東方孤傀劇Ⅱ~ナラクのアリス   作:因田司

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まだ書き方に慣れていない中、早くも二話目です。

個人によってはグロいと感じる点も
ございますので苦手な方は御控え下さい。

原作とは、少し異なる点もあるとは思いますが、
そちらも暖かい目で見て下さると、幸いです。

其では、ゆっくりしていってね♪


夢に咲きし、悪の華

MARISA

~???

 

 

………

何処なんだ此処?

 

 

気がつけば私は人間の里の、道の中央に立っていた。

 

人気は全くない、私、霧雨魔理沙唯一人だった。

 

上を見れば空は赤く染まっていた。

何て天気してんだよ…

 

 

 

其より、先ずここに来た理由が判らねぇ…

……………………

 

 

 

 

……思い出したぞ。

 

私達はマリスに抵抗した妹紅の最期(…て言っていいのか?)を見て、

永遠亭に行ったんだっけ……

 

 

 

 

 

MARISA

~永遠亭(過去)

 

 

「…輝夜は何処行ったんだ?」

 

「…妹紅の骸と地下に込もられました」

 

 

永遠亭に入って全員座って、しばらく黙った後

に話したのが私と永琳の此の会話だった。

 

恐らく、地下にあるという

頑丈な扉に入って行ったに違いない。

私は妹紅が永琳に発した最後の言葉を思い出していた。

 

 

『奴等は……マリスは……私を……狙ってる……

奴等に……身体を……絶対に渡すな…………』

 

 

私は輝夜が、鉄製の分厚い扉のロックの向こうで

妹紅の帰りを泣きながら待つ姿を想像した。

 

恐らく帰ってくるまでずっと待つつもりだろうな……

下手すれば何千年も…何万年も……

 

 

だが…どうして…妹紅の体を欲しがったのだろう?

死なないマリスを作るつもりだったのだろうか…?

 

永琳はアイツに「孤毒」の詳しい特徴を教えていない筈だ。

アイツを蝕む心の病の正体を把握しきれていなかったのだから。

 

だが、此処までの規模となると…アイツはまるで……

 

そう思うと、アリスが悪者のように思えて仕方がなかった。

被害者が加害者に見えてきた。

 

 

「クソ……!」

 

 

衣玖達に操り人形にされていたアリスが、

どうして悪者扱いされるんだ?

其が他の奴等だけじゃなく私まで……

 

と、同時に若干自棄気味にもなっていた。

 

なってはいけないのは判っていた。でも

其を…アイツの無実を弁解するにはあまりにも

相手が多かった。

 

 

私は黙っている霊夢達にこう言った。

 

 

「悪い、暫く……横にさせてくれ」

 

 

…あの深刻な状況での此の発言は

あまりにも軽薄だった。其は私も認める。

 

でもそうしないと、やりきれなかった。

其にその時、私は本当に疲れてもいた。

 

先程、永遠亭の上空から

髪や顔を紫色にされながら浸食に抵抗していた妹紅に

「ドラゴンメテオ」をぶっ放したばかりなのだ。

 

あのスペルは霊力だけでなく、発射時の反発力に耐えなきゃいけねえから

体力も大幅に消耗する……

永遠亭に入る時も、足が少しふらついていた。

 

意外にも、霊夢達は承諾した。永琳も大技を使った後は

休んだほうが良い、と言った。

 

 

そして横になり、そのまま眠ったんだ……

 

あの後、永琳が霊夢達に何か話すだろう。

でも私は聞く気にはなれなかった。

アリスを悪者前提にした話は、聞きたくなかった……

 

 

 

 

 

MARISA

~???(現在)

 

私は理由を完全に思い出した。

 

 

(!……じゃあ、此は…夢なのか?)

 

 

私は歩きだした。

 

 

(じゃあ……もし、此が夢なら……また会えるのか?)

 

 

歩きながらそう思う。

 

 

 

ふと気がつくと、道の向こうに大きな像が建っていた。

 

あれは、天気が判る龍神の像……

じゃあ此処は里の中央部って事になる。

 

どうやら里の構造は変わっていない様だ。

……人がいない事を除いては。

 

 

遠くから龍の眼を確認する。

 

……予想通り、「観測不能、異変発生」を示す赤色だった。

 

 

しかし、その像の足下に誰かが立っていた。

 

 

うつむいてはいるが

あの金髪…青と白の洋服……まさか……

 

 

「アリス?」

 

 

顔を上げた。

此方の声に気付いた様だ。

 

 

「!魔理沙……!」

 

 

アリスだった。

目は二つあり、夢で出会った時と何一つ変わっていなかった。

だが、不安そうな表情をしていた。

 

 

「魔理沙……!」

 

 

アリスが歩いてくる。

ゆっくりと……ゆっくりと……

 

私は傍まで走って行きたかった。

が、動かそうとした足が動かなかった。

 

前の夢でもそうだった。

が、仕方ない。あれは過去の思い出だったんだから…

 

 

(動け…!!)

