ケイジのシナリオ、ゴルシと一緒にナバルデウスとか見つけていそう。生態的にも実際にいそうですし。
「くっ・・・・おぉ・・・!」
喰らい付いてくるっすね。でもまあ・・・この距離でこの焦り。かかっている。
「ふー・・・・」
ジェンティル先輩も見て呆れているっすね。そりゃあそうだ。シリウスに喧嘩を売るということを理解していない。この程度の速度で、レース運びに動揺しているようじゃ生ぬるい。
『1000メートルを通過! タイムは57秒2!! 速い! 大逃げをしているオルフェーヴルとジェンティルドンナ!! ハイペースの試合の慣れは世界一! 流石のレース運びです!!』
何を言っているんすか。ケイジ先輩は間違いなくこの先で走っている。これ以上の速さで先へといって涼しい顔で微笑んでいるはず。
ここからさらにギアを上げて突き放す。身体も十分ギアが入ったし、なにより変に色気を出す気もない。叩きつぶす。アタシのような臆病者を三冠ウマ娘に鍛え上げて、支えてくれたシリウスやスピカの皆のトレーニング方針を、あの自由さと温かさを否定するのは許さない!!
『オルフェーヴルグイグイ伸びていく! コーナーでもなお加速が衰えない! 金色の暴君の本領発揮! クラシックディスタンスにおいては最強と称されたその脚が勝利を見据えて驀進!!
ジェンティルドンナも負けじと加速! ビターグラッセも喰らい付こうとするがコーナーで外に膨れて減速! コーナリングの妙はシリウスの十八番! 喰らい付けない!!』
「勝負よ・・・オルフェーヴル!!」
「負けないっすよ・・・ジェンティル先輩!!」
大逃げに見えるような先行をイメージしたレース。アタシ以上にケイジ先輩と戦い慣れているジェンティル先輩は流石喰らい付いてくる。
もう一伸び。もう一伸びをしてからの第三コーナー、ここからの更なるハイラップ勝負をしたうえで脚を残しての直線勝負。
『さあ、向こう正面から第三コーナーに入ってくるジェンティルドンナとオルフェーヴル!! 加速を続けてさらに伸びていく! チームファーストたちに末脚すらも残させない試合運びのまま爆走だ!!』
「負けない・・・!! 全部勝利していくっすよ!!」
「こっちこそ・・・皇女と呼ばれる自負があるの・・・負けないわ!」
普通はもう最後の加速をしながら走れるのだけでもいいのだろう。でも、ここから更に再加速をするくらいじゃないと駄目だ。この相手を、このレベルを相手するにはこれをしてようやく相手になるのだから。
それを教えてくれた人がいる。その相手を倒す人らがいる。そこに届き、先に行くには越えていくのだ。
『最後の直線にあっという間に入り伸び続ける末脚! 自分の勝利以外は許さない王者たちによるぶつかり合い! かつてのジャパンカップを思い起こさせるぶつかり合い! 残り400メートル! ビターグラッセのみ喰らい付くがチームファーストは軒並み沈没! もはや勝負はこの二人! シリウスの皇女と暴君にゆだねられた!』
「っらぁあ!!!!!」
「はぁあああ!!!」
もう一伸び! もう一押し! ケイジ先輩が届いたあの一押しを手にするために、あの舞台でこの力があれば、わかっていればつかめたはずのそれを見せつける! チームファーストごときに届かせるレベルじゃないと見せつける!
そして、先輩らに届いているんだと、あの時のジャパンカップの借りを返す意味でも負けられない!!
『残り200を切って100! 50! あと少し! わずかに、わずかにオルフェーヴルが伸びた! ゴォーーールッッ!! 一着は・・・・写真判定の結果5センチ! わずか5センチですがオルフェーヴルの勝利!!
