ボラー革命   作:ガミ2199

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首都防衛戦

ビースタ絶対防衛線

「革命軍艦隊出現!距離16000!射程圏外です!」

 モニターに革命軍艦隊の映像が映し出される。首都惑星であるビースタの防衛の為に800隻の艦隊とブラックホール砲を装備した宇宙要塞1基がビースタ沖に展開していた。しかし革命軍艦隊はそれを上回る規模で艦隊を投入してきた。革命軍艦隊は2年前に滅び去ったガトランティスの残存艦艇と革命軍に寝返ったビースタ王国製の艦艇で構成されており、中央には真紅に塗装されたアポカリプス級航宙母艦が鎮座していた。

 

 ビースタ防衛艦隊の旗艦であるラジェンドラ級宇宙戦艦ヴェクトリアリスの艦橋である男がレーダー画面とモニターを見ながら考え事をしていた。艦隊司令のケーニ・スカリー中将である。

 「また面倒なモノを……。ガトランティスの遺物は厄介だ。イーターは確認できるか?」

「イーターに該当する反応は有りませんが、大型砲を充填中の様です」

「不味いな。ブラックホール砲を準備させろ」

 球形の宇宙要塞から突き出た一門の大砲がブラックホール弾を発射した。ブラックホール弾は亜光速で飛翔した後、迎撃される前に指定した座標で炸裂した。炸裂と同時に真っ黒の巨体な球が出現した。あれがブラックホールである。

「これで大型砲は撃てまい。さあどうする?進めばブラックホールに引き摺り込まれ戦闘どころでは無くなるぞ。引くしかないだろう!ガッハハハ!」

 案の定敵の陣形が崩れ、数隻のカラクルム級がブラックホールに引かれていく。

「新たな重力震探知!これは…火焔直撃砲です!出現座標……宇宙要塞の前方です!」

「何いっ!なっ……?!」

 宇宙要塞の前方にワープホールが現れ、そこから火焔直撃砲の強力なエネルギー弾が姿を現した。宇宙要塞にエネルギー弾が襲いかかる。分厚い装甲板が融解し、15,000人の乗員と共に宇宙要塞が一瞬で消し飛ぶ。それでもエネルギー弾は止まらず、後方に展開していた艦隊を屠った後、ビースタの北極に着弾した。

「や、奴らこんなモノまで実戦配備していたというのか!……発射位置の特定を急げ!」

不味い…

 虎の子である宇宙要塞が一撃で撃破されたのは艦隊に大きな衝撃を与えた。動揺が広まり、士気が下がる。

「発射位置特定しました!距離15万、2時の方向です!」

「なっ?!そんな離れた所からか?!第三駆逐隊は戦列を離れ、火焔直撃砲を黙らせろ!」

 艦隊の比較的後方に展開していた駆逐艦10数隻とミサイル巡洋艦数隻が戦列を離れた。第三駆逐隊がワープ計算をしていた最中に攻撃が始まった。2発目の火焔直撃砲が右翼に展開していた空母艦隊を襲った。右翼に居た空母4隻は幸いにも全艦生き残ったが、全艦が大破判定を受け、30隻余りの艦艇が消滅した。

「なんて事だ……!」

「敵艦隊先鋒、射程に入りしました」

「よし!敵の数を減らせ!撃ち方始め!」

 前部に装備された38.5cm砲が緑色の熱線を勢いよく吐き出した。熱線は減衰しながら直進し、カラクルム級の正面装甲と前部右安定翼に着弾した。安定翼は熱線で溶かされて消滅した。正面装甲は運良く少し溶けただけで済んだ様だった。

 その周りでは味方が放った熱線やミサイルが次々とカラクルム級やラスコー級を屠っていた。

「第三駆逐隊、計算完了!ワープ航法に移行します!」

 レーダー画面から第三駆逐隊が消えた。

 きっと彼らならやってくれるだろう。司令官はそう思った。

 敵も味方も緑色で発光している砲弾を撃っている。これでは着弾観測が出来ず、どれが味方の熱線なのか判別がつきにくい。ガトランティス戦役時から問題にはなっているが未だに解決していなかった。

「左翼空母隊より入電!発艦準備完了とのことです!」

「よし!すぐに発艦命令を出せ!最優先はアポカリプス級の大型衝撃砲だ!あれさえ破壊すれば攻勢に出れるぞ!」

 空母艦隊から戦闘機や戦闘爆撃機が発進していく。更に地上の基地を離陸した高速ミサイル艇も編隊に合流し、敵に向かって行った。

 

「ヴァレーリーダーより各機、対艦ミサイル発射は全機同時に行う。ミサイル発射後はそのまま敵艦隊中央に突入し、短距離ミサイルで敵の手数を減らす」

 MTD-35戦闘爆撃機に乗った中隊長が無線で喋った。レーダー画面には200機を超える味方航宙機と50隻余りのミサイル艇が映っている。

「了解!」

 無線機から返答が返ってきた。射程まであと少しの所でミサイルアラートが鳴り始めた。革命軍のスクワ級ミサイル巡洋艦から無数の対空ミサイルが発射されたのだ。

「全機チャフフレア放出!」

 200機を超える戦爆連合は一斉にチャフフレアを放出した。ミサイル艇はVLSから対空ミサイルを発射し、敵の対空ミサイルの迎撃を始めた。チャフフレアが狭い範囲で一気に放出された影響でレーダーがダウンしたが、データリンクは生きていた。

