年末に投稿しようとしていたのですが、間にあいませんでした。
やはり年末は色々忙しかったですね……年明けも暫くはペースが落ちてしまうかと思われます。
御了承下さい。
今回は久々に登場しました、小傘の視点で御送り致します。
原作とは少し異なる点があるとは思いますが、
暖かい目で見てくださると、幸いです。
それでは、ゆっくりしていってね♪
KOGASA
~嵐の聖域跡地 紅雲海
月の光で紅く染まった雲が顔に当たり、ヒンヤリとしていて気持ちが良い。
私は騒霊の三姉妹の皆を永遠亭っていう病院みたいな屋敷まで案内して、ついでに楽器の
付喪神達に虐められた時の傷を癒してた。でも、其処で私の唐傘ストラップ付きの通信機から
『平安のエイリアン』が流れた。
『小傘、命蓮寺が大変なんだ!!怪我の具合を診てで良いから帰ってき!!大至急!!』
すぐに帰ってきて欲しいのか判らない、ぬえの慌てた声を聞いた。なんでもマリスの襲撃があり、
来ていたお客さんが二人誘拐されたとか何とか。私は日が暮れる前に一時帰宅と言う事で院長
から許可を貰った。
『持っておくと良いわ。マリスに襲われたら、此を相手か自分に刺して頂戴』
ついでに病院内で通信機を点けていた事を怒った院長はそう言うと私に注射器を数本渡した。
其の中の一本を今もう一度取り出してみる。
中には白く濁った液体が入っていた。どうやら、マリスに対して良く効くワクチンで、帰り道での
マリス対策に退院する人に無償で渡しているみたい。
「……ハァ……」
ワクチンを懐に戻しながら溜息をついた。
此処最近のわちき、マリスのせいで人間が夜道を歩かなくなって、全っ然脅かせてないのよね……
病気よりも人を脅かせていないわちき、どういう事なの…?
すると、突然月の光が雲に遮られ、突然強い風が吹き始めた。すぐに雷まで鳴り始める。
「!?いけない……嵐の中に入っちゃったかしら……?」
其の時、私は前方に誰かが建っているのが見えた。雲が姿を隠し、月の光を遮っていてよく見えない。
「?……誰なの……!?」
風の音に負けない様に大きな声で叫ぶ。と、其処で再び雷が鳴る。不自然に紅く光る雷が
其の姿を一瞬、でもはっきりと照らした。
「!あぁーーー!!貴方は私を……!!」
私をリンチにしていた一人、太鼓の付喪神だった。今回の異変の黒幕とされている、龍宮の遣いや
其の部下の天邪鬼と一緒に写真付きで指名手配されていたのが、待合室のテレビに出ていた。
同時にもう二人、琴と琵琶の付喪神が逮捕された事も思い出した。
でも其の姿は、写真とは比べものにならない程変わり果てている。服も太鼓も大破していて肌の色
は私の唐傘と同じ人の肌とは思えない色をしていた。私を睨んでいる瞳も白目に滲んでいる。
どうやったらあんな色になるんだろう。逃亡生活してたからああなったのかな…?
「あの時はよくもリンチにしてくれたわね……!?邪魔者だからって好き勝手に……!!」
でも、其の時の私には、そんな事はもう頭になかった。
いくら山の巫女、早苗さんに虐げられ続けていたとはいえ、同じ道具から生まれる妖怪にまで
ボコボコにされた事は屈辱極まりない。今宵、何としてもリベンジしなくては…!でも今は凄く
視界の悪い雲の中。とりあえず此処から脱出しないといけない。
私は傘を畳んで遥か下の地面に向かって落下し始めた。雲の中も突き抜け服が湿り、顔にも水滴が
付いていくのが判る。
敵もきっと付いてくる。何とか視界の晴れた場所まで持ち堪える必要があるみたいね。
「さぁさぁ、然る場所で決着を着けるわよ!!う~~らめ~~しや~~~!!!」
KOGASA
VS〈傀儡のパーカッショニスト〉堀川雷鼓
【地表まで 残り70000m】
~嵐の聖域跡地 紅雲海~幻想郷上空
私は首だけを曲げて後ろを見る。
紅い雲のせいでぼやけているけど、やっぱりしっかり付いて来ている。太鼓から黒色と紫色の弾幕
を放ちながら身体を出来るだけ真っ直ぐにして、少しでも私に追いつこうとしているみたいだった。
弾幕が真下に落ちる私を横を通り過ぎ、目の前の雲の中に消えていく。
「化符『忘れ傘の夜行列車』!!!」
私も前を向いたまま二本の線路と電車に見立てた弾幕の集団を後ろに複数放って対抗した。
でも実際に当たっているかどうかは判らない。
そんなに追いつきたいのね…なら、私にも手があるわよ。急降下を止め、勢いを殺して身体を