暴君と皇女の戦いは見事オルフェーヴルのものに! チームシリウス4人の三冠ウマ娘の一人!! ジェンティルドンナと共に三着ビターグラッセに4バ身を着けての大勝利です!!』
はぁ・・・はー・・・ちっ・・・思った以上に引き離せない。喰らい付いてきたか・・・ケイジ先輩のようにはまだ行かないっすね。
でも、まず一つ借りは返せた。無事に・・・バトンも渡せたし、目標達成。
「負けましたか・・・オルフェーヴル。見事です。ふぅ・・・は・・・ー・・・今度は絶対に勝ちますよ」
「受けて立ちます。必ず・・・勝ちますからね」
「ええ。それでこそ。よ」
「つ・・・ぜは・・・な、なんで・・・そこまで・・・余裕なんですか・・・!!」
ん? ビターグラッセ。ですよねえ。負けて悔しそうにしているけど、それ以外でもなんすかねえ。
「なんでそこまで早くて、あんな走りして、余裕そうなんですか!!」
「なんでって・・・あんたら。挑戦者として挑んできたでしょう?」
「当然・・・!」
「それが敗因よ」
ジェンティル先輩の言う通り。それだけでは走る脚にこもる力は小さいもの。それでも素質や努力、仲間がいれば変われるだろうけど、まだ足りない。このメンバーでは足りない。
「それが・・・何でですか! 油断なく挑戦して何が敗因に!」
「私たちはそれだけじゃないのよ」
「アタシらはチャンピオンでチャレンジャー。アウェーでのレースも当たり前。その上でチームメイト同士でも全力でつぶし合う。それが常っす」
「今から掴もうとしているのにこの程度の、背負おうとしているものも自覚しないで戦っている時点で、もう貴女たちの負けなのよ」
国の誇りだの記録だの、ウマ娘のレースの歴史を塗り替える記録もしょい込んで戦っているのが常のアタシら。先輩方ですからね。それに勝つために「徹底管理」と「挑戦者」だけで、学園でそれをすることへの理解がないなんて。絶対に勝てない。
「アタシらが目標している皆さんはもっとやばいっすよ。それを分からないのなら、最後のステイヤー組はやばいっすね」
「その一人にしていると公言している私に勝ってよく言うわ・・・とりあえずお疲れ様。ビターグラッセさん。チームファーストの皆さん。最後の一戦。休みながら見守りましょう。では」
観客とファーストの皆さんに手を振って二人で控室に戻っていくことに。後は、怪物と、その愛弟子の一人に任せるっすよ。
無事に二人も勝利と。でも、予想以上に喰らい付いてくるなあリーダー格は。真面目にあの二人が息をそろえたレースでここまで距離をつめているとは。世界でもそこそこやれるほどに仕上げるとは。怖いねえ♪
やりがいのある相手が出てきてやる気も出るってもんだ。
「ふぅ・・・無事やり切ったっす」
「負けは悔しいけど、無事1、2フィニッシュを維持。頼んだわよ。ライス。ゴルシ、ケイジ?」
戻ってきた二人も汗を拭きながらにっこり微笑む二人にニッコリ笑顔。もちろんよ。ここを落としていたら日本総大将の名前が廃る。
二人と腰を上げてみんなとタッチをして移動。
「さーて・・・私が大逃げで行くわ。二人はいつも通り好きにしな」
「なら、のんびり追い込みで行かせてもらうぜ」
「ライスは・・・一緒に逃げようかな? ランキングを維持しないとだし」
問題ないと思うけど、ライスもアタシの大逃げをものにしているし、相手を揺さぶる意味ではそれがいいかねえ。
「そんじゃあ。それで行くとして、祭りの盛り上がりを担うんだ。ハジケていこうぜ?」
二人の背中を軽くたたいて鼓舞しながらパドックの裏側に移動。ファーストの皆はすでに出ている。ささ、まずは・・・
『さあ! 皆さまお待たせしました! いよいよシリウス、スピカの連合チーム! 3000メートルレースに挑むその一人がお披露目です!! ミホノブルボン、メジロマックイーンをはじめとして多くの強敵を倒した筋金入りのステイヤー!! 完走するだけでも名誉とされるグランドナショナルを優勝し、レコードまでもを更新して女王陛下から直々に騎士としての勲章と宝剣を授かりました!!
世界の長距離レース戦線でもヴィンテージクロップと互角に戦う姿はまさしく奇跡を可能にする青薔薇の花言葉のごとく! 我が国の英雄の一人、青薔薇の姫騎士ライスシャワァーーーッッ!!!!』
「え、えへへ・・・ライス。頑張るよ!」
おおう。ウルトラマンネクサスのOPもかけるとは。いいねえ。流石分かっている。そして・・・ふふ。よかったなあ。ライス。ヒーローとして認められて。この歓声全部がお前さんのファンだぞ。
『続きまして! その豪快なレース運びと美貌はまさしく誰もを魅了する美しさと強さ! ケイジに2回以上の敗北を受ける一方で阪神大賞典、宝塚記念を4連覇! メルボルンカップ、BCターフ、そして年齢制限を取り払ったイギリスダービーを制覇しライバルに負けじと4か国のGⅠレースを制覇する怪物!
