東方孤傀劇Ⅱ~ナラクのアリス   作:因田司

15 / 30
今回も、前回に引き続き山の妖怪達が
新種のマリスと戦っていく様子を御送り致します。

今回は文ではなく、にとり視点です。

原作とは少し異なる点がございますが、
暖かい目で見て下さると、幸いです。

それでは、ゆっくりしていってね♪



優勢を視る目達

NITORI

VS〈超爬影弾頭〉カモフラー・ベロジュ

~妖怪の山

 

私、河城にとりを含む山の妖怪達は、木の陰に隠れて対峙していた。

ターゲットは、木の向こうから迫る新種の巨大マリスだ。

 

仲間をしこたま呑み込んでいる、私に擬態したマリスを歪めて作った様なマリスだ。

 

前に盟友魔理沙や仲間達が目撃した、天人のマリスを変異させたのと特徴が似ている。

其の時は、黒幕の龍宮の使いからは「エンペラー・プリンセス」と呼ばれたという事。

 

 

「……………」

 

 

……向こうの木に隠れている文から、凄い怨みがましい視線を感じるんだけど……

 

まぁ、別に良いじゃない。

ぶっちゃけ私も初めてなんだから、此の視点で話すの。

 

 

そんな私達にお構いなしに隠れている木に向かって、敵は河童の様な嘴から紫色の液体を放射してくる。

 

あのブレス、間違いなくマリスが含まれている。

受けてはいけないのは判っていた。

 

だけど息継ぎの為か、ブレスが止む事があった。

其の間に私達は、影から一斉に乗り出して敵に弾幕を放った。

 

でも乗り出した時には大抵姿を消しているけど、あの図体だ。

多数から放たれる大量の弾幕に、身体の何処かに必ず一発は命中する。

其で大体の位置は特定出来た。

 

だけど私の髪色にそっくりの体表が、弾丸や弾幕を全部跳ね返しているんだ。

信じられない堅さだよ……レーザー弾幕も貫通しないくらいだから……

 

そして敵は姿を現し、再び口からの放射を開始する。私達はまた木の陰に隠れてやり過ごす。

其を繰り返して距離を詰められたら、身を屈めながら斜面の下の木に向かって後退する。

 

戦い始めてから其を繰り返していたが、此が一番効果的だった。

下手に此方から出て翻弄したら、また身を隠されてしまう。

折角居場所が判っているのに、弾幕を出していないと完全に見失うかもしれない。

 

そして探している時の隙を突かれ、今度は私達が飲み込まれてしまう。

 

そうなったら、お腹の仲間達もろとも……

 

 

 

 

 

「どうしましょう……!!」

 

 

声が聞こえ、向こうから文が敵の攻撃をやり過ごしながらさっきと同じ様に此方を見ていた。

 

 

「全然効いていないです…!此では霊力を無駄に空費しているだけですよ!」

 

 

其を聞いて私は背中からリュックを下ろし、あるメーターを確認した。

 

『水妖エネルギー』のメーターだ。

此が無くなるという事は、私の兵器は使い物にならなくなる事を意味した。

 

だが、確認した私は顔をしかめた。やっぱり零に近い。

スペルカードも、前のマリス軍団との戦いで底についていた。

 

だけど飲み込まれている妖怪達を傷付けずに、どうやってあの強固な防御を破れるか、

まだ解決されていなかった。

 

もたもたしていると、お腹の中の仲間の河童や天狗達が……

他の皆も限界が近い筈……どうするのか……

 

 

 

 

 

 

 

 

……最後の手段だ。あれしかないね。

 

 

「……『ラストワード』だ!」

 

 

私は、木の蔭から飛び出し、発動した。

 

 

「『スーパースコープ3D』!!!」

 

 

そして私は光学迷彩マントで姿を消した。

 

 

「!?何処ダ……!?」

 

 

マリスが慌てている隙に迷彩で隠れたままいそいで上昇し、森を抜け、上空に辿り着いた。

 

そして残った『水妖エネルギー』を使用して用意した弾を装填し、標準を合わした。

此の弾の威力なら……!

 

すると、マリスが再び周りの風景に溶け込み始めた。

危険を察知したに違いない。

 

 

「!!……」

 

 

マズい……『ラストワード』には時間の制限がある。

狙いもろくに定められないまま、時間が終われば……

 

 

 

「速写『ファストショット』!!」

 

「速写『ラピッドショット』!!」

 

 

 

はたてと文がマリスの前に滑空しながら、カメラのフラッシュをたいた。

 

顔を残して擬態していたマリスは悲鳴を上げながら、擬態を解除して全身を現し、

全身の眼を眩ませていた。

 

 

「もう一押しを御願いします!!」

 

 

すると今度は椛がマリスの前に飛び出した。

盾をマリスに向けている。

 

 

「思いっきりやっちゃって下さい!!」

 

 

そして構えている紅葉模様の盾の影から、

 

 

「叫喚『プライマルスクリーム』!!」

 

 

響子が顔を出し、マリスに向かって大声を放った。

 

確か彼女は…山彦の妖怪だったよね。

遠くの人間の声を返す為に放たれる、とてつもない周波の音波を至近距離で喰らったら

流石のマリスも溜まったものではない。

 

吹き飛びはしなかったものの大きく仰け反り、其処から俯せにばったりと倒れた。

もはや擬態するどころではなく、体中の目玉が混乱で回っている。

 

隙を見せている。今しか……ない!!