 

 

アリスはかなり近づいていた。

表情が明るくなっていく。

私の存在に安心してる。安堵している。

 

 

「魔理沙……」

 

 

私は体の硬直と戦う事を止めた。

むしろ私にも安堵が込み上げてきた。

 

なんだ……別に抗う事なかったじゃないか……

今幸せは、歩いて来てるんだから。

 

ところが……

 

 

 

私の数メートル手前でアリスの姿が突然変わった。

 

 

「助けて…魔理…沙……」

 

 

其の姿は……

 

 

「霊夢!?」

 

 

そして其の姿は、数分前に見た霊夢とは思えないモノだった。

 

顔中赤と紫の液で染められていた。

服はビリビリに破れ、体中も同じ様に変色、

そしてところどころに黒い何かが付着していた。

 

 

「助ケ…テェエェ……」

 

 

霊夢が変色した片手を伸ばしてきた。

 

避けようにも動けねぇ…喋ろうにも口が開かねぇ……

感動の再会が一転、万事休すの状態だった。

 

 

 

が、其のまま私の目の前でばったりと倒れた。

 

それっきり動かない。

 

私は、息を荒げていた……

と同時に動けるようになっていた事にも気付いた。

 

 

(…此は夢だ…なんだってあり得るじゃねえか…)

 

 

以前夢を見た時にも、同じ事を自分に言い聞かせていた。

だが、今回の意味は180度違っていた。

 

 

よく見ると霊夢の後ろから赤と紫の混ざった血痕らしきモノが

地面に尾を引いていた。

 

ソレは、数十メートル先の右の角を曲がっていた。

 

何かから逃げようとしてたのか…?

 

私はとっさに自慢の八卦炉を手に持った。

うつ伏せの霊夢のそばを通り、その血痕らしきモノを

ゆっくりと辿っていく。

 

 

其の先に何があるのかは私は一切判らなかった。

何も……全く……

 

 

 

 

もうすぐ例の角がある……着いた。

 

私は、木でできた壁に貼り付いた。

角の影から半分だけ顔だけを出し、血痕の辿る先を窺う。

 

 

 

 

血痕の先に三人が倒れていた。

 

いや……三柱が倒れていた。

 

 

「!早苗!!神奈子!!諏訪子!!」

 

 

急いで駆け寄った。が、既に遅い事が判った。

誰もがさっきの霊夢の様な状態だった。

 

私は横向きに倒れていた一柱をそっと顔が見えるように倒した。

 

 

「早苗…!」

 

 

目はすっかり淀んでいた。

前にテレビで永琳が言っていた、アリスに睨まれた症状と同じだった。

神奈子も諏訪子も同じだった。

 

どういう事だ?永琳は同時に、神や仙人には「孤毒」は

効かないとも言っていた…

其に……神様が死ぬ訳がない。

 

だが…私は言い聞かせた。

此は夢だ。本当に何でもあり得る。

 

 

三柱からもやはり血痕らしきモノが伸びていた。

そして霊夢の血痕と混じって太くなっていた。

 

今度は数メートル先の辻道で左に曲がっていた。

 

 

私は意を決して再び辿って行った。

 

 

 

 

 

よし、角に着いたぞ……

 

さっきと同じ要領で壁に張り付こうとした。

様子を窺おうと思った。

 

でも私は、突然そうしたくなくなった。

 

何でだかは判らない。

 

其は、此処までこそこそする必要がないと

思ったからかもしれない。

 

其は、角の先に続いていく血痕の太さから

重大な何かがあると思ったかもしれなかった。

 

 

(……よし!)

 

 

私は角から躍り出て、八卦炉を構えた。

霊夢達に酷い目に合わせた奴を殲滅してやる!!

 

 

が、すぐに其の手を降ろしてしまった。

 

其処で見たのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

大量の死体の山だった。

 

 

「何だよ…此……」

 

 

高さは里の民家の二階分に相当していた。

どの人も無造作に積み上げられている。

其の下の地面には、その人達のものと思える大量の血と

紫色の何かが漏れていた。

 

じゃあ、人がいないのは…全員…此処に……?