いくつもの宝物と栄光を手にし、何より自身が一番の財貨である宝船! 黄金の不沈艦ゴールドシップぅうう!!!!』
「イェーイ!! ピスピース! もっと盛り上がっていこうぜー!!」
ゴルシは初代ウルトラマンか。わはははは! 色合いからしてそうだもんな! どっちかといえばノリはタロウだけど。一着のポーズで出てきてさらに会場を盛り上げている。
じゃあ・・・最後はアタシだ。行きましょうかねえ? かかる曲は今日は漢唄ではなくウィー〇ー! か。あら。ゴルシとアタシの曲逆でもよかったかな?
『最後にやってくるはシリウスのもう一人のリーダーにしてゴールドシップ永遠のライバル!! 無敗の四冠! 欧州二冠三連覇をはじめとして数々のワールドレコードを所持!! 海外のウマ娘には一切の負けを許さず、2回以上の敗北はチームシリウス、スピカ内ではゴールドシップのみ!! エキシビジョンマッチのレースにおいては10戦を越えて今も無敗を貫く我が国の至宝!!
破天荒かつ奔放さはレースにパフォーマンス、ライブを問わず、その立ち振る舞いは行く先々でだれもを魅了した最強のウマ娘が帰ってきた!! ターフの傾奇者!! ケェェーイジィイイ!!!!』
おおう。アタシが来ただけでこれかあ。にひひ。30万越えの観客の歓声はすごいねえ♪
「・・・・・・・・」
少しあたりを見回して、にっこり笑っての拳を天に掲げる。
「いよっしゃあああ!!!!!」
会場もこれに応えて大歓声のるつぼ。びりびりと空気が震えて熱気も揺れるような気さえするほどだ。
いいねいいねえ。やっぱ祭りはこうでなくちゃいけねえ。いやーほんと理子ちゃんさまさまだね。アメリカでもこうも派手な対立を用いたショウはサンデーとゴアくらいじゃないとないほどだ。
「もうチームの負けは決まっている。だけど・・・ここだけは絶対に譲らないわ!」
「そいつは無理だ。アタシが一着をもらうからね」
「おいおいケイジぃ~ゴルシちゃんが勝つに決まっているだろ? ダメダメ。先の事を言うと鬼が笑うぞ?」
「そ、それはゴルシさんもじゃ・・・? ライスも、頑張るからね!!」
「なんだとぉ!? この前の凱旋門賞でもアタシに負けたのに何言ってやがる白饅頭!」
『ああっとゴールドシップとケイジ早速何処からかハリセンを出してのシバきあいです!! チームファーストのメンバーもこれには啞然! 毎度毎度ながらパドックでも大人しくしないこのメンバー! それでいて毎度レースでも無尽蔵のスタミナを見せるのですから不思議なものです!』
こんなじゃれ合いでへばる体力もって世界中を飛び回れるかい! 回復力も鍛えているから問題ないわい!
「レースでケリをつけてやるからな! アタシが勝ったらアタシのホテルで奢ってやるから、ゴルシが勝てばゴルシの所有している飯屋で奢れよな!」
「おうよ! 派手に騒がせるためにも絶対ファーストぶっ潰すぞケイジ、ライス!!」
「おお!!」
「うん!!」
よっし。口に飯を詰め込んで騒ぐためにも、勝利のためにももっとやる気も身体に入った。問題ねえ! さあ、思いきりエンジンかけていくぞ。
『さあ、いよいよ最後のレースを彩る6人がゲートに入ります。全く真逆なレース運びで世界レベルの戦いをするシリウス連合チームにどうチームファーストステイヤーメンバーは立ちはだかるのでしょうか』
情報だと、基本ぶっ飛んだレース運びはしないというか走り方が今のアタシらの布陣に近いんだよなチームファーストのステイヤー組。
だからやるのは真っ向から上回るのと、最初にやるべき仕事はアタシがしないといけないと。さーて・・・久しぶりの日本の芝。どれほどに軽いか楽しみだ♬
『・・・・・・・・スタートしました!! まずは最初に前に出るのはケイジ! 今日は大逃げで行くよう・・・おおっと! 最初からこのギアで行くのか!? かなりの速度で飛ばしております! そこにわずかに下がってついていくのはライスシャワー! 続きましてクレセントエースが続きますが後ろに大きく離される!
その後ろにリトルココン。ミニベロニカが続き、更にその後ろに離れてゴールドシップ。6人のレースとは言えどもとんでもなく伸びたバ群を形成してのスタートとなりました!』
ほいほい。まずは逃げを潰すことは成功。後は気持ちに合わせてギアを上げていければいいかな。チームの動きとしては逃げを捨て石にして、エースのリトルココンが突き上げて、最後にはミニベロニカと二人でのスパート。最後にクレセントエースもスタミナがあれば優位性を保ったまま行くという感じなんだろうね。
ただ、うちのメンバーは全員がこの距離はお手ものなんだ。王道の手段、そこに一手加える程度じゃ勝てねえよ?
