東方孤傀劇Ⅱ~ナラクのアリス   作:因田司

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今回は久方ぶりに地霊殿での出来事を、お空さんの視点で御紹介します。

原作とは少し異なる点があるとは思いますが、
暖かい目で見て下さると、幸いです。

それでは、ゆっくりしていってね♪



八咫の赤眼、孤毒ノ蒼眼

UTSUHO

~地霊殿 廊下

 

 

「う~ん……」

 

 

私は廊下を歩きながら考えていた。制御棒は外してある。

 

ついさっき私は、お燐からアリスさんの病気の悪化を聞かされた。

其の時、灼熱地獄の管理でアリスさんの処に行く事が出来なかった。

 

日に日に悪くなっているというアリスさんの病気。

今回の悪化に関しては、病気に詳しい土蜘蛛の黒谷 ヤマメさんがすっかり怯えてしまって

今も診断が滞っているとも聞いたし……

 

他の旧地獄の皆も地上の輩から、アリスさんを守る為に戦闘に備えている。

私もやるべき事……さとり様に灼熱地獄の正常に稼働している事の報告をしに行かないと……!

もしかすると、灼熱地獄のエネルギーが防衛に利用されるのかもしれない。

万が一異常があったら、其こそ異変になってしまう。

 

でも、利用するとなると……どんな兵器に利用されるんだろう……?

でも、そんな兵器に使うと、地底全体が吹き飛びそうな……?

 

じゃあ、何に……?

 

 

「う~~~ん……!!」

 

 

………頭が痛くなってた……

 

 

 

すると先にあった辻の右の路から、誰かが歩いてきたのが見えた。

 

 

「!……アリスさん?」

 

 

もう、病気が治ったのかしら?にしては、様子がおかしかった。

足取りも一歩一歩が重そうで、いつもの黒いフードを横顔が見えない程に被っている。

 

其の時、其のフードの一部がめくれて横顔が見えたんだ。

 

 

「!にゅ……!?」

 

 

お燐の言ってた事は本当だったんだ。

 

最初は頬に黒いシミだけだった人形の様な顔が、今ではすっかり焦げたみたいにドス黒く

変色している。良く見たら袖から出ている手まで黒くなっている。

其の大きな目は焦点が合ってない様に見え、口は魂が出ているみたいに半開きになってた。

 

でも只でさえ凄まじい其の姿に更に凄まじさを足したのは、其のヒビ割れた頬から、

僅かに漏れる紫色の光だった。

 

…何?………皮膚の下で何が光ってるの……?

まさか、紫色の核融合だったり……??

 

 

「アリスさん?……あの……」

 

 

声をかけたけど反応が無かった。

気付いていないのかしら……?

 

 

「アリスさん……!?」

 

 

少し声を大きくして呼んで見た。

 

其の瞬間、眼球だけが、此方を向いた。

 

 

「!!」

 

 

そして顔も此方に向けた。

 

 

「あ、あの……」

 

 

そして遂に身体も此方に向けた。

何か、其の動きはアリスさんが前に見せてくれていた、人形のようにも思えた。

 

 

「もしかして……お、怒ってます……?」

 

 

何も言わない代わりに、不思議そうにちょっと首が曲がる。

 

 

 

 

 

 

其の瞬間、蒼い瞳が一瞬、紅く光った。

 

 

「!!?」

 

 

アリスさんの目を見入った私は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

其の場に立っていた。

 

 

「オ空サン……?」

 

「!?」

 

 

気が付けば、目の前にアリスさんが立っている。肌の色は変わっていないものの、

私を見る其の目は最初に来た時のアリスさんだった。

 

 

「大丈夫デスカ?」

 

「!うにゅ……!?」

 

 

私が映っている蒼い目にはもう紅い光は見えなかった。

思わず頭を掻いた。う~ん、私の核の力で紅く見えたのかな?