真上に向けた。敵が真っ直ぐに突っ込んで来る。
「……六鼓『オルタネイトスティッキング』」
敵は一番大きな太鼓を下にして私を踏みつけようとした。
「驚けぇ!!後光『からかさ驚きフラッシュ』!!!」
激突する直前に、私は傘を開くと同時に後光を放った。
相手は見事に引っかかり、目を顔で覆って空中で停止した。距離があいて怯んでいる彼女が離れていく。
「どうよ!!私だって、伊達に早苗さんに弄られてた訳じゃないのよ!!」
そう言いながら地面の方を向き、傘を閉じてまた急降下を始める。大分雲が薄くなってきた。
もう少しすれば、雲から出られるかもしれない。
「……雷符『怒りのデンデン太鼓』」
でも怯みから立ち直った敵の追撃もしつこい。私の左右に太鼓が出現し、叩く部分から黒い雷を
発射し始めた。何とか身体を回転させて回避しながらもう一度空中で振り返り、今度は傘を
開かずに剣の様に持った。
「構えて~~、構えて~~……」
敵が懲りもせずに突進してくる。酷い目に遭うにも関わらずに接近してくる。まるで意識を誰かに
操られているみたいで怖い。その時正直に言うとわちき、ちょっとビビってた。
其でも振りかざした傘でバックスイングをしてタイミングを計って、
「傘符『一本足ピッチャー返し』!!ホ~~ムラン!!!」
思いっきり振り上げて、敵の顔面を捉えた。敵を真上に打ち上げて、もう一度私から距離を
引き離す。
「もう少しで相手してあげるから!待っててよ!!」
今度はそう叫んで、また急降下する。
すると目の前の雲が晴れ、夜の山や里が見えてきた。此処なら戦える…!
そう思って三度身体を後ろに向けた瞬間、伸びてきた両手に首を掴まれた。
「!?ぁ"………~~~!!!!」
いつの間にか後ろにまで接近していて、私の首を絞めている。
私は必死にもがいて手を首から離そうとしたけど、物凄く力が強い。
「……身体ヲォ……」
目の前で私の首を絞める付喪神はそう言った。あの時の声とは思えない位に変わっていて、
まるで複数の少女が同時に話しかけてくる様だった。
「其ノ身体ヲ…『私』ニィイ"ィィ……!!!」
呼吸が出来ない……意識が薄れていく……両目が自然と下がってくる。眠くなった時とは全然違う感じだ。
ダメだ……わちき………
「『私』ニ!??……」
其の声が突然途切れ、首を絞める力も緩まった。私が頑張って目を開け、何が起こったのかを
確かめようとした。
私を見たまま硬直している顔のずっと下、太股に注射器が刺さっていた。もがいている途中に懐に
入れていた注射器が空中に散乱して偶然刺さった様だ。其処から紫色が消えていく。
見開かれた目も、焦点が合ってきた。
え……ワクチンが効いている……じゃあ、此の付喪神……マリスに浸食されていたの!?
呆気にとられる私の前で彼女の身体から紫色が完全に抜けきると、力も抜けたのか其のまま私に
もたれかかってきた。
「!うわっと……!!」
咄嗟に傘の柄を口にくわえて身体を受け止めた。此……勝ったのかな?
「~~お"……おう"ぉい……!!」
身体を支えている私は顔をしかめて、顔を水滴ではなく汗で濡らしていた。彼女の身体
だけでなく、複数の太鼓もあってか凄く重い。口に柄もあるので、もう体中のあちこちが
忙しい。
「!~~ひぶぉい…けふぁ……!!」
破れた服から見えた、数え切れない程の切り傷や打ち身。まさに満身創痍だった。紫色だったから
判らなかったけど、肌の色が戻って改めて見ると本当に痛々しい。どうやったら、こんな怪我を
負ったんだろう……?
!いえ、そんな事より何処かに下ろさないと……そう思いながらふと下に目を落とした私は、
ある建物に気が付いた。
「~~み"ょ……み"ょう…ぶぇん……う"ぃ……!!」
いつの間にか、命蓮寺の遙か上空まで来ていて、其処に落ちながら戦っていたらしい。何と
良いタイミング。わちきは驚いてしまった。
彼女も手当して貰おう……私はフラフラと降りていった。
何だかんだで人助け…今回の異変も、脅かすのは暫くお預けになりそうね……
如何でしたか?
小傘は、偶然にも無事マリスから雷鼓の奪還に成功したようです。
次回からは、本格的に話が動いていきます。霊夢達の動きに注目していきたいと思います。
それでは、今年も宜しく御願い致します!
次回もゆっくりしていってね♪