『さあ、最初のコーナーを曲がってケイジさらに加速! ライスシャワーも小柄さを活かして内ラチギリギリを活かしてのコーナー加速! クレセントエース膨らんでしまったか減速! 逃げの名手が多くいるシリウス、スピカは何方も互いに練習も多く共にする。あのサイレンススズカとも経験を積んでいるのが活きているのでしょうか。よどみないレース運びです。
むしろ早すぎて心配になるレベルですがこれが日常。言っていて私も訳が分からないと思いますがそうなんです!! 規格外。常識外れのレースこそが彼女たちの武器!!』
ははははは!! そうそう。そうじゃないといけねえ!! 常識外れの強さ! あるいは王道を極め尽くしてむしろ異常。それこそがチャンピオンよ!! アスリート、上に立つやつらはそうじゃないとね!
さて・・・そろそろか?
『1000メートルを通過。タイムは55秒7!! 速い! あまりにも早い! この破滅的ペースは初めて見ます! ああっとケイジ、ライスシャワーさらに加速! ひたすらに喰らい付いていくクレセントエースを更に引き離していく! クレセントエースも喰らい付くが息がすでに荒いか!? リトルココンもペースを上げていくが表情が厳しい!!
一方ゴールドシップはミニベロニカを追い上げていく! 黄金の不沈艦抜錨! エンジンをかけていく。標的は傾奇者と姫騎士! 自らの宝の一つに加えるか、乗せるために速度を上げていく!』
「さあ・・・かっ飛ばす!」
「ライスも負けないよ!!」
「くぅ・・・追いつけ・・・ない・・・!?」
いやーさすが日本の芝。かっ飛ばしても軽い分サクサク走れるな! ほんと欧州で高速レースするよりやりやすいわ。
1000メートル走ってもこれだ。ここから記録狙いでさらに飛ばすぜ♪ ライスもゴルシも、チームファーストの皆もぶっちぎる! 一着は譲らないからな。勝負だ!
飛ばして飛ばして! とことんスピードと距離を走り切れるスタミナ勝負! 長距離レースでは肉体のみならず脳の疲労も問われるだ!? 知らないねえ! 持久力だけじゃない! クラシックディスタンスのペース以上でのぶっちぎりレース! スピード勝負と行こうぜ!
『ケイジ、ライスシャワーのスパートは止まらない! ハイラップ、ハイペースのレースなのに加速をし続ける! スタミナとスピードで磨り潰す、瞬発力、最後の末脚を使いたければこのペースについてきたうえでやってみろというド級のスタミナハイペースレース!
さあ、そこについていける一人ゴールドシップが猛追してきたぞ! グイグイ差を詰め始めてリトルココンも追い抜いてクレセントエースの後ろ! もう距離がない! 真横についていく! クレセントエースも抜いてあっという間にシリウス、スピカチームでの先頭争いのまま最後のコーナーに入っていくぞ!』
「追いついたぜぇケイジ! ライス! 勝負しようや!!」
「上等!! 潰れんじゃねえぞお前ら!!」
「負けないよ!! ライスだって・・・!!」
いいぜいいぜ! ゴルシとのレースは、ライスとのレースはこうじゃないと! 最高だ!!
『最後の直線に入ってさらに加速! どこまでも天井知らずのスピード勝負! これが長距離レースとは思えないハイペース! 怪物ステイヤー! 世界最強格の怪物同士のぶつかり合いとなりました! グイグイ伸びる! 伸びて伸びていきまくる!!
もう止まらない! 最後の直線はもはや弾丸のごとし! さあ、のこり300・・・・・・・200・・・!』
「ぐぅうぉおおおお!!!!」
「ああ・・・・・ああああああぁああ!!!」
「ふんぬぉおおおおおお!!」
「相手に・・・相手にすらされていないの・・・・・!!?」
この野郎!! ほんっとに速度が落ちないなこいつら!! ライスは体が軽いし背も低い分風の抵抗もなく加速がしやすいし、ゴルシはあのパワーに技術が天性ものだからな! ほんと・・・爆風を感じながら走っているのに焼けつくようなプレッシャーが素敵すぎる!!
最高の、最愛のライバルだ!!
『残り100を切った! 突き切ってのゴォオォオーーーーッル!!! 一着はケイジ! 二着はゴールドシップ! 三着はライスシャワー!! そして四着はリトルココン!
