東方孤傀劇Ⅱ~ナラクのアリス   作:因田司

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今回はチルノ視点です。前作同様、大妖精達と別れて一人です。

原作とは大きく異なる点があるとは思いますが、
暖かい目で見て頂くと、幸いです。

それでは、ゆっくりしていってね♪


混沌の幻想郷Ⅱ

CIRNO

~霧の湖 岸部

 

 

「……Zzzz……!んが!?………」

 

 

湖の岸部で大の字になって寝ていたアタイは急に目が覚めた。体が震えている。

 

 

「ヴウ~~~………トイレッ!!」

 

 

いきおいに任せて腰から上を持ち上げる。目の前の湖が、真っ赤な月の色のせいで真っ赤

になっているのが目に入った。

 

 

「……湖が赤い。変なの」

 

 

アタイは半分寝ながらそう小声で言って、近くの木の前で立ってトイレの準備を始めた。

 

その時アタイは、森のおくの木の陰に誰かがいる事に気が付いたんだ。

 

 

「!誰だ!?」

 

 

アタイはトイレそっちのけで木の前からはなれて、ソイツの方に叫ぶ。

するとソイツがこっちに歩いてきた。暗い所から出て、赤い月の光にソイツの姿が照らされる。

 

 

「!……なーんだ、ルーミアか……」

 

 

アタイや大ちゃん達とよく遊ぶようかいだった。しばらく会っていなかったけど、こんな夜に

再会するのはめずらしかったね。アタイがぐーぜん起きたからかもしれないけど。

 

 

「……どうした?アタイと同じトイレか?」

 

 

顔を下に向けてモジモジとしているからアタイはそう聞いた。でも、ルーミアはだまったままだ。

 

 

「……う~~ん……あ!もしかして、お腹でも空いてるの?」

 

 

アタイはルーミアを指さしてそう言うと、

 

 

「……うん……空いたのだ……」

 

 

!当たった!やっぱりアタイ、天才ね!……にしても声が小さい。本当におなか空いてる

みたい。

 

 

「……蛙、冷凍したのでもあげようか?それならすぐに準備できるけど?」

 

「ありがとう……でも、良いの……」

 

「?何で良いのさ……お腹空いてるんだろ?」

 

 

人食いようかいがお腹空かせてるのに、変なヤツだなと思う。ルーミアは少しだまってから、

 

 

「だって……食糧あるもん」

 

「え?持ってきてるの?なら、それ食べちゃえば良いじゃん。何かの肉よね?」

 

「そうだね……じゃあ、食べちゃうのか……」

 

 

そう言うと、顔を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オ前ヲォオォオ"ォ"ォオォオォオォォ!!!ヂィィ"ィイ"ィルゥウゥウウウ"ゥノォオォ"ォオオ"ォオオ!!!!!!」

 

「!!いやぁあぁあぁあぁぁ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

CIRNO

VS〈黑影の凶妖〉EXルーミア

~霧の湖 岸部

 

 

「来るな……あっち行け……!来るな!!」

 

 

眠気なんか一瞬でブッ飛んでしまった。

 

何か…何かすごい……顔が、真っ黒に染まっていた。体中から、黒や紫色のオーラみたいなのが

わき出ていて……両目が真っ赤にギンギラに光ってて、暗い中で目の光が糸みたいに残って

……口から煙みたいに黒い霧があふれ出して……

 

こ、こんなの……ル、ルーミアじゃない……

 

 

「ア…ア……『アイシクルシュート』!!!」

 

 

アタイは追い払おうと、あわてて氷柱型のだんまくを何本か放った。

 

だけど突然ルーミアの姿が溶ける様に消えちゃって、だんまくは当たらなかった。

 

 

「!え……!??」

 

 

姿が消えた。目を大きく開いたけど、やっぱり見えない。アタイはルーミアが消えた場所に

近付いて探したけど、見付けられなかった。

 

まわりを見てもどこにもいない。完全に消えちゃっている。

 

 

「~~さ、さっきまで……立ってたはずだったのに……??」

 

 

 

 

 

「此処ヨ……!!!」

 

 

其の時いきなり目の前のアタイの影からルーミアが現れた。

 

 

