駆逐艦「ありあけ」出撃します!   作:創生路ハイローラー

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 最近ペースが落ちて読者が減った気がするので連投してみる。

 来週末ちょっと旅行に出かけるので、もしかしたら投稿がだいぶ開くかもしれません。
 気長にお待ちいただけたら幸いです。


第十三話 初春とエディ

 司令室の騒ぎを知らないエディ達は食堂で夕食を取ろうとしていた。

「リッチ、遅いよー」

 エディはリッチが食堂に入ってくるのを見ると、手を振ってきた。適当にメニューを選んでトレイに乗せたリッチはエディの隣に座りたかったのだが、エディは4席2列の8人掛けテーブルの右奥から2番目に座り、右隣りには漣が、左には子日が席を占めていた。仕方なく開いていた手前左側の席に座る。隣には若葉、正面には初霜がいた。曙はずっとリッチを見ていたが、リッチは目を合わせなかった。

「皆揃ったな。では、いただこう」

「「「いただきまーす」」」

 初春が手を合わせると、皆も手を合わせて食事を始めた。

「ねえ初春さん、初春さんの艤装ってかっこいいよね」

「うむ。少々トップヘビーじゃが、扱い慣れれば心強いぞ」

「お姉ちゃんちょっと無理しちゃって今日もこけてたけどね」

「ね、子日。余計なことを言うでない」

 エディは早速周りと談笑しだした。一方リッチは黙々と箸を進める。ふと隣に座っていた若葉が立ち上がり、どこかへ行くと、戻ってきてコップを隣に置いた。

「水・・・なかったから。他が良かったか?」

「い、いや、ありがとう。えっと?」

「若葉だ。正面に座ってるのが初霜。こいつはぶつかってくるから気をつけろ」

「ぶつかったのはあの時だけよ。初霜です。よろしくお願いします」

「よろしくお願いします、若葉さん、初霜さん」

 リッチもポツリポツリと話し始めた。食事は楽しく進んだ。

 

 

「どういうことですか!?あそこには3個師団が配置されて要塞もあったのに。第7艦隊とABDAがいれば、うちの援軍が来るまで耐えられるはずですよ!」

 夕張は信じられない様子でそう言った。事実、41年にマレー沖で空母(艦娘でない)が沈んで大きく兵力を減らしたアメリカ海軍第7艦隊だが、それでも深海棲艦艦隊に負けない火力を持っており、ABDAも英国からプリンス・オブ・ウェールズ(PoW)とレパルスが合流して強化されている。ちょっとやそっとの攻勢で崩れる戦力ではない。

「そのはずだったんだが、PoWとレパルスがシンガポールで敵潜水艦に足止めされている間に、散発的に小規模攻勢をうけて第7艦隊とABDAを誘い出され、空になった港に装甲空母と棲鬼型多数が一気に強襲して占領したらしい。幸い第7艦隊、ABDA共に健在で、陸軍も空路で脱出しつつシンガポールへ向かっているらしいが、そのシンガポールも数時間前に棲姫型の奇襲を受けているとの連絡を最後に通信がない」

「じゃあつまり・・・」

「最悪の場合、我々はインド洋までの海路を断たれる可能性がある」

 山岸はそういうと、司令室は暗い空気に包まれる。経済を石油資源の輸入と工業製品輸出に頼る日本にとって、マラッカ海峡封鎖はすなわち死を意味する。それを防ぐために深海棲艦が登場して以降、多額の予算を割いて海軍を強化してきたのだ。

「すでにフィリピンに救援に出ていた艦隊はシンガポール防衛に向かっている。最悪の事態は回避するじゃろう・・・じゃが、我々は戦略を大きく変えなければならんのう」

 佐々木はそういうと、椅子に座りなおして、大きく息を吸って言った。

「今起きていることについてはどうしようもない。じゃが、これからの目標を立てることはできる・・・1年じゃ、今日から1年をどうするかで、我々の運命が決まる。家を建てるには、まずは土台を固める必要がある。そして我々は今家の隅の親石を持っておる。今はまだ屑石じゃが、我々は必ずこの石で家を建てる。山岸君、夕張君。頑張ってくれたまえ」

「はい!」

「必ず彼女たちを一流にします」

 山岸と夕張は意気も高らかに返事をした。佐々木はその意気やよしと見ると、くつろいだ姿勢になった。

「では、具体的な善後策のために、夕張君の報告を聞こう」

「了解。では・・・」

 

 

 翌日、レイテ島陥落の第一報がメディアによって一般人の知るところとなり、世間は大きく騒いだが横須賀鎮守府の中はいつも通りの日常が続いた。長門や那珂が広報行事に出かけ、提督は秘書艦やスタッフ達と事務に追われ、駆逐艦娘は来る可能性の限りなく低い敵に備えて訓練と哨戒に励み、或いは安全性の高い沿岸での輸送任務に出撃した。

 エディは暇を見つけては他の駆逐艦たちに話しかけ、二週間もたつと鎮守府の駆逐艦全員の好意を得るようになっていた。

 そんなある日、待機の間にエディ達にお手玉を教えていた初春がこんなことを聞いてきた。

「エディ、お主がここへ来たのは、かつて妾らが去った後にこの国を守った縁があってのことと聞いておる。その時の話を聞かせてくれまいか?」

 エディはその質問に困った表情になる。エディには日本の記憶がないのだ。

「えっと、その・・・」

「自分たちが妾と成り変わったことに負い目を感じているなら、その心配はないぞ。妾は単に、妾たちが守ったこの国がどうして今に至ったかを知りたいだけじゃ。記録ではない、お主自身の目で見た戦後をな」

「そ、そういうわけじゃなくて・・・」

「エディも私も、覚えてないんだ。改造をはさんだ記憶は、思い出せないことがあるでしょ?」

 リッチが助け舟を出す。

「そ、そうなの・・・ところどころ記憶に引っかかることはあるけど、なんかもやもやしてはっきりしないの」

「そうか・・・残念じゃ」

「お茶持ってきた・・・」

 若葉がお茶を持って部屋に入ってくる。するとエディの中で何かが引っかかった。

「そういえば、旧海軍出身の子に『わかば』ちゃんがいた気がする」

「私が?私は確か1944年10月24日に沈んだぞ。初霜、私の後継艦はいたか?」

 若葉は初霜に聞いてみる。初霜は1945年7月30日戦没なので、終戦前の艦なら把握しているはずだ。

「いいえ、私の知る限りでは」

 初霜が答えた。その先を知ってるのはこの鎮守府では長門か潮ぐらいだ。

「勘違いじゃないのかな?」

「うーん、確かにわかばって名前は聞いたんだけど・・・」

「まあよい、時が来れば思い出すじゃろう。その時は、『有明』や『夕暮』も呼んで一緒に聞かせてもらおうかのう」

 記憶の靄の先へ行けるのは、まだまだ先になりそうだ。エディはそう思うと、再びお手玉に向かった。

 




 そして空気になった子日・・・
 いまいちキャラがつかめなくて、これからも出番はないと思います。

 わかばネタはwiki参照でお願いします。実装楽しみですね。

 鎮守府放置も一か月が経ち、浦波、浜風、龍鳳、飛龍改弐・・・ゲーム更新についていけない。そして提督Ⅳへ逃げる筆者、メリルとバーグの水雷戦隊で日本軍に夜戦を仕掛けるのが楽しくて仕方ないです。護衛空母と駆逐艦縛りをいつかやってみようと思ってたりします。
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