タイムは・・・何と2分56秒3!! 非公式のレースとはいえ、1~3着までまさかのワールドレコードの更新!! 最強ステイヤートリオの名に恥じない、これぞチームシリウス最強ステイヤーとそのライバルです!!』
「いよっしゃああー!!!! どんなもんじゃーい!! これがアタシ達シリウス! ゴールドシップの強さだー!!」
「よっし! ライスを胴上げだ! ケイジ!」
「おうよ。わーっしょい!!」
「わーっしょい!!」
「きゃぁああああぁああああ!!?」
『ああっと! ケイジとゴールドシップ。一緒にライスシャワーを胴上げしておりますが、あまりの高さに数メートルも空に舞うことになっております! まるで絵本のワンシーンのよう! もしくはトランポリンの競技でもしているのでしょうか!?』
・・・・・・紫か。いいチョイスだ。
よっし。思いきりぶん投げて。
「ライス! 空に飛んで来い!」
「え? あ、ちょ・・・きゃぁあああああああ!!!!?」
「ゴルシ! お前もだ! 来いや!!」
「おっしゃー!! おおおおっおお!!」
ライスを思いきり空にぶん投げて、そしてゴルシが飛べるように手を踏み台にしてからゴルシの脚が乗った瞬間に上にぶん投げる。
「ライス号とゴルシ号ドッキング完了!」
「そんじゃアタシも・・・・トゥッ!」
ゴルシがライスを空中で肩車したのでアタシもジャンプしてゴルシを肩車で受け止めつつ着地。
はーい連合チームステイヤー組のトーテムポールでございまーす☆
「ライス。アタシやゴルシと一緒にピスピスしような?」
「た、高いよケイジお姉さま!?」
「ダイダイジョーブだって。ケイジやアタシのパワーを信じな」
「そういうこと。それじゃ」
「「「イェーイ!! ピスピース!!」」」
大歓声を浴びながらの勝利。心地よいほてりが気持ちいいねえ。あははーやっぱレース最高♡
「相変わらずだねーケイジ、ゴルシっち。ライスっち」
「いいではないですかナギコお姉さま。ライス先輩も明るい笑顔が増えましたし」
まね♪ 何はともあれ、これでシリウス、スピカ連合チームはチームファーストに全部勝利。出たメンバーは全員が1~2。若しくは3着を手にしての完全勝利をしたから文句のつけようもないでしょ。樫本っちが飲んだ勝負だし。
ただ・・・周りの目を見ると。多分ケイジの思惑も成功していそうなんだよねえ。
「樫本トレーナー・・・申し訳・・・ありません・・・!」
「勝利を、一矢報いることすらできませんでした・・・!」
あら・・・チームファーストの方はお通夜で泣き始める子も・・・まあ、そりゃあそうよね。こんな大きな賭け、信頼を寄せてくれたのに叩きつぶされたんだもの。
叩きつぶしたのはうち等だし、それをしないとうち等がああなるから後悔はないけどね。
「マイティーチャー!! oh!! マイティーチャー!! ソーリー!!」
「ガッデム! マイティーチャー!! ソーリー!!」
「!!!?」
「どさくさに紛れて変なバイリンガルが2匹まぎれているわ!!」
いつの間に紛れていたのケイジにゴルシっち!? しかも鼻眼鏡つけているし!
「ひでぇよ・・・改革を起こすために頑張ったのにこんなノッテ・・・」
「そうよそうよ! もう一度挑むべきだわ!」
「あんたらが完膚なきまでにとどめを刺したのに何を言っているのよ!! 何様!?」
「「おわー!!?」」
あ、ジェンティルっちがハリセンでしばいて連行してくれた。助かる~♪ 相変わらずレースが終わればこうなるから読めないね。にゃはは。
「今回の一件は・・・もう、私たちの完敗です・・・この件は私の責任で・・・」
「何言っていやがる。その責任は今後も取るんだよ。逃げるなよ樫本ちゃん。あんたの回りにいる教え子たちのためにもな」
「そうそう。実際、ウチ等にこれくらい迫れるのは世界でトップランカーたちなんだよ? 負けたからはい辞職はなしなし」
それに、一気にこの人数を管理して、鍛え上げる手腕は間違いなく世界に知れ渡ったし、URAがこの一件で樫本っちを追い出したらそれこそこの敏腕トレーナーとチームメンバーを特権付きで抱え込もうと海外のメンバーは動くだろうしね。短期間でここまで渡り合える仕上がりをするのは尋常じゃない。
ケイジもそれを分からせるために、国内で樫本っちの暴走に怒ったメンバーを黙らせるためにあえて世界に放送してまでの大騒ぎにしただろうからね。関連事業の宣伝や利益も数十億単位でたたき出して土産も持参して。