「!?ウワアァァアァアアーーーー!!!!!」

 

 

思いっきりびっくりして、近くの森の中へ飛びこみ、一本の木の後ろに隠れた。そこに黒い針やら、大玉やらのルーミアがふつう出さないようなだんまくが大量に飛んできた。

アタイはかんいっぱつでそこから逃げ、隠れていた木と周りの地面ごと吹き飛ばされずに済んだ。

 

ルーミアって……こんなに強かったっけ……!?後ろに飛びながらアタイはそう思った。

 

 

「傲リ高イ妖精……レティノ時ト同ジネ……油断シテ仲間ヲ失ウ……」

 

 

アタイをしとめそこねたルーミアがこっちを見て気味悪く笑い、霧を吐き出しながら言う。

その言葉を聞いたアタイはピンと来たね。

 

 

「まさか……マリモか!?」

 

 

最近いろんなところで出てくるようになった、黒い変なようかいみたいなヤツ。大ちゃんが

名前が違うと言ってるけど面倒臭いから変えていない。前にも…えっと……ここで新人が

アタイ達にけしかけてきたの、何とか覚えている。

 

そう言われてみると、ルーミアの立ち方が人形みたいにフラフラしてて、マリモによく似ている

……気がする。

 

 

「今度はルーミアに……ルーミアに、何をしたぁ!??」

 

 

アタイは木の暗がりの中にいるルーミアに叫んだ。

 

 

「……『私』デ、寝首ヲ掻イタ」

 

 

それに返してくる言葉は、ルーミアのじゃない。ていうか、声も普通のルーミアと比べると

少し変だ。

 

 

「!ね……寝首を、筆で書いたのか!?コピーでもしたのか!??」

 

 

今のルーミアは、さいきょーのアタイなら分かる……まるで黒い影だ……影に溶ける夜の暗がり

……マリモそのものみたいだ。

途中からアタイはアタイが言ってる意味が分からなくなる。

 

 

「闇ヲ操ル程度ノ能力ナラ……『私』達トノ相性モ、非常ニ良イ」

 

 

 

 

 

 

「…コンナ風ニ」

 

 

後ろから声が聞こえたかと思うと、強いしょうげきが背中に来てアタイを前にふき飛ばした。

アタイは地面に倒れてほっぺを地面にこすった。

 

 

「!~~いったぁ~~………!!!」

 

「万象ニ影ガ有ル限リ……何処ニ行コウト『私』カラハ逃ゲラレナイ」

 

 

後ろから声が聞こえる。

 

 

『何処ヘ逃ゲヨウト……如何足掻コウト……』

 

 

いや、前から聞こえる……いや、どこからでも聞こえた。アタイ…耳がおかしくなったか…!?

 

 

「アタイは…逃げない!アタイは……さいきょーなんだから!!!」

 

 

アタイは声に負けずに声を上げて立ち上がり、後ろを見ると同時に、

 

 

「『アイスチャージ』!!」

 

 

自分を凍らせてそのままとつげきした。

 

 

「ルーミアを、返せぇえぇぇぇえぇ!!!!!!」

 

 

だけどそこには誰もいなくて、アタイはそのまま後ろの木にぶつかっただけだった。

体の氷が割れて、アタイは木の根元にまた顔から落ちた。

 

その時、上から黒い大玉のだんまくがアタイの背中に向かって撃ち出され、アタイはそれをもろに

受けた。だんまくの勢いは目の前の木をこっぱみじんにして、アタイを地面に強く押し付けた。

 

 

「!!!~~~………」

 

 

さらに上から黒い火がアタイを囲んだ。

 

 

「!熱いっ……!!!」

 

 

あまりの熱さにアタイは顔を手でおおった。その間にも、黒いだんまくが上から次々と

アタイの背中にさっとうする。ていこうしようにも、立ち上がれない。上を向く事ができない。

 

何とか顔から少し手をどかすと、目の前に何かがパラパラと落ちてきた。

 

 

「!氷!……アタイの…羽が……!!」

 

 

黒いだんまくが、アタイやまわりの地面を叩き続ける。痛い……痛いよ……!!すっかり

アタイは弱気になってしまってた。

 

 

