ビースタ王国の崩壊
「大使!急いで下さい!革命軍がすぐそこまで来てます!」
地球連邦の全権大使であるフリアン・プジョールが必死に地球連邦大使館の芝生を走っていた。彼の周りには彼を保護する為に派遣された連邦軍特殊部隊が展開し、脱出を掩護していた。
「こんな事になるならもっと運動しておくべきだった!」
「ええ!あと10mです!全力で走って下さい!」
そう言い終える前に特殊部隊の隊員が振り向きながらM99レーザーサブマシンガンを追っ手に向けて連射した。
「うおっー!」
大使がコスモシーガルの後部兵員室に飛び込んだ。それに続いて次々と特殊部隊員が飛び乗ってくる。
「離陸して下さい!」
隊長がコックピットにいるパイロットに叫んだ。パイロットは直ぐにエンジン出力を全開にした。機体がふわっと浮き上がり、排気熱が芝生に引火し、追っ手の革命軍部隊を阻んだ。
漆黒に塗装された特殊作戦仕様のコスモシーガルが大使館を離れた。半開きの後部ハッチから特殊部隊員がサブマシンガンをダブルタップで発砲している。
突然機内に接近警報が鳴りだした。大使はシートベルトをしっかりと確認し、ぎゅっと強く握り、歯を食いしばった。
「敵戦闘機部隊が接近中です。一気に大気圏まで急上昇します!掴まって下さい!」
パイロットはそう言うと、操縦桿を力一杯握りしめ、エンジンをフルスロットルにし、機首をほぼ真上に上げた。
強力なGと恐怖が体を襲うがただ耐えるしか方法は無い。ミサイルアラートも鳴りだしたがパイロットとコパイロット以外は耐えるのに必死で気づいていなかった。
「チャフフレア放出!」
コスモシーガル後部に装備されたディスペンサーからチャフとフレアが勢いよく射出された。ミサイル達はチャフやフレアに引っかかり、ほぼ全てが炸裂したが、2発が生き残り、シーガルに突っ込んでくる。
「あと何分でセーフティゾーンに入る!?」
「あと10秒です!それだけ耐えればもう安全です!」
パイロットは軽く首を振るとまた操縦に専念した。その10秒が永遠のように感じられたが、天は彼らを見放さなかったようで、CT-02AコスモタイガーⅡがやって来た。コスモタイガーⅡが空対空ミサイルを発射し、シーガルを追っていたミサイルを撃墜した。
「感謝するライダー7!」
兵員室は地獄の有り様を見せていたが、全員無事だった。大使が窓の方に目をやるとそこには兵員室以上の地獄が広がっていた。
「まるで……コルサントの戦いだな」
特殊部隊員がそう漏らした。宇宙空間に地球、ボラー革命軍の無数の艦船が犇めき合い、殺し合っていた。乱戦状態に陥っており、ドレッドノート級の残骸や革命軍のセイザーA型戦艦の残骸がそこら中に漂っていた。
「もうすぐ着艦します!注意してください!」
コスモシーガルの着陸脚が展開し、ボーグ級空母ヒュウガの飛行甲板が見えて来た。トラクタービームで徐々に減速されていくのが体感出来る。
「目を塞いで!」
大使の目が特殊部隊員のグローブによって遮られた。グローブの隙間から強力な青い閃光な見えた。ヒュウガがショックカノンを発砲したようだった。聞けばショックカノンの光は強力で、ゴーグル越しか特殊ガラス越しでないと失明の恐れがあるらしい。
「大使、これを付けて下さい。10数秒だけですから」
「あぁ」
大使は渡されたゴーグルを付け、シーガルの兵員室で待機した。またヒュウガがショックカノンを撃ったが、今回はエレベーターに遮られて要らなかった。
「エンジン停止しました。降機して下さい」
シーガルの後部ハッチが開いた。そこはヒュウガの戦闘機格納庫だったが、整備中のコスモタイガーや同じように避難してきた地球人しか居らずがらんとしていた。
「大使、こちらへどうぞ」
大使は言われるがまま特殊部隊員に着いて行き、ヒュウガの奥深くに消えた。
「ガハハ!落ちやがれ!」
革命軍の戦闘機にパルスレーザーを浴びせる。あっという間に蜂の巣になり、爆散する。
「これサイコーだぜ!待ってろライダー3!今行ってやるぜぇ!」