「大甘の中の大甘・・・! 愚の愚!!!」
「だから貴女はどっちの味方なのよ!」
「・・・情けをかけるというのですか・・・」
「さっさとライブの準備をしな。私達の気が変わらんうちに」
「ジャスタっちがそれを言うの!?」
もうほんとこの三名はそろうとドタバタだにゃ―。あはは。もういいや。このまま愉快に騒ぎつつライブとしゃれこみましょ。
あ、その前にアイシングついでにケイジとゴルシっち達をアイスバケツの中にツッコまないと。
「はぁ・・・どうなっているというの・・・・・・・?」
あのシリウス、というかケイジとゴールドシップによる大暴走に巻き込まれ、いつも通りあの破天荒すぎるライブに巻き込まれてからURA、日本の大企業の面々から処分はなく、怒られるどころかむしろ褒められてしまい、これからもチームファーストの教育を頼むと言われる始末。
チームファーストのメンバーは疲労抜きのためにすぐに休ませ、数日後に慰労会を開くということと、今後もチームファーストは存続することを伝えてホテルのバーで酒を煽りつつ不可解な出来事に首をかしげる。
「なあっははははは!! あーこの飯うんまい! おかわり―!!」
「そらそらもっと飲みなよトレーナー陣も酔いつぶれてしまえ! タクシーは手配するからよ!!」
「うーん。やはりここのホテルのシェフは腕がいいですね。ディープお姉さまが通うのも納得です」
「ふふ。本当に、お手製フルーツジュースも最高で♡」
「あ、シゲルスミオちゃんの写真にサイン? おおーあそこには・・・うん。ご飯が進む!」
「わははっはあ! これはおいしい! 酒が進む! 平野さん。利褌さんも一杯!」
「真由美さん。このカクテル果物に合うよ?」
「あ、ありがとう・・・♡」
「はむ・・・んー♡ ライス。このご飯大好きかも」
トレーナーとしての手当ても多く、世界各地のトレーナーたちからもぜひエキシビジョンと合宿をという依頼が増える程。完全に負けたというのに・・・・
「ぶほぉおお!!? げっほげほ!?」
「あっはははははははは!!! 平野!! いくらなんでも同じ酒だけどこーれーぐーすとバーボン間違えちゃだめでしょ! なははっは!! げっほげほ! むせた!!」
「ナギコお姉さま笑いすぎですって。あ、的矢さん。こちらのワサビと大葉、サーモンに挟むと美味しいですよ?」
「うん。ありがとうヒメちゃん。うんうん・・・・・染みるなあ。これは大吟醸を開けるほかないかな。ヒメちゃんも、今度勝利祝いに何かあれば言ってね?」
「オルフェ先輩。この和風ソースと、洋風ソース。半分分け合ってステーキ食べません?」
「いいよライトニング。あ、このコンソメスープがすごくお肉に合うらしいんだよ。それと、バケットも一緒に」
「塩に調味料で色とりどり―♪ 食の芸術ご覧あれっ♪」
「おおぉー・・・ノンアルカクテルが色とりどりの色に・・・ソースでの絵も見事です。ホッコーさん。メイドカフェでバイトしていました?」
「していないよ~? 砂絵の練習で覚えたの」
「ケイジちゃん特製バーガー! 大きさ30センチ! これをプレスして・・・・あぐぅう・・・・・か、かた・・・ムン!」
「うーん・・・うまい! いいねえ! これにはひげ熊おじさんもにっこり」
「ひげ熊さん。人の顎しているの・・・?」
「ライス。ここのメンバーは割と人間と思わないほうがいいわよ。タフさの面でも」
・・・・・・・・うるさい・・・思考をまとめきれない。
「そこの貴方たち! 静かにし・・・・」
「おん? あーら理子ちゃんじゃなーい。一人? 一緒に遊ばなーい?」
振り向けばシリウスのメンバーがみんなで豪快に食事をとっていた。盛大に場所を貸し切っての大騒ぎ。気が付かなかったが・・・どうにも私以外にはシリウスメンバーしかいないようだ。
「な、なんで貴方たちがここに・・・?」
「いや、この前田ホテルの支店アタシのものだし。それに」
「前会長の私がいるんだけど、おかしなものかい? 理子ちゃん」
ケイジとヒサトモさんが私を挟むようにカウンターに座り込み、ついでにとミルクを二人して注文してくる。
「お前さんらそのまま飯食ってな。ちょいと私とケイジは理子ちゃんと話をしてすぐ戻る」
若い姿のままのヒサトモさんが他のシリウスメンバーに指示をしてから手を振り、一緒に出てきたチョコをかじる。
「・・・若い姿のままなんですね・・・」