すると囲んでいた黒い火が消えた。でも、アタイはもう立てなくなって、動けなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ちょっと本気を出すと、呆気無いわね……」

 

 

ルーミアとは別の声が聞こえて、力をふりしぼって視線を上げる。

 

目の前に立っている黒いルーミアの後ろに別の誰かが立っている。でも暗がりのせいで誰かは

分からない。ただ、ルーミアよりもずっと背が高い事だけが分かった。

 

 

「~~だ、誰だ……!?」

 

「私は……幻想郷を変える者……」

 

 

ソイツはやけに落ち着いた声でそう言った。

 

 

「つまり『私』……巷で言う『マリス』……貴方の言う『マリモ』の中の者よ」

 

「!じゃ、じゃあ……マリモはお前か!?」

 

「そういう事になるわね。レティや此の娘を演じていた私、似ていたかしら?」

 

 

レティを苦しめ、ルーミアを苦しめている悪者が目の前にいる。アタイはがんばって

立ち上がろうとした。でも、体中が痛い……!立てない……!!

 

 

「ルーミア……宵闇の妖怪なのに、まさか夜に寝ていたとは……何と無自覚な…無防備な」

 

 

難しくてあまり分からなかったけど、ルーミアをバカにしている感じがあった。アタイは怒ろうと

したが、あまりの体の痛さで言えなかった。

 

 

「だけど此は、良い素体を手に入れた……影の、負の感情が適合する能力……使いこなせていない

力を、存分に発揮できる……」

 

 

何か、難しい言葉をぶつぶつ言っている。

 

 

「……なら、彼女と貴方でもっと強い『私』を創り上げよう」

 

 

その言葉を聞いたアタイは、氷の妖精なのにゾクッと寒気を覚えた。

 

 

「あ……アタイと…ルーミアを……!??」

 

「新たな『私』……輪禍を生み出さない『私』が出来る……」

 

 

其を聞いた時、アタイの体から氷の割れるみたいな嫌な音が立ち始めた。それに驚いた

アタイはすぐに自分の腕を見てさらに驚いた。

 

 

 

 

 

 

「~~何……こレ……!???」

 

 

腕から肘マでが紫色ニ変わり始めテいた。

 

 

「!?……!??………」

 

 

慌てテ体中を見るト、太もモも紫色になっテいく。さラにその上を木の根みタいな濃い紫色ノ

筋が何本モ走っテる。後ろヲ見ルと、背中の欠けた氷の羽にモ紫色が血みたイににじンでいる。

体もいつもヨりモ冷たクなってル。

 

 

「!!!!!~~~~」

 

 

とツぜン体中がしめ付けラれるミタいに痛くなっテきタ。

 

 

「~~痛い"…!!…ヴゥ痛イ…痛い痛イぃイ"イ……!!!」

 

「『私』が貴方の意識を奪う……彼女と同じになれる」

 

 

アタイの前にルーミアガ立ッた。無表情デアタイを見下ロす赤ク光る目が、ヤッぱリルーミアノ

目ジャない。

 

 

「お前は其の力を、『私』達に分けるべきなのよ」

 

 

……いヤダ……!アタイ…!!

 

 

 

 

 

「…まダ…死にタくなイ……!!」

 

 

何モ考エずに、アタイはそう言ッていた。

 

 

「…残念ながら今が其の時なのよ……氷の妖精、チルノ」

 

 

ソイツがソウ言うト、ルーミアが大キく口を開ケた。

 

 

嫌タだヨ…嫌ダ嫌だ……!!嫌だヨォオ……!!!~~レティイ"ィ……大チゃン…皆ア”ァ……!!

 

 

 

 

 

 

 

「……喰エ」

 

 

 

 

 

 

 

最後ニ見タのは、アタイニ覆いカぶサるルーミアノ、真ッ黒な口………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

其ノ中カラ『私』ヲ見テイタ、無数ノ眼球ダッタ。

 

 

 




如何でしたか?

マリスの犠牲がまたしても……
Ⅰの書き方だと判りづらかったですが、マリスが身体に入るとチルノみたいな状態に
なっていきます。

次回が終わったあたりで、話を進めていく予定です。


それでは、次回もゆっくりしていってね♪
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