駆逐艦「ありあけ」出撃します!   作:創生路ハイローラー

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 ちょこちょこ書いてたらできたのであげます。


第九話 着任式

 日本に来て3日目。着任式の朝が来た。

 エディもリッチも、何着かあるうちの一番綺麗な制服に着替えて病院を後にした。地図に従って鎮守府の中でも古い煉瓦造りの建物に入る。1階左手には受付兼事務室があり、エディ達が来たのを見つけた大淀が出てきて2人を司令室へと案内した。

 司令室は司令の机と応対用のソファ、そして小さな本棚があるだけの簡素な造りであったが、調度の一つ一つは気品があり、エディは目移りしそうになる。しかし今は司令官と挨拶をしなければならない。司令の机に目線を向けると、そこには大将の階級章をつけた壮年の男性と、長い黒髪と凛々しい双眸、露出の多い服に堂々たる筋肉と主砲を見せつける戦艦娘がいた。

「本日よりアメリカ海軍から横須賀鎮守府に転籍した、リチャード・P・リアリーとヘイウッド・L・エドワーズです。司令官にご挨拶申し上げるべく、ここに参りました。よろしくお願いします」

 リッチが挨拶を述べる。こういった締まった場面ではリッチのほうが適役だろうと事前にエディと相談したのだ。

「ああ、そんなに固くならなくてもいいよ。エドワーズ君にリチャード君だね。儂がここの司令官をやらせてもらっている佐々木だ。といってももう一人の提督が有能すぎて仕事のないお飾り司令官だから、気軽に付き合ってくれたまえ」

 佐々木はエディ達にソファを勧めた。エディ達は右側のソファに座る。佐々木は図々しくも右に座ろうとして長門に殴られ、とぼとぼと反対側のソファに腰掛けた。

「痛いよ長門ちゃん」

「お前は司令官としての威厳を持て」

「いいじゃん、儂だって幼女と仲良くしたい!」

「だ め だ」

 どうやら漣が言っていたご主人様とは彼のことらしい。さすがのエディも呆れてみている。

 佐々木は長門と漫才していたが、咳払いをして本題を切り出した。

「実のところ君たちの配属は何も決まってない。ここには儂ともう一人山岸君という提督がいて、人事は彼がしてくれる。お互い初めての事ばかりになるじゃろうから、暫くは様子を見て、君たちの扱いを決めていく予定じゃ」

「私はエディと一緒ならどこでも構いません」

 リッチは即答する。

「もちろんそうするつもりじゃ。同型艦は同じところで扱った方が君たちのためにもこちらのためにも良い。ほかに質問はあるかね?」

「「いいえ」」

「よし、では頑張ってくれたまえ。長門君、頼むよ」

 佐々木が言うと長門は立ち上がってエディ達に立つよう促した。

「では、次に艦娘達と対面するから、私についてきてくれ」

 長門に先導されエディ達はブリーフィングルームへ入る。そこに艦娘達が集まっていて、漣の姿も見えた。あるものは興味深そうに、またあるものは怖がりながらエディ達を見ていた。長門は彼女らを紹介する。

「皆、彼女たちが今日から我々の仲間となるヘイウッド・L・エドワーズとリチャード・P・リアリーだ」

「ヘイウッド・L・エドワーズです。みんなと友達になりたくて、海を渡ってきました。エディってよんでね。よろしく」

「リチャード・P・リアリーです。リッチと呼ばれています。よろしくお願いします」

 エディとリッチは流暢な日本語で挨拶をして、深々とお辞儀をする。

「彼女らは先日の船団襲撃で果敢にも重巡洋艦を相手に戦い、撃破した。私は艦娘を代表して、彼女らの武勇と海を越えて我らの国の防人にならんとする志を讃え、横須賀基地への着任を歓迎する。今後の活躍に期待しているぞ」