「アグネスタキオンに戻してもらおうにも細胞を若く復活したのを強制的に老化させるのは危険すぎると言われてねえ。そのまま第二の人生を歩むことになったよ。だから今後は人前ではマエダノキズナと呼びな」
「期待の超ベテラン新入生だ。速攻でシリウスにぶち込んでやるぜ♪」
「何をしたのですか。二人とも。今回の私の一件を何で誰も不問どころか褒めて・・・・?」
ちょうどいいということでそのまま話を聞くことにした。チームファーストの今回の一件。生徒たちはまだしも、私に至ってはスピカやシリウスの方針を否定した。世界最強のチームの母校のトップの暴走ともいえる行動だ。
思い返せばとんでもないことをしたとわかるが、それを誰も咎めないのが不思議でならない。
「・・・まだ30も行くかどうかな小娘のやんちゃの一つくらい流せなきゃあいけないと叱っただけさね。それに、やよいちゃん、たづなちゃんも理子ちゃんの暴走を読んだうえであえて異動してこの人事をしたんだよ」
「!!?」
「他にも経営手腕に秀でた人材はいるけど、あえてこうしてURAから学園に引き込んで、理子ちゃんの過去のうっ憤を吐き出させて再度やり直してほしかったみたいだねえ。まったく。大したもんだぜあの姉ちゃん」
「それに、今回の理子ちゃんの暴走をケイジがアメリカンショーマッチと宣伝して、利益も百億単位で動かして企業、URAの重役、株主たちを黙らせたこと。これで日本のウイニングライブの新しい顔ということでより幅を広げられたし、何より、今回のファーストの面々の奮闘が高く評価されているのさ」
そういって端末を操作して見せてくるのは今回のチーム戦の公式動画。その映像のコメントの海外からのものを見ると「まだこの短い仕上げでこの差で済ませるのか!?」「負けてはいるけど、短期間で世界でも戦えるレベルとはすさまじい」「負けはしたが弱くはない。むしろこれは今後が怖い」「レースブレイカー多数のシリウス相手にこれは拍手もの」という声が世界各国から寄せられている。
しかも国内からもこの声が多い。
「この人材を日本のウマ娘のレース、URA業界から追い出して海外に渡す不利益は将来的にリギル、スピカ、シリウスのどれかを手放すのに近いものだと説教したのさ。結果は今回だけで百億単位の臨時収入が入ったし、やり直しのチャンスをくれてやれとな」
「それに。ルナ・・・じゃねえ。ルドルフ姉からも聞いたが、チームファーストの方針を好む、徹底管理で鍛えたい、そのほうが安心できるという声もあるのが事実。だから理子ちゃんは学園でそういう子たちを鍛えて、支えて、これからも多くのウマ娘を支えてほしいと思ってなあ。
いろんな顔が、やり方があるからこそ日本、世界からやってくるウマ娘たちを輝かせる可能性が増すんだ。その一つを世界に示した理子ちゃん。あんたは間違いなく時の人で、日本の宝だぜ? ほれ。理事長からの人事の事前通達のボイスメッセージだ。聞きな」
もう一つと端末をケイジが持ち出し、録画映像のデータを開くと、そこに映るのは秋川やよい理事長が。
『慰労ッ!! 樫本理子理事長代理。まずは今回の一件。学園としても不問としたいがそうはいかない。しかし理事長代理の才能と想いは無下にするのも大変惜しい。ゆえに! 降格!! 私がアメリカから戻ってきたら学園内でチームファーストの専属トレーナーとなり、そして現在トレーナー不足を解消するための人材発掘の業務を行ってもらう。
これからもウマ娘たちの未来を、夢を支えていこうではないか。それでは失敬!!』
映像は途切れ、端末をケイジが片付けるころには私の目には涙があふれていた。
どこまで優しいのだ・・・こんな浅慮な暴走をしても許し、未来を向けてくれた・・・あの子たちともう一度やり直していいと言ってくれているのだ。
優しすぎる。本当に、どこまでもこの人達は大きすぎる・・・
「ビリーのおっちゃんに、ヴァンのおっちゃん。他にも女王陛下から是非育成理論や食事の事とかを色々聞きたいと招待の手紙も多く来るみたいだからよ。数日後は頑張れよー? 理子ちゃん。新しい門出の祝いだ。今日はアタシのおごりと、今度ファーストの皆もここで飯を食いな。タダにしておくからよ」
「ま、そういうことだね。まだまだ若いんだ。抱え込みすぎなさんな。私もまたトレセン学園に通うし、相談はしなよ。私らはあそこで飯食っているから、混ざりたければ来な。理子ちゃん」