 

 

 

 

「!?ヴ……!」

 

 

突然、アリスさんが御腹を押さえ始めた。其の身体が前に倒れ始める。

 

 

「!?大丈夫ですか!?」

 

 

慌ててアリスさんの身体を支えた。

 

 

「~~~マ、マタ………!??」

 

 

何の事かはさっぱり判らなかったけど、其の顔にはとても苦しそうだった。

 

 

「もしかして、お腹が痛いんですか?其とも、空いたんですか?」

 

「ウ……ウン、多分…後者……カモ知レナイ……ワネ……」

 

 

アリスさんは目を瞑って、笑顔を作った。

でも汗と言い、どう考えても喉の渇きの方に見えるんだけど………

 

 

「!?ん……??」

 

 

すると、アリスさんを支える為に脇腹に添えていた右手に違和感を覚えた。

 

 

「ん?……!ん……?」

 

 

何て言うか……震えている。其も、私が触ると震えの強さが変わり、別の部分が強く震えている。

まるで、私が触るのから逃げているみたいだった。

 

 

(何だろう、此……??)

 

 

そう思って、強く震える個所に手をあてがっていると、やがて震えが止まった。

 

 

「~~ハァ……ハァ……!?ゲホ……!?!」

 

 

前傾姿勢で息は荒く、時々激しく咳き込むアリスさんは汗がびっしょりだ。

 

 

「だ……大丈夫ですか……!?」

 

 

私はすっかりパニックになっていた。核融合の異常に気付いた時と同じ位に慌てている。

でも、だんだん呼吸を落ち着けていたアリスさんは、無言で頷きながら

ゆっくりと姿勢を戻していった。

 

 

「!??」

 

 

突然、アリスさんがまたつんのめった。

 

 

「!アリスさん!?」

 

 

また……!?私は珍しく頑張って、すぐに支えようとした。

 

でも残念ながら、其の直感は間違っていたんだ。

 

 

 

「アリスの姉ーちゃーーーん!!!」

 

「!~~こいし…チャン……!」

 

「こいし様!」

 

 

さとり様の妹、こいし様がアリスさんの背中に飛び乗られていた。

 

 

「フード、被ってたら前が見えないよ?」

 

 

そう言うと、アリスさんの頭を覆っていたフードをサッと後ろにおろされた。

其の中から今も変わらない金色の髪が現れ、勢いでフワッとなびく。

 

 

「~ア……遊ビタイノデスカ?」

 

 

アリスさんが後ろを見てこいし様に訊ねる。其の顔は苦しそうに歪ませている。

 

 

「こ、こいし様……!御言葉ですが、アリスさんは病み上がりなのですよ……?!」

 

「!今ハ…大丈夫デス……モウ、平気…デスヨ?」

 

「ほら、だからもう大丈夫なんだよ!」

 

 

こいし様がアリスさんの背中から此方に乗り出し、頬を膨らます。

私は思わず小さくなる。

 

 

「でしたらもう一つ……こいし様、アリスさんは、何か御腹が空いている様で……」

 

「!本当?じゃあ、何か一緒に食べて……其から遊ぼうか!」

 

「ソウ…デスネ……」

 

 

すると、こいし様は小さな脚をアリスさんの脇に挟まれた。

 

 

「……行キマスヨ?」

 

「わぁい!レッツ、ゴーゴー!!」

 

 

こいし様の号令と同時にアリスさんは少しふら付きながらも、小走りで廊下を走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~ん……」

 

 

私は廊下を歩きながら考えていた。制御棒は外してある。

 

さっきのアリスさん……いったい何だったのかしら……?

 

あの目の紅い光……核融合の光よりも禍々しい感じがあったな……

まるで怨霊に睨まれたみたいな感じだったな……!あ、怨霊に目は無いか。

 

其に御腹が小刻みに震えていたけど……あれ、運動のマシンかな……?

最近さとり様が、運動解消に通販で買おうとしてるの、見た事があったけど……

 

 

「う~~~ん……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

!もしかして、アリスさんの御腹の虫の居所が悪かったのかな……?

なら尚更其の機嫌を取らないとね。

 

こいし様とおやつ……うん、良い事言ったわ、私!

 

 

「……あれ?」

 

 

でも確か、アリスさんに出会う前に何かしようと思っていたけど……

 

何だっけ?……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず、灼熱地獄の管理に戻ろうっと。




如何でしたか?

次回からは場面が変わります。そして、久々の激闘の予感です。

それでは、次回もゆっくりしていってね♪
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