 

標準を次々に合わせる。狙うのは……

 

 

 

「私達の技術を悪用した事がどれだけ悪い事か、其の身体にたっぷりと刻み込んでやる……!!」

 

 

そして私はありったけの砲弾を、胴体以外の全ての部位に砲弾を打ち込んだ。

マリスの顔、首、手足、尻尾、各部位に次々と砲弾が当たり、粉々に吹き飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スペルが終了して着地した時には、残った胴体が黒く変色して黒い霧となって消えた。

其の後には飲み込まれていた大量の妖怪達が、山積みになって倒れていた。

 

 

「皆さん!御無事ですか!?」

 

「!文さん……お手伝いします!!」

 

 

文と椛が其処に駆け寄っていった。

 

駆け付けた天狗二人に起こされる者もいれば、普通に起き上がり、辺りを見ていた

者もいた。

見る限り全員マリスに浸食されている様子はなさそうだった。

 

 

「皆~~!!」

 

 

すると山の上から声が聞こえ、其の方向を見た。

斜面から誰かが駆け降りてくるのが見えた。

 

 

「静葉さん、穣子さん…!雛さんも……!」

 

 

一時期私達から離れていたメンバーだった。

 

 

「御無事だったのね!?」

 

「無事ですって!?」

 

 

はたての言葉に姉の静葉が返した。

 

 

「私達姉妹は、野良といえど神様なのよ?マリスの浸食くらい、どうってことないわ!」

 

 

そう言って胸をドンと叩いた。

 

 

「レティの分も頑張ったもの……ね?穣子?」

 

「ええ!」

 

「私は神と言われていますが妖怪なので……浸食を受けますけど、厄を纏って

近付けない様にしていました」

 

 

雛は相変わらずクルクルと回っていた。

 

 

「にとりさんは大丈夫でしたか?」

 

「さっき、大型のマリスから仲間を助けたところさ」

 

 

雛は私の命の恩人だった。

 

此の異変が始まって間もないと思われる頃、いつものように水に潜み、誰かの

尻子玉を抜こうと待っていた時だった。

 

すると誰かが通ったのを感じた。何時もやっていたから感覚で判ったんだ。

 

直ぐに飛びだして襲いかかったけど、ソイツが『孤毒』を患ったアリス本人だったんだ。

 

当然目が合い、其の大きな青い一つ目を直視してしまった。

意識を失って河に落ち、流されていたところを雛が救出し、永遠亭まで運んでくれた。

 

 

「やりましたね、にとりさん!」

 

「まあね、でも、其方も無事でよかったよ……」

 

 

そう言って、周りを見渡した。

天狗達や河童達が歓喜の声を上げていた。

 

 

「此で、一応山のマリスは全て討伐出来ましたね」

 

「そうね。早速天魔様に報告するわよ!」

 

 

傍ではたてと文が話しているのが聞こえた。

 

 

「!」

 

 

途端に疲れがどっと出た。

 

 

(今日は、宗教合戦以来、久々に頑張ったんじゃないかな……)

 

 

そう思う。

直ぐに、仲間と、川に帰らないとね………

 

 

 

 

 

 

 

「そう……成程ね」

 

 

別の声が聞こえ、また山を見上げた。

そして其処でみた見た光景に私は絶句した。

 

 

 

 

 

「何だアレは……!?」

 

 

信じられない程の数のマリスだった。

 

今まで戦って倒してきた数よりはるかに多かった。中には襲った少女に擬態したのもいる。

少なくとも百個以上はある青い目が、一斉に此方を見下ろしていた。

 

まるで山の斜面が真っ黒く塗り潰されているかの様だった。

 

 

(あんな数のマリス、どうやって隠れていたんだ……??)

 

 

焦る私の頭の中に疑問が浮かんだ。

 

山の斜面にでも潜っていたのか!?

私達が新種のマリスを倒した途端に、地中から湧き出てきたのか!??

 

 

「マリスが、まだ…あんなに……!??」

 

「どうしよう……『水妖エネルギー』が零になってるのに……!」

 

 

仲間の河童達が呻くのが後ろから聞こえた。

 

と、再び声が聞こえた。

 

 

「貴方達は、其の程度の勝利で安心出来るのですか……」

 

 

そして、マリスの集団の中から一人の少女が出てきた。

 

 

「!?………」

 

 

其の人物を見て文の反応が変わった。

 

 

「?……どうしたんだ、文!?」

 

 

すぐに私は訊いた。はたても言葉をかける。

 

 

「アイツを誰かを知ってるの!?」

 

「~~あ…貴方が……貴方とあろう方が……!?」

 

 

文がうろたえている。

 

 

「いったい……何故……!??」

 

 

相手は……見る限り天狗達の頂点、天魔様ではなさそうだった。

角が生えてない事から、鬼でもなさそうだった。

 

其なのに此程天狗である、文が怖れる相手とは……?顔が思わず強張った。

 

 

相手の口が動いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殺レ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すぐに私達に大量の影が殺到した。

 

身体中の蒼い目をギラつかせながら。

 




如何でしたか?

一難去って、また一難……妖怪の山の妖怪達に新たな危機が襲いかかりました。

そしてマリスといた人物とは一体……?

一方、攫われている魔理沙の方で何かが起きた様です。
次回は其を御送りします予定です。

それでは、次回もゆっくりしていってね♪
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。