 ヴァレーリーダーはデータリンク経由で所属機に攻撃予定時刻のテキストメッセージを送った。敵味方の対空ミサイルが遙か彼方で入り乱れて、花火を作っている。今のところ被弾機は出ていないが、油断は禁物だ。チャフフレア宙域を抜けると通信が回復した。

「ヴァレー5!ミサイル接近!回避しろ!」

「うわぁぁぁ!た、隊長!助けて下さ……」

 ヴァレー5に敵の対空ミサイルが命中した。機体がバラバラになり、火球に包まれる。

「……全機、ミサイルを警戒せよ……。ヴァレー5は残念だったがこれが戦争だ。対艦ミサイル発射準備。誘導はブリーフィング通りデータリンクで行う。発射まで、3、2、1、ゼロアワー!」

 全機から一斉に中距離対艦ミサイルや惑星破壊ミサイルが発射された。600発余りのミサイルが白い尾を曳きながら飛んでいくのは圧巻だった。ミサイルはミサイル誘導艦の戦闘AIに割り振られた目標へと弾頭を向ける。

 ミサイルが一足先に目標に辿り着いた。最初に犠牲になったのは艦首大型消滅砲を充填中だったセイザーA型戦艦だった。あっという間に爆炎に包まれ、轟沈する。それに続いてミサイルの迎撃に失敗した艦が次々と沈んでいく。艦隊後方まで潜り抜けた惑星破壊ミサイルは指定された座標に到達すると紅き花を咲かせた。凄まじい爆風と業火が革命軍艦隊を襲った。爆風で装甲板や船外装備品が剥がれ、そこを業火と熱波が襲った。

 600発余りのミサイルで420隻余りが撃沈された。旗艦のアポカリプス級は対艦ミサイル31発を喰らったが、驚異的な装甲とダメージコントロールのお陰で航行していた。

「ヴァレーリーダーよりヴェクトリアリスへ!アポカリプス級は依然健在!」

「こちらヴェクトリアリスCIC、了解した。そろそろ作戦限界時間に入る。直ちに現宙域を離脱せよ。ヴァレーリーダーご苦労だった」

「了解!全機傾注!これより砲撃戦が始まる!同士討ちを避けるために全機上昇し、旗艦せよ!」

 それを聞いた攻撃隊の戦闘機部隊は機銃掃射を辞め、上昇を始めた。ミサイル艇それに続いたが、僅か数隻になっていた。

 

 

「アポカリプス級、反転しました。ワープする気配は有りませんが、奥の方に引っ込むようです」

「運のいい奴め。よし!砲撃を開始しろ!戦闘機隊はどこだ?」

「既に宙域を離脱し、帰還中です」

「分かった。撃ち方始め!」

 ヴェクトリアリスが攻撃を始めたのとコンマ数秒遅れてまた艦隊の攻撃が始まった。敵もほぼ同時に攻撃を始め、無数の熱線やレーザーが宇宙を行き交う。敵味方の艦艇が次々に沈んでいくが、命中率はこちらの方が上で次々とカラクルム級やセイザーB型戦艦を屠っていく。

「敵艦隊、後退しています。追撃しますか?」

「当然だ。機関に火を入れよ。距離を取りながら敵艦隊を追撃せよ」

 スクワ級ミサイル巡洋艦やクノイ級駆逐艦などの高機動高速艦が敵を追撃する為に前方に出た。スクワ級は対艦ミサイルや熱線を連射しながら敵に接近していた。革命軍艦隊も負けじと対艦ミサイルを浴びせて来たが、随伴艦の対空ミサイルや対空砲で手も足も出なかった。

「革命軍艦隊、ワープ準備中です。アポカリプス級は既にワープ準備が完了した模様」

「飽くまで目標は首都の防衛だ。構わん。奴らはここで6割近くの戦闘艦を失ったんだ。残存艦の掃討と、生存者の救出を行う。捕虜は丁重に扱え。後の指示は戦略AIに委ねる」

 提督がそう言い終えるのと同時に動けなくなっていた革命軍の輸送艦から眩い光が出現した。光は一瞬で膨張し、一瞬で収縮した。

 提督は通信士官から受話器を取り上げた。

「全艦、逆噴射しろ!全力だ!引き摺り込まれるな!おい逆噴射だ!急げ!全力だ!」

 輸送艦から現れたのは戦略兵器レベルのブラックホールだった。不運にも近くに居た艦や非力な推力しか持たない戦闘機は漆黒の闇へと引き摺り込まれていく。ヴェクトリアリスも無事ではなく、被弾箇所の装甲がベリベリと剥がれていく。

「ブラックホール砲の中心部に大型ミサイルを!急げ!」

 数隻の戦艦からG29反物質ミサイル8発が発射された。それに続いてヴェクトリアリスもGP63対艦隊消滅ミサイルを発射した。ミサイルはブラックホールの中心に飛び込み、炸裂した。ブラックホールは爆風と反物質効果でブラックホールを消滅させた。ブラックホールの消滅までに王国軍艦艇61隻、革命軍艦21隻と無数の宇宙ゴミが吸い込まれ、戦闘前よりも宙域は綺麗になった。今回の戦闘で4基しかない宇宙要塞の1基を失ったことによる損害は大きかった。

 

 




セイザーA型戦艦
全長254m
全幅38.6m
全高29.4m
武装
125mm陽電子衝撃砲1門
25.8cm2連装熱線砲3基
35mm2連装対空機関砲12基
VLS12セル
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