 長門がそう締めくくると、拍手が起こった。その後テーブルに菓子が広げられ、対面式から交流会になった。エディとリッチに艦娘が挨拶をしていく。

「はじめまして。高雄です」

「ぱんぱかぱ~ん。私は愛宕。よろしくね」

「装甲空母大鳳です。仲良くしたいですが、あなたの国の潜水艦の話はしないでください」

 ナイスバディの重巡洋艦高雄と愛宕、それとは対照的な絶壁の空母大鳳。長門とともにこの鎮守府の主力らしい。

「那珂ちゃんだよー!ねぇねぇ、あなたもアイドルにならない?」

「天龍だ。フフ、怖いかメリケン野郎・・・あぁ!わりぃ、マジで泣くとは思わなかったんだよ!」

「兵装実験軽巡夕張よ。ねぇ、後でいいからその武器貸してくれない?データ取りたいから」

「五十鈴よ。ここにはあと2人軽巡がいるけど、今は外洋訓練でいないから、帰ってきたら挨拶してあげてね」

 水雷戦隊を束ねる軽巡はなかなかの個性派揃いだ。

 エディ達はさらに駆逐艦の群れに話しかけようとした。漣が手を振って近づこうとしたが、花と鈴の髪飾りをつけた少女が行く手を塞いだ。

「そこのメリケン女!」

 少女はエディを睨みつけて言った。エディは訳が分からず困惑する。

「な、なんですか?」

「なんですかじゃないわ!昨日はよくも私の妹をたぶらかしたわね!!」

 場に動揺が広がる。少女はさらに言った。

「私は漣の姉の曙よ。漣は騙し通せても、私の目はごまかせないわ。きっとすぐにメリケンのスパイだってわかるわ!」

「ちょっと、曙ちゃん」

「曙、やめなさい」

 潮と朧が止めようとする。しかし一番怒っているのは漣だった。

「曙ちゃん!私の友達の悪口言うのはやめてよ!」

「漣、あなたのために言ってるの。奴らはメリケンよ!近づいちゃだめ」

 曙は漣をエディから遠ざけようとした。エディは予想外の事態にどうすればいいのかわからなくなり、また不意の辛辣な言葉にショックを受けた。

「そんな・・・わたし、友達になりたいだけなのに!」

「そんな怪しい理由なんて誰も信じないわよ!クソ提督があんたを受け入れたのは外交の口実に過ぎないし、数で押すことしか能のないメリケン艦が、うちでやってけるわけないわ!」

 エディはこの言葉を聞いて頭に血が上った。自分の実力を否定されることは、フレッチャー級全員を馬鹿にすることと思われたからである。

「大体重巡洋艦撃沈が何よ、どうせまぐれで魚雷が当たって沈んだだけでしょ?それくらい帝国海軍(わたしたち)なら狙ってでき・・・うっ」

「フレッチャー級を馬鹿にするな!」

 エディは曙に掴みかかった。周囲が騒然とする。

「わたしを馬鹿にするな!リッチを馬鹿にするな!大姉を馬鹿にするな!アメリカを馬鹿にするな!」

 エディは鬼気迫った表情で曙を睨みつけた。だが曙は全く動揺せず、むしろ余裕すら伺える。

「いい表情するじゃない・・・決まりね!」

「おい、お前ら止めんか!」

 今まで呆気にとられていた長門がやっと止めに入ろうとするが、曙は颯爽と宣言した。

「みんなもこれから部隊に入る連中がボンクラかどうか知りたいわよね!私は私達綾波型とこいつらとの演習を提案するわ!」

 部屋中にどよめきが広がる。皆やろうと口には出さないが、アメリカ艦の実力は気になるので反対もしない。事態が動いたのは、騒ぎを聞きつけた佐々木司令と山岸少佐が部屋に入ってきたときであった。佐々木司令は長門から事情を聴くと、山岸少佐と夕張に指示した。2人が退出すると、佐々木は艦娘の方に向かって言った。

「よかろう!曙の提案を採用して、演習を行う。じゃが、2対4では分が悪い、よって曙をアメリカチームのリーダーとする!」

「ちょっと!何言ってるのこのクソ提督!あたしが勝負したいのはメリケンよ!なんであいつらと一緒に組まなきゃならないの?」

 曙は予想外の処置に反論するが、佐々木司令は取り合わない。

「では、昼食をとったのち、2時に開始とする。それまでに準備をしておけ」

「りょ、了解」

 命令とあれば流石の曙も逆らわない。佐々木は部屋から出ていく直前、

「それと曙」

「何よクソ提督・・・」

「最近の君の働きぶりは姉妹の内でも傑出しておるから、演習の結果次第で君を駆逐艦第三席とする」

「えっ?えぇー!?」

 曙の驚愕をよそに佐々木司令は部屋から出て行った。エディとリッチは気まずそうに曙に話しかけた。

「なんか・・・よろしくね、曙ちゃん」

「気に入らないけど、頑張ろう」

 二人が手を差し伸べると、曙は頭をくしゃくしゃにしてから、乱暴に手を取った。

「あーもう!とにかく飯よメリケン!」

 こうして散々な着任式が終わった。

 




 曙ちゃんはかわいい(確信)

 実は提督のキャラすら決めてなくて何度も書いては消しを繰り返してました。
 基本的に大鳳以外はうちの鎮守府にいる子たちに出演願いました。
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