メディスンをかけた、手加減抜きのガチの戦いです。
原作とは少し異なる点があるとは思いますが、
暖かい目で見て下されば、幸いです。
それでは、ゆっくりしていってね♪
YUKA
VS〈聖餐のフラワーマスター〉ユーカ・リスタ
~太陽の畑
【メディスン埋没~マリス核生成まで残り5:34:42】
私の畑の真ん中にあるクレーターの様に抉れ、土が剥き出しの新地。
其の更に中央で、私の白い傘とマリスの黒い鎌の傘がぶつかり合っている。
互いに押し合う武器越しに本気で相手を殺さんと、自分でも判る程の凄まじい形相で睨み合う。
(メディスンに残された時間はあまり無い……そうそうにけりは付けさせて貰うわ!!)
私は互いに武器を接したまま相手に右脚を振った。
だが敵の反応も速く、素早く後退したために私の脚は空を蹴った。
距離を取った私に擬態したマリスは、
「霧符『ガシングガーデン』!!!」
スペルを宣言し、大きく息を吸い込むと其の口から、そして胸辺りから出ているメディスンの
口からも紫色の霧を吐き出してきた。
(!?此は……メディスンの……)
辺りの空気が見る見るうちに紫色に染まり、視界が悪くなっていく。
咄嗟に手で口を塞ぎながら守矢の神様、東風谷 早苗さんから貰った御守りを使用した。
「グア"オォァアァ!!!!!!」
突然、奇怪な喚き声と共に毒霧の中から私に飛びかかって来た。
御札の残りをしまっていた私は間一髪でしゃがみ、黒い刃が其の頭上を通り過ぎる。
鎌を大振りしたため相手に隙が出来る。私は低姿勢のまま、腹を蹴り上げようとしたが、
「!!」
メディスンの身体が体内にある事に気が付き躊躇してしまった。
マリスに其の隙を付け入られ、鎌となった傘が降られる。
回避しようとしたが間に合わず、すねをかすめた。
「!?痛っ……!!」
斬られた個所から血が出る。大した量ではないが、其と走る痛みが比になっていない。
低姿勢のままバックステップで距離を取った。直ぐにメディスンから貰った解毒薬を使用する。
素早く薬をしまいながら相手の方を見る。
私を主軸にしているからか一撃一撃が重い……さっきの斬撃も、芯に当たっていたら脚が一本、軽々と切断されていただろう。そしてメディスンを体内に留めているなら、あの鎌の刃にも
間違いなく毒が仕込んでいる。
直前に札を使用していたから傷も早く治り、マリスも傷口からは侵入出来なかったけど……
もう一つ問題はあった。
攻撃箇所を誤ると、メディスンの身体も一緒に壊れてしまう事だ。マリスはメディスンを人質、
素体だけではなく、盾としても利用している。
其にメディスンの身体は人形だ。だから、『今のところ』其の身体を治せる者はいない。
ええ……『今のところ』は……
気が付くと紫色の霧が晴れて空が見えていた。今はすっかり雲も無くなり、月光が空を紅く
染めていた。
ふとコーリンこと、霧之助の事を思い出し、周りを見た。
姿が無い……どうやら、毒霧の届かない向日葵畑の中に逃げ込めたみたいだった。
でも……私はマリスの方を見た。
メディスンの身長からして、体格の中心…心臓を合わせて比べても、私の肘から手先までは
届かない。いえ、もうメディスンの両腕は身体から出ているからマリスの両腕は欠損しても
大丈夫な筈だ。
足もマリスの膝上までにメディスンの脚があると考えられる。なら、膝から下は
攻撃してもメディスンは傷付かない。其どころか、敵に隙を生む事も出来る。
そうなれば私が考えていた、奥の手も使える……!
「……急ガナイト…手遅レニスルワヨ?」
マリスが鎌を持っていない手でメディスンの頭を撫でた。
「……助…ケテ………幽………香………」
メディスンの声を聞いた。
「!!」
あり得なかった。でも、聞こえた。
もしかしたら、マリスに操られて発したものかもしれない。
いや……マリスの裏側にいる、アリスでは無い『黒幕』が発したか……
どちらでも良かった。でも、私は確かに聞いた。
気が付けば私は、出来る限りのスピードで飛翔を開始していた。
マリスが応戦しようと鎌を大きく振り、根元にあった向日葵の花弁をカッター状にして
飛ばしてきた。
今度は避けなかった。避ける事は考えてはいなかった。
勢いで軌道は逸れながらも私の頬や腕、脚を容赦なくかすめ、斬っていく。
「マァァアアァァアリィイィィスウゥゥウゥウゥウゥ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
私は叫んだ。出来る限り声を振り絞りながら。
「!?」
マリスは勢いが落ちなかったのが予想外だったらしく、僅かに動揺するのが見えた。
今度は私がチャンスを逃さず、一気に距離を詰めて白い傘で相手の脚に向かって振り払う。
傘の先端が左足首を捉え、水平に切断した。
「!?グォグァアオ……!!!!」
バランスを崩され、マリスは其処で左膝を地面につけた。其の拍子に私に半分擬態した顔が
低位置まで下がる。私は着地も待たずに素早く体勢を変え、空中で相手の顎に思いっきり
膝蹴りを叩きこんだ。
「!?ギェ……!!!」
反動で相手の頭が跳ね上がり、身体も無理矢理起こされる。
其の動きに合わせて身体から出ているメディスンの首と両手首が、力なく揺れる。
マリスは膝蹴りの衝撃に耐えれず、仰け反ったまま数歩下がった。
さっきまでマリスが立っていた場所に着地する。飛翔の勢いから、足元の土が軽く削られた。
手を付いて着地した其の姿勢から伸びあがり、相手の側面にローリングソバットも叩き入れた。
「!??オ"…~~ォオ……!!!」
何とか倒れずに持ちこたえた様だったが流石に頭に二撃も喰らい、フラフラになっていた。
私が望んでいた瞬間だ。白い傘を放り投げ、両手を自由にした。
「其処ぉ!!!」
渾身の力を込めて両手を突き出し、メディスンの顔の両側から相手の胴体の内部に喰い込ませた。
「!??」
マリスの表情が凍った。其の顔は顎や左側面へのダメージで完全に黒く変色し、
擬態が解けて醜く再生されていた。
気持ち悪く蠢く其の身体の中に手を奥に入れ、まさぐって探した。
(……何処にあるの……!?)
すると何かが指に触れ、迷わず其を両手でがっちり掴んだ。
「此の………!!!!」
勢い良く両手を抜くと、掴んでいた腰辺りまでメディスンがマリスの身体から出てきた。
だが、其処で止まってしまった。
「!?」
思わず視線を上に向け相手の顔を見た。
「~~グ……!!~~~!!!」
メディスンを引きかれている影響か、苦しんでいる。
心臓部分である核のメディスンが抜かれまいと引きとめているのね……
「~~負ける……ものか……!!!!」
メディスンの身体に支障が来さない様、其でも出来るだけの力を両腕に込め、身体の重心を徐々に後ろに傾けていく。
新しい御守りを使う暇はもはや無い…効力が続く内に、何とか引っ張り出さないと……!!
「~~隙マミレ…ナノヨ……!!」
マリスは私の顔を歪めた顔は更に不快そうに歪め、右手に持った鎌を振り上げた。
今は両腕が塞がっていて、ガードが出来ない……!
私の頭に刃の先端が向けられた。
「…其ノ頭ヲ…裂イテ………死骸ゴト纏メテ…喰ッテヤルワ!!!!!」
だが、何処からか飛んできた一本のレーザーが其の腕を焼き切った。
「!?グァアァイ"ィ……!??」
マリスは涎を出しながら悲鳴をあげ、肘から先が無くなった右腕を見た。
今のは……何処から……
私はメディスンを抜こうと足を踏ん張りながら、目だけでレーザーの出所を探していると、
「攻撃は……させないよ!?」
私の右前方、向日葵畑の上から此方に接近する者を確認した。
「!魅魔…!どうして此処に……!?」
旧友が、ふら付きながら飛んで来ている。
既に『オーレリーズ』を解放し、周りに様々な色の球体を浮遊させている。
だが、相当な深手を負っていて身体中を黒い電気が走っている。苦しそうに顔を歪めている。
「幽香!援護するよ……さっさと倒して…助けちまいな…!!」
魅魔もメディスンを助ける手伝いをすると約束してくれた。彼女は其を今
果たそうとしている。
早速、球体からレーザーを放ち、敵を後ろから一方的に攻撃を始めた。
光の筋達が私に当たらない様に敵の脚、肩等を貫通して飛んで行く。ただ胴体には一発も
命中していない。どういう状況なのかを判っているのか、其とも偶然なのかは判らなかった。
其の追い打ちで、マリスの勾留する力が弱まった。
此処しかない。私は更に、だがメディスンの身体を壊さない様に力を込めた。
ズボォォオオ!!!!!
メディスンの身体が引き抜かれた。勢いで私は後ろに飛び、メディスンの身体も投げ出された。
「!!」
私は身を挺して其の身体をしっかりと抱き留め、背中から地面に落ちた。
マリスの身体はメディスンを抜かれた鳩尾の部分に大きな空洞が開き、ダメージや重みに
耐え切れずに上半身が千切れ、後ろに落ちた。
残った下半身は其のまま前のめりに倒れ、黒い液体となって溶けていった。
「メディスン……!」
私は上半身だけを起こし、メディスンに声をかけた。目は淀んでいる。蒼くない……間違いない。本物の彼女だ。
私は其の身体を抱きしめた。
帰って来た……ようやく戻って来た、親友が此処に……
「幽香、油断するな!!まだ生きてるよ!!」
突然聞こえた魅魔の声に、思わず振り返り、立ち上がった。
「~~エ…!ギィ……エ"……!!」
残っていたマリスの上半身が残っていた左腕を駆使し、此方に這いずって来ていた。
切断された胴体の切り口からは、まるで血の様に黒い液体が地面に擦れて跡が残っている。
「~~~ガエ……返…セエェエ"……!!!」
其のほふくに使って来た左腕を震えながら伸ばして来た。其の黒く変色し変形した手は土で酷く
汚れていた。
其の時だった。
「!?」
肉が抉れる音と共に敵の黒い額から、金属の先端が飛び出た。
「嗚呼、返してあげるさ……」
マリスのはるか後方、土の上に霧之助が息荒く立っていた。
左手を腹に当て、右手を物を投げた後の様に前に出していた。
「……土にね」
マリスの差し出された手は力なく落ち、其のまま上半身も不快な音を立てながら地面に吸い込まれていった。
後にはマリスに止めを刺した、緋色で出来た柄の剣が落ちているばかりだった。
私は其の後、魅魔が魔理沙奪還に失敗し、追跡しようとして此処まで来た事を告げられた。
そして霧之助が急遽自宅から持って来たワクチンで、メディスンの中のマリスを死滅させた。
今は元の肌色に戻ったメディスンが私の腕の中で眠っている。
「……やったじゃないかい。ちょっと見せてごらん?」
私は魅魔にメディスンを渡した。
「此の娘がメディスンかい……良い親友を持てて良かったね……」
其の姿はまるで赤ん坊をあやす人間の母親にも見えた。
「可哀想に…ずっとおっかない化け物を、身体に住まわされて……」
ふと、私の頭にある事が思い浮かんだ。
「……魅魔…貴方、魔理沙を追わなくても大丈夫なの?」
「そうなんだけど…墜落した直後には完全に見失ってね……」
そう言ってうなだれていたが、
「でも、魔理沙は生き残る…生き残ってくれる。でなければ、私の弟子じゃないよ」
すぐにあっさりと吹っ切った。サバサバとし過ぎている。
「幽香……」
霧之助が私を呼んだ。
彼の骨は折れているものの、今は御札の効力で痛みはかなり引いている様だ。
「すまない……君の畑を……」
差し出された両手には、先程まで地面に刺さっていた私の傘があった。
普通なら、畑を守れなかった事を咎めていたが………
「……良いのよ、畑は。また、育てなおせば良いもの」
そう言いながら、私は霧之助の方に歩いていった。
「マリスから畑を、私達を必死に守ってくれて……逆に嬉しいわ。ありがとう」
私は傘を受け取ろうとした。
「!?う……!」
突然足元が揺らぎ、其の場で両膝が地面についた。
「!幽香……?」
「大丈夫か、幽香?」
二人が慌てて駆け寄った。
自分でも判らなかった。何で、力が入らないの……?
そうだ……そして私は気が付いた。
飛翔していた時に喰らった、飛び道具にも……毒が……
あの時は気にしてなかったものが…此処で………
頭の中では行動しろと言っても、解毒薬を取り出せる気力が残っていない。
すぐに呼吸が荒くなり、視界が回転し始めた。
「!幽香!?…しっかりしろ、幽香!!……」
二人の声も遠くにしか聞こえない。
「アンタまで……くたばっちゃいけないよ!!……」
目の前が暗くなっていく。
「速く、永遠亭に…!!……~~~~~!!…………」
…………流石に………限界ね…………でも………
「~~~!!……~~~~~!!!………」
………メディスンが………生きていれば……………
「~~~!!!…………~~!!~~~!!!!………」
身体が前に傾き、意識も混濁する直前まで、私は安堵していた。
如何でしたか?
マリスを撃破、幽香さんと魅魔様が前作から抱えていたメディスン救出を見事成し遂げるも毒に倒れる幽香さん……どうなってしまうのでしょうか……
次回は場面は少し変わります。
それでは、次回もゆっくりしていってね♪