このCT-02AコスモタイガーⅡを駆っていたのはライダー7ことジャイロ・ムスタファ中尉だ。彼はガトランティス戦役を開戦から終戦まで戦い抜いたエースパイロットである。既に彼の機体はミサイルを撃ち尽くしており、実体弾の12.7mm機関銃とパルスレーザーのみで革命軍の戦闘機相手に無双していた。
彼は革命軍戦闘機の後ろに付くと、コンマ数秒でレティクルを敵の推進器に合わせて12.7mm機関銃の引き金を一瞬引いた。毎秒35発の徹甲弾が回避機動を取ろうとしていた戦闘機の推進器に飛んでいく。100発以上の機関銃弾が推進器に命中し、内部のエンジンやタービンをズタズタにする。あっという間にタービンから出火し、機体全体が業火に包まれ、重力に引かれて落ちていく。
「た、助かった!感謝するライダー7!」
「おう!気を付けろよ!」
レーダーにはまだまだ大量の敵戦闘機と敵艦船が映っている。革命軍は物量と地上から発射されるマス=ドライバー砲に物を言わせ、前線を破ろうとしていた。マス=ドライバー砲はかなり強力で巡洋艦レベルの波動防壁を一撃で貫通し、中破レベルのダメージを与える事が出来る。しかし、遠方から放たれるので、戦闘AIの指示通りに回避すれば、避ける事は可能だった。
「シャイローが被弾しました。危険度7、直ちに回避して下さい」
ライダー7のコスモタイガーⅡのナビゲーションコンピュータが告げた。ライダー7は操縦桿を力一杯倒して被弾したスラヴァ級パトロール艦から全速力で離れた。脱出ポッドが幾つか射出された後、大爆発を起こして撃沈した。
「ライダー7よりヒュウガCIC!シャイローの脱出ポッド4機を確認した!直ちに回収願う!」
「こちらヒュウガCIC。了解した。直ちに回収艦を向かわせる」
ライダー7は通信を終えると脱出ポッドの回収艦がやってきた。トラクタービームで脱出ポッドをロックオンすると下部ハッチから収容した。
「こちら旗艦アマテラス2。作戦参加中の各部隊に告ぐ。作戦目標は達成された。全機着艦せよ。繰り返す全機着艦せよ。母艦が撃沈された機はアンタレスに着艦せよ」
「こちらライダーリーダー。全機聞いたな?ヒュウガは無事だ。ライダー隊各機はヒュウガに着艦せよ」
ライダー7は僚機のライダー6とエレメントを組み、ヒュウガに向けて飛んでいった。ヒュウガはショックカノンや対艦グレネードを連射し、ライダー隊の着艦を必死に援護していた。
「こちらアマテラス2CIC、着艦待機中の各機に通達。これより戦艦部隊がマス=ドライバー施設に艦砲射撃を実施する!注意せよ!」
10隻以上の戦艦が同時に主砲を動かす様は圧巻だった。
「こりゃいい画が撮れそうだぜ」
ライダー7は偵察ポッドを起動し、機首を少し上げ、ピントを中央のドレッドノート級に合わせた。
合わせ終わるのとほぼ同時に艦砲射撃が始まった。凄まじい爆炎と業火が砲口から発生し、艦隊を包み込む。凄まじいの一言だった。それが何度も繰り返される。
発射された砲弾は重力に引かれて落ちていく。砲弾がマス=ドライバー施設の地域に着弾した。まず曳火射撃で施設がズタボロになり、人員や非装甲物が粉々に粉砕される。その近くにあったレーダー施設や官民共用の宇宙港も対象となり、同じく破壊された。動く物がほぼ居なくなると次は焼夷榴弾が降り注いだ。砲弾に熱が回り、誘爆し、宇宙港では革命軍の宇宙戦艦や脱出ビジネスで一儲けしようとしていた民間船を熱と爆炎で屑鉄に戻した。
「射撃終了。全機着艦作業を再開せよ」
その後ライダー7は激しい対空砲火を潜り抜けてきた敵の戦闘機を撃墜した後、着艦した。それに続いてライダー11まで着艦に成功したが、ライダー12は着艦時を狙われて撃墜され、戦死した。
その後艦隊はワープで一路地球へと帰っていった。
ラジェンドラ級宇宙戦艦
全長471.5m
全幅43.6m
全高53m
武装
38.5cm3連装熱線砲3基
24cm2連装衝撃砲1基
35mm2連装対空機関砲16基
VLS16セル
艦載機
ダー級シャトル1機