そういってひらひら手を振って騒ぎの中に戻っていく二人。歴戦の女傑にそのひ孫。身長差があまりに違いすぎるが、確かに大きく、頼もしい背中にいつの間にか私は席を立って頭を下げていた。
直後に爆発音が聞こえたが・・・何もなく食事が出来たので忘れることにはする。
理子ちゃんこれから功績と働いてこの騒ぎの責任を取ります。
ちなみにこの後のアオハル杯ではケイジ達はエキシビジョンや休憩中の一芸の披露に回ることに。チームファーストはリギルに負けて2位だけどMVPやコースレコードを何名かが出すなどして実績を確かに残して好発進です。
リトルココンはケイジに苦手意識を抱くけど恩人なので悶絶。ビターグラッセはケイジから蕎麦や料理、弁当の勉強を教えてもらっています。
~おまけ~
山本「この惑星の住人はスピードに捕らわれている」
(配達員の衣装で階段を上がっている)
山本「荷物お届けに来ましたー・・・はい。サインはこちらです。ありがとうございます」
(階段を降りる)
警察官A「うーん。貼るほかないか」
警察官B「ですね」
(駐禁シールを貼る)
山本「・・・・・・・・・この惑星の駐禁は、厳しい」
缶コーヒーBIGBOOS 微糖 新発売
監督「はいカット―! お疲れ様です皆さん。いやー山本さんもいいねえ。NGなしでここまですぐやれる俳優はそうはいないよ。お疲れ様」
山本「ケイジお嬢さんの期待にも応えないとですので。勇往邁進。私の好きな言葉です」
監督「流石ですねえ~ああ、それでなんですが、近いうちにコーヒーのシールを集めて送ると特性の革ジャン、ジャンパーをプレゼントする企画がありましてね?
そこで山本さんと、ケイジさんらシリウスチームとリギルチームとのコラボCM、写真撮影をするので、次回は少し長い撮影になりそうです」
山本「それはそれは。私も身だしなみをいつも以上に気を付けなければ。豪華絢爛。華やぐ映像をお届けできるように頑張らないとですね」
監督「いやーみんな美人ですからねえ。しかもケイジさんは差し入れも美味しいので、期待していますよ」
山本「確かに。あの弁当は美味というほかありませんでした(かれこれあの道具を渡してから2週間。一体どれほど進んでいるのか)」
~(株)ツヨシ工業 地下室~
丹波「・・・と、いうわけで、こちらの世界ではこのようになっているんだが・・・凄いなこのベータ―システムは。少なくとも装備した対象者の強化も成されている」
ケイジ「だなあ。ただ、あのメフィラス星人ですらこのサイズがせいぜい。光の国の科学力。そして種族としての強さもあるからこそあのメフィラスの世界では光の国の発言力に直結しているわけだ」
ゴルシ「だなあー・・・くはぁー・・・どうにか完成。ベータ―システムの完全復元版・・・テストも100回海底で行ったんだ。問題ないだろ」
ジャスタ「まさか二人に、丹波さんまでこんな騒ぎに巻き込まれていたとか・・・いや、巻き込みに行ったのかな・・・? おかげで光学系に関しては真面目に軍の衛星も騙せるしジャミングシステムまで出来るカモフラージュ光学技術覚えちゃったわよ」
ケイジ「なはは! 間違いなくこの星の科学技術を何段階かすっ飛ばした内容が頭の中に入っちまったな!」
ケイジ「おかげでやりたいこともできたんだよなー! さて」
ケイジ・ゴルシ「「これからベーターカプセルの作成に取り掛かるぞ!」」
ジャスタ「ええ!? いやいや、既にこれを作成した時点でとんでもないのに、さらに!?」
丹波「似ているようで、空間に関する理解や技術はこちらの方の宇宙が深い。この技術にこの時代の人類、ウマ娘が到達しているだけでも偉業というのに、更にかい?」
ケイジ「ああ。これを使えばメフィラスの考えていることも楽になるかもだし、予備も作れるからな。後、丹波さんの巨大化や、あっちの世界に戻った時に地球防衛組織と一緒に戦う際にこのシステムを組み込めばより強くできる」
ゴルシ「二人で作成中に思い付いたシステムがあるからそれも同時並行で作成するぜ。丹波ちゃん。素材の融通や、いろいろ頼むぜ?」
丹波「むぅ・・・それなら・・・幸い素材に関しては私の宇宙では普通に手に入るものだからね。分かった。推しに頼まれて断るのはドルオタの名折れ!」
ジャスタ「はー・・・よし。とことんやりましょう! それな私ももう最後まで付き合うわよ」
ケイジ「いよっし。やっていくか。あの宇宙人の度肝抜かしてやるぜ!」
ゴルシ「ついでにライブの演出にも使えそうなのあったし。とことん笑かしてやるぜー?」
~続け~