 

 

 「ヒィン」

 

 

 生き物だもんよ。足回りはカチカチだぞお。あ、久保さんおはよう。今日はゆったりねえ。

 

 

 「おはようございますテキ。お、蓮君いるのかあ。俺が見ておきますからテキは改めて予定確認してきますか?」

 

 

 「そうだな。蓮にも馬の見学をさせたかったしよろしく頼むよ」

 

 

 『俺も見ておくよ。しかし、野球少年かね? 何やらいろいろあるし』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぅ・・・よしよし。無事に出走は問題なし。後は短距離はどうなるかだな」

 

 

 書類の整理を終え、一つ息を吐いてレースのローテが整ったことに安堵の息を浮かべる。新馬戦で見せたあの大逃げ。そして練習で見せたあの脚質。逃げと追い込みを得意とするという両極端な戦法を使える上にどちらも自分が経験はまだ浅めの調教師だというのを含めても素晴らしいものを持っている。

 

 

 コーナリングでの加速も出来、大逃げ、追い込みを使える末脚。頭も良く、騎手に従うことへの理解がある。今までにない馬ながら名馬になる素質は十二分にある。そしてケイジ自体がその素質を磨くのを好む練習好きであの体格に不釣り合いなほどの頑丈さ。だからこそしっかり見てみたい。あの馬がどの距離が出来るのか。3歳クラシック戦線に行く前にまず短距離とマイル。

 

 

 そしてそこから中距離、長距離での戦い。2000メートルを逃げ切れるスタミナはある。併せで見せた末脚も含めて今後のレース。多くの馬との戦いでも使えるか今のうちに見極める。葛城の中に湧くワクワクとケイジはどこまで一緒に行けるか、夢を追いかけられるかと心から思う。

 

 

 父の見せた不屈の戦いか、祖父の見せた絶対と言われたレース運びか。どちらでもないものを見せられるか。そして地震で落ち込んだ日本を活気づけられる一頭になれるか。

 

 

 「さて・・・蓮とケイジ、久保の様子でも見てくるか」

 

 

 背伸びをし、遅めだが愛しい我が子と愛馬。それを支えてくれる優しい仲間の様子を見るかと練習場とは別の広場にいるであろう二人と一頭の様子を見に移動。

 

 

 「ヒヒーン」

 

 

 『高めのボールイクゾー』

 

 

 「良し来い!!」

 

 

 「お、フライ来たぞ蓮君! よっしアウト! これでツーアウト!」

 

 

 そこでは段ボールで長さを増したトスバッティング用の台の上に置いた柔らかいゴムボールをプラスチックバットを構えたケイジが打ち。蓮がそれを取るというノック練習。

 

 

 ボール拾いをしているのは久保という。馬が野球を教える。混じるという光景を見せていた。

 

 

 「・・・何をしているんだ?」

 

 

 「テキ。いやー蓮君がケイジも野球できるのと聞いたときにケイジがバットを咥えまして。試しにとトスバッティングをやらせてみたらこれが上手なんですよ。早いゴロに打ち上げ。左右にボールも打ち分けるのでこれがなかなか」

 

 

 「ええ・・・」

 

 

 『お、テキ。お疲れい。そんで葛城さんボールくれー今度は脚で蹴って早いゴロを見せるから』

 

 

 「お、了解だケイジ。蓮君、今度は早いゴロが来るぞ! 目を凝らせよ~」

 

 

 「ヒン!」

 

 

 ケイジが二回足踏みをしてボールを催促し、久保はケイジが誤って踏まないようにケイジの少し前にボールを置く。それをケイジが前足で蹴ればこれは中々いい感じのゴロが飛んでいく。

 

 

 「・・・よし! あ、お父さーん! ケイジってすごいよ! 学校の監督に負けないくらいノックがうまいしリアクションも面白い!」

 

 

 ボールをしっかりグローブで捕らえた蓮もどうやら本当に楽しいようでニコニコと笑っていた。

 

 

 「・・・引退してもタレントホースで行けるかな?」

 

 

 「ヒ~ヒン? ヒンヒン」

 

 

 『俺役者になんの? ソ〇トバンクのお父さんになんの? なんちゃら割の宣伝しちゃうの? スマホ咥えたりして。出来ればワイドの紙咥えたいんだけど』

 

 

 改めてほんとこいつ何なんだろうなあと首を傾げるとバットを咥えたままのケイジも首を傾げる。やっぱこいつ人の言葉を完全に理解していやがるな。もっと今後は話すようにしないと。

 

 

 後年、プロ野球界にて守護神、盗塁王。バントの神様と言われた葛城蓮選手は語る。

 

 

 「僕を鍛えてくれたのは、頑張ることの大切さを教えてくれたのはお父さんとその仲間。何よりケイジでした。刑事? いえいえ。あの競走馬ケイジですよ」

 

 

 この発言のせいでケイジ、久保、蓮のノックの練習していた映像が世に出回りケイジの競争人生と蓮の少年野球時代を描いた映画が作られることになるのだがこれはまた別のお話。




 ケイジの次の目指す場所は8月7日 2011 函館2歳ステークス(GⅢ) 芝 1200メートル


 そこから9月4日小倉2歳ステークス(GⅢ) 芝1200メートル


 締めに12月18日朝日杯フューチュリティ―ステークス(GⅠ) 芝1600メートル に行く感じです。本音を言えばゴルシたちと戦うクラシック戦線に早くいきたいでござる。


 ケイジ 改めてジェンティルドンナの強さを知る。そしていい練習相手になってくれるので今後良くぶつかり合うことに。戦い方がサンデーに似ているということが発覚。コーナーガチ勢。蓮君とのトスバッティング、ノックはいい首の運動と前足の脚使いの練習になったとか。


 ジェンティルドンナ 扇風機を譲るし付き合いのいいケイジを気に入る。ただしタックル癖はやまない模様。レースで戦う可能性があるのは少なくても1年以上あと。


 松風君 騎手 どうにかこうにかケイジの体格から来る姿勢の変化になれていく。鞭の強さが弱かったためにケイジから鞭の入れ方を練習させられて翌日軽い筋肉痛に。


 葛城 テキ 実は妻子持ち。北海道に行く前に家族サービスということでケイジを見せに行ったらまさか野球を教えてくれるとは思わなかった。この後親子でキャッチボールをして楽しんだり、ケイジを改めて馬ではなく人と扱うことに決めた。


 久保 蓮君とは顔見知り。ケイジの首を痛めないプラスチックバットに軽いゴムボールだったから練習許可。左右に移動してスイッチヒッター、キックでもボールを飛ばすケイジを見て労いに後で桃とにんじんをプレゼント。


 蓮君 10歳 少年野球クラブに入っている。お父さんは尊敬している。ケイジを痛く気に入り今後も事あるたびに会いに行く。ケイジの頑張りを聞いて、レースを見て熱血野球少年になり後年プロ入り。珍事すぎるエピソードとケイジとのノックで鍛えた渋い技術と堅い守りで目の肥えた野球ファンから気に入られる選手に。

 ウマ娘になったケイジには惚れた。
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