 

よく見ると死骸の中に、さっきまで元気だった幽香、

そして不死身だった筈の白蓮、神子、永琳、輝夜がいた。

 

魅魔様の御姿はなかった…でも、何処に行って

しまわれたのか私には判った。

 

 

そして、此の惨状を誰が作ったのかも……

 

 

 

私は膝をついた。

 

 

「…どうして……どうしてこんな事……?」

 

 

夢とはいえ、あまりにも酷だった。

 

私の中でも、アイツは既に

悪者として仕上がってしまってたのか……?

 

悪者のやる事を夢に投影したのか?

 

此の死骸の山がそうなのか?

 

 

悔しくて悔しくてたまらなかった。

 

涙がこぼれる。

 

 

「畜生ぉお……!」

 

 

思わず、言葉がもれてしまう。

死人が同情をしてくれるわけでもないのに……

 

だが……

 

 

 

 

「魔理沙……」

 

 

 

声を聞いた。

思わず顔を上げる。

 

 

死骸の山の頂上に誰かが、紅い空をバックに立っていた。

そのせいでよく顔が見えない。

 

私は其の人物を見上げながら

よろよろと立ちあがった。

 

 

「魔理沙……」

 

 

もう一度誰かが言葉を発した。

 

声で誰かが判った。

 

私も言葉を発する。

 

 

「……アリス……」

 

 

人影は返事をしない。

 

 

「…アリス……私は……お前を……」

 

「大丈夫……」

 

 

其の声は私のすぐ後ろから聞こえた。

 

死骸の上からは消えていた。

 

 

私の肩の後ろから前に両腕が巻きつけられる。

其の手は何故か黒かった。

 

 

「アリス…?」

 

 

振り向こうとするが首が動かない。

さっきと同じ様に動けなくなっていた。

 

またか……!

 

 

「大丈夫よ魔理沙……もウ引き剥ガサレナイワ」

 

 

耳の後ろで其の声が変わっていく事に気付いた。

此のノイズがかかった様な機械音声……

 

 

「ヨウヤク…モウ一度会エタモノ……」

 

 

冷汗が流れるのが判る。拭おうにも手も動かせなかった。

 

 

「オ願イ……コッチヲ見テ……」

 

 

すると、さっきまで動かなかった首が動いた。

しかも私の意志を完全に無視して…

 

 

(見ちゃいけねえ……)

 

 

そう直感が働いた。泥棒稼業で養った此の直感は

今までにも外れた事はあまり無かった。

 

だが抵抗しようにも首が言う事を聞かない。

アリスがすぐ後ろにいる。

 

 

私は振り向かされた。そしてアリスを見た。

 

 

「久シブリネ……魔理沙」

 

 

最初に私が見えた。

 

 

だが、其はアリスの目に映ったものだと気付いた。

 

 

アリスは笑っていた。

 

 

でも、黒ずんだ顔に目は……一つしかなかった。

 

 

其の目が一瞬赤く光って……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

MARISA

~永遠亭

 

 

其処は永遠亭だった。

 

私は、激しく息をしながら畳の上で横になっていた。

誰かが私の顔を見下ろしていた。

 

 

「大丈夫かい、魔理沙!汗がびっしょりだよ!?」

 

「!…魅魔様……!」

 

 

魅魔様が私の顔を上から御覧になってたのだ。

そばで他の皆が、私を見ていた。

 

生きていた、皆。

 

 

「私達が話してたら、急に唸り声を出し始めて……」

 

 

魅魔様が仰る。

どうやら悪夢にうなされている私を起こして下さったらしい。

 

私は魅魔様に感謝したくなった。

でも、其以上に私に残ったのが……

 

 

 

あれが……アリス……?

 

 

 

アレが…「孤毒」にやられたアリス……?

 

思い出しただけでゾッとする……

 

だが、きっと私の想像だ……

夢なら……何でもアリなんだ……

 

 

前は夢のおかげで私は自分の罪を認められた。

 

だが今度は認めたくはなかった。

あの夢を、何処までも認めたくなかった。

 




如何でしたか?

最初に健全もの書きたいと
言っていたのは何処へやら……
もはや某ホラゲーに匹敵するものがありますね…

次回も、引き続き永遠亭編です。

それでは、次回もゆっくりして